説明

電解加工による導電性膜の除去方法及び電解加工装置

【課題】ウェハ表面の導電性膜の通電不良による加工残りを無くし、ウェハ全面に安定して電流を供給して導電性膜を除去し、既に加工された導電性膜の腐食を防止する。
【解決手段】ウェハWの外周部に複数のウェハチャック41〜46を着脱可能に取り付け、各ウェハチャック41〜46に電解加工時にウェハWと接触する給電電極を設ける。加工ヘッド3はアーム6によりウェハWの半径方向に移動可能に保持し、加工ヘッド3をウェハWの中心から外周部に向かって移動させながら、常に均等な電気を供給してウェハW表面の導電性膜Mを除去する。又、既に電解加工が終了した部分から、導電性膜を保護する表面保護用の酸化防止剤53を塗布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電解加工による導電性膜の除去方法及び電解加工装置に関するものであり、特に、ウェハ表面の導電性膜を電解研磨により除去する電解加工による導電性膜の除去方法及び電解加工装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種電解加工装置においては、前記ウェハと加工電極の間に電解液を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面に形成された導電性膜全域を同時に電解研磨にて除去している。しかし、ウェハ表面の導電性膜全域を同時に除去した場合、該導電性膜全域を均一に除去することはできない。
【0003】
従来装置において、ウェハ外周部の導電性膜を最初に除去し、その後、ウェハ内周部の導電性膜を除去した場合は、ウェハの内周部には電気が十分に供給されないので、ウェハ内周部の導電性膜を完全に均一に除去することができず、導電性膜の一部に取り残しが起こる。
【0004】
そこで、電解加工を行う際に、予めウェハ表面の導電性膜の厚さを測定して所望の除去加工量を算出し、該算出値に基づいて加工電極の移動速度を割り出して電解加工を行う方法が提案されている。この場合、加工電極を流れる電流などを測定器で計測し、該計測値を参照して所望の除去加工量を見積もっている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【特許文献1】特開2002−93761号公報
【特許文献2】特開2003−205428号公報
【特許文献3】特開2003−266245号公報
【特許文献4】特開2006−135045号公報
【特許文献5】米国特許第7084064号
【特許文献6】米国特許第6004880号
【特許文献7】特開2004−209588号公報
【特許文献8】特開2004−111940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術、例えば特許文献6、7、8等においては、ウェハ全面を同時に加工する技術が開示されているが、必ずしも全面完全に均一に研磨されるとは限らない。そのためウェハ面内のどこかが速く研磨され、どこかが遅く研磨されることになる。仮に、比較的電極に近いウェハ外周部分が速く研磨された場合、導電性の膜が途中で断絶してしまうため、ウェハ中央部に残された導電性膜を電解加工によって加工することはできなくなる。結果的に、ウェハ中心部の導電性膜が削り残りとして残存することとになる。
【0006】
従来技術において、例えば、特許文献4や5などは、ウェハ表面全面から電流を供給されるようになっているため、上記のような原理的に研磨残りが生じてしまう問題は生じない。しかし、ウェハ表面に供給される電流は、パッドとウェハ間で摺動した状態で供給されるため、安定した供給にならない。場所によっては、接触抵抗が大きくなったり、または接触点として接触する部分がまばらになったりするため、やはりウェハ全面にくまなく均一に安定して電流が供給されることはなく、非常にウェハ面内でばらついた研磨が行われる。
【0007】
また、電極をウェハに対してスキャンさせる方法が特許文献1〜3に開示されている。
しかし、この場合ウェハ面内で順番に加工が進行するが、既に電解加工が完了した部分も電解液に晒されることになる。電解加工は行われないまでも、一部電解加工が終わった部分の銅表面が荒らされたり、或いは、酸化することにより変質してくる場合がある。そのようなことから、部分的に加工を行いながら、全面を加工していく場合、加工後のウェハ表面が改質してくることを防ぐための保護手段を講ずる必要であった。
【0008】
そこで、電解加工において、ウェハ表面の導電性膜の通電不良による加工残りを無くすとともに、ウェハ全面に安定して電流を供給することで均一に導電性膜を除去し、既に加工された導電性膜の腐食を防止するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、導電性膜を形成したウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、該ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、前記ウェハと加工電極との間に電解液を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工による導電性膜の除去方法において、前記ウェハの外周部に複数の給電電極を取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら前記導電性膜をウェハ中心部から除去するとともに、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布することを特徴とする電解加工による導電性膜の除去方法を提供する。
【0010】
