説明

電界発光素子及び表示装置

電界発光素子(10)は、互いに対向する一対の陽電極(12)及び陰電極(13)と、前記一対の陽電極と陰電極との間に形成された一層または複数層の発光層(14)とを備え、少なくとも一層の前記発光層は、蛍光体層(16)とワイドバンドギャップの半導体層(15)とから構成されている。前記発光層を構成する前記半導体層又は前記蛍光体層は、層の一部分が不連続な不連続層であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、平面光源や平面表示装置に用いる電界発光素子に関する。
【背景技術】
平面光源や平面表示装置に用いる従来の発光装置には、発光ダイオードや電界発光素子(EL素子と称す)等が用いられる。
発光ダイオードは、輝度や発光効率が高い点で優れているが、化合物半導体基板上に形成する必要があり、一つの半導体基板を大面積化することは困難である。また、平面表示装置の大型化を図るためには、多数の発光ダイオードを二次元的に配列する必要がある。
図5を用いてEL素子の構造について説明する。図5は、EL素子の構成を示す断面図である。EL素子50は、発光層54を2枚の電極52、55で挟んだセル構造であり、図5に示すように、基板51の上に電極52、絶縁層53a、発光層54、絶縁層53b、電極55が順次形成されている。発光層54は、ZnS等の蛍光体で構成されており、その厚さは、例えば、0.5μm〜1μmである。また、EL素子50の外部において、電極52と電極55との間には交流電源56が接続されており、この交流電源56によって電極52と電極55間に電圧を印加することでEL素子50が発光する。EL素子50は、基板51の材料の制限を受けにくく、単一基板による大面積化が可能である。
【発明の開示】
しかしながら、上述した発光ダイオードを用いた平面発光装置を、大型化するためには、複数の発光ダイオードが必要となり、その素子数に比例して製造コストが増大するという問題がある。
また、上述したEL素子を用いた平面発光装置は、大型化するには問題がなく、薄型化、高速応答性、広視野角、高コントラストといった視点からも他のディスプレイよりも総合的に勝っているが、発光効率や輝度が低い上、寿命も約1万時間程度と短く、実用的には課題がある。また、通常数百Vの交流電圧を数kHzの高周波で印加する必要があり、汎用の薄膜トランジスタを使用したアクティブマトリクス方式の駆動が困難で、駆動回路が高コスト化するという問題もある。
さらに、一般的にEL素子に用いられるCaS:EuやY:Mn等の無機蛍光体は、CaS等の硫化物やY等の酸化物等の無機化合物の結晶中にMn等の遷移金属やEu等の希土類金属等の発光中心を添加したものである。そのため、紫外光励起による発光は実現するが、一方、電界を印加しても電子は無機蛍光体に浸透しにくく、帯電反発も強いために、高電界で加速された高速電子を衝突させて無機蛍光体中の発光中心を励起する必要がある。そのため、通常、数百Vの交流電圧を数kHzの高周波で印加する必要があり、駆動回路が高コストになるという問題があった。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであって、数V〜数十Vの低電圧で駆動(低消費電力化)し、発光効率が高く、低コストで大面積化できる発光素子を提供することを目的とする。
本発明に係る電界発光素子は、互いに対向する一対の電極と、
前記一対の電極の間に形成された一層または複数層の発光層と
を備えた電界発光素子であって、
少なくとも一層の前記発光層は、蛍光体とワイドバンドギャップの半導体とを含んでいることを特徴とする。
また、前記発光層は、蛍光体層とワイドバンドギャップの半導体層との積層構造を有するものであってもよい。
さらに、前記一対の電極の間に挟まれた少なくとも一層の透明導電体層をさらに備えていてもよい。上記透明導電体層は、層の一部分が不連続な不連続層であってもよい。あるいは連続層であってもよい。
また、前記発光層を構成する前記蛍光体層と前記半導体層のうち少なくとも一層は、層の一部分が不連続な不連続層であってもよい。この場合、半導体層及び蛍光体層が共に不連続層の場合、半導体層は連続層であって蛍光体層が不連続の場合、半導体層は不連続層であって蛍光体層が連続層の場合、あるいは半導体層及び蛍光体層が共に連続層の場合であってもよい。
さらに、前記発光層は、表面の少なくとも一部がワイドバンドギャップを有する半導体で被覆された蛍光体粒子を有するものであってもよい。
またさらに、前記発光層は、略全表面がワイドバンドギャップを有する半導体で被覆された蛍光体粒子を有するものであってもよい。
また、前記発光層は、表面の少なくとも一部がワイドバンドギャップを有する半導体で被覆された前記蛍光体粒子がマトリックス材料中に分散しているものであってもよい。
さらに、前記発光層は、略全表面がワイドバンドギャップを有する半導体で被覆された前記蛍光体粒子がマトリックス材料中に分散しているものであってもよい。
また、前記マトリックス材料は、透明導電体であってもよい。
さらに、前記発光層に含まれる前記半導体は、電界印加によって青色より短波長領域の発光を生じるバンドギャップを有することが好ましい。上記半導体としては、バンドギャップが2.0eV以上、さらに好ましくは2.5eV以上となる化合物半導体を用いることができる。例えば、第13族−第15族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物や、第12族−第16族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、また、第2族−第16族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、第12族−第13族−第16族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、第11族−第13族−第16族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、第12族−第14族−第15族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物等のいずれかがさらに好ましい。
