説明

電解コンデンサシート及び配線基板、並びに、それらの製造方法

【課題】基板を厚くすることなく、且つ小さな占有面積でより大きな容量が得られる電解コンデンサシートを提供する。
【解決手段】電解コンデンサシートは、側面を除き表面が粗化された弁金属シート体11と、弁金属シート体11の表面に形成された金属酸化膜12と、弁金属シート体11の上面側に形成された金属酸化膜12の開口内で、弁金属シート体11の表面に導通する陽極引き出し電極15と、弁金属シート体11の上面側の金属酸化膜12の表面に形成された固体電解質層13と、固体電解質層13の表面に形成された陰極引き出し電極16とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解コンデンサシート及び配線基板、並びに、それらの製造方法に関し、更に詳しくは、電解コンデンサシート及び電解コンデンサシートを内蔵する配線基板、並びに、それらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯式の電子機器では、その機能の増加に伴い、配線基板に実装される電子部品の数が益々増加している。例えば、以前は単一の周波数を通信に用いていたが、近年は複数の周波数帯を使うようになり、複数のアンテナや無線回路が必要になって来ている。ところが、携帯式の電子機器では、電子部品を搭載する基板の面積に制限があるため、電子部品の数が増加すると配線基板に実装しきれなくなる。これに対して、近年、コンデンサの一部を配線基板の内部に内蔵する試みがある。
【0003】
コンデンサを内蔵する方法の一つに、配線基板の内部に既製のコンデンサ部品を埋め込む方法がある。この方法は、既製のコンデンサ部品を用いることが出来るので、製造が容易である反面、既製のコンデンサ部品の厚みが大きいため配線基板の厚みの増大を招く問題があった。
【0004】
上記に対して、配線基板の内部に既製のコンデンサ部品を埋め込むのではなく、多層配線基板の製造プロセスにおいて、基板内の層の一部としてコンデンサ素子を形成し、その後ビルドアップ・プロセスで多層配線基板を製造する方法がある。この方法によれば、コンデンサ素子を小さな厚みで形成できるため、配線基板の厚みを小さく出来る。
【0005】
特許文献1は、多層配線基板の製造プロセスにおいて、コンデンサ素子を一体的に形成した配線基板の一例を提案している。同文献によれば、配線基板の製造に際して、絶縁性樹脂基板上に弁金属基体を形成し、この弁金属基体を陽極としてその表面に陽極酸化法で絶縁性酸化皮膜を形成した後、絶縁性酸化皮膜の表面に高分子電解質層を形成して電解コンデンサ素子とする旨が記載されている。
【特許文献1】特開2001−176748号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、配線基板の内部に既製のコンデンサ部品を埋め込むと、既製のコンデンサ部品の厚みが大きいため配線基板の厚みの増大を招く問題があった。一方、多層配線基板の製造プロセスにおいて、コンデンサ素子を一体的に形成した従来の配線基板では、既製のコンデンサ素子に比して、大きな容量が得られない問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑み、基板を厚くすることなく、且つ小さな占有面積でより大きな容量が得られる電解コンデンサシート及び電解コンデンサシートを内蔵した配線基板、並びに、それらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電解コンデンサシートは、
少なくとも第1の表面が粗化された弁金属シート体と、前記第1の表面上に形成された第1酸化膜と、該第1酸化膜の開口内で前記第1の表面に導通する第1引き出し電極と、前記第1酸化膜の表面上に形成された第1固体電解質層と、該第1固体電解質層の表面に形成された第2引き出し電極とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明の第1の視点に係る配線基板は、
上記記載の電解コンデンサシートと、
前記電解コンデンサシートの前記第1及び第2の表面にそれぞれ固定される第1及び第2樹脂基板であって、前記電解コンデンサシートを双方の間に挟む第1及び第2樹脂基板とを備え、
前記第1及び第2樹脂基板の少なくとも一方は、ガラスクロスを含み、
前記第1及び第2引き出し電極は、前記第1樹脂基板を貫通するビアプラグを介して前記第1樹脂基板の表面上に形成された配線層に接続されることを特徴とする。
【0010】
本発明の第2の視点に係る配線基板は、
上記記載の電解コンデンサシートであって、前記弁金属シート体が、前記第1の表面に対向する、粗化された第2の表面を有し、前記第2の表面上に形成された第2酸化膜と、該第2酸化膜の表面上に形成された第2固体電解質層と、該第2固体電解質層の表面に形成された第3引き出し電極とを更に備える電解コンデンサシートと、
前記電解コンデンサシートの前記第1及び第2の表面にそれぞれ固定される第1及び第2樹脂基板であって、前記電解コンデンサシートを双方の間に挟む第1及び第2樹脂基板とを備え、
前記第1及び第2樹脂基板の少なくとも一方は、ガラスクロスを含み、
前記第1及び第2引き出し電極は、前記第1樹脂基板を貫通するビアプラグを介して前記第1樹脂基板の表面上に形成された配線層に接続され、
前記第3引き出し電極は、前記第2樹脂基板を貫通するビアプラグを介して、前記第2樹脂基板の表面に形成される配線層に接続されることを特徴とする。
【0011】
本発明の第1の視点に係る電解コンデンサシートの製造方法は、
電解コンデンサシートを製造する方法であって、
弁金属シート体の少なくとも第1の表面を粗化する工程と、
