説明

電話装置およびプログラム

【課題】メモリダイヤル機能を用いた場合でも着側の自動交換機能を利用できない場合にはPB信号の送出を停止する。
【解決手段】電話装置1において、記憶部16に自動交換用電話番号6A(第1の電話番号)と内線番号6C(第2の電話番号)とを予め記憶しておき、発信手段17Aにより自動交換用電話番号6Aに対して電話回線10から発信を行い、この発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段17Bにより応答通知が検出された場合は、ボタン電話装置2との通話路を確立した後、PB信号送出部13により当該通話路に内線番号6CをPB信号で送出し、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段17Bにより応答通知が検出されなかった場合は、PB信号送出部13による内線番号6CのPB信号送出を中止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話制御技術に関し、特に着側電話装置の自動交換機能を利用する際に、電話装置から任意の電話番号を電話回線にダイヤル送出する際の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボタン電話装置の主装置や交換機などの電話制御装置に内線接続された内線電話端末を、当該電話制御装置の外部から電話網を介して呼び出す機能として、自動交換機能がある(例えば、特許文献1など参照)。
【0003】
このような自動交換機能は、IP回線やISDN回線などのデジタル電話回線に接続されるボタン電話装置でも実現されている。
例えば、着側となるボタン電話装置のデジタル電話回線に割り当てられている複数の電話番号のいずれかを、自動交換用の電話番号として予め割り当てておく。そして、その電話番号への着信については、自動応答した後、発側電話装置から通話路を介して送信されたPB信号(DTMF/Dual Tone Multi Frequency)を受信する。その後、当該PB信号で指定された内線番号の内線電話端末を呼び出し、当該内線電話端末での応答操作に応じて、当該内線電話端末と発側電話端末の通話路を接続するものとなっている。
【0004】
また、デジタル電話回線では、発側電話装置の電話番号を着側へ容易に通知することが可能である。このため、このような機能を利用して、自動交換機能を利用可能な利用者を制限する機能もある。
例えば、着側となるボタン電話装置の主装置において、自動交換機能の利用を許可する発側電話番号を予め記憶部に登録しておく。そして、自動交換用の電話番号への着信があった場合は、その着信の際に通知された発側電話番号が自動交換機能の利用可能な電話番号かチェックする。ここで利用可能な場合にのみ、その着信に自動応答して自動交換機能を実行する。また、利用不可能な場合は通常着信と同様に、自動応答せずに内線回線を介して内線電話端末を呼び出し、当該内線電話端末での応答操作に応じて当該着信に応答すればよい。
【0005】
このような自動交換機能を利用する場合、発側電話装置では、自動交換用の着側電話番号に加えて、内線電話番号もダイヤル送出する必要があり、そのためのダイヤル操作が煩雑となる。
ダイヤル操作において、多くの桁数を入力する必要がある場合、これらダイヤル番号を記憶部に予め登録しておき、簡単な操作でこれら一連のダイヤルを送出するメモリダイヤル機能を利用する場合が多い。
【0006】
但し、自動交換機能では、自動交換用の着側電話番号のダイヤル送出から、相手電話装置が自動応答した後にPB信号が受信可能となるまでに時間を要する。
このため、所定期間だけ内線番号のダイヤル送出の停止を指示するポーズデータような特殊なダイヤル情報を設け、自動交換用の着側電話番号と内線電話番号との間に挿入する方法がとられている。
【0007】
【特許文献1】特開昭60−100862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来技術では、発側電話装置から、メモリダイヤル機能を用いて、自動交換機能の利用を前提とした自動交換用の一連のダイヤル送出して発信したにもかかわらず、その着信を着側ボタン電話装置が通常着信と判断して電話端末を呼び出した場合、その着信に電話端末で応答した利用者に対して、発側電話端末から通話路を介して送出されたPB信号が、電話端末の受話器から送出されることになり、利用者に対して大きな不快感を与えるという問題点があった。
【0009】
このような状況は、発側と着側との間における自動交換用の電話番号が一致しなくなった場合に発生する。例えば、自動交換用の電話番号が変更されたことを自動交換機能を利用する利用者が認識していない場合、このような状況は必ず発生する。
また、着側ボタン電話装置の主装置において、自動交換機能の利用を許可する電話番号を登録している場合には、その登録電話番号が一致しなくなった場合に発生する。例えば、自動交換機能を利用する利用者の発側電話番号が変更されたことが着側での登録に反映されていない場合、このような状況は必ず発生する。
【0010】