この方法によれば、加工電極をウェハに取り付ける際は、前記ウェハ外周部に複数の給電電極を取り付け、各給電電極からウェハの中心に向けて電気を供給する。又、加工ヘッドの加工電極はウェハ中心の導電性膜に近接対向させて、該ウェハと加工電極との間に電解液を供給しつつ電解加工を行う。この場合、該加工電極はウェハの中心から外周部に向かって移動させて、導電性膜をウェハ中心部から順次除去する。また、電解加工が終了した部分は電解液にそのまま晒されることなく、電解加工終了と同時に表面保護用の液体を塗布していく。
【0011】
請求項2の発明は、上記表面保護用の液体の塗布方法が、固体表面ないしは界面に前記表面保護用の液体を含ませて、該固体を上記ウェハ表面に接触させるか、或いは、液滴が生じない程度に該ウェハ表面近接させて毛細管現象の原理ないしは界面張力を利用して、上記ウェハ表面の導電性膜に前記表面保護用の液体を塗布することを特徴とする請求項1記載の電解加工による導電性膜の除去方法を提供する。
【0012】
この方法によれば、ウェハ中央部付近に極少量の導電性膜の保護膜用の液体を塗布することが可能になるため、その表面保護用の液体はウェハ中央部付近に留まる。ウェハの外周部で電解加工を行っている場合でも、ウェハ外周部で供給されている電解液と混合することは無く、電解加工部に悪影響を及ぼさない。
【0013】
ここで、上記「塗布する」という用語の意味を定義する。即ち、本発明に係る「塗布する」とは、ある固体の表面から別の固体の表面に表面保護用の液体を移送して塗布することと定義する。この際、ある固体と別の固体は接触してもよいが、互いに近接させても構わない。ただし、本明細書において「近接」とは、表面保護用の液体が移送される固体表面から、その表面保護用の液体が液滴となって離れて落ちない程度の距離を有する近接であると定義する。
【0014】
これによって、表面保護用の液体がある固体表面の界面張力ないしは毛細管現象の原理によって保持されて薄く引き延ばされ、その状態で別の固体表面に液滴を形成することな
く供給される。その結果、表面保護用の液体は、過剰に供給されることなく、導電性膜の表面を保護するのに必要な最小量で供給される。
【0015】
請求項3の発明は、上記表面保護用の液体が撥水性の液体であることを特徴とする請求項1又は2記載の電解加工による導電性膜の除去方法を提供する。
【0016】
この方法によれば、導電性膜を保護する表面保護用の液体が撥水性の液体であるので、該表面保護用の液体が電解液と互いに混ざり合う虞がない。
【0017】
請求項4記載の発明は、導電性膜を表面に形成して成るウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、前記ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、該ウェハと加工電極との間に電解液を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工装置おいて、前記ウェハの外周部に複数の給電電極を着脱可能に取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの半径方向に移動可能に設け、電解加工中、該加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら前記導電性膜をウェハ中心から除去するように構成し、電解加工中、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布する機構を有することを特徴とする電解加工装置を提供する。
【0018】
この構成によれば、加工電極をウェハに取り付ける際は、前記ウェハ外周部に複数の給電電極を取り付け、各給電電極からウェハの中心に向けて電気を供給する。又、加工ヘッドの加工電極はウェハ中心の導電性膜に近接対向させて、該ウェハと加工電極との間に電解液を供給しつつ電解加工を行う。この場合、該加工電極はウェハの中心から外周部に向かって移動させて、導電性膜をウェハ中心部から順次除去する。また、電解加工が終了した部分は、電解液にそのまま晒されることなく、電解加工終了と同時に表面保護用の液体を塗布していく。
【0019】
請求項5の発明は、導電性膜を表面に形成してなるウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、該ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、該ウェハと加工電極との間に電解液を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工装置おいて、前記ウェハの外周部に複数の給電電極を取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの半径方向に移動可能に設け、電解加工中、該加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら該導電性膜をウェハ中心から除去するように構成し、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布する塗布機構を有し、該塗布機構は、表面保護用の液体を固体に含ませて、該固体を上記ウェハ表面に接触させるか、或いは、液滴が生じない程度に該ウェハ表面近接させて毛細管現象の原理ないしは界面張力を利用して、上記ウェハ表面の導電性膜に前記表面保護用の液体を塗布するように構成したことを特徴とする電解加工装置を提供する。
【0020】
