説明

電着ダイヤモンド工具およびその製造方法

【課題】砥粒の脱落を防止し、しかも寿命が長い電着ダイヤモンド工具を提供する。
【解決手段】電着ダイヤモンド工具は、基材11の表面に多数のダイヤモンド粒子14が電解ニッケル皮膜15によって固着され、さらに該電解ニッケル皮膜15を覆って無電解ニッケル皮膜16が形成されていることを特徴とする。また、熱処理して、無電解ニッケル皮膜16の硬度が電解ニッケル皮膜15の硬度よりも高くなるように調整すると好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイヤモンド粒子の破砕脱落を防止するためのめっきを施した電着ダイヤモンド工具およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電着ダイヤモンド工具は、セラミックスあるいは超硬合金の如き、硬度の高い部品の精密加工に使われている。電着ダイヤモンド工具においては、ダイヤモンド微粒子を一層に均一配置し、これを金属ニッケルで結合した構造となっている。電着ダイヤモンド工具が高価なことから、ダイヤモンド粒子の脱落を防止するため、部品の加工においては、工具に余分な力がかからないようにしている。
従来、電着ダイヤモンド工具の製造法として、基体材料に下地めっきとしてワット浴ニッケルを5〜6μ電着した後、ダイヤモンド砥粒を散布する。しかる後、再びワット浴ニッケルを、埋め込み率70%になるように電着する方法が知られている(非特許文献1)。また、ニッケル膜の砥粒に対する保持力に関しては、埋め込み率30%では脱落が起こり、また埋め込み率50%においても脱落が起こる。脱落を防止するためには、埋め込み率を70%まで高めることが必要とされている(非特許文献2)。
【非特許文献1】ステンレス鋼基板電着ダイヤモンド砥石の作製と研削性能に およぼす砥粒分布密度の影響 佐藤金司他:表面技術,Vol. 45,p92(1994)
【非特許文献2】電着ダイヤモンド砥石におけるニッケル膜の単粒に対する保 持力 佐藤金司他:表面技術,Vol.46,p87(1995) しかしながら、細心の注意を払って加工していても、加工の比較的早い段階で、ダイヤモンド粒子の脱落あるいはダイヤモンド粒子の破砕脱落などの現象が起こりやすい。この現象は、研削加工の生産性を阻害する原因となることから、新規技術開発の重要課題である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
通常、電着ダイヤモンド工具からのダイヤモンド粒子の脱落を防止するために、埋め込み率を高めれば、露出しているダイヤモンド砥粒の高さが減少し、研削能力が低下する欠点がある。また、ダイヤモンド工具を用いて研削を行う過程で、ダイヤモンド砥粒が破砕されて脱落する不都合がある。ダイヤモンド砥粒が破砕脱落すると、本来持つべき工具の研削寿命が短くなる。一般には、砥粒の破砕脱落を防止するため、研削時の加圧力を減らす、あるいは切り込み量を少なくする等の対応がなされているが、これは研削作業の生産性を低下させることになる。
このように、従来の工具では、砥粒の脱落が研削作業の生産性を低下させている。本発明の課題は、砥粒の脱落を防止し、しかも寿命が長い電着ダイヤモンド工具およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため本発明における電着ダイヤモンド工具は、基材の表面に多数のダイヤモンド粒子が電解ニッケル皮膜によって固着され、さらに該電解ニッケル皮膜を覆って無電解ニッケル皮膜が形成されていることを特徴とする。
また、熱処理されて、前記無電解ニッケル皮膜の硬度が前記電解ニッケル皮膜の硬度よりも高くなるように調整されていることを特徴とする。
【0005】
また、前記無電解ニッケルめっき皮膜が、ダイヤモンド粒子との境界において、ダイヤモンド粒子表面上にせり上がっていることを特徴とする。
前記電解ニッケルめっき皮膜と無電解ニッケルめっき皮膜との厚さの比率が9:1であると好適である。
前記電解ニッケルめっき皮膜に代えて電解銅めっき皮膜を形成してもよい。
【0006】