さらに、発光体層中の電子の流れをよくするために、Alq3等の8−ヒドロキシキノリンの金属錯体やチオフェン化合物のBMB−2T等のアモルファス材料等の電子輸送層が、発光層と少なくとも一方の電極との間に設けられていることが好ましい。
通常のEL素子を発光させるためには、高加速度電子を蛍光体に衝突させて、電子線励起させる必要があり、数百Vの高電圧の印加が必要となる。一方、本発明の電界発光素子では、先ず、低電圧でバンドギャップの大きな半導体層若しくは半導体被覆層が波長300〜350nmの紫外領域から500nm帯の青緑色領域で発光する。さらに好ましくは、波長300〜350nmの紫外領域から400nm帯の青色領域で発光する。その光で蛍光体層若しくは蛍光体粒子が励起されて、発光層全体が発光するので高い輝度と高い発光効率が得られる。そして、電子は隣接する透明導電体層に流れ、次の発光を誘発する。この発光機構を繰り返すため、電子の流れが持続し、低電圧駆動(低消費電力)と長寿命化が実現される。
さらに、前記一対の電極は、陽電極と陰電極であってもよい。この場合には、一対の陽電極と陰電極との間には直流電圧が印加される。また、発光層を構成する半導体層の少なくとも一層は、蛍光体層より陰電極側にあってもよい。
また、本発明に係る電界発光素子は、前記一対の電極のうち一方の電極に接続された薄膜トランジスタをさらに備えることができる。本発明の電界発光素子では、上記のように駆動電圧が数V程度と低電圧であるので薄膜トランジスタを使用できる。
本発明に係る表示装置は、前記電界発光素子が2次元配列されている電界発光素子アレイと、
前記電界発光素子アレイの面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極と、
前記電界発光素子アレイの面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極と
を備え、
前記電界発光素子アレイの前記薄膜トランジスタは、前記x電極及び前記y電極とそれぞれ接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る電界発光素子によれば、低電圧でバンドギャップの大きな半導体が紫外域や青色発光し、その短波長の光で蛍光体が励起され、発光層全体が発光するので高い輝度と高い発光効率が得られる。更に、マトリックスが透明導電体よりなるため、電子の流れが持続し、低電圧駆動(低消費電力)と長寿命化が実現される。また、大面積化も容易であるため、低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
以下、図面を参照して本発明に係る好ましい実施形態について説明する。なお、図面において、同一の符号は同様のものを示す。
図1は、本発明の実施の形態1に係る電界発光素子の構造を示す断面図である。
図2は、本発明の実施の形態2に係る電界発光素子の構造を示す断面図である。
図3は、本発明の実施の形態3に係る電界発光素子の構造を示す断面図である。
図4は、本発明の実施の形態4に係る電界発光素子の構造を示す断面図である。
図5は、従来の電界発光素子の構造を示す断面図である。
図6は、本発明の実施の形態5に係る発光素子の斜視図である。
図7は、本発明の実施の形態6に係る発光素子を用いた表示装置の平面概略図である。
図8は、本発明の実施の形態7に係る電界発光素子の構造を示す断面図である。
図9は、実施の形態7の別例として、略全表面をバンドギャップの大きな半導体で被覆した蛍光体粒子の断面構造を示す断面図である。
図10は、本発明の実施の形態8に係る電界発光素子の構成を示す断面図である。
図11は、本発明の実施の形態9に係る発光素子の斜視図である。
図12は、本発明の実施の形態10に係る発光素子を用いた表示装置の平面概略図である。
図13は、本発明の実施の形態11に係る電界発光素子の構造を示す断面図である。
図14は、本発明の実施の形態12に係る電界発光素子の構造を示す断面図である。
図15は、本発明の実施の形態13に係る電界発光素子の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の実施の形態に係る電界発光素子について添付図面を用いて説明する。なお、図において実質的に同一の部材には同一の符号を付している。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る電界発光素子について図1を用いて説明する。図1は、実施の形態1に係る電界発光素子10の構成を示す断面図である。この電界発光素子10は、多層構造であって、基板11の上に、互いに対向している一対の陽電極12と陰電極13を備える。また、該陽電極12と陰電極13との間に半導体層15と蛍光体層16とで構成される発光層14が透明導電体層17を介して繰り返して積層されている。この発光層14を構成する半導体層15と蛍光体層16とは不連続層であり、それぞれの発光層14の間の不連続部分には透明導電体層17が充填されている。なお、図1では、発光層14は2組のみが記載されているが、これに限られず、一組の場合や、3組以上の場合であってもよい。また、直流電源によって陽電極12と陰電極13との間に数V〜数十Vの低電圧を印加することによって電界発光素子10が発光する。また、陽電極12は、透明電極であって、発光層14からの発光は陽電極12の側から取り出される。
次に、この電界発光素子を構成する各部材について説明する。
