説明

露光装置のアライメント方法

【目的】下層工程をスキャナ型の露光装置で行い、上層工程を一括型露光装置で行うハイブリッド処理において、ショット形状歪みの直交成分や面内方向の倍率差を補正することが可能であり、重ね合わせ精度の高いアライメント方法を提供する。
【解決手段】レチクルの回路パターンの周囲の、走査露光によって二重露光される領域内であって回路パターンに関して互いに対応する位置に、各々が第1及び第2のマークからなる複数のマーク対を設け、上記レチクルを用いて第1露光工程を行い、形成された複数のマーク対から線形歪みを算出して記憶する予備的ステップと、上記レチクルを用い、当該記憶された上記線形歪みに応じて、上記走査露光における露光ショットの線形度を変化させて上記第1露光工程を実行する第1露光ステップと、上記第2露光工程を実行する第2露光ステップと、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造のリソグラフィ工程において用いられる露光装置のアライメント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIなどの半導体装置の製造のフォトリソグラフィ工程において、電子回路を形成する基板(ウェハ等)に回路パターンが転写される。この回路パターン転写のために、一般的に、露光装置が用いられている。
【0003】
露光装置には、露光時においてレチクル(フォトマスク)を載置したレチクルステージを静止した状態で一括で露光を行う一括型又はステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)と、露光時においてレチクルステージがウエハステージと同期移動される走査型又はステップ・アンド・スキャン方式の露光装置(スキャナ)と、に大別される(例えば、特許文献1)。
【0004】
一括型露光装置では、露光ショットサイズが投影レンズ径内の露光領域に対応し、ショット倍率成分については投影レンズの投影領域の膨張、縮小調整によって縦横等比率で補正することができる。また、ショット回転成分については、レチクルステージあるいはウエハステージの回転調整により補正することができる。
【0005】
一方、スキャナ型ではスキャン動作により投影レンズ内のスリット状の露光領域が移動することで露光ショットが形成されるため、投影レンズの投影領域の膨張、縮小調整及びスキャン距離調整を組み合わせることによってショット倍率成分を縦横方向に対して自在に補正することができる。また、スキャン走り方向の斜め調整によりショット直交度成分を補正することができる。
【0006】
しかしながら、露光装置には投影レンズの歪みや、レチクルのパターン描画歪みがあり、複数回の重ね合わせ露光を行う場合には、これらの歪みは、合わせ精度を悪化させる原因となる。
【0007】
特に、下層工程の露光(第1の露光)をスキャナ型の露光装置で行い、上層工程の露光(第2の露光)を一括型露光装置で行うハイブリッド処理の場合では、露光装置の投影レンズの歪み及びレチクルのパターン歪みによって、ショット形状歪みの直交成分や面内方向の縦横倍率差成分(以下、XY倍率差成分ともいう。)がそのまま残留し、合わせ精度を悪化させていた。
【0008】
例えば、スキャナ型露光装置を用いた下層工程において、ウエハ上の各ショット露光に形状歪み(直交歪み、XY倍率差)が生じていない場合であっても、上層工程に用いられる一括型露光装置の投影レンズが直交歪みやXY倍率歪みを有している場合には、重ね合わせ露光を行った後の各ショットはショット直交ずれやXY倍率差が乗ったショット形状となり、重ね合わせ誤差として残留する。
【0009】
また、スキャナ型露光装置を用いた下層工程において、レチクルのパターンに歪み(直交歪み、XY倍率差)があり、そのため各ショット露光に歪みが生じる場合には、一括型露光装置を用いた上層工程においても、各ショット露光の歪みはそのまま残留し、重ね合わせ誤差が生じる。
【特許文献1】特開2000−036451号(第2−3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、その目的は、下層工程の露光(第1の露光)をスキャナ型の露光装置で行い、上層工程の露光(第2の露光)を一括型露光装置で行うハイブリッド処理において、露光装置のレンズの歪みやレチクルのパターン歪みがある場合であっても、ショット形状歪みの直交成分や面内方向の倍率差を補正することが可能であり、重ね合わせ精度の高い露光装置のアライメント方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、レチクルを用いて回路パターンの走査露光を行う第1露光工程と、上記第1露光工程より後に一括露光を行う第2露光工程と、を有する重ね合せ露光におけるアライメント方法であって、上記レチクルの回路パターンの周囲の、上記走査露光によって二重露光される領域内であって上記回路パターンに関して互いに対応する位置に、各々が第1及び第2のマークからなる複数のマーク対を設け、上記レチクルを用いて上記第1露光工程を行い、形成された上記複数のマーク対に基づいて、線形歪みを算出して記憶する予備的ステップと、上記レチクルを用い、当該記憶された上記線形歪みに応じて、上記走査露光における露光ショットの線形度を変化させて上記第1露光工程を実行する第1露光ステップと、上記第2露光工程を実行する第2露光ステップと、を有している。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1露光(下層工程)において、第1露光より後に行われる第2露光(上層工程)の歪みを考慮して補正が行われる。つまり、走査露光によって二重露光される領域内に複数のマーク対を設けたレチクルを用いて上記第1露光を行い、形成される複数のマーク対から線形歪みを算出して記憶しておく予備的工程と、上記レチクルを用い、当該記憶された上記線形歪みに応じた歪み補正を行った第1露光と、第2露光とを実行する。このようにすることで、第2露光プロセスによっては補正が不可能な各ショットの歪みを補正することができる。従って、第1露光(下層工程)及び第2露光(上層工程)による各露光ショットの重ね合わせ精度を向上することができる。