また本発明に係る電着ダイヤモンド工具の製造方法は、基材に表面処理を施す工程と、表面処理を施した基材上に、ダイヤモンド粒子が混入した電解ニッケルめっき液を用いて電解ニッケルめっきを施してダイヤモンド粒子を仮付けする工程と、ダイヤモンド粒子を仮付けした電解ニッケルめっき皮膜上にさらに電解ニッケルめっきを施して、ダイヤモンド粒子を基材上に固定する工程と、次いで、前記電解ニッケルめっき皮膜上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0007】
前記無電解ニッケルめっき皮膜を形成した工具に熱処理を施して、前記無電解ニッケル皮膜の硬度が前記電解ニッケル皮膜の硬度よりも高くなるようにすると好適である。
また、前記無電解ニッケルめっき工程において、無電解ニッケルめっき皮膜が、ダイヤモンド粒子との境界において、ダイヤモンド粒子表面上にせり上がるようにめっきを施すようにするとよい。
また、前記電解ニッケルめっき皮膜と無電解ニッケルめっき皮膜との厚さの比率が9:1になるようにめっきを施すとよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、電解ニッケルめっき皮膜と無電解ニッケルめっき皮膜とでダイヤモンド微粒子を強靭に基材上に結合させたものであり、ダイヤモンド砥粒の脱落を防止し、寿命の長い、かつ高い研削性能を持つ電着ダイヤモンド工具を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、ダイヤモンド砥粒を包み込むようにニッケルめっき皮膜を形成した電着ダイヤモンド工具10の構造の説明図である。以下製法とともにその構造を説明する。
11は基材であり、本実施の形態ではSS400材を用いた。基材11の表面上に電解めっきにより、下地ニッケルめっき皮膜12を形成する。
【0010】
さらに、下地ニッケルめっき皮膜12上に、ダイヤモンド粒子14が混入した電解ニッケルめっき液を用いて電解ニッケルめっきを施して、ダイヤモンド粒子14を仮付けする。
このダイヤモンド粒子14は、ニッケルめっき液中に多量に混入させ(例えば、めっき液40mLにダイヤモンド砥粒を160g混入)、スラリー状となったニッケルめっき液中に工具を浸漬し、工具を回転させながら電解ニッケルめっきを行う。工具を回転させることによって、ダイヤモンド粒子14が工具表面に衝突し、析出するニッケルめっき皮膜13により工具表面に付着し、仮付けされる。
【0011】
次いで、上記ダイヤモンド粒子14を仮付けした電解ニッケルめっき皮膜13上にさらに電解ニッケルめっきを施して、析出する電解ニッケルめっき皮膜15によりダイヤモンド粒子14を基材11上に固定する。これら電解ニッケルめっき皮膜12、13、15により、ダイヤモンド粒子14が60%ほど埋められるようにするとよい。
【0012】
次いで、電解ニッケルめっき皮膜15上に無電解ニッケルめっきを施し、無電解ニッケルめっき皮膜16を形成する。電解ニッケルめっき皮膜12、13、15と無電解ニッケルめっき皮膜16とでダイヤモンド粒子14が70%ほど埋められるようにするとよい。
無電解ニッケルめっき皮膜16を厚付けすることで、無電解ニッケルめっき皮膜16を、ダイヤモンド粒子14との境界において、ダイヤモンド粒子14表面上に爪状にせり上がらせることができる。このせり上がり部17によって、ダイヤモンド粒子14が強固に固定され、脱落を極力防止でき、寿命を延ばすことができ、またそれだけ研削性能を向上させることができる。
【0013】
上記のようにして電着ダイヤモンド工具10が得られるが、さらに好適には、上記電着ダイヤモンド工具10に真空中で熱処理を施すとよい。
この熱処理により、電解ニッケルめっき皮膜12、13、15は比較的に硬度が低くなり、柔らかさが増す。一方、無電解ニッケルめっき皮膜16は逆に硬度が高くなる。これにより、研削中、被研削物からの強い衝撃は柔らかい電解ニッケルめっき皮膜12、13、15によって受け止められるのでダイヤモンド粒子14の破砕が防止され、一方、硬度の高い無電解ニッケル皮膜16によってダイヤモンド粒子14が強固に保持されるから、ダイヤモンド粒子14の脱落が防止される。
【0014】
具体的には、後記する表2に示すように、2層めっき試料においては、上層の無電解ニッケルめっき皮膜16の硬さが、めっき後ではHV445であったものが、熱処理によって、HV682まで硬くなっている。下層では、熱処理によって電解ニッケルめっき皮膜15の硬さが、めっき後でHV477であったものが、HV444に低下している。これによって研削加工時の負荷加重に対応できる柔軟な皮膜構造が得られるが、このことが、研削性能の向上に寄与しているものと考えられる。
