説明

電解めっき方法及び電解めっき装置

【課題】めっき発生核やめっき粒の微細化を図ることで緻密なめっき膜を形成でき、微細化が進む基板上の配線形成に対応することが可能な電解めっき方法及び電解めっき装置を提供する。
【解決手段】表面に微細凹部が形成された被めっき基板20をめっき液10中に浸漬させて金属めっき膜を成膜する電解めっき方法において、めっき処理槽11内のめっき液10を、めっき液循環配管31に循環させながら冷却器33でその液温が溶媒の凝固点以上15℃未満になるように冷却し、その状態で金属めっき膜の成膜を行うことで、被めっき基板10の微細凹部内に緻密でボイドの少ない金属配線材料を埋め込むことができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に配線用溝や穴等の微細凹部が形成された半導体ウエハ等の基板上に、電解めっきによりCu等の金属めっき膜を成膜する電解めっき方法及び電解めっき装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体ウエハ等の基板プロセスにおける基板上の配線形成の材料には、Al(アルミニウム)またはAl合金が一般に用いられていたが、近年、Alよりも電気抵抗率が低いCu(銅)が用いられることが多くなっており、Cu配線の形成に電解(電気)めっきが用いられている。この電解めっきによるCu配線の形成は、表面に穴や溝等からなる微細凹部が形成された半導体ウエハ等の被めっき基板上に、下地としてスパッタ又はCVD等によりCuのシード層を形成し、このシード層の上から電解めっきでCuめっき膜を成膜し、微細凹部内に配線材料としての銅を充填することで行われる。また、この電解めっきを行う電解めっき装置は、通常、その室温が21〜23℃程度の常温に管理されたクリーンルーム内に設置されており、めっき膜の成膜に用いるめっき液の液温が、この室温に対して−1℃乃至−5℃の範囲内に保たれた状態で電解めっきが行われている。
【0003】
ところで、今日基板上の配線のデザインルールは90nmに届くものとなり、開発部門に至っては、60nm/45nmを目指した開発が進められている。このように配線のデザインルールが微細化するにつれて、従来は無視できた配線中の微小なボイド(空洞)等のめっき欠陥が、決定的な製品の欠陥につながるおそれがある。すなわち、半導体の内部電流は100万A/cm2程度の高い電流密度で流れており、例えば、90nmの配線(アスペクト3)にφ10nm程度のボイドがあると、その断面積で3%の損失となる。また、配線中に数個のボイドがあると、電流密度が上昇することでエレクトロマイグレーションが発生したり、局所的に電圧が上昇することで漏電現象を引き起こしたりする。これらを防止するには、基板上の配線形成において、めっき核やめっき粒子の微小化を図ることで、より緻密なめっき膜を形成することが必要である。
【0004】
また、基板上にめっき膜を形成する際に、デュアルダマシンで作成されたビア底部等にめっき膜の応力が局在化することによりマイグレーション(断線化)が起こるストレスマイグレーションの問題がある。このストレスマイグレーションを防止するためにも、めっき核やめっき粒子の微小化を図ることで緻密なめっき膜を形成することが必要である。
【0005】
ここで、非特許文献1及び非特許文献2には、めっき膜の成膜時における常温(25℃)以上の範囲内のめっき液の温度と、形成されるめっき膜の結晶粒径との関係が示されている。これらの記載によれば、一般に、成膜時のめっき液の温度が低温になるにつれて、めっき膜の結晶がより微細化する。
【非特許文献1】渡辺徹 2004 ナノプレーティング 日刊工業新聞社 p.54
【非特許文献2】L.Brossord Mat.Chem.and Phy.,30,pp.61-67,1991
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、めっき核やめっき粒子の微小化を図ることで緻密なめっき膜を形成でき、微細化が進む基板上の配線形成に対応することが可能な電解めっき方法及び電解めっき装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の請求項1に記載の発明は、表面に微細凹部が形成された被めっき基板にめっき液を接触させて電解めっきにより金属めっき膜を成膜する電解めっき方法において、前記被めっき基板に接触させるめっき液の液温をその溶媒の凝固点以上15℃未満にして前記金属めっき膜の成膜を行うことを特徴とする。
【0008】