まず、基板11には、好ましくは、透光性の良い石英、ガラス、セラミックである。また、陽電極12は、基板11の上に形成されている。この陽電極12としては、透明導電体であるITO(InにSnOをドープしたもの)、InZnO、酸化錫、酸化亜鉛等が好ましい。また陽電極12と対向して陰電極13が設けられている。陰電極13には、PtやIr等を用いることができる。また、仕事関数の低い材料、例えば、Al、In、Mg、Ti、MgAg、AlLi等であってもよい。
また、陽電極12と陰電極13との間には、半導体層15と蛍光体層16とで構成される発光層14が透明導電体層17を介して繰り返して積層されている。この発光層14を構成する半導体層15と蛍光体層16とは不連続層であり、それぞれの発光層14の間の不連続部分には透明導電体層17が充填されている。
上記透明導電体層17には、ITO、InZnO、酸化錫等が好ましい。これによって帯電防止を図り、後続する電子の反発を防止できる上に、発光層14で発光した光を遮断することなく、外部に光を取り出すことができる。また、その他の好適な例としては、ZnO、In、Ga等の金属酸化物や、これらを含む複合酸化物が挙げられる。またさらに、透明導電体層17として透明導電性樹脂材料を用いてもよい。この透明導電性樹脂材料として好適な例には、ポリアセチレン系、ポリパラフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイドに代表されるポリフェニレン系、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリテルロフェンに代表される複素環ポリマ系、ポリアニリンに代表されるイオン性ポリマ系、ポリアセン系、ポリオキサジアゾール系、金属フタロシアニン系、ポリビニル系等やこれらの誘導体、共重合体、混合体が挙げられる。またさらに好ましくは、ポリ−N−ビニルカルバゾール(PVK)、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)、ポリスチレンスルホン酸(PSS)、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)、ポリ−[2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−1,4−(1−シアノビニレン)フェニレン](CN−PPV)、ポリキノキサリン等が挙げられる。これらに導電性を調整する目的で、HSO等のドーピングを行ってもよい。また、さらに、前記導電性樹脂又は非導電性樹脂中に、後述する低分子系電子輸送性材料を分子分散した形態や、その構造を分子鎖中に組み込んだ形態であってもよい。またさらに、前記導電性樹脂又は非導電性樹脂中に前述の金属酸化物や複合金属酸化物等の導電性又は半導電性無機材料を分散して、導電性を付与した形態であってもよい。
上記バンドギャップの大きな半導体層15は、電界印加によって青色より短波長領域の発光を生じるバンドギャップを有することが好ましい。具体的には、バンドギャップが2.0eV以上の化合物半導体を用いることができ、より好ましくはバンドギャップが2.5eV以上の化合物半導体を用いることができる。上記半導体としては、例えば、第13族−第15族化合物半導体であるAlN(バンドギャップ:5.7eV)、AlP(2.4eV)、AlAs(2.2eV)、GaN(3.4eV)、GaP(2.3eV)等や、これらの混晶(例えば、AlGaN、AlGaP、AlGaAs、GaInN、GaInP、InGaAlN、InGaAlP等)、あるいは、部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、さらに第12族−第16族化合物半導体であるZnO(3.2eV)、ZnS(3.7eV)、ZnSe(2.6eV)、ZnTe(2.3eV)、CdO(2.1eV)、CdS(2.5eV)、HgS(2.0eV)等や、これらの混晶(例えば、ZnCdS、ZnCdSe、ZnCdTe、ZnSSe、ZnCdSSe、ZnCdSeTe等)、あるいは、部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、またさらに第2族−第16族化合物半導体であるBeSe(3.8eV)、BeTe(3.4eV)、MgS(4.5eV)、MgSe(3.6eV)、MgTe(3.2eV)等や、これらの混晶(例えば、ZnMgSSe、ZnMgBeSe等)、あるいは、部分的に偏析していてもよいこれらの混合物またさらに、別例の3元系化合物として、ZnGa(4.4eV)に代表される(Zn,Cd)−(Al,Ga,In)−(O,S,Se)等の第12族−第13族−第16族化合物半導体や、これらの混晶、あるいは、部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、またさらに、第11族−第13族−第16族化合物半導体であるCuAlS(3.5eV)、CuAlSe(2.7eV)、CuAlTe(2.1eV)、CuGaS(2.4eV)、AgAlS(3.1eV)、AgAlSe(2.6eV)、AgAlTe(2.3eV)、AgGaS(2.7eV)等や、これらの混晶、あるいは、部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、またさらに、第12族−第14族−第15族化合物半導体であるZnSiP(3.0eV)、ZnSiAs(2.1eV)、ZnGeP(2.3eV)、CdSiP(2.5eV)等や、これらの混晶、あるいは、部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、のいずれかがさらに好ましい。なお、前述の化合物例は一例であって、これらに限定されるものではない。またさらに、これらの化合物半導体にドナーやアクセプターとなる不純物元素を1種類若しくは複数種類、ドーピングすることにより、バンドギャップを調整してもよい。例えば、Li、Na、Cu、Ag、Au、Be、Mg、Zn、Cd、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、Pb、N、P、As、O、S、Se、Te、F、Cl、Br、I、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni等の金属及び非金属元素、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm等の希土類元素、TbFやPrFといったフッ化物、ZnOやCdOといった酸化物から選択される。