このような状況において、着信側で応答した電話端末の受話器から送出されるPB信号の信号送出電力は、一般的な通話音声に比較してかなり大きく、極めて大きな不快感となる。また、メモリダイヤル機能を用いて自動交換用のダイヤルを送出する場合、発側電話装置の受話器はミュートされるため、発側利用者は、このようなPB信号が着側利用者へ送出されてしまっていることに気づかないケースが多い。
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、メモリダイヤル機能を用いた場合でも着側の自動交換機能を利用できない場合にはPB信号の送出を停止することができる電話装置およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、本発明にかかる電話装置は、第1の電話番号と第2の電話番号とを記憶する記憶手段と、第1の電話番号に対して電話回線から発信を行う発信手段と、発信後に当該電話回線からの応答通知を検出して相手電話装置との通話路を確立する応答手段と、通話路へ任意の電話番号をPB信号で送出するPB信号送出手段と、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段により応答通知が検出された場合は、PB信号送出手段により第2の電話番号をPB信号で送出し、待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出されなかった場合は、PB信号送出手段による第2の電話番号のPB信号送出を中止する自動応答制御手段とを備えている。
【0012】
この際、各種情報を表示する表示手段をさらに備え、自動応答制御手段で、第2の電話番号のPB信号送出を中止した場合、表示手段により当該中止を示す情報を表示するようにしてもよい。
【0013】
本発明にかかるプログラムは、電話装置のコンピュータに、第1の電話番号と第2の電話番号とを記憶手段で記憶する記憶ステップと、発信手段により、記憶手段から読み出した第1の電話番号に対して電話回線から発信を行うステップと、応答手段により、発信を行った後に当該電話回線からの応答通知を検出して相手電話装置との通話路を確立する応答ステップと、自動応答制御手段により、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出された場合は、記憶手段から読み出した第2の電話番号をPB信号送出手段によりPB信号で通話路へ送出するPB信号送出ステップと、自動応答制御手段により、待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出されなかった場合は、PB信号送出手段による第2の電話番号のPB信号送出を中止するPB送出中止ステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、発側となる電話装置から電話網を介して着側となる電話装置の自動交換機能を利用する際、電話装置において、発信手段により、相手電話装置の自動交換用電話番号である第1の電話番号に対して電話回線から発信が行われ、この発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段により応答通知が検出された場合は、相手電話装置との通話路が確立された後、PB信号送出部により当該通話路に相手電話装置の内線番号である第2の電話番号がPB信号で送出され、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段により応答通知が検出されなかった場合は、PB信号送出部による内線番号のPB信号送出が中止される。
【0015】
したがって、発側電話装置から、メモリダイヤル機能を用い、自動交換機能の利用を前提とした自動交換用の一連のダイヤル送出して発信したにもかかわらず、その着信を着側ボタン電話装置が通常着信と判断して電話端末を呼び出した場合には、その着信に電話端末で応答した相手利用者に対して内線番号を示すPB信号送出が中止されるため、利用者に対して不快感を与えることなく、スムーズに相手利用者との通話へ移行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置の構成を示すブロック図である。
この電話装置1は、電話網5からの電話回線10に接続されて、電話網5を介して任意の相手電話装置を呼び出して通話を行う機能や、電話網5から着信に応答して相手電話装置と通話を行う機能を有している。
【0017】
ボタン電話装置2は、電話網5からの電話回線10に接続されている主装置21と、この主装置21に内線回線23を介して収容されている複数の内線電話端末22とからなり、公知のボタン電話装置が持つ一般的な電話交換機能を有している。特に、ボタン電話装置2は、自動交換機能として、電話回線10に割り当てられている複数の電話番号のいずれか特定電話番号への着信について自動応答した後、発側電話装置から通話路を介してPB信号(DTMF/Dual Tone Multi Frequency)で通知された内線番号の内線電話端末を呼び出す機能を有している。
【0018】