前記第1の表面上に、陽極酸化法を用いて金属酸化膜を形成する工程と、
前記金属酸化膜を選択的に除去して開口を形成する工程と、
前記金属酸化膜の表面に固体電解質層を形成する工程と、
前記金属酸化膜の開口内で前記弁金属シート体の第1の表面に導通する第1引き出し電極と、前記固体電解質層の表面に接する第2引き出し電極とをそれぞれ形成する工程とを有することを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の視点に係る電解コンデンサシートの製造方法は、
電解コンデンサシートを製造する方法であって、
弁金属シート体の第1及び第2の表面を粗化する工程と、
前記第1及び第2の表面上に、陽極酸化法を用いて金属酸化膜を形成する工程と、
前記第1の表面上に形成された金属酸化膜を選択的に除去して開口を形成する工程と、
前記金属酸化膜の表面に固体電解質層を形成する工程と、
前記金属酸化膜の開口内で前記弁金属シート体の第1の表面に導通する第1引き出し電極と、前記第1の表面の上部に形成された固体電解質層の表面に接する第2引き出し電極と、前記第2の表面の上部に形成された固体電解質層の表面に接する第3引き出し電極とを形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の第1の視点に係る配線基板の製造方法は、
電解コンデンサシートを有する配線基板を製造する方法であって、
本発明の第1の視点に係る電解コンデンサシートの製造方法で電解コンデンサシートを製造する工程と、
ガラスクロスを含む樹脂から成り、前記電解コンデンサシートの少なくとも第1及び第2引き出し電極に対応する位置に窓を有する樹脂基板を前記第1の表面に固定する工程と、
前記第1及び第2引き出し電極に接続し、前記窓を経由して前記樹脂基板の表面上に延びる配線を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0014】
本発明の第2の視点に係る配線基板の製造方法は、
電解コンデンサシートを有する配線基板を製造する方法であって、
本発明の第2の視点に係る電解コンデンサシートの製造方法で電解コンデンサシートを製造する工程と、
ガラスクロスを含む樹脂から成り、前記電解コンデンサシートの少なくとも第1及び第2引き出し電極に対応する位置に窓を有する第1樹脂基板を、前記電解コンデンサシートの第1の表面上に固定する工程と、
ガラスクロスを含む樹脂から成り、前記電解コンデンサシートの少なくとも第3引き出し電極に対応する位置に電極パッドを有する第2樹脂基板を、前記電解コンデンサシートの第2の表面上に固定する工程と、
前記第1及び第2引き出し電極に接続し、前記窓を経由して前記第1樹脂基板の表面上に延びる配線を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の電解コンデンサシートによれば、弁金属シート体の第1の表面が粗化されていることによって、その表面積を増大させ、コンデンサ容量を効果的に増大できる。また、電極を弁金属シート体の面方向に引き出すことなく、弁金属シート体の第1の表面側に第1及び第2引き出し電極を形成したので、コンデンサ形成に必要な配線基板の面積を小さくできる。このため、配線基板内に小さな占有面積で大きなコンデンサ容量を得ることが出来る。
【0016】
本発明の電解コンデンサシートは、弁金属シート体をモールドして表面実装部品の形態としないために、その厚みを弁金属シート体の厚さとほぼ同等とすることが出来る。本発明の電解コンデンサシートの好適な態様では、弁金属シート体の片面の粗化部分を除去することによって、更に薄くすることが出来る。
【0017】
本発明の電解コンデンサシートの好適な態様では、
前記弁金属シート体が、前記第1の表面に対向する、粗化された第2の表面を有し、
前記第2の表面上に形成された第2酸化膜と、該第2酸化膜の表面上に形成された第2固体電解質層と、該第2固体電解質層の表面に形成された第3引き出し電極とを更に備える。
弁金属シート体の第2の表面側にもコンデンサ部分を形成することによって、占有面積当たりのコンデンサ容量を効果的に増大できる。
【0018】
本発明の電解コンデンサシートの好適な態様では、前記第1固体電解質層が、前記開口に隣接する酸化膜の表面部分には形成されない。また、前記第1固体電解質層と前記第1引き出し電極との間を絶縁する絶縁層を更に備える。固体電解質層と第1引き出し電極とをより確実に絶縁できる。
【0019】
本発明の電解コンデンサシートでは、前記弁金属シート体が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、及び、ジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属を含んでもよい。
【0020】
本発明の配線基板によれば、第1及び第2樹脂基板の少なくとも一方が、ガラスクロスを含むことによって、軽くて高い強度を有する配線基板を提供できる。また、ガラスクロスを含む樹脂基板には、ビアホールを狭ピッチで形成できるので、集積率を高めることが出来る。本発明の配線基板は、例えばLSI(Large Scale Integration)のデカップリング用の配線基板として好適に用いることが出来る。
【0021】
本発明の配線基板の好適な態様では、前記第1固体電解質層が、前記開口に隣接する酸化膜の表面部分には形成されない。また、前記固体電解質層と前記第1引き出し電極との間を絶縁する絶縁層を更に備える。
【0022】