【0013】
また、第1露光におけるスキャン露光ショット歪みを補正した後、第2露光(一括露光)を行う。従って、第2露光(一括露光)によっては補正が不可能な複数のショットの各々の歪みを補正することができ、第1露光及び第2露光による各露光ショットの重ね合わせ精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
【実施例】
【0015】
図1〜図3は、本発明によるアライメント方法を実施する露光装置10の構成の一例を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、露光装置10は、レチクル顕微鏡11、レチクル12、投影レンズ14、ウエハステージ15、レーザ干渉計18及びアライメント顕微鏡19から構成されている。なお、図1〜図3は、露光装置10の概略的構成を示しており、光源、レチクル12を載置するレチクルステージ、投影光学系の詳細、などについては一般的な構成であり、また図面の複雑さを避けるために、図示を省略している。
【0017】
また、露光装置10には、当該レチクルステージ、ウエハステージ15等の可動機構の駆動を行うレチクルステージ駆動部及びウエハステージ駆動部を含む駆動部7が設けられている。駆動部7は当該ステージの駆動を行うとともに、その駆動量(すなわち、各ステージの移動量)を識別する駆動量識別部が設けられている。さらに、上記した露光装置10の各構成要素に双方向的に接続され、当該駆動部7の調整制御を実行するとともに、後述する各種測定、データ演算、データ格納(記憶)等を行い、露光装置10の全体の制御を行うコントローラ5が設けられている。なお、図2及び図3では、コントローラ5及び駆動部7の図示を省略している。
【0018】
さらに、レチクル12上にはアライメントマーク3が形成され、ウエハステージ15上には基準マーク6が形成されている。また、ウエハステージ15上にはレーザ干渉計18からの入射光をレーザ干渉計18に向けて反射する干渉ミラー17が設けられている。
【0019】
まず、図1〜図3を参照して、レチクルに対するウエハの位置ずれ、歪みを検出する動作について以下に説明する。図1に示すように、露光装置10にセットされたレチクル12上のレチクルアライメントマーク3と、ウエハステージ15上の基準マーク6との位置ずれが投影レンズ14を介してレチクル顕微鏡11によって測定される。なお、この際、レーザ干渉計18によって、ウエハステージ15上に設置されている干渉ミラー17との間の入反射干渉光の位相がモニタされ、ウエハステージ15に対するレチクル12の位置ずれ、すなわちレチクル12の位置座標が識別される。
【0020】
次に、図2に示すように、ウエハステージ15が駆動部7の駆動によって移動され、ウエハ位置検出用のアライメント顕微鏡19によって、アライメント顕微鏡19に設けられている顕微鏡基準マーク(図示しない)と、ウエハステージ15上の基準マーク6の位置ずれが測定される。なお、この際、レーザ干渉計18によって、ウエハステージ15上に設置されている干渉ミラー17との間の入反射干渉光の位相がモニタされ、ウエハステージ15の位置座標が識別される。そして、かかる動作によってアライメント顕微鏡19の位置座標が識別される。
【0021】
次に、図3に示すように、ウエハステージ15上に下層工程(第1の露光)を経たウエハ20が載置される。ウエハステージ15を移動させながら下層工程で形成したウエハ上の複数のウエハマーク(図示せず)がアライメント顕微鏡19で検出され、アライメント顕微鏡19に対するウエハの位置ずれ、歪みが検出される。
【0022】
前述のように、上記したレチクル12の位置座標、アライメント顕微鏡19の位置座標、及びアライメント顕微鏡19に対するウエハの位置ずれや歪みの検出及び算出は、各種測定、データ演算、データ格納等の機能を有するコントローラ5によって実行及び制御される。
【0023】
なお、本実施例においては、ウエハマークの検出は、投影レンズ14を介さずに専用のアライメント顕微鏡19を用いて行う、いわゆるオフ・アクシス(OFF-AXIS)方式を採用している。なお、当該方法の他には、投影レンズ14を介してウエハマークを検出するTTL(Through The Lens)方式がある。しかしながら、アライメントに用いられる測定光(すなわち、非露光光)はウエハ20上に塗布されたレジストの干渉を受けにくい広帯域の波長幅を有しており、特に、高NA(Numerical Aperture)の投影レンズ14を用いた光学系では色収差が大きく、補正が困難であるため、微細パターンが必要とされる高NA投影レンズ光学系を搭載した露光装置においてはオフ・アクシス方式が主流となっている。
【0024】
次に、図4を参照して、下層工程(第1の露光)におけるショット形状歪みを測定するためのレチクルアライメントマーク3の一例について説明する。より詳細には、レチクル12には、例えば、半導体回路等を形成する矩形形状の半導体回路チップ領域22(ハッチングして示す領域)、半導体回路チップ領域22の外側の周囲の4辺からなるグリッドライン23(23X1, 23X2, 23Y1, 23Y2)が設けられている。なお、以下においては、半導体回路チップ領域22及びグリッドライン23からなる領域を第1露光格子(又は、単に、露光格子)ともいう。当該露光格子は、下層工程において、上記したステップ・アンド・スキャン露光(第1の露光)により、当該レチクルパターンがウエハ20上の各ショット領域に逐次転写露光される。また、後述するように、このスキャン露光においてグリッドライン23の各4辺は二重露光される。ウエハ20に塗布されたレジストを部分的に二重露光することで、その後のエッチング処理によってレジストからなる測定マーク26P(後述)を形成することができる。
