説明

電話装置及び着信通知方法

【課題】 発信者に手間を掛けさせることなく、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信に対し、即座に対応することが可能な電話装置を提供する。
【解決手段】 携帯電話機10において、発信元の携帯電話機120からの着信時に他の電話機と通話中である場合、制御部101は、通話中の携帯電話機110が使用している回線とは別の回線を使用し、携帯電話機120に対し、録音メッセージを要求する。この録音メッセージの要求に応じて、携帯電話機120から送信された音声データを受信し、切替部102から録音部103に出力して録音する。ランク付け部104は、録音した音声データからキーワードを抽出してそのランク情報を取得し、通知部105は、ランク情報に対応するビープ音を発生させ、ランクに応じて通知態様を変更して使用者に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通話中に第三者からの着信があった場合に着信処理を行う電話装置及び着信通知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電話装置において、通話中に第三者からの着信があった場合の着信処理として、種々の対策が講じられている。例えば、予め相手先の電話番号をランク分けしておき、通話中、着信があると、その電話番号情報に基づいてビープ音を変更し、使用者に着信があった旨を伝える電話装置が知られている(特許文献1参照)。このランク分けは、例えば着信の累積回数に応じて行われる。
【0003】
また、発信側において、緊急情報を示す重要度を付加して通話を開始し、通話中、受信側では、その重要度に応じて、着信相手を切り替える電話装置が知られている(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平10−243063号公報
【特許文献2】特開平10−173792号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の電話装置のように、予め相手先の電話番号をランク分けしておき、通話中、その電話番号情報に基づいてビープ音を変更して着信を通知する場合、以下に掲げる問題があった。即ち、相手先の用件の内容がわからず、緊急を要する内容については対応が遅れてしまったり、また、重要な商談相手からの電話に対して商談成立の機会を逃してしまうなどの不都合があった。
【0006】
また、発信側において重要度を付加して通話を開始する場合、発信者は電話の内容に関する重要度を付加する必要があり、手間が掛かって面倒であった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、煩雑な操作を行うことなく、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対し、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することが可能な電話装置及び着信通知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電話装置は、通話中の着信処理を行う電話装置であって、通話中に着信があった場合、発信元に対してメッセージの録音を要求する録音要求手段と、前記要求に応じて録音されたメッセージに含まれるキーワードを取得するキーワード取得手段と、前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定手段と、前記決定された優先順位に対応する通知を着信者に対して行う通知手段とを備えるものである。
【0009】
これにより、煩雑な操作を行うことなく、着信者に対して着信の優先順位を通知でき、着信者は、通知の態様に基づいて着信の優先順位、すなわち緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等の重要度の高い着信などを容易に認識可能となる。したがって、発信者に手間を掛けさせることなく、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対して即座に対応するなど、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することが可能である。
【0010】
また、上記の電話装置であって、前記キーワード取得手段は、前記メッセージに含まれる複数の単語を抽出し、前記抽出した複数の単語にそれぞれ対応する複数のキーワードを取得し、前記順位決定手段は、前記取得した複数のキーワードの重要度の合計値を算出し、該算出された合計値を基に前記着信の優先順位を決定するものとする。
これにより、複数のキーワードにより着信の優先順位を決定することで、緊急性や重要性のある着信をより正確に把握することが可能となる。
【0011】
また、上記の電話装置であって、前記通知手段は、音源手段を用いて、前記決定された優先順位に対応したビープ音を発生させることにより、前記着信者に対して通知を行うものとする。