本発明の配線基板では、前記弁金属シート体が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、及び、ジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属を含んでもよい。
【0023】
本発明の第1の視点に係る配線基板の製造方法では、ガラスクロスを含む樹脂から成り、前記電解コンデンサシートの少なくとも第1及び第2引き出し電極に対応する位置に窓を有する樹脂基板を前記第1の表面に固定する工程が、ガラスクロスを含む樹脂から成る樹脂基板を第1の表面に形成する工程と、電解コンデンサシートの少なくとも第1及び第2引き出し電極に対応する樹脂基板の位置に窓を形成する工程とを有しても良い。
【0024】
本発明の第2の視点に係る配線基板の製造方法では、ガラスクロスを含む樹脂から成り、前記電解コンデンサシートの少なくとも第1及び第2引き出し電極に対応する位置に窓を有する第1樹脂基板を、前記電解コンデンサシートの第1の表面上に固定する工程が、ガラスクロスを含む樹脂から成る第1樹脂基板を、電解コンデンサシートの第1の表面上に形成する工程と、電解コンデンサシートの少なくとも第1及び第2引き出し電極に対応する第1樹脂基板の位置に窓を形成する工程とを有しても良い。
【0025】
本発明の第2の視点に係る配線基板の製造方法では、本発明の第2の視点に係る電解コンデンサシートの製造方法で電解コンデンサシートを製造する工程に際して、複数の電解コンデンサシートを含む電解コンデンサシート体を製造すると共に、第1樹脂基板を電解コンデンサシートの第1の表面上に固定する工程に先き立ち、且つ、第2樹脂基板を電解コンデンサシート体の第2の表面上に固定する工程に後続して、電解コンデンサシート体をエッチングによって個々の電解コンデンサシートに切断する工程を有してもよい。小さい平面形状を有する電解コンデンサシートを配線基板内に狭ピッチで形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、添付図面を参照し、本発明の実施形態を更に詳しく説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係る電解コンデンサシートの平面図であり、図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。電解コンデンサシート1は、弁金属シート体11を備える。弁金属シート体11の表面は、側面を除いて粗化され凹凸形状を有している。
【0027】
弁金属シート体11の表面には、その上面側における弁金属シート露出領域(第1酸化膜の開口)21を除き、その表面の凹凸に沿って金属酸化膜12が形成されている。弁金属シート体11の上面側であって、金属酸化膜12の表面には、弁金属シート露出領域21周囲の絶縁領域22を除き、固体電解質層13が形成されている。弁金属シート露出領域21の中央には、弁金属シート体11上に、密着電極層14を介して陽極引き出し電極(第1の引き出し電極)15が形成されている。弁金属シート体11の上面側であって、固体電解質層13上の一部には、密着電極層14を介して陰極引き出し電極(第2の引き出し電極)16が形成されている。
【0028】
絶縁領域22は、陽極引き出し電極15と陰極引き出し電極16とを電気的に絶縁するために配設されている。弁金属シート体11がコンデンサの陽極を構成し、固体電解質層13がコンデンサの陰極を構成する。固体電解質層13が形成された部分が、電解コンデンサシート1におけるコンデンサ容量に寄与する。
【0029】
本実施形態の電解コンデンサシート1によれば、弁金属シート体11の表面が凹凸形状を有し、大きな表面積を有する。また、陽極や陰極を弁金属シート体11の面方向に引き出すことなく、陽極引き出し電極15や陰極引き出し電極16を弁金属シート体11の上面側に形成したので、コンデンサ形成に必要な配線基板の面積を小さくできる。このため、配線基板内に小さな占有面積で大きなコンデンサ容量を得ることが出来る。電解コンデンサシート1では、例えば金属酸化膜12の厚みを小さくすることによって、1mm角(□1mm)あたりで0.1μF以上のコンデンサ容量を得ることが可能である。
【0030】
表面が粗化された弁金属シート体11は、金属種によっては、例えば電解コンデンサの陽極シート用としてロール単位で安価に入手できる。従って、電解コンデンサシート1の生産コストを大幅に低減できる。
【0031】
なお、弁金属シート体11の下面の粗化は必ずしも必要ではなく、また、弁金属シート体11の下面側の金属酸化膜12も必ずしも必要ではない。粗化された表面の広い範囲に陰極を形成できるように、固体電解質層13は、形成時の粘度が低いことが望ましい。従って、金属粉末をペースト化した導電体物質よりもポリピロールなどの導電性有機化合物が適している。
【0032】
引き出し電極15、16は電解めっき法や無電解めっき法等で、銅などの電気伝導性に優れた金属を数μm〜十数μmの厚みで形成するとコンデンサの等価直列抵抗(ESR)を低く出来る。引き出し電極15、16は、また、配線基板との接続を良くするために表面にニッケルめっき、金めっきを施すことが望ましい。
【0033】
図3、4は、本発明の第2実施形態に係る電解コンデンサシートの上面図及び下面図であり、図5は、図3、4のV−V線に沿う断面図である。本実施形態の電解コンデンサシート2では、図1、2に示した電解コンデンサシート1の構成に加えて、弁金属シート体11の下面側にも固体電解質層13が形成されている。また、弁金属シート体11の下面側であって、固体電解質層13上の一部には、密着電極層14を介して下面陰極引き出し電極(第3の引き出し電極)17が形成されている。
【0034】
