説明

静電容量タッチパネル

【課題】感度の向上した、画像表示パネル等に使用しうる静電容量タッチパネルを提供する。
【解決手段】ウインドウと、第一の透明導電電極パターンが一方の表面に形成された第一の透明フィルムと、第一の透明導電電極パターンとの間に静電容量が形成されるように該第一の透明電極パターンに対して配置された第二の透明導電電極パターンが一方の表面に形成された第二の透明フィルムとが順次積層されており、ウインドウと第一の透明フィルムの間に第一の透明層間樹脂を備え、第一の透明フィルムと第二の透明フィルムの間に第二の透明層間樹脂を備え、第一の透明層間樹脂の誘電率が第二の透明層間樹脂の誘電率よりも大きい、静電容量タッチパネル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量タッチパネル、及び該静電容量タッチパネルを有する画像表示パネルに関する。特に、本発明は、検出感度が向上した静電容量タッチパネル、及び該静電容量タッチパネルを有する画像表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
タッチ入力のためのタッチパネルは、テレビ、携帯電話機、携帯情報端末その他の光学的表示装置などに使用される画像表示パネルに、広く応用されている。タッチパネルの方式には、抵抗膜式、静電容量式など、様々なものがある。抵抗膜タッチパネルは、上下2つのITOのような透明電極を備え、上部電極がユーザの指などで押されることにより2つの電極が接触してその間で通電が起こり、発生した電流をセンサで検出して押された位置を検出するものである。静電容量タッチパネルは、タッチパネルのウインドウにユーザの指が接触すると、指とタッチパネルの(透明)電極との間でキャパシタンスが形成され、これに伴う静電容量の変化によってタッチされた位置を検出するものである。
【0003】
静電容量タッチパネルは、電極の形態により、センサ電極が1つのシートで形成されている表面容量型と、センサ電極がX軸−Y軸でグリッドパターンを形成するように交差しているような投影型とに分類することができる。投影型タッチパネルは更に、X軸、Y軸電極を独立してスキャンして個々の容量変化を検出する自己容量検出型と、X軸、Y軸電極をそれぞれ送信、受信電極として、隣接する電極間の静電容量変化を検出する相互容量検出型とに分類される。
【0004】
このうち、相互容量検出型は、自己容量検出型に比べて、電極の各交点における静電容量の変化を検出するため、マルチタッチのような用法の際にも座標の検出に曖昧さがないこと、入出力端子を分離して結合容量だけを検出しているため、容易にかつ高速で検出を行うことが可能であること、一方軸のみの走査で検出を行うため、メモリが少なくてすみ、ハードウェアへの負担が少なく、またゴーストが発生しにくいなどの点で、有利であると考えられている。
【0005】
このように、静電容量タッチパネルには、さらなる高性能化が求められており、特に、検出感度が向上した静電容量タッチパネルに対する要求が存在する。
従来、静電容量タッチパネルを構成する様々な部分の誘電率に着目して、静電容量タッチパネルを高性能化しようとする試みがなされてきた。
【0006】
特開2009−37373号公報は、所望のセンサ電極の隣のセンサ電極の静電容量の変化に基づく誤入力の発生を抑制することを目的とする技術において、センサ電極の中央部に当接する第1のブロックと、第1のブロックの間にある第2のブロックとを設け、第2のブロックが第1のブロックよりも低い誘電率を有するようにすることを開示している。
【0007】
特開2009−70191号公報は、精度よく極精細な電極パターンが形成された静電容量センサを提供することを目的とする技術において、第1の電極パターンを表面に並べた第1の透明フィルムと、第2の電極パターンを表面に並べた第2の透明フィルムとの間に、誘電率調整層を設けることを開示している。
【0008】
特開2010−176571号公報は、座標検出の制度を向上させることができる投影型静電容量方式のタッチパネルを実現することなどを目的とする技術において、第1電極パターンと第2電極パターンとの間に存在する接着剤の誘電率が、電極パターンの誘電率と所定の関係にあることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−37373号公報
【特許文献2】特開2009−70191号公報
【特許文献3】特開2010−176571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記特許文献のいずれにも記載されていないが、本発明者らは、互いの間に静電容量が形成されるように配置された2つの電極層の上にウインドウが設けられている静電容量タッチパネルにおいて、ウインドウと上部の電極層との間に介在する層(第一の透明層間樹脂)と、2つの電極層の間に介在する層(第二の透明層間樹脂)との誘電率の大小関係が、静電容量タッチパネルの感度に影響を及ぼすことを見出した。第一の透明層間樹脂と第二の透明層間樹脂は、いずれも通常は接着剤あるいは粘着剤であり、プロセスあるいはコストの観点から、従来は、第一及び第二の透明層間樹脂のいずれにも同一の材料を使用するのが通常であって、敢えて異なる材料を使用する理由はないと考えられていた。本発明者らは、第一の透明層間樹脂の誘電率が第二の透明層間樹脂の誘電率よりも大きい場合に、タッチパネルのウインドウにユーザの指が接触した際の静電容量の変化が大きくなり、その結果、静電容量タッチパネルの感度が向上することに着目して、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、感度の向上した、画像表示パネル等に使用しうる静電容量タッチパネルを提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、その一形態において、ウインドウと、第一の透明導電電極パターンが一方の表面に形成された第一の透明フィルムと、第一の透明導電電極パターンとの間に静電容量が形成されるように該第一の透明電極パターンに対して配置された第二の透明導電電極パターンが一方の表面に形成された第二の透明フィルムとが順次積層されており、ウインドウと第一の透明フィルムの間に第一の透明層間樹脂を備え、第一の透明フィルムと第二の透明フィルムの間に第二の透明層間樹脂を備え、第一の透明層間樹脂の誘電率が第二の透明層間樹脂の誘電率よりも大きい、静電容量タッチパネルを提供する。
【0013】
本発明の上記一形態において、第一の透明層間樹脂の誘電率及び第二の透明層間樹脂の誘電率は、いずれも2〜8の範囲であるのが好ましい。
また、第一の透明層間樹脂の誘電率が、第二の透明層間樹脂の誘電率よりも、少なくとも30%、好ましくは40%以上大きいのが好ましい。
さらに、第一の透明層間樹脂の厚さ及び第二の透明層間樹脂の厚さが、いずれも25μm以上であるのが好ましい。
【0014】
本発明の上記一形態では、第一の透明フィルムにおいて、第一の透明導電電極パターンがウインドウ側の表面に形成され、第二の透明フィルムにおいて、第二の透明導電電極パターンがウインドウ側の表面に形成されるようにしてもよく、あるいは、第一の透明フィルムにおいて、第一の透明導電電極パターンがウインドウ側の表面に形成され、第二の透明フィルムにおいて、第二の透明導電電極パターンがウインドウとは反対側の表面に形成されるようにしてもよい。
【0015】
本発明の上記一形態において、第一の透明層間樹脂及び第二の透明層間樹脂の少なくとも一方を、紫外線硬化液状樹脂の硬化体とすることができる。
この場合、紫外線硬化液状樹脂の粘度が100,000mPa・s〜500mPa・sの範囲であるのが好ましい。
また、紫外線硬化液状樹脂が、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体と光重合開始剤とを含む紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物であるのが好ましい。
さらに、ウレタンアクリレート系重合体の重量平均分子量が5,000〜500,000の範囲であるのが好ましい。
また、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物が、反応性希釈剤として単官能(メタ)アクリレート化合物類を含むのが好ましい。
【0016】
本発明の上記一形態において、第一の透明層間樹脂及び第二の透明層間樹脂の少なくとも一方が粘着剤で構成されるようにすることができる。
この場合、粘着剤が、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、及びこれらの混合物からなる群から選ばれるのが好ましい。
また、第一の透明層間樹脂が粘着剤で構成され、第一の透明層間樹脂を構成する粘着剤が、アルコキシル基及び/又は水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、及びブチルアクリレートからなる群より選ばれるモノマー成分から形成されるポリマーを含むのが好ましい。
さらに、第二の透明層間樹脂が粘着剤で構成され、第二の透明層間樹脂を構成する粘着剤が、炭素数6〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、芳香環及び又は脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、窒素含有モノマー、及びフッ素含有モノマーからなる群より選ばれる1以上のモノマー成分から形成されるポリマーを含むのが好ましい。
【0017】
第一の透明層間樹脂及び第二の透明層間樹脂の可視光波長領域における全光線透過率が90%以上であるのが好ましい。
また、第一の透明層間樹脂及び第二の透明層間樹脂のヘイズが3.0%以下であるのが好ましい。
【0018】
本発明は、他の一形態において、本発明の上記一形態による静電容量タッチパネルと液晶パネルとを貼り合せてなる画像表示パネルである。
本発明は、別の一形態において、本発明の上記一形態による静電容量タッチパネルと有機ELパネルを貼り合せてなる画像表示パネルである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、感度の向上した、画像表示パネル等に使用しうる静電容量タッチパネルを提供することが、可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一態様による静電容量タッチパネルの断面を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
[ウインドウ]
【0022】
本発明において使用するウインドウとしては、ガラスに代表される無機材料によるもの、アクリル系やポリカーボネート系樹脂等の有機材料によるものがあるが、強度の点および現在の市場における供給の状況などから、ガラスが好ましい。
【0023】
ウインドウの厚さは、100μm〜2mm程度、好ましくは200μm〜1.5mm程度である。静電容量タッチパネルの感度の点では、ウインドウの厚みが薄ければ薄いほど良いが、100μmより薄くなると強度が足りなくなり、指のタッチ等によりウインドウが破損する恐れがある。一方、2mm以上のように厚みが厚すぎると、タッチパネルへの指触後の受信側ITO電極と送信側ITO電極間の静電容量であるCfingerが小さくなり、静電容量が小さくなることから、静電容量タッチパネルの感度が低下する可能性がある。
【0024】
ウインドウの誘電率の範囲は、3〜10であるのが好ましく、より好ましくは4〜8である。誘電率が低すぎる場合はタッチパネルへの指触後の受信側ITO電極と送信側ITO電極間の静電容量であるCfingerが小さくなり、静電容量が小さくなることから、静電容量タッチパネルの感度が低下する可能性がある。静電容量タッチパネルの感度の観点からは、ウインドウの誘電率が高い方が望ましいが、透明性,機械強度および加工性を兼ね備えた材料を探すのが困難となる。例えば、石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、フリントガラス、及びソーダガラスの誘電率は、それぞれ4、4.8、6.9、及び7.4である。
【0025】
なお、本明細書において、「誘電率」とは、特に断らない限り、100kHzにおける比誘電率を意味する。
[透明導電電極パターン]