これにより、音によって着信者に通知することができ、着信者は、ビープ音の態様によって着信の重要度や緊急度を把握することが可能となる。
【0012】
また、上記の電話装置であって、前記通知手段は、表示手段を用いて、前記決定された優先順位に対応した画面を表示することにより、前記着信者に対して通知を行うものとする。
これにより、表示によって着信者に通知することができ、着信者は、表示画面の態様によって着信の重要度や緊急度を把握することが可能となる。
【0013】
また、上記の電話装置であって、前記通知手段は、振動発生手段を用いて、前記決定された優先順位に対応したパターンの振動を発生させることにより、前記着信者に対して通知を行うものとする。
これにより、振動によって着信者に通知することができ、着信者は、振動パターンによって着信の重要度や緊急度を把握することが可能となる。
【0014】
本発明の電話装置は、通話中の着信処理を行う電話装置であって、通話中に着信があった場合、発信元に対してメッセージの録音を要求する録音要求手段と、前記要求に応じて録音されたメッセージに含まれるキーワードを取得するキーワード取得手段と、前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定手段と、前記決定された優先順位が所定の範囲内である場合、前記発信元に通話相手を切り替える切替手段とを備えるものである。
【0015】
これにより、着信の優先順位に基づき、例えば緊急性や重要性の高い着信等に対し、通話相手を自動的に切り替えることが可能であり、着信者による切り替え操作の手間を省くことが可能となる。
【0016】
本発明の電話装置は、通話中の着信処理を行う電話装置であって、通話中に着信があった場合、発信元に対して電子メールの作成を要求するメール作成要求手段と、前記要求に応じて作成された電子メールに含まれるキーワードを取得するキーワード取得手段と、前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定手段と、前記決定された優先順位に対応する通知を着信者に対して行う通知手段とを備えるものである。
【0017】
これにより、電子メールを用いることで、文字検索によりキーワードの取得を簡単に行うことが可能となる。したがって、簡易な処理で着信者に対して着信の優先順位を通知でき、着信者は、通知の態様に基づいて着信の優先順位を容易に認識でき、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対して即座に対応するなど、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することが可能である。
【0018】
本発明の着信通知方法は、電話装置で通話中に着信があったことを通知する着信通知方法であって、通話中に着信があった場合、発信元に対してメッセージの録音を要求する録音要求ステップと、前記要求に応じて録音されたメッセージに含まれるキーワードを取得するキーワード取得ステップと、前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定ステップと、前記決定された優先順位に対応する通知を着信者に対して行う通知ステップとを有するものである。
【0019】
これにより、煩雑な操作を行うことなく、着信者に対して着信の優先順位を通知でき、着信者は、通知の態様に基づいて着信の優先順位を容易に認識可能であり、発信者に手間を掛けさせることなく、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対して即座に対応するなど、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することが可能である。
【0020】
本発明の着信通知方法は、電話装置で通話中に着信があったことを通知する着信通知方法であって、通話中に着信があった場合、発信元に対してメッセージの録音を要求する録音要求ステップと、前記要求に応じて録音されたメッセージに含まれるキーワードを取得するキーワード取得ステップと、前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定ステップと、前記決定された優先順位が所定の範囲内である場合、前記発信元に通話相手を切り替える切替ステップとを有するものである。
【0021】
これにより、着信の優先順位に基づき、例えば緊急性や重要性の高い着信等に対し、通話相手を自動的に切り替えることが可能であり、着信者による切り替え操作の手間を省くことが可能となる。
【0022】
本発明の着信通知方法は、電話装置で通話中に着信があったことを通知する着信通知方法であって、通話中に着信があった場合、発信元に対して電子メールの作成を要求するメール作成要求ステップと、前記要求に応じて作成された電子メールに含まれるキーワードを取得するキーワード取得ステップと、前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定ステップと、前記決定された優先順位に対応する通知を着信者に対して行う通知ステップとを有するものである。
【0023】