本実施形態の電解コンデンサシート2によれば、弁金属シート体11の下面側にもコンデンサ部分を形成することによって、占有面積当たりのコンデンサ容量を、図1、2の電解コンデンサシート1に比して、ほぼ2倍に出来る。
【0035】
図6は、本発明の第3実施形態に係る電解コンデンサシートの平面図であり、図7は、図6のVII−VII線に沿う断面図である。本実施形態の電解コンデンサシート3は、図1、2に示した電解コンデンサシート1の構成に加えて、陽極引き出し電極15の周囲に樹脂絶縁層18が形成されている。樹脂絶縁層18は、弁金属シート露出領域21及びその周囲に形成されており、外縁が固体電解質層13に接している。固体電解質層13の一部は、樹脂絶縁層18上に形成されている。
【0036】
本実施形態の電解コンデンサシート3によれば、樹脂絶縁層18を形成することによって、固体電解質層13と陽極引き出し電極15とをより確実に絶縁できる。樹脂絶縁層18には、感光性エポキシ樹脂、感光性フェノール樹脂、感光性ポリイミド樹脂、感光性BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂といった感光性樹脂を用いることが好ましい。
【0037】
図8は、本発明の第4実施形態に係る、電解コンデンサシートを内蔵する配線基板の断面図である。本実施形態の配線基板101は、図1、2に示した電解コンデンサシート1を有する。電解コンデンサシート1は、ガラスクロスを含む樹脂基板111上に接着剤113により固定されている。電解コンデンサシート1を覆って樹脂基板111上には、樹脂基板111と同じ材料から成る樹脂シート112が形成されている。樹脂基板111及び樹脂シート112は、電解コンデンサシート1を介した熱圧着によって積層されており、これらを纏めてコア基板114と呼ぶ。
【0038】
樹脂シート112には、電解コンデンサシート1上に形成された陽極引き出し電極15又は陰極引き出し電極16に到達するビアホール115が形成されており、ビアホール115の内部及び樹脂シート112上に連続して、銅めっき等によってビア電極(インナービア)116が形成されている。樹脂シート112上に形成されたビア電極116の部分はランドを構成する。樹脂基板111の下面には、ダミーのグランドパターン123が形成されている。
【0039】
ビア電極116を覆ってコア基板114の上面側には、ビルドアップ樹脂層117が形成されている。ビルドアップ樹脂層117は、電解コンデンサシート1に発生する応力を軽減するために形成し、弾性率の小さな樹脂で構成する。また、樹脂基板111及び樹脂シート112のようにガラスクロスを含む必要はない。ビルドアップ樹脂層117には、ビア電極116に到達するビアホール119が形成されており、ビアホール119の内部及びビルドアップ樹脂層117上に連続して、ビア電極120が形成されている。ビルドアップ樹脂層117上に形成されたビア電極120の部分はランドを構成する。
【0040】
配線基板101の反りを小さくするために、コア基板114の下面側にもビルドアップ樹脂層118が形成されており、ビルドアップ樹脂層118にもビアホール119及びビア電極120が形成されている。ビア電極120はグランドパターン123に接続している。ビルドアップ樹脂層117にはコア基板114よりも狭ピッチで微細な配線パターンを形成する必要があるため、ビルドアップ樹脂層117の厚みは樹脂シート112よりも小さい方が好ましい。
【0041】
図9は、本発明の第5実施形態に係る、電解コンデンサシートを内蔵する配線基板の断面図である。本実施形態の配線基板102は、樹脂シート112が形成されておらず、電解コンデンサシート1を覆って樹脂基板111上にビルドアップ樹脂層117が形成されている点において、図8に示した配線基板101と異なる。樹脂基板111及びビルドアップ樹脂層117は、電解コンデンサシート1を介した熱圧着によって積層されている。ビルドアップ樹脂層117のビアホール119は、電解コンデンサシート1上に形成された陽極引き出し電極15又は陰極引き出し電極16に到達している。
【0042】
本実施形態の配線基板102では、樹脂シート112を省いたので、インナービアを介することなくビア電極120を陽極引き出し電極15又は陰極引き出し電極16に直接に接続できる。なお、LSIの信号線、電源線、又は、グランド線の引き回しが複雑である場合には、2層以上のビルドアップ樹脂層を積層してもよい。ビルドアップ樹脂層117は、樹脂基板111及び樹脂シート112よりも薄いことが多いので、本実施形態は、電解コンデンサシート1の厚みが、接着剤113を除き、概ね100μm以下、好ましくは80μm以下の場合に好適である。
【0043】
図10は、本発明の第6実施形態に係る、電解コンデンサシートを内蔵する配線基板の断面図である。本実施形態の配線基板103は、図3〜5に示した電解コンデンサシート2を有する。樹脂基板111にはビア121が形成され、樹脂基板111の上面にはビア121に接続してパッド122が形成されている。また、ビア121の底部は樹脂基板111の下面に形成されたグランドパターン123に接続している。パッド122は、電解コンデンサシート2の下面陰極引き出し電極17に接続し、グランドパターン123は、ビルドアップ樹脂層118に形成されたビア電極120に接続している。
【0044】
本実施形態の配線基板103では、弁金属シート体11の下面側もコンデンサとして利用することによって、占有面積当たりのコンデンサ容量を、図8、9の電解コンデンサシート1に比して、ほぼ2倍に出来る。
【0045】
