説明

静電潜像現像剤用キャリア、および静電潜像現像剤

【課題】長期に渡り安定した帯電付与能力を有し、膜の硬度及び靭性(可撓性&弾力性)の双方に優れ耐摩耗性(削れ・剥がれ)に優れて、キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量の変化が少なく、トナー組成物のスペントによる帯電変動が少なく、かつ、帯電の環境変動を抑制し、さまざまな使用環境においても画像濃度変動、地肌汚れ、トナー飛散による機内汚染などを生じない、という諸特性を同時に満足するキャリアを提供することにあり、さらに、この静電潜像現像用キャリアを用いた静電潜像用現像剤、静電潜像現像方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】磁性を有する芯材粒子と該芯材粒子表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、下記構造を有する共重合体を被覆して、しかる後に加熱処理して得られたことを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法、静電記録法に使用される二成分現像剤に用いられる静電潜像現像用キャリア、それを用いた静電潜像現像剤、静電潜像現像方法、静電潜像現像剤を備えるプロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電潜像を現像するために、電子写真に用いられている乾式現像方式は、摩擦帯電付与部材と摩擦させた粉体トナーを、静電潜像に静電的に付着させて可視像を形成するものである。
この乾式現像方法には、トナーのみを主成分とするいわゆる一成分系現像方式と、ガラスビーズ、磁性体キャリア、あるいは、それらの表面を樹脂などで被覆したコートキャリアとトナーを混合して使用する、いわゆる二成分系現像方式がある。
後者で用いられる二成分現像剤は、キャリア粒子表面上にトナー粒子が、両粒子の摩擦により発生した電気力により保持されている。
【0003】
現像剤が静電潜像に近接すると、静電潜像が形成する電界によって、トナー粒子がキャリア粒子との結合力に打ち勝って、静電潜像上に現像されるものである。
そして、現像剤は、現像によって消費されたトナーを補充しながら繰り返し使用される。
従って、キャリア粒子表面がこれと逆極性のトナー材料の付着により汚染され難い等、キャリア粒子は長時間の使用中、常に所望する摩擦帯電を維持する必要がある。
しかしながら、キャリア粒子間の衝突、現像装置内での機械的攪拌により、またこれらによる発熱よって、キャリア粒子表面にトナーが融着する。いわゆるスペントトナーが生じ、キャリア粒子の帯電特性が使用時間と共に変動する傾向がある。
【0004】
このようなスペント化を防止するため、キャリア芯材表面に、表面エネルギーの低い樹脂、例えばフッ素樹脂、シリコーン樹脂などをコートすることによりキャリアの長寿命化がはかられてきた。
低表面エネルギーの樹脂を被覆したキャリアの例としては、特許文献1〜8が挙げられる。即ち、特許文献1には、常温硬化型シリコーン樹脂と正帯電性窒素樹脂で被覆したキャリアが開示され、特許文献2には、変性シリコーン樹脂を少なくとも1種含有した被覆材をコートしたキャリアが開示され、特許文献3には、常温硬化型シリコーン樹脂およびスチレン・アクリル樹脂を含有した樹脂被覆層を有するキャリアが開示され、特許文献4には、核粒子表面を2層以上のシリコーン樹脂でコートし、層間に接着性がないようにしたキャリアが開示され、特許文献5には、核粒子表面にシリコーン樹脂を多層塗布したキャリアが開示され、特許文献6には、炭化ケイ素を含有するシリコーン樹脂で表面を被覆したキャリアが開示され、特許文献7には、20dyn/cm以下の臨界表面張力を示す材料で被覆した正帯電性キャリアが記載され、特許文献8には、フッ素アルキルアクリレートを含有する被覆材でコートしたキャリアと、含クロムアゾ染料を含むトナーからなる現像剤が記載されている。