この構成によれば、上記請求項4記載の発明と同様の作用を有し、加えて、ウェハ中央部付近に極少量の導電性膜の保護膜用の液体を塗布することが可能になるため、その表面保護用の液体はウェハ中央部付近に留まる。ウェハの外周部で電解加工を行っている場合でも、ウェハ外周部で供給されている電解液と混合することは無く、電解加工部に悪影響を及ぼさない。
【0021】
斯くして、表面保護用の液体がある固体表面の界面張力ないしは毛細管現象の原理によって保持されて薄く引き延ばされ、その状態で別の固体表面に液滴を形成することなく供給される。その結果、表面保護用の液体は、過剰に供給されることなく、電解加工の終了部分を保護するのに必要な最小量で供給される。
【0022】
請求項6の発明は、導電性膜を表面に形成して成るウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、該ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、該ウェハと加工電極との間に電解液を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工装置において、前記ウェハの外周部に複数の給電電極を取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの半径方向に移動可能に設け、電解加工中、該加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら該導電性膜をウェハ中心から除去するように構成し、更に、前記ウェハの回転軸が傾斜して形成され、該傾斜したウェハ上で、該ウェハの下側略半分領域に前記電解液が供給される機構を有し、該ウェハの下側略半分領域に前記加工ヘッドが配置され、電解加工中に、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布する機構を有することを特徴とする電解加工装置を提供する。
【0023】
この構成によれば、上記請求項4及び5記載の発明と同様の作用を有し、加えて、電解液はウェハの傾斜に沿ってウェハ中心部へ移動することなく、そのまま下方へ流されるが、導電性膜を保護する表面保護用の液体は、電解加工後のウェハ中心部に残ることになる。従って、表面保護用の液体は、供給される量が非常に微量であるため、下方へ流れ出すことは無く、その位置に留まる。
【0024】
請求項7の発明は、導電性膜を表面に形成して成るウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、該ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、該ウェハと加工電極との間に電解液を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工装置おいて、前記ウェハの外周部に複数の給電電極を取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの半径方向に移動可能に設け、電解加工中、該加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら前記導電性膜をウェハ中心から除去するように構成し、ウェハの回転軸が傾斜して形成され、該傾斜したウェハ上で、該ウェハの下側略半分領域に電解液が供給される機構を有し、該ウェハの下側略半分領域に前記加工ヘッドが配置され、電解加工中に、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布する機構を有し、更に、該表面保護用の液体は、前記電解液よりも高い粘性を有し、前記ウェハが傾斜した状態で回転しても、前記電解液と該膜保護用とが互いに混ざることがないように構成されていることを特徴とする電解加工装置を提供する。
【0025】
この構成によれば、上記請求項4,5及び6記載の発明と同様の作用を奏し、電解液はウェハの傾斜に沿ってウェハ中心部へ行くことなく、そのまま下方へ流されるが、導電性膜を保護する表面保護用の液体は、電解加工後のウェハ中心部に残ることになる。また、表面保護用の液体は、電解液と比べて供給される量が非常に微量であるばかりか粘性が高いために、下方へ流れ出すことは無くその位置に留まる。
【0026】
請求項8記載の発明は、上記複数の各給電電極と上記加工電極との間の電気抵抗はテスタにより個別に検出され、該検出値に基づいて各給電電極による上記ウェハへの通電量が所定値になるように制御されていることを特徴とする請求項4,5,6又は7記載の電解加工装置を提供する。
【0027】
この構成によれば、電解加工中、複数の各給電電極と上記加工電極との間の電気抵抗は、テスタにより個別にリアルタイムで検出し、該検出された電気抵抗に基づいて、各給電電極によるウェハへの通電量が互いに同等になるように制御される。従って、前記導電性膜の除去加工に伴いウェハの電気抵抗が変化しても、該導電性膜の除去加工部には常に一定の通電量が供給される。
【0028】
請求項9の発明は、上記表面保護用の液体が撥水性の液体であることを特徴とする請求項4,5,6,7又は8記載の電解加工装置を提供する。
【0029】
この構成によれば、表面保護用の液体と電解液とが互いに混ざり合う虞がない。
【発明の効果】
【0030】
請求項1記載の発明は、導電性膜の除去領域はウェハと同心円状を描きつつウェハの外周部へ拡がるように形成されることにより、ウェハ中心部に加工残しが生じることなく、ウェハ中心部から順次電解加工が進行するため、結果として最終的にウェハ全面に亘って、均一に電解加工することができる。また、電解加工が終了した部分は、電解液にそのまま晒されることなく、電解加工終了と同時に表面保護用の液体を塗布していくので、電解加工終了後の配線材料などが酸化や腐食することなく、安定した状態のままで保護することができる。