【0026】
本発明において使用する透明導電電極パターンの材料は、特に制限されるものではなく、例えば、インジウム、錫、亜鉛、ガリウム、アンチモン、チタン、珪素、ジルコニウム、マグネシウム、アルミニウム、金、銀、銅、パラジウム及びタングステンからなる群より選択される少なくとも1種の金属(又は半金属)の無機酸化物や,ポリアニリン,フラーレン,カーボンナノチューブ,グラフェンなどの導電性を有する有機物,銀などの微粒子や針状物質からなる導電性フィラーを混合した有機体などを用いることができる。
上記酸化物には、必要に応じて、さらに上記群に示された金属元素等や、その酸化物を添加してもよい。例えば酸化錫を含有する酸化インジウムや、アンチモンを含有する酸化錫などが好ましく用いられる。
【0027】
透明導電電極パターンの厚みは、例えばインジウム酸化物と錫酸化物からなるITO(Indium-Tin Oxide)の場合15〜30nmが好ましい。また、その表面抵抗を1×103Ω/□以下の良好な導電性を有する連続被膜とするには、厚みは20nm以上であることが好ましい。
[透明フィルム]
【0028】
本発明において使用する透明フィルムとしては、特に制限されないが、透明性を有する各種のプラスチックフィルム、例えば、反射防止(AR)フィルム、偏光板、位相差板などの各種光学フィルムが用いられる。上記プラスチックフィルム用の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の(メタ)アクリル系樹脂、アセテート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、商品名「アートン(環状オレフィン系ポリマー;JSR社製)」、商品名「ゼオノア(環状オレフィン系ポリマー;日本ゼオン社製)」等の環状オレフィン系ポリマーなどのポリオレフィン系樹脂等のプラスチック材料が挙げられる。これらのなかでも、コストの点からポリエステル系樹脂,ポリカーボネート樹脂,ポリオレフィン樹脂が好ましい。透明フィルム用の上記プラスチック材料は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0029】
本発明において使用する透明フィルムは、その可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7136に準じる)が86%以上であることが好ましい。より好ましくは88%以上、更に好ましくは90%以上である。透明なフィルム基材の光透過率が86%以上であれば、本発明の透明導電性フィルムを用いてタッチパネルを形成した場合、表示が十分に明るく、光学特性が良好なものとなる。
【0030】
透明フィルムのヘイズ(JIS K 7136に準じる)は、特に限定されないが、3.0%以下(例えば0.1〜3.0%)であることが好ましく、より好ましくは2.0%以下(例えば0.1〜2.0%)である。本発明による静電容量タッチパネルの視認性の点からは、高い透明性を有することが好ましいからである。
透明フィルムは、光学部材であってもよい。
【0031】
透明フィルムの厚みは、2〜200μmの範囲が好ましく、20〜150μmの範囲がより好ましい。機械的強度を確保した上で、フィルムの薄膜化が容易となるからである。透明フィルムは、単層及び複層のいずれの形態を有していてもよい。また、透明フィルムの表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの適宜な表面処理が施されていてもよい。
【0032】
透明フィルムの誘電率は、タッチパネルへの指触前の受信側ITO電極と送信側ITO電極間の静電容量であるCITOが低くなるため静電容量タッチパネルの検出感度を向上させることができる、という観点から、低い方が好ましい。好ましい誘電率の範囲は1.5〜7であり、より好ましい範囲は2〜5である。上記プラスチック材料のうち、例えばPETの誘電率は3.2であり、ポリカーボネート樹脂の誘電率は3.0であり、ポリオレフィン樹脂(ゼオノア)の誘電率は2.4である。
【0033】
[透明層間樹脂]
本発明の静電容量タッチパネルは、ウインドウと第一の透明フィルムの間に第一の透明層間樹脂を備え、第一の透明フィルムと第二の透明フィルムの間に第二の透明層間樹脂を備えており、第一の透明層間樹脂の誘電率が第二の透明層間樹脂よりも大きいことを特徴としている。
第一の透明層間樹脂の誘電率は、第二の透明層間樹脂の誘電率よりも、少なくとも30%、好ましくは40%以上大きいのが好ましい。
本発明で採用する透明層間樹脂の誘電率は、2〜8の範囲であるのが好ましい。
【0034】
[液状層間樹脂]
本発明で使用する透明層間樹脂を、液状樹脂で構成することができる(液状層間樹脂)。
すなわち、液晶パネルや有機ELパネルなどの画像表示装置に使用されうる本発明の静電容量タッチパネルにおいて、ウインドウと透明導電電極パターンを備える第一の透明フィルムとの間の隙間、及び透明導電電極パターンを備える第一の透明フィルムと透明導電電極パターンを備える第二の透明フィルムとの隙間を埋めるために、液状樹脂を用いることができる。
【0035】
本発明における透明層間樹脂を液状樹脂で構成する場合、液状樹脂として紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を使用することができ、以下に詳述するような特定のウレタンアクリレート系重合体(A成分)と、光重合開始剤(B成分)とを用いて得られる紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物が好適に使用される。
【0036】
上記特定のウレタンアクリレート系重合体(A成分)は、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有するものであり、例えば、側鎖に水酸基を含有するビニル重合体と、(メタ)アクリロイル基含有のモノイソシアネート化合物類及びジイソシアネート類化合物とを反応させることにより得られる。
【0037】
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートを、(メタ)アクリル酸とはアクリル酸あるいはメタクリル酸を、(メタ)アクリロキシとはアクリロキシあるいはメタクリロキシを、それぞれ意味するものである。
【0038】
上記側鎖に水酸基を含有するビニル重合体は、例えば、水酸基を含有するビニル単量体と水酸基を含有しないビニル単量体やその他のビニル単量体の高温連続重合法にて得られるビニル重合体である。そして、上記側鎖に水酸基を有するビニル重合体は、好ましくは、重量平均分子量500〜20000であり、また水酸基当量(OHV)が5〜200mgKOH/g程度の液状ランダム共重合体である。具体的には、特開平7−101902号公報、特開2001−348560号公報等に記載のビニル重合体があげられる。
【0039】
上記水酸基を含有するビニル単量体としては、水酸基含有(メタ)アクリレートが用いられ、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも、ランダム共重合性が良好な観点から、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0040】
上記水酸基を含有しないビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸エステルが用いられ、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、スチリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも、好適には、得られる硬化体の可撓性とタックフリー性を両立するという観点から、(メタ)アクリレートのエステル残基の炭素数が1以上20以下のものであり、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが用いられる。
【0041】
上記その他のビニル単量体としては、例えば、クロトン酸エステル類、α−オレフィン類、クロロエチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、イソプロペニルエーテル類、アリルエーテル類、アリルエステル類、芳香族ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0042】
上記水酸基を含有するビニル単量体と水酸基を含有しないビニル単量体の使用割合は、得られる側鎖に水酸基を含有するビニル重合体の水酸基当量(OHV)が5〜200mgKOH/g程度の液状ランダム共重合体となるように反応に供する各単量体の配合割合を任意に設定すればよい。すなわち、水酸基当量(OHV)が小さ過ぎると、得られる紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物の硬化体の架橋密度が不充分となり、強度不足になり易いとともに充分な透明性、耐接着性及び耐溶剤性・耐薬品性を発揮できなくなる恐れが生じる傾向がみられるからである。また、水酸基当量(OHV)が大き過ぎると、得られる紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物の硬化体のガラス転移温度(Tg)が高くなり易く、弾性率が高くなり、充分な接着性を発揮できなくなる傾向がみられるからである。
【0043】
上記各単量体を用いて得られる側鎖に水酸基を含有するビニル重合体は、高温(例えば150〜350℃)での連続重合法によって得られるものであり、重量平均分子量500〜20000のビニル重合体が得られる。中でも、塗工性とともに、強度、接着性、耐候性及び耐溶剤性・耐薬品性の観点から、重量平均分子量1000〜15000の液状のビニル重合体が好ましい。なお、本明細書において、前述も含め、重量平均分子量とは、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)にて測定したポリスチレン換算による重量平均分子量を示すものである。
【0044】
一方、本発明で用いることのできる(メタ)アクリロイル基含有モノイソシアネート化合物類としては、例えば、2−イソシアネートエチルメタクリレート、2−イソシアネートエチルアクリレート、1,1−ビス(アクリロキシメチル)エチルイソシアネート等の(メタ)アクリロキシイソシアネート化合物等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも、得られる硬化体の硬度とタックフリー性を両立するという観点から、2−イソシアネートエチルメタクリレートを用いることが好ましい。
【0045】
さらに、本発明で用いることのできるジイソシアネート類化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも硬化物の黄変が少ないという観点でヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の飽和ジイソシアネートが好適に用いられる。
【0046】
上記のように、本発明で好適に用いられる特定のアクリル系重合体(A成分)は、側鎖に水酸基を含有するビニル重合体と、(メタ)アクリロイル基含有のモノイソシアネート化合物類及びジイソシアネート類化合物とを反応させることにより得られるものである。そして、その合成は、チタン,スズ等の金属やジブチル錫ラウレート等の有機金属塩等の触媒下において、不活性ガス雰囲気下、室温(20℃程度)から場合により30〜80℃の加温下にて反応させることにより、室温近傍(25±15℃)で粘稠な、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有するアクリル系重合体が得られる。
【0047】