本実施の形態は、発側となる電話装置1から電話網5を介して着側となるボタン電話装置2の自動交換機能を利用する際、電話装置1において、記憶部に第1の電話番号と第2の電話番号とを予め記憶しておき、発信手段により第1の電話番号に対して電話回線10から発信を行った後、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段により応答通知が検出された場合は相手電話装置との通話路を確立した後、PB信号送出手段により当該通話路に第2の電話番号をPB信号で送出し、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段により応答通知が検出されなかった場合は、PB信号送出手段による第2のPB信号送出を中止するようにしたものである。
【0019】
次に、図1を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置の構成について詳細に説明する。なお、本実施の形態において、電話網5と電話回線10がそれぞれIP電話網とIP電話回線からなり、電話装置1がIP電話端末である場合を例として説明する。
【0020】
電話装置1には、主な機能部として、回線インターフェース部(以下、回線I/F部という)11、音声処理部12、PB信号送出部13、操作検出部14、表示部15、記憶部16、および制御部17が設けられている。
【0021】
回線I/F部11は、専用の通信回路からなり、電話回線10を介して電話網5とデータ通信を行うことにより、呼制御用の各種メッセージや音声データを送受信する機能を有している。
音声処理部12は、専用の音声処理回路からなり、制御部17からの指示に基づいて、回線I/F部11で受信された音声データを音声信号に復号してスピーカ(図示せず)から出力する機能、マイク(図示せず)から入力された音声信号を音声データに符号化して回線I/F部11へ出力する機能、および着信音などの各種音声信号をスピーカから出力する機能を有している。
【0022】
PB信号送出部13は、専用の信号発生回路からなり、制御部17から指示された任意の電話番号に応じたPB信号(DTMF/Dual Tone Multi Frequency)を生成する機能と、このPB信号を音声処理部12を介して電話回線10の通話路へ出力する機能とを有している。このPB信号送出部13は、音声処理部12の音声処理回路と一体として構成してもよい。
操作検出部14は、ダイヤルキー、機能キー、あるいはフックスイッチからなり、利用者の操作を検出して制御部17へ出力する機能を有している。
表示部15は、LCDやLEDなどの表示装置からなり、制御部17からの指示に応じて着信や発信など、電話回線10や電話装置1に関する各種状態を表示する機能を有している。
【0023】
記憶部16は、メモリ回路からなり、制御部17での処理に用いる各種制御情報やプログラム16Pを記憶する機能を有している。プログラム16Pは、外部装置や記録媒体から予め読み込まれて記憶部16に格納されており、電話装置1の動作時には、制御部17に読み出されて実行されることにより各種機能手段を実現する。
【0024】
記憶部16で記憶する主な制御情報として、呼制御情報16Aとダイヤル情報16Bがある。
呼制御情報16Aは、電話回線10や電話装置1の各種状態を示す情報である。
ダイヤル情報16Bは、任意のダイヤルデータからなり、予め各相手先のダイヤルデータがダイヤル情報16Bとして登録されている。このダイヤル情報16Bは、発信時に簡単な操作で着側電話番号を指定する、ワンタッチダイヤル機能、短縮ダイヤル機能、電話帳機能などのメモリダイヤル機能で利用される。
【0025】
ダイヤル情報16Bは、電話装置1から着側電話装置の自動交換機能を利用する場合にも用いることができる。図2は、自動交換機能を利用する場合のダイヤル情報の登録例である。この例では、ダイヤル情報16Bのうち、「042772XXXX」が自動交換用電話番号6Aに相当し、「*」が応答確認データ6Bに相当し、「20」が呼び出したい相手電話装置の内線番号6Cに相当する。応答確認データ6Bは、着側電話装置の自動交換機能により自動応答がなされたことを電話網5からの応答通知により確認するタイミングを指定するものである。この例では、自動交換用電話番号6Aを送出してから内線番号6Cを送出する前に確認する必要があるため、自動交換用電話番号6Aと内線番号6Cとの間に配置されている。
【0026】
制御部17は、コンピュータとしてCPUなどのマイクロプロセッサとその周辺回路を有し、記憶部16からプログラム16Pを読み込んで実行することにより、上記ハードウェアとプログラム16Pとを協働させることより、各種機能手段を実現する機能を有している。
制御部17で実現される主な機能手段としては、発信手段17A、応答手段17B、自動応答制御手段17C、および計時手段17Dがある。
【0027】
発信手段17Aは、操作検出部14で検出された発信操作に応じて回線I/F部11
制御することにより、任意の電話番号に対して電話回線10から発信を行う機能と、発信操作がメモリダイヤル発信操作の場合、記憶部16のダイヤル情報16Bから読み出した電話番号に対して電話回線10から発信を行う機能と、当該ダイヤル情報16Bに応答確認記号6Bが含まれており、当該発信が自動交換用電話番号への発信である場合は、当該ダイヤル情報16Bの自動交換用電話番号(第1の電話番号)6Aに対して電話回線10から発信を行う機能とを有している。
