説明

電磁振動型ダイヤフラムポンプ

【課題】空気などの流体が振動子側へ漏れ出すのを防止することができる電磁振動型ダイヤフラムポンプを提供する。
【解決手段】支持部材2aに磁石2b2が設けられ、支持部材2aの中心軸両端側に取付けネジ部2cが固定される振動子2の支持部材2aの両端の取付けネジ部2cに、円盤状のダイヤフラム3が固定されている。このダイヤフラム3は、内側センタープレート6bと、外側センタープレート6aとにより挟持され、外側および内側のセンタープレート6a、6bの中心部に設けられた貫通孔6cに、振動子2の取付けネジ部2cが挿入されて固定されている。内側センタープレート6bの振動子2側の中心部に円筒状の突出部6b1が形成され、この突出部6b1が、振動子2の支持部材2aの端部に形成された凹溝2dに嵌合され、リング状弾性部材7を介して気密封止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用洗浄槽の曝気用、養魚用水槽の酸素補給用、泡風呂のエア噴気用、その他応用機器などに利用される電磁振動型ダイヤフラムに関する。さらに詳しくは、振動子の端部とダイヤフラムとの固定部を経て、流体が外部からポンプ内部に漏れないような構造にした電磁振動型ダイヤフラムポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
電磁振動型ダイヤフラムポンプは、磁石が固定された振動子の両端部に、たとえばゴム製のダイヤフラムが固定され、ダイヤフラムの外周囲はダイヤフラム台に固定されると共に、振動子の磁石と対向するように電磁石が設けられ、その電磁石が電磁石ケーシング内に配設されることにより構成されている。このダイヤフラムの外側は、ポンプケーシングにより被覆され、電磁石に印加される交流電源の位相の変化に伴って変る電磁石の極性変化に合せて振動子が振動することにより、ダイヤフラムが振動し、空気などの流体の吸入および吐出を繰り返し行う。
【0003】
振動子とダイヤフラムとの固定は、たとえば図7に示されるような構造になっている。すなわち、図7において、103が振動子で、永久磁石103aが固定された支持部材103bの両端部に、取付けネジ部103cが固着されている。一方、ゴム部材などからなるダイヤフラム104は、その中心部に貫通孔が設けられ、その貫通孔内に嵌合するような突出部が形成された電磁石側(以下、単に内側という)センタープレート107bと電磁石とは反対側であるポンプケーシング側(以下、単に外側という)センタープレート107aとで挟持されている。この内側および外側のセンタープレート107b、107aの中心部に設けられた貫通孔110内に、前述の振動子103の取付けネジ部103cを挿入し、ワッシャ105を介して外からナット106で締め付けることにより固定されている(たとえば、特許文献1参照)。この外側および内側のセンタープレート107a、107bは、金属板またはプラスチックからなり、振動に対してもしっかりと振動子103と固定されている。なお、図示されていないが、このダイヤフラム104の外側には、ポンプケーシングが設けられており、ポンプケーシングは、ダイヤフラムと接した圧縮室と、圧縮室と吸入弁を介して設けられる吸入室と、圧縮室と吐出弁を介して設けられる吐出室とからなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−35266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のような外側および内側のセンタープレート107a、107bの貫通孔110に振動子103の取付けネジ部103cを挿入してナット106で固定する構造は、組立ては非常に簡単で好ましいが、取付けネジ部103cと外側および内側のセンタープレート107a、107bの貫通孔110との間に隙間が形成される場合があり、また、ナット106の締め付け具合によっては、支持部材103bの端部と内側センタープレート107bとの間にも隙間が形成される場合がある。そのため、圧縮室に吸引された空気などの流体が、図7に矢印a1、a2で示されるように、電磁石などが配設されている振動子103側に漏れるという問題がある。