なお、グランドパターン123はコア基板114を貫通するビアを介して、コア基板114の上面や配線基板103の上面に引き出してもよい。また、図9に示したように、電解コンデンサシート2を覆って樹脂基板111上にビルドアップ樹脂層が形成されてもよい。更に、電解コンデンサシート2の下面に形成された固体電解質層13の上にカバー樹脂層を形成し、このカバー樹脂層と樹脂基板111の上面とを接着剤113で固定してもよい。
【0046】
図11は、本発明の第7実施形態に係る、電解コンデンサシートを内蔵する配線基板について、陽極引き出し電極15付近を拡大して示す断面図である。本実施形態の配線基板104は、図6、7に示した電解コンデンサシート3を有する。電解コンデンサシート3を覆って樹脂基板111上には、樹脂基板111と同じ材料から成る樹脂シート112が形成されている。
【0047】
樹脂絶縁層18には、第3実施形態と同様に、感光性エポキシ樹脂、感光性フェノール樹脂、感光性ポリイミド樹脂、感光性BCB(ベンゾシクロブテン)樹脂といった感光性樹脂を用いることが好ましい。感光性ポリイミド樹脂、又は、感光性BCB樹脂は硬化に際して300℃又はそれ以上の温度が必要であることが多く、弁金属シート体11が酸化し、又は、固体電解質層13が分解する可能性がある。従って、より低温で硬化する感光性エポキシ樹脂、又は、感光性フェノール樹脂がより好ましい。
【0048】
なお、本実施形態では、ガラスクロスを含む樹脂シート112に代えて、図9に示したように、電解コンデンサシート3を覆って樹脂基板111上にビルドアップ樹脂層が形成されてもよい。また、図10に示したように、電解コンデンサシートの下面側が図5に示した電解コンデンサシート2と同様であり、その下面陰極引き出し電極が、グランドパターンに電気的に接続されたパッドに接続した構成であってもよい。
【0049】
図12A〜図12Jは、図8に示した配線基板101を製造する各製造段階を順次に示す断面図である。先ず、図12Aに示すように、表面を粗化した弁金属シート体11の表面に、陽極酸化法などによって金属酸化膜12を形成する(図12B)。金属酸化膜12は数十nm〜数百nmの厚みに形成する。次いで、コンデンサ形成領域23の外側及び弁金属シート露出領域21の金属酸化膜12を化学エッチング法で選択的に除去する(図12C)。金属酸化膜12の除去に際しては、予めドライレジストを表面に貼付し、フォトリソグラフ法でレジストパターンを形成してから化学エッチングを行うとより微細なパターニングを行うことが出来る。
【0050】
引き続き、弁金属シート体11の上面側であって、エッチング除去せずに残した金属酸化膜12上に選択的に固体電解質層13を形成する(図12D)。固体電解質層13には、硫酸を含浸させた二酸化マンガンのような粉体よりもポリピロールのような導電性有機化合物の方が適している。固体電解質層13を選択的に形成するには、メッシュスクリーンやメタルマスクを用いた印刷法が適している。次いで、めっき法などで陽極引き出し電極15及び陰極引き出し電極16を形成する(図12E)。陽極引き出し電極15は、弁金属シート露出領域21の中央における弁金属シート体11上に、陰極引き出し電極16は、固体電解質層13上にそれぞれ形成する。
【0051】
次いで、弁金属シート体11を含むシート体を、ガラスクロスを含む樹脂から成る樹脂基板111上に接着剤113を介して貼付する(図12F)。同図の例では、樹脂基板111の下面には、ダミーのグランドパターン123が形成してある。引き続き、コンデンサ形成領域23の外側の弁金属シート体11を化学エッチング法で除去することにより電解コンデンサシート1を得る(図12G)。
【0052】
次いで、樹脂基板111と同じ材料からなる樹脂シート112を用意し、樹脂シート112に電解コンデンサシート1の平面形状に合わせて切欠き131を形成する(図12H)。引き続き、電解コンデンサシート1を覆って樹脂基板111上に樹脂シート112を積層、熱圧着して一体化する。これによって、電解コンデンサシート1を収容する樹脂基板111及び樹脂シート112から成るコア基板114を形成する。
【0053】
更に、樹脂シート112の上面から陽極引き出し電極15又は陰極引き出し電極16に到達するビアホール115をレーザで開孔した後、銅めっき法などのメタライズによって、ビアホール115の内部及び樹脂シート112の表面に連続するビア電極116を形成する(図12I)。
【0054】
次いで、樹脂基板111とは異なる材料からなるビルドアップ樹脂層117,118をコア基板114の上下に積層、熱圧着して一体化する(図12J)。引き続き、ビルドアップ樹脂層117の上面又はビルドアップ樹脂層118の下面からビア電極116のランド部分に到達するビアホール119をレーザで開孔した後、メタライズによって、ビアホール119の内部及び樹脂シート112の表面に連続するビア電極120を形成する。これによって、内蔵する電解コンデンサシート1の電極に接続するランドを形成し、図8に示した、電解コンデンサシート1を内蔵する配線基板101を製造する。
【0055】
本製造方法によれば、弁金属シート体11を含むシート体を樹脂基板111に貼付した後に、不要な箇所をエッチングで除去するので、小さい平面形状を有する電解コンデンサシート1を配線基板101内に狭ピッチで形成できる。また、電解コンデンサシート1を樹脂基板111上に個々に搭載する必要が無いので、製造プロセスを簡素化できる。
【0056】
図13は、図9に示した配線基板102を製造する一製造段階を示す断面図である。図12A〜図12Jに示した製造段階のうち、図12A〜図12Gは本製造方法と共通である。図12Gに後続して、樹脂基板111の上面及び下面から、樹脂基板111とは異なる材料から成るビルドアップ樹脂層117,118を積層、熱圧着して一体化する(図13)。
【0057】