【0028】
応答手段17Bは、発信手段17Aによる発信後、電話網5から通知される応答メッセージを、回線I/F部11を介して当該電話回線10から検出する機能と、応答メッセージの検出に応じて、電話網5および電話回線10を介して相手電話装置との通話路を確立する機能とを有している。
【0029】
自動応答制御手段17Cは、発信手段17Aによる発信が自動交換用電話番号への発信である場合、その発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段17Bにより応答通知が検出された場合は、PB信号送出部13を制御して、当該ダイヤル情報16Bの内線番号6CをPB信号で電話回線10の当該通話路へ送出する機能と、待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出されなかった場合は、PB信号送出部13による第2の電話番号のPB信号送出を中止する機能とを有している。
【0030】
計時手段17Dは、制御部17のマイクロプロセッサが有するタイマ機能を利用して任意の期間を計時する機能と、自動応答制御手段17Cからの指示に応じて発信手段17Aによる自動交換用電話番号への発信直後から所定の待機期間の計時を開始する機能とを有している。
【0031】
[第1の実施の形態の動作]
次に、図3を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置の動作について説明する。図3は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置におけるメモリダイヤル発信処理を示すフローチャートである。
ここでは、記憶部16のダイヤル情報16Bとして、図2に示したようなボタン電話装置2の自動交換用電話番号6A、応答確認記号6B、および内線番号6Cが登録されており、このダイヤル情報16Bがメモリダイヤル発信操作で相手電話番号として指定された場合を例として説明する。
【0032】
電話装置1の制御部17は、操作検出部14により、例えばワンタッチダイヤルキーや端出ダイヤルキーなどの機能キーを用いたメモリダイヤル発信操作を検出した場合、図3のメモリダイヤル発信処理を開始する。
まず、制御部17は、発信手段17Aにより、メモリダイヤル発信操作で指定されたダイヤル情報16Bを記憶部16から読み出す(ステップ100)。
【0033】
ここで、発信手段17Aは、ダイヤル情報16Bに応答確認記号6Bが含まれていることから(ステップ101:YES)、当該発信が自動交換用電話番号への発信であると判断し、ダイヤル情報16Bの先頭桁から応答確認記号6Bの直前桁までのダイヤルデータを自動交換用電話番号6Aとして取得し(ステップ102)、この自動交換用電話番号6Aを含む発信要求メッセージを回線I/F部11を介して電話網5へ送信することにより、自動交換用電話番号6Aに対して電話回線10から発信を行う(ステップ103)。
【0034】
なお、ダイヤル情報16Bに応答確認記号6Bが含まれていない場合(ステップ101:NO)、一般的なメモリダイヤル発信処理となる。この場合、制御部17は、発信手段17Aにより、例えばダイヤル情報16B全体の電話番号に対して電話回線10から通常の発信動作を行った後(ステップ120)、一連のメモリダイヤル発信処理を終了する。
【0035】
ステップ103の後、制御部17は、自動応答制御手段17Cにより、所定の待機期間でタイムアップする待機タイマを起動した後(ステップ104)、発信手段17Aで発信を行った電話回線10からの応答通知を検出するための応答通知検出ループへ移行する(ステップ105,106)。
この応答通知検出ループでは、待機タイマがタイムアウトするまで、あるいは応答手段17Bにより上記電話回線10からの応答検出が確認されるまで、当該メモリダイヤル発信処理は待機状態となる。
【0036】
この応答通知検出ループにおいて、待機タイマがタイムアウトする前に、電話網5から通知された応答メッセージが回線I/F部11で受信されて、応答手段17Bにより応答通知が検出された場合(ステップ106:YES)、応答手段17Bは、電話網5を介したボタン電話装置2との通話路を電話回線10上に確立する(ステップ107)。
【0037】
これに応じて、自動応答制御手段17Cは、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出されたことから、計時手段17Dを制御して待機タイマを停止する(ステップ108)。
また、自動応答制御手段17Cは、ダイヤル情報16Bから内線番号6C(第2の電話番号)を取得し(ステップ109)、PB信号送出部13により、この内線番号6CをPB信号で、応答手段17Bにより確立されたボタン電話装置2との通話路へ送出し(ステップ110)、一連のメモリダイヤル発信処理を終了する。
【0038】
また、応答通知検出ループにおいて、応答手段17Bにより応答検出が確認される前に、待機タイマがタイムアウトした場合(ステップ105:YES)、自動応答制御手段17Cは、待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出されなかったことから、PB信号送出部13による第2の電話番号のPB信号送出を中止し、一連のメモリダイヤル発信処理を終了する。