【0031】
更に、電解加工中、ウェハ全面における導電性膜の除去加工部に十分な通電量を供給でき、且つ、ウェハ外周上の複数の等間隔地点からウェハ中心側に均等な通電量を安定供給できるので、従来に比べて前記導電性膜全域を完全かつ均一に除去することができる。又、前記導電性膜の除去加工部に一様な電気量が常に流れるので、該導電性膜の取り残し、或いは、導電性膜の削り過ぎによるディッシング、エロージョン、リセス等の発生を無くすことができる。
【0032】
請求項2の発明は、表面保護用の液体はウェハ中央部付近に留まるので、外周部で電解加工を行っていても、ウェハ外周部で供給されている電解液と混合することは無く、電解加工部に悪影響を及ぼさない。また、表面保護用の液体は、過剰に供給されることなく、電解加工の終了部分を保護するのに必要な最小量で供給されるため、表面保護用の液体を効率良く電解加工の終了部分に供給することが可能となる。
【0033】
請求項3記載の発明は、表面保護用の液体と電解液とが互いに混ざり合う虞がないので、請求項1又は2記載の発明の効果に加えて、電解液の成分が変化して電解加工自体が安定して行われなくなるという問題が解消する。
【0034】
請求項4記載の発明は、導電性膜の除去領域はウェハと同心円状を描きつつウェハの外周部へ拡がるように形成されることにより、ウェハ中心部に加工残しが生じることなく、ウェハ中心部から順次電解加工が進行するため、結果として最終的にウェハ全面に亘って、均一に電解加工することができる。また、電解加工が終了した部分は、電解液にそのまま晒されることなく、電解加工終了と同時に表面保護用の液体を塗布していくので、電解加工終了後の配線材料などが酸化や腐食することなく、安定した状態のままで保護することができる。
【0035】
更に、電解加工中、ウェハ全面における導電性膜の除去加工部に十分な通電量を供給でき、且つ、ウェハ外周上の複数の等間隔地点からウェハ中心側に均等な通電量を安定供給できるので、従来に比べて前記導電性膜全域を完全かつ均一に除去することができる。又、前記導電性膜の除去加工部に一様な電気量が常に流れるので、該導電性膜の取り残し、或いは、導電性膜の削り過ぎによるディッシング、エロージョン、リセス等の発生を無くすことができる。
【0036】
請求項5の発明は、上記請求項4記載の発明の効果に加えて、表面保護用の液体は、ウェハ中央部付近に留まるので、外周部で電解加工を行っていても、ウェハ外周部で供給されている電解液と混合することは無く、電解加工部に悪影響を及ぼさない。また、表面保護用の液体は、過剰に供給されることなく、電解加工の終了部分を保護するのに必要な最
小量で供給されるため、表面保護用の液体を効率良く電解加工の終了部分に供給することができる。
【0037】
請求項6の発明は、上記請求項4及び5記載の発明の効果に加えて、電解液はウェハの傾斜に沿って下方へ流されるが、表面保護用の液体はウェハ中心部に残るので、表面保護用の液体の供給量が非常に微量であることと相まって、表面保護用の液体が電解液と混合することは無く、表面保護用の液体を一層効率良く導電性膜電解加工の終了部分の表面に供給することができる。
【0038】
請求項7の発明は、上記請求項4,5及び6記載の発明の効果を奏し、特に、導電性膜を保護する表面保護用の液体は、電解液と比べて供給される量が非常に微量であるばかりか粘性が高いために、表面保護用の液体と電解液とが互いに混ざり合うことは無く、電解加工が安定して行われる。また、電解加工直後に露出した電解加工の終了部分に表面保護用の液体が順次塗装されて保護されるため、電解加工後の電解加工の終了部分が腐食することを一層確実に防止して、より安定した電解加工の終了部分を得ることができる。
【0039】
請求項8記載の発明は、導電性膜の除去加工に伴いウェハの電気抵抗が変化しても、該電気抵抗を直接リアルタイムで検出して監視することにより、導電性膜の除去加工部に常に一定の通電量を供給できるので請求項4,5,6又は7記載の発明の効果に加えて、ウェハの中心から外周部に亘り導電性膜全域を一層均一に除去することができる。
【0040】
請求項9記載の発明は、導電性膜を保護する表面保護用の液体と電解液とが互いに混ざり合う虞がないので、請求項4,5,6,7又は8記載の発明の効果に加えて、電解液の成分が変化して電解加工自体が安定して行われなくなるという問題を解消させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本発明は、ウェハ表面の導電性膜の通電不良による加工残りを無くすとともに、ウェハ全面に安定して電流を供給することで均一に導電性膜を除去し、既に加工された導電性膜の腐食を防止するという目的を達成するため、導電性膜を形成したウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、該ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、前記ウェハと加工電極との間に電解液を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工による導電性膜の除去方法において、前記ウェハの外周部に複数の給電電極を取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら前記導電性膜をウェハ中心部から除去するとともに、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布することによって実現した。
【実施例】
【0042】
以下、本発明の好適な実施例を図1乃至図5に従って説明する。本実施例は、ウェハ表面に形成された導電性膜を電気研磨にて均一に除去する電解加工装置に適用したものである。
