説明

電源装置

一次及び二次巻線を有する変圧器(X1)を備える電気デバイスのための電源装置(V1)。一次巻線は、交流電源に接続可能であり、二次側の回路は電気デバイスに直流出力電圧を供給するように設けられる。また、本電源装置は、変圧器の一次巻線と交流電源との間のスイッチ(111−トランジスタQ1及びQ2)と、交流電圧を整流するための整流器(ダイオードD6)も備える。スイッチは、整流された交流電圧が増加するとき非ゼロ値に達したある時点でオンに切り換わり、これにより、電流は一次巻線へ流れ、スイッチ(111−トランジスタQ1及びQ2)がオフに切り換えられると二次巻線に流れるように設けられる。スイッチはさらに、整流された交流電圧が再び上昇し始める前にオフに切り換わるように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気デバイスのための電源装置及び電力を電気デバイスに供給するための方法に関する。特に、本発明は電力消費が少ない電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギーの節約及び電力損失の削減はますます重要となりつつあり、電力消費が少ない電源装置はますます重要となっている。このような電源装置は、例えば、その電気デバイスが接続されているか否かを検出しかつ主電源をオンに切り換える電力を供給するための外部の電源内の(例えば、充電のために電話機をクレードル内に置く携帯電話機の充電器内の)、電気デバイス内(例えば、テレビジョン受像機、洗濯機内)の予備電源としての電源装置、又は、低電力の外部電源(例えば、薄暗い照明をつけるために壁の交流コンセントに差し込まれる常夜灯)を含む少ない電力消費を必要とする電気デバイスのための独立型の電源としての電源装置のような多くの状況にアプリケーションが見出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
第1の既知の装置において、(多くのアプリケーションで使用される)電源装置は、変圧器を備え、当該変圧器の一次巻線は交流電源に直接に接続され、当該変圧器の二次巻線は上記電気デバイスのための出力電圧を供給する。この装置の電力消費を少なくするためには、変圧器の(交流電源に直接に接続される)一次巻線に流れる電流が小さいものでなければならない。小さい電流を得るためには、交流電源から見た一次巻線のインピーダンスは大きいものでなければならない。50又は60Hzである典型的な交流電源の周波数の場合、一次巻線において大きいインピーダンスを得るためには、大きいインダクタンスが必要とされる。一次巻線においてこのような大きいインダクタンスを得るためにはより多い巻数が必要とされ、これにより、変圧器は非実際的に大型になる。あるいは、変圧器の大型化を避けるために、巻きに使用されるワイヤをより細くすることができるが、これは、抵抗がさらに高くなることを意味し、またこれは損失の増加も意味する。本質的に、この装置において電力消費を格段に削減するためには、高いインダクタンスの完全なインダクタが必要となるが、これは実行可能なものではない。
【0004】
第2の既知の装置はスイッチモード電源(SMPS)として知られるが、SMPSには異なる実装が幾つか存在する。SMPSには、第1の装置を凌ぐ効果があるものの、この装置における高速の
スイッチングは大量の雑音を生じさせる。また、SMPSは設計がより複雑であり、かつコストが高い。
【0005】
現在、上述したような予備電源は、典型的には数百ミリワットの消費電力を有し、又は数ワットの消費電力を有する。しかしながら、デバイスを待機から「起動」するための制御回路の典型的な電力の要求は、数ミリワットでしかない場合がある。したがって、スタンドバイモードのデバイスに実際に必要な電力と消費される電力との間には、大きなずれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様によれば、電気デバイスのための電源装置が提供され、本電源装置は、
a)一次側の一次巻線と二次側の二次巻線とを備える変圧器であって、上記一次巻線は交流電圧源に接続可能であり、上記二次側の回路は上記電気デバイスに直流出力電圧を供給するように設けられる変圧器と、
b)上記変圧器の一次巻線と上記交流電圧源との間のスイッチと、
c)上記交流電圧を整流するための整流器とを備え、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときのある時点で、かつ上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加するとオンに切り換わり、これにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するように設けられ、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧が再び増加し始める前にオフに切り換わるように設けられる。
【0007】
この装置においては、スイッチがオンに切り換えられるまで、変圧器の巻線には電流ドレイン(current drain)は存在しない。スイッチがオンに切り換えられると、一次巻線に電流が流れ、従って、一次巻線にエネルギーが蓄積される。整流された交流電圧が達する非ゼロ値は、好ましくはピーク電圧のかなりの割合であり、さらに好ましくは、ピーク電圧である。
【0008】
上記回路は、さらに、電流制限器を含んでもよい。電流制限器は、電力消費を制御できるように一次巻線に流れる電流の流れを制限する。
【0009】
交流電源は、典型的には、例えば50又は60Hzの110VAC、120VAC、230VAC又は240VACの主電源である。
【0010】
ある好ましい実施形態では、本装置はさらに、スイッチをオン及びオフに切り換えるためのスイッチタイマを備える。スイッチタイマは、整流された交流電圧がゼロから極大値に増加する間のある時点でスイッチをオンに切り換えるように設けられてもよい。スイッチタイマは、整流された交流電圧が再び増加し始める前にスイッチをオフに切り換えるように設けられてもよい。
【0011】
スイッチタイマは、整流された交流電圧に電圧が整合するノードと接地との間の抵抗器及びキャパシタを備えるRCタイマであってもよい。その場合、キャパシタは、整流された交流電圧がゼロから極大値に増加するときに充電するように設けられてもよい。スイッチがオンに切り換えられるとき、キャパシタは放電されてもよく、キャパシタ内に蓄積されたエネルギーは一次巻線に移動される。
【0012】
スイッチは、好ましくは、整流された交流電圧の各ピークの近くでオンに切り換わるように設けられる。本装置がRCスイッチタイマを備えていれば、抵抗器及びキャパシタの値は、整流された交流信号の各ピークの近くでスイッチがオンに切り換わるように選択されてもよい。これにより、スイッチがオンに切り換えられるときに、変圧器の一次巻線に最大にされた電圧を提供し、従って変圧器の一次巻線に流れる電流は最大となる。
【0013】
スイッチタイマは、スイッチコントローラに接続されてもよい。ある実施形態では、スイッチはMOSFETを備える。ある好ましい実施形態では、スイッチタイマはスイッチコントローラに接続されかつイッチはMOSFETを備え、スイッチコントローラは、MOSFETをオン及びオフに切り換えるためのサイリスタデバイスを備える。
【0014】
ある実施形態では、電流制限器は少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを備える。ある好ましい実施形態では、電流制限器は2つの電荷蓄積デバイスを備える。各電荷蓄積デバイスは、キャパシタであってもよい。少なくとも1つのキャパシタの値は、一次巻線に流れる電流の流れを所望される電流レベルに制限するように適切に選択されてもよい。
【0015】
電源装置は、上記電流制限器の上記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが実質的に満充電されると、電流が上記一次巻線を通って流れることが停止されるように設けられてもよく、即ち、スイッチは、電流制限器の少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが実質的に満充電されるとオフに切り換えられるように設けられてもよい。本装置がスイッチタイマを含んでいれば、スイッチタイマは、電流制限器の少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが満充電されるとスイッチをオフに切り換えるように設けられてもよく、これは、好ましくは整流された交流信号がそのピークからゼロに降下しているときのある時点で発生する。スイッチがオフに切り換えられると、電流は変圧器の巻線を流れず、よって、既に述べたように、上記巻線に流れる電流の量は、電流制限器の少なくとも1つの電荷蓄積デバイスの値を適切に設定することによって制御されることが可能である。
【0016】
ある実施形態では、スイッチタイマはスイッチタイマのリセットによって動作可能であり、スイッチタイマのリセットは、スイッチがオフに切り換えられた後に、即ち、変圧器の巻線に流れる電流が停止すると、スイッチタイマをリセットするように設けられる。スイッチのリセットは、整流された交流信号がゼロから次の極大値に増加しつつあるときにスイッチが再びオンに切り換わることを可能にする。スイッチタイマがRCタイマであれば、スイッチタイマは、整流された交流電圧がその極大値からゼロに低下する間に発生し得る、キャパシタが完全放電される時点でリセットされてもよい。