【0039】
これにより、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出された場合は、内線番号(第2の電話番号)がPB信号でボタン電話装置2との通話路へ送出され、待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出されなかった場合は、内線番号のPB信号送出が中止される。
【0040】
[第1の実施の形態の動作例]
次に、図4および図5を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置の動作例について説明する。図4は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置のメモリダイヤル発信動作(PB信号送出)例を示すシーケンス図である。図5は、本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置のメモリダイヤル発信動作(PB信号送出中止)例を示すシーケンス図である。
【0041】
まず、図4を参照して、メモリダイヤル発信動作においてPB信号を送出できる場合について説明する。
ここでは、記憶部16のダイヤル情報16Bとして、図2に示したようなボタン電話装置2の自動交換用電話番号6A、応答確認記号6B、および内線番号6Cが登録されており、このダイヤル情報16Bがメモリダイヤル発信操作で相手電話番号として指定された場合を例として説明する。
【0042】
電話装置1は、メモリダイヤル発信操作を検出した場合(ステップ200)、記憶部16からこの操作で指定されたダイヤル情報16Bを読み出す(ステップ201)。ここで、このダイヤル情報16Bに応答確認記号6Bが含まれていることから、電話装置1は、ダイヤル情報16Bの自動交換用電話番号6Aを用いた発信要求メッセージを電話網5へ通知し(ステップ202)、所定の待機期間を計時する待機タイマを起動する(ステップ203)。
【0043】
電話網5は、電話装置1からの発信要求メッセージに応じて、このメッセージに含まれる自動交換用電話番号6Aを着信先とする着信通知をボタン電話装置2へ送信する(ステップ204)。
ボタン電話装置2の主装置21は、電話回線20を介して電話網5からの着信通知を受信し、その着信先である自動交換用電話番号6Aが自動交換用として予め登録されていることから、当該着信に対して自動応答すべきと判断し(ステップ210)、応答通知を電話網5へ返送する(ステップ211)。
【0044】
電話網5は、ボタン電話装置2からの応答通知に応じて、着信先が応答したことを応答通知メッセージにより発信元の電話装置1へ通知する(ステップ212)。
この際、電話装置1からの自動交換用電話番号6Aへの発信が正常に自動応答された場合、電話装置1の待機タイマがタイムアップする前に電話網5からの応答通知が通知される。このため、電話装置1は、その応答通知に応じてボタン電話装置2との通話路を確立するとともに(ステップ213)、待機タイマを停止した後(ステップ214)、ダイヤル情報16Bの内線番号6CをPB信号で当該通話路へ送出する(ステップ215)
【0045】
ボタン電話装置2の主装置21は、上記応答通知を送信した後(ステップ211)、電話装置1との通話路を確立して(ステップ213)、その通話路を介して電話装置1から受信したPB信号から内線番号6Cを取得し(ステップ216)、その内線番号6Cに対応する内線電話端末22の呼び出しを行う(ステップ217)。
これにより、内線電話端末22で着信表示が行われ(ステップ218)、これ対する応答操作に応じて内線電話端末22から通知された応答に基づき(ステップ220)、主装置21が当該内線電話端末22と電話装置1との通話路を接続する(ステップ221)。これにより、電話網5を介して内線電話端末22と電話装置1との間で通話が開始される(ステップ222)。
【0046】
次に、図5を参照して、メモリダイヤル発信動作においてPB信号を送出できない場合について説明する。
ここでは、図4と同様に、記憶部16のダイヤル情報16Bとして、図2に示したようなボタン電話装置2の自動交換用電話番号6A、応答確認記号6B、および内線番号6Cが登録されており、このダイヤル情報16Bがメモリダイヤル発信操作で相手電話番号として指定された場合を例として説明する。
【0047】
電話装置1は、メモリダイヤル発信操作を検出した場合(ステップ200)、記憶部16からこの操作で指定されたダイヤル情報16Bを読み出す(ステップ201)。ここで、このダイヤル情報16Bに応答確認記号6Bが含まれていることから、電話装置1は、ダイヤル情報16Bの自動交換用電話番号6Aを用いた発信要求メッセージを電話網5へ通知し(ステップ202)、所定の待機期間を計時する待機タイマを起動する(ステップ203)。
【0048】
電話網5は、電話装置1からの発信要求メッセージに応じて、このメッセージに含まれる自動交換用電話番号6Aを着信先とする着信通知をボタン電話装置2へ送信する(ステップ204)。