【0025】
図4に示すように、半導体回路チップ領域22の中心を原点O(0,0)とし、レチクル12面内にX方向(紙面右方向が正)、Y方向(紙面上方向が正)が規定され、レチクル12の面(XY平面)に垂直なZ方向が規定されている。そして、グリッドライン23は、X方向に水平な方向のグリッドラインの線分(以下、グリッドライン切片ともいう。)23X1(Y>0)、23X2(Y<0)と、Y方向に水平な方向のグリッドライン(切片)23Y1(X>0)、23Y2(X<0)とから構成されている。
【0026】
半導体回路チップ領域22の外周のグリッドライン内には互いに対応するアウタマーク及びインナマークが複数対、好ましくは4対設けられている。例えば、グリッドライン23内であって、半導体回路チップ領域22の上下及び左右に、4対のアウタマーク及びインナマークが設けられている。
【0027】
より詳細には、図4及び図5(a)の部分拡大図に示すように、当該XY平面の第1象限(すなわち、X>0,Y>0)であって、グリッドライン切片23X1(Y>0)内にはアウタマーク25Pが設けられている。また、図4及び図5(b)の部分拡大図に示すように、アウタマーク25Pに対応するインナマーク24Pが当該XY平面の第4象限(すなわち、X>0,Y<0)であって、グリッドライン切片23X2内に設けられている。すなわち、ステップ・アンド・スキャン露光により下層工程(第1の露光)を行うことによって、グリッドライン切片23X1及びグリッドライン切片23X2は二重露光されるが、図6に示すように、この二重露光によってアウタマーク25P及びインナマーク24Pが重なる位置に配されている。そして、ステップ・アンド・スキャン露光によって、アウタマーク25P及びインナマーク24Pが露光され、ボックス・イン・ボックス(Box-in-box)型の第1露光格子測定マーク26Pが形成される。つまり、レチクルの回路パターンである半導体回路チップ領域22の周囲であって走査露光によって二重露光される隣接露光ショット間、すなわち、露光される半導体回路チップ領域22の外側の領域(グリッドライン)上であって、かつ、二重露光によってボックス・イン・ボックス型の第1露光格子測定マーク26Pが形成されるように、アウタマーク25P及びインナマーク24Pが設けられている。
【0028】
同様に、図4に示すように、XY平面の第2象限(X<0,Y>0)の、グリッドライン切片23Y2内にアウタマーク25Qが設けられ、XY平面の第1象限(X>0,Y>0)であって、グリッドライン切片23Y1内にインナマーク24Qが設けられている。また、XY平面の第3象限(X<0,Y<0)の、グリッドライン切片23X2内にアウタマーク25Rが設けられ、XY平面の第2象限(X<0,Y>0)の、グリッドライン切片23X1内にインナマーク24Rが設けられている。また、XY平面の第4象限(X>0,Y<0)の、グリッドライン切片23Y1内にアウタマーク25Sが設けられ、XY平面の第3象限(X<0,Y<0)の、グリッドライン切片23Y2内にインナマーク24Sが設けられている。また、同様に、ステップ・アンド・スキャン露光(下層工程)において各マークは二重露光されるが、アウタマーク25Q及びインナマーク24Q、アウタマーク25R及びインナマーク24R、アウタマーク25S及びインナマーク24S、の互いに対応するマークからなるマーク対の各々は、互いに対応するアウタマーク及びインナマークが二重露光によって重なる位置に配されている。
【0029】
なお、上記したように、半導体回路チップ領域(回路パターン)22の外周のグリッドライン上には互いに対応するアウタマーク及びインナマークが4対、半導体回路チップ領域22の上下及び左右に設けられている。換言すれば、当該4対のマーク対の対応する各マークはレチクルの面内の直交する2方向(例えば、X方向及びY方向)に関して互いにオフセットした位置関係にあるように配されていることが好ましい。なお、本実施例においては、ショット露光のスキャン方向(X方向及びY方向)に関して互いにオフセットした位置に配されている。より具体的には、4対のマーク対の対応するマーク(アウタマークとする)25P,25Q,25R,25Sのうちいずれの2つもX方向及びY方向に関して互いにオフセットした位置に配されている。例えば、アウタマーク25P及びアウタマーク25QはX軸に平行な線上及びY軸に平行な線上にはなく、X方向及びY方向に関して互いにずれている。また、換言すれば、アウタマーク25P及びアウタマーク25Qを結ぶ直線は当該2方向(X方向及びY方向)に平行ではなく一定の角度(0ではない)を有している。そして、上記4つのアウタマークのうち他のいずれの2つも同様な関係(X方向及びY方向に関して互いにオフセットしている)にある。このような関係にマーク対を配置すれば、後述する線形歪み補正のための関係式(1)〜(14)から傾き係数Axx−Ayy,合わせずれ量Δx,Δy等を求めることができる。
【0030】
なお、ウエハプロセスによっては、マーク形成を行うグリッドライン上に遮光膜(例えば、Cr膜)を形成する場合としない場合があるが、アウタマーク25i及びインナマーク24i(iは、P,Q,R,S)の各々は、グリッドライン23が遮光部として形成されていても、あるいは透過部として形成されていてもよい。すなわち、露光光の遮光又は透過に応じて、適宜、アウタマーク25i及びインナマーク24iが露光されて、後述する露光格子測定マークが形成されるように構成されていればよい。
【0031】