なお、上記(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体(A)は、つぎのようにして得ることができる。すなわち、上記側鎖に水酸基を含有するビニル重合体の水酸基の数に対して、少なくとも水酸基が5〜50%が残存するように、(メタ)アクリロイル基含有モノイソシアネート化合物類のイソシアネート基の数を0.1から50%、ジイソシアネート類化合物のイソシアネート基の数を30〜70%になるように各イソシアネート類化合物を配合し上記のように反応させることで、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体が得られる。より好ましくは水酸基が10〜40%残存するように、(メタ)アクリロイル基含有モノイソシアネート化合物類のイソシアネート基の数を10から20%、ジイソシアネート類化合物のイソシアネート基の数を40〜60%になるように各イソシアネート類化合物を配合することであり、さらに好ましくは水酸基が30〜40%残存するように、(メタ)アクリロイル基含有モノイソシアネート化合物類のイソシアネート基の数を10から15%、ジイソシアネートのイソシアネート基の数を45〜55%になるように各イソシアネート類化合物を配合することである。
【0048】
このようにして得られる、特定のアクリル系重合体(A成分)である、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体は、重量平均分子量が5、000〜500、000であることが好ましく、特に好ましくは重量平均分子量が50,000〜200,000ある。このように、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体が上記範囲の重量平均分子量を有することにより、これを用いた光学樹脂接着剤組成物の硬化体は、分子内に架橋点及び接着力をさらに向上する水酸基を同時に合わせ持つという優位性のため、この高度な架橋密度に起因して、透明性、接着信頼性、耐久性を実現し、併せて低硬化収縮性をも得られるようになり好ましい。さらに接着信頼性もさらに向上する利点を合わせもつようになる。そして、形成される硬化体の主鎖骨格がウレタンアクリレート系重合体であることから耐候性に優れ、しかも偏光板に用いられている拡散板や位相差フィルム、保護フィルムの形成材料である非極性シクロオレフィンポリマー(COP)に対して非侵食性である各種溶剤を膨潤溶剤として選択することが可能となる。なお、上記重量平均分子量は、前述と同様、ゲルパーミエションクロマトグラフィー(GPC)にて測定したポリスチレン換算による重量平均分子量を示すものである。
【0049】
上記特定のウレタンアクリレート系重合体(A成分)の合成反応における変性の進行度合いは、例えば、赤外吸収スペクトルにおいて、反応の進行とともに、イソシアネート基由来の特性吸収帯(2260cm-1近傍)が減少することから、このイソシアネート基由来の特性吸収帯を測定することにより確認することができる。また、合成反応における変性の終点は、イソシアネート基由来の特性吸収帯が消失することによって確認することができる。
【0050】
そして、上記特定のアクリル系重合体(A成分)とともに用いられる光重合開始剤(B成分)は、紫外線(UV)硬化剤として作用するものであり、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等の各種光重合開始剤が用いられる。本発明では、特に透明導電電極パターンがITO(酸化インジウム−スズ)等で形成されている場合には、光重合開始剤由来のイオン(特に対アニオン)によるITO腐食を避ける目的から、より好適には、光ラジカル重合開始剤が用いられる。
【0051】
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル〕フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1,2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス〔2,6−ジフルオロ−3(1H−ピロール−1−イル)−フェニル〕チタニウム、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン 等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも、速い硬化速度や厚膜硬化性という観点から、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンを用いることが好ましい。
【0052】
上記光重合開始剤の配合量は、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物全体の0.1〜30重量%の範囲に設定することが好ましく、より好ましくは0.5〜20重量%の範囲である。すなわち、光重合開始剤の配合量が少な過ぎると、重合度が不充分となる傾向がみられ、多過ぎると、分解残渣が多くなり、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物の耐久性が低下するとともに、耐溶剤性・耐薬品性が低下する傾向がみられるからである。
【0053】
上記紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物には、反応性希釈剤として、各種単官能(メタ)アクリレート化合物類を含有することができる。上記単官能(メタ)アクリレート化合物類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ネオペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、スチリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリシクロデキシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、クロロエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも、得られる硬化体の密着性向上という観点から、(メタ)アクリレートのエステル残基が環状エーテルであるテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、及び、(メタ)アクリレートのエステル残基に水酸基を有する2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。より好適には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが用いられる。
【0054】
上記反応性希釈剤としての単官能(メタ)アクリレート化合物類の含有量は、本発明で好適に用いられる側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するウレタンアクリレート系重合体(A)100重量部に対して5〜200重量部であることが好ましく、より好ましくは10〜100重量部である。すなわち、単官能(メタ)アクリレート化合物類の添加量が少な過ぎると、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物の密着性の充分な向上効果が得られ難く、多過ぎると、粘度の低下を招き塗工性に劣る傾向がみられるからである。
【0055】
そして、本発明では、特に本発明の静電容量タッチパネルのウインドウがガラス等の場合、組成物の密着性を向上させるために、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物に各種シランカップリング剤を添加することが有効である。
【0056】
上記シランカップリング剤としては、例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。中でも、ガラスとの密着性の耐久性に優れるという観点から、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いることが好ましい。
【0057】
上記シランカップリング剤の添加量は、本発明で好適に用いられる側鎖に(メタ)アクリロイル基を有するアクリル系重合体(A)と反応性希釈剤である単官能(メタ)アクリレート化合物類の合計量100重量部に対して0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5重量部である。すなわち、シランカップリング剤の添加量が少な過ぎると、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物の密着性の充分な向上効果が得られ難く、多過ぎると、粘度の低下を招き塗工性に劣る傾向がみられるからである。
【0058】
さらに、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物には、上記各成分以外に、その用途等に応じて他の添加剤である、酸化防止剤、消泡剤、界面活性剤、着色剤、有機質充填剤、各種スペーサー、粘着・接着付与剤等を必要に応じて適宜配合することができる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0059】
上記紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物は、例えば、特定のウレタンアクリレート系重合体(A成分),光重合開始剤(B成分)及び他の配合成分を配合し、自公転型遊星撹拌混合機やガラス撹拌容器による撹拌によって、混合,混練することにより製造することができる。
【0060】
このようにして得られる紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物は、つぎのようにしてその用途に供される。すなわち、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物の高粘調組成物液(好適には、粘度50,000〜70,000mPa・sの組成物である)を、ウインドウまたは第一の透明フィルムや第二の透明フィルムの基板の接着面の外周に沿ってダム状に塗工し、紫外線(UV)LEDや高圧水銀灯などのUVランプ等を用いて紫外線で微硬化させる。その後、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を単官能モノマー等で希釈した低粘調組成物液(好適には、粘度2,000〜3,000mPa・sの組成物である)にて、上記ダムを形成した一方の基板の、上記ダム形成内面(接着面の内面)を充填塗工し、その後、他の基板と位置合わせした後、真空下での貼り合わせ、または常圧での貼り合せを行なう。その後、例えば、上記同様、UVランプ等を用いての紫外線照射により硬化させる。また、上記紫外線照射等の光照射後、必要に応じて所定の温度でのポストキュアを行なうことにより硬化させることもできる。
【0061】
上記紫外線照射に際して用いられる光源としては、公知の各種光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線を有効に照射するものが用いられる。
【0062】
なお、上記紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を用いて、液晶表示装置の場合、LCDパネルとウインドウ、タッチパネル貼り合わせ装置により、ウインドウとLCDパネルの投入、接着剤塗布、(真空)貼り合わせ、紫外線照射による仮硬化、紫外線照射による本硬化、そして取り出しという一連の組み立て工程による液晶表示装置の組み立てが可能である。特に、オートアライメント機能付き製造装置による組み立て工程において好適である。
【0063】
上記液晶表示装置の組み立て後、この液晶表示装置に不具合が生じた場合、極細ワイヤーを用いて接着剤層を切断して、各パネルプレートを剥離し、その後剥離面に残存する樹脂滓を溶剤にて膨潤させ除去する。一般的には、不織布ワイパーにリペア溶剤(膨潤溶剤)を含ませて樹脂滓の上に静置し膨潤させる。上記膨潤溶剤としては、非極性シクロオレフィンポリマー(COP)への非侵食性という観点から、メチルイソブチルケトン(MIBK)等のケトン系、エステル系、エーテル系、エステル系、セロソルブ系等の中から適宜非侵食性の膨潤溶剤(リペア溶剤)を選択すればよい。樹脂滓を除去した後、アルコール系溶剤を用いてクリーニングすることにより、再び組み立て工程に回送することが可能となる。
【0064】
