説明

電界紡糸を使用した組織再生用繊維型三次元多孔性支持体及びその製造方法

本発明は、電界紡糸を使用した組織再生用繊維型三次元多孔性支持体及びその製造方法に関するものである。本発明の組織再生用繊維型多孔性支持体は、生体模倣型構造を材料の損失なくて効率的であり、技術的な側面でも簡単な電界紡糸装置を使用して製造することによって、本発明の組織再生用繊維型多孔性支持体は、ナノ繊維とマイクロ繊維間の大きさを有し、一定形態と強度を有するので、生体組織が三次元的に再生されるようにすると同時に孔隙率を高めて細胞と係わる表面積を大きくして、細胞の付着、成長及び再生することができる支持体として有用に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界紡糸を使用した組織再生用繊維型三次元支持体及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
組織再生は、人体内器官や組織が機能を失ったり遺失時に細胞、薬物支持体などを提供して効果的に組織を再生することで、ここで、組織再生用支持体は、インプラント部位で物理的に安定して、再生効能を調節することができる生理活性を有していなければならない。また、新しい組織を形成した後には、生体内で分解されなければならず、分解産物が毒性を有していてはならない。
【0003】
このような組織再生用支持体として従来には、一定の強度と形態を有する高分子を使用した多孔性支持体が製造された。このような高分子を使用したスポンジタイプや繊維型マトリックスまたはゲルタイプの細胞培養支持体が製造及び使用されている。
【0004】
この中で繊維型マトリックス支持体は、開かれた空隙を有していて空隙の大きさが大きく、細胞がよく付着して増殖する構造を有している。しかし、前記繊維型マトリックス支持体は、現在あまり使用されていない。これは支持体が天然高分子からなる場合、水相で強度が非常に弱くて分解されたり収縮したりして形態を維持することができず、合成高分子を使用しても繊維形態だけでは一定空間を確保しにくくて、主に三次元構造よりは膜形態の2次元構造で形成される問題点がある。参考に、組織を再生するにおいて3次元構造は、細胞の活性と再生能に非常に重要な構造である。また、このような支持体だけでは薬物を封入して調節放出したり生理活性を有する天然高分子をすべて適用させたりするには限界がある。
【0005】
従来、再生組織用支持体の製造方法は、スポンジタイプの支持体を製造する方法が一般的で、粒子浸出法(particle leaching)、乳化凍結乾燥法(emulsion freeze−drying)、高圧気体膨脹法(high pressure gas expansion)及び相分離法(phase separation)などが使用されている。
【0006】
粒子浸出法は、生分解性高分子の有機溶媒溶液に溶けない、塩などの粒子を混合して鋳型を製造した後、溶媒を除去して水で塩粒子を溶出除去する方法で、塩粒子の大きさと混合の割合を調節することで、多様な空隙の大きさと孔隙率を有する多孔性構造を得ることができるが、残存する塩や荒い形状のために細胞が損傷する問題点がある(Mikos等.,Biomaterials,1993年,第14巻,323−330頁;Mikos等.,Polymer,1994年,第35巻,1068−1077頁)。
【0007】
また、乳化凍結乾燥法は、高分子の有機溶媒溶液/水の乳液を凍結乾燥して有機溶媒と水を除去する方法で、高圧気体膨脹法は、有機溶媒を使用しないで生分解性高分子を鋳型に入れて圧力をかけてペレットを作り、適当な温度で高圧の炭酸ガスを生分解性高分子に注入した後、徐々に圧力を下げてマトリックス内の炭酸ガスを放出させて空隙を形成する方法である。しかし、前記方法は、開かれた構造を有する空隙を作りにくいという限界を有している(Wang等.,Polymer,1995年,第36巻,837−842頁;Mooney等.,Biomaterials,1996年,第17巻,1417−1422頁)。
【0008】
最近は、高分子の有機溶媒溶液に昇華性物質または溶解度が異なる溶媒を追加して昇華または温度変化による溶液の相分離によって多孔性支持体を製造する相分離法を使用しているが、これも空隙の大きさが小さすぎて細胞の培養が難しいという問題点を有している。(Lo等.,Tissue Eng.,1995年,第1巻,15−28頁;Lo等.,J.Biomed.Master.Res.,1996年,第30巻,475−484頁;hugens等.,J.Biomed.Master.Res.,1996年,第30巻,449−461頁)。