図7は、下層工程(第1の露光)による露光がなされたウエハ20を示している。また、図8は図7の部分拡大図であり、ウエハ20の露光ショットA,B,C,Dにより形成される露光格子測定マークの形成部Wを拡大して示している。上記したように、半導体回路チップ領域22の外周の上下及び左右のグリッドライン切片が重なるように二重露光がなされる。従って、例えば、露光ショットA,B間のグリッドライン切片には、露光ショットA及びBによって二重露光された露光格子測定マーク26Sが形成される。より具体的には、露光格子測定マーク26Sは、露光ショットAによるアウタマーク25S(A)と、露光ショットBによるインナマーク24S(B)とによって形成される。同様にして、露光ショットA,C間のグリッドライン切片には、露光ショットAによるインナマーク24P(A)と、露光ショットCによるアウタマーク25P(C)とによって形成される露光格子測定マーク26Pが形成される。また、露光ショットC,D間のグリッドライン切片には、露光ショットCによるインナマーク24Q(C)と、露光ショットDによるアウタマーク25Q(D)とによって形成される露光格子測定マーク26Qが形成される。また、露光ショットB,D間のグリッドライン切片には、露光ショットBによるアウタマーク25R(B)と、露光ショットDによるインナマーク24R(D)とによって形成される露光格子測定マーク26Rが形成される。
【0032】
図9(a)は、下層工程(第1の露光)による複数の露光ショットがなされたウエハ20を示している。また、図9(b)は、図9(a)に示す複数の露光ショットのうちの1ショット(露光ショットEとする)に関する第1露光格子測定マークを示している。より詳細には、図9(b)は、当該複数の露光ショットによる、露光ショットEの右上の測定マークUR(上記した測定マーク26Pに対応)、左上の測定マークUL(測定マーク26Qに対応)、左下の測定マークLL(測定マーク26Rに対応)、及び右下の測定マークLR(測定マーク26Sに対応)を示している。
【0033】
[第1露光格子測定及び測定データの変換]
上記したアウタマーク及びインナマークの位置ずれ量を、専用の光学式重ね合せ測定機を用いて検出することにより隣接露光ショット間の位置ずれ量を測定する。
【0034】
図10は、上記した測定対象ショット(露光ショットE)に関する各測定マークの位置座標、及び合わせずれ量を模式的に示している。
【0035】
まず、露光ショットEの測定マークUR,UL,LL,LRの各々について、位置座標、及びアウタマーク及びインナマークの合わせずれ量を測定する。すなわち、測定マークUR,UL,LL,LRの位置座標はそれぞれUR(URx, URy),UL(ULx, ULy),LL(LLx, LLy),LR(LRx, LRy)である。また、アウタマーク及びインナマークの合わせずれ量(X方向,Y方向)は測定マークUR,UL,LL,LRの各々について、それぞれ(URΔx, URΔy),(ULΔx, ULΔy),(LLΔx, LLΔy),(LRΔx, LRΔy)である。
【0036】
次に、Y方向に平行なグリッドライン切片(以下、X切片ともいう。)23Y2, 23Y1(図4参照)上の測定マークUL,LRのX座標ULx及びLRxと、X方向の合わせずれ測定値ULΔx及びLRΔxを用い、次の1次式(1)によって傾き係数Axxを求める。
【0037】
Δx=Axx*X (1)
ここで、Δx及びXはそれぞれX方向の合わせずれの差分、及びX座標の差分であり、図11(a)にも示すように、Δx=LRΔx−ULΔx,X=LRx−ULxである。
【0038】
同様にして、上記測定マークUL,LRのX座標ULx及びLRxと、Y方向の合わせずれ測定値ULΔy及びLRΔyから次の1次式(2)によって傾き係数Axyを求める。
【0039】
Δy=Axy*X (2)
ここで、Xは上記X座標の差分であり、X=LRx−ULxである。また、ΔyはY方向の合わせずれの差分であり、図11(b)にも示すように、Δy=LRΔy−ULΔyである。
【0040】
さらに、X方向に平行なグリッドライン切片(以下、Y切片ともいう。)23X1, 23X2(図4参照)上の測定マークUR,LLのY座標URy及びLLyと、X方向の合わせずれ測定値URΔx及びLLΔxを用い、次の1次式(3)によって傾き係数Ayxを求める。
【0041】
Δx=Ayx*Y (3)
ここで、Δx=URΔx−LLΔxであり、Y=URy−LLyである。
【0042】
同様にして、上記測定マークUR,LLのY座標URy及びLLyと、Y方向の合わせずれ測定値URΔy及びLLΔyから次の1次式(4)によって傾き係数Ayyを求める。
【0043】
Δy=Ayy*Y (4)
ここで、Δy=URΔy−LLΔyであり、Y=URy−LLyである。
【0044】
上記測定値から求められた合わせずれ量Δx,Δyは隣接ショットの合わせずれ量が干渉した値となっているため、ショット内のある任意の座標(Xt,Yt)におけるX及びY方向合わせずれ量(ΔXt,ΔYt)は、式(1)〜(4)で求めた1次式の傾きの1/2の比率で寄与すると考えられるため、下記の式(5),(6)で表される。
【0045】
ΔXt=(Axx*Xt)/2+(Ayx*Yt)/2 (5)
ΔYt=(Ayy*Yt)/2+(Axy*Xt)/2 (6)
従って、測定マークUR,UL,LL,LRの各々について、X方向及びY方向の合わせずれ量は以下の式で表される。
URΔX=(Axx*URx)/2+(Ayx*URy)/2 (7)
URΔY=(Ayy*URy)/2+(Axy*URx)/2 (8)
ULΔX=(Axx*ULx)/2+(Ayx*ULy)/2 (9)
ULΔY=(Ayy*ULy)/2+(Axy*ULx)/2 (10)
LLΔX=(Axx*LLx)/2+(Ayx*LLy)/2 (11)
LLΔY=(Ayy*LLy)/2+(Axy*LLx)/2 (12)
LRΔX=(Axx*LRx)/2+(Ayx*LRy)/2 (13)
LRΔY=(Ayy*LRy)/2+(Axy*LRx)/2 (14)
【0046】
