説明

静電チャックおよびこれを備えるドライエッチング装置

【課題】基板と静電チャックとの間に供給される伝熱ガスによって基板全体の温度を均一する。
【解決手段】ドライエッチング処理される基板2を静電吸着する静電チャック11は、基板2と相似形状の静電吸着面13aを備える基板保持部13を有する。基板保持部13は、静電吸着面13aの縁13b,13cに沿って形成された環状溝13eと、環状溝13eに囲まれた静電吸着面13aの部分に且つ環状溝13eに沿って形成された凹部13dと、凹部13dの底面13fの中央に形成されて凹部13d内に伝熱ガスを導入する第1の導入孔13jと、凹部13dの底面13fの縁13hに沿って形成されて該凹部内に伝熱ガスを導入する複数の第2の導入孔13kとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を静電吸着する静電チャック、特に基板と静電チャックとの間に伝熱ガスが供給される静電チャック、および静電チャックを備えるドライエッチング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、基板に対してドライエッチング処理を実行するドライエッチング装置は、例えば特許文献1に記載するように、基板を固定するための静電チャックを有する。静電チャックは、基板を静電吸着する静電吸着面と、静電吸着面に基板を静電吸着させる静電引力を発生するためのESC電極(静電吸着用電極)とを備える。
【0003】
また、静電チャックの静電吸着面に静電吸着されている基板を冷却するために、例えば特許文献1に記載するように、基板と静電吸着面との間に、基板を冷却するための伝熱ガスが供給される。そのために、特許文献1に記載する静電チャックは、静電吸着面に形成された凹部と、凹部の底面から静電吸着面まで延びる円柱形状の複数の突起部を有する。また、この静電チャックは、凹部の中央に、凹部内に伝熱ガスを導入するための導入孔を有する。このような静電チャックにより、基板は、静電吸着面に静電吸着されつつ、凹部に導入された伝熱ガスによって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−225775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載する静電チャックの場合、凹部の中央に位置する1つの導入孔を介して該凹部内に伝熱ガスが導入されるため、凹部全体に伝熱ガスが十分にいきわたらず、凹部中央の上方に位置する基板の中央部分と他の部分との間に温度差が生じやすい。それにより、基板に非均一な温度分布が発生する可能性がある。例えば、基板の中央部分の温度が他の部分の温度に比べて低い温度分布が基板に生じる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、静電チャックの静電吸着面に基板を静電吸着しつつ、基板と静電吸着面との間に供給される伝熱ガスによって基板の温度を全体にわたって均一にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の第1の態様によれば、
ドライエッチング処理される基板を静電吸着する静電チャックにおいて、
基板と相似形状の静電吸着面を備える基板保持部を有し、
基板保持部が、
静電吸着面の縁に沿って形成された環状溝と、
環状溝に囲まれた静電吸着面の部分に且つ環状溝に沿って形成された凹部と、
凹部の底面の中央に形成されて該凹部内に伝熱ガスを導入する第1の導入孔と、
凹部の底面の縁に沿って形成されて該凹部内に伝熱ガスを導入する複数の第2の導入孔とを備える、静電チャックが提供される。
【0008】
本発明の第2の態様によれば、
前記基板が、優弧状縁と直線状縁とから画定される形状であり、
凹部の底面の形状が、基板の形状と相似し、
複数の第2の導入孔が、凹部の底面の優弧状縁のみに沿って等間隔に形成されている、第1の態様に記載の静電チャックが提供される。
【0009】
本発明の第3の態様によれば、
複数の基板保持部を有し、
各基板保持部が、静電吸着面の直線状縁が静電チャックの外側に向いた状態で配置されている、第2の態様に記載の静電チャックが提供される。
【0010】
本発明の第4の態様によれば、
第1の導入孔から下方に延びて外部の伝熱ガス源と接続される第1の流路と、
第1の流路と複数の第2の導入孔とを接続する複数の第2の流路とを備える、第1から第3の態様のいずれか一に記載の静電チャックが提供される。
【0011】
本発明の第5の態様によれば、