【0015】
電解ニッケルめっき皮膜12、13、15と無電解ニッケルめっき皮膜16との厚さの比率は、8.5:1.5〜9.5:0.5が好適であり、最適には9:1であった。硬い無電解ニッケルめっき皮膜16が厚すぎると全体的に脆くなるからである。薄すぎると強度が低下し、ダイヤモンド粒子14が脱落する。
なお、電解ニッケルめっき皮膜12、13、15に代えて、柔らかい金属である電解銅めっき皮膜を形成しても同様の効果(ダイヤモンド粒子14の破砕、脱落防止)が得られた。
【実施例】
【0016】
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0017】
実施例1
1)基材11として、SS400材を用いた。基材11表面を#800の耐水研磨紙を用いて研磨した後、脱脂・塩酸酸洗いを行った。まず、下地ニッケルめっきを行い、下地ニッケルめっき皮膜12を形成した。
めっき浴として、
スルファミン酸ニッケル 600g/L
ホウ酸 40g/L
ピット防止剤 4mL/L
を用い、電流密度 3A/dm、電解時間 10分の条件でめっきした。
【0018】
2)ダイヤモンド砥粒として、東名ダイヤモンド工業(株)製の粒径150から200μmを使用した。めっき浴中にダイヤモンド粒子をスラリー状に懸濁させた状態で、電流を流し、仮付けニッケルめっき皮膜13を形成して、ダイヤモンド粒子の仮付けめっきを行った。めっき浴として
スルファミン酸ニッケル 600g/L
ホウ酸 40g/L
ピット防止剤 3mL/L
を用い、電流密度 5A/dm、電解時間 10分の条件でめっきした。
なお、ダイヤモンド砥粒160gを、めっき液40mLに混入させ、濃厚分散させたスラリー状のめっき液を用い、工具を回転させながら電解めっきを行った。
【0019】
3)次に埋め込み率が50%になるように本めっきを行い、電解ニッケルめっき皮膜15を形成した。めっき浴として
スルファミン酸ニッケル 600g/L
ホウ酸 40g/L
ピット防止剤 3mL/L
光沢剤 NSF-E 10mL/L
を用い、電流密度 3A/dm、電解時間 70分の条件でめっきした。
【0020】
4)電解ニッケルめっきにおいては、電解中に水素ガスが発生するので、めっき膜にピットが発生する。良質のめっき膜を得るためには、ピット防止剤の選択が重要である。本実施例では、ピット防止剤として、ピットレスS(日本化学産業株式会社製)を用いた。
また本めっきにおいては、めっき膜の成長に伴って凹凸が激しくなる。平坦なめっき膜を得るためには、光沢剤の選択が重要である。本実施例では、光沢剤としてNSF-E(日本化学産業株式会社製)を用いた。
【0021】
5)次に、電解ニッケルめっき皮膜15上に、無電解ニッケルめっきを施し、無電解ニッケルめっき皮膜16を形成した。電解ニッケルめっきは、一旦めっき浴から引き上げると、不活性な皮膜に覆われ、この皮膜上に再びめっきをつけても、皮膜間の密着力が弱いので、すぐに剥離してしまう。そこで次の選択的活性化液に浸漬して選択的活性化処理を行ってから、無電解ニッケルめっきを施した。
選択的活性化液
15%塩酸 1L
ラウリル硫酸ナトリウム 0.25g/L
温度 室温
時間 5分
【0022】
6)上記活性化処理後、ただちに無電解ニッケルめっきを次の条件で行った。
エコニックNSX(上村工業株式会社製)
温度 85℃
時間 1時間
ダイヤモンド砥粒のエッヂ部に析出した無電解ニッケルめっき皮膜のSEM像を図2に示す。無電解ニッケルめっき皮膜16を厚付けすることで、無電解ニッケルめっき皮膜16を、ダイヤモンド粒子14との境界において、ダイヤモンド粒子14表面上に爪状にせり上がらせることができる。このせり上がり部17(図2(a)において、白い点状の部位)によって、あたかも、ダイヤモンド宝石を、指輪の台座に固定する爪のような形で、ダイヤモンド砥粒を包み込んでいる。無電解ニッケルめっきの析出状態を図2(a)に示す。従来知られているダイヤモンド電着工具に比べて、砥粒が脱落しにくい構造になっており、工具としての研削性能が改善されている。
【0023】
実施例2
電解ニッケルめっき皮膜15上に、速やかにしかも強固に無電解ニッケルめっき皮膜16を析出させることを目的として、ストライクニッケルめっき工程を取り入れた。ストライクニッケルめっき浴として