【0017】
別の実施形態では、電流の流れをサイリスタデバイスにより制御できるので、電流制限器は電源装置から省かれてもよい。
【0018】
従って、ある好ましい実施形態は次のように動作する。整流された交流電圧がゼロから極大値に増加するにつれて、RCスイッチタイマのキャパシタは充電し、これが、好ましくは整流された交流電圧のピークに一致する所定の量だけ充電すると、スイッチタイマはスイッチをオンに切り換え、これにより、交流電源からの電流の突入、かつさほど重要ではないが、RCスイッチタイマのキャパシタの放電に対応して巻線に電流の流れが供給される。巻線に流れる電流に加えて、電流制限器の少なくとも1つの電荷蓄積デバイスに電流が流れる。巻線に電流が流れると、電流制限器の少なくとも1つの電荷蓄積デバイスは充電し、満充電されると、スイッチはオフに切り換わり、よって巻線に流れる電流は停止し、かつ電力消費が制限される。蓄積されたそのエネルギーを巻き線に移動させることによって、RCスイッチタイマのキャパシタが完全に放電されると、スイッチタイマはリセットされる。これは、整流された交流電圧が再び増加してスイッチがオンに切り換わる準備が整うように、整流された交流信号がその極大値からゼロへ降下する間に発生する。
【0019】
ある好ましい実施形態では、スイッチは、正のフィードバックを使用することによりオフからオンへの高速の切り換えを行うように設けられる。オフからオンへの高速の切り換えは、電圧がスイッチを介して降下する時間が最短にされ、これにより、スイッチ自体における電力損失が減少することを意味する。
【0020】
この実施形態では、スイッチは第1のトランジスタと第2のトランジスタとを備えてもよく、第1のトランジスタのコレクタは第2のトランジスタのベースに接続される。さらに、第2のトランジスタのコレクタは第1のトランジスタのベースに接続されてもよく、かつこれはフィードバックキャパシタを介するものであってもよい。第2のトランジスタのコレクタにおける電圧が上昇しているときに、第1のトランジスタのベースにおける電圧も上昇し、これがさらに第2のトランジスタのコレクタにおける電圧を上昇させる等々であるので、本装置は、正のフィードバックを提供してもよい。
【0021】
本電源装置はさらに、高電圧におけるデバイスの破壊を防止するための電圧制限器を備えてもよい。電圧制限器は、整流された交流電圧がゼロから極大値に増加する間に充電するように設けられる電荷蓄積デバイスを備えてもよい。上記電荷蓄積デバイスは、高電圧キャパシタであってもよい。
【0022】
本発明の好ましい一実施形態では、整流器は交流電圧を全波整流するように設けられる。これは、整流された交流電圧がゼロからピークに、元の交流信号のサイクル毎に2回増加することを意味する。
【0023】
本明細書では、整流器が交流電圧を全波整流する好ましい実施形態について記述しているが、当然ながら整流器は交流電圧を半波整流しかしないという可能性もある。この場合、整流された交流電圧は、ゼロから極大値へ、交流サイクル毎に1回しか増加しない。
【0024】
二次側の回路は、各交流サイクルの間に充電する電荷蓄積デバイス(例えば、キャパシタ)を介して、電気デバイスに直流出力電圧を供給してもよい。この装置では、各交流サイクルの間にキャパシタが充電するにつれて、出力ノードにおける電圧が定常状態の直流電圧へ向かって増加していくように、好ましくは、キャパシタは接地と出力ノードとの間へ位置づけられる。
【0025】
本電源装置は、さらに、スイッチのオンモード及びオフモード間の切り換えにより発生される電磁放射を低減するための回路を備えてもよい。電磁放射(リンギングとして知られる)は、オン及びオフの高速の切り換えによって発生される可能性があり、かつ適切な回路の使用によって低減が可能である。一実施形態では、上記回路は、二次巻線と出力ノードとの間に適切に配置されるキャパシタと抵抗器とを備える。
【0026】
本電源装置は、さらに、直流出力電圧を調整するためのレギュレータを備えてもよい。これは、負荷が特に安定な直流電圧源を必要とする場合に有益である。レギュレータは、出力電圧とスイッチとの間に位置づけられてもよく、かつ出力電圧が選択されたしきい値を超えればスイッチをオフに切り換えるように設けられてもよい。レギュレータは、ツェナーダイオードを備えてもよい。
【0027】
本発明によれば、上述の電源装置を備える電気デバイスも提供されている。
【0028】
本発明の第1の態様によれば、電気デバイスのための電源装置も提供され、本電源装置は、
a)一次側の一次巻線と二次側の二次巻線とを備える変圧器であって、上記一次巻線は交流電圧源に接続可能であり、上記二次側の回路は上記電気デバイスに直流出力電圧を供給するように設けられる変圧器と、
b)上記変圧器の一次巻線と上記交流電圧源との間のスイッチと、
c)上記交流電圧を全波整流するための整流器と、
d)第1のキャパシタ及び第2のキャパシタを備えた電流制限器とを備え、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧が、上記整流された交流電圧の各ハーフサイクルにおいて、ゼロから極大値に増加しているときのある時点で、かつ上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加するとオンに切り換わり、これにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するように設けられ、
上記電流制限器は、上記第1及び第2のキャパシタが満充電されるときに上記一次巻線に流れる電流を停止することにより、上記一次巻線に流れる電流の量を制限するように設けられており、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧の各ハーフサイクルにおいて、上記整流された交流電圧が極大値からゼロに減少するときにオフに切り換わるように設けられる。
【0029】
本発明の第2の態様によれば、電気デバイスへ電力を供給するための方法が提供され、本方法は、
電気デバイスに電力を供給するための方法であって、
a)一次巻線と二次巻線とを有する変圧器を提供するステップであって、上記一次巻線はスイッチを介して交流電圧源に接続されており、
b)上記交流電圧を整流するための整流器を提供するステップと、
c)上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときに、上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加すると、上記スイッチをオンに切り換えることにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するステップと、
d)上記二次巻線に流れる上記電流の流れを上記電気デバイスのための直流出力電圧に変換するステップと、
e)上記整流された交流電圧が再び増加し始める前に上記スイッチをオフに切り換えるステップとを含む。
【0030】
この方法において、スイッチがオンに切り換えられるまで、変圧器の巻線には電流ドレインは存在しない。スイッチがオンに切り換えられると、交流電源からの電流は一次巻線に移動され、これにより電気デバイスに直流出力電圧を供給するに足る多大な電圧降下がもたらされる。しかしながら、一次巻線に流れる電流は、電力消費を制御できるように電流制限器によって制限される。
【0031】
交流電源は、典型的には、例えば50又は60Hzの110VAC、120VAC、230VAC又は240VACの主電源である。
【0032】
スイッチをオンに切り換えるステップc)は、スイッチタイマがスイッチをオンに切り換えることを含んでもよい。スイッチをオフに切り換えるステップe)は、スイッチタイマがスイッチをオフに切り換えることを含んでもよい。スイッチタイマは、整流された交流電圧がゼロから極大値に増加する間のある時点でスイッチをオンに切り換えるように設けられてもよい。スイッチタイマは、整流された交流電圧が再び増加し始める前にスイッチをオフに切り換えるように設けられてもよい。
【0033】
スイッチタイマは、電圧が整流された交流電圧に電圧が整合するノードと接地との間の抵抗器及びキャパシタを備えるRCタイマであってもよい。その場合、キャパシタは、整流された交流電圧がゼロから極大値に増加するときに充電するように設けられてもよい。スイッチがオンに切り換えられるとき、キャパシタは放電されてもよく、キャパシタ内に蓄積されたエネルギーは一次巻線に移動される。
【0034】
好ましくは、スイッチをオンに切り換えるステップc)は、整流された交流電圧の各ピークの近くでスイッチをオンにすることを含む。スイッチをオンに切り換えるステップが、RCスイッチタイマがスイッチをオンに切り換えることを含む場合、抵抗器及びキャパシタの値は、整流された交流信号の各ピークの近くでスイッチがオンに切り換わるように選択されてもよい。これにより、スイッチがオンに切り換えられるときに、変圧器の一次巻線に最大にされた電圧を提供し、従って変圧器の一次巻線に流れる電流は最大となる。
【0035】
ある実施形態では、電流制限器は少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを備える。ある好ましい実施形態では、電流制限器は2つの電荷蓄積デバイスを備える。上記又は各電荷蓄積デバイスは、キャパシタであってもよい。
