説明

静電気を防止するための皮膚用製品及びその方法

【解決手段】 負電荷を中和し、それによって皮膚の張力を緩和させ、水分が除去されるのを防ぐ、カチオン性物質を含む水溶性又は非水溶性製剤に関する。皮膚の静電的張力を緩和することにより、細孔間の距離を小さくする。本願発明と他の水を基質とした皮膚調整剤との相違点は、使用するカチオン性物質の量である。本願発明は、他の市販品に含まれる成分よりも多くの成分を含む。これにより皮膚の電荷を中和し、張力を緩和するという予想し得ない効果をもたらす。もっとも基本的な形態には、保湿剤又は他の皮膚調整剤を含まない。これらを本願発明に加えることも可能であり、或いは、相乗的な皮膚軟化効果得るために、添加剤として、現在入手可能な市販の水溶性及び非水溶性皮膚保湿剤に本願発明を加えることも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年10月2日付けにて出願された米国仮特許出願番号61/102,011号に対して優先権を主張した国際特許出願であり、前記出願は、この参照により本願明細書に組み込まれるものである。
【0002】
本出願は、2009年6月1日付にて出願された米国出願第12/475,719号に関して本参照により本願明細書に組み込まれるものである。本願は、前記米国仮特許出願に対して優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
本発明は、水分を保持することにより、乾燥、ひびわれ、及びあかぎれの症状から皮膚ならびに髪を守る組成物に関する発明である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、潤いを与える様々な皮膚軟化剤が市場にでている。そのような製品の主な目的は、皮膚に水分を与えながら皮膚を水分が除去されるのを防ぐことである。これらの商品は、油を基質としたものであるか、或いは油と水の乳化剤を使用したものである。これらの油を基質とした製品の効果は、透過性の膜で皮膚を被膜することである。この水不透過層は、水が蒸発することにより皮膚から水分がなくなるのを防ぐものである。そのような製剤の殆どは、皮膚を滑らかにし、水分を与え、柔らかくするための種々の添加物を用いる。しかしながら、前記不透過層は皮膚を呼吸できなくするものである。これは、酸素が皮膚に吸収され、皮膚の生命を維持することに対する問題を提示している。
【0005】
潤いを与えるより良い皮膚調整剤は水を基質としたものであるが、そのようなものは少ない。それらは、湿潤剤及び調整剤を使用し、乾燥してダメージのある皮膚を治療する。そのような製品の一部は、それらを使用することによる静電効果を最小限に抑えるために非常に少量のカチオン剤を用いる。カチオン添加剤は、通常、油を基質とした調整剤には使用されない。皮膚に保護膜を覆うことによりその働きを示す油を基質とした調整物とは異なり、水を基質とした調整物は皮膚の張りを減らすことによりその働きを示す。
【0006】
空気が非常に乾燥している場合に、そのような空気を通って移動するヒトは、空気/皮膚摩擦により、皮膚上に負に荷電した電子が蓄積する。皮膚に充分な電子が蓄積されると、ヒトの髪は「逆立つ」。静電荷があると、髪は互いに反発する。皮膚細胞も同じ減少を示す。例えば、皮膚の「ひび割れ」は、乾燥した皮膚細胞が「逆立つ」及び「互いに反発」することによる。これは皮膚に張力をもたらす。この症状は水分が欠乏することにより悪化する。細孔が開き水分が流出する。手をこすり合わせると乾燥とあかぎれを引き起こす静電荷が発生する。皮膚には過剰な電子が蓄積していく。
【0007】
髪の調整剤は様々な方法でその働きを示す。髪が濡れている場合、水が髪の可塑化剤となるため、髪は柔軟性を持つ。髪の調整剤は可塑化効果を促進する。さらに、髪が脆くならなくするための成分を加える。
【0008】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、皮膚の負電荷を中和して張力を除去するカチオン性物質を含む水溶性調整物質であり、細孔を塞ぎ、水分が流出するのを防ぐものである。当該物質は、細孔間の距離を減らす。本発明と、他の水を基質とした皮膚調整剤との違いは、使用するカチオン性物質の量である。本発明は、他の市販品と比べてかなりの量を使用する。これにより、皮膚上の荷電が中和され張力が緩和されるという予期し得ない結果がもたらされる。最も基本的な形態においては、保湿剤又は他の皮膚調整物質を含まない。前記保湿剤又は他の皮膚調整物質は本願発明に加えても良く、或いは、本願発明は皮膚軟化剤を基質とした市販品に対する添加剤として使用することも可能である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願発明の化合物の一般的な処方は、下記物質を主成分(カチオン性物質)として含み、
Celquat SC−240c(Polyquaternium−10) 0−4%
Merquat 100 0−11%
さらに、以下を含む。
【0011】
蒸留水
ポリプロピレングリコール
EDTA 四ナトリウム
ポリワックス
グリセロールモノステアリン酸塩(グリセリルステアレート)
バニラ
グリセリン
Germall Plus(ジアゾリジニルウレア&イソプロピニルブチルカルバメート)
これらの処方は一般的である。Merquat(登録商標)280はポリクオタニウム22である。Celquat(登録商標)及びMerquatはいずれも強カチオン性物質である。当該処方はCelquat及びMerquatを含むように製剤化された。しかしながら、いずれの物質かのみを活性成分として含むものであっても使用可能である。
【0012】
Celquat及びMerquat以外のカチオン性物質は当業者に周知である。他の物質もまた、Celquat及びMerquat、或いは他の添加剤の代替物質として本願発明に使用可能である。上述したように、水を基質とした生成物のみがカチオン性物質として使用可能である。本願発明と他の市販調整物質との相違点は、カチオン効果の強度である。これにより、負に荷電された皮膚を中和し、(皮膚細胞が互いに近くなって存在することにより)皮膚の張力を緩和し、水分を保持するように細孔が閉じられるという予想し得ない効果をもたらす。
【0013】
基本的な処方は、主に水溶性基質にカチオン性物質を含むものである。しかしながら、保湿及び調整物質が前記基本的な処方に加えられても良い。一方、前記基本的な処方は、その効果を増すために他の水を基質とした皮膚調整剤に加えられてもよい。
【0014】
本発明は乾燥した皮膚によって悪化する乾癬の治療剤としても使用可能である。髪によって保持された負電荷を中和することにより可塑化を促進する。
【0015】
他の処方においては、以下の成分を含む。
【0016】