次いで、ビルドアップ樹脂層117の上面及びビルドアップ樹脂層118の下面からレーザで陽極引き出し電極15、陰極引き出し電極16、又は、グランドパターン123に到達するビアホール115を開孔した後、ビアホール115の内部及びビルドアップ樹脂層117,118上に連続してビア電極116を形成する。これによって、内蔵する電解コンデンサシート1の電極に接続するランドを形成し、図9に示した、電解コンデンサシートを内蔵する配線基板102を製造する。
【0058】
本製造方法によれば、電解コンデンサシート1上にビルドアップ樹脂層117を直接に積層するので、図12A〜図12Jに示した製造方法に比して、厚みの小さな配線基板を製造できる。なお、ビルドアップ樹脂層117の厚みは樹脂シート112の厚みよりも小さいことが多いため、電解コンデンサシート1は、図12A〜図12Jに示した製造方法よりも小さな厚みに形成することが好ましい。
【0059】
図14A〜図14Gは、図10に示した配線基板103を製造する各製造段階を順次に示す断面図である。図12A〜図12Jに示した製造段階のうち、図12A〜図12Cは本製造方法と共通である。図12Cに後続して、上面側及び下面側の金属酸化膜12上に固体電解質層13を形成する(図14A)。引き続き、上面側に陽極引き出し電極15及び陰極引き出し電極16を、下面側に下面陰極引き出し電極17をそれぞれ形成する(図14B)。陽極引き出し電極15は、弁金属シート露出領域21の中央における弁金属シート体11上に、陰極引き出し電極16及び下面陰極引き出し電極17は、固体電解質層13上にそれぞれ形成する。
【0060】
次いで、樹脂基板111を用意する。樹脂基板111には、基板を貫通するビア121と、上面でビア121に接続するパッド122、及び、下面でビア121に接続するグランドパターン123とを予め形成しておく。引き続き、弁金属シート体11を含むシート体の下面を、樹脂基板111上に固定する。シート体の固定に際しては、下面陰極引き出し電極17を導電性樹脂等を用いてパッド122に電気的に接続すると共に、それ以外の箇所は接着剤113を介して接着する(図14C)。
【0061】
接着剤113の厚みは、下面陰極引き出し電極17の厚みを吸収できる大きさを有する必要がある。従って、樹脂基板111上への接着剤113の形成に際して、液状の接着剤をディスペンサ等で供給する方法は相応しくなく、ペースト状の接着剤又はダイボンディングシートのような固形の接着剤を用いることが好ましい。引き続き、コンデンサ形成領域23の外側の弁金属シート体11を化学エッチング法で除去することにより電解コンデンサシート2を得る(図14D)。以下、図14E〜図14Gにおいて、図12H〜図12Jと同様の手順を行うことによって、図10に示した、電解コンデンサシート2を内蔵する配線基板103を製造する。
【0062】
本製造方法によれば、電解コンデンサシート2の下面側もコンデンサとして利用できるので、上面側のみをコンデンサとして利用する例に比して、占有面積当たりの容量を約2倍にできる。
【0063】
図15A〜図15Hは、図11に示した配線基板104を製造する各製造段階を順次に示す断面図である。図12A〜図12Jに示した製造段階のうち、図12A〜図12Cは本製造方法と共通である。図12Cに後続して、弁金属シート露出領域21の中央における弁金属シート体11上に、陽極引き出し電極15を形成する(図15A)。
【0064】
引き続き、陽極引き出し電極15、陽極引き出し電極15周りの弁金属シート露出領域21、及び、金属酸化膜12の一部を覆う樹脂絶縁層18を形成した後、樹脂絶縁層18の一部を開口し、陽極引き出し電極15の一部を露出させる(図15B)。樹脂絶縁層18の開口に際しては、感光性樹脂を用いることが好ましい。感光性樹脂としては、感光性エポキシ樹脂や感光性フェノール樹脂が好ましい。なお、樹脂絶縁層18に非感光性樹脂を用いてレーザで開口してもよい。
【0065】
弁金属シート体11の上面側における金属酸化膜12上に固体電解質層13を形成した後、固体電解質層13上に陰極引き出し電極16を形成する(図15C)。固体電解質層13の形成に際しては、その一部が樹脂絶縁層18を覆っても構わない。
【0066】
弁金属シート体11を含むシート体を、ガラスクロスを含んだ樹脂からなる樹脂基板111に接着剤113を介して貼付した後(図15D)、コンデンサ形成領域23の外側の弁金属シート体11を化学エッチング法で除去することにより電解コンデンサシート3を得る(図15E)。以下、図15F〜図15Hにおいて、図12H〜図12Jと同様の手順を行うことによって、図11に示した、電解コンデンサシート3を内蔵する配線基板104を製造する。
【0067】
本製造方法によれば、樹脂絶縁層18によって、陽極引き出し電極15と固体電解質層13とをより確実に絶縁でき、電解コンデンサシート3又は配線基板104の信頼性を向上できる。
【0068】
図16は、第3実施形態の変形例に係る電解コンデンサシートの平面図であり、図17は、図16のXVII−XVII線に沿う断面図である。電解コンデンサシート4は、図6、7に示した第3実施形態の電解コンデンサシート3において、樹脂絶縁層18が陽極引き出し電極15の周囲だけでなく、陰極引き出し電極16を除いて、弁金属シート体11の上面側の全面に形成されている。樹脂絶縁層18は、固体電解質層13を覆って形成されている。
【0069】
本変形例の電解コンデンサシート4では、樹脂絶縁層18が陰極引き出し電極16を除く上面側の全面に形成されているため、電解コンデンサシート4を保護する保護膜としても機能する。なお、電解コンデンサシート4の下面側に固体電解質層13及び下面陰極引き出し電極17を形成してもよく、更に、下面陰極引き出し電極17を除き下面側の固体電解質13上に樹脂絶縁層18を形成してもよい。