【0009】
以上の方法は、細胞の粘着と分化を誘導することができる三次元高分子支持体を製造するためのものであるが、いまだに生体分解性高分子で三次元組織再生用支持体を作る方法には多くの問題点が残っている。
【0010】
現在、電界紡糸法による高分子支持体を製造しているが、膜形態の二次元的構造で繊維が製造され、平面上に細胞が付着して三次元構造を有する移植材に使用することができないという短所がある(Yang等.,J.Biomater.Sci.Polymer Edn.,2004年,第5巻,1483−1479頁;Yang等.,Biomaterials,2005年,第26巻,2603−2610頁)。
【0011】
一方、生体内細胞外基質(extracellular matrix)は、グリコサミノグリカンのような基本物質とコラーゲンナノ繊維のネットワーク構造を維持し、その間に細胞が付着増殖して組織を形成するようになる。
【0012】
以上のことに鑑みて、本発明者等は、従来の組織再生用高分子支持体が有する問題点を解決しようと鋭意努力した結果、前記細胞外基質の形態を模倣した構造を着眼して前記細胞の基質と構造的類似性を有して、同時に一定形態と強度を有して生体組織が三次元的に再生されるようにする、ナノ繊維とマイクロ繊維との間の大きさを有する繊維型三次元高分子支持体を韓国国内で始めて製造することによって本発明を完成した。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、繊維直径がナノとマイクロ間のサイズを有して細胞が付着することができる広い表面積を有し、三次元構造を形成する組織再生用三次元高分子支持体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記の目的を達成するために、本発明は電界紡糸によって三次元構造ネットワーク形態に形成される高分子及び/または低分子繊維を含む組織再生用繊維型三次元多孔性支持体を提供する。
【0015】
本発明は、また、電界紡糸を使用した前記組織再生用繊維型三次元多孔性支持体の製造方法を提供する。
【0016】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0017】
本発明は、ナノとマイクロ間の直径を有した高分子繊維が、三次元構造のネットワーク形態からなる組織再生用繊維型三次元多孔性支持体を提供する。
【0018】
図2、図3、図4は、本発明の多孔性繊維支持体の一例を示したもので、直径が3〜12μm範囲内の大きさを有する。これは、ナノ繊維(1〜500nm)とマイクロ繊維(30〜50μm)間の直径なので、最大限に細い繊維直径を有して細胞と関係する表面積を大きくして、細胞がよく付着して増殖される構造を提供すると同時に、一定形態と強度を示して組織が三次元的に再生されるようにして、組織再生能を向上させられる。
【0019】
本発明の繊維型多孔性支持体は、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(カプロラクトン)、ジオール/ジアシッド系脂肪族ポリエステル、ポリエステル−アミド/ポリエステル−ウレタンなどの代表的な生分解性脂肪族ポリエステルとポリ(バレロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)及びポリ(ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される1種以上の合成高分子からなる生分解性高分子を含み、キトサン、キチン、アルギン酸、コラーゲン、ゼラチン及びヒアルロン酸からなる群から選択される1種以上の天然高分子からなる生分解性高分子を含む。
【0020】
前記合成高分子は分子量が10万〜35万kDのポリ乳酸(PLA)を使用するのが好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。前記合成高分子ポリ乳酸は、ポリエル乳酸(PLLA)であるのがさらに好ましい。
【0021】
ここで、前記天然高分子及び合成高分子の中から一つを選択して単独で使用することができ、また天然高分子と合成高分子を混合して使用することができる。
【0022】