【0036】
ある実施形態では、スイッチをオフに切り換えるステップe)は、電流制限器の少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが実質的に満充電されるとスイッチをオフに切り換えることを含んでもよい。本装置がスイッチタイマを含んでいれば、上記スイッチタイマは電流制限器の少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが満充電されるとスイッチをオフに切り換えるように設けられてもよい。この装置では、スイッチがオフに切り換えられると、電流は巻線に流れない。従って、巻線の電流ドレインの量は、電荷蓄積デバイスのサイズを適切に設定することによって制御が可能である。
【0037】
本方法は、さらに、整流された交流電圧がゼロから極大値に増加するときに電荷蓄積デバイスを充電するステップを含み、上記電荷蓄積デバイスは、高電圧におけるデバイスの破壊を防止するための電圧制限器として機能する。この場合、電荷蓄積デバイスに蓄積されたエネルギーは、スイッチがオンに切り換えられると変圧器の一次巻線に移動される。
【0038】
ある実施形態では、スイッチがオフに切り換えられた後にスイッチタイマをリセットするためのスイッチタイマのリセットによって動作可能である。スイッチタイマがRCスイッチタイマであれば、スイッチタイマのリセットは、RCタイマのキャパシタが完全に放電されるとスイッチをリセットするように設けられてもよい。スイッチのリセットにより、スイッチは、整流された交流信号が再びゼロから極大値に増加するときに再びオンに切り換わることができる。
【0039】
ある好ましい実施形態では、上記スイッチは、正のフィードバックを使用することによりオフからオンへの高速の切り換えを行うように設けられる。オフからオンへの高速の切り換えは、電圧がスイッチを介して降下する時間が最短にされ、これにより、スイッチ自体における電力損失が減少することを意味する。
【0040】
この実施形態では、スイッチは第1のトランジスタと第2のトランジスタとを備えてもよく、第1のトランジスタのコレクタは第2のトランジスタのベースに接続される。さらに、第2のトランジスタのコレクタは第1のトランジスタのベースに接続されてもよく、かつこれはフィードバックキャパシタを介するものであってもよい。第2のトランジスタのコレクタにおける電圧が上昇しているときに、第1のトランジスタのベースにおける電圧も上昇し、これがさらに第2のトランジスタのコレクタにおける電圧を上昇させる等々であるので、本装置は、正のフィードバックを提供してもよい。
【0041】
好ましくは、整流器は交流電圧を全波整流するように設けられる。これは、整流された交流電圧がゼロからピークに、元の交流信号のサイクル毎に2回増加することを意味する。
【0042】
ある実施形態では、二次巻線における電圧のピークを電気デバイスのための直流出力電圧に変換するステップd)は、各交流サイクルの間にキャパシタを充電することを含み、キャパシタの電圧は直流出力電圧である。この装置では、キャパシタは、好ましくは接地と出力ノードとの間に位置づけられ、よって、各交流サイクルの間にキャパシタが充電するにつれて出力ノードにおける電圧は定常状態の直流電圧へと増加する。
【0043】
本方法はさらに、直流出力電圧を調整するステップを含んでもよい。これは、負荷が特に安定な直流電圧源を必要とする場合に有益である。レギュレータは、出力電圧とスイッチとの間に位置づけられてもよく、かつ出力電圧が選択されたしきい値を超えればスイッチをオフに切り換えるように設けられてもよい。
【0044】
ある実施形態では、本方法のステップc)、d)及びe)は、電気デバイスのための定常状態の直流出力電圧が取得されるまで繰り返される。
【0045】
本発明の第2の態様によれば、電気デバイスに電力を供給するための方法も提供され、本方法は、
a)一次巻線と二次巻線とを有する変圧器を提供するステップであって、上記一次巻線はスイッチを介して交流電圧源に接続されており、
b)上記交流電圧を全波整流するための整流器を提供するステップと、
c)上記整流された交流電圧が、上記整流された交流電圧の各ハーフサイクルにおいて、ゼロから極大値に増加しているときに、上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加すると、上記スイッチをオンに切り換えることにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するステップであって、上記一次巻線に流れる電流の量は、2つのキャパシタを備えた電流制限器によって制限されており、
d)上記二次巻線に流れる上記電流の流れを上記電気デバイスのための直流出力電圧に変換するステップと、
e)上記整流された交流電圧の各ハーフサイクルにおいて、上記整流された交流電圧が極大値からゼロに減少するときに上記スイッチをオフに切り換えるステップとを含む。
【0046】
本発明の第2の態様によれば、電気デバイスに電力を供給するための方法もまた提供され、本方法は、
a)一次巻線と二次巻線とを有する変圧器を提供するステップであって、上記一次巻線はスイッチを介して交流電圧源に接続されており、
b)上記交流電圧を整流する整流器を提供するステップと、
c)各交流サイクルにおいて以下の複数のステップを少なくとも一回だけ実行するステップであって、上記複数のステップは、
i)上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときに、上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加すると、上記スイッチをオンに切り換えることにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するステップと、
ii)出力電荷蓄積デバイスを充電することにより、上記二次巻線に流れる上記電流の流れを上記電気デバイスのための直流出力電圧に変換するステップであって、上記電荷蓄積デバイスの電圧は上記直流出力電圧であり、
iv)上記整流された交流電圧が再び増加し始める前に上記スイッチをオフに切り換えるステップであり、
上記出力電荷蓄積デバイスは、所定の数の交流サイクルの後、上記出力電荷蓄積デバイスが実質的に満充電されることにより上記電気デバイスのための定常状態の直流出力電圧を提供するように、安定して充電する。
【0047】
本発明の第3の態様によれば、
通常モードの間に電力を供給するための主電源と、
上記主電源をオン及びオフに切り換えるための制御器と、
スタンドバイモードの間に上記主電源をオンに切り換えるために上記制御器に電力を供給するための予備電源とを備え、
上記予備電源は、
a)一次側の一次巻線と二次側の二次巻線とを備える変圧器であって、上記一次巻線は交流電圧源に接続可能であり、上記二次側の回路は上記電気デバイスに直流出力電圧を供給するように設けられる変圧器と、
b)上記変圧器の一次巻線と上記交流電圧源との間のスイッチと、
c)上記交流電圧を整流するための整流器とを備え、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときのある時点で、かつ上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加するとオンに切り換わり、これにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するように設けられ、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧が再び増加し始める前にオフに切り換わるように設けられる
【0048】
主電源は通常モードの間に電力を(デバイス自体に及び制御器にも)供給するが、一方、予備電源は、デバイスがスタンドバイモードから通常モードに移るときに主電源をオンに切り換えるために必要な電力を制御器が有するように、スタンドバイモードの間に制御器に電力を供給する。
【0049】
予備電源において、スイッチがオンに切り換えられるまで、トランス巻線に電流ドレインは存在しない。スイッチがオンに切り換えられると、交流電源からの電流は一次巻線に移動され、これにより電気デバイスに直流出力電圧を供給するに足る多大な電圧降下がもたらされる。電流制限器は、スタンドバイモードのときの電力消費が制御されうるように、一次巻線に流れる電流を制御する。
【0050】
第1の実施形態では、上記制御器は、主電源をオン及びオフに切り換える命令を受信するための受信機であってもよい。これは、電気デバイスが、通常モードの間はそれ自体の動作のために電力を必要としかつスタンドバイモードでは制御器がスタンドバイモードから通常モードにスイッチバックできるようにするための電力を必要とするデバイスであるような場合に該当する。このタイプのデバイスの例としては、洗濯機、ラジオ受信機又は電子レンジがある。上記受信機は、主電源をオン及びオフに切り換える遠隔命令を受信するための遠隔制御受信機であってもよい。これは、例えば、テレビジョン受像機、DVDプレーヤ又は通常及びスタンドバイモードを有する他のタイプの電気デバイスである、通常モード及びスタンドバイモードで動作可能でありかつ遠隔制御の使用により上記両モード間で切り換え可能な電気器具の場合に該当する。
【0051】