また、上記紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物は、照射する紫外線量(積算光量)により硬化度合いを制御することができるため、積算光量とワイヤー切断強度の関係を事前に把握しておけば、所望のワイヤー切断強度の設定が可能であり、リワーク(修復)作業性を任意に選択することができる。そして、紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物の硬化条件は、所望の特性値が発揮できる紫外線積算光量と発熱量積算値の関係をプロットすることにより推定することが可能である。紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物の物性安定化の目安としては、90%以上の発熱量積算値に相当する積算光量に達する紫外線照射条件を選定することが好ましい。
【0065】
誘電率は材料固有の電気的性質であり、材料の化学構造によって一義的に決まる。
誘電体の誘電率については、よく知られたClausius-Mossottiの式から、以下の式が導かれている(例えば、Van Krevelen, D. W., “Properties of Polymers ”, 232, 590~596, Elsevier Scientific Publishing Company (1970) 参照):
(ε−1)/(ε+2)=PLL/V
(式中、εは誘電率であり、PLLはモル分極(cm3/mol)であり、Vはモル容積(cm3/mol)である。)
上記モル分極は原子分極率の総和から求められるが、一般的には置換基や自由体積などの構造要因を加味して分子設計される。また、近年、計算科学によって精度良く誘電率の推定をすることが可能となっている。
【0066】
ただし、誘電率は、水分の吸脱湿や可塑剤の残留に起因する体積変化にともなう膜厚の変化や可動イオンの電気的影響により影響を受ける。このため、水分管理や残留物の管理を十分に行うことが、所望の誘電率を得るためには重要である。
また、本発明による静電容量タッチパネルにおいて、透明層間樹脂と透明フィルムとの間に空隙が存在すると、誘電体の本来の誘電特性が発揮されないので、透明層間樹脂と透明フィルムとの間で剥離などが発生しないよう、気をつけることが必要である。
さらに、材料固有の誘電率には、温度や周波数依存性がある。このため、本発明の静電容量タッチパネルを使用する場合には、使用環境(温度、湿度、周波数)などに留意する必要がある。
【0067】
[層間粘着剤]
本発明で使用する透明層間樹脂を、粘着剤で構成することもできる(層間粘着剤)。
【0068】
(粘着剤層)
本発明で使用可能な粘着剤におけるベースポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、公知の粘着剤(感圧性接着剤)(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤など)におけるベースポリマーから適宜選択して用いることができる。なお、ベースポリマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0069】
粘着剤中のベースポリマーの含有量は、粘着剤の総重量に対して、60重量%以上(例えば60〜100重量%)であることが好ましく、より好ましくは80〜100重量%である。
粘着剤を本発明における透明層間樹脂に使用する場合において、高誘電率あるいは低誘電率の粘着剤が必要とされる場合には、それぞれ次のような材料を使用することができる。
【0070】
(高誘電粘着剤層)
ポリエーテル系粘着剤層は、ベースポリマーとしてポリエーテル系ポリマーを含有する。上記ポリエーテル系ポリマーとしては、特に限定はないが、ポリオキシアルキレン系重合体が好ましい。
【0071】
上記ポリオキシアルキレン系重合体としては、特に限定されないが、重合体の主鎖が下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するものが好ましい。
【0072】
一般式(1):−R1−O−
(式中、R1はアルキレン基である)
【0073】
上記一般式(1)中のR1としては、炭素数1〜14の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、さらにより好ましくは炭素数2〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。
【0074】
上記一般式(1)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CH2O−、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C25)O−、−CH2C(CH32O−、−CH2CH2CH2CH2O−などが挙げられる。上記ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特に、入手性、作業性の点から、−CH2CH(CH3)O−を主たる繰り返し単位とする重合体が好ましい。また、重合体の主鎖にはオキシアルキレン基以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。この場合、重合体中のオキシアルキレン単位の総和は、重合体を形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、80重量%以上が好ましく、特に好ましくは90重量%以上である。
【0075】
上記ポリオキシアルキレン系重合体は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、それらの混合物であってもよいが、良好な粘着性を得るために、直鎖状の重合体を50重量%以上含有していることが好ましい。
【0076】
また、上記アクリル系粘着剤層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含有する。上記アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分とする。また、上記アクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーの単独重合体であってもよいし、複数種のアクリル系モノマーの共重合体であってもよいし、アクリル系モノマーとアクリル系モノマー以外のモノマーとの共重合体であってもよい。
【0077】
上記アクリル系モノマーとしては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルや(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましい。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を表し、他も同様である。
【0078】
上記アクリル系モノマーとしては、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルのみが用いられてもよいし、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルのみが用いられてもよいし、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとが併用して用いられてもよい。なお、上記アクリル系モノマーとして、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとが併用して用いられる場合、その割合は、特に限定されない。
【0079】
本発明で使用する粘着剤において、所望の対ガラス接着力を得つつ、誘電率を高くする点からは、上記アクリル系モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが用いられていることが好ましい。
【0080】
上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの炭素数が1〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、中でも、炭素数が1〜14の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、炭素数が1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルがより好ましい。なお、上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、単独で又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0081】
上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどが挙げられる。中でも、上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは、アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましく、アクリル酸2−メトキシエチル(2MEA)がより好ましい。
【0082】
上記アクリル系ポリマーにおいて、該アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分(100重量%)中の上記直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル及び上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの合計量の割合は、特に限定されないが、粘着シートの接着性及び誘電率の調整を容易にする点から、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、70重量%以上(例えば70〜100重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上(例えば80〜100重量%)である。
【0083】
なお、上記アクリル系モノマーとして上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルが用いられる場合、上記アクリル系ポリマーを形成する全モノマー成分(100重量%)中の上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルの割合は、光学部材に対する良好な接着性を有し且つ高い誘電率を有する粘着シートの得やすさの点から、少なくとも40重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上である。
【0084】
(低誘電粘着剤層)
粘着剤層が、炭素数6〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル及び窒素含有モノマーからなる群より選ばれる1以上のモノマー成分から構成されており、該モノマー成分の割合がアクリル系ポリマーを構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して60重量%以上であるアクリル系ポリマーを含むアクリル系粘着剤層であることが好ましい。
【0085】
さらに、本発明で使用する粘着剤では、上記脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルが、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルからなる群より選ばれる少なくとも1のモノマーであることが好ましい。
【0086】
さらに、本発明で使用する粘着剤では、上記窒素含有モノマーが、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドンからなる群より選ばれる少なくとも1のモノマーであることが好ましい。
【0087】
(粘着剤層一般)
透明層間樹脂の透明性や、加工性、耐久性などの観点から、ベースポリマーとしては公知のアクリル系粘着剤やポリエーテル系粘着剤におけるベースポリマーを好適に用いることができ、特にアクリル系粘着剤におけるベースポリマーを好適に用いることができる。
【0088】
ポリエーテル系粘着剤のベースポリマーとしては、特に制限はないが、例えば、ポリオキシアルキレン系重合体が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体としては、中でも、重合体の主鎖が、下記の一般式(2)で示される繰り返し単位を有するものが好適である。