【0043】
図1に示すように、電解加工装置1は、ウェハWが載置固定される円盤状のウェハチャック2と、該ウェハチャック2の上方に配置された加工ヘッド3とを備え、ウェハチャック2は図示しないモータにより回転駆動される。又、前記ウェハWの上面にはTa膜を介してCu膜(導電性膜M)が形成されている。
【0044】
図示例ではウェハWの外周部には、6個のウェハチャック41〜46が着脱可能に取り付けられ、これらウェハチャック41〜46は、図2に示すように、ウェハWの外周方向
にて等間隔を有して配置されている。又、ウェハチャック41〜46は、ウェハチャック2上のウェハW外周部に対して進退動作可能かつ上下位置調整可能に設けられている。
【0045】
更に、各ウェハチャック41〜46の内側にはそれぞれ、ウェハWに電気を供給するための給電電極(アノード)A〜Fが設けられ、ウェハチャック状態の給電電極A〜Fは、ウェハW外周部に通電可能に接触するように装着されている。又、給電電極A〜Fはシール部材により封止されてため、処理液等による給電電極A〜F表面の腐食が防止されている。尚、給電電極A〜Fは、シ−ル構造のカップリングを介して配線することが好ましく、この配線の途中には電流計を設置することができる。
【0046】
上記ウェハチャック41〜46の具体的な内部構造はそれぞれ同一であって、図3に例示するウェハチャック41の内側には断面逆L形の電極保持部20が設けられている。更に、該電極保持部20の内側には断面逆L形の給電電極Aが装着され、この給電電極Aの下端部は、ウェハWの外周部上面に通電可能に接触するように保持されている。
【0047】
さらに、ウェハチャック41と給電電極Aの間にはシリコンゴム等の弾性体27が介装され、この弾性体27の内面の所定箇所には嵌合溝28が形成されている。又、該嵌合溝28にはウェハWの外周部が着脱可能に嵌着され、この嵌着状態では、ウェハWは弾性体27から適度な挟持力を受けて固定されている。
【0048】
一方、上記加工ヘッド3の先端部にはカソードである加工電極(対向電極)5が設けられ、該加工電極5はウェハW上面に微小ギャップを有して対面している。この加工電極5及び給電電極A〜Fの材料としては所要の導電性を有するものであれば、カーボン、銅、銀、金、プラチナ等を任意に選択して使用できる。
【0049】
又、加工ヘッド3はアーム(又はスライダ等の可動部材)6の先端部に取り付けられ、該アーム6の基端部は、高さ調整可能な鉛直軸7の上部に回動可能に連結されている。従って、加工ヘッド3は鉛直軸7を中心としてアーム6を水平回動することにより、ウェハWの半径方向に移動することができる。
【0050】
8は前記ウェハWと加工ヘッド3との間に電圧を印加するための直流電源である。該直流電源8の一方側は加工ヘッド3の加工電極5に接続され、直流電源8の他方側はウェハWの給電電極A〜Fに回転自在に構成されたスリップリング(図示せず)を介して接続されている。また、9はウェハWの上方に設けた供給ノズルであり、この供給ノズル9は電解加工時にウェハW上面に電解液10(スラリー等)を供給する。
【0051】
給電電極A〜F同士は、図2に例示するように、導線11〜16により接続され、各導線11〜16には電気抵抗を測定するためのテスタ21〜26が夫々設けられている。各テスタ21〜26による測定値はコントローラ17に送信され、該測定値に基づいて給電電極A〜F間の導通状態が個別に評価判定される。この結果はモニタ装置18にて画面表示され、給電電極A〜F間の少なくとも1つの測定値が許容範囲以外(導通不良)にあるときは、アラームを発生してオペレータに自動的に報知される。
【0052】
更に、本実施例では、電解加工中、6個の給電電極A〜Fと上記加工電極5との間の電気抵抗(電極間距離に対応する値)も図示しないテスタにより個別に測定され、該測定値はコントローラ17に送信される。そして、該測定値に基づいて各給電電極A〜FによるウェハWへの通電量が所定値になるように制御されている。
【0053】
更に、上記加工電極5を流れる電流は電流計(図示せず)により測定され、該電流計による測定値はコントローラ17に送信され、該コントローラ17にて電流値を積算して、
該積算値と対応するウェハWの加工量が算出される。該算出されたウェハWの加工量は、モニタ装置18にて画面表示される。
【0054】
更に又、ウェハWの上方には、分光器を備えた膜色変化検出手段19がウェハWの半径方向へ移動可能に配設され、該膜色変化検出手段19により、電解加工中、ウェハW表面の導電性膜Mの加工変化点(加工終点ではない)が光学的に検出される。
【0055】
具体的には、膜色変化検出手段19は、電解加工の進行に伴うウェハWの導電性膜Mの除去領域と未除去領域との間の加工境界部分S(厳密には該加工境界部分の両側近傍領域を含む)の色変化を検出する5つの色センサから構成され、該色センサは加工境界部分Sを走査する投光部と受光部を有する。
【0056】
そして、膜色変化検出手段19により検出された信号は、分光器からコントローラ17に送信され、該信号に基づき加工進行状況、即ち、導電性膜Mの除去加工部の位置、並びに、該導電性膜Mの加工進行速度(スキャン速度)を算出してデータを生成・解析し、その結果はモニタ装置18にて画面表示される。尚、加工ヘッド3の移動速度は、前記アーム8の回動速度をコントローラ17で制御することにより、該コントローラ17で算出した前記加工進行速度と一致するように、追従制御(フィードバック制御)される。
【0057】
又、膜色変化検出手段19は、図示しないアームまたはスライダ等の可動部材の先端部に取り付けられ、該可動部材の水平回転または直線動作によりウェハWの半径方向へ移動する。この膜色変化検出手段用可動部材は、加工ヘッド用の可動部材(アーム6等)と共用させることができるが、加工ヘッド用可動部材と別個に設けて互いに同期運転させることもできる。