本発明の多孔性繊維型支持体は、ナノとマイクロ間の直径を有する。好ましくは、1〜15μmの直径で支持体が適用部位の圧力下で一定の形態と空間を維持して組織の三次元的再生を助ける同時に、細胞と関係する表面積を大きくして、人体の血管内皮細胞、皮膚組織細胞または骨細胞のような細胞の付着と成長に有用である。また、電界紡糸方式で高分子材料や薬物等の損失なしに簡便に製造することにより、既存のいかなる方式より効率性を高めたものといえる。
【0023】
また、本発明の繊維型多孔性支持体は、高分子だけではなく低分子形態の合成低分子も使用することができる。
【0024】
また、本発明は多孔性繊維型高分子支持体の製造方法を提供する。
【0025】
具体的に、(i)高分子及び/または低分子を単独または混合して有機溶媒に溶解させて紡糸液を製造する工程;及び
(ii)前記高分子溶液を電界紡糸機を使用して紡糸するのと同時に、前記有機溶媒を揮発させて高分子繊維を三次元構造のネットワーク形態に形成する工程。
【0026】
最後に、前記方法で製造したナノとマイクロ間の直径を有した繊維を欠損部位にあうように成形して多孔性繊維型支持体を製造する。
【0027】
前記工程(i)の紡糸液製造時に天然高分子と合成高分子を単独または混合して有機溶媒に溶解させて、追加で薬物を溶解させて紡糸液を製造することを含む。工程(i)ではポリエル乳酸(PLLA)を有機溶媒に溶解させる。
【0028】
本発明で前記合成高分子を溶解させる有機溶媒には、沸点が低い揮発性有機溶媒であればいずれも使用可能で、好ましくはクロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、トリフルオロエタン、1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロイソプロピルプロパノールを使用し、ジクロロメタンを使用することがさらに好ましいが、これに制限されずに状況によって適切に有機溶媒を選択して使用することができる。
【0029】
本発明は、電界紡糸方式で高分子溶液を紡糸時にコレクター上に点滴される時、溶媒が全部揮発されて静電気的反発力が作用しながら繊維と繊維間がくっつかないで、それぞれ分離した形態で集積されることを前提にする。ここで一番重要な要因は、紡糸する時にコレクター上に点滴される前に溶媒全部が揮発されることで、そのためには溶媒の沸点が低くなければならず、適切な溶液の粘度が確保されなければならない。溶媒は、沸点0〜40℃、粘度25〜35cpsであることが好ましい。したがって、適切な温度と湿度の維持も重要な部分であることが強調される。
【0030】
繊維型三次元高分子支持体に使用される低分子及び高分子は、5〜20重量%の有機溶媒に溶解させて紡糸液を製造する。
【0031】
本発明の電界紡糸を使用した多孔性三次元支持体の製造方法は、紡糸に影響を及ぼす温度及び湿度、溶液の粘度、溶媒の揮発性が各相互間に最適の条件を備えた時に、ナノとマイクロ間の繊維がお互いにくっつかないで各々分離した形態で集積され、それ自体だけでも簡単に三次元支持体の形態に製造され得ることを特徴とする。
【0032】
工程(ii)では、前記紡糸液を電界紡糸機を使用して繊維を製造する。
【0033】
電界紡糸機を使用した紡糸手順を下記に記述した(図1参照)。
【0034】
電圧発生装置で一定電流を流してノズルとコレクターの間に電場を形成させる。紡糸液貯蔵所に充填された高分子溶液を電場の力と、シリンジポンプの圧力によってコレクターに紡糸する。ここで、紡糸に影響を及ぼす要因には、電圧、流速、ノズルとコレクター間の電場の距離、温度、湿度などがある。ここで、紡糸液の濃度が繊維直径に最も大きな影響を及ぼし、本工程では電界紡糸機の条件を最適に調節して繊維を製造する。
【0035】
前記電界紡糸機の条件は、紡糸距離10〜20cmで、電圧10〜20kV、放出速度0.050〜0.150ml/分が好ましいが、これに制限されるものではない。本発明で電界紡糸機は、Chungpa EMT社(韓国)で製造したDH高電圧発電機(モデル名:CPS−40KO3VIT)を使用することができる。
【0036】
また本発明は、前記組織再生用繊維型三次元多孔性支持体を含む細胞の付着、成長及び再生用移植材を提供する。ここで、細胞はこれに制限されるものではないが、軟骨細胞、人体の血管内皮細胞、皮膚組織細胞、または骨細胞であることが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明を実施例によって詳しく説明する。
【0038】