複数の第2の流路が、第1の流路から第2の導入孔それぞれに向かって延びる放射状の流路である、第4の態様に記載の静電チャックが提供される。
【0012】
本発明の第6の態様によれば、
第1の導入孔の開口面積が、第2の導入孔の開口面積に比べて小さい、第4または第5の態様に記載の静電チャックが提供される。
【0013】
本発明の第7の態様によれば、
第1から第6の態様のいずれか一に記載の静電チャックを有する、ドライエッチング装置が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、凹部の底面の中央に形成された第1の導入孔と凹部の底面の縁に沿って形成された複数の第2の導入孔とから導入された伝熱ガスは、凹部全体に十分にいきわたる。また、凹部と環状溝とに挟まれた静電吸着面の部分と基板との間を介して凹部外部に漏れ出た伝熱ガスは、環状溝内に入り、基板の縁近傍部分の温度調整に寄与する。これにより、静電チャックは、基板を静電吸着面に静電吸着しつつ、伝熱ガスによって基板全体の温度を均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る一実施の形態のドライエッチング装置の構成を概略的に示す図
【図2】静電チャックの上面図
【図3】静電チャックの基板載置部の上面図
【図4】静電チャックの基板載置部の断面図
【図5】サーモラベルの貼り付け位置を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明に係る一実施の形態のドライエッチング装置を概略的に示している。図1に示すドライエッチング装置1は、例えばサファイア基板をプラズマ処理するICP(誘導結合プラズマ)型プラズマ処理装置である。
【0017】
ドライエッチング装置1は、基板2にプラズマ処理を実行するための処理室を画定するチャンバ3を備える。チャンバ3の上部開口は、石英等の誘電体から形成された天板4によって閉鎖されている。その天板4上にICPコイル5が配置されている。ICPコイル5には、ICPコイル5に高周波電圧を印加する第1の高周波電源6が接続されている。
【0018】
チャンバ3はまた、例えば三塩化ホウ素(BCl)やアルゴン(Ar)などの処理ガスをチャンバ3内に導入するための処理ガス導入口3aを備える。さらに、チャンバ3内のガスを排気する排気ポンプ7が排気路3bを介してチャンバ3に取り付けられている。
【0019】
また、チャンバ3内には、ドライエッチングされる基板2が載置される基板ステージ10が設けられている。基板ステージ10は、基板2を静電吸着する静電チャック11と、静電チャック11の下面に接する状態で内蔵された、電極として機能するとともに静電チャック11を冷却する冷却装置としても機能する金属ブロック12とを有する。
【0020】
静電チャック11は、基板2を保持する基板保持部13を備え、また、基板保持部13に基板2を静電吸着させる静電引力を発生させるためのESC電極14を内蔵する。ESC電極14には、ESC電極14に電圧を印加するESC駆動ユニット15が接続されている。
【0021】
静電チャック11はさらに、詳細は後述するが、基板2と基板保持部13との間に、ドライエッチング処理中に基板2を冷却する伝熱ガス、例えば冷却されたHe(ヘリウム)ガスを供給するための伝熱ガス流路16を内部に備える。伝熱ガス流路16に対して伝熱ガスを導入する伝熱ガス制御ユニット(伝熱ガス源)17が、ドライエッチング装置1に設けられている。
【0022】
金属ブロック12は、金属ブロック12に高周波電圧を印加する第2の高周波電源18に接続されている。また、金属ブロック12によって静電チャック11および静電チャック11に保持されている基板2を冷却できるにように、金属ブロック12の内部には、冷却ユニット19から供給される冷媒が流れる冷媒流路20が形成されている。
【0023】
図2は、静電チャック11の上面(ICPコイル5に対向する面)を示している。図2に示すように、静電チャック11は、複数の基板保持部13を有する。各基板保持部13は、オリフラ(オリエンテーションフラット)を備える円形状の基板2を静電吸着するための静電吸着面13aを備える。具体的には、静電吸着面13aは、オリフラを備える円形状の基板2と相似する形状であって、優弧状縁13bと直線状縁13cとから画定される形状である。
【0024】