【0089】
一般式(2):−R1−O−
(式中、R1はアルキレン基である)
【0090】
R1は、炭素数1〜14の、さらには2〜4の、直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましい。
【0091】
一般式(2)で示される繰り返し単位の具体例としては、−CH2O−、−CH2CH2O-、−CH2CH(CH3)O-、−CH2CH(C2H5)O−、−CH2C(CH32O−、−CH2CH2CH2CH2O-等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体の主鎖骨格は、1種類だけの繰り返し単位からなってもよいし、2種類以上の繰り返し単位からなってもよい。特に、入手性、作業性の点から、CH2CH(CH3)O−を主たる繰り返し単位とする重合体が好ましい。また、重合体の主鎖にはオキシアルキレン基以外の繰り返し単位が含まれていてもよい。この場合、重合体中のオキシアルキレン単位の総和は、80重量%以上が好ましく、特に好ましくは90重量%以上である。
【0092】
ポリオキシアルキレン系重合体は、直鎖状の重合体でも分岐を有する重合体でもよく、それらの混合物であってもよいが、良好な粘着性を得るために、直鎖状の重合体を50重量%以上含有していることが好ましい。
【0093】
アクリル系粘着剤のベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーを必須のモノマー成分として形成される。本発明では、このようなアクリル系モノマーとして、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(以下、単に「(メタ)アクリル酸アルキルエステル」を称する場合がある)や(メタ)アクリル酸アルコキシエステルを好適に用いることができる。なお、また、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を表し、他も同様である。
【0094】
本発明では、前記のアクリル系モノマーとして、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを用いる場合、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルを単独で用いてもよいし、 直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルコキシエステルとを併用して用いてもよい。なお、併用する場合、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと(メタ)アクリル酸アルコキシエステルとの割合は、特に制限されず、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが(メタ)アクリル酸アルコキシエステルより、多くても、少なくてもよく、さらに同一であってもよい。
【0095】
上記の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘブチル、 (メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル 、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、 (メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸へプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどのアルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルは単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、アルキル基の炭素数が1〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、より好ましくはアルキル基の炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0096】
上記の(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3−メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4−エトキシブチルなどが挙げられる。中でも、アクリル酸アルコキシアルキルエステルが好ましく、特にアクリル酸2−メトキシエチル(2MEA)が好ましい。上記(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0097】
なお、上記アクリル系モノマーの含有量は、粘着剤層の接着性の観点から、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量に対して、70重量%以上(例えば70〜100重量%)が好ましく、より好ましくは80重量%以上(例えば80〜100重量%)であり、さらにより好ましくは90重量%以上(例えば90〜100重量%)である。
【0098】
また、ベースポリマーであるアクリル系ポリマーを形成するモノマー成分には、上記アクリル系モノマー (直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル)以外に、極性基含有モノマー、多官能性モノマーやその他の共重合性モノマーが共重合モノマー成分として含まれていてもよい。
【0099】
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマー又はその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどのヒドロキシル基(水酸基)含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマーアクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルビリジン、N−ビニルピペリン、N−ビニルビリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー ;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロへキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーなどが挙げられる。上記極性基含有モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0100】
極性基含有モノマーとしては、上記の中でも、カルボキシル基含有モノマー又はその酸無水物、ヒドロキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、複素環含有ビニル系モノマーが好ましく、特に好ましくはアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEA)、アクリル酸6−ヒドロキシへキシル(HHA)、アクリル酸4−ヒドロキシブチル(4HBA)、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)などである。
【0101】
極性基含有モノマーの含有量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量に対して、40重量%以下(例えば、0.01〜40重量%)が好ましく、より好ましくは1〜30重量%である。含有量が40重量%を超えると、例えば、粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、応力緩和性が低下するおそれがある。また、含有量が0.01重量%未満で少なすぎると、粘着剤層の凝集力が低下して粘着性能が低下する。
【0102】
多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。上記多官能性モノマーは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0103】
多官能性モノマーの含有量は、特に限定されないが、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量(100重量部%)に対して、5重量%以下(例えば0.01〜5重量%)が好ましく、より好ましくは1重量%以下(例えば、0.01〜1重量%)である。多官能性モノマーの含有量が5重量%を超えると粘着剤層の凝集力が高くなりすぎ、応力緩和性が低下するおそれがある。
【0104】
また、上記の極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の共重合性モノマー(その他の共重合性モノマー)としては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルやフェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの前述の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、極性基含有モノマーや多官能性モノマー以外の(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソプチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニルなどが挙げられる。
【0105】
ベースポリマーとしてのアクリル系ポリマーは、上記のモノマー成分を公知乃至慣用の重合方法により重合して調製することができる。アクリル系ポリマーの重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法や活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法、光量合方法)などが挙げられる。上記の中でも透明性、耐水性、コストなどの点で、溶液重合方法、活性エネルギー線量合方法が好ましく、特に比較的厚い粘着剤層を形成する場合には、活性エネルギー線重合方法が好ましく、中でも、紫外線照射による紫外線重合方法が好ましい。
【0106】
活性エネルギー線重合(光重合)に際して照射される活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられ、特に、紫外線が好適である。また、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射時間、照射方法などは特に制限されず、光重合開始剤を活性化させて、モノマー成分の反応を生じさせることができればよい。
【0107】
溶液重合に際しては、各種の一般的な溶剤を用いることができる。このような溶剤としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−へプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0108】
アクリル系ポリマーの調製に際しては、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤を用いることができる。重合開始剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0109】
上記光重合開始剤としては、特に制限されず、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などを用いることができる。
【0110】
上記のベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ-1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤には、例えば、ベンゾインなどが含まれる。ベンジル系光重合開始剤には、例えば、ベンジルなどが含まれる。ベンゾフェノン系光重合開始剤は、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが含まれる。ケタール系光重合開始剤には、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが含まれる。チオキサントン系光重合開始剤には、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが含まれる。