本願の請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電解めっき方法において、前記金属めっき膜は、Au,Ag,Cu,Ptのうちの少なくとも1種類を含む金属化合物を含有することを特徴とする。
【0009】
本願の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電解めっき方法において、前記めっき液の溶媒は、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、メタノール、エタノールのうちの少なくともいずれか1種類を含む溶媒であることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項4に記載の発明は、めっき液が貯留されためっき処理槽を備え、前記めっき処理槽内のめっき液に、表面に微細凹部が形成された被めっき基板を接触させて電解めっきによりめっき膜を成膜する電解めっき装置において、前記めっき処理槽内のめっき液との熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器により前記めっき処理槽内のめっき液の液温をその溶媒の凝固点以上15℃未満に調節する温度調節手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本願の請求項1又は2又は3に記載の発明によれば、被めっき基板に接触させるめっき液の液温をその溶媒の凝固点以上15℃未満にしてめっき膜の成膜を行うので、めっき核やめっき粒子の微小化を図ることができ、緻密でボイドが生じにくいめっき膜を成膜できる。すなわち、上記したようにめっき液は一般に、液温がより低温であるほど、めっき核やめっき粒子が微小化することで緻密なめっき膜を成膜できるので、めっき液の液温を、従来のめっき工程が行われていた室温に近い温度よりも低い温度にすることで、これまでよりも緻密なめっき膜の成膜が可能となる。これにより、めっき膜中のボイドを減少させることができるので、基板上に形成する配線のエレクトロマイグレーションや漏電現象の発生を防止できる。また、めっき膜の緻密化により配線の耐ストレスマイグレーション性を向上させることができる。
【0012】
また、めっき液の液温を低温にすることで、めっき膜の成膜の際に被めっき基板の温度を下げることができ、これによりシード層のスパッタ膜の溶解速度を抑制できるため、めっき膜の成膜初期のシード層の溶解が防止され、このことからも、よりボイドが少ないめっき膜を成膜することが可能となる。
【0013】
本願の請求項4に記載の発明によれば、めっき処理槽内のめっき液との熱交換を行う熱交換器と、この熱交換器によりめっき処理槽内のめっき液の液温をその溶媒の凝固点以上15℃未満に調節する温度調節手段とを備えたので、めっき液の液温を、従来のめっき工程が行われていた室温に近い温度よりも低い温度に調節することができ、より緻密でボイドの少ないめっき膜を成膜することが可能な電解めっき装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態にかかる電解めっき装置1を示す図である。同図に示す電解めっき装置1は、めっき液10が貯留されためっき処理槽11と、表面に配線形成用の穴や溝等からなる微細凹部が形成された被めっき基板20と、アノード21と、電源装置25とを備え、めっき処理槽11内のめっき液10中に被めっき基板20とアノード21とを対向させて浸漬させた状態で、電源装置25から電流を流すことで、被めっき基板20の表面にめっき膜を成膜するように構成されている。
【0015】
この電解めっき装置1は、めっき処理槽11内のめっき液10を循環させてその温度を調節する循環式温度調節機構30を備えている。すなわち、その両端の流入口と吐出口がめっき処理槽11に接続されためっき液循環配管31と、該めっき液循環配管31の途中に設置された送液ポンプ32と具備し、さらにめっき液循環配管31の途中には、めっき液10との熱交換を行う熱交換器である冷却器33が設置されている。また、めっき液循環配管31を流れるめっき液10の温度を測定する温度計34と、該温度計34の測定温度に基づいて冷却器33を制御してめっき液10の液温を所望の温度に調節する温度調節手段35とを備えている。
【0016】
ここで、上記のめっき液10は、Au,Ag,Cu,Ptのうちの少なくとも1種類を含む金属化合物を含有し、この電解めっき装置1で成膜されるめっき膜は、この金属化合物を含有する金属めっき膜である。まためっき液10の溶媒には、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、メタノール、エタノールのうちの少なくともいずれか1種類を含む溶媒を用いる。