【0005】
しかしながら、近年は高画質化のためにトナーが小粒径化する傾向にあり、また、プリント速度の高速化も相まって、キャリアへのトナースペントが一段と生じ易くなっている。
更にトナーにワックスを含有させてメンテナンスを容易にした現像剤の場合には、トナースペント量が非常に多くなり、トナー帯電量の低下、トナー飛散および地肌汚れに対する余裕度が低下しているのが現状である。耐久性あるキャリア被覆を得るには、表面エネルギーの小さい樹脂材料を芯材に強固に被覆することが有効であるが、一般的に、表面エネルギーの小さい樹脂材料は芯材に対しても強固に被覆し難い傾向がある。より強固に被覆するためには、例えばテフロン(登録商標)加工に見られるように、より高温での焼付塗工や架橋・硬化が考えられるが、電子写真現像剤用キャリアの場合、高温処理は芯材のキュリー点という律束条件によって(磁性を損なう虞れがあって)、他分野での被覆と異なり、安易に用いることができない。
【0006】
フルカラー電子写真システムでは、キャリアのトナースペントやコート被膜削れ・剥がれが起こると、キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量が変化し、画像濃度、特にハイライト部の濃度が変化し、また、被膜の削れによるフィラーの離脱などによって、カラートナー(特にイエロートナー)が色汚れし、高画質が維持できないのが現状である。
【0007】
更に、使用される環境の違いにより、現像剤の帯電量が変化し、画像濃度、および画質が変化することも大きな課題であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は上記の課題を解決することにある。
すなわち、本発明の目的は、(1)長期に渡り安定した帯電付与能力を有し、(2)膜の硬度及び靭性(可撓性&弾力性)の双方に優れ、耐摩耗性(削れ・剥がれ)に優れて、キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量の変化が少なく、(3)トナー組成物のスペントによる帯電変動が少なく、(4)かつ、帯電の環境変動を抑制し、さまざまな使用環境においても画像濃度変動、地肌汚れ、トナー飛散による機内汚染などを生じない、という諸特性を同時に満足するキャリアを提供することにある。
さらに、この静電潜像現像用キャリアを用いた静電潜像用現像剤、静電潜像現像方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、忌避性(Repellency)基を含む特定のアクリルシロキサン構造部分を有する特定成分Aと、脱水縮合性あるシラノール基又はシラノール前駆体基構造部分を有する特定のアクリルシリコン成分Bと、特定のアクリレート成分Cとをそれぞれ特定割合で含む樹脂で被覆され、加熱処理された芯材粒子からなるキャリアが、その余の樹脂で被覆されたキャリアに比し、前記諸特性をより一層充分に満足することを見出してさらに検討を加え、本発明を完成するに至った。
而して、本発明によれば、以下に示す静電潜像現像剤用キャリア、現像剤、現像方法、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置が提供される。
即ち、上記課題は以下の本発明の(1)〜(14)により解決される。
(1)「磁性を有する芯材粒子と該芯材粒子表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、下記構造を有する共重合体を被覆して、しかる後に加熱処理して得られたことを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
【0010】
【化1】