【0006】
このような流体漏れにより、圧縮室から吐出する流体量が圧縮室に吸入する流体量よりも少なくなって、圧縮室に吸い込んだ空気などの流体の利用率が低下するため、ポンプ効率が低下して好ましくない。また、水素循環用ポンプなどの水素などの危険なガスをポンプで吐出させる場合もある。このようなガスを電磁石側に漏らすのは危険であり、さらには、液体を吸引、吐出させる場合もあるため、電磁石側に液体が流れ込むと、電磁石コイルなどの電気系統をショートさせるという問題もある。
【0007】
一方、このような流体漏れを防止する方法としては、たとえば、ワッシャ105と外側センタープレート107aとの間にパッキンを介在させてシールすることが考えられる。しかし、パッキンを介して振動子103を固定すると、ナット106の締め付け具合によって、取付けネジ部103cと外側および内側のセンタープレート107a、107bの貫通孔110との間を確実に密封するのが困難になる。また、ワッシャ105と外側センタープレート107aとの間にパッキンを介在させる場合、ナット106の締め付け具合によって、振動子103に傾きが生じる場合があり、傾きが生じると、振動子103と電磁石との間の隙間にばらつきが生じやすくなるため、ダイヤフラムポンプの性能が、製品間で安定しにくいという問題がある。
【0008】
また、電磁振動型ポンプの流体漏れの問題は、振動子103と外側および内側のセンタープレート107a、107bとの間だけには限られない。たとえば、従来の電磁振動型ダイヤフラムポンプは、図8に示すように、ダイヤフラム104の外周端部104aをダイヤフラム台108とポンプケーシング109の圧縮室(図示省略)を構成する隔壁109aとで挟持すると共に、ダイヤフラム104の外周端部104aとポンプケーシング109の圧縮室(図示省略)の隔壁109aとは、ただ当て付けだけで組み立てられていた。そのため、ポンプの圧縮室(図示省略)に吸入された流体は、ダイヤフラム104のフランジ104aとポンプケーシング109の隔壁109aとの間の隙間を矢印b1〜b3に示す順序を経てポンプケーシング109の外部へ漏れ出し、これによって、圧縮室内に吸入される流体量よりも圧縮室から吐出する流体量が少なくなって、ポンプ性能を低下させるという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、振動子と電磁石との間の隙間を製品間で一定に保って、ポンプの性能を製品間で安定させながら空気などの流体が振動子側へ漏れ出すのを防止して、ポンプ効率を向上させると共に、液体や水素などの危険なガスを吸引、吐出する際にも不都合が生じない電磁振動型ダイヤフラムポンプを提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明の他の目的は、ポンプケーシングとダイヤフラムとの当接面からの空気などの漏洩を防止してポンプ効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプは、平板状の非磁性体からなる支持部材の少なくとも一面側に2個の磁石が設けられ、前記支持部材の中心軸両端側に取付けネジ部が固定される振動子と、前記支持部材の両端の取付けネジ部に固定される円盤状のダイヤフラムと、前記磁石と対向して設けられる電磁石と、前記両端部に設けられるダイヤフラムのそれぞれの外周に固着され、前記ダイヤフラムのそれぞれの外側を覆うポンプケーシングとを有し、前記ダイヤフラムの前記磁石側に設けられる内側センタープレートと、前記ダイヤフラムの前記磁石側と反対側に設けられる外側センタープレートとにより前記ダイヤフラムを挟持し、かつ、該内側および外側のセンタープレートの中心部に設けられた貫通孔に、前記振動子の端部が挿入されて固定されると共に、前記内側センタープレートの前記振動子側の中心部に円筒状の突出部が形成され、前記振動子の前記支持部材の端部に前記突出部と嵌合し得る凹溝が形成され、該突出部と該凹溝とが、リング状弾性部材を介して気密封止される構造になっている。