また、蛍光体層16は、前述のCaS:Euに代表されるCaS、SrS、CaSe、SrSe等の第2族−第16族化合物蛍光材料、ZnS、CdS、ZnSe、CdSe、ZnTe等の第12族−第16族化合物蛍光材料、ZnMgS、CaSSe、CaSrS等の前記化合物の混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物、さらに、CaGa、SrGa、BaGa等のチオガレート系蛍光材料、またさらに、CaAl、SrAl、BaAl等のチオアルミネート蛍光材料、またさらに、Ga、Y、CaO、GeO、SnO、ZnO等の金属酸化物蛍光材料、またさらに、ZnSiO、ZnGeO、ZnGa、CaGa、CaGeO、MgGeO、YGeO、YGeO、YGe、YSiO、BeGa、SrGa、(ZnSiO−ZnGeO)、(Ga−Al)、(CaO−Ga)、(Y−GeO)等の多元酸化物蛍光材料等が挙げられる。これらの蛍光材料にはそれぞれ、Mn、Cu、Ti、Cr、Fe、Ni、Ag、Au、Al、Ga、Sn、Pb、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb等の群から選ばれる少なくとも1種類の元素が賦活剤として賦活されていてもよい。また、この賦活剤は、Cl、Iのような非金属元素やTbFやPrFといったフッ化物でもよく、更にこれらのうち2種類以上を同時に賦活してもよい。なお、EL素子用に用いられる蛍光体であれば特に限定されない。
以上のように、本実施の形態の電界発光素子によれば、低電圧でバンドギャップの大きな半導体が紫外域や青色発光し、その短波長の光で蛍光体粒子が励起され、発光層全体が発光するので高い輝度と高い発光効率が得られる。更に、マトリックス材料が透明導電体であるため、電子の流れが持続し、低電圧駆動(低消費電力)と長寿命化が実現される。また、大面積化も容易であるため、低コストであるという効果も有する。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る電界発光素子20について、図2を用いて説明する。この電界発光素子20は、実施の形態1に係る電界発光素子と比較すると、発光層24を構成するバンドギャップの大きな半導体層25が連続層である点で相違する。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る電界発光素子30について、図3を用いて説明する。この電界発光素子30は、実施の形態1に係る電界発光素子と比較すると、発光層34を構成するバンドギャップの大きな半導体層35及び蛍光体層36が共に連続層である点で相違する。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る電界発光素子40について、図4を用いて説明する。この電界発光素子40は、実施の形態1に係る電界発光素子と比較すると、発光層14と陽電極12との間に電子輸送層18、発光層14と陰電極13との間に電子輸送層19がさらに設けられている点で相違する。この電子輸送層を設けることによって発光層中の電子の流れをよくすることができる。
この電子輸送層18、19には、特に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)等の8−ヒドロキシキノリンの金属錯体やチオフェン化合物の5,5’−ビス(ジメシチルボリル)−2,2’ビチオフェン(BMB−2T)等のアモルファス材料等を用いることができる。また、他の好適な例としては、低分子材料では、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、フルオレン誘導体、キノン誘導体、スチリルベンゼン誘導体、シロール誘導体等やこれらの2量体、3量体が挙げられる。中でも2−(4−ビフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(BND)、2,5−ビス[1−(3−メトキシ)−フェニル]−1,3,4−オキサジアゾール(BMD)、1,3,5−トリス[5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル]ベンゼン(TPOB)、3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(TAZ)、3−(4−ビフェニル)−4−(4−エチルフェニル)−5−(4−tert−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(p−EtTAZ)、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BPhen)、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ−tert−ブチル−4,4’−ジフェノキノン(MBDQ)、2,5−ビス[2−(5−tert−ブチルベンゾキサゾリル)]−チオフェン(BBOT)、トリニトロフルオレノン(TNF)等が挙げられる。さらに、高分子系材料としては、前述のCN−PPVやポリキノキサリン、または低分子系で電子輸送性を示す分子構造を分子鎖中に組み込んだポリマ等が挙げられる。これらの単一種または複数種の混合物であってもよいが、これらに限定されるものではない。また、n型化合物半導体やn型酸化物半導体等の無機材料の単結晶体、多結晶体、及びその粒子粉末の樹脂分散層等を用いてもよい。なお、陽電極12側に設けられる電子輸送層18は、ホールブロック層としても機能する。