これにより、電子メールを用いることで、文字検索によりキーワードの取得を簡単に行えるので、簡易な処理で着信者に対して着信の優先順位を通知でき、着信者は、通知の態様に基づいて着信の優先順位を容易に認識可能となり、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対して即座に対応するなど、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することが可能である。
【0024】
また、本発明は、上記いずれかに記載の電話装置の各手段として機能させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、煩雑な操作を行うことなく、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対し、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することが可能な電話装置及び着信通知方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下の実施形態では、携帯電話機等に適用可能な電話装置及び着信通知方法の例を説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態における携帯電話機のハードウェア構成を示す図である。
【0027】
携帯電話機10は、主制御部72を中心に構成されており、主制御部72には、無線通信部73、内部メモリ74、音声処理部75、画像処理部76、音源部91、振動発生部92およびキー操作部78が設けられている。無線通信部73には、アンテナ79が接続されている。音声処理部75には、スピーカ80およびマイク81が接続されている。画像処理部76には、表示部77が接続されている。
【0028】
主制御部72は、バスを介して接続される周知のCPU、ROM、RAM等から構成され、ROMに格納された各種制御プログラムの実行にしたがって、内部メモリ74や無線通信部73との間でデータの送受信を行ったり、各部を制御する。内部メモリ74には、主制御部72で実行される制御プログラムやデータの他、後述する録音メッセージや電子メール等が格納される。また、この内部メモリ74には、情報提供サイトなどからダウンロードした画像、音楽、プログラム等のコンテンツデータが記憶される。
【0029】
無線通信部73は、主制御部72によって制御され、アンテナ79を介して無線アクセスポイント20と無線通信を行う。音声処理部75は、マイク81から入力された音声信号を符号化して主制御部72に送出し、また、無線通信部73で受信した音声信号を復号化してスピーカ80から出力する。画像処理部76は、無線通信部73で受信した画像データや、内部メモリ74に記憶された画像データを処理して表示部77に出力する。キー操作部78は、各種キーを有し、電話の発信や着信の他、表示部77に表示される情報のスクロールや選択等を行う。
【0030】
図2は第1の実施形態における携帯電話機の機能的構成を示す図である。携帯電話機10は、上記ハードウェア構成を有し、制御部101、切替部102、録音部103、ランク付け部104、通知部105および受話器部106を含む機能的構成を有する。ここで、制御部101、切替部102およびランク付け部104は、主制御部72内のCPUがROMに格納された制御プログラムを実行することによって実現される。
【0031】
制御部101は、各部の制御を行うもので、録音要求手段の機能を有する。切替部102は、通信回線や通信データの切替えを行うもので、切替手段の機能を有する。ランク付け部104は、キーワード取得手段および順位決定手段の機能を有する。録音部103は内部メモリ74に相当する。通知部105は通知手段の機能を有するもので、ビープ音を発生する音源部91(音源手段)、振動発生部92(振動発生手段)および表示部77(表示手段)などを用いて通知を行う。受話器部106は、音声処理部75、スピーカ80およびマイク81に相当する。
【0032】
制御部101は、他の携帯電話機110、120からの呼び出しを受けると、切替部102に着信情報を出力する。切替部102は、他の携帯電話機からの通話中の音声データを受話器部106に出力するとともに、通話中に掛かってきた第三者からの録音メッセージである音声データを録音部103に出力する。このとき、制御部101は、通話中に着信があった場合に、発信元に対して録音メッセージを要求する。録音部103は、切替部102からの音声データを録音し、録音した音声データをランク付け部104に出力する。
【0033】
ランク付け部104は、録音部103からの音声データを用いて着信のランク付けを行い、そのランク情報(順位)を通知部105に出力する。通知部105は、着信のあったことを音、表示、振動等によって着信者に通知する。受話器部106は音声データを処理して音声の入出力を行う。
【0034】
また、携帯電話機10の通話相手である携帯電話機110、120は、通常の携帯電話機と同じ構成であるので、その説明を省略する。なお、携帯電話機110、120の構成は、携帯電話機10と同様の構成であってもよいことは勿論である。