かかる方法によって、下層工程の露光(第1の露光)をスキャナ型の露光装置で行い、上層工程の露光(第2の露光)を一括型露光装置で行うハイブリッド処理(重ね合わせ露光)における露光歪みを予め算出しておくことができる。すなわち、当該第2露光における露光装置の投影レンズの歪みに起因するショット直交ずれやXYショット倍率差(歪みの線形成分)を予め算出し、当該算出値を、例えばコントローラ5に設けられたメモリ等のデータライブラリに格納しておく。また、レチクルのパターン描画歪みに起因するショット直交ずれやXYショット倍率差(線形歪み)を予め算出し当該算出値をデータライブラリとして記憶しておく。このように、上記ハイブリッド処理の予備プロセスとして上記した線形歪みを算出し、記憶するステップを実行しておく。
【0047】
[ハイブリッド露光のプロセスフロー]
図12は、下層工程の露光(第1の露光)をスキャナ型の露光装置で行い、上層工程の露光(第2の露光)を一括型露光装置で行うハイブリッド処理(重ね合わせ露光)のプロセスフローを示すフローチャートである。
【0048】
まず、ウエハ基板上にエッチングマスクとなるレジストを塗布する(ステップS11)。次に、スキャナ型露光装置によって第1露光(下層工程)を行う前に、コントローラ5に設けられたメモリ等のデータライブラリに格納されたレチクルのパターン描画歪み及び露光レンズ(第2露光)歪みの線形成分(ショット直交度、及びXYショット倍率差)を参照する(ステップS12)。当該データライブラリには少なくとも1つのレチクル及び少なくとも1つの露光装置(投影レンズ)の歪みに関するデータ、及び線形成分に関する基準値(許容値)が格納されている。
【0049】
そして、第1露光(下層工程)で用いられるレチクル12及び第2露光(上層工程)で用いられる露光装置(投影レンズ)に該当するデータを選択し、当該データに応じた補正を行って第1露光(下層工程)を実行する(ステップS13)。
【0050】
第1露光の終了後、現像処理を行う(ステップS14)。
【0051】
現像後、第1露光格子測定マークの測定を実行する(ステップS15)。当該測定によって得られたショット歪みの線形成分のずれ量を、データライブラリに格納されている第2露光のショット歪みの線形成分のずれ量と比較する。当該比較により、第2露光のショット歪みの線形成分のずれ量の規格内であるか否かが判別される(ステップS16)。
【0052】
許容値を外れている場合には、レジストを剥離し、再度レジストが塗布され(ステップS11)、上記したステップS11〜S16が繰り返される。ステップS17の後に第2露光(ステップ17)が行われる。より詳細には、ステップ17における第2露光が不純物注入工程のためであれば、ステップ16の後に、ホトリソ工程(ステップ17の第2露光を含む)→不純物注入工程→レジスト除去工程となり、ステップ17における第2露光が配線や孔の形成などのエッチング加工を必要とする工程のためであれば、ステップ16の後に、成膜工程→ホトリソ工程(ステップ17の第2露光を含む)→エッチング工程と続くこととなる。
【0053】
上記した補正ステップS13、測定及び判別ステップS15−S16について、以下に図面を参照しつつ具体例を挙げてより詳細に説明する。
【0054】
(i) 第2露光装置が投影直交歪みを有する場合
図13(a)は、第1露光装置(スキャナ型)において用いられるレチクル12と、レチクル12に半導体回路パターンが描画された半導体回路チップ領域22(ハッチングして示す)を模式的に示している。レチクル12の当該回路描画パターンにはショット直交度歪みやXYショット倍率差等の歪みが無い場合を示している。また、当該第1露光装置にはその他の歪み、例えば投影光学系等による直交度及び倍率差等の歪みも無いと仮定する。
【0055】
一方、図13(b)は、第1露光装置(スキャナ型)によるプロセスの後の第2露光プロセスにおいて用いられる露光装置(一括型)の投影レンズの投影パターンを模式的に示している。すなわち、第2露光装置の投影レンズはショット直交歪みを有し、ウエハ20上に投影される投影パターン31は正方形形状から歪んだ平行四辺形形状を有していることが模式的に示されている。
【0056】
図14は、第1露光において実行されるステップ・アンド・スキャンによりウエハ20上に形成される複数のショットを模式的に示している。すなわち、図中の破線は歪み補正の無い場合の矩形形状(長方形又は正方形)の複数のショット33を示し、実線(及びハッチングして示す領域)34は歪み補正を行った場合の複数のショットを示している。ここで、第1露光における当該歪み補正は、第2露光装置のショット直交歪みを補正するように、すなわち、当該第2露光装置のショット直交歪みと一致するように第1露光における各ショットのスキャン露光において補正がなされている。具体的には、第2露光装置のショット直交歪みに応じた大きさだけ直交度を変化させた露光ショットとなるように補正がなされる。
【0057】
そして、かかる補正がなされた第1露光(ステップS13)が終了したウエハ20は現像処理(ステップS14)の後、第1露光格子測定マークの測定が実行される(ステップS15)。当該測定及びデータ演算(式(1)〜(4),式(7)〜(14))によって得られたショット歪みが、予め算出され、データライブラリに格納されていた当該第2露光装置の歪みに起因するショット直交歪みと比較され、当該第2露光装置の歪みに対して規格内であるか否かが判別される(ステップS16)のである。
【0058】
図15は、かかる第1露光における補正がなされた後の第2露光後にウエハ20上に形成される複数のショットを模式的に示している。ここで、図中の破線は第1露光において歪み補正を行って形成される複数のショット34を示し、実線(及びハッチングして示す領域)は第2露光後において形成される複数のショット36を模式的に示している。すなわち、第1露光における複数のショット34は第2露光における歪みに応じて補正、露光されるので、第2露光において、当該複数のショット36は第1露光における複数のショット34と一致するように重ね合わせ露光がなされる。