セチルアルコール
塩化セトリモニウム
ポリクオタニウム−67
ステアリン酸グリセリル
PEG−100ステアレート
ポリクオタニウム−22
フェノキシエタノール
ステアリルアルコール
塩化ベンザルコニウム
ヒドロキシプロピル トリモニウム 加水分解大豆
メチルパラベン
プロピルパラベン
ブチルパラベン
エチルパラベン
イソブチルパラベン
水酸化ナトリウム
加水分解アルギン
クロレラ・ブルガリス抽出物
海水
プロピレングリコール
Euterpe Oleracea(Acai)(ワカバキャベツヤシ)果実抽出物
Lycium Barbarum(Goji Berry)(ゴジベリー)果実抽出物
Punica Granatum(ザクロ)抽出物
Diospyros Kaki(カキ)果実抽出物
香料
また他の処方も含む。
【0017】

ベヘン酸イソセチル
セチルアルコール
塩化セトリモニウム−67
ステアリン酸グリセリル
ステアリン酸PEG−100
ポリクオタニウム−22
フェノキシエタノール
ステアリルアルコール
塩化ベンザルコニウム
ヒドロキシプロピル トリモニウム 加水分解大豆
メチルパラベン
プロピルパラベン
エチルパラベン
イソブチルパラベン
水酸化ナトリウム
プロピレングリコール
Symphytum Officinate(ヒレハリソウ)(Comfrey)葉抽出物
Centaurea Cyanus(ヤグルマギク)(Cornflower)花抽出物
Echinacea Angustifolia(エキナセア)葉抽出物
Silybum Marianum(Milk Thistle)(マリアアザミ)抽出物
香料
前記処方は、下記の一般的な成分を含むものである。
【0018】
水(溶媒及び湿潤剤として使用)
少なくとも1つの第四級の調整剤
少なくとも1つの保存剤
少なくとも1つの増粘剤
緩和剤
乳化剤
所望のpHに調節するための中和剤
上記処方は水を基質としたものであるが、当業者であれば前記処方が非水系であっても良いことが理解される。更に、一部の実施形態は、防腐剤、抗炎症剤、抗酸化剤、収斂剤、並びに、洗浄、抗菌及び防腐特性を有するものであって皮膚が治癒するのを促進する製剤を含む。また、香料が加えられても良い。
【0019】
第四級の調整剤は、これらに限らないが、以下を含む(少なくとも以下の1つ)。
【0020】
ポリクオタニウム−22
ポリクオタニウム−67
塩化セチルトリメチルアンモニウム
ヒドロキシプロピル とりアンモニウム 加水分解大豆タンパク質、及び
塩化ベンザルコニウム
保存剤は、これらに限らないが、以下のものを含む。
【0021】
フェノキシエタノール
メチルパラベン
ブチルパラベン
エチルパラベン
プロピルパラベン
イソブチルパラベン、及び
フェノキシエタノール
増粘剤は、これらに限らないが、セチルアルコール及びステアリルアルコールを含む。緩和剤は、これらに限らないが、以下のものを含む。
【0022】
ベヘン酸イソセチル