複数の基板保持部13は、円形状の静電チャック11の上面の中心Cを中心とする同一円周上に等間隔に配置されている。また、静電吸着面13aの直線状縁13cが静電チャック11の外側、すなわち、チャンバ3の内壁面3cに向いた状態で、基板保持部13は静電チャック11に設けられている。これにより、静電吸着面13aの直線状縁13cが他の方向を向いている場合に比べて、静電チャック11のサイズ(水平方向の寸法)を小さくすることができる。また、基板ステージ10のサイズも小さくでき、その結果、基板ステージ10とチャンバ3の内壁面3cとの間が広がり、その間をチャンバ3内のガスが排気ポンプ7に向かって流れやすくなる。
【0025】
なお、図2に示す静電チャック11は、4つの基板保持部13を有するが、本発明はこれに限らない。基板保持部13が少なくとも2つあって、各基板保持部13の静電吸着面13aの直線状縁13cが静電チャック11の外側に向いていれば、そうでない場合に比べて、静電チャック11のサイズ(基板ステージ10のサイズ)を小さくすることができる。例えば、静電チャック11の中心Cを中心とする第1の円周上に4つの基板保持部13を等間隔に配置し、第1の円周に比べて大きい第2の円周上に8つの基板保持部13を等間隔に配置してもよい。この場合、複数の基板保持部13それぞれの静電吸着面13aの直線状縁13cが静電チャック11の外側に向けられる。
【0026】
図3は図2に示す静電チャック11の基板保持部13の拡大図であり、図4は基板保持部13の断面図である。
【0027】
図3および図4に示すように、静電チャック11の基板保持部13は、その静電吸着面13aに、凹部13dと、環状溝13eとを備える。具体的には、環状溝13eは静電吸着面13aの縁(優弧状縁13bと直線状縁13c)に沿って形成され、凹部13dは環状溝13eに囲まれた静電吸着面13aの部分に且つ環状溝13eに沿って形成されている。また、基板保持部13は、凹部13dの上方に位置する基板2の部分を支持するために、凹部13dの底面13fから静電吸着面13aまで延びる円柱形状の複数の突起部13gを備える。静電吸着面13aに基板2が静電吸着されると、凹部13dおよび環状溝13eは、基板2によって覆われ、伝熱ガスが充満される閉空間を形成する。
【0028】
凹部13dは、深さが例えば20〜30μmであって、静電吸着面13aの形状と相似する形状の底面13fを備える。すなわち、凹部13dの底面13fは、図3に示すように、静電吸着面13aの優弧状縁13bおよび直線状縁13cに対して平行な優弧状縁13hおよび直線状縁13iとによって画定される形状である。
【0029】
なお、凹部13dの底面13fの形状は、優弧状縁13hと直線状縁13iとによって画定される形状以外の形状でもよいが、図3に示すように、基板2が優弧状縁2aと直線状縁2bとを備える場合(すなわち、オリフラを備える円形状基板の場合)、基板2と相似形状であるのが好ましい。
【0030】
環状溝13eは、静電吸着面13aの縁(優弧状縁13bと直線状縁13c)と凹部13dとの間の部分に形成されている。なお、環状溝13eの静電吸着面13aからの深さは、凹部13dの深さと同一であってもよいし、また異なってもよい。この環状溝13eの役割については後述する。
【0031】
図3に示すように、凹部13dの底面13fには、凹部13d内に伝熱ガスを導入する導入孔13j、13kが形成されている。具体的には、底面13fの中央(静電吸着面13aに静電吸着している状態の基板2の中心の直下の位置)に形成された中央導入孔13jと、底面13fの縁に沿って形成された複数の外側導入孔13kとが形成されている。
【0032】
具体的には、図3に示すように、複数の外側導入孔13kは、中央導入孔13jに対する距離が等しくなるように、凹部13dの底面13fの優弧状縁13hのみに沿って(すなわち直線状縁13iに沿わずに)等間隔に設けられるのが好ましい。これにより、伝熱ガスが凹部13d全体にわたってより均一にいきわたり、基板2の冷却ムラの発生をより抑制することができる。
【0033】
中央導入孔13jは、図4に示すように、基板保持部13の中央に形成された上下方向に延びる伝熱ガス流路16の主流路16aを介して伝熱ガス制御ユニット17に接続されている。外側導入孔13kは、主流路16aから水平方向に延びる副流路16bに接続されている。
【0034】
なお、外側導入孔13kに接続される伝熱ガス流路16の副流路16bは、様々な形態が可能である。例えば、1つの副流路16bに複数の外側導入孔13kが接続されてもよい。この場合、副流路16bの数を少なくでき、静電チャック11全体における空洞部の割合を小さくすることができる。その結果、静電チャック11の剛性を高めることができる。
【0035】