【0035】
次に、上記構成を有する携帯電話機10の動作を説明する。図3は本実施形態の携帯電話機における着信時に通話中でない場合の通話開始手順を示す図である。図4は着信時に通話中である場合の通話開始手順を示す図である。
【0036】
携帯電話機120が発信動作を開始すると(T1)、携帯電話機10は新規の発信源である携帯電話機120からの呼び出しを受ける(T2)。制御部101はこの呼び出しを受けると、切替部102に着信情報を通知する。切替部102は、通話中であるか否かの着信状態を判定する(T3)。通話中でない場合、図3のように、制御部101は、携帯電話機120に対し、通話開始を要求する(T4)。携帯電話機120は、この通話開始要求を受けると、通話開始動作を行い(T5)、携帯電話機10に対して音声データを送信する(T6)。切替部102は、携帯電話機120から受信した音声データを受話器部106に出力する。そして、通話状態に移行する。
【0037】
一方、携帯電話機10が携帯電話機110と既に通話中である場合、図4のように、制御部101は、携帯電話機110が使用している回線とは別の回線を使用し、携帯電話機120に対し、録音メッセージを要求する(T7)。携帯電話機120は、この録音メッセージの要求を受けると、携帯電話機10に対し、録音メッセージである音声データの送信を開始する(T8)。切替部102は、携帯電話機120から受信した音声データを録音部103に出力して録音する(T9)。録音部103は、音声データの録音を終了すると、録音した音声データを順次あるいは所定件数毎/一定時間毎にまとめてランク付け部104に出力する。
【0038】
なお、携帯電話機10からの録音メッセージの要求に対し、携帯電話機120が録音メッセージの送信を行わない場合、携帯電話機10は着信に対する通知を行わない。また、録音メッセージに無音状態が含まれる場合や、ノイズを含む音声データの区間がある場合、録音部103は、誤ったランク付けを防ぐために、ランク付け部104に音声データを出力しない。
【0039】
ランク付け部104は、順次あるいは一定時間毎に、録音した音声データから音声認識によって単語を抜き出し、その単語が予め設定されたキーワードテーブルに属するキーワードに含まれる場合、そのキーワードに応じた重要度を順次加算し、重要度の合計値を算出する。図5はキーワードに対応する重要度を示すキーワードテーブルの一例を示す図である。このキーワードテーブルでは、キーワードが「△△△社」、「鈴木」、「至急」、「太郎」である場合、重要度はそれぞれ値100、50、50、30である。
【0040】
さらに、ランク付け部104は、ランク付け情報テーブルを用いて、算出した重要度の合計値に該当するランク情報を取得する(T10)。図6は重要度の合計値に対応するランク情報を示すランク付け情報テーブルの一例を示す図である。このランク付け情報テーブルでは、重要度の合計値が「0〜30」、「31〜60」、「61〜100」、「101〜」である場合、ランク情報はそれぞれ値0、1、2、3である。ランク付け部104は、取得したランク情報を通知部105に通知する。なお、ランク情報の通知は、ランク情報が変更になったとき、または一定時間毎に行われるようにしてもよい。
【0041】
そして、通知部105は、音源部91を用い、ビープ音発生回数テーブルを参照してランク情報に応じたビープ音の発生を行う(T11)。図7はランク情報に対応するビープ音の発生回数を示すビープ音発生回数テーブルの一例を示す図である。このビープ音発生回数テーブルでは、ランク情報が値0、1、2、3である場合、ビープ音の発生回数はそれぞれ1、2、3、4回である。
【0042】
図8は第1の実施形態の携帯電話機における着信時通話処理手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは主制御部72内のROM(図示せず)に格納されており、主制御部72内のCPU(図示せず)によって一定周期毎に実行される。
【0043】
まず、新たな着信があったか否かを判別する(ステップS1)。新たな着信がなかった場合、本処理を終了する。一方、新たな着信があった場合、着信状態を判定する(ステップS2)。具体的に、携帯電話機120からの着信があった際、携帯電話機110と通話中であるか否かが判定される。
【0044】
着信状態の判定の結果、通話中でなかった場合、通話を開始し(ステップS11)、本処理を終了する。一方、ステップS2で通話中であった場合、発信元の携帯電話機120に対し、録音メッセージを要求する(ステップS3)。この録音メッセージの要求に対し、携帯電話機120からの録音メッセージを受信したか否かを判別する(ステップS4)。所定時間待っても、録音メッセージを受信しなかった場合、そのまま本処理を終了する。
【0045】
一方、録音メッセージを受信した場合、その音声データを録音部103(内部メモリ74)に記録する(ステップS5)。この後、録音メッセージから音声認識により単語を抽出する(ステップS6)。即ち、音声認識によって抽出した単語のうち、重要度テーブル(図5参照)を参照し、この重要度テーブルに登録されたキーワードに一致する単語を特定する。そして、キーワードの重要度を加算して重要度の合計値を算出する(ステップS7)。この後、全ての単語を抽出したか否かを判別する(ステップS8)。