塩化ニッケル 240g/L
塩酸 125mL/L
を用い、電流密度 8A/dm2、電解時間 1分の条件で、下地電解ニッケルめっき皮膜15の表面の活性化を行った。次に次の条件で無電解ニッケルめっきを行った。
エコニックNSX(上村工業株式会社製)
温度 85℃
時間 1時間
【0024】
ストライクニッケルめっき工程においては、下地の電解ニッケルめっき皮膜15の表面が活性化されたのはもちろんであるが、同時にダイヤモンド砥粒をも、活性化しているように考えられる。すなわち、ストライクニッケルめっきの析出反応においては、水素ガスの発生を伴うが、この発生期の水素が、ダイヤモンド砥粒表面に存在する有機物皮膜を、破壊除去しているものと考えられる。ダイヤモンド砥粒表面が活性化された効果で、図2(b)に示すように、無電解ニッケルめっき皮膜16のせり上がり部17が、ダイヤモンド砥粒周辺部全体に析出している。
【0025】
実施例3
電着ダイヤモンド工具においては、電着したニッケル膜に、電着歪みが残っている。電着ダイヤモンド工具の研削性能を向上させる目的で、熱処理を行った。熱処理は、真空中で、100℃、200℃、300℃および400℃の各温度で1時間行った。熱処理した試料について、研削性能を試験した。
電着ダイヤモンド工具の研削性能は、日章電機株式会社製スクラッチテスタMMS-2491を用いて調査した。負荷30N、5mm往復、乾式の条件で、各々の試作工具を用いて、被研削材としてアルミナセラミック片(3x4x12mm,1000Hv)を水平に往復研削した。垂直方向変位および研削抵抗を測定することで、研削性能を評価した。結果を図3に示す。図3において、符号31は、実施例2で得られた工具、符号32は、実施例3における100℃で熱処理した工具の研削性能を示す。なお横軸は時間(min)である。
【0026】
100℃で熱処理した試料は、めっきのままの試料に比べて、研削性能が約18%向上している。電着歪みが除去されたことにより、研削性能が向上したものと考えられる。一方200℃、300℃および400℃で熱処理した試料では、逆に研削性能が低下した。これは、表1に示すように、熱処理によって電解ニッケル皮膜15が軟かくなったため、研削時の圧下力を支えきれなくなったためと考えられる。なお、200℃以上の熱処理では研削性能は未処理より低下しているが、これは本件実施例で示した浴組成の電解ニッケルめっきを使用した場合の例であり、異なる浴組成のニッケルめっき浴を使用した場合においては、異なる最適熱処理温度が存在することは明らかである。
【0027】
電解ニッケルめっきで作製した工具を用いて、熱処理温度及び処理時間が、皮膜の硬さに及ぼす影響を調査した。結果を表1に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
また熱処理した工具の研削性能を試験した。結果を図4に示す。図4において、41は実施例1で得られた工具、符号42は実施例3で100℃、1時間熱処理した工具、符号43は実施例3で100℃、10時間熱処理した工具を示す。1時間の熱処理により、研削性能は約13%向上した。その後10時間まで、熱処理を行ったが、研削性能は1時間処理のものとほとんど同じであった。
【0030】
次に実施例3で示した工具について、真空中で、100℃ 1時間の熱処理を行った後、皮膜の硬さを試験した。結果を表2に示す。
【0031】
【表2】

【0032】
次に、下地の電解ニッケルめっき皮膜15の厚さと、上層の無電解ニッケルめっき皮膜16の厚さの比が、電着ダイヤモンド工具の性能に及ぼす効果について実験した。下層の電解ニッケルめっき皮膜15の厚さ9に対して、上層の無電解ニッケルめっき皮膜16の厚さを1とした試料1、および下層の電解ニッケルめっき皮膜15の厚さ9に対して、上層の無電解ニッケルめっき皮膜16の厚さを4.5とした試料2について実験した。試料には、実施例3の、アルゴン雰囲気中で、100℃で1時間の熱処理を施したものを用いた。図4に研削性能試験結果を示す。図4において、符号51は試料1を、符号52は試料2を示す。上層の無電解ニッケルめっき皮膜16は、熱処理によって硬くなり、HV682になる。ダイヤモンド砥粒は、硬い無電解ニッケルめっき皮膜16によって強固に保持され、研削中に脱落しにくくなる。しかしながら硬い無電解ニッケルめっき皮膜16が厚くなる、すなわち下地の柔らかい電解ニッケルめっき皮膜15が薄くなると、研削中の負荷加重に耐えられずに、ダイヤモンド砥粒が破砕される。これらの結果から、電解ニッケルめっき皮膜:90μm、無電解ニッケルめっき皮膜:10μmの工具を100℃で1時間熱処理した工具が、最も優れた性能を示した。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】ダイヤモンド砥粒を包み込むように無電解ニッケルめっきを施こした構造の、模式図である。