【0017】
そして上記構成の電解めっき装置1において電解めっきを行うには、まず、めっき処理槽11内のめっき液10をめっき液循環配管31に循環させてこれを冷却器33で冷却する。そして温度調節手段により冷却器33の運転を制御することで、循環するめっき液10の液温をその溶媒の凝固点以上15℃未満の所定温度になるように調節する。循環するめっき液10の液温が前記の所定温度で一定になったら、その状態で、めっき処理槽11内のめっき液10に被めっき基板20を浸漬し、電源装置25から電流を流す。これにより、被めっき基板20の表面に金属めっき膜が形成されて、微細凹部内に金属配線材が埋め込まれる。なお、この電解めっき工程では、めっき液10の液温を上記の所定温度で一定に保った状態で、一度の工程で微細凹部内への配線材の埋め込みを完了する。
【0018】
このめっき膜の成膜は、一例として以下のような条件で行われる。Cu(銅)めっき液(硫酸銅180g/L,硫酸120g/L,塩酸60ppm+添加剤の組成を有する)からなるめっき液10をめっき処理槽11に貯留し、このめっき液10をめっき液循環配管31に循環させて冷却器33でその液温が0℃になるまで冷却する。めっき液10の液温が0℃で一定になったら、被めっき基板20をめっき処理槽11内のめっき液10に浸漬して、電解めっきを行う。電解めっきが終了したら、めっき液10中から被めっき基板20を引き上げて、洗浄・乾燥処理を行う。
【0019】
めっき液10はその液温がより低温であるほど、被めっき基板20上に緻密な膜を成膜できるため、この電解めっき装置1では、めっき処理槽11内のめっき液10の液温を従来のめっき工程が行われていた室温に近い温度よりも低い温度である、15℃未満の所定温度に調節することで、より緻密なめっき膜を成膜することを可能としている。これにより、成膜しためっき膜中のボイドを減少させることができるので、被めっき基板20上に形成される配線のエレクトロマイグレーションや漏電現象の発生を効果的に防止できる。
【0020】
また、めっき膜を緻密化することができるので、被めっき基板20上に形成する配線の耐ストレスマイグレーション性を向上させることができる。また、めっき液10の液温を低温にすることで、めっき膜成膜の際の被めっき基板20の温度を下げることができ、これによりシード層のスパッタ膜の溶解速度を抑制できるため、めっき膜の成膜初期のシード層の溶解が防止され、それによってもボイドが少ないめっき膜を成膜することが可能となる。
【0021】
めっき処理槽11内のめっき液10を冷却する上記の方法では、めっき処理槽11内のめっき液10の持つ比熱が大きいことと、被めっき基板20として用いられるシリコンウエハ等の熱伝導が比較的良好なことにより、被めっき基板20をめっき液10に浸漬させた際に、被めっき基板20の表面(めっき面)温度が瞬時にめっき液10の液温と等しくなる。したがって、被めっき基板20の表面に接触するめっき液10の液温を確実に前記の所定温度に保った状態でめっき膜を成膜することが可能となる。
【0022】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明の第2実施形態にかかる電解めっき装置の構成を示す図である。本実施形態においては、第1実施形態と共通する構成部分については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。また説明する以外の事項は第1実施形態と同じである。以下の他の実施形態においても同様とする。図2に示す電解めっき装置1−2が図1の電解めっき装置1と異なるのは、めっき処理槽11内のめっき液10の液温を調節する循環式温度調節機構30にかえて、被めっき基板20を直接冷却する冷却器40を設置した点である。冷却器40は、被めっき基板20の裏面(微細凹部が形成されためっき膜を形成する面とは反対の面)に接触させて被めっき基板20を冷却しながらその表面をめっき処理槽11内のめっき液10に接触させることができるように構成されている。また、被めっき基板20の表面温度を測定する温度計41と、該温度計41の測定温度に基づいて冷却器40を制御して被めっき基板20の表面温度を所望の温度に調節する温度調節手段42が設置されている。
【0023】