【0058】
上記電解加工において、供給ノズル10から電解液10をウェハW上面に供給しつつ電圧を印加して、ウェハWを回転させると共に、ウェハW表面の中心Oに加工ヘッド3の加工電極5を一定圧力で接触させて若干量だけ揺動させることにより、ウェハW表面の導電性膜Mを所定の加工量だけ除去する。この場合、最初はウェハWの中心部に小円の除去領域を形成し、この後、図4に示すように、加工電極5をウェハWの中心Oから外周部に向けて徐々に移動させながら、導電性膜M全域を電解研磨して順次除去する。
【0059】
又、加工電極5を外周部に向かって移動させる場合、図5に示すように、該加工電極5をウェハWの半径方向に若干量だけ揺動させつつ、徐々に移動させることもできる。尚、加工電極5の揺動速度は、ウェハWの内周部と外周部とで同一であってもよい。
【0060】
理論上、ウェハWの周長に対する加工電極5を横切る長さは、ウェハWの内周部にいくほどこの割合が大きく、且つ、ウェハWの外周部にいくほどこの割合が小さくなる。そのため、理論上、膜厚分布形状は、ウェハWの内周部から外周部にかけて変化が非常に緩やかになる。また、途中の膜厚が薄くなると、それだけ電気抵抗が増加するため、当該加工地点に至る電気抵抗が大きくなる。
【0061】
この電解研磨では、給電電極A〜FとウェハWの間に電解液10が流入して微小ギャップが形成され、前記電圧の印加によりウェハW表面の凸部に電界集中が生じて、該凸部が選択的に除去加工される。
【0062】
このように本実施例では、前記ウェハW外周部の6箇所に給電電極A〜Fを等間隔で装着し、各給電電極A〜FによりウェハWに均等な電気量を供給する。又、加工ヘッド3の加工電極5はウェハW表面の導電性膜Mに近接対向させて電解加工を行う。この場合、該加工電極5をウェハWの中心Oから外周部に向かって移動させて導電性膜Mを除去する。
斯くして、導電性膜Mの除去領域は、ウェハWと同心円状を描きながら外側に拡がるように形成される。
【0063】
本実施例によれば、6個の給電電極A〜FによるウェハWの外周部から中心Oへの通電方向と、加工電極5によるウェハWの中心Oから外周部への電解加工方向とが互いに逆になり、且つ、ウェハWの外周上の6箇所から導電性膜Mの除去加工部に常に均等な電気が安定的に供給される。従って、導電性膜Mの取り残し、或いは、該導電性膜Mの削り過ぎ(過大な電解研磨)によるディッシング、エロージョン、リセス等の発生を確実に無くすことができる。
【0064】
又、電解加工中、6個の給電電極A〜Fと加工電極5との間の電気抵抗を個別に正確に検出し、該検出値に基づいて各給電電極A〜FからウェハWへの通電量が互いに同等になるように制御される。従って、導電性膜Mの除去加工に伴い、該導電性膜Mの形状寸法の変化と対応してウェハW表面の電気抵抗が変化しても、該電気抵抗を直接リアルタイムで検出して監視することにより、該ウェハWへの通電量は常に一定に調整されるので、ウェハWの中心Oから外周部に亘り導電性膜M全域を一層確実かつ均一に除去することができる。
【0065】
本実施例では、電解加工の終了部分が電解液10に晒されないように、電解加工終了と同時に撥水性の表面保護用液体を塗布する装置が設けられている。これについて、図6及び図7を参照しつつ説明する。図6、図7はそれぞれ、塗布機構50を具備した電解加工装置の平面図、正面図(給電部の図示は省略)であって、この塗布機構50は表面保護用液体(酸化防止剤)をウェハWに塗布して、該ウェハWの表面酸化を抑制して表面劣化を防止する。
【0066】
尚、表面保護用液体としては、BTA、1,2,3-ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、カルボキシベンゾトリアゾールなどが代表的である。ベンゾフロキサン、2-1-3-ベンゾチアゾール、フェニレンジアミン、カテコール、o-アミノフェノール、2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾールなどを使用できる。又、ウェハWの表面に酸化防止液が塗られる前に、まずアルコール供給機構43により、エタノール、イソプロピルアルコール、又はエチレングリコール等を供給して、ウェハWの表面に一定の液膜を形成してもよい。
【0067】
塗布機構50は、酸化防止剤供給管51の先端部をウェハWに近接又は接触させて、相対的に移動させる回転可能な酸化防止剤供給アーム52を有している。酸化防止剤供給アーム52には酸化防止剤供給管51が取り付けられ、酸化防止剤供給アーム52がウェハWの中央部から外周部まで旋回することで、ウェハW上を酸化防止剤供給管51が移動するように構成されている。
【0068】
酸化防止剤供給管51には、酸化防止液タンクからBTA等の酸化防止剤53が図示しないポンプにより供給される。この酸化防止剤供給管51は、ウェハWの中央部から外周部まで旋回させることで、ウェハW表面の全面に広く近接又は接触して移動することができる。
【0069】
該酸化防止剤供給管51に供給された酸化防止剤53は、酸化防止剤供給管51に沿ってウェハWに塗布されるように構成されている。例えば電解加工中に酸化防止剤53は、既に電解加工が終了したウェハW中心部付近から導電性膜Mに塗布される。
【0070】
酸化防止剤供給管51の先端側塗布部54は、糸状部材を束ねたブラシ状部材もしくは線状部材、網状部材、PVAスポンジ又は発泡部材のいずれかで形成されている。塗布部
54は、酸化防止剤53を固体に含ませて、該固体をウェハW表面に接触させるか、或いは、液滴が生じない程度にウェハW表面近接させることにより、毛細管現象の原理ないしは界面張力を利用して、ウェハW表面の導電性膜Mに酸化防止剤53を塗布する。尚、図6において、R1は酸化剤塗布領域、R2は加工変化領域、R3は未加工変化領域を示す。