第2の実施形態では、上記電気デバイスは電気器具のための外部電源であり、上記デバイスは、電気器具が上記デバイスに電気的に接続されているときに通常モードで動作し、かつ上記デバイスは、電気器具が上記デバイスに電気的に接続されていないときにスタンドバイモードで動作する。このような外部電源の幾つかの例としては、電話機(携帯電話機又はポータブル地上有線電話機)の充電器及び交流アダプタがある。また、他のタイプの外部電源も考えられる。
【0052】
上記電気デバイスが外部電源であれば、制御器は電気器具が上記デバイスに電気的にいつ接続されたかを検出するためのセンサであってもよい。従って、センサは、電気器具が上記デバイスに電気的に接続されたことを検出すると(例えば、電話機が充電のためのクレードルに置かれると)、予備電源により供給される電力を使用して主電源をオンに切り換えるように設けられてもよい。センサは、電気器具がもはや電気的に接続されていない(例えば、電話機が充電のためのクレードルから外された)ことを検出すると、主電源をオフに切り換えるように設けられてもよく、その時点で電力は予備電源により供給される。
【0053】
本発明の第3の態様によれば、電気器具のための外部電源もまた提供され、上記外部電源は交流電圧源に接続可能であり、かつ上記電気器具が上記外部電源に電気的に接続されているときは通常モードにおいて動作可能でありかつ上記電気器具が上記外部電源に電気的に接続されていないときはスタンドバイモードにおいて動作可能であり、上記外部電源は、
通常モードの間に電力を供給するための主電源と、
上記電気器具が上記外部電源に電気的にいつ接続されたかを検出しかつ上記主電源をオン及びオフに切り換えるためのセンサと、
スタンドバイモードの間に、上記主電源をオンに切り換えるための電力を上記センサに供給するための予備電源とを備え、
上記予備電源は、
a)一次側の一次巻線と二次側の二次巻線を備えた変圧器であって、上記一次巻線は交流電圧源に接続可能でありかつ上記二次側の回路は上記電気デバイスに直流出力電圧を供給するように設けられており、
b)上記変圧器の上記一次巻線と上記交流電圧源との間のスイッチと、
c)上記交流電圧を整流するための整流器と、
d)電流制限器とを備え、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときのある時点で、かつ上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加するとオンに切り換わり、これにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するように設けられ、
上記電流制限器は、上記一次巻線に流れる電流の量を制限するように設けられており、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧が再び増加し始める前にオフに切り換わるように設けられる。
【0054】
電気デバイスについて幾つか例を示したが、熟練者たる読者には、本発明は先に挙げたものに限らず多くの異なるデバイスによるアプリケーションを見出すことが理解されるであろう。さらには、本発明の1つの態様に関して記述している特徴が本発明の他の態様にも当てはまり得ることは理解されるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
本発明の上述の態様及び付随する効果の多くは、添付の図面に関連して行う以下の詳細な説明を参照し、これらをより良く理解するようになるにつれて、より容易に認識されることとなるであろう。
【0056】
図1は、本発明の第1の実施形態のブロック図であり、図2は、上記実施形態の回路実施例を示す。
【0057】
図1及び2を参照すると、入力は交流電源V1である。交流電源は、50又は60Hzにおける例えば110VAC、120VAC、230VAC又は240VACである任意の周波数における任意の交流電圧であってもよい。交流電源V1は、2つのキャパシタC1及びC2を備える電流制限器101に接続される。後述するように、電力消費は、これらのキャパシタの値を変更することによって制御されてもよい。交流信号は、次に、4つのダイオードD1、D2、D3及びD4により構成される整流器103によって整流される。整流器は、交流サイクル当たり2つの極大値を有する直流出力電圧を供給する全波整流器であることに留意されたい。キャパシタC3は、過度に高い電圧によるデバイスの破壊を防止するためにノード200の電圧を制限する電圧制限器105として機能する。回路の要素が高い破壊電圧、即ち交流電源ピーク電圧の最大値を上回る破壊電圧を有していれば、キャパシタC3は省かれてもよい。キャパシタC3については、後に詳述する。
【0058】
装置111はスイッチであり、当該スイッチがオンのときは一次巻線に電流ドレインが存在し、当該スイッチがオフのときは一次巻線に電流ドレインが存在しないように、交流電源と変圧器X1の一次巻線との間に位置づけられるスイッチである。抵抗器R1及びキャパシタC4は、後述するように、合わせてスイッチ111の切り換えのタイミングを制御するRCタイマ107を構成する。また、損失を防止する最小の電流ドレインが存在するように、抵抗器R1は大きく、かつキャパシタC4は小さいように選択される。ダイオードD5は、スイッチ111がオンに切り換えられた後、ノード200における交流信号が低い場合にキャパシタC4に放電路を提供することにより、RCタイマ107のためのタイマリセット109として機能する。
【0059】
スイッチ111は、2つのトランジスタQ1及びQ2、2つの抵抗器R2及びR3並びにキャパシタC5によって構成され、かつ変圧器X1に接続される。スイッチ111は、正のフィードバックの使用により超高速でオンに切り換えられるように設けられる。高速のオン切り換えの効果については、後述する。
【0060】
変圧器X1の二次側においては、ダイオードD6が整流器として機能し、かつキャパシタC7はフィルタキャパシタである。キャパシタC7は充電されることにより、出力ノード206において負荷Rloadに定常状態の直流電圧を供給する。
【0061】
図2の装置は、次のように動作する。動作の最初のハーフサイクルの間、ノード200における整流された交流信号の電圧が上昇するにつれて、キャパシタC1及びC2は(前のハーフサイクルから)放電し、キャパシタC4(及び、存在すればキャパシタC3)が充電される。
【0062】
ノード202における電圧(トランジスタQ1のベース電圧でもある)がキャパシタC4の充電により十分に高くなると(これは、交流信号のピークの近くで発生する)、トランジスタQ1のベース−エミッタは順方向にバイアスされ、これによりトランジスタQ1はオンに切り換えられる。Q1がオンに切り換えられると、ノード203における電圧(トランジスタQ2のベース電圧でもある)は低下する。これによりトランジスタQ2はオンに切り換えられ、結果的に、電流は変圧器X1の一次側を介して、かつ抵抗器R3を介して高速で流れ出される。これは、ノード204における電圧の上昇を意味する。この電圧上昇は、フィードバックキャパシタC5を介してもとのノード202へ逆方向で伝達される。これは、ノード202における電圧及び必然的にトランジスタQ1のベース−エミッタ電圧の方がより高速で上昇し、これによりトランジスタQ1のコレクタ−エミッタを介して多くの電流が伝達され、これによりトランジスタQ2のエミッタ−コレクタを介してさらに多くの電流ドレインが生じ、ノード204においてさらに電圧が上昇することを意味する。即ち、本装置は、超高速のオン切り換えをもたらす正のフィードバックシステムを提供する。
【0063】
高速の切り換えが効果的である理由は、スイッチ自体における損失の低減にある。スイッチ111がオンに切り換えられるとき、電流がスイッチに流れる。スイッチに存在する電圧(この場合は、特にトランジスタQ2のエミッタ−コレクタ電圧)は、結果的に損失になる。理想的には、スイッチは、スイッチの電圧が接地まで降下する時間が瞬時であるように、瞬間的にオン切り換えられるべきである。(スイッチの電圧は、ノード207において示されている。)しかしながら、実際には、瞬間的な切り換えは不可能である。しかし、スイッチの電圧の降下の時間は高速の切り換えによって短縮され、これにより損失が低減される。従って、正のフィードバックを使用することにより切り換えの速度を高めることは、スイッチ自体における損失を低減させる。
【0064】
上述したように、整流された信号の電圧がそのピークになれば、又はピークに近くなればスイッチ111はオンに切り換えられる。これにより回路は閉じられ、変圧器X1の一次側への、かつC1及びC2への電流の高速の突入が発生され、C1及びC2が充電される。これが発生するとき、ノード200はスイッチ111がオンに切り換えられると変圧器X1の一次巻線を介して接地に短絡され、かつ交流入力線におけるキャパシタC1及びC2がインピーダンスとして機能しかつノード200が接地まで降下するとC1及びC2を介して電圧降下が存在するので、ノード200における電圧は高速で接地まで降下する。C1及びC2が満充電されると、電流は流れを停止する(即ち、スイッチは有効にオフに切り換えられる)。これにより、各サイクルにおいて変圧器の一次巻線への電流の量が制限される。
【0065】