【0070】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の電解コンデンサシート及び配線基板、並びに、それらの製造方法は、上記実施形態の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の第1実施形態に係る電解コンデンサシートの平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る電解コンデンサシートの上面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る電解コンデンサシートの下面図である。
【図5】図3、4のV−V線に沿う断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る電解コンデンサシートの平面図である。
【図7】図6のVII−VII線に沿う断面図である。
【図8】本発明の第4実施形態に係る配線基板の断面図である。
【図9】本発明の第5実施形態に係る配線基板の断面図である。
【図10】本発明の第6実施形態に係る配線基板の断面図である。
【図11】本発明の第7実施形態に係る配線基板の断面図である。
【図12A】図8に示した配線基板を製造する一製造段階を示す断面図である。
【図12B】図12Aに後続する製造段階を示す断面図である。
【図12C】図12Bに後続する製造段階を示す断面図である。
【図12D】図12Cに後続する製造段階を示す断面図である。
【図12E】図12Dに後続する製造段階を示す断面図である。
【図12F】図12Eに後続する製造段階を示す断面図である。
【図12G】図12Fに後続する製造段階を示す断面図である。
【図12H】図12Gに後続する製造段階を示す断面図である。
【図12I】図12Hに後続する製造段階を示す断面図である。
【図12J】図12Iに後続する製造段階を示す断面図である。
【図13】図9に示した配線基板を製造する一製造段階を示す断面図である。
【図14A】図10に示した配線基板の一製造段階を示す断面図である。
【図14B】図14Aに後続する製造段階を示す断面図である。
【図14C】図14Bに後続する製造段階を示す断面図である。
【図14D】図14Cに後続する製造段階を示す断面図である。
【図14E】図14Dに後続する製造段階を示す断面図である。
【図14F】図14Eに後続する製造段階を示す断面図である。
【図14G】図14Fに後続する製造段階を示す断面図である。
【図15A】図11に示した配線基板の一製造段階を示す断面図である。
【図15B】図15Aに後続する製造段階を示す断面図である。
【図15C】図15Bに後続する製造段階を示す断面図である。
【図15D】図15Cに後続する製造段階を示す断面図である。
【図15E】図15Dに後続する製造段階を示す断面図である。
【図15F】図15Eに後続する製造段階を示す断面図である。
【図15G】図15Fに後続する製造段階を示す断面図である。
【図15H】図15Gに後続する製造段階を示す断面図である。
【図16】第3実施形態の変形例に係る電解コンデンサシートの平面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1〜4:電解コンデンサシート
11:弁金属シート体
12:金属酸化膜
13:固体電解質層
14:密着電極層
15:陽極引き出し電極(第1の引き出し電極)
16:陰極引き出し電極(第2の引き出し電極)
17:下面陰極引き出し電極(第3の引き出し電極)
18:樹脂絶縁層
21:弁金属シート露出領域
22:絶縁領域
23:コンデンサ形成領域
101〜104:配線基板
111:樹脂基板
112:樹脂シート
113:接着剤
114:コア基板
115:ビアホール
116:ビア電極(インナービア)
117:ビルドアップ樹脂層
118:ビルドアップ樹脂層
119:ビアホール
120:ビア電極
121:ビア
122:パッド
123:グランドパターン
131:切欠き

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の表面が粗化された弁金属シート体と、前記第1の表面上に形成された第1酸化膜と、該第1酸化膜の開口内で前記第1の表面に導通する第1引き出し電極と、前記第1酸化膜の表面上に形成された第1固体電解質層と、該第1固体電解質層の表面に形成された第2引き出し電極とを有することを特徴とする電解コンデンサシート。
【請求項2】
前記弁金属シート体が、前記第1の表面に対向する、粗化された第2の表面を有し、
前記第2の表面上に形成された第2酸化膜と、該第2酸化膜の表面上に形成された第2固体電解質層と、該第2固体電解質層の表面に形成された第3引き出し電極とを更に備える、請求項1に記載の電解コンデンサシート。
【請求項3】
前記第1固体電解質層が、前記開口に隣接する酸化膜の表面部分には形成されない、請求項1又は2に記載の電解コンデンサシート。
【請求項4】
前記第1固体電解質層と前記第1引き出し電極との間を絶縁する絶縁層を更に備える、請求項1又は2に記載の電解コンデンサシート。
【請求項5】
前記弁金属シート体が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、及び、ジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む、請求項1〜4の何れか一に記載の電解コンデンサシート。
【請求項6】
請求項1に記載の電解コンデンサシートと、
前記電解コンデンサシートの前記第1及び第2の表面にそれぞれ固定される第1及び第2樹脂基板であって、前記電解コンデンサシートを双方の間に挟む第1及び第2樹脂基板とを備え、