但し、下記実施例は本発明を例示するだけのものであって、本発明の内容が下記実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0039】
<実施例1>高分子PLLA繊維の製造
PLLA高分子をジクロロメタン溶液10mlに溶解させて、5〜10%の濃度を有する紡糸液を製造した。前記紡糸液は、電界紡糸法を使用して繊維を製造した(図1参照)。
【0040】
電界紡糸機は、Chungpa EMT社(韓国)で製造したDH高電圧発電機(モデル名:CPS−40KO3VIT)を使用し、電界紡糸の詳しい方法は下記のように添付した図1とともに記述した。
【0041】
5〜10%の濃度を有する高分子PLLA溶液(紡糸液)を紡糸液貯蔵所に充填した。前記紡糸液貯蔵所は、10mlガラス注射器を使用し、内部直径が0.5〜1.2mm範囲の注射針を使用した。紡糸時の紡糸液の放出速度は、0.060ml/分に調節した。電圧は、10〜20kVに調節し、電場の距離を10〜20cmに調節した。所望する繊維を製造するためには、コレクター上に繊維が集積される前に溶媒が全部揮発しなければならないので、適切な温度と湿度の維持が非常に重要である。ここで、最適の温度範囲は15〜25℃で、湿度は10〜40%範囲内が適合する。
【0042】
ここで得た高分子PLLA繊維は、3〜10μmの厚さを有することを確認した。
【0043】
図2と3は、二重電場距離20cm、電圧10V、放出速度0.060ml/分、注射針内部直径1.2mmの紡糸条件で製作した繊維の時差顕微鏡写真(500倍、3500倍)である。
<実施例2>低分子PLLA繊維の製造
PLLA低分子をジクロロメタン溶液10mlに溶解させて14〜20%の濃度を有する紡糸液を製造した。前記紡糸液は、電界紡糸法を使用して繊維を製造した(図1参照)。
【0044】
電界紡糸機は、Chungpa EMT社(韓国)で製造したDH高電圧発電機(モデル名:CPS−40KO3VIT)を使用し、電界紡糸の詳しい方法は下記のように添付した図1とともに記述した。
【0045】
14〜20%の濃度を有する低分子PLLA溶液(紡糸液)を紡糸液貯蔵所に充填した。前記紡糸液貯蔵所は、10mlガラス注射器を使用し、内部直径が0.5〜1.2mm範囲の注射針を使用した。紡糸時紡糸液の放出速度は、0.060ml/分に調節した。電圧は10〜20kVに調節し、電場の距離を10〜20cmに調節した。所望する繊維を製造するためにはコレクター上に繊維が集積される前に溶媒が全部揮発しなければならないので、適切な温度と湿度の維持が非常に重要である。ここで、最適の温度範囲は15〜25℃で、湿度は10〜40%範囲内が適合する。
【0046】
ここで得た低分子PLLA繊維は、5〜10μmの厚さを有することを確認した。
【0047】
図2は、二重電場距離10cm、電圧10V、放出速度0.060ml/分、注射針内部直径1.2mmの紡糸条件で製作した多孔性繊維型支持体の表面の時差顕微鏡写真(2000倍)である。
<実施例3>ジクロロメタンと1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルプロパノールを使用した紡糸液の製造
PLLA高分子及び低分子をジクロロメタンに全体溶媒の2%にあたる1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルプロパノールを添加したジクロロメタンに溶解させて、上で記述した高分子及び低分子の濃度を有する紡糸液を製造して電界紡糸法を使用して繊維を製造した。その結果、製造された繊維は、紡糸された形態が安定した形態を帯びていて、広い温度及び湿度の範囲で紡糸され(温度30℃湿度50%でも紡糸が可能)収得された高分子は、繊維の直径が1〜10μmであることを確認した。1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロイソプロピルプロパノールが添加されて繊維がさらに細くなり、紡糸が安定化する効果もあったが、繊維と繊維の静電気力が大きくなって、遮蔽膜化する様相も示した。
<実施例4>ジクロロメタンとアセトンを使用した紡糸液の製造
PLLA高分子及び低分子をジクロロメタンに全体溶媒の10%にあたるアセトンを添加したジクロロメタンに溶解させて、上で記述した高分子及び低分子の濃度を同じ紡糸液を製造して電界紡糸法を使用して繊維を製造した。その結果、製造された繊維は、広い範囲の温度及び湿度でも紡糸が安定化したが(温度30℃湿度50%でも紡糸が可能)繊維直径の変化はなかった。アセトンを添加することでジクロロメタンだけを使用した時と同じ形態の繊維を得ることができながらも紡糸を安定化させて、紡糸時の敏感な要因を補って効率性を高めることができることを確認した。