スイッチ111がオンである間、キャパシタC3及びC4は変圧器X1の一次巻線を介して放電している。キャパシタC4が放電を終えると、RCタイマ107がリセットされ、かつRCタイマ107及びスイッチ111は次のハーフサイクルにおけるノード200での整流された交流信号からの次のピークを待ち受ける。次のハーフサイクルの間、整流された交流信号がゼロから極大値に増加するにつれて、この時点では充電されているキャパシタC1及びC2は放電することができる。既に述べたように、抵抗器R1は、抵抗器R1を介して無視できる電流しか流れ出されないように大きいものが選択される。従って、全ての電流は変圧器X1の一次側を介して流れ出され、損失は最低限に保たれる。C1及びC2に印加される電圧の方向は、元の交流信号の方向に起因して各ハーフサイクルで交互になることは認識されるであろう。
【0066】
変圧器X1の一次側における電流ドレインの短いパルスは、結果的に変圧器X1の二次側の電流の流れの対応するパルスになる。変圧器X1の二次側では、ダイオードD6が整流器として機能し、かつキャパシタC7はフィルタキャパシタである。動作の各ハーフサイクルでは、変圧器X1の二次側に電流のパルスが存在し、キャパシタC7は、出力ノード206で定常状態の直流電圧に達するまで、これらの電流のパルスにより少しずつ充電される。この直流電圧は、負荷Rloadに供給される。(Rloadは、例えばスタンドバイモードの間に電力を必要とする遠隔制御受信機であってもよい。)出力ノード206は、必要な出力電圧を供給する。キャパシタC7の値は、要求される電圧におけるRloadの適正機能を保証するように適切に選択される。
【0067】
既に述べたように、キャパシタC1及びC2が満充電されると、電流が巻線を通って流れることが停止される。従って、キャパシタC1及びC2の値は、巻線の電流の流れを所望されるレベルに設定するように選択可能である。これにより、消費される電力量が制御される。
【0068】
この実施形態においては、スイッチが各サイクルをリセットできるようにするので、ダイオードD5が存在することは重要であることに留意されたい。ダイオードD5が存在しなければ、スイッチは初回のオン切り換え後にオフ切り換えを行わず、装置は従来技術の装置のように単にトランス巻線の一定の電流ドレインで動作し、巻線の電圧は直流出力電圧を供給するには不十分なものであるので、スイッチ111は決してリセットせず、よって装置は動作しない。(しかしながら、図12に示す本発明の第3の実施形態に係るリセットの代わりの方法に注目されたい。)
【0069】
また、スイッチ111は、可能な限り交流信号のピークの近くでオンに切り換わることが好ましい点にも留意されたい。これにより、スイッチ111がオンに切り換えられると、巻線に最大の電圧のピークが生成される。もし、スイッチ111が交流信号の開始時(即ち、交流電圧がゼロであるとき)にオンに切り換われば、装置は単にスイッチがそこに存在しないかのようなものでしかなくなって動作せず、よって交流電源からの急激な電流の突入は生じず、かつキャパシタC4(及び、もしあればC3)には充電する時間がない。即ち、スイッチは整流された交流信号が少しでも増加した時点でオンに切り換わらなければならず、スイッチは、電圧のピークを最大にするので、好ましくは、整流された交流信号のピークの近くでオンに切り換わる。
【0070】
既に述べたように、C3は電圧制限器として機能し、状況によっては省かれてもよい。しかしながら、C3が存在する場合、C3は、整流された交流信号がそのピークに増加するに伴ってC4と共に充電される。従って、スイッチ111がオンに切り換えられると、C4及びC3の両方に蓄積されているエネルギーはトランス巻線へと移動される。実際には、電圧のピークに対するC4(及び、もしあればC3)からの寄与は最小であり、電圧のピークは主に交流電源からの電流の直接的な突入によってもたらされる。
【0071】
キャパシタC6及び抵抗器R4は、合わせてスナバ回路117を構成する。スナバ回路117の機能は、切り換えによって発生される過渡に起因するリンギングを低減することにある。実際のアプリケーションでは、これは、このリンギングに起因する回路からの電磁放射を低減するために追加されるが、装置はスナバ回路117なしでも動作する。
【0072】
図3、4a、4b、5a、5b、6a、6b及び7は、図2の回路の複数のポイントにおける様々な特性を時間に対して示したものである。これらの図は、出力ノードにおける電圧が定常状態の電圧に上昇するに伴って各交流サイクル間に発生するプロセスを示す。
【0073】
図3は、時間に対するノード200における電圧のグラフである。ノード200における電圧は、各サイクルにおいてピークまで上昇する。次に、スイッチ111が切り換わると、結果的に変圧器X1の一次側に電流ドレインが生じる、ノード200における電圧は接地まで降下する。この例では、各サイクルは10msを要し、即ち、交流電源が50Hzで動作するように、整流された交流信号の周波数は100Hzであることが分かる。
【0074】
図4aは、時間に対する変圧器X1の一次巻線の電圧のグラフである。各サイクル内に、スイッチ111が切り換えられるときの変圧器X1の一次側の電流ドレインに対応して電圧のピークが存在する。図4aに示す電圧のピークは、極めてスパイク状(spyky)である。当然ながら、これらの電圧のピークは瞬間的ではなく、図4aの1サイクルを拡大した図を図4bに示す。この装置の場合、電圧のピークは直流出力電圧を負荷に供給できるように大きい(変圧器の一次巻線と交流電源との間にスイッチがない従来技術の装置の場合より遙かに大きい)ことに留意されたい。
【0075】
図5aは、時間に対する変圧器X1の一次巻線の電流のグラフである。各サイクル内には、スイッチ111の切り換えに伴うスパイク状の電流ドレインがある。電流ドレインのピークは、図4aの電圧のピークに対応する。当然ながら、電流ドレインは瞬間的ではなく、図5aの1サイクルを拡大した図を図5bに示す。一次巻線の電流ドレインの時間の長さは、供給電圧、トランス巻線のインダクタンス、及びC3(電圧制限器)が存在すれば容量C3によって決定される。
【0076】
変圧器X1の一次巻線の各電流ドレインに関しては、変圧器X1の二次巻線に対応する電流のパルスがある。図6aは、時間に対する変圧器X1の二次巻線の電圧のグラフである。各サイクル内に、電流のパルスに対応する電圧のピークが存在する。図6bは、図6aの1サイクルの拡大図である。
【0077】
上述したように、変圧器X1の二次巻線の各電流のパルスによってキャパシタC7は少しずつ充電され、即ち、ノード206における電圧は少しだけ増加する。即ち、いくつかのサイクルにわたって、キャパシタC7は少しずつ充電され、かつノード206における電圧は少しずつ増加する。図7は、時間に対するノード206における電圧を示すグラフである。出力ノード206における電圧はスイッチングのサイクル毎に上昇し、最終的に定常状態の直流電圧に達することが分かる。
【0078】
図8は、本発明の第2の実施形態のブロック図であり、図9は、この実施形態の第1の回路実施例を示す。
【0079】
図8に示す第2の実施形態は、レギュレータ119が追加されている点を除けば第1の実施形態と同じであることが分かる。即ち、要約すれば、本装置は、交流電源V1、電流制限器101(2つのキャパシタC1及びC2により構成される)、整流器103(4つのダイオードD1、D2、D3及びD4によりもたされる)、電圧制限器105(キャパシタC3)、スイッチ111(トランジスタQ1及びQ2、抵抗器R2及びR3及びキャパシタC5により構成される)のためのRCタイマ107(抵抗器R1及びキャパシタC4により構成される)及びタイマリセット109(ダイオードD5)、変圧器X1、整流器113(ダイオードD6)、フィルタ115(キャパシタC7)及びオプションのスナバ回路117(キャパシタC6及び抵抗器R3により構成される)を含む。
【0080】
本装置は、追加的にレギュレータ119を含む。レギュレータ119の機能は、負荷への出力(ノード206)における直流電圧の変動を減少させることにある。電源電圧の良好な変動率を必要とする負荷にとって、これは重要である。
【0081】
図9は、図8の実施形態の第1の回路実施例を示す。この実装において、レギュレータ119は、トランジスタQ3、抵抗器R6及びツェナーダイオードD7から成る。ノード206における出力電圧(図7参照)が高くなり過ぎると、ツェナーダイオードD7は破壊する。これはトランジスタQ3のベース−エミッタ間を順方向にバイアスし、トランジスタQ3をオンに切り換えさせる。Q3をオンに切り換えることにより、電流は抵抗器R1及びトランジスタQ3を介して接地に流れ出されるので、C4の充電は停止される。実際には、RCタイマ107及び必然的にスイッチ111がオフに切り換えられる。このようにして、変圧器X1の一次側から二次側へのエネルギーの移動は一次的に停止し、結果的にキャパシタC7の充電は、ノード206における出力電圧がツェナーダイオードD7の降伏電圧より下へ降下するまで停止される。
【0082】
図10は、図8の実施形態の第2の回路実施例を示す。この実装では、レギュレータ119内でトランジスタQ3はオプトカプラIC1に置換され、かつ抵抗器R6及びツェナーダイオードD7は適宜接続される。オプトカプラの使用は、回路の一次側と二次側との間に物理的接続が存在しなくなるので、効果的である。オプトカプラは、回路内で、図9のトランジスタQ3と全く同様のスイッチとして機能する。出力ノード206における電圧がツェナーダイオードD7を破壊するほど十分に高いとき、オプトカプラ内の発光ダイオード(LED)は発光し、かつ内部のフォトトランジスタがオンにされる。これにより、電流は抵抗器R1及びオプトカプラのフォトトランジスタを介して接地に流れ出される。
【0083】