【0046】
全ての単語を抽出していない場合、ステップS6の処理に戻り、全ての単語を抽出すると、ランク付け情報テーブル(図6参照)を用いて、重要度の合計値に対応するランク情報を取得する(ステップS9)。そして、取得したランク情報に応じた通知を行う(ステップS10)。例えば、ランク情報が「0」である場合、ビープ音を1回鳴らし、ランク情報が「3」である場合、ビープ音を4回鳴らす。この後、本処理を終了する。
【0047】
このように、第1の実施形態の携帯電話機では、録音したメッセージに含まれる、予め設定(登録)されたキーワードに対応する重要度を算出し、そのランク情報に応じて、通知の態様(ここでは、ビープ音の発生回数)を変更する。これにより、煩雑な操作を行うことなく、ランク情報で異なる通知方法によって着信者に対して着信の優先順位を通知でき、着信側の使用者(着信者)は、通知の態様に基づいて緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信を容易に認識できる。したがって、発信者に手間を掛けさせることなく、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対して即座に対応するなど、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、通知の態様の変更として、ビープ音の発生回数を変更していたが、ビープ音の高さや長さを変更するようにしてもよい。また、ビープ音の代わりに、メロディ音等を用いてもよい。さらに、音源部91からの音を用いる代わりに、表示部77に表示される画面の内容をランク情報に応じて変更してもよいし、振動発生部92による振動パターンをランク情報に応じて変更してもよい。さらには、通知の態様として、これらを組み合わせて通知内容を変更するようにしてもよい。
【0049】
(第2の実施形態)
図9は本発明の第2の実施形態における携帯電話機の機能的構成を示す図である。
第2の実施形態の携帯電話機20は、前記第1の実施形態と比べ、通知部が省かれた構成を有する。その他、前記第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略し、ここでは異なる構成要素だけを説明する。
【0050】
ランク付け部201は、録音部103から順次出力された音声データに含まれる、予め設定(登録)されたキーワードに応じて重要度を算出し、そのランク情報を切替部202に出力する。切替部202は、切替手段の機能を有し、ランク情報に応じて通話相手先を切り替える。
【0051】
図10は第2の実施形態の携帯電話機における着信時通話処理手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは主制御部72内のROM(図示せず)に格納されており、主制御部72内のCPU(図示せず)によって一定周期毎に実行される。前記第1の実施形態と同一のステップ処理については同一のステップ番号を付すことにより、その説明を省略する。すなわち、ステップS1〜S9までは第1の実施形態と同様である。
【0052】
ステップS9で重要度の合計値に対応するランク情報を取得すると、取得したランク情報が閾値以上であるか否かを判別する(ステップS10A)。閾値より小さい場合、そのまま本処理を終了する。この場合、着信があっても何も対処しないことになるが、前記第1の実施形態と同様の手法で着信のあったことを通知するようにしてもよい。一方、ランク情報が閾値以上である場合、回線切替えを行い、通話相手を新規の発信元(ここでは、携帯電話機120)に切り替える(ステップS10B)。この後、本処理を終了する。
【0053】
このように、第2の実施形態の携帯電話機では、録音したメッセージに含まれる、予め設定(登録)されたキーワードに対応する重要度を算出し、そのランク情報に応じて通話相手を切り替える。これによって、発信者に手間を掛けさせることなく、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対して即座に対応するなど、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することができる。
【0054】
(第3の実施形態)
図11は本発明の第3の実施形態における携帯電話機の機能的構成を示す図である。
第3の実施形態の携帯電話機30は、前記第1の実施形態と比べ、録音部103の代わりに、記録部302が設けられた構成を有する。その他、前記第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付すことにより、その説明を省略し、ここでは異なる構成要素だけを説明する。また、携帯電話機110、120は電子メール作成機能を有するものである。
【0055】