【0111】
光重合開始剤の使用量としては、特に制限されないが、例えば、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分全量100重量部に対して0.005〜1重量部が好ましい。なお、光重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0112】
熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤[例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビスー2−メチルブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2一メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4′−アゾビスー4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど]、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤などが挙げられる。熱重合開始剤の使用量としては、特に制限されず、従来、熱重合開始剤として利用可能な範囲であればよい。
【0113】
上記粘着剤には、架橋剤が用いられていてもよい。架橋剤が用いられていると、アクリル系ポリマーを架橋させ、粘着剤層の凝集力を一層大きくすることができる。架橋剤としては、特に制限されず従来公知のものを広く用いることができるが、特にイソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤を好適に用いることができる。なお、架橋剤は、単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0114】
上記イソシアネート系架橋剤としては、例えば、1,2−エチレンジイソシアネート、1,4−ブチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネートなどの脂環族ポリイソシアネート類;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート類などが挙げられ、その他、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」]、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート付加物[日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートHL」]なども用いられる。
【0115】
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N′,N′ −テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6− ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、 トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル 、o−フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジルートリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテルの他、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂などが挙げられる。市販品としては、例えば、三菱ガス化学(株)製、商品名「テトラッドC」を用いることができる。
【0116】
上記架橋剤の使用量としては、特に制限されず、例えば、アクリル系ポリマー100重量部に対して、通常、0.001〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜10重量部である。中でも、イソシアネート系架橋剤を用いる場合、イソシアネート系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜20重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜3重量部である。また、エポキシ系架橋剤を用いる場合、エポキシ系架橋剤の使用量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して、0.001〜5重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜5重量部である。
【0117】
上記粘着剤には、また、必要に応じて、架橋促進剤、粘着付与剤(例えば、ロジン誘導体樹脂、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノール樹脂など)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの公知の添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で用いることができる。
【0118】
本発明における透明層間樹脂に粘着剤を使用する場合、粘着剤層の形成方法は、公知慣用の粘着剤層の形成方法を用いることが可能であり、またベースポリマーの重合方法などによっても異なり、特に限定されないが、例えば、以下の方法が挙げられる。(1)ベースポリマー(例えば、アクリル系ポリマー)を形成するモノマー成分の混合物(モノマー混合物)又はその部分重合物及び必要に応じて光重合開始剤などの添加剤を含む組成物(粘着剤組成物、活性エネルギー線硬化型の粘着剤組成物)を、基材または剥離ライナー上に塗布(塗工)し、活性エネルギー線を照射して、粘着剤層を形成する。(2)ベースポリマー、溶剤、必要に応じて添加剤を含む組成物(粘着剤組成物、溶剤型の粘着剤組成物)(溶液)を、基材または剥離ライナー上に塗布(塗工)し、乾燥及び/または硬化して粘着剤層を形成する。(1)及び(2)の方法では、必要に応じて、加熱・乾燥工程が設けられていてもよい。なお、上記「モノマー混合物」とはベースポリマーを形成するモノマー成分のみからなる混合物を意味する。また、上記「部分重合物」とは、上記モノマー混合物の構成成分のうち1又は2以上の成分が部分的に重合している組成物を意味する。さらにまた、「粘着剤組成物」には「粘着剤層を形成するための組成物」という意味を含むものとする。
【0119】
なお、上記の粘着剤層の形成方法における塗布(塗工)には、公知のコーティング法を用いることが可能であり、慣用のコータ、例えば、グラビヤロールコータ、リバースロールコータ、キスロールコータ、ディップロールコータ、バーコータ、ナイフコータ、スプレーコータ、コンマコータ、ダイレクトコータなどを用いることができる。
【0120】
本発明で採用する透明層間樹脂の厚さは、種々の要求特性に応じて決定すればよい。
本発明における第一の透明層間樹脂の場合、静電容量タッチパネルの感度向上の観点からは、タッチパネルへの指触後の受信側ITO電極と送信側ITO電極間の静電容量であるCfingerが大きくなることから、薄い方が好ましく、例えば5〜500μmであるのが好ましい。また、第一の透明層間樹脂が粘着剤である場合、ウインドウの縁取り部分に印刷されたデコレーション(タッチパネルの引き回し配線を見えなくすることを目的とするもの)によって段差が生じる。この段差を吸収できる粘着剤の厚みとして好適な厚みは、50〜300μm程度である。
本発明における第二の透明層間樹脂の場合、静電容量タッチパネルの感度向上の観点からは、タッチパネルへの指触前の受信側ITO電極と送信側ITO電極間の静電容量であるCITOが小さくなることから、厚い方が好ましく、例えば5〜500μmとすることができ、更に好ましくは10〜200μm程度である。第二の透明層間樹脂が粘着剤で、かつ、本発明における透明フィルムがPETである場合、加湿試験で粘着剤が白濁する不具合を防止する観点から、粘着剤厚みを薄くし、あるいは、加熱試験におけるPET材料からのオリゴマー成分の発生を防止する観点から、粘着剤の厚みを厚くするというように、他の要求を満足するように、厚さを決定することができる。
【0121】
本発明における透明層間樹脂の可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361に準じる)は、特に限定されないが、90%以上(例えば90〜99.9%)であることが好ましく、より好ましくは91%以上(例えば91〜99.9%)であることが好ましい。また、透明層間樹脂のヘイズ(JIS K 7136に準じる)は、特に限定されないが、3.0%以下(例えば0.1〜3.0%)であることが好ましく、より好ましくは2.0%以下(例えば0.1〜2.0%)である。本発明による静電容量タッチパネルの視認性の点からは、透明層間樹脂は、高い透明性を有することが好ましいからである。なお、上記全光線透過率及び上記ヘイズは、例えば、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定することができる。
【0122】
〔静電容量タッチパネルの製造〕
図1に、本発明の一態様による静電容量タッチパネルの断面を示す模式図を示す。
本発明で使用する透明層間樹脂として紫外線硬化型接着剤組成物等の液状樹脂を使用する場合、本発明の静電容量タッチパネルを、次のように製造することができる。
第一の透明層間樹脂2を用いて、カバーガラスであるウインドウ1と、第一の透明導電電極パターン3が形成された第一の透明フィルム4の、透明導電電極パターン3が形成されている方の面との間を充填する。
次いで、第一の透明層間樹脂2に比べて誘電率の小さい第二の透明層間樹脂5を用いて、上記第一の透明フィルム4の透明導電電極パターン3が形成されていない方の面と、第二の透明導電電極パターン6が形成された第二の透明フィルム7の透明導電電極パターン6が形成されている方の面との間を充填する。
そして、紫外線を照射することなどにより、第一の透明層間樹脂2及び第二の透明層間樹脂5を、それぞれ硬化させる。
【0123】
本発明で使用する透明層間樹脂として層間粘着剤を使用する場合、本発明の静電容量タッチパネルを、次のように製造することができる。
再び図1を参照して、高誘電率粘着剤のシートを第一の透明層間樹脂2として、カバーガラスであるウインドウ1と、第一の透明導電電極パターン3が形成された第一の透明フィルム4の、透明導電電極パターン3が形成されている方の面とを貼り付ける。
次いで、低誘電率粘着剤のシートを第二の透明層間樹脂5として、上記第一の透明フィルム4の透明導電電極パターン3が形成されていない方の面と、第二の透明導電電極パターン6が形成された第二の透明フィルム7の第二の透明導電電極パターン6が形成されている方の面とを貼り付ける。
以下に、実施例を示して本発明についてさらに詳細に説明する。本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0124】
[液状層間樹脂を使用した例]
【0125】
〔実施例1〕
〔第一の透明層間樹脂用の液状層間充填樹脂〕
水酸基を含有するビニル重合体として、粘度14,000mPa・s、重量平均分子量11,000、水酸基当量(OHV)20mgKOH/gの液状アクリル重合体を40g(OH基として0.0143mol)、ヘキサメチレンジイソシアネート0.60g(0.0036mol)、2−イソシアネートエチルメタクリレート0.28g(0.0018mol)をそれぞれ反応容器に投入し、窒素気流下、湯浴にて50℃に保持した。その後、ジブチル錫ラウレート(触媒)0.0018g(2−イソシアネートエチルメタクリレートとヘキサメチレンジイソシアネートの合計量に対して0.2重量%)添加し、8時間保持し反応させた。そして、赤外吸収スペクトル(FT−IR:サーモエレクトロン社製、FT−IR200型)を用いて、反応生成物における2260cm-1(イソシアネート基由来の特性吸収帯)の消失を確認した。これにより、側鎖にメタクリロイル基を有するウレタンアクリレート系重合体(重量平均分子量100,000)が生成したことがわかる。