既に述べたように、オプトカプラは、切り換え機能が光の使用によって達成されるので、回路の一次側及び二次側が物理的に接続されないことを意味する。よって回路の二つの側は分離されるため、オプトカプラの使用は、安全の必要条件の面で(回路の一次側にはかなり高い電圧が存在するので)さらに許容されるものであり得る。
【0084】
図11は、本発明の第3の実施形態のブロック図であり、図12は、この実施形態の回路実施例を示す。
【0085】
図11に示す第3の実施形態は、タイマリセット109がもはや不要であり、かつスイッチ111がスイッチコントローラ610及びMOSFETスイッチ611で置換されることを除けば第1の実施形態と同じであることが分かる。即ち、要約すれば、本装置は、交流電源V1、電流制限器101(2つのキャパシタC1及びC2により構成される)、整流器103(4つのダイオードD1、D2、D3及びD4により構成される)、電圧制限器105(キャパシタC3)、RCタイマ107(抵抗器R1及びキャパシタC4により構成される)、変圧器X1、整流器113(ダイオードD6)、フィルタ115(キャパシタC7)及びオプションのスナバ回路117(キャパシタC6及び抵抗器R4により構成される)を含む。本装置は、追加的に交流電源と一次巻線との間のMOSFETスイッチングデバイス611及びスイッチコントローラ610を含む。本装置の図1及び2の装置と同じセクションについては、再度詳述しない。
【0086】
装置611はスイッチングデバイスであって、スイッチがオンであるときは一次巻線に電流ドレインが存在し、かつスイッチがオフであるときは一次巻線に電流ドレインが存在し、ないように整流された交流電圧と変圧器X1の一次巻線との間に位置づけられるMOSFETスイッチングデバイスである。抵抗器R1及びキャパシタC4は合わせて、後述するようにスイッチコントローラ610によりスイッチ611の切り換えのタイミングを制御するRCタイマ607を構成する。さらに、損失を防止すべく最小限の電流ドレインが存在するように、抵抗器R1は大きく、キャパシタC4は小さく選択される。スイッチコントローラ610(2つのトランジスタQ11及びQ12、ツェナーダイオードD11ならびに2つの抵抗器R12及びR13により構成される)は、変圧器X1に接続される。トランジスタQ11及びQ12は、サイリスタデバイスを構成する。
【0087】
図11及び12の装置は、次のように動作する。動作の最初のハーフサイクルの間、ノード200における整流された交流信号の電圧が上昇するにつれて、キャパシタC1及びC2は(前のハーフサイクルから)放電し、かつキャパシタC4(及びオプションのキャパシタC3)が充電される。ノード702における電圧がキャパシタC4の充電により十分に高くなると(これは、交流信号のピークの近くで発生する)、サイリスタデバイスは、C4の電圧がツェナーダイオードD11の降伏電圧を超える高さに上昇してQ12のベース−エミッタを順方向にバイアスするときにオンに切り換わる。サイリスタデバイスのオン切り換えに続いて、スイッチ611がオンに切り換えられる。スイッチ611は、C4がサイリスタデバイスを介して放電するまでオンのままであり、かつノード703における電圧はスイッチ611のゲートしきい値電圧より下へ降下する。このサイクルは、引き続き連続して繰り返される。
【0088】
上述したように、整流された信号の電圧がそのピークになれば、又はピークに近くなればスイッチ611はオンに切り換えられる。これにより回路は閉じられ、変圧器X1の一次側への、かつC1及びC2への電流の高速の突入が発生され、C1及びC2が充電される。これが発生するとき、ノード200はスイッチ111がオンに切り換えられると変圧器X1の一次巻線を介して接地に短絡され、かつ交流入力線におけるキャパシタC1及びC2がインピーダンスとして機能しかつノード200が接地まで降下するとC1及びC2を介して電圧降下が存在するので、ノード200における電圧は高速で接地まで降下する。C1及びC2が満充電されると、電流は流れを停止する(即ち、スイッチは有効にオフに切り換えられる)。これにより、各サイクルにおいて変圧器の一次巻線への電流の量が制限される。
【0089】
スイッチ611がオンである間、キャパシタC3及びC4は変圧器X1の一次巻線を介して放電している。キャパシタC4が放電を終えると、RCタイマ607がリセットされ、かつRCタイマ607及びスイッチ611は次のハーフサイクルにおけるノード200での整流された交流信号からの次のピークを待ち受ける。次のハーフサイクルの間、整流された交流信号がゼロから極大値に増加するにつれて、この時点では充電されているキャパシタC1及びC2は放電することができる。既に述べたように、抵抗器R1は、抵抗器R1を介して無視できる電流しか流れ出されないように大きいものが選択される。従って、全ての電流は変圧器X1の一次側を介して流れ出され、損失は最低限に保たれる。C1及びC2に印加される電圧の方向は、元の交流信号の方向に起因して各ハーフサイクルで交互になることは認識されるであろう。
【0090】
他の実施形態の場合と同様に、変圧器X1の一次側における電流ドレインの短いパルスは、結果的に変圧器X1の二次側の電流の流れの対応するパルスになり、よってキャパシタC7は、出力ノード206で定常状態の直流電圧に達するまで少しずつ充電される。この直流電圧は、負荷Rloadに供給される。
【0091】
既に述べたように、キャパシタC1及びC2が満充電されると、電流が巻線を通って流れることが停止される。従って、他の実施形態の場合のように、キャパシタC1及びC2の値は、巻線の電流の流れを所望されるレベルに設定するように選択可能である。これにより、消費される電力量が制御される。
【0092】
この場合もやはり、スイッチ611は、可能な限り交流信号のピークの近くでオンに切り換わることが好ましい点にも留意されたい。これにより、スイッチ611がオンに切り換えられると、巻線に最大の電圧のピークが生成される。もし、スイッチ611が交流信号の開始時(即ち、交流電圧がゼロであるとき)にオンに切り換われば、装置は単にスイッチがそこに存在しないかのようなものでしかなくなって動作せず、よって交流電源からの急激な電流の突入は生じず、かつキャパシタC4(及び、もしあればC3)には充電する時間がない。即ち、スイッチ611は整流された交流信号が少しでも増加した時点でオンに切り換わらなければならず、スイッ611は、電圧のピークを最大にするので、好ましくは、整流された交流信号のピークの近くでオンに切り換わる。
【0093】
既に述べたように、C3は電圧制限器として機能し、状況によっては省かれてもよい。しかしながら、C3が存在する場合、C3は、整流された交流信号がそのピークに増加するに伴ってC4と共に充電される。従って、スイッチ611がオンに切り換えられると、C4及びC3の両方に蓄積されているエネルギーはトランス巻線へと移動される。
【0094】
図13は、本発明の第4の実施形態のブロック図であり、図14は、この実施形態の回路実施例を示す。
【0095】
図13に示す第4の実施形態は、電流制限器101及び電圧制限器105が回路から省かれていることを除けば第3の実施形態と同じであることが分かる。要約すれば、本装置は、交流電源V1、整流器103(4つのダイオードD1、D2、D3及びD4により構成される)、RCタイマ107(抵抗器R1及びキャパシタC4により構成される)、変圧器X1、整流器113(ダイオードD6)、フィルタ115(キャパシタC7)及びオプションのスナバ回路117(キャパシタ及び抵抗器により構成される)を含む。この実施形態では、整流器103はただ1つのダイオードしか備えない半波整流器であってもよい。第3の実施形態のMOSFETスイッチングデバイス611及びスイッチコントローラ610は、第4の実施形態にも存在する。本回路における先の実施形態に記述されているセクションについては、再度詳述しない。
【0096】
図15、16、17、18、19及び20は、図14の回路の複数のポイントにおける回路の様々な特性を時間に関して示したものである。これらの図は、出力ノードにおける電圧が定常状態の電圧へ上昇するに伴って各交流サイクル間に発生する回路の特性を示す。図15、16、17、18、19及び20を参照して、第4の実施形態の動作を説明する。
【0097】
図15は、時間に対するノード200における電圧のグラフである。ノード200における電圧がゼロから上昇し始めると、RCタイマ107のキャパシタC4が抵抗器R1を介して充電される。C4の電圧(図16に示すノード201における電圧)がツェナーダイオードD5の降伏電圧に達すると、Q1及びQ2により構成されるサイリスタデバイスがオンに切り換えられ、続いてスイッチQ3もオンに切り換えられる。利用可能な出力電力を最大化するために、スイッチQ3は、好ましくはノード200における電圧がそのピーク値を達成するとオンに切り換えられてもよい。この同期は、RCタイマ107の時定数を変更することによって達成されてもよい。
【0098】
サイリスタデバイスは、オンに切り換えられると、C4及びR1から電流を連続して流れ出す。R1は高抵抗であり、C4は低容量であるので、C4の(ノード201における)電圧は、図16に示すように高速で降下する。
【0099】
次のサイクルの間のC4の充電を可能にするために、サイリスタデバイスは、次のサイクルの開始前にオフに切り換えられなければならない。サイリスタデバイスのこのオフへの切り換えは、ノード200における電圧が、サイリスタデバイスが動作を続けるために十分な電流をR1を介して供給できない値まで降下すると発生する。
