説明

電話装置および電話装置の回線接続制御方法

【課題】大幅なコストアップを生じることなく、停電時においても通話が可能で、しかも電力消費の少ないハンズフリー機能を有する電話装置および電話装置の回線接続制御方法を提供する。
【解決手段】停電を検出する停電検出手段16と、受信した音声を出力するハンズフリー回路用の発音手段14と、送信する音声を入力するハンズフリー回路用の音声入力手段15と、音声入力手段15により音声を入力するときあるいは発音手段14により受信した音声を出力するときに操作される操作手段7と、停電検出手段16が停電を検出したときに、操作手段7の操作に応じて発音手段14あるいは音声入力手段15と回線20との接続を制御する切替手段12a、12bと、を備えた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親機にハンドセットを有しないハンズフリー機能を備えた電話装置に関し、特に、停電時における電力消費の低減を実現する電話装置および電話装置の回線接続制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、着信時にハンドセットを持ち上げる動作を行わなくても、例えば、「ハーイ」という音声を認識して、オフフック動作を実行する機能を備えた電話装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。こうした電話装置は、何かの用事をしていて直ぐにはハンドセットを持ち上げることができない場合や両手がふさがっていてハンドセットを持ち上げることができないような状況において効果的である。
【特許文献1】特開平5−292181号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、親機側に有線(例えばカールコード)で接続されたハンドセットを有しない電話装置では、停電時に通話ができなくなるため、その対策として、停電時用の電池を備えたり、あるいは停電時用のハンズフリー回路が設けられていた。しかし、こうした対策をとる場合でも、停電時のためだけにバックアップ用の電池を備えることは、装置全体のコストアップにつながるという新たな問題を生じる。
【0004】
また、ハンズフリー回路は、昨今、デジタル回路で構成されるため、停電時のためだけに別途ハンズフリー回路を設ける場合にも同様の問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、大幅なコストアップを生じることなく、停電時においても通話が可能で、しかも電力消費の少ないハンズフリー機能を有する電話装置および電話装置の回線接続制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、親機に有線で接続されたハンドセットを有しないハンズフリー回路を備えた電話装置であって、停電を検出する停電検出手段と、受信した音声を出力するハンズフリー回路用の発音手段と、送信する音声を入力するハンズフリー回路用の音声入力手段と、前記音声入力手段により音声を入力するときあるいは前記発音手段により受信した音声を出力するときに操作される操作手段と、前記音声入力手段により音声を入力するときに操作される操作手段と、前記停電検出手段が停電を検出したときに、前記操作手段の操作に応じて前記発音手段あるいは前記音声入力手段と回線との接続を制御する切替手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、親機に有線で接続されたハンドセットを有しないハンズフリー回路を備えた電話装置に用いられる電話装置の回線接続制御方法であって、受信した音声を出力するハンズフリー回路用の発音手段と、送信する音声を入力するハンズフリー回路用の音声入力手段とを有し、停電時に、送信する音声を入力するときに、操作ボタンが操作されると前記音声入力手段に回線を接続するステップと、音声入力が終了したときに、再び、操作ボタンが操作されると前記発音手段に回線を接続するステップとを備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項1および請求項3に記載の発明によれば、停電検出手段により停電が検出される。そして、停電時に、音声入力手段により音声を入力するとき、あるいは発音手段により受信した音声を出力するときに、操作手段が操作されると、切替手段の作動により、操作手段の操作に応じて、発音手段あるいは音声入力手段と回線との接続が制御される。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載された電話装置について、前記停電時に、前記発音手段および前記音声入力手段を回線電流で駆動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1および請求項3に記載の発明によれば、停電時に着信があったときに、発音手段と音声入力手段を操作ボタンにより切替えて使用できるため、発音手段や音声入力手段等を駆動する電力を最小限に抑制することができるという効果がある。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、停電時に、発音手段や音声入力手段を回線電流で駆動するため、例えば、バックアップ用のバッテリーを備える場合においても、バッテリーの消費電力を最小限に抑制することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