なお、上記実施の形態1から4においては電極12、13の間に直流電圧を印加した場合について説明したが、これに限定されず、交流電圧を印加しても、あるいはパルス電圧を印加してもよい。
また、上記実施の形態1から4において、発光素子より取り出される発光色は、発光層14を構成する半導体層15と蛍光体層16とによって決定されるが、多色表示や白色表示、RGB各色の色純度調整のために、発光層14の光取り出し方向前方に色変換層をさらに備えたり、透明導電体層17内に色変換材料を混在させてもよい。色変換層及び色変換材料には、光を励起源として発光するものであればよく、有機材料、無機材料を問わず、公知の蛍光体、顔料、染料等を用いることができる。無機材料であれば、前述の蛍光体層16として用いられる材料を用いることができる。また、有機材料としては、ナフタレン、ペリレン、ルブレン、アントラセン、ピレン、ナフタセン等の多環芳香族炭化水素系化合物及びその誘導体や、クマリン、キノリン、オキサジアゾール、ロフィン、ナイルレッド、4H−ピラニリデンプロパンジニトリル、フェノキサゾン等のヘテロ芳香族系化合物及びその誘導体が用いられる。さらに他の発光材料としては、シアニン、オキソール、アズレニウム、ピリリウム等のポリメチン系化合物、ビス−(ジフェニルビニル)ビフェニル等のスチリルベンゼン系化合物、クロロフィル等のポルフィリン系化合物、アルミニウムキノリノール錯体、亜鉛ヒドロキシフェニルオキサゾール錯体、亜鉛ヒドロキシフェニルチアゾール錯体、アゾメチン金属錯体等のキレート金属錯体、キレートランタノイド錯体、フェノールフタレイン、マラカイトグリーン、フルオレセイン、ローダミンB、ローダミン6G等のキサンテン系化合物、キナクリドン、ジケトピロロピロール、マグネシウムフタロシアニン及びこれらの誘導体が用いられるが、特にこれらに限定されるものではない。
また、上記実施の形態1から4に係る電界発光素子は、ドクターブレード法、ホットプレス法、HIP法、ゾルゲル法等のセラミックス形成法、または蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシャル(MBE)法等の薄膜形成法、及びウエットエッチングやイオンエッチング等の薄膜加工法、あるいはスピンコート法、インクジェット法等で作製できる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る電界発光素子60について、図6を用いて説明する。図6は、この電界発光素子60の電極構成を示す斜視図である。この発光素子60は、実施の形態1に係る電界発光素子10の陽電極12に接続された薄膜トランジスタ62をさらに備える。薄膜トランジスタ62には、x電極64とy電極66とが接続されている。この発光素子60では、ワイドバンドギャップの半導体層15と蛍光体層16とを隣接して積層しているので、低電圧駆動でも半導体層15の青色発光又は紫外光発光によって蛍光体層16を励起することができるので、薄膜トランジスタ62を使用することができる。また、薄膜トランジスタ62を用いることによって電界発光素子60にメモリ機能を持たせることができる。この薄膜トランジスタ62としては、低温ポリシリコンやアモルファスシリコン薄膜トランジスタ等が用いられる。さらに、有機材料を含む薄膜により構成された有機薄膜トランジスタであってもよい。
(実施の形態6)
本発明の実施の形態6に係る表示装置について、図7を用いて説明する。図7は、この表示装置70の互いに直交するx電極64とy電極66とによって構成されるアクティブマトリックスを示す概略平面図である。この表示装置70は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリックス型表示装置である。このアクティブマトリックス型表示装置70は、図6に示した薄膜トランジスタ62を備えた複数の電界発光素子60が2次元配列されている発光素子アレイと、該電界発光素子アレイの面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極64と、該発光素子アレイの面に平行であって、第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極66とを備える。この発光素子アレイの薄膜トランジスタ62は、x電極64及びy電極66とそれぞれ接続されている。一対のx電極64とy電極66とによって特定される発光素子が一つの画素となる。このアクティブマトリックス表示装置70によれば、上述のように、各画素の発光素子を構成する蛍光体層16は、ワイドバンドギャップを有する半導体層15と隣接して積層している。これにより、低電圧駆動でもワイドバンドギャップを有する半導体15に青色発光又は紫外光発光を起こさせて、蛍光体層16を発光させることができる。このように低電圧駆動できるので、薄膜トランジスタ62を使用でき、メモリ効果を利用できる。また、低電圧駆動するので、長寿命の表示装置が得られる。また、カラーの表示装置の場合、発光層をRGBの各色で色分けして成膜すればよい。あるいは、電極により挟持されたRGB各色毎の発光ユニットを積層してもよい。また更に、別例のカラー表示装置の場合、単一色又は2色の発光層による表示装置を作成した後、カラーフィルター及び/又は色変換フィルターを用いて、RGBの各色を表示することもできる。
(実施の形態7)