上記構成の電解めっき装置1−2で電解めっきを行うには、被めっき基板20の裏面に冷却器40を接触させると共に、その表面をめっき処理槽11内のめっき液10に接触させ(あるいは被めっき基板20をめっき液10中に浸漬させ)、その状態で、被めっき基板20をその表面温度がめっき液10の溶媒の凝固点以上15℃未満の所定温度になるまで冷却する。被めっき基板20の表面温度が前記の所定温度で一定になったら、電源装置25から電流を流して電解めっきを行う。こうすることで、被めっき基板20の表面に接触させるめっき液10の液温を、被めっき基板20の表面温度である前記の所定温度にすることができ、その状態でめっき膜の成膜を行うことができる。あるいは、被めっき基板20の表面をめっき液10に接触させる前に、あらかじめ被めっき基板20に冷却器40を接触させてその表面温度を前記の所定温度になるまで冷却しておき、その状態で、被めっき基板20の表面をめっき液10に接触させて電解めっきを行うようにしてもよい。
【0024】
この電解めっき装置1−2は、めっき処理槽11内のめっき液10の液量が少ない電解めっき装置に適用すると効果的である。すなわち、めっき処理槽11内のめっき液10が少量(例えば、被めっき基板20が12インチウエハの場合、200ml以下)の場合、第1実施形態の電解めっき装置1の構成でその液温を管理しようとすると、めっき液循環配管31の吐出口の近傍に冷却器33を設置しなければならず、装置負荷が高い電解めっき装置となってしまうが、本電解めっき装置1−2のように被めっき基板20に直接冷却器40を接触させて冷却する構造とすれば、めっき処理槽11内のめっき液10の冷却が不要となり、電解めっき装置の構成が簡単で済むので、より装置負荷の低い電解めっき装置とすることができる。
【0025】
〔第3実施形態〕
図3は、本発明の第3実施形態にかかる電解めっき装置の構成を示す図である。同図に示す電解めっき装置1−3は、第2実施形態の電解めっき装置1−2において、被めっき基板20をその表面(めっき面)を上方に向けたいわゆるフェイスアップの状態でめっき液10に浸漬させてめっき処理を施すものである。また本実施形態では、めっき面に対向するアノード21を被めっき基板20の上方に配置すると共に、被めっき基板20の下面に冷却器40を接触させて被めっき基板20を冷却するように構成している。
【0026】
〔第4実施形態〕
図4は、本発明の第4実施形態にかかる電解めっき装置の構成を示す図である。同図に示す電解めっき装置1−4は、第1実施形態の電解めっき装置1が備える循環式温度調節機構30と、第2実施形態の電解めっき装置1−2が備える被めっき基板20を直接冷却する冷却器40の両方の構成を備えたものである。
【0027】
この電解めっき装置1−4により電解めっきを行うには、冷却器40で被めっき基板20の表面温度を前記の所定温度に調節すると共に、めっき処理槽11内のめっき液10をめっき液循環配管31に循環させて冷却器33で冷却することでめっき液10の液温も前記の所定温度に調節し、これらの両方で被めっき基板20に接触させるめっき液10の液温が正確に前記の所定温度になるように管理する。
【0028】
この電解めっき装置1−4は、上記のように循環式温度調節機構30が備える冷却器33と被めっき基板20を冷却する冷却器40との両方で、被めっき基板20に接触させるめっき液10の液温を所定温度に管理するので、めっき液10の液温をより高い精度で所定温度に調節することができる。したがって、例えば、成膜工程の初期より被めっき基板20の表面に接触させるめっき液10の温度を正確に調節する必要がある場合など、めっき液10の温度管理を厳密に行うことが必要なプロセスに適している。
【実施例1】
【0029】
以下、本発明の実施例を説明する。Cu(銅)めっき液(硫酸銅225g/L,硫酸55g/L,塩酸60ppm+添加剤の組成を有するもの)の液温を、50℃(高温)・26℃(室温)・11℃(低温)の3条件に設定して、シリコンウエハからなる被めっき基板上に厚さ1μmのCuめっき膜を形成した。その後、X線により、被めっき基板上に形成されためっき膜の内部応力の測定を行った。この測定結果を次の表1に示す。
【表1】

【0030】
表1に示すように、シリコンウエハからなる被めっき基板上にCuめっき膜を形成する場合、Cuめっき液を11℃(低温)に調節して成膜することで、形成されためっき膜に圧縮応力を生じさせることができる。これによりめっき膜の外力(引張方向)に対する抵抗性を増加させることができる。このように、めっき液を低温にした状態で成膜することでめっき膜内に圧縮応力が生じるのは、被めっき基板のシリコンとめっき液の銅のヤング率及び熱膨張係数の違いによる熱応力の発生傾向と定性的に符合している。めっき液を低温にすることで、めっき膜の内部に引張応力を生じさせることができるため、緻密でボイドの少ないめっき膜を成膜することができる。
【0031】