【0071】
従って、この塗布機構によれば、酸化防止剤供給管51の先端がウェハWに近接又は接触するように配置されているため、酸化防止剤53が酸化防止剤供給管51に沿って移送される。該移送により酸化防止剤53がウェハWに接触すると、ウェハWと酸化防止剤53の界面張力が作用する。これら力の作用の釣り合いでウェハW表面と酸化防止剤53の液面との接触角が決まり、酸化防止剤53の表面を大きくすることができる。この結果、酸化防止剤53は少量であってもウェハW表面に円滑に広がる。
【0072】
そして、酸化防止剤供給管51とウェハWの相対的移動により、ウェハW表面の全面に酸化防止剤53が均一に塗布される。酸化防止剤53の液量が極力少なく抑えられてウェハW表面に塗布される。
【0073】
更に、ウェハWの回転軸55は傾斜して形成され、該傾斜したウェハW上で、該ウェハWの下側略半分領域に電解液10を供給する機構を有し、該ウェハWの下側略半分領域に加工ヘッド5が配置されている。また、酸化防止剤53は電解液10よりも高い粘性を有し、ウェハWが傾斜した状態で回転しても、電解液供給管56の先端から電解液供給領域R4に電解液10を供給したとき、該電解液10と酸化防止剤53とが互いに混ざることが殆どない。
【0074】
本実施例では、電解加工が終了した部分は電解液10にそのまま晒されることなく、電解加工終了と同時に酸化防止剤53を塗布していくので、電解加工終了後の配線材料などが酸化や腐食することなく、安定した状態のままで電解加工終了部分を保護することができる。
【0075】
更に、ウェハW中央部付近に極少量の酸化防止剤53を塗布することが可能になるため、酸化防止剤53はウェハW中央部付近に留まる。加えて、ウェハWの外周部で電解加工を行っている場合でも、ウェハW外周部で供給されている電解液10と混合することは無く、電解加工部に悪影響を及ぼさない。
【0076】
以上説明したように、本実施例によれば、酸化防止剤53は界面張力ないしは毛細管現象によって薄く引き延ばされ、その状態で液滴を形成することなく供給される。その結果、酸化防止剤53は、過剰に供給されることなく、導電性膜Mの表面を保護するのに必要な最小量で供給される。従って、表面保護用の酸化防止剤53を導電性膜Mの表面に効率良く供給することができる。
【0077】
又、電解液10は、ウェハWの傾斜に沿ってウェハW中心部へ移動することなく、そのまま下方へ流されるので、酸化防止剤53は、電解加工後のウェハW中心部に残ることになる。
【0078】
表面保護用の酸化防止剤53は、電解液10と比べて供給される量が非常に微量であり、粘性が高く、且つ、下方へ流れ出すことは無くその位置に留まる。従って、酸化防止剤53と電解液10とが互いに混ざり合う虞がないので、電解液10の成分が変化することが防止され、電解加工が安定して行われる。
【0079】
本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発
明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施例を示し、電解加工装置の構成説明図。
【図2】一実施例に係る電解加工装置の平面図。
【図3】一実施例に係る電解加工装置の電極封止機構の構成例を示す要部側面図。
【図4】一実施例に係る電解加工装置の加工電極による加工状態を説明する要部側面図。
【図5】一実施例に係る電解加工装置の加工電極の移動動作を説明する要部側面図。
【図6】一実施例に係る塗布機構を具備した電解加工装置の平面図。
【図7】一実施例に係る塗布機構を具備した電解加工装置の正面図。
【符号の説明】
【0081】
1 電解加工装置
2 ウェハチャック
3 加工ヘッド
5 加工電極(対向電極)
6 アーム(可動部材)
17 コントローラ
18 モニタ装置
19 膜色変化検出手段
41〜46 ウェハチャック
50 塗布機構
51 酸化防止剤供給管
52 酸化防止剤供給アーム
53 酸化防止剤
A〜F 給電電極
M 導電性膜
W ウェハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性膜を形成したウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、該ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、前記ウェハと加工電極との間に電解液10を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工による導電性膜の除去方法において、
前記ウェハの外周部に複数の給電電極を取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら前記導電性膜をウェハ中心部から除去するとともに、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布することを特徴とする電解加工による導電性膜の除去方法。
【請求項2】
上記表面保護用の液体の塗布方法が、固体表面ないしは界面に前記表面保護用の液体を含ませて、該固体を上記ウェハ表面に接触させるか、或いは、液滴が生じない程度に該ウェハ表面近接させて毛細管現象の原理ないしは界面張力を利用して、上記ウェハ表面の導電性膜に前記表面保護用の液体を塗布することを特徴とする請求項1記載の電解加工による導電性膜の除去方法。
【請求項3】
上記表面保護用の液体が撥水性の液体であることを特徴とする請求項1又は2記載の電解加工による導電性膜の除去方法。
【請求項4】