つぎに、上記の側鎖にメタクリロイル基含有及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体7.0g、希釈剤であるテトラヒドロフルフリルアクリレート3.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3g、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.21g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド0.09gをそれぞれ準備し、遮光下、遊星撹拌脱泡機にて混合することにより、目的とする紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を作製した。E型回転粘度計を用い25℃で測定した粘度は、3,000mPa・sであった。
【0126】
〔第二の透明層間樹脂用の液状層間充填樹脂〕
上記の側鎖にメタクリロイル基含有及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体10.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3g、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.21g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド0.09gをそれぞれ準備した。それ以外は上記と同様にして目的とする紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を作製した。E型回転粘度計を用い25℃で測定した粘度は、60,000mPa・sであった。
【0127】
〔層間樹脂の誘電率の測定〕
シリコーンゴム製注型枠型を準備し、上記各紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物をそれぞれ注型枠型に流し込み、積算光量6000mJ/cm2の条件で紫外線を照射することにより、直径50mm、厚さ2mmの円板を作製し、直径30mmの主電極、直径50mm裏面電極及びガード電極を付けたのち、安藤電気株式会社製TR−1100誘電体損自動測定装置を用いて、室温(25℃)、周波数100kHzで、第一の透明層間樹脂及び第二の透明層間樹脂の誘電率を、それぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0128】
〔静電容量タッチパネルの組み立て〕
上記第一の透明層間樹脂用の紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を用いて、カバーガラス(厚さ1000μm、誘電率7.4)と透明導電電極パターンが形成された第一の透明フィルム(透明フィルムの厚さ200μm、誘電率3.1、受信側ITO電極)の透明導電電極パターンが形成されている方の面との間(厚さ100μm、面積0.03cm2)を充填し、また、上記第二の透明層間樹脂用の紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を用いて、上記第一の透明フィルムの受信側ITO電極の透明導電電極パターンが形成されていない方の面と透明導電電極パターンが形成された第二の透明フィルム(送信側ITO電極)の透明導電電極パターンが形成されている方の面との間(厚さ50μm)を充填して、積算光量6,000mJ/cm2の条件で紫外線を照射することによりそれぞれの紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を硬化して、静電容量タッチパネルを作製した。
【0129】
〔静電容量変化率の測定〕
タッチセンサ感度の指標となる静電容量変化率を、タッチパネルへの指触前の受信側ITO電極と送信側ITO電極間の静電容量であるCITOと、指触後の受信側ITO電極と送信側ITO電極間の静電容量であるCfingerとの比であるΔC(%)=Cfinger/CITO×100として測定した。静電容量はアジレント社製LCRメータ(4284A)を用いて測定した。なお、静電容量は、ムラタソフトフェア社製のFemtetを使用して計算をすることにより、シミュレーションによって求めることもできる。結果を表1に示す。
【0130】
〔実施例2〕
〔第一の透明層間樹脂用の液状層間充填樹脂〕
実施例1で作製した受信側ITO層と送信側ITO層間の液状層間充填樹脂を、カバーガラスと受信側ITO電極間の液状層間充填樹脂として用いた。
【0131】
〔第二の透明層間樹脂用の液状層間充填樹脂〕
実施例1で作製した側鎖にメタクリロイル基含有及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体8.0g、希釈剤であるアクリル酸2.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3g、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.21g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド0.09gをそれぞれ準備し、受信側ITO層と送信側ITO層間の液状層間充填樹脂として用いた。それ以外は実施例1と同様にして目的とする紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を作製した。E型回転粘度計を用い25℃で測定した粘度は、6,000mPa・sであった。
【0132】
実施例1と同様にして、誘電率及び静電容量変化率を測定した。結果を表1に示す。
【0133】
〔実施例3〕
〔第一の透明層間樹脂用の液状層間充填樹脂〕
実施例1で作製した側鎖にメタクリロイル基含有及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体5.0g、希釈剤である1H、1H、5H−オクタフルオロペンチルアクリレート5.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3g、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.21g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド0.09gをそれぞれ準備し、遮光下、遊星撹拌脱泡機にて混合することにより、目的とする紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を作製し、カバーガラスと受信側ITO電極間の液状層間充填樹脂として用いた。E型回転粘度計を用い25℃で測定した粘度は、500mPa・sであった。
【0134】
〔第二の透明層間樹脂用の液状層間充填樹脂〕
実施例1で作製した側鎖にメタクリロイル基含有及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体8.0g、希釈剤であるアクリル酸2.0g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3g、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン0.3g、光ラジカル重合開始剤として1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン0.21g、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド0.09gをそれぞれ準備した。それ以外は実施例1と同様にして目的とする紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物を作製した。E型回転粘度計を用い25℃で測定した粘度は、6,000mPa・sであった。
【0135】
実施例1と同様にして、誘電率及び静電容量変化率を測定した。結果を表1に示す。
【0136】
〔比較例1〕
実施例1において第一の透明層間樹脂用に用いた液状層間充填樹脂を、受信側ITO層と送信側ITO層間の液状層間充填樹脂として用いた以外は実施例1と同様にして静電容量タッチパネルを作製し、静電容量変化率を測定した。結果を表1に示す。
【0137】
【表1】

【0138】
表1に示された結果から、第二の層間充填樹脂(受信側ITO層と送信側ITO層間の層間樹脂)の誘電率よりも、第一の層間充填樹脂(カバーガラスと受信側ITO電極間の層間樹脂)が大きな誘電率をもつことにより、指触時の静電容量の変化率(ΔC)が大きくなることが理解され、検出感度(センサ感度)が向上することが明らかである。
[層間粘着剤を使用した例]
【0139】
〔製造例〕
〔高誘電率粘着剤Aの製造〕
メトキシエチルアクリレート(MEA):55重量部、エチルアクリレート(EA):12重量部、メチルメタクリレート(MMA):15重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA):18重量部、アゾビスイソブチロニトリル0.3重量部、及び重合溶媒として酢酸エチル233.8重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら、1時間攪拌した。このようにして、重合系内の酸素を除去した後、63℃に昇温し、10時間反応させて、固形分濃度30重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。該アクリル系ポリマー溶液におけるアクリル系ポリマーの重量平均分子量は110万であった。
上記アクリル系ポリマー溶液100重量部(固形分換算)に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製、商品名「コロネートL」)を0.7重量部(固形分換算)の割合で混合して、さらにトルエンで粘度を調節して、粘着剤組成物溶液(固形分濃度:27重量%、粘度:1.5Pa・s)を調製した。
【0140】
この溶液を、剥離ライナー(ポリエチレンテレフタレートフィルムの片面に剥離処理が施されているタイプ、厚み38μm、商品名「MRF38」、三菱樹脂社製)の剥離処理面上に塗布して塗布層を形成してから、60℃で30秒間及び150℃で1分間加熱乾燥させ、さらに、23℃で120時間エージングを行い、粘着シート(基材レスタイプ、粘着剤層の厚み:50μm、100μm)を作製した。
このようにして得られた粘着シートについて、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定したところ、可視光波長領域における全光線透過率(JIS K 7361に準じる)は92%であり、ヘイズ(JIS K 7136に準じる)は0.5%であった。
さらに、上記剥離ライナーの設けられている粘着面と反対側の粘着面上にも同様の剥離ライナーを設けた。
【0141】
〔高誘電率粘着剤Bの製造〕
モノマー成分を、メトキシエチルアクリレート(MEA):59重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):40重量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA):1重量部としたこと以外は、実施例1と同様にして、粘着シート(基材レスタイプ、粘着剤層の厚み:50μm、100μm)を作製した。得られた粘着シートの全光線透過率は92%、ヘイズは0.5%であった。さらに、高誘電率粘着剤Aと同様に、剥離ライナーの設けられている粘着面と反対側の粘着面上にも剥離ライナーを設けた。
なお、アクリル系ポリマー溶液におけるアクリル系ポリマーの重量平均分子量は100万であった。
【0142】
〔低誘電率粘着剤Aの製造〕