【0059】
このように、第1露光(下層工程)において、第1露光より後に行われる第2露光(上層工程)の歪みを考慮して補正が行われる。従って、2層目の一括露光における歪みを、1層目のステップ・アンド・スキャン露光に反映させて補正するので、第2露光プロセスによっては補正が不可能な各ショットの歪み(直交歪み)を補正することができ、第1露光(下層工程)及び第2露光(上層工程)による各露光ショットの重ね合わせ精度を向上することができる。
(ii)第2露光装置が投影倍率歪みを有する場合
図16(a)は、第1露光装置(スキャナ型)において用いられるレチクル12の半導体回路チップ領域22を模式的に示している。レチクル12の当該描画パターンにはショット直交度やXYショット倍率差等の歪みは無く、また、当該第1露光装置にはその他の歪み、例えば投影光学系等による直交度及び倍率差等の歪みも無いと仮定する。
【0060】
一方、図16(b)は、第2露光プロセスにおいて用いられる露光装置(一括型)の投影パターンを模式的に示している。すなわち、第2露光装置の投影レンズは投影ショット倍率歪みを有し、ウエハ20上に投影される投影パターン31は正方形形状から歪んだ長方形形状を有していることが模式的に示されている。すなわち、図16(b)では、投影パターン31が正方形形状をX方向に圧縮及び/又はY方向に伸長した形状を有している場合を示している。
【0061】
図17は、第1露光において実行されるステップ・アンド・スキャンによりウエハ20上に形成される複数のショットを模式的に示している。すなわち、図中の破線は歪み補正の無い場合の矩形形状(長方形又は正方形)の複数のショット33を示し、実線(及びハッチングして示す領域)34は歪み補正を行った場合の複数のショットを示している。ここで、第1露光における当該歪み補正は、第2露光装置のショット倍率歪みを補正するように、すなわち、当該第2露光装置のショット倍率歪みと一致するように第1露光における各ショットのスキャン露光において補正がなされている。具体的には、第2露光装置のショット倍率歪みに応じた大きさだけX方向に圧縮及び/又はY方向に伸長した露光ショットとなるように補正がなされる。
【0062】
そして、上記した場合(i)と同様に、かかる補正がなされた第1露光が終了したウエハ20は現像処理の後、第1露光格子測定マークの測定が実行される。当該測定によって得られたショット歪みが、データライブラリに格納されていた当該第2露光装置の倍率歪みと比較され、規格内であるか否かが判別される。
【0063】
図18は、かかる第1露光における補正がなされた後の第2露光後にウエハ20上に形成される複数のショットを模式的に示している。ここで、図中の破線は第1露光において歪み補正を行って形成される複数のショット34を示し、実線(及びハッチングして示す領域)は第2露光後において形成される複数のショット36を模式的に示している。すなわち、第1露光における複数のショット34は第2露光における歪みに応じて補正、露光されるので、第2露光において、当該複数のショット36は第1露光における複数のショット34と一致するように重ね合わせ露光がなされる。
【0064】
このように、第1露光(下層工程)において、第1露光より後に行われる第2露光(上層工程)の歪みを考慮して補正が行われる。従って、2層目の一括露光における歪みを、1層目のステップ・アンド・スキャン露光に反映させて補正するので、第2露光プロセスによっては補正が不可能な各ショットの歪み(倍率歪み)を補正することができ、第1露光(下層工程)及び第2露光(上層工程)による各露光ショットの重ね合わせ精度を向上することができる。
【0065】
(iii)第1露光装置のレチクルが直交歪みを有する場合
図19(a)は、第1露光装置(スキャナ型)において用いられるレチクル12の半導体回路チップ領域22を模式的に示している。レチクル12の当該描画パターンはショット直交歪みを有し、本来の回路パターンである矩形形状(長方形状又は正方形状)から歪んだ平行四辺形形状を有していることが模式的に示されている。
【0066】
一方、図19(b)は、第2露光装置(一括型)の投影パターンを模式的に示している。当該投影パターンは正方形状であり、第2露光装置が投影歪み(直交歪み及び倍率歪み)を有していない場合を示している。
【0067】
図20は、第1露光において実行されるステップ・アンド・スキャンによりウエハ20上に形成される複数のショットを模式的に示している。すなわち、図中の破線は歪み補正の無い場合の矩形形状(長方形又は正方形)の複数のショット33を示し、実線(及びハッチングして示す領域)34は歪み補正を行った場合の複数のショットを示している。すなわち、第1露光においてレチクル12の直交歪みの補正がなされる。
【0068】
そして、上記した場合(i)〜(ii)と同様に、かかる補正による第1露光が終了したウエハ20は現像処理の後、第1露光格子測定マークの測定が実行される。当該測定によって得られたショット歪みが、データライブラリに格納されていた許容値と比較され、規格内であるか否かが判別される。
【0069】
図21は、かかる第1露光における補正がなされた後の第2露光後にウエハ20上に形成される複数のショットを模式的に示している。ここで、図中の破線は第1露光において歪み補正を行って形成される複数のショット34を示し、実線(及びハッチングして示す領域)は第2露光後において形成される複数のショット36を模式的に示している。
【0070】
このように、第2露光プロセス(一括露光)によっては補正が不可能な複数のショットの各々の歪みを補正することができ、第1露光(下層工程)及び第2露光(上層工程)による各露光ショットの重ね合わせ精度を向上することができる。