【0012】
前記内側センタープレートの前記振動子側の面に、前記振動子を構成する前記支持部材の両端部の側面を保持する突起部が形成され、前記支持部材の位置決めをする構造に形成されるのが好ましい。ここに側面とは、平板状の支持部材の厚さ方向の側面の他、平板状の支持部材の平面状部分の端部側も含む意味である。
【0013】
前記ポンプケーシングが、前記ダイヤフラムと接する圧縮室と、該圧縮室と吐出弁を介して接続される吐出室と、前記圧縮室と吸入弁を介して接続される吸入室とを有し、前記圧縮室の隔壁における前記ダイヤフラムとの接合面に前記ダイヤフラムに食い込むリブが形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプには、内側センタープレートの振動子側の中心部に円筒状の突出部が設けられ、振動子の支持部材の端部に突出部と嵌合し得る凹溝を形成する構造であり、振動子の支持部材の凹溝が形成され、該突出部と該凹溝とを、リング状弾性部材を介して気密封止している。そのため、振動子の支持部材の両端における取付けネジ部が固定された部位の外周に予め溝を形成しておいて、その溝内にOリングなどを挿入しておいて内側センタープレートの貫通孔内に圧入するだけで、組み立てることができ、しかも気密にシールすることができる。しかもこのシールは、振動子の支持部材に形成された凹溝と、その凹溝に嵌合するリング状弾性部材と、円筒状の突出部との径方向での密着性によるシールであるため、その弾力性の強度にかかわらず、振動子と電磁石との間の隙間など、部品間の寸法に影響を与えることがないため、ポンプの性能を製品間で安定させることができる。また、組立段階などにおいて、予期せぬ外力が振動子に加わった場合でも、そのような大きな外力に対しては吸収能力があるため、ダイヤフラムを破損させることがないという効果もある。このようなリング状弾性部材が設けられることにより、圧縮室から吐出する流体量が圧縮室に吸入する流体量よりも少なくなることがなくなり、その結果、ポンプ性能が低下するのを防止できる。また、流体が液体である場合、流体が振動子側に浸入して電磁石の巻線などがショートすることによるポンプの故障を未然に防止することができる。
【0015】
さらに、内側センタープレートの前記振動子側の面に、支持部材の両端部の側面を保持する突起部が形成されることにより、振動子が内側センタープレートに対して回転するのを防止して、支持部材の位置決めを容易に行うことができ、ポンプを安定して作動させることができる。また、内側センタープレートの突起部は、振動子の取付けネジ部をセンタープレートに形成した貫通孔に挿通する際の案内となるので、振動子の支持部材と内側センタープレートとの組み付け作業が容易になる。
【0016】
さらに、ポンプケーシングの圧縮室の隔壁におけるダイヤフラムとの接合面に、ダイヤフラムに食い込むリブを形成することにより、圧縮室に吸入した流体が、ダイヤフラムとポンプケーシングとの接合部に生じる隙間から漏れ出して、圧縮室に吸入する流体量よりも圧縮室から吐出する流体量が少なくなるような事態が生じることがなくなる。その結果、ポンプ性能が低下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の電磁振動型ダイヤフラムポンプの一実施形態の断面説明図である。
【図2】図1に示す電磁振動型ダイヤフラムポンプの電磁石と振動子の部分の模式説明図である。
【図3】図1におけるダイヤフラムと振動子との取付け部分を示す断面説明図である。
【図4】振動子の内側センタープレート側端部の側面図である。
【図5】内側センタープレートを振動子側から見た正面図である。
【図6】図1のA部拡大図である。
【図7】振動子とダイヤフラムの取付け部分の従来例を示す断面説明図である。
【図8】従来のダイヤフラムと圧縮室の隔壁との接合部の従来例を示す断面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施の形態について、図1〜6を参照して説明する。
【0019】