モノマー成分として、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)46重量部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)15重量部、メタクリル酸メチル(MMA)18重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)21重量部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部、及び重合溶媒として酢酸エチル122重量部とトルエン40.7重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、65℃に昇温し、10時間反応させ、その後、酢酸エチルを加えて固形分濃度36重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。
上記アクリル系ポリマー溶液中のアクリル系ポリマー100重量部に対して、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(三井化学(株)製、商品名「タケネートD110N」)0.3重量部を加え、混合し、粘着剤組成物(溶液)を調製した。
次に、上記粘着剤組成物(溶液)を、厚さ50μmのPETセパレーター(帝人デュポンフィルム(株)製、商品名「ピューレックス A43」)の剥離処理面上に塗布し、130℃で3分間加熱乾燥して粘着剤層を形成し、粘着シート(基材レス両面粘着シート、粘着剤層の厚み:50μm、100μm)を得た。得られた粘着シートの全光線透過率は92%、ヘイズは0.4%であった。
【0143】
〔低誘電率粘着剤Bの製造〕
モノマー成分として、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)46重量部、N−ビニル−2−ピロリドン(NVP)15重量部、メタクリル酸メチル(MMA)24重量部、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEA)15重量部、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.2重量部、及び重合溶媒として酢酸エチル163重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、65℃に昇温し、7時間反応させ、その後、酢酸エチルを加えて固形分濃度36重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。
上記アクリル系ポリマー溶液中のアクリル系ポリマー100重量部に対して、架橋剤としてイソシアネート系架橋剤(三井化学(株)製、商品名「タケネートD110N」)0.3重量部を加え、混合し、粘着剤組成物(溶液)を調製した。
次に、上記粘着剤組成物(溶液)より、低誘電率粘着剤Aと同様にして、粘着シート(基材レス両面粘着シート、粘着剤層の厚み:50μm、100μm)を得た。得られた粘着シートの全光線透過率は92%、ヘイズは0.4%であった。
【0144】
〔粘着剤の誘電率の測定〕
ライナー上に設けられた粘着剤を、幅30mm×30mmの正方形かつ厚み数十μm〜数百μm程度に積層加工し、直径13mmの円形の主電極と中心が同じになるように直径25mmの裏面電極を張り付け、アジレント社製PRECISION IMPEDANCE ANALYZER(4294A)とDIELECTRIC TEST FIXTUREにより室温(25℃)、周波数100kHzで誘電率を測定した。
【0145】
〔実施例4〜7〕
上記高誘電率粘着剤Aのシートを厚さ100μmの第一の透明層間樹脂として、カバーガラス(厚さ1000μm、誘電率7.4)と透明導電電極パターンが形成された第一の透明フィルム(透明フィルムの厚さ200μm、誘電率3.1、受信側ITO電極)の透明導電電極パターンが形成されている方の面とを貼り付け、また、上記低誘電率粘着剤Aのシートを、厚さ50μmの第二の透明層間樹脂として、上記第一の透明フィルムの受信側ITO電極の透明導電電極パターンが形成されていない方の面と透明導電電極パターンが形成された第二の透明フィルム(送信側ITO電極)の透明導電電極パターンが形成されている方の面とを貼り付けて、静電容量タッチパネルを作製した(実施例4)。
同様に、表2に示す高誘電率粘着剤と低誘電率粘着剤との組合せにより、静電容量タッチパネルを作製した(実施例5〜7)。
第一の透明層間樹脂及び第二の透明層間樹脂の誘電率を、それぞれ測定した。さらに、各実施例において得られた静電容量タッチパネルについて、実施例1と同様に静電容量変化率を測定した。結果を表2に示す。
【0146】
〔比較例2〜4〕
実施例4と同様に、表3に示す高誘電率同士又は低誘電率粘着剤と高誘電率粘着剤との組合せにより得られた厚さ100μmの第一の透明層間樹脂及び厚さ50μmの第二の透明層間樹脂を使用して、静電容量タッチパネルを作製した(比較例2〜4)。
実施例4と同様に、第一の透明層間樹脂及び第二の透明層間樹脂の誘電率をそれぞれ測定するとともに、各比較例において得られた静電容量タッチパネルについて、実施例1と同様に静電容量変化率を測定した。結果を表3に示す。
【0147】
【表2】

【0148】
【表3】

【0149】
表2に示された結果から、層間粘着剤を使用した場合についても、第二の層間充填樹脂の誘電率よりも、第一の層間充填樹脂が大きな誘電率をもつことにより、指触時の静電容量の変化率(ΔC)が大きくなることが確認された。
【符号の説明】
【0150】
1 ウインドウ1
2 第一の透明層間樹脂
3 第一の透明導電電極パターン
4 第一の透明フィルム
5 第二の透明層間樹脂
6 第二の透明導電電極パターン
7 第二の透明フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウインドウと、第一の透明導電電極パターンが一方の表面に形成された第一の透明フィルムと、前記第一の透明導電電極パターンとの間に静電容量が形成されるように該第一の透明電極パターンに対して配置された第二の透明導電電極パターンが一方の表面に形成された第二の透明フィルムとが順次積層されており、前記ウインドウと前記第一の透明フィルムの間に第一の透明層間樹脂を備え、前記第一の透明フィルムと前記第二の透明フィルムの間に第二の透明層間樹脂を備え、前記第一の透明層間樹脂の誘電率が前記第二の透明層間樹脂の誘電率よりも大きいことを特徴とする静電容量タッチパネル。
【請求項2】
前記第一の透明層間樹脂の誘電率及び前記第二の透明層間樹脂の誘電率が、いずれも2〜8の範囲である請求項1に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項3】
前記第一の透明層間樹脂の誘電率が、前記第二の透明層間樹脂の誘電率よりも、少なくとも30%大きい、請求項1又は2に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項4】
前記第一の透明層間樹脂の厚さ及び前記第二の透明層間樹脂の厚さが、いずれも25μm以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項5】
前記第一の透明フィルムにおいて、前記第一の透明導電電極パターンが前記ウインドウ側の表面に形成され、前記第二の透明フィルムにおいて、前記第二の透明導電電極パターンが前記ウインドウ側の表面に形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項6】
前記第一の透明フィルムにおいて、前記第一の透明導電電極パターンが前記ウインドウ側の表面に形成され、前記第二の透明フィルムにおいて、前記第二の透明導電電極パターンがウインドウとは反対側の表面に形成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項7】
前記第一の透明層間樹脂及び前記第二の透明層間樹脂の少なくとも一方が、紫外線硬化液状樹脂の硬化体である請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項8】
前記紫外線硬化液状樹脂の粘度が100,000mPa・s〜500mPa・sの範囲である請求項7に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項9】
前記紫外線硬化液状樹脂が、側鎖に(メタ)アクリロイル基及び水酸基を有するウレタンアクリレート系重合体と光重合開始剤とを含む紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物である請求項7又は8に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項10】
前記ウレタンアクリレート系重合体の重量平均分子量が5,000〜500,000の範囲である請求項9に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項11】
前記紫外線硬化型光学樹脂接着剤組成物が、反応性希釈剤として単官能(メタ)アクリレート化合物類を含む請求項7〜10のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項12】
前記第一の透明層間樹脂及び前記第二の透明層間樹脂の少なくとも一方が粘着剤で構成される請求項1〜6のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項13】
前記粘着剤が、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、及びこれらの混合物からなる群から選ばれる、請求項12に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項14】
前記第一の透明層間樹脂が粘着剤で構成され、該第一の透明層間樹脂を構成する粘着剤が、アルコキシル基及び/又は水酸基を有する(メタ)アクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、及びブチルアクリレートからなる群より選ばれるモノマー成分から形成されるポリマーを含む、請求項12又は13に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項15】
前記第二の透明層間樹脂が粘着剤で構成され、該第二の透明層間樹脂を構成する粘着剤が、炭素数6〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜10の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステル、芳香環及び又は脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル、窒素含有モノマー、及びフッ素含有モノマーからなる群より選ばれる1以上のモノマー成分から形成されるポリマーを含む、請求項12〜14のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項16】
前記第一の透明層間樹脂及び前記第二の透明層間樹脂の可視光波長領域における全光線透過率が90%以上である、請求項12〜15のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項17】
前記第一の透明層間樹脂及び前記第二の透明層間樹脂のヘイズが3.0%以下である、請求項12〜16のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
【請求項18】
請求項1〜17のいずれか1項に記載されている静電容量タッチパネルと液晶パネルとを貼り合せてなる画像表示パネル。
【請求項19】
請求項1〜17のいずれか1項に記載されている静電容量タッチパネルと有機ELパネルを貼り合せてなる画像表示パネル。

【図1】
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【公開番号】特開2013−3952(P2013−3952A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136150(P2011−136150)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】