本発明の実施の形態7に係る電界発光素子80について図8を用いて説明する。図8は、この電界発光素子80の構造を示す断面図である。この電界発光素子80は、多層構造であって、基板81の上に、互いに対向している一対の陽電極82と陰電極87と、該陽電極82と陰電極87との間に形成された一層の発光層83とを備える。直流電源によって陽電極82と陰電極87との間に数V〜数十Vの低電圧を印加する。また、陽電極82は透明電極であって、発光層83からの発光は、陽電極82の側から取り出される。
また、陽電極82の上に発光層83が形成されている。この発光層83は、透明導電体84からなるマトリックス材料中に蛍光体粒子86を分散させたものである。蛍光体粒子86は、その表面の少なくとも一部をバンドギャップの大きな半導体85で被覆、好ましくは化学吸着されていることが好ましい。さらに、図9に示すように、上記半導体85で蛍光体粒子86の略全表面を被覆することがさらに好ましい。このように略全表面を被覆することによって、蛍光体粒子86の防湿に大きな効果がある。なお、この電界発光素子80を構成する透明導電体84、蛍光体粒子86、蛍光体粒子86を被覆する半導体85については、それぞれ実施の形態1に係る電界発光素子10を構成する透明導電体層17、蛍光体層16、半導体層15と実質的に同一であり、詳細の説明を省略する。さらに、この電界発光素子80の他の構成部材についても、実施の形態1に係る電界発光素子10と実質的に同一であり、詳細の説明を省略する。
以上のように、本実施の形態の電界発光素子によれば、低電圧でバンドギャップの大きな半導体が紫外域や青色発光し、その短波長の光で蛍光体粒子が励起され、発光層全体が発光するので高い輝度と高い発光効率が得られる。更に、マトリックス材料が透明導電体であるため、電子の流れが持続し、低電圧駆動(低消費電力)と長寿命化が実現される。また、大面積化も容易であるため、低コストであるという効果も有する。
(実施の形態8)
本発明の実施の形態8に係る電界発光素子100について、図10を用いて説明する。図10は、この電界発光素子の構成を示す断面図である。この電界発光素子100は、実施の形態7に係る電界発光素子80と比較すると、発光層83と陽電極82との間に電子輸送層88、発光層83と陰電極87との間に電子輸送層89を設けている点で相違する。この電子輸送層88、89は、発光層83中の電子の流れをよくするために設けられている。なお、この電界発光素子100を構成する電子輸送層88、89は、実施の形態4に係る電界発光素子40を構成する電子輸送層18、19と実質的に同一であり、詳細の説明を省略する。
なお、上記実施の形態7及び8においては電極82、87の間に直流電圧を印加した場合について説明したが、これに限定されず、交流電圧を印加しても、あるいはパルス電圧を印加してもよい。
また、上記実施の形態7及び8に係る電界発光素子は、ドクターブレード法、ホットプレス法、HIP法、ゾルゲル法等のセラミックス形成法、または蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシャル(MBE)法等の薄膜形成法、あるいはスピンコート法、インクジェット法等で作製できる。
(実施の形態9)
本発明の実施の形態9に係る電界発光素子110について、図11を用いて説明する。図11は、この電界発光素子110の電極構成を示す斜視図である。この電界発光素子110は、実施の形態7に係る電界発光素子80の陽電極82に接続された薄膜トランジスタ112をさらに備える。薄膜トランジスタ112には、x電極114とy電極116とが接続されている。この発光素子110では、ワイドバンドギャップの半導体85で蛍光体粒子86を被覆しているので、低電圧で駆動することができ、薄膜トランジスタ112を使用することができる。また、薄膜トランジスタ112を用いることによって電界発光素子110にメモリ機能を持たせることができる。この薄膜トランジスタ112としては、低温ポリシリコンやアモルファスシリコン薄膜トランジスタ等が用いられる。さらに、有機材料を含む薄膜により構成された有機薄膜トランジスタであってもよい。
(実施の形態10)
本発明の実施の形態10に係る表示装置120について、図12を用いて説明する。図12は、この表示装置120の互いに直交するx電極114とy電極116とによって構成されるアクティブマトリックスを示す概略平面図である。この表示装置120は、薄膜トランジスタを有するアクティブマトリックス型表示装置である。このアクティブマトリックス型表示装置120は、図11に示した薄膜トランジスタ112を備えた複数の電界発光素子110が2次元配列されている発光素子アレイと、該電界発光素子アレイの面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極114と、該発光素子アレイの面に平行であって、第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極116とを備える。この発光素子アレイの薄膜トランジスタ112は、x電極114及びy電極116とそれぞれ接続されている。一対のx電極114とy電極116とによって特定される発光素子が一つの画素となる。このアクティブマトリックス表示装置120によれば、上述のように、各画素の発光素子を構成する発光層83は、表面にワイドバンドギャップを有する半導体85を被覆している蛍光体粒子86が透明導電体84のマトリックス材料に分散している。これにより、低電圧駆動でもワイドバンドギャップを有する半導体85の青色発光又は紫外光励起を起こさせて、蛍光体粒子86を発光させることができる。このように低電圧駆動できるので、薄膜トランジスタを使用でき、メモリ効果を利用できる。また、低電圧駆動するので、長寿命の表示装置が得られる。また、カラーの表示装置の場合、発光層をRGBの各色で色分けして成膜すればよい。あるいは、電極により挟持されたRGB各色毎の発光ユニットを積層してもよい。また更に、別例のカラー表示装置の場合、単一色又は2色の発光層による表示装置を作成した後、カラーフィルター及び/又は色変換フィルターを用いて、RGBの各色を表示することもできる。