【図2】(a)ダイヤモンド砥粒のエッヂ部に析出した無電解ニッケルめっき皮膜のSEM像である。 (b)ダイヤモンド砥粒のエッジ部全体に析出した無電解ニッケルめっき皮膜のSEM像である。
【図3】2層めっき後熱処理した工具の研削性能を示す図である。
【図4】熱処理した電着工具の研削性能を示す図である。
【図5】めっき厚の比率が研削性能に及ぼす影響を示す図である。
【符号の説明】
【0034】
11 基材
12 下地ニッケルめっき皮膜
13 仮付けニッケルめっき皮膜
14 ダイヤモンド砥粒
15 電解ニッケルめっき皮膜
16 無電解ニッケルめっき皮膜
17 せり上がり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材の表面に多数のダイヤモンド粒子が電解ニッケル皮膜によって固着され、さらに該電解ニッケル皮膜を覆って無電解ニッケル皮膜が形成されていることを特徴とする電着ダイヤモンド工具。
【請求項2】
熱処理されて、前記無電解ニッケル皮膜の硬度が前記電解ニッケル皮膜の硬度よりも高くなるように調整されていることを特徴とする請求項1記載の電着ダイヤモンド工具。
【請求項3】
前記無電解ニッケルめっき皮膜が、ダイヤモンド粒子との境界において、ダイヤモンド粒子表面上にせり上がっていることを特徴とする請求項1または2記載の電着ダイヤモンド工具。
【請求項4】
前記電解ニッケルめっき皮膜と無電解ニッケルめっき皮膜との厚さの比率が9:1であることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の電着ダイヤモンド工具。
【請求項5】
前記電解ニッケルめっき皮膜に代えて電解銅めっき皮膜が形成されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の電着ダイヤモンド工具。
【請求項6】
基材に表面処理を施す工程と、
表面処理を施した基材上に、ダイヤモンド粒子が混入した電解ニッケルめっき液を用いて電解ニッケルめっきを施してダイヤモンド粒子を仮付けする工程と、
ダイヤモンド粒子を仮付けした電解ニッケルめっき皮膜上にさらに電解ニッケルめっきを施して、ダイヤモンド粒子を基材上に固定する工程と、
次いで、前記電解ニッケルめっき皮膜上に無電解ニッケルめっき皮膜を形成する工程とを含むことを特徴とする電着ダイヤモンド工具の製造方法。
【請求項7】
前記無電解ニッケルめっき皮膜を形成した工具に熱処理を施して、前記無電解ニッケル皮膜の硬度が前記電解ニッケル皮膜の硬度よりも高くなるようにすることを特徴とする請求項6記載の電着ダイヤモンド工具の製造方法。
【請求項8】
前記無電解ニッケルめっき工程において、無電解ニッケルめっき皮膜が、ダイヤモンド粒子との境界において、ダイヤモンド粒子表面上にせり上がるようにめっきを施すことを特徴とする請求項6または7記載の電着ダイヤモンド工具の製造方法。
【請求項9】
前記電解ニッケルめっき皮膜と無電解ニッケルめっき皮膜との厚さが9:1になるようにめっきを施すことを特徴とする請求項6〜8いずれか1項記載の電着ダイヤモンド工具の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−155362(P2008−155362A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−305873(P2007−305873)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(591212028)信光工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】