ボタン電話装置2の主装置21は、電話回線20を介して電話網5からの着信通知を受信し、その着信先である自動交換用電話番号6Aが自動交換用として使用しなくなっていることから、当該着信に対して自動応答ではなく、一般の着信と同様に着信呼出を行うべきと判断し(ステップ230)、対応する内線電話端末22の呼び出しを行う(ステップ231)。これにより、内線電話端末22で着信表示が行われる(ステップ232)。
【0049】
一方、電話装置1は、電話網5からの応答通知が検出されず、発信から所定の待機期間が経過して待機タイマがタイムアウトした場合(ステップ240)、PB信号によるダイヤル情報16Bの内線番号6Cの送出を中止する(ステップ241)。
【0050】
その後、応答操作に応じて任意の内線電話端末22から通知された応答に基づき(ステップ250)、主装置21は応答通知を電話網5へ返送し(ステップ251)、電話網5は、電話装置1に対して応答通知メッセージを送信する(ステップ252)。
電話装置1は、この応答通知に応じて、ボタン電話装置2と電話装置1との通話路を確立する(ステップ254)。これにより、電話網5を介して内線電話端末22と電話装置1との間で通話が開始される(ステップ255)。
【0051】
このように、本実施の形態は、発側となる電話装置1から電話網5を介して着側となるボタン電話装置2の自動交換機能を利用する際、電話装置1において、記憶部16に自動交換用電話番号6A(第1の電話番号)と内線番号6C(第2の電話番号)とを予め記憶しておき、発信手段17Aにより自動交換用電話番号6Aに対して電話回線10から発信を行い、この発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段17Bにより応答通知が検出された場合は、ボタン電話装置2との通話路を確立した後、PB信号送出部13により当該通話路に内線番号6CをPB信号で送出し、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答手段17Bにより応答通知が検出されなかった場合は、PB信号送出部13による内線番号6CのPB信号送出を中止するようにしたものである。
【0052】
これにより、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出された場合は、内線番号(第2の電話番号)6CがPB信号でボタン電話装置2との通話路へ送出され、待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出されなかった場合は、内線番号6CのPB信号送出が中止される。
【0053】
したがって、発側電話装置から、メモリダイヤル機能を用い、自動交換機能の利用を前提とした自動交換用の一連のダイヤル送出して発信したにもかかわらず、その着信を着側ボタン電話装置が通常着信と判断して電話端末を呼び出した場合には、その着信に電話端末で応答した相手利用者に対して内線番号を示すPB信号送出が中止されるため、利用者に対して不快感を与えることなく、スムーズに相手利用者との通話へ移行することができる。
【0054】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態にかかる電話装置について説明する。
第1の実施の形態では、発信から所定の待機期間が経過するまでの間に応答通知が検出されなかった場合は、内線番号6C(第2の電話番号)のPB信号送出を中止する場合について説明した。本実施の形態では、内線番号6CのPB信号送出を中止した場合、表示部15により当該中止を示す情報を表示する場合について説明する。なお、本実施の形態にかかる電話装置1の構成は、前述した第1の実施の形態(図1参照)と同様であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0055】
図6は、PB信号送出中止を示す警報表示例である。この場合、表示部15として、LCDなどの画面表示を用いており、「相手自動応答を確認できません.内線番号の送出を中止しました.」という文字メッセージが表示される。このような表示は、図3のステップ104において、待機タイマがタイムアウトした場合(ステップ104:YES)に表示部15で表示した後、一連のメモリダイヤル発信処理を終了すればよい。なお、文字メッセージの内容については要旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。
【0056】
PB信号送出中止を示す警報表示については、文字メッセージに限定されるものではなく、表示部15としてLEDを用いている場合には、例えば当該電話回線の回線ランプに対応するLEDを点滅駆動するなど、所定の警報表示を行えばよい。
また、このような可視表示ではなく、警報音や音声メッセージによる可聴表示を用いてPB信号送出中止を示す警報表示を行ってもよい。
【0057】
このように、本実施の形態は、内線番号6CのPB信号送出を中止した場合、表示部15により当該中止を示す情報を表示するようにしたので、発信者が当該メモリダイヤルの登録内容と相手電話装置の自動応答機能の設定が一致していないことを、当該通話の開始時に認識することができる。これにより、当該通話において、相手応答者との間で自動応答機能の不具合について問い合わせを行って、その不具合を早期に解決することができる。