(実施の形態11)
本発明の実施の形態11に係る電界発光素子130について図13を用いて説明する。図13は、この電界発光素子130の構造を示す断面図である。この電界発光素子130は、多層構造であって、基板131の上に、互いに対向している一対の第1電極132と第2電極137と、該第1電極132と第2電極137との間に形成された一層の発光層133とを備える。また、交流電源によって第1電極132と第2電極137との間に数十Vの電圧を印加する。
さらに、発光層133は、透明導電体134からなるマトリックス材料中に蛍光体粒子136を分散させたものである。蛍光体粒子136は、その表面の少なくとも一部をバンドギャップの大きな半導体135で被覆、好ましくは化学吸着されていることが好ましい。またさらに、上記半導体135で蛍光体粒子136の略全表面を被覆することがさらに好ましい。このように略全表面を被覆することによって、蛍光体粒子136の防湿に大きな効果がある。
また、この電界発光素子130を構成する透明導電体134には、透明導電性樹脂を用いることができる。透明導電性樹脂は、前述した透明導電層体層17や透明導電体84の一例であるITO、InZnO、酸化錫等に比べて導電性は劣るが、ピンホール等の欠陥が生じにくく、耐圧性において好ましい。数十V〜百数十Vの交流電圧を印加しても、安定した素子特性が得られる。なお、この透明導電性樹脂材料として好適な例は、実施の形態1に係る電界発光素子10の透明導電体層17に用いられる材料と実質的に同一であるため、詳細の説明を省略する。また、この電界発光素子130の他の構成部材については、それぞれ実施の形態7に係る電界発光素子80と実質的に同一であり、詳細の説明を省略する。また、この電界発光素子130の構成においては、第1電極132が透明電極であり、該第1電極132の側から光を取り出す。
以上のように、本実施の形態の電界発光素子によれば、バンドギャップの大きな半導体が紫外域や青色発光し、その短波長の光で蛍光体粒子が励起され、発光層全体が発光するので高い輝度と高い発光効率が得られる。また、大面積化も容易であるため、低コストであるという効果も有する。
(実施の形態12)
本発明の実施の形態12に係る電界発光素子140について図14を用いて説明する。図14は、この電界発光素子140の構造を示す断面図である。この電界発光素子140は、実施の形態11に係る電界発光素子130と比較すると、バンドギャップの大きな半導体よりなる微粒子138がマトリックス材料中にさらに分散している点で相違する。そのため、前述の実施の形態と同様、高輝度で高発光効率の電界発光素子を提供できる。また、大面積化も容易であるため、低コストであるという効果も有する。なお、発光層133内には、表面の少なくとも一部をバンドギャップの大きな半導体135で被覆された蛍光体粒子136が共に含まれていてもよい。また、この電界発光素子140の各構成部材については、実施の形態11に係る電界発光素子130と実質的に同一であり、詳細の説明を省略する。
なお、上記実施の形態11及び12においては電極132、137の間に交流電圧を印加した場合について説明したが、これに限定されず、直流電圧を印加しても、あるいはパルス電圧を印加してもよい。
また、上記実施の形態11及び12に係る電界発光素子は、ドクターブレード法、ホットプレス法、HIP法、ゾルゲル法等のセラミックス形成法、または蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、分子線エピタキシャル(MBE)法等の薄膜形成法、あるいはスピンコート法、インクジェット法等で作製できる。
(実施の形態13)
本発明の実施の形態13に係る電界発光素子150について図15を用いて説明する。図15は、この電界発光素子150の構造を示す断面図である。この電界発光素子150は、多層構造であって、基板151の上に、互いに対向している一対の陽電極152と陰電極154と、該陽電極152と陰電極154との間に形成された一層の発光層153とを備える。また、直流電源によって陽電極152と陰電極156との間に数V〜数十Vの低電圧を印加する。また、陽電極152は透明電極であって、発光層153からの発光は、陽電極152の側から取り出される。
さらに、発光層153は、蛍光体材料とバンドギャップの大きな半導体材料からなり、共蒸着によって成膜されている。そのため、前述の実施の形態と同様、高輝度で高発光効率の電界発光素子を提供できる。また、大面積化も容易であるため、低コストであるという効果も有する。なお、この電界発光素子150の各構成部材については、実施の形態1に係る電界発光素子10と実質的に同一であり、詳細の説明を省略する。
なお、上記実施の形態13においては電極152、154の間に直流電圧を印加した場合について説明したが、これに限定されず、交流電圧を印加しても、あるいはパルス電圧を印加してもよい。
また、上記実施の形態7,8及び11から13において、発光素子より取り出される発光色は、発光層83,133及び153中の蛍光体材料と半導体材料とによって決定されるが、多色表示や白色表示、RGB各色の色純度調整のために、該発光層の光取り出し方向前方に色変換層をさらに備えたり、該発光層中に、色変換材料を混合してもよい。
上述の通り、本発明は好ましい実施形態により詳細に説明されているが、本発明はこれらに限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載された本発明の技術的範囲内において多くの好ましい変形例及び修正例が可能であることは当業者にとって自明なことであろう。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の電極と、