図1に本発明の第1の実施形態に係る電磁振動型ダイヤフラムポンプの断面説明図を示し、図2に図1に示す電磁振動型ダイヤフラムポンプの電磁石と振動子の部分の模式説明図を示す。図1に示すように、この電磁振動型ダイヤフラムポンプ1(以下、ポンプと略する)は、平板状の非磁性体からなる支持部材2aに2個の磁石(永久磁石)2b1、2b2が設けられ、支持部材2aの中心軸両端側に取付けネジ部2cが固定された振動子2と、振動子2の支持部材2aの両端の取付けネジ部2cに固定される円盤状のダイヤフラム3と、磁石2b1、2b2と対向して設けられる電磁石4a、4bと、ダイヤフラム3のそれぞれの外周に固着され、ダイヤフラム3のそれぞれの外側を覆うポンプケーシング5とを有している。
【0020】
振動子2の支持部材2aとダイヤフラム3は、ダイヤフラム3の磁石2b1、2b2側に設けられる内側センタープレート6bと、ダイヤフラム3の磁石2b1、2b2側と反対側に設けられる外側センタープレート6aとによりダイヤフラム3を挟持し、かつ、外側および内側のセンタープレート6a、6bの中心部に設けられた貫通孔6cに、振動子2に固定される取付けネジ部2cを挿入し、ワッシャ8を介して外からナット9で締め付けることにより固定されている。
【0021】
図3に示されるように、内側センタープレート6bの振動子2側の中心部に円筒状の突出部6b1が形成され、振動子2の支持部材2aの端部に内側センタープレート6bの突出部6b1と嵌合し得る凹溝2dが形成され、内側センタープレート6bの突出部6b1と振動子2の支持部材2aの凹溝2dとが、リング状弾性部材としてのOリング7を介して気密封止されている。
【0022】
電磁石4a、4bは、図2に示されるように、E型の電磁石コア4a1、4b1と、電磁石コア4a1、4b1に巻回された電磁コイル4a2、4b2とで構成されている。振動子2の支持部材2aには、図1および図2に示すように、2つの磁石2b1、2b2が取り付けられ、この磁石2b1、2b2は、支持部材2aの幅方向に伸びている。
【0023】
この磁石2b1、2b2は、平板状のフェライト磁石または稀土類磁石などを用いることができ、それぞれ着磁されて、磁石2b1は、たとえば、電磁石4a側の面がN極、電磁石4b側の面がS極となり、磁石2b2は、電磁石4a側の面がS極、電磁石4b側の面がN極となっている。電磁石4a、4bに交流電流を流すと、電磁石4a、4bのうち一方は、中央部がN極、その両側がS極となり、他方は、中央部がS極、その両側がN極となり、これらのN極とS極の変換が繰り返し行なわれ、振動子2の支持部材2aに設けられた磁石2b1、2b2との磁気的作用により、磁石2b1、2b2との間で吸引、反発力が生じて、振動子2が軸方向に往復運動する。これによりダイヤフラム3を振動して、ポンプ1が流体を吸入あるいは吐出する。
【0024】
ダイヤフラム4は、ポリエチレンプロピレンゴム(EPDM)やフッ素ゴムなどで成形できる。センタープレート6a、6bは、金属またはプラスチックなどで形成することができる。このダイヤフラム4は、その中心部が外側センタープレート6aと内側センタープレート6bにより挟持されているため、貫通孔6cは、外側センタープレート6aからダイヤフラム3を介して内側センタープレート6bまで連通している。
【0025】
図1に示されるように、ポンプケーシング5は、隔壁によりダイヤフラム3側の圧縮室5Aと、吸入室5Bと、吐出室5Cとに分割され、圧縮室5Aと吸入室5Bとの間には吸入弁5aが設けられ、圧縮室5Aの容積が大きくなって圧力が下がると吸入弁5aが開いて吸入室5Bから流体が流れ込み、圧縮室5Aの容積が小さくなって圧力が低くなると、吸入弁5aが閉になるように構成されている。一方、圧縮室5Aと吐出室5Cとの間には、吐出弁5bが設けられ、圧縮室5Aの容積が小さくなり、圧力が高くなると、この吐出弁5bが開になり、圧縮室5Aの空気などの流体は、吐出室5Cに吐出されるようになっている。
【0026】