次に、本発明の一実施形態に係る電話装置について、図面を参照して説明する。
【0013】
本発明の一実施形態に係る電話装置は、図1に示すように、アンテナ1と、送受信部2と、スピーチネットワーク3と、回線制御部4と、制御回路5と、表示部6と、入力部(操作手段)7と、着信検出部8と、極性反転検出回路9と、ROM10と、RAM11と、スイッチ(切替手段)12a、12bと、アンプ13a、13bと、スピーカ(発音手段)14と、マイク(音声入力手段)15と、停電検出回路(停電検出手段)16と、電話回線(回線)20と、から構成されている。
【0014】
アンテナ1は、子機側から送信されてくる電波を受信し、あるいは、親機側からの音声情報を子機側に送信する。送受信部2には、図示しないRF回路や音声情報をデコードする回路等が備えられている。
【0015】
スピーチネットワーク3は、電話回線20からの信号をハンズフリー(拡声通話)用のスピーカ14(発音手段)やマイク15(音声入力手段)側に接続するのか、子機側に接続するのかを制御する。
【0016】
回線制御部4は、電話回線20に接続され、電話回線20の解放(直流ループの解除)(オンフック)・閉結(直流ループの形成)(オフフック)を行う。
【0017】
制御回路5は、動作のプログラムを記憶したROM10に基づき、電話装置の各部を制御する。本実施形態においては、後述する入力部7(操作手段)からの信号により、停電時に、スピーカ14(発音手段)あるいはマイク15(音声入力手段)のいずれをスピーチネットワーク3に接続するのかを制御する。
【0018】
表示部6は、例えば、液晶等で構成され、ダイヤルした電話番号や電話帳などを表示する。
【0019】
入力部7(操作手段)は、各種キー等により構成され、電話番号の入力等、各種情報の入力に用いられる。本実施形態においては、停電時に、スピーカ14(発音手段)あるいはマイク15(音声入力手段)のいずれをスピーチネットワーク3に接続するのかを指示する信号を前述の制御回路5に入力する場合に用いられるボタンを有している。
【0020】
着信検出部8は、電話回線20に接続され、着信(呼出信号)を検出し、その情報を制御回路5に出力する。
【0021】
極性反転検出回路9は、電話回線20に接続され、電話回線20の極性の反転、すなわち、相手先に発したときに相手方がハンドセットを取り上げたときに回線の極性が反転することを検出し、制御回路5に出力する。
【0022】
ROM10は、装置全体を制御する制御プログラムをはじめ、各種データを予め格納する。
【0023】
RAM11は、不揮発性のメモリで構成され、制御回路5の動作に必要な情報、例えば、留守録の応答メッセージ、保留を知らせるメッセージや電話帳等を一時的に記憶する。
【0024】
スイッチ12a、12b(切替手段)は、制御回路5により制御され、スピーカ14(発音手段)およびマイク15(音声入力手段)とスピーチネットワーク3との接続あるいは開放を行う。
【0025】
アンプ13aは、ハンズフリー用のスピーカ14(発音手段)への音声信号を増幅する増幅器であり、アンプ13bは、ハンズフリー用のマイク15(音声入力手段)からの音声信号を増幅する増幅器である。
【0026】
スピーカ14(発音手段)は、ハンズフリー用(拡声通話用)のスピーカであり、電気信号を音声に変換する。
【0027】
マイク15(音声入力手段)は、ハンズフリー用(拡声通話用)のマイクであり、音声を電気信号に変換する。
【0028】
停電検出回路16(停電検出手段)は、外部電源をモニタし、外部電源が予め定めた所定の電圧値を下回ったときに、停電状態であることを検出する。
【0029】
一般に、ハンズフリー回路を備えた電話装置の動作は、以下のようである。
【0030】
まず、発呼者の電話装置の発呼により、制御回路5は、電話回線20から送信される呼出信号を着信検出部8より受信すると、ベルを鳴動させる。
【0031】
そして、制御回路5は、図示しない音声認識回路を使用して、例えば、「待って」、「ハーイ」、「留守」という音声を検出する。制御回路5は、上記の音声を検出すると、オフフック動作(直流ループを形成)を行い、ハンズフリー用のスピーカ14(発音手段)とマイク15(音声入力手段)を使用したハンズフリー通話の処理を行う。
【0032】
次に、図2のフローチャートを用いて、停電時の処理について説明する。
【0033】