前記一対の電極の間に形成された一層または複数層の発光層と
を備えた電界発光素子であって、
少なくとも一層の前記発光層は、蛍光体とワイドバンドギャップの半導体とを含んでいることを特徴とする電界発光素子。
【請求項2】
前記発光層は、蛍光体層とワイドバンドギャップの半導体層との積層構造を有することを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項3】
前記一対の電極の間に挟まれた少なくとも一層の透明導電体層をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の電界発光素子。
【請求項4】
前記透明導電体層は、層の一部分が不連続な不連続層であることを特徴とする請求項3に記載の電界発光素子。
【請求項5】
前記発光層を構成する前記蛍光体層と前記半導体層のうち少なくとも一層は、層の一部分が不連続な不連続層であることを特徴とする請求項2から4のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項6】
前記発光層は、表面の少なくとも一部がワイドバンドギャップを有する半導体で被覆された蛍光体粒子を有することを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項7】
前記発光層は、略全表面がワイドバンドギャップを有する半導体で被覆された蛍光体粒子を有することを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項8】
前記発光層は、表面の少なくとも一部がワイドバンドギャップを有する半導体で被覆された前記蛍光体粒子がマトリックス材料中に分散していることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項9】
前記発光層は、略全表面がワイドバンドギャップを有する半導体で被覆された前記蛍光体粒子がマトリックス材料中に分散していることを特徴とする請求項1に記載の電界発光素子。
【請求項10】
前記マトリックス材料は、透明導電体であることを特徴とする請求項8又は9に記載の電界発光素子。
【請求項11】
前記発光層を構成する前記半導体は、電界印加によって青色より短波長領域の発光を生じるバンドギャップを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項12】
前記発光層を構成する前記半導体は、2.0eV以上のバンドギャップを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項13】
前記発光層を構成する前記半導体は、2.5eV以上のバンドギャップを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項14】
前記半導体は、第13族−第15族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項15】
前記半導体は、第12族−第16族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項16】
前記半導体は、第2族−第16族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項17】
前記半導体は、第12族−第13族−第16族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項18】
前記半導体は、第11族−第13族−第16族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項19】
前記半導体は、第12族−第14族−第15族化合物半導体、あるいはこれらの混晶、あるいは部分的に偏析していてもよいこれらの混合物を主成分とすることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項20】
前記発光層と、少なくとも一方の前記電極との間にさらに電子輸送層が設けられていることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項21】
前記一対の電極は、陽電極と陰電極であることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項22】
前記発光層を構成する少なくとも一層の前記半導体層は、前記蛍光体層より前記陰電極側にあることを特徴とする請求項21に記載の電界発光素子。
【請求項23】
前記一対の電極のうち一方の電極に接続された薄膜トランジスタをさらに備えることを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の電界発光素子。
【請求項24】
請求項23に記載の電界発光素子が2次元配列されている電界発光素子アレイと、
前記電界発光素子アレイの面に平行な第1方向に互いに平行に延在している複数のx電極と、
前記電界発光素子アレイの面に平行であって、前記第1方向に直交する第2方向に平行に延在している複数のy電極と
を備え、
前記電界発光素子アレイの前記薄膜トランジスタは、前記x電極及び前記y電極とそれぞれ接続されていることを特徴とする表示装置。

【国際公開番号】WO2005/004546
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【発行日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511401(P2005−511401)
【国際出願番号】PCT/JP2004/009673
【国際出願日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】