また、例えば、主流路16aから放射状に延びた複数の副流路16bそれぞれが、1つの外側導入孔13kに接続されてもよい。この場合、副流路16bの長さが短くなり、主流路16aから外側導入孔13kまでの間の圧力損失を小さくすることができる。その結果、外側導入孔13kを介して凹部13d内に多量の伝熱ガスを導入することができる。さらにこの場合、図3に示すように、複数の外側導入孔13kが凹部13dの底面13fの優弧状縁13hのみに沿って等間隔に設けられていると、各外側導入孔13kと主流路16aとを接続する複数の副流路16bの長さは等しくなる(直線状縁13iに沿って外側導入孔13を設けると、その副流路16bの長さが、優弧状縁13hに沿って設けられた外側導入孔13の副流路16bの長さに比べて短くなる)。その結果、各外側導入孔13から凹部13d内に供給される伝熱ガス量が等しくなる。
【0036】
図3および図4に示すような静電チャック11(基板保持部13)によれば、伝熱ガス制御ユニット17から供給される伝熱ガスは、伝熱ガス流路16の主流路16aに入り、中央導入孔13jに向かうとともに、副流路16bを介して外側導入孔13kに向かう。そして、伝熱ガスは、中央導入孔13jと複数の外側導入孔13kを介して凹部13d内に流入する。
【0037】
これに関連して、外側導入孔13kの開口面積は、中央導入孔13jの開口面積に比べて大きくするのが好ましい。これにより、伝熱ガス流路16の主流路16aから副流路16bに伝熱ガスが流入しやすくなる。その結果、中央導入孔13jから多量の伝熱ガスが凹部13d内に導入され、中央導入孔13jの上方に位置する基板2の中央部分が過剰に冷却されることが抑制される。
【0038】
複数の外側導入孔13kと中央導入孔13jとから導入された伝熱ガスが凹部13d全体にいきわたると、伝熱ガスの一部が基板2と静電吸着面13aとの間を介して凹部13dの外部に漏れ出る。凹部13dから漏れ出た伝熱ガスは、チャンバ3内ではなく環状溝13e内に入り、そして環状溝13e内を流れる。この環状溝13eにより、伝熱ガスがチャンバ3内に漏れ出ることが抑制される。別の観点から見れば、凹部13dと環状溝13eとの間の静電吸着面13aの部分と、環状溝13eと縁(優弧状縁13bと直線状縁13c)との間の静電吸着面13aの部分とが、凹部13dを密閉する二重シールとして機能する。環状溝13e内に入った伝熱ガスは、基板2の縁近傍部分の冷却に寄与することができる。
【0039】
このような静電チャック11(基板保持部13)により、基板2は、全体にわたって均一に冷却される。発明者は、このことを実験により実証している。
【0040】
静電チャック11による基板2に対する冷却効果を実証するために、発明者は、ドライエッチング処理中の基板(サファイア基板)2の温度分布を計測した。具体的には、図5に示すように、基板2のオリフラ中央の位置、基板2の中心の位置、および中心を挟んでオリフラ中央に対向する基板2の縁近傍の位置それぞれに、且つ同一直線上に3つのサーモラベルL1〜L3を貼り付けた。サーモラベルL1〜L3は、貼り付け部分の温度に対応する色に不可逆に変化するように構成されている。すなわち、サーモラベルL1〜L3の色は、貼り付けられた部分での最高温度を示す。
【0041】
また、図3に示す静電チャック11(実施例)による基板2の冷却効果を示すために、図3に示す基板保持部13から環状溝13eと複数の外側導入孔13kとを取り除いた形状の基板保持部を備える従来の静電チャック(比較例)も実験に用いた。
【0042】
実施例および比較例の静電チャックそれぞれについて、処理ガスが三塩化ホウ素とアルゴンの混合ガス、伝熱ガスがヘリウムガス、チャンバ3の内圧が0.6Pa、ICPコイル5の出力が450W、および金属ブロック(電極)12の出力が550Wの条件の下で、ドライエッチング処理を700秒間実施した。その後、ドライエッチング装置1から基板2を取り出し、基板2に貼り付けられているサーモラベルの色に基づいて、ドライエッチング中における基板2の温度分布(三箇所の最高温度)を計測した。また、実施例として2つの基板の温度分布を計測し、比較例として3つの基板の温度分布を計測した。
【0043】
表1に、実施例および比較例の静電チャックを用いてドライエッチング処理を実施したときの基板2の各箇所の平均温度を示す。表1に示すように、基板2の中心と他の箇所との間の温度差は、比較例の方が実施例に比べて大きい。このことから、図3に示すように、静電チャック11の基板保持部13の静電吸着面13aの凹部13dに複数の外側導入孔13kを設けるとともに、凹部13dを囲む環状溝13eを静電吸着面13aに設ければ、伝熱ガスによって基板2が全体にわたって均一に冷却されることがわかる。これは、主に、実施例の方が、比較例に比べて、凹部全体にヘリウムガスが十分にいきわたった結果によるものと推測される。