まず、制御回路5は、発呼者の電話装置の発呼による着信があるか否かをモニタする(ステップ101)。そして、着信がない場合には、着信をまって待機する。一方で、着信があった場合には、停電時であるか否かを停電検出回路16(停電検出手段)からの出力信号により判断する(ステップ102)。そして、停電状態でないと判断したときは、上記の通常の制御モードに移行する(ステップ103)。制御回路5が停電であると判断したときには、受話モードにセットする(ステップ104)。ここで、受話モードとは、スイッチ12a(切替手段)を閉じて、スピーカ14(発音手段)のアンプ13aとスピーチネットワーク3とを接続する処理をいう。このとき、スイッチ12b(切替手段)は開の状態である。また、このとき、アンプ13aやスピーチネットワーク3等への駆動電流の供給は、回線電流を用いて行われる。そして、次に、制御回路5は、入力部7(操作手段)に備えられた操作ボタンの操作、すなわち、スイッチ12b(切替手段)は閉の状態にして、送話モードに切替える指示があるか否かを確認する(ステップ105)。そして、操作ボタンの操作がないと判断したときは、ステップ104に戻って、受話モードを維持する。一方、操作ボタンの操作があったと判断したときは、受話モードを送話モードに切替える(ステップ106)。ここで、送話モードとは、スイッチ12b(切替手段)を閉じて、マイク15(音声入力手段)のアンプ13bとスピーチネットワーク3とを接続する処理をいう。このとき、スイッチ12a(切替手段)は開の状態である。また、このとき、アンプ13bやスピーチネットワーク3等への駆動電流の供給は、回線電流を用いて行われる。次に、再び、制御回路5は、入力部7(操作手段)に備えられた操作ボタンの操作、すなわち、スイッチ12a(切替手段)は閉の状態にして、受話モードに切替える指示があるか否かを確認する(ステップ107)。そして、操作ボタンの操作があったと判断したときは、ステップ104に戻って、送信モードを受話モードに切替える。これとは逆に、操作ボタンの操作がないと判断したときは、通話が終了したか否かを極性反転検出回路9からの出力信号により判断する(ステップ108)。そして、通話が終了したと判断したときには、動作を終了させ、まだ、通話状態が維持されていると判断したときには、ステップ106に戻って、送話モードを維持する。
【0034】
以上のことから、本実施形態においては、停電であるか否かを検出し、停電時に着信があったときには、操作ボタンの指示により、スピーチネットワーク3とアンプ13a、13bとの接続を制御するため、停電時の電力消費を低減させることができる。また、停電時に、駆動される回路系には、回線から駆動電流が供給されるため、バックアップ用のバッテリーを搭載した場合でも、バッテリーの消費電力を低減させることができる。
【0035】
以上、図面を参照して本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る電話装置の構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る電話装置を用いて処理を行うときのフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
3 スピーチネットワーク
4 回線制御部
5 制御回路
7 入力部(操作手段)
12a、12b スイッチ(切替手段)
13a、13b アンプ
14 スピーカ(発音手段)
15 マイク(音声入力手段)
16 停電検出回路(停電検出手段)
20 電話回線(回線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
親機に有線で接続されたハンドセットを有しないハンズフリー回路を備えた電話装置であって、
停電を検出する停電検出手段と、
受信した音声を出力するハンズフリー回路用の発音手段と、
送信する音声を入力するハンズフリー回路用の音声入力手段と、
前記音声入力手段により音声を入力するときあるいは前記発音手段により受信した音声を出力するときに操作される操作手段と、
前記停電検出手段が停電を検出したときに、前記操作手段の操作に応じて前記発音手段あるいは前記音声入力手段と回線との接続を制御する切替手段と、
を備えたことを特徴とする電話装置。
【請求項2】
停電時に、前記発音手段および前記音声入力手段を回線電流で駆動することを特徴とする請求項1に記載された電話装置。
【請求項3】
親機に有線で接続されたハンドセットを有しないハンズフリー回路を備えた電話装置に用いられる電話装置の回線接続制御方法であって、
受信した音声を出力するハンズフリー回路用の発音手段と、送信する音声を入力するハンズフリー回路用の音声入力手段とを有し、
停電時に、送信する音声を入力するときに、操作ボタンが操作されると前記音声入力手段に回線を接続するステップと、
音声入力が終了したときに、再び、操作ボタンが操作されると前記発音手段に回線を接続するステップと、
を備えたことを特徴とする電話装置の回線接続制御方法。

【図1】
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【図2】
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