<実施例5>骨芽細胞付着実験
本発明の多孔性支持体の付着力を調べるために、次のような実験を遂行した。
【0048】
前記実施例1と2で製造された繊維型支持体を70%エチルアルコールで消毒後、継代培養した骨芽細胞(MC3TC)を前記支持体に静置培養と時差走査顕微鏡で付着した細胞の状態を観察した。
【0049】
付着しない細胞を除去して0.1Mリン酸緩衝生理食塩水(PBS pH7.4)に25(w/w)%のグルタルアルデヒドを希釈した2.5%グルタルアルデヒド溶液で4〜20分間事前に固定した。事前固定後、エチルアルコールで水を完全に除去して凍結乾燥後、試料を金でコーティングして時差走査顕微鏡で観察した。
【0050】
その結果、前記方法で製造された繊維が7日後にも一定形態で強度を維持して骨芽細胞が繊維上、繊維間に密集して付着していることを確認した。したがって、本発明の多孔性支持体は、細胞親和力を有して細胞が丈夫に付着することができるので、支持体材料に非常に適合することを確認した(図5、図6及び図7)。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の組織再生用繊維型多孔性支持体は、生体模倣型構造を材料の損失がなくて効率的で、技術的な側面でも簡単な電界紡糸装置を使用して韓国内で最初に製造することにより、本発明の組織再生用繊維型多孔性支持体は、ナノ繊維とマイクロ繊維間の大きさを有し、一定形態と強度を有しているので生体組織が三次元的に再生されるようにするとともに、孔隙率を高めて細胞と係わる表面積を大きくして細胞の付着、成長及び再生することができる支持体として有用に使用することができるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】電界紡糸機を使用した紡糸手順を示した図である。
【図2】二重電場距離20cm、電圧10V、放出速度0.060ml/分、注射針内部直径1.2mmの紡糸条件で製作した繊維の時差顕微鏡写真(500倍)である。
【図3】二重電場距離20cm、電圧10V、放出速度0.060ml/分、注射針内部直径1.2mmの紡糸条件で製作した繊維の時差顕微鏡写真(3500倍)である。
【図4】二重電場距離10cm、電圧10V、放出速度0.060ml/分、注射針内部直径1.2mmの紡糸条件で製作した多孔性繊維型支持体の表面の時差顕微鏡写真(2000倍)である。
【図5】低分子支持体に造骨細胞を7日間培養した後、時差走査顕微鏡で撮した写真(2000倍)である。
【図6】低分子支持体に造骨細胞を14日間培養した後、時差走査顕微鏡で撮した写真(500倍)である。
【図7】電界紡糸サブマイクロ繊維型支持体の様相を示した写真で、(A)は電界紡糸繊維、(B)は電界紡糸繊維処理後の三次元型支持体である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界紡糸によって三次元構造のネットワーク形態に形成される高分子及び/または低分子繊維を含む組織再生用繊維型三次元多孔性支持体。
【請求項2】
高分子が、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ(D,L−乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(カプロラクトン)、ジオール/ジアシッド系脂肪族ポリエステル、ポリエステル−アミド/ポリエステル−ウレタンなどの代表的な生分解性脂肪族ポリエステルとポリ(バレロラクトン)、ポリ(ヒドロキシブチレート)及びポリ(ヒドロキシバレレート)からなる群から選択される1種以上の合成高分子からなる生分解性高分子、または、キトサン、キチン、アルギン酸、コラーゲン、ゼラチン及びヒアルロン酸からなる群から選択される1種以上の天然高分子であることを特徴とする、請求項1に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体。
【請求項3】
ポリ乳酸(PLA)が、低分子及び/または高分子ポリエル乳酸(PLLA)であることを特徴とする、請求項2に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体。
【請求項4】