つぎに、ダイヤフラム3の中心部に挟着された外側および内側のセンタープレート6a、6bと振動子2との固定方法について、図3を参照して説明する。まず、内側センタープレート6bの振動子2側の中心部に円筒状の突出部6b1を形成しておく。一方、振動子2の支持部材2aの両端側には、取付けネジ部2cの周囲に、前述の突出部6b1が嵌め込まれるような環状の凹溝2dを形成しておく。
【0027】
また、この凹溝2dにより、支持部材2aの端部の中央部には、円柱部2eが形成され、その円柱部2eの外周にリング状弾性部材7を挿入しうるリング溝2e1が形成されている。このリング溝2e1にリング状弾性部材としてのOリング7を取り付けて、取付けネジ部2cをセンタープレート6a、6bとダイヤフラム4を連通する貫通孔6cに圧入して嵌め込む。その後、ポンプケーシング5側(図面右側)に突出した取付けネジ部2cの先端を、ワッシャ8を介してナット9により締めることにより、振動子2の支持部材2aとダイヤフラム3とを固定することができる。
【0028】
なお、Oリング7は、円柱部2eよりも大径に形成されているため、内側センタープレート6bの突出部6b1の内壁面6b2にも強く圧接されている。
【0029】
このような構造にすることにより、ポンプケーシング5側からダイヤフラム3と外側および内側のセンタープレート6a、6bに形成した貫通孔6cと取付けネジ部2cとの間の隙間から、圧縮室5A内に吸引した流体(液体や気体)が、振動子2が配置された電磁石ケーシング10内に浸入しようとしても、この浸入をOリング7により防止することができる。そのため、圧縮室5Aから吐出する流体量が圧縮室5Aに吸入する流体量よりも少なくなることがなくなり、その結果、ポンプ1の性能が低下するのを防止できる。また、流体が液体である場合、流体が振動子2側に浸入してショートすることによるポンプ1の故障を未然に防止することができる。さらに、Oリング7は、振動子2の軸方向と直角の径方向のみの圧力であるため、取付けネジ部2cのネジ止め部分での締め付け具合の影響を受けることがなく、振動子2の偏心など、各部材間の寸法のくるいなどが生じることもない。そのため、ポンプ1の性能を製品間で安定させることができる。そして、振動子2の支持部材2aの円柱部2eの外周に予めリング溝2e1を形成しておいて、そのリング溝2e1にOリング7を挿入し、内側センタープレート6bの貫通孔6cに圧入するだけで、振動子2とダイヤフラム3を組み立てることができるので、振動子2とダイヤフラム3を組み立てる際の作業効率を低下させることがない。また、Oリング7は、振動子2とダイヤフラム3との組立段階などにおいて、予期せぬ外力が振動子2に加わった場合でも、そのような大きな外力に対しては吸収能力があるため、ダイヤフラム3を破損させることがない。
【0030】
なお、本実施形態では、図5に示すように、内側センタープレート6bにおける円筒部6b1の外側に、円筒部6b1を挟むようにして二つのコ字状の突起部6b3、6b4が形成され、この突起部6b3、6b4は、振動子2の支持部材2aの両端部における、円柱部2eを除く側面を保持する構造になっている。ここで、「側面」とは、図4に示すように、振動子2の厚さ方向の面2a1と、平面状部分の端部側の面2a2を含む。これにより、振動子2が内側センタープレート6bに対して回転しようとしても、振動子2の支持部材2aの側面2a2が内側センタープレート6bの突起部6b3、6b4に当たるため、振動子2の回転を防止できる。これにより、ポンプ1を安定して作動させることができる。また、突起部6b3、6b4が、振動子2の取付けネジ部2cをダイヤフラム3とセンタープレート6a、6bを連通する貫通孔6cに挿通する際の案内となり、この挿通作業を容易にする。
【0031】
ダイヤフラム3は、図1およびこの図1のA部の拡大図である図6に示すように、外周端部がフランジ3aをなし、このフランジ3aがダイヤフラム台11とポンプケーシング5の圧縮室5Aの隔壁5A1とで挟持され、固定されている。
【0032】