制御部301は、新規の発信元である携帯電話機120の呼び出しに対し、切替部102に着信情報を通知する。制御部101は、メール作成要求手段の機能を有し、携帯電話機110と通話中である場合、新たな発信元の携帯電話機120に電子メール作成要求を送信する。携帯電話機120は、この電子メール作成要求に応じて電子メールを作成し、作成した電子メールを携帯電話機30に送信する。なお、この電子メールの作成は、キー入力あるいは音声認識により行われる。記録部302は、携帯電話機120から受信した電子メールを記録部302に記録すると、ランク付け部303に出力する。
【0056】
ランク付け部303は、記録部302から出力された電子メールに含まれる単語を順次抜き出し、その単語が予め設定(登録)された、キーワードテーブル(図5参照)に記載のキーワードと一致するか否かを判別する。もし、一致するキーワードが含まれている場合、そのキーワードに対応する重要度を順次加算し、重要度の合計値を算出する。さらに、ランク付け情報テーブル(図6参照)を参照し、算出した重要度の合計値に対応するランク情報を取得する。そして、取得したランク情報を通知部105に通知する。
【0057】
図12は第3の実施形態の携帯電話機における着信時通話処理手順を示すフローチャートである。この処理プログラムは主制御部72内のROM(図示せず)に格納されており、主制御部72内のCPU(図示せず)によって一定周期毎に実行される。前記第1の実施形態と同一のステップ処理については同一のステップ番号を付すことにより、その説明を省略する。
【0058】
ステップS1で新たな着信があり、ステップS2で着信状態を判定した結果、通話中であった場合、新規の発信元(ここでは、携帯電話機120)に対して電子メールの作成要求を行う(ステップS3A)。そして、この電子メールの作成要求に応じて作成された、携帯電話機120からの電子メールを受信したか否かを判別する(ステップS4A)。所定時間待っても、電子メールを受信しなかった場合、そのまま本処理を終了する。
【0059】
一方、電子メールを受信した場合、受信した電子メールを記録部302(内部メモリ74)に記録する(ステップS5A)。そして、記録された電子メールからキーワードを抽出する(ステップS6A)。即ち、電子メールから文字検索によって単語を抽出し、キーワードテーブル(図5参照)に記載されたキーワードを参照し、このキーワードに一致する単語を特定する。この後、ステップS7では、キーワードの重要度を加算して重要度の合計値を算出する。以降のステップS8〜S10は第1の実施形態と同様である。
【0060】
このように、第3の実施形態の携帯電話機では、電子メールに含まれる、予め設定されたキーワードに対応する重要度を算出し、そのランク情報に応じて通知方法を変更する。これにより、簡易な処理によって着信者に対して着信の優先順位を通知でき、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対して即座に対応するなど、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することができる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られるものではなく、種々の変形実施が可能である。例えば、上記実施形態では、携帯電話機に適用された場合を示したが、固定電話機等の他の構成の電話装置に適用してもよいことは勿論である。また、上記実施形態における制御は、電話装置内に設けられたコンピュータで所定のプログラムを実行することによって実現することもできる。このコンピュータで用いるプログラムの受け渡しは、デジタル情報としてプログラムを記録したFDやCD−ROM等の記録媒体を用いて行ってもいいし、コンピュータネットワーク等の通信ネットワークを用いて行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、煩雑な操作を行うことなく、緊急を要する内容の着信や重要な相手からの着信等に対し、着信者が重要度や緊急度に応じて対応することが可能となる効果を有し、通話中に第三者からの着信があった場合に着信処理を行う電話装置及び着信通知方法等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施形態における携帯電話機のハードウェア構成を示す図
【図2】本発明の第1の実施形態における携帯電話機の機能的構成を示す図
【図3】本実施形態の携帯電話機における着信時に通話中でない場合の通話開始手順を示す図
【図4】本実施形態の携帯電話機における着信時に通話中である場合の通話開始手順を示す図
【図5】本実施形態において用いるキーワードに対応する重要度を示すキーワードテーブルの一例を示す図
【図6】本実施形態において用いる重要度の合計値に対応するランク情報を示すランク付け情報テーブルの一例を示す図
【図7】本実施形態において用いるランク情報に対応するビープ音の発生回数を示すビープ音発生回数テーブルの一例を示す図
【図8】第1の実施形態の携帯電話機における着信時通話処理手順を示すフローチャート
【図9】本発明の第2の実施形態における携帯電話機の機能的構成を示す図
【図10】第2の実施形態の携帯電話機における着信時通話処理手順を示すフローチャート
【図11】本発明の第3の実施形態における携帯電話機の機能的構成を示す図