繊維直径が1〜15μmであることを特徴とする、請求項1に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体。
【請求項5】
電界紡糸を使用した、請求項1の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体製造方法。
【請求項6】
下記工程を含む電界紡糸を使用した、請求項5に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体製造方法:
(i)高分子及び/または低分子を単独または混合して有機溶媒に溶解させて紡糸液を製造する工程;及び
(ii)前記高分子溶液を電界紡糸機を使用して紡糸すると同時に、前記有機溶媒を揮発させて高分子繊維を三次元構造のネットワーク形態に形成する工程。
【請求項7】
前記形成された繊維を欠損部位に適合するように成形する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項5に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体製造方法。
【請求項8】
高分子及び/または低分子が、ポリエル乳酸(PLLA)であることを特徴とする、請求項5に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体製造方法。
【請求項9】
有機溶媒が、クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジオキサン、アセトン、テトラヒドロフラン、トリフルオロエタン、1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロイソプロピルプロパノールからなる群から選択された1種以上であることを特徴とする、請求項5に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体製造方法。
【請求項10】
有機溶媒が、ジクロロメタン及び1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロイソプロピルプロパノールまたはジクロロメタン及びアセトンの混合溶媒であることを特徴とする、請求項9に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体製造方法。
【請求項11】
有機溶媒が、沸点0〜40℃、粘度25〜35cpsを有することを特徴とする、請求項5に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体製造方法。
【請求項12】
低分子及び高分子を、5〜20重量%の有機溶媒に溶解させて紡糸液を製造することを特徴とする、請求項5に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体製造方法。
【請求項13】
第ii工程が、温度範囲15〜25℃、湿度範囲10〜40%の環境で、紡糸距離10〜20cmで、電圧10〜20kV、放出速度0.050〜0.150ml/分、注射器内部直径0.5〜1.2mmの条件にして遂行されることを特徴とする、請求項5に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体製造方法。
【請求項14】
請求項1に記載の組織再生用繊維型三次元多孔性支持体を含む細胞の付着、成長及び再生用移植材。
【請求項15】
細胞が、軟骨細胞、人体の血管内皮細胞、皮膚組織細胞、または骨細胞であることを特徴とする、請求項14に記載の細胞の付着、成長及び再生用移植材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−507530(P2009−507530A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527856(P2008−527856)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【国際出願番号】PCT/KR2006/003390
【国際公開番号】WO2007/024125
【国際公開日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【出願人】(508060058)イーファ ユニバーシティ−インダストリー コラボレイション ファンデーション (1)
【Fターム(参考)】