【0100】
図17を参照すると、サイリスタデバイスがオンに切り換えられるとき、MOSFETQ3(ノード202)のゲート電圧が鋭く上昇し、結果的にQ3をオンにすることが分かる。Q3が「オン」のとき、電流は変圧器X1の一次巻線を流れる。これにより、エネルギーは、E=(1/2)LIの形式で蓄積される。但し、Eは蓄積されるエネルギーであり、Lは変圧器の一次巻線のインダクタンスであり、Iは一次巻線に流れる電流である。
【0101】
一次巻線に流れる電流が増加するにつれて、R4(ノード203)の電圧は概略ランプ形状のパターンを示す(図18)。動作中は、Q3のゲート電圧はそのソース電圧が増加する間に減少する。Q3は、ゲート電圧とソース電圧との差がそのしきい値電圧より下に降下するとオフに切り換わる。Q3がオフに切り換わると、一次巻線に蓄積されているエネルギーは二次巻線に移動される。図19及び20はそれぞれ、変圧器X1の一次及び二次巻線の電圧を示す。
【0102】
Q3が交流ハーフサイクルの間にオン及びオフ切り換えを1回しか行わない点は留意されるべきである。図15は、切り換えが、周波数約120Hzで発生することを示す。従って、本発明のこの実施形態及び上述の実施形態のスイッチング損失は、より高い周波数で動作する従来のスイッチモード電源よりも低い。
【0103】
図21は、第1のアプリケーションにおいて使用される本発明の電源を示し、図22は、(図8に示すような)本発明の第2の実施形態を含むそのアプリケーションを示す。図21及び22は、例えばテレビジョン受像機や洗濯機である電気器具において予備電源(スタンドバイ電源)として使用される電源を示す。上記器具は、通常使用の間にその動作用に電力を供給するための交流電源に直接に接続される。(図23は、例えば携帯電話機の充電器である外部電源に使用される電源を示す。これについては後述する。)
【0104】
図21は、交流電源(例えば、主電源)に接続される器具1101を示す。上記器具は、動作モードにあるときは主電源から動作するが、動作モードからスタンドバイモードへ、及びその逆に切り換えられることが可能である。器具1101は、典型的には、主電源1103と、何らかの形式の制御装置とを有する。この場合、制御機能は、外部の制御手段(例えば遠隔制御装置)及び内部の制御手段(例えば、アイドルのいくつかの周期後の自動的な待機)を有してもよい器具内の遠隔制御受信機1105を使用して実装される。また上記器具は、スタンドバイモードの間に電力を供給するための本発明による電源装置1107及び制御回路1109も含む。
【0105】
次に、本装置の動作を概括的に説明する。器具1101の通常動作の間、主電源1103は上記器具の遠隔制御受信機1105及び他の複数の機能に電力を供給する。遠隔制御受信機1105に、システムをスタンドバイモードにする命令が与えられると、主電源1103は遮断されることができ、かつ遠隔制御受信機1105は制御回路1109を介して主電源1103をオフに切り換えるように制御することができる。すると、スタンドバイモードの間の遠隔制御受信機1105への電力供給は、遠隔制御受信機1105がシステムをオンに切り換える命令を待ち受ける事ができるように、予備電源1107に引き継がれる。遠隔制御受信機1105を介してシステムをオンに切り換える命令が送られると、予備電源1107もまた制御回路1109を介して主電源1103をオンに切り換える電力を供給することができ、かつ遠隔制御受信機1105は、主電源1103がオンに切り換えるように制御回路1109を介して制御することができる。
【0106】
図22は、図8の電源装置(すなわち、前述の第2の実施形態)を予備電源1107として使用する図21の装置を示し、次に、その動作をより明確に説明する。
【0107】
図22は、主電源1103及び予備電源1107に接続される交流電源を示す。主電源1103は、通常動作では器具の複数の主要な機能への出力に接続される。また、主電源は、予備電源1107の出力ノード206に接続される制御回路1109、及び予備電源1107の負荷として機能する遠隔制御受信機1105にも接続される。主電源1103は、遠隔制御デバイス内のマイクロコントローラにも電力を供給する。
【0108】
主電源1103がオンのとき(即ち、通常動作の間)、出力ノード206において遠隔制御受信機1105に供給される電圧は、レギュレータ119内のツェナーダイオードD7の降伏電圧より僅かに高く設定される。これにより、レギュレータ119内のトランジスタQ3のベース−エミッタは順方向にバイアスされ、トランジスタQ3はオンに切り換えられる。これは、キャパシタC4の充電が防止されるように、電流が抵抗器R1及びトランジスタQ3を介して接地へ流れ出されることを意味する。従って、RCタイマ107及び必然的にスイッチ111の両方がオフに切り換えられる。これは、主電源1103がオンに切り換えられる通常動作の間、予備電源1107はオフに切り換えられることを意味する。
【0109】
主電源1103がオフのとき(即ち、スタンドバイ動作の間)、出力ノード206における電圧はツェナーダイオードD7の降伏電圧より下に降下する。トランジスタQ3がオフに切り換えられるとき、RCタイマ107はオンに切り換えられ、かつスイッチ111は活性化する。即ち、スイッチ111は、二次巻線のパルス化された電流ドレインを供給しかつこれによりキャパシタC7を徐々に充電するように、RCタイマ107及びタイマリセット109に従って各交流サイクルの間に2回オン及びオフに切り換わりだす。これは、主電源1103がオフに切り換えられると、スタンドバイモードの間に遠隔制御受信機1105に電力(出力ノード206における直流電圧)を供給するように、予備電源1107がオンに切り換えられることを意味する。既に述べたように、システムをオンに切り換える遠隔制御受信機1105からの命令が存在しているときは、予備電源1107は、制御回路1109を介して主電源1103をオン切り換えるための電力も供給してもよい。
【0110】
図23は、第2のアプリケーションにおいて使用される本発明の電源を示す。図23は、外部電源内で使用される電源を示す。外部電源は、交流電源から入力を取り込み、電力を、より一般的には直流電圧の形式でその負荷に供給するデバイスである。このような外部電源の一例は、電話機の充電器である。
【0111】
図23は、交流電源(例えば、主電源)に接続される、外部電力を供給するための外部電源1301を示す。通常動作の間、主電源1303は出力において負荷に電力を供給する。電流センサであってもよいセンサ1305は、負荷が存在するとき(例えば、充電されるべきデバイスが充電器に接続されているとき)は主電源1303をオンに切り換え、負荷が外されているときはオフに切り換える。スタンドバイモードの間は、電力は予備電源1307によって供給される。
【0112】
本装置は、図21及び22を参照して説明した装置と同様の動作を行う。主電源1303がオンに切り換えられると(即ち、通常モードの間)、予備電源1307はオフに切り換えられる。負荷が外されているときは(即ち、スタンドバイモードの間)、センサは主電源1303をオフに切り換え、かつ予備電源1307がオンに切り換えられる。予備電源1307は、負荷が外部電源1301に接続されているときに、主電源1303をスタンドバイモードから通常モードへオンするための電力を、センサ1305に供給する。
【0113】
これまでの説明から、本発明は電力消費が少ない電源装置を提供することが分かる。本電源装置は、低い電力消費が重要な多くのアプリケーションにおいて使用されてもよい。幾つかの例は、その電気デバイスが接続されているか否かを検出しかつ主電源をオンに切り換える電力を供給するための外部の電源内の(例えば、携帯電話機の充電器内の)、電気デバイス内(例えば、テレビジョン受像機、洗濯機、電子レンジ、ステレオ音響装置及び通常モード及びスタンドバイモードで動作可能な他のデバイスにおける)の予備電源としての電源装置、又は、低電力の外部電源(例えば、薄暗い照明をつけるために壁の交流コンセントに差し込まれる常夜灯)を含む少ない電力消費を必要とする電気デバイスのための独立型の電源としての電源装置である。また、他のアプリケーション例も予見することができる。
【0114】
説明した電源装置の電力消費量は極めて少ないものにすることができ、既に述べたように、デバイスを待機状態から「起動」させるために要する典型的な電力である数ミリワットという少なさであり得ることは確実である。これは、一般に数百ミリワットから数ワットの範囲である、従来の方法を使用する場合の典型的な電力消費とは対照的である。実際の供給電力は、回路の要素の値を変更することにより、必要条件に従って設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の第1の実施形態のブロック図である。
【図2】図1に示す本発明の第1の実施形態の回路実施例を示す。
【図3】時間に対する図2のノード200における電圧のグラフである。
【図4a】時間に対する図2の変圧器X1の一次巻線の電圧のグラフである。
【図4b】図4aの1サイクルの拡大図である。
【図5a】時間に対する図2の変圧器X1の一次巻線の電流ドレインのグラフである。
【図5b】図5aの1サイクルの拡大図である。
【図6a】時間に対する図2の変圧器X1の二次巻線の電圧のグラフである。
【図6b】図6aの1サイクルの拡大図である。
【図7】時間に対する図2の出力ノード206における電圧のグラフである。