【0071】
(iv)第1露光装置のレチクルが倍率歪みを有する場合
図22(a)は、第1露光装置(スキャナ型)において用いられるレチクル12の半導体回路チップ領域22を模式的に示している。レチクル12の当該描画パターンは倍率歪みを有し、本来の回路パターンである矩形形状(長方形状又は正方形状)からX方向に圧縮及び/又はY方向に伸長した形状を有している場合を示している。
【0072】
一方、図22(b)は、第2露光装置(一括型)の投影パターンを模式的に示している。当該投影パターンは正方形状であり、第2露光装置が投影歪み(直交歪み及び倍率歪み)を有していない場合を示している。
【0073】
図23は、第1露光において実行されるステップ・アンド・スキャンによりウエハ20上に形成される複数のショットを模式的に示している。すなわち、図中の破線は歪み補正の無い場合の矩形形状(長方形又は正方形)の複数のショット33を示し、実線(及びハッチングして示す領域)34は歪み補正を行った場合の複数のショットを示している。すなわち、第1露光においてレチクル12の倍率歪みの補正がなされる。
【0074】
そして、上記した場合(i)〜(iii)と同様に、かかる補正による第1露光が終了したウエハ20は現像処理の後、第1露光格子測定マークの測定が実行される。当該測定によって得られたショット歪みが、データライブラリに格納されていた許容値と比較され、規格内であるか否かが判別される。
【0075】
図24は、かかる第1露光における補正がなされた後の第2露光後にウエハ20上に形成される複数のショットを模式的に示している。ここで、図中の破線は第1露光において歪み補正を行って形成される複数のショット34を示し、実線(及びハッチングして示す領域)は第2露光後において形成される複数のショット36を模式的に示している。
【0076】
このように、第2露光プロセス(一括露光)によっては補正が不可能な複数のショットの各々の歪みを補正することができ、第1露光(下層工程)及び第2露光(上層工程)による各露光ショットの重ね合わせ精度を向上することができる。
【0077】
上記した(i)〜(iv)の補正は、用いられる第1露光装置(スキャナ型)のレチクル及び、第1露光装置による露光より後に実行される露光で用いられる第2露光装置(一括型)の投影光学系の歪みに応じて適宜組み合わせて実行することができる。例えば、第2露光装置が投影直交歪みを有するとともに倍率歪みをも有する場合には、上記した(i),(ii)の補正を組み合わせ、2層目の一括露光における歪みを、1層目のステップ・アンド・スキャン露光に反映させる補正を行うことによって第1露光(下層工程)及び第2露光(上層工程)による各露光ショットの重ね合わせ精度を向上することができる。他の組み合わせについても、同様に、第2露光プロセスによっては補正が不可能な各ショットの歪み(倍率歪み)を補正することができる。
【0078】
なお、上記した算出方法に基づくスキャナ型露光装置の実露光評価による検証として、ショット補正成分の補正入力値に対する合わせ測定値を式(1)〜(4)及び式(7)〜(14)を用いてデータ変換した値を出力値としてプロットしたところ、ショット倍率X,Y、ショット直交度、ショット回転のいずれも傾き≒1、寄与率r2≒1の補正追従性が得られており、データ変換方法に問題が無いことが検証された。
【0079】
また、上記した実施例に基づいて、実際に露光処理及び評価を行った。上記補正を行わなかった場合には、6〜7ppmと大きな値のXYショット倍率差が残留し、合わせ残留ばらつきは3σで0.08〜0.13μmの間で分布する結果が得られた。一方、上記した実施例に基づく補正を行った場合には、XYショット倍率差が2ppm未満で、合わせ残留ばらつきが3σで0.03〜0.06μmと大きく重ね合わせ精度を向上することができた。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明によるアライメント方法を実施する露光装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明によるアライメント方法を実施する露光装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明によるアライメント方法を実施する露光装置の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】下層工程(第1の露光)におけるショット形状歪みを測定するためのレチクルアライメントマークの一例を示す図である。
【図5】図5(a)は、グリッドライン切片上に設けられるアウタマークの一例を示す部分拡大図であり、図5(b)は、当該アウタマークに対応するインナマークの一例を示す部分拡大図である。
【図6】ステップ・アンド・スキャン露光による二重露光によってアウタマーク及びインナマークにより形成されるボックス・イン・ボックス型の第1露光格子測定マークの一例を示す部分拡大図である。
【図7】下層工程(第1の露光)による露光がなされ、複数の露光ショットが形成されたウエハを模式的に示す図である。
【図8】図7に示す露光ショットA,B,C,Dにより形成される露光格子測定マークの形成部Wを拡大して示す部分拡大図である。
【図9】図9(a)は、下層工程(第1の露光)による複数の露光ショットがなされたウエハを模式的に示す図である。図9(b)は、図9(a)に示す複数の露光ショットのうちの1ショット(露光ショットE)に関する第1露光格子測定マークを示す部分拡大図である。
【図10】測定対象ショット(露光ショットE)に関する各測定マークの位置座標、及び合わせずれ量を模式的に示す図である。
【図11】X方向及びY方向の合わせずれの差分、X座標の差分、及び傾き係数について示す図である。
【図12】下層工程の露光(第1の露光)をスキャナ型の露光装置で行い、上層工程の露光(第2の露光)を一括型露光装置で行うハイブリッド処理(重ね合わせ露光)のプロセスフローを示すフローチャートである。