加水分解アルギン
クロレラ・ブルガリス、及び
C10〜30コレステロール/ラノステロールエステル
使用される乳化剤は、これらに限らないが、ステアリン酸グリセリル、及びステアリン酸PEG−100を含む。中和剤は、5%水酸化ナトリウム溶液が使用される。香料は、ラベンダー、サンダルウッド、及びスイカズラを使用した。
【0023】
表1〜10は、これらの処方の例を示す。
【0024】
【表1】

【0025】
【表2】

【0026】
【表3】

【0027】
【表4】

【0028】
【表5】

【0029】
【表6】

【0030】
【表7】

【0031】
【表8】

【0032】
【表9】

【0033】
【表10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の軟化及び調整製剤であって、ヒトの皮膚に塗布した場合に、前記カチオン性物質が皮膚上の負の静電荷を完全に中和するように、当該製剤に含まれる他の物質に対して十分な割合で、1若しくはそれ以上のカチオン性物質を含むものである、製剤。
【請求項2】
請求項1記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記カチオン性物質は、Celquat(登録商標)SC−240c(ポリクオタニウム−10)である、製剤。
【請求項3】
請求項2記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記カチオン性物質は、当該製剤の1〜4重量パーセントの範囲である、製剤。
【請求項4】
請求項1記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記カチオン性物質は、Merquat(登録商標)100である、製剤。
【請求項5】
請求項4記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記Merquat(登録商標)100は当該製剤の0〜11重量パーセントの範囲である。製剤。
【請求項6】
請求項1記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記1若しくはそれ以上のカチオン性剤は、以下の
ポリクオタニウム−22
ポリクオタニウム−67
塩化セチルトリメチルアンモニウム
ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解大豆タンパク質、及び
塩化ベンザルコニウム
から成る群から選択されるものである、製剤。
【請求項7】
請求項1記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記製剤は水溶液である、調製剤。
【請求項8】
請求項1記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、この製剤は、さらに、
a)少なくとも1つの保存剤、
b)少なくとも1つの増粘剤、
c)皮膚軟化剤、
d)乳化剤、及び
e)所望のpHに調整する中和剤
を含むものである、製剤。
【請求項9】
請求項8記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記少なくとも1つの保存剤は、以下の
メチルパラベン、
ブチルパラベン、
エチルパラベン、
プロピルパラベン、
イソブチルパラベン、及び
フェノキシエタノール
から成る群から選択されるものである、製剤。
【請求項10】
請求項8記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記少なくとも1つの増粘剤は、セチルアルコール及びステアリルアルコールから成る群から選択されるものである、製剤。
【請求項11】
請求項8記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記少なくとも1つの皮膚軟化剤は、
ベヘン酸イソセチル、
水、
加水分解アルギン
クロレラ・ブルガリス、及び
C10〜30コレステロール/ラノステロールエステル
から成る群から選択されるものである、製剤。
【請求項12】
請求項8記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記乳化剤は、ステアリン酸グリセリル、及びステアリン酸PEG−100である、製剤。
【請求項13】
請求項8記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記中和剤は、水酸化ナトリウムである、製剤。
【請求項14】
請求項1記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、この製剤は、さらに、抗酸化剤を含むものである、製剤。
【請求項15】
請求項1記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、この製剤は、さらに、収斂剤を含むものである、製剤。
【請求項16】
請求項1記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、この製剤は、さらに、洗浄剤、抗菌剤、及び消毒剤の特徴を有する皮膚の治癒を促進する物質を含むものである、製剤。
【請求項17】
請求項1記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、この製剤は、さらに、香料を含むものである、製剤。
【請求項18】
請求項6記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記ポリクオタニウム−22の量は、0.1重量%〜1.2重量%の範囲である、製剤。
【請求項19】
請求項6記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記ポリクオタニウム−67の量は、0.5重量%〜3重量%の範囲である、製剤。
【請求項20】
請求項6記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記塩化セチルトリメチルアンモニウムの量は、1重量%〜4重量%の範囲である、製剤。
【請求項21】
請求項6記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解大豆タンパク質の量は、0.1重量%〜1重量%の範囲である、製剤。
【請求項22】
請求項6記載の皮膚の軟化及び調整製剤であって、前記塩化ベンザルコニウムの量は、0.2重量%〜3重量%の範囲である、製剤。

【公表番号】特表2012−504616(P2012−504616A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−530076(P2011−530076)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2009/045881
【国際公開番号】WO2010/039291
【国際公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(511035476)
【Fターム(参考)】