導電性膜を表面に形成して成るウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、前記ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、該ウェハと加工電極との間に電解液10を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工装置おいて、
前記ウェハの外周部に複数の給電電極を着脱可能に取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの半径方向に移動可能に設け、電解加工中、該加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら前記導電性膜をウェハ中心から除去するように構成し、
電解加工中、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布する機構を有することを特徴とする電解加工装置。
【請求項5】
導電性膜を表面に形成してなるウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、該ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、該ウェハと加工電極との間に電解液10を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工装置おいて、
前記ウェハの外周部に複数の給電電極を取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの半径方向に移動可能に設け、電解加工中、該加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら該導電性膜をウェハ中心から除去するように構成し、
既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布する機構を有し、該機構は、表面保護用の液体を固体に含ませて、該固体を上記ウェハ表面に接触させるか、或いは、液滴が生じない程度に該ウェハ表面近接させて毛細管現象の原理ないしは界面張力を利用して、上記ウェハ表面の導電性膜に前記表面保護用の液体を塗布するように構成したことを特徴とする電解加工装置。
【請求項6】
導電性膜を表面に形成して成るウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、該ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、該ウェハと加工電極との間に電解液10を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工装置において、
前記ウェハの外周部に複数の給電電極を取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの半径方向に移動可能に設け、電解加工中、該加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら該導電性膜をウェハ中心から除去するように構成し、
更に、前記ウェハの回転軸が傾斜して形成され、該傾斜したウェハ上で、該ウェハの下側略半分領域に前記電解液を供給する機構を有し、該ウェハの下側略半分領域に前記加工ヘッドが配置され、
電解加工中に、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布する機構を有することを特徴とする電解加工装置。
【請求項7】
導電性膜を表面に形成して成るウェハが載置固定される回転可能なウェハチャックと、該ウェハ表面と対向する加工電極を有する加工ヘッドとを備え、該ウェハと加工電極との間に電解液を供給しつつ電圧を印加して、前記ウェハ表面の導電性膜を除去する電解加工装置おいて、
前記ウェハの外周部に複数の給電電極を取り付け、且つ、前記加工電極を前記ウェハの半径方向に移動可能に設け、電解加工中、該加工電極を前記ウェハの中心から外周部に向かって移動させながら前記導電性膜をウェハ中心から除去するように構成し、
該ウェハの回転軸が傾斜して形成され、該傾斜したウェハ上で、該ウェハの下側略半分領域に電解液が供給される機構を有し、該ウェハの下側略半分領域に前記加工ヘッドが配置され、
電解加工中に、既に電解加工が終了したウェハ中心部付近から前記導電性膜を保護する表面保護用の液体を塗布する機構を有し、
更に、該表面保護用の液体は前記電解液よりも高い粘性を有し、前記ウェハが傾斜した状態で回転しても、前記電解液と該膜保護用とが互いに混ざることがないように構成されていることを特徴とする電解加工装置。
【請求項8】
上記複数の各給電電極と上記加工電極との間の電気抵抗は、テスタにより個別に検出され、該検出値に基づいて各給電電極による上記ウェハへの通電量が所定値になるように制御されていることを特徴とする請求項4,5,6又は7記載の電解加工装置。
【請求項9】
上記表面保護用の液体が撥水性の液体であることを特徴とする請求項4,5,6,7又は8記載の電解加工装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2008−266693(P2008−266693A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108744(P2007−108744)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000151494)株式会社東京精密 (592)
【Fターム(参考)】