【表1】

【0044】
本実施の形態によれば、凹部13dの底面13fの中央に形成された中央導入孔13jと凹部13dの底面13fの縁(優弧状縁13h)に沿って形成された複数の外側導入孔13kとから導入された伝熱ガスは、凹部13d全体に十分にいきわたる。また、凹部13dと環状溝13eとに挟まれた静電吸着面13aの部分と基板2との間を介して漏れ出た伝熱ガスは、環状溝13eに入り、基板2の縁近傍部分の温度調整に寄与する。これにより、基板2を静電吸着面13aによって静電吸着しつつ、伝熱ガスによって基板2の温度を全体にわたって均一にすることができる。
【0045】
以上、上述の一実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施の形態に限らない。
【0046】
例えば、上述の実施の形態の場合、伝熱ガスは基板を冷却するガスであるが、本発明はこれに限らない。本発明は、基板を加熱する伝熱ガスであってもよい。
【0047】
また、上述の実施の形態の場合、中央導入孔13jと複数の外側導入孔13kは、図4に示すように流路16を介して連通し、また図1に示すように1つの伝熱ガス制御ユニット17(伝熱ガス源)に接続されている。この場合、伝熱ガス系の構成がシンプルになる。しかしながら、本発明はこれに限らない。例えば、中央導入孔13jと外側導入孔13kとを連通させず、中央導入孔13jと外側導入孔13kそれぞれに別々の伝熱ガス制御ユニットからの伝熱ガスを供給するようにしてもよい。この場合、中央導入孔13jからの伝熱ガス導入量と外側導入孔13kからの伝熱ガス導入量とを別々に制御することができるため、より効率的に基板2全体の温度を均一にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、サファイア基板のみならず、ドライエッチング処理が必要なあらゆる基板に対して使用可能である。
【符号の説明】
【0049】
2 基板
2a 優弧状縁
2b 直線状縁
11 静電チャック
13 基板保持部
13a 静電吸着面
13b 優弧状縁
13c 直線状縁
13d 凹部
13e 環状溝
13f 底面
13g 突起部
13h 縁(優弧状縁)
13j 第1の導入孔(中央導入孔)
13k 第2の導入孔(外側導入孔)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライエッチング処理される基板を静電吸着する静電チャックにおいて、
基板と相似形状の静電吸着面を備える基板保持部を有し、
基板保持部が、
静電吸着面の縁に沿って形成された環状溝と、
環状溝に囲まれた静電吸着面の部分に且つ環状溝に沿って形成された凹部と、
凹部の底面の中央に形成されて該凹部内に伝熱ガスを導入する第1の導入孔と、
凹部の底面の縁に沿って形成されて該凹部内に伝熱ガスを導入する複数の第2の導入孔とを備える、静電チャック。
【請求項2】
前記基板が、優弧状縁と直線状縁とから画定される形状であり、
凹部の底面の形状が、基板の形状と相似し、
複数の第2の導入孔が、凹部の底面の優弧状縁のみに沿って等間隔に形成されている、請求項1に記載の静電チャック。
【請求項3】
複数の基板保持部を有し、
各基板保持部が、静電吸着面の直線状縁が静電チャックの外側に向いた状態で配置されている、請求項2に記載の静電チャック。
【請求項4】
第1の導入孔から下方に延びて外部の伝熱ガス源と接続される第1の流路と、
第1の流路と複数の第2の導入孔とを接続する複数の第2の流路とを備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の静電チャック。
【請求項5】
複数の第2の流路が、第1の流路から第2の導入孔それぞれに向かって延びる放射状の流路である、請求項4に記載の静電チャック。
【請求項6】
第1の導入孔の開口面積が、第2の導入孔の開口面積に比べて小さい、請求項4または5に記載の静電チャック。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の静電チャックを有する、ドライエッチング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−234904(P2012−234904A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101145(P2011−101145)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】