【図8】本発明の第2の実施形態のブロック図である。
【図9】図8に示す本発明の第2の実施形態の第1の回路実施例を示す。
【図10】図8に示す本発明の第2の実施形態の第2の回路実施例を示す。
【図11】本発明の第3の実施形態のブロック図である。
【図12】図11に示す本発明の第3の実施形態の回路実施例を示す。
【図13】本発明の第4の実施形態のブロック図である。
【図14】図13に示す本発明の第4の実施形態の回路実施例を示す。
【図15】時間に対する図14のノード200における電圧のグラフである。
【図16】時間に対する図14のノード201における電圧のグラフである。
【図17】時間に対する図14のノード202における電圧のグラフである。
【図18】時間に対する図14のノード203における電圧のグラフである。
【図19】時間に対する図14の変圧器X1の一次巻線の電圧のグラフである。
【図20】時間に対する図14の変圧器X1の二次巻線の電圧のグラフである。
【図21】第1のアプリケーションにおいて使用される本発明の予備電源を示す。
【図22】図8に示す本発明の第2の実施形態を含む、図21に示す第1のアプリケーションを示す。
【図23】第2のアプリケーションにおいて使用される本発明の予備電源を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気デバイスのための電源装置であって、
a)一次側の一次巻線と二次側の二次巻線とを備える変圧器であって、上記一次巻線は交流電圧源に接続可能であり、上記二次側の回路は上記電気デバイスに直流出力電圧を供給するように設けられる変圧器と、
b)上記変圧器の一次巻線と上記交流電圧源との間のスイッチと、
c)上記交流電圧を整流するための整流器とを備え、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときのある時点で、かつ上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加するとオンに切り換わり、これにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するように設けられ、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧が再び増加し始める前にオフに切り換わるように設けられる電源装置。
【請求項2】
上記スイッチは、上記整流された交流電圧の各ピークの近くでオンに切り換わるように設けられる請求項1記載の電源装置。
【請求項3】
スイッチタイマをさらに備える請求項1記載の電源装置。
【請求項4】
上記スイッチタイマはスイッチコントローラに接続される請求項3記載の電源装置。
【請求項5】
上記一次巻線に流れる電流の量を制限するように設けられる電流制限器をさらに備える請求項1記載の電源装置。
【請求項6】
上記電流制限器は少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを備える請求項5記載の電源装置。
【請求項7】
上記電源装置は、上記電流制限器の上記少なくとも1つの電荷蓄積デバイスが実質的に満充電されると、電流が上記一次巻線を通って流れることが停止されるように設けられる請求項6記載の電源装置。
【請求項8】
上記スイッチタイマはスイッチタイマのリセットによって動作可能であり、上記スイッチタイマのリセットは、上記スイッチがオフに切り換えられた後に上記スイッチタイマをリセットするように設けられる請求項3記載の電源装置。
【請求項9】
上記スイッチは、正のフィードバックを使用することによりオフからオンへの高速の切り換えを行うように設けられる請求項1記載の電源装置。
【請求項10】
高電圧における上記デバイスの破壊を防止するための電圧制限器をさらに備える請求項1記載の電源装置。
【請求項11】
上記電圧制限器は、上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときに充電するように設けられる電荷蓄積デバイスを備える請求項10記載の電源装置。
【請求項12】
上記整流器は上記交流電圧を全波整流するように設けられる請求項1記載の電源装置。
【請求項13】
上記二次側の回路は、各交流サイクルの間に充電する電荷蓄積デバイスを介して上記電気デバイスに上記出力電圧を供給する請求項1記載の電源装置。
【請求項14】
上記スイッチの上記切り換えにより発生される電磁放射を低減するための回路をさらに備える請求項1記載の電源装置。
【請求項15】
上記直流出力電圧を調整するためのレギュレータをさらに備える請求項1記載の電源装置。
【請求項16】
上記電流は、上記スイッチがオフに切り換えられるときに、上記二次巻線に流れる請求項1記載の電源装置。
【請求項17】
請求項1記載の電源装置を備える電気デバイス。
【請求項18】
電気デバイスに電力を供給するための方法であって、
a)一次巻線と二次巻線とを有する変圧器を提供するステップであって、上記一次巻線はスイッチを介して交流電圧源に接続されており、
b)上記交流電圧を整流するための整流器を提供するステップと、
c)上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときに、上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加すると、上記スイッチをオンに切り換えることにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するステップと、
d)上記二次巻線に流れる上記電流の流れを上記電気デバイスのための直流出力電圧に変換するステップと、
e)上記整流された交流電圧が再び増加し始める前に上記スイッチをオフに切り換えるステップとを含む方法。
【請求項19】
上記スイッチをオンに切り換えるステップc)は、上記整流された交流電圧の各ピークの近くで上記スイッチをオンに切り換えることを含む請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記一次巻線に流れる電流は電流制限器によって制限される請求項18記載の方法。
【請求項21】
上記電流制限器は少なくとも1つの電荷蓄積デバイスを備える請求項20記載の方法。
【請求項22】
上記スイッチをオフに切り換えるステップe)は、上記電荷蓄積デバイス又は上記電流制限器のデバイスが実質的に満充電されると上記スイッチをオフに切り換えることを含む請求項21記載の方法。
【請求項23】
上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときに電荷蓄積デバイスを充電するステップをさらに含む請求項18記載の方法。
【請求項24】
上記電荷蓄積デバイスは上記スイッチのためのRCタイマの一部を構成する請求項23記載の方法。
【請求項25】
上記電荷蓄積デバイスは、高電圧における上記デバイスの破壊を防止するための電圧制限器として機能する請求項23記載の方法。
【請求項26】
上記電流は、上記スイッチがオフに切り換えられると、上記二次巻線に流れる請求項18記載の方法。
【請求項27】
交流電圧源に接続可能でありかつ通常モード及びスタンドバイモードのそれぞれにおいて動作可能な電気デバイスであって、
通常モードの間に電力を供給するための主電源と、
上記主電源をオン及びオフに切り換えるための制御器と、
スタンドバイモードの間に上記主電源をオンに切り換えるために上記制御器に電力を供給するための予備電源とを備え、
上記予備電源は、
a)一次側の一次巻線と二次側の二次巻線とを備える変圧器であって、上記一次巻線は交流電圧源に接続可能であり、上記二次側の回路は上記電気デバイスに直流出力電圧を供給するように設けられる変圧器と、
b)上記変圧器の一次巻線と上記交流電圧源との間のスイッチと、
c)上記交流電圧を整流するための整流器とを備え、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧がゼロから極大値に増加しているときのある時点で、かつ上記整流された交流電圧が非ゼロ値まで増加するとオンに切り換わり、これにより、上記一次巻線に電流の流れを供給し、それにより、上記二次巻線に電流の流れを供給するように設けられ、
上記スイッチは、上記整流された交流電圧が再び増加し始める前にオフに切り換わるように設けられる電気デバイス。
【請求項28】
上記予備電源はさらに、上記一次巻線に流れる電流の量を制限するように設けられる電流制限器を含む請求項27記載の電気デバイス。
【請求項29】
上記電流は、上記スイッチがオフに切り換えられるときに、上記二次巻線に流れる請求項27記載の電気デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2008−533971(P2008−533971A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501849(P2008−501849)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000058
【国際公開番号】WO2006/098702
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(500035487)クリエイティブ テクノロジー リミテッド (17)
【氏名又は名称原語表記】CREATIVE TECHNOLOGY LTD
【Fターム(参考)】