【図12】第3の実施形態の携帯電話機における着信時通話処理手順を示すフローチャート
【符号の説明】
【0064】
10、20、30 携帯電話機
72 主制御部
74 内部メモリ
91 音源部
92 振動発生部
101、301 制御部
102、202 切替部
103 録音部
104、201、303 ランク付け部
105 通知部
106 受話器部
302 記録部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通話中の着信処理を行う電話装置であって、
通話中に着信があった場合、発信元に対してメッセージの録音を要求する録音要求手段と、
前記要求に応じて録音されたメッセージに含まれるキーワードを取得するキーワード取得手段と、
前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定手段と、
前記決定された優先順位に対応する通知を着信者に対して行う通知手段と
を備える電話装置。
【請求項2】
請求項1記載の電話装置であって、
前記キーワード取得手段は、前記メッセージに含まれる複数の単語を抽出し、前記抽出した複数の単語にそれぞれ対応する複数のキーワードを取得し、
前記順位決定手段は、前記取得した複数のキーワードの重要度の合計値を算出し、該算出された合計値を基に前記着信の優先順位を決定する電話装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の電話装置であって、
前記通知手段は、音源手段を用いて、前記決定された優先順位に対応したビープ音を発生させることにより、前記着信者に対して通知を行う電話装置。
【請求項4】
請求項1または2記載の電話装置であって、
前記通知手段は、表示手段を用いて、前記決定された優先順位に対応した画面を表示することにより、前記着信者に対して通知を行う電話装置。
【請求項5】
請求項1または2記載の電話装置であって、
前記通知手段は、振動発生手段を用いて、前記決定された優先順位に対応したパターンの振動を発生させることにより、前記着信者に対して通知を行う電話装置。
【請求項6】
通話中の着信処理を行う電話装置であって、
通話中に着信があった場合、発信元に対してメッセージの録音を要求する録音要求手段と、
前記要求に応じて録音されたメッセージに含まれるキーワードを取得するキーワード取得手段と、
前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定手段と、
前記決定された優先順位が所定の範囲内である場合、前記発信元に通話相手を切り替える切替手段と
を備える電話装置。
【請求項7】
通話中の着信処理を行う電話装置であって、
通話中に着信があった場合、発信元に対して電子メールの作成を要求するメール作成要求手段と、
前記要求に応じて作成された電子メールに含まれるキーワードを取得するキーワード取得手段と、
前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定手段と、
前記決定された優先順位に対応する通知を着信者に対して行う通知手段と
を備える電話装置。
【請求項8】
電話装置で通話中に着信があったことを通知する着信通知方法であって、
通話中に着信があった場合、発信元に対してメッセージの録音を要求する録音要求ステップと、
前記要求に応じて録音されたメッセージに含まれるキーワードを取得するキーワード取得ステップと、
前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定ステップと、
前記決定された優先順位に対応する通知を着信者に対して行う通知ステップと
を有する着信通知方法。
【請求項9】
電話装置で通話中に着信があったことを通知する着信通知方法であって、
通話中に着信があった場合、発信元に対してメッセージの録音を要求する録音要求ステップと、
前記要求に応じて録音されたメッセージに含まれるキーワードを取得するキーワード取得ステップと、
前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定ステップと、
前記決定された優先順位が所定の範囲内である場合、前記発信元に通話相手を切り替える切替ステップと
を有する着信通知方法。
【請求項10】
電話装置で通話中に着信があったことを通知する着信通知方法であって、
通話中に着信があった場合、発信元に対して電子メールの作成を要求するメール作成要求ステップと、
前記要求に応じて作成された電子メールに含まれるキーワードを取得するキーワード取得ステップと、
前記取得したキーワードの重要度を算出し、該算出された重要度を基に前記着信の優先順位を決定する順位決定ステップと、
前記決定された優先順位に対応する通知を着信者に対して行う通知ステップと
を有する着信通知方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1から7のいずれかに記載の電話装置の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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