【0058】
[実施の形態の拡張]
以上の各実施の形態では、電話網5および電話回線10がIP電話網およびIP電話回線からなり、電話装置1がIP電話端末である場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、電話装置1から発信した際、相手電話装置の応答(自動応答)に応じて電話網5から電話回線10を介して電話装置1に応答通知が送信される構成であれば、本発明の各実施の形態を適用でき、前述と同様の作用効果が得られる。
【0059】
また、各実施の形態では、応答通知がメッセージというデータ伝送で通知される場合を例として説明したが、例えばPSTN(Public Switched Telephone Networks:公衆電話交換網)回線で電圧極性の反転を利用した転極信号など、電気信号を用いて通知される場合でも、当該電気信号を検出する公知の回路構成を利用すればよく、本発明の各実施の形態を適用でき、前述と同様の作用効果が得られる。
【0060】
また、各実施の形態では、電話装置1が単独電話機である場合を例として説明したが、これに限定されるものではなく、例えばボタン電話装置の主装置や構内交換機、あるいは携帯端末など、他の形態の電話装置にも同様に適用することができ、前述と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置の構成を示すブロック図である。
【図2】自動交換機能を利用する場合のダイヤル情報の登録例である。
【図3】本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置におけるメモリダイヤル発信処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置のメモリダイヤル発信動作(PB信号送出)例を示すシーケンス図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態にかかる電話装置のメモリダイヤル発信動作(PB信号送出中止)例を示すシーケンス図である。
【図6】PB信号送出中止を示す警報表示例である。
【符号の説明】
【0062】
1…電話装置、10…電話回線、11…回線I/F部、12…通話処理部、13…PB信号送出部、14…操作検出部、15…表示部、16…記憶部、16A…呼制御情報、16B…ダイヤル情報、16P…プログラム、17…制御部、17A…発信手段、17B…応答手段、17C…自動応答制御手段、17D…計時手段、2…ボタン電話装置、20…電話回線、21…主装置、22…内線電話端末、23…内線回線、5…電話網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電話番号と第2の電話番号とを記憶する記憶手段と、
前記第1の電話番号に対して電話回線から発信を行う発信手段と、
前記発信後に当該電話回線からの応答通知を検出して相手電話装置との通話路を確立する応答手段と、
前記通話路へ任意の電話番号をPB信号で送出するPB信号送出手段と、
前記発信から所定の待機期間が経過するまでの間に前記応答手段により応答通知が検出された場合は、前記PB信号送出手段により前記第2の電話番号をPB信号で送出し、前記待機期間が経過するまでの間に前記応答通知が検出されなかった場合は、前記PB信号送出手段による前記第2の電話番号のPB信号送出を中止する自動応答制御手段と、
を備えることを特徴とする電話装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電話装置において、
各種情報を表示する表示手段をさらに備え、
前記自動応答制御手段は、前記第2の電話番号のPB信号送出を中止した場合、前記表示手段により当該中止を示す情報を表示する
ことを特徴とする電話装置。
【請求項3】
電話装置のコンピュータに、
第1の電話番号と第2の電話番号とを記憶手段で記憶する記憶ステップと、
発信手段により、前記記憶手段から読み出した前記第1の電話番号に対して電話回線から発信を行うステップと、
応答手段により、前記発信を行った後に当該電話回線からの応答通知を検出して相手電話装置との通話路を確立する応答ステップと、
自動応答制御手段により、前記発信から所定の待機期間が経過するまでの間に前記応答通知が検出された場合は、前記記憶手段から読み出した前記第2の電話番号をPB信号送出手段によりPB信号で前記通話路へ送出するPB信号送出ステップと、
前記自動応答制御手段により、前記待機期間が経過するまでの間に前記応答通知が検出されなかった場合は、前記PB信号送出手段による前記第2の電話番号のPB信号送出を中止するPB送出中止ステップと
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−54000(P2008−54000A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227500(P2006−227500)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】