上記したように本発明によれば、液温をその溶媒の凝固点以上15℃未満のいわゆる低温に調節しためっき液により、被めっき基板上に金属めっき膜を形成するので、めっき核やめっき粒子の微小化を図ることで緻密なめっき膜を形成することができ、めっき膜中のボイドを減少させることができる。また、めっき核やめっき粒子の微小化により、耐ストレスマイグレーション性に優れためっき膜の形成が可能となる。
【0032】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状・構造・材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、電解めっき装置1では、循環式温度調節機構30でめっき液10を冷却する構成としたが、めっき液10を冷却する手段はこれに限定されず、めっき処理槽11内のめっき液10を直接冷却する構造等とすることも可能である。
【0033】
まためっき膜の形成の際のめっき液の温度は、上記実施形態で具体的に例示した温度に限定される訳ではなく、その溶媒の凝固点以上15℃未満の温度であれば、他の温度に設定することもできる。なお上記したように、めっき膜を成膜する際の被めっき基板20に接触させるめっき液の温度は、より低い温度にするほど、成膜されるめっき膜を緻密にできるので、めっき液の液温は、めっき膜の成膜が可能な範囲でできる限り低温にする方が良い。そのため、めっき液の液温をその溶媒の凝固点にできるだけ近い低温に調節した状態でめっき膜を成膜することが、本発明の効果を奏する上で最も望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電解めっき装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態にかかる電解めっき装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の第3実施形態にかかる電解めっき装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第4実施形態にかかる電解めっき装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
10 めっき液
11 めっき処理槽
20 被めっき基板
21 アノード
25 電源装置
30 循環式温度調節機構
31 めっき液循環配管
32 送液ポンプ
33 冷却器(熱交換器)
34 温度計
35 温度調節手段
40 冷却器(熱交換器)
41 温度計;
42 温度調節手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に微細凹部が形成された被めっき基板にめっき液を接触させて電解めっきにより金属めっき膜を成膜する電解めっき方法において、
前記被めっき基板に接触させるめっき液の液温をその溶媒の凝固点以上15℃未満にして前記金属めっき膜の成膜を行うことを特徴とする電解めっき方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電解めっき方法において、
前記金属めっき膜は、Au,Ag,Cu,Ptのうちの少なくとも1種類を含む金属化合物を含有することを特徴とする電解めっき方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電解めっき方法において、
前記めっき液の溶媒は、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、メタノール、エタノールのうちの少なくともいずれか1種類を含む溶媒であることを特徴とする電解めっき方法。
【請求項4】
めっき液が貯留されためっき処理槽を備え、前記めっき処理槽内のめっき液に、表面に微細凹部が形成された被めっき基板を接触させて電解めっきによりめっき膜を成膜する電解めっき装置において、
前記めっき処理槽内のめっき液との熱交換を行う熱交換器と、前記熱交換器により前記めっき処理槽内のめっき液の液温をその溶媒の凝固点以上15℃未満に調節する温度調節手段とを備えたことを特徴とする電解めっき装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−119793(P2007−119793A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308995(P2005−308995)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】