【図13】図13(a)は、第1露光装置(スキャナ型)において用いられるレチクルと、レチクルに描画された半導体回路チップ領域を模式的に示す図である。図13(b)は、第1露光装置によるプロセスの後の第2露光プロセスにおいて用いられる露光装置(一括型)の投影レンズの投影パターンを模式的に示す図である。
【図14】第1露光において実行されるステップ・アンド・スキャンによりウエハ上に形成される複数のショットを模式的に示す図である。
【図15】第1露光における補正がなされた後の第2露光後にウエハ上に形成される複数のショットを模式的に示す図である。
【図16】図16(a)は、第1露光装置(スキャナ型)において用いられるレチクルの半導体回路チップ領域を模式的に示す図であり、図16(b)は、投影ショット倍率歪みを有する第2露光装置(一括型)の投影パターンを模式的に示す図である。
【図17】第1露光において実行されるステップ・アンド・スキャンによりウエハ上に形成される複数のショットを模式的に示す図である。
【図18】第1露光における補正がなされた後の第2露光後にウエハ上に形成される複数のショットを模式的に示す図である。
【図19】図19(a)は、第1露光装置(スキャナ型)において用いられるレチクルの半導体回路チップ領域を模式的に示す図であり、図19(b)は、第2露光装置(一括型)の投影パターンを模式的に示す図である。
【図20】第1露光において実行されるステップ・アンド・スキャンによりウエハ上に形成される複数のショットを模式的に示す図である。
【図21】第1露光における補正がなされた後の第2露光後にウエハ上に形成される複数のショットを模式的に示す図である。
【図22】図22(a)は、第1露光装置(スキャナ型)において用いられるレチクルの半導体回路チップ領域を模式的に示す図であり、図22(b)は、第2露光装置(一括型)の投影パターンを模式的に示す図である。
【図23】第1露光において実行されるステップ・アンド・スキャンによりウエハ上に形成される複数のショットを模式的に示す図である。
【図24】第1露光における補正がなされた後の第2露光後にウエハ上に形成される複数のショットを模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0081】
3 アライメントマーク
5 コントローラ
7 駆動部
10 露光装置
11 レチクル顕微鏡
12 レチクル 14 投影レンズ
15 ウエハステージ
18 レーザ干渉
19 アライメント顕微鏡
22 半導体回路チップ領域
23(23X1, 23X2, 23Y1, 23Y2) グリッドライン(切片)
24 インナマーク
25 アウタマーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチクルを用いて回路パターンの走査露光を行う第1露光工程と、前記第1露光工程より後に一括露光を行う第2露光工程と、を有する重ね合せ露光におけるアライメント方法であって、
前記レチクルの回路パターンの周囲の、前記走査露光によって二重露光される領域内であって前記回路パターンに関して互いに対応する位置に、各々が第1及び第2のマークからなる複数のマーク対を設け、
前記レチクルを用いて前記第1露光工程を行い、形成された前記複数のマーク対に基づいて、線形歪みを算出して記憶する予備的ステップと、
前記レチクルを用い、当該記憶された前記線形歪みに応じて、前記走査露光における露光ショットの線形度を変化させて前記第1露光工程を実行する第1露光ステップと、
前記第2露光工程を実行する第2露光ステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記複数のマーク対は4対であり、当該4対のマーク対は前記レチクルの面内の直交する2方向に関して互いにオフセットした位置関係で配されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のマーク対の各々の第1及び第2のマークは、前記二重露光によってボックス・イン・ボックス型のマークを形成するアウタマーク及びインナマークであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記算出して記憶するステップは、さらに前記位置ずれの測定値に基づいて前記レチクルの線形歪みを算出して記憶することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1に記載の方法。
【請求項5】
回路パターンの走査露光に用いられるレチクルであって、
前記走査露光によって二重露光される領域に対応する前記レチクルの回路パターンの外側周囲の、前記回路パターンに関して互いに対応する位置に、各々が第1及び第2のマークからなる少なくとも4対のマーク対を有し、前記4対のマーク対は前記レチクルの面内の直交する2方向に関して互いにオフセットした位置に配されていることを特徴とするレチクル。
【請求項6】
前記4対のマーク対の各々の第1及び第2のマークは、前記走査露光による二重露光によってボックス・イン・ボックス型のマークを形成する位置に配されたアウタマーク及びインナマークであることを特徴とする請求項5に記載のレチクル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2010−40551(P2010−40551A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−198203(P2008−198203)
【出願日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【出願人】(591048162)OKIセミコンダクタ宮城株式会社 (130)
【Fターム(参考)】