本実施形態では、図6に示すように、圧縮室5Aの隔壁5A1におけるダイヤフラム3のフランジ3aとの当接面5A2に環状リブ5A3を一体成形により設け、この環状リブ5A3をダイヤフラム3のフランジ3aにおけるポンプケーシング5の隔壁5Aとの当接面3a1に食い込ませている。そのため、ポンプケーシング5の圧縮室5Aの隔壁5A1とダイヤフラム3のフランジ3aとのシール性を向上させることができる。その結果、圧縮室5Aに吸入する流体量が圧縮室5Aから吐出する流体量よりも少なくなるのを防止して、ポンプ1の性能が低下するのを防止することができる。
【0033】
また、本実施形態のようにポンプケーシング5の隔壁5Aに環状リブ5A3を設ける場合、環状リブ5A3は、ポンプ1の作動時におけるダイヤフラム3の変形の影響を受けることがないため、リブとしてのシール性が安定し、ひいては、ポンプ1の作動状態を安定させることができる。
【符号の説明】
【0034】
1 電磁振動型ダイヤフラムポンプ
2 振動子
2a 支持部材
2a1、2a2 側面
2b1、2b2 磁石
2c 取付けネジ部
2d 凹溝
2e 円柱部
2e1 リング溝
3 ダイヤフラム
3a フランジ
3a1 当接面
4a、4b 電磁石
4a1、4b1 電磁石コア
4a2、4b2 電磁コイル
5 ポンプケーシング
5A 圧縮室
5A1 隔壁
5A2 当接面
5A3 環状リブ
5B 吸入室
5C 吐出室
5a 吸入弁
5b 吐出弁
6a 外側センタープレート
6b 内側センタープレート
6b1 突出部
6b2 内壁面
6b3、6b4 突起部
6c 貫通孔
7 Oリング
10 電磁石ケーシング
11 ダイヤフラム台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の非磁性体からなる支持部材の少なくとも一面側に2個の磁石が設けられ、前記支持部材の中心軸両端側に取付けネジ部が固定される振動子と、前記支持部材の両端の取付けネジ部に固定される円盤状のダイヤフラムと、前記磁石と対向して設けられる電磁石と、前記両端部に設けられるダイヤフラムのそれぞれの外周に固着され、前記ダイヤフラムのそれぞれの外側を覆うポンプケーシングとを有し、
前記ダイヤフラムの前記磁石側に設けられる内側センタープレートと、前記ダイヤフラムの前記磁石側と反対側に設けられる外側センタープレートとにより前記ダイヤフラムを挟持し、かつ、該内側および外側のセンタープレートの中心部に設けられた貫通孔に、前記振動子の端部が挿入されて固定されると共に、前記内側センタープレートの前記振動子側の中心部に円筒状の突出部が形成され、前記振動子の前記支持部材の端部に前記突出部と嵌合し得る凹溝が形成され、該突出部と該凹溝とが、リング状弾性部材を介して気密封止されてなる電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
【請求項2】
前記内側センタープレートの前記振動子側の面に、前記振動子を構成する前記支持部材の両端部の側面を保持する突起部が形成され、前記支持部材の位置決めをする請求項1記載の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。
【請求項3】
前記ポンプケーシングが、前記ダイヤフラムと接する圧縮室と、該圧縮室と吐出弁を介して接続される吐出室と、前記圧縮室と吸入弁を介して接続される吸入室とを有し、前記圧縮室の隔壁における前記ダイヤフラムとの接合面に前記ダイヤフラムに食い込むリブが形成されてなる請求項1または2記載の電磁振動型ダイヤフラムポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−225190(P2012−225190A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91237(P2011−91237)
【出願日】平成23年4月15日(2011.4.15)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構・新エネルギーベンチャー技術革新事業/安全性と耐久性に優れた燃料電池用水素循環ブロワの技術開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(390006286)株式会社テクノ高槻 (17)
【Fターム(参考)】