前記第1及び第2樹脂基板の少なくとも一方は、ガラスクロスを含み、
前記第1及び第2引き出し電極は、前記第1樹脂基板を貫通するビアプラグを介して前記第1樹脂基板の表面上に形成された配線層に接続されることを特徴とする配線基板。
【請求項7】
請求項2に記載の電解コンデンサシートと、
前記電解コンデンサシートの前記第1及び第2の表面にそれぞれ固定される第1及び第2樹脂基板であって、前記電解コンデンサシートを双方の間に挟む第1及び第2樹脂基板とを備え、
前記第1及び第2樹脂基板の少なくとも一方は、ガラスクロスを含み、
前記第1及び第2引き出し電極は、前記第1樹脂基板を貫通するビアプラグを介して前記第1樹脂基板の表面上に形成された配線層に接続され、
前記第3引き出し電極は、前記第2樹脂基板を貫通するビアプラグを介して、前記第2樹脂基板の表面に形成される配線層に接続されることを特徴とする配線基板。
【請求項8】
前記第1固体電解質層が、前記開口に隣接する酸化膜の表面部分には形成されない、請求項6又は7に記載の配線基板。
【請求項9】
前記第1固体電解質層と前記第1引き出し電極との間を絶縁する絶縁層を更に備える、請求項6又は7に記載の配線基板。
【請求項10】
前記弁金属シート体が、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、及び、ジルコニウムから成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む、請求項6〜9の何れか一に記載の配線基板。
【請求項11】
電解コンデンサシートを製造する方法であって、
弁金属シート体の少なくとも第1の表面を粗化する工程と、
前記第1の表面上に、陽極酸化法を用いて金属酸化膜を形成する工程と、
前記金属酸化膜を選択的に除去して開口を形成する工程と、
前記金属酸化膜の表面に固体電解質層を形成する工程と、
前記金属酸化膜の開口内で前記弁金属シート体の第1の表面に導通する第1引き出し電極と、前記固体電解質層の表面に接する第2引き出し電極とをそれぞれ形成する工程と、を有することを特徴とする電解コンデンサシートの製造方法。
【請求項12】
電解コンデンサシートを製造する方法であって、
弁金属シート体の第1及び第2の表面を粗化する工程と、
前記第1及び第2の表面上に、陽極酸化法を用いて金属酸化膜を形成する工程と、
前記第1の表面上に形成された金属酸化膜を選択的に除去して開口を形成する工程と、
前記金属酸化膜の表面に固体電解質層を形成する工程と、
前記金属酸化膜の開口内で前記弁金属シート体の第1の表面に導通する第1引き出し電極と、前記第1の表面の上部に形成された固体電解質層の表面に接する第2引き出し電極と、前記第2の表面の上部に形成された固体電解質層の表面に接する第3引き出し電極とを形成する工程と、を有することを特徴とする電解コンデンサシートの製造方法。
【請求項13】
電解コンデンサシートを有する配線基板を製造する方法であって、
請求項11に記載の方法で電解コンデンサシートを製造する工程と、
ガラスクロスを含む樹脂から成り、前記電解コンデンサシートの少なくとも第1及び第2引き出し電極に対応する位置に窓を有する樹脂基板を前記第1の表面に固定する工程と、
前記第1及び第2引き出し電極に接続し、前記窓を経由して前記樹脂基板の表面上に延びる配線を形成する工程と、を有することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項14】
電解コンデンサシートを有する配線基板を製造する方法であって、
請求項12に記載の方法で電解コンデンサシートを製造する工程と、
ガラスクロスを含む樹脂から成り、前記電解コンデンサシートの少なくとも第1及び第2引き出し電極に対応する位置に窓を有する第1樹脂基板を、前記電解コンデンサシートの第1の表面上に固定する工程と、
ガラスクロスを含む樹脂から成り、前記電解コンデンサシートの少なくとも第3引き出し電極に対応する位置に電極パッドを有する第2樹脂基板を、前記電解コンデンサシートの第2の表面上に固定する工程と、
前記第1及び第2引き出し電極に接続し、前記窓を経由して前記第1樹脂基板の表面上に延びる配線を形成する工程と、を有することを特徴とする配線基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【図12I】
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【図12J】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図14G】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【図15E】
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【図15F】
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【図15G】
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【図15H】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−235545(P2008−235545A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−72620(P2007−72620)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】