(式中において、R、m、R、R、X、Y、及びZは以下に該当するものを示す。)
:水素原子、またはメチル基
m:炭素原子数1〜8のアルキレン基
:炭素原子数1〜4のアルキル基
は、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
A成分:
【0011】
【化2】

X=10〜40モル%である。
B成分:
【0012】
【化3】

Y=10〜40モル%である。
C成分:
【0013】
【化4】

Z=30〜80モル%であり、
かつ、60モル%<Y+Z<90モル%である。」、
(2)「シラノール基、及び/又は加水分解によりシラノ−ル基を生成することが可能な官能基を有するシリコーン樹脂を被覆して、しかる後に加熱処理して得られたことを特徴とする前記第(1)に記載の静電潜像現像剤用キャリア。」、
(3)「熱処理温度が130〜300℃であることを特徴とする前記第(1)または第(2)に記載の静電潜像現像剤用キャリア。」、
(4)「キャリアの重量平均粒径(Dw)が22〜35μmである前記第(1)乃至第(3)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。」、
(5)「フィラーを含有することを特徴とする前記第(1)乃至第(4)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。」、
(6)「キャリア電気抵抗LogR(Ωcm)が10.0〜15.0であることを特徴とする前記第(1)乃至第(5)のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。」、
(7)「トナーとキャリアからなる静電潜像現像用の現像剤であって、該キャリアとして、前記第(1)乃至第(6)のいずれかに記載のキャリアを用いることを特徴とする静電潜像現像剤。」、
(8)「トナーとキャリアとからなる静電潜像現像用の現像剤であって、該キャリアが前記第(1)乃至第(6)のいずれかに記載のキャリアであり、該トナーの重量平均粒径が3.0〜9.0μmであることを特徴とする静電潜像現像剤。」、
(9)「キャリア1重量部に対してトナーを2〜50重量部の配合割合で含有する補給用現像剤であって、該キャリアが前記第(1)乃至第(6)のいずれかに記載のキャリアであることを特徴とする補給用現像剤。」、
(10)「前記第(7)乃至第(9)のいずれかに記載の現像剤を用いることを特徴とする静電潜像現像方法。」、
(11)「感光体、前記現像剤と、現像スリーブを用い、現像スリーブと感光体の距離が0.4mm以下であり、かつ現像バイアスとして交流電圧及び/または直流電圧を印加することを特徴とする前記第(10)に記載の静電潜像現像方法。」、
(12)「前記第(7)乃至第(9)のいずれかに記載の現像剤を用いる現像手段を有することを特徴とする画像形成装置。」、
(13)「感光体、前記現像手段を有し、該現像手段が現像スリーブを用いるものであり、該現像スリーブと前記感光体の距離が0.4mm以下であり、かつ現像バイアスとして交流電圧及び/または直流電圧を印加することを特徴とする前記第(12)に記載の画像形成装置。」、
(14)「感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電部材と、前記第(7)乃至第(9)のいずれかに記載の静電潜像現像剤を擁する現像部と、前記感光体の表面に残存する現像剤を払拭するブレードとを具備することを特徴とするプロセスカートリッジ。」。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記数種のラジカル重合性モノマーをラジカル共重合して得られたアクリル系共重合体をキャリア芯材に塗布した後、さらに加熱処理によりシラン系の架橋成分を縮重合させて得られたキャリアが提供され、本発明のこのキャリアは、表面エネルギーが小さく、トナー成分が付着し難い樹脂で被覆されており、かつ、シラン系の架橋成分により強靭な被膜が形成されているため、被膜削れ/剥がれが少なく、かつトナースペントが少なく、帯電安定性の良好な高耐久キャリア、および現像剤を得ることができた。膜の耐摩耗性(削れ・剥がれ)に優れ、キャリア抵抗や現像剤の汲み上げ量が変化し難い。
かつ、帯電の環境変動を抑制し、さまざまな使用環境においても画像濃度変動、地肌汚れ、トナー飛散による機内汚染などを生じない。
さらに、信頼性の高い現像方法、画像形成装置を提供することができる、という極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】キャリアの電気抵抗率の測定に用いる抵抗測定セルの斜視図である。
【図2】本発明における現像剤の帯電量の測定方法を示した図である。
【図3】本発明の電子写真現像方法を実行するのに適した現像装置の一例を説明する図である。
【図4】本発明の電子写真現像方法を用いた画像形成方法を実行するのに適した画像形成装置の1例を説明する図である。
【図5】本発明の電子写真現像方法を用いた画像形成方法を実行するのに適した画像形成装置の他の1例を説明する図である。
【図6】本発明のプロセスカートリッジの一例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の静電潜像現像剤用キャリア(以下、単にキャリアともいう)は、磁性を有する芯材粒子とその表面を被覆する樹脂層とからなる。
【0017】
本発明は、上記のように、(1)
磁性を有する芯材粒子と該芯材粒子表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、下記構造を有する共重合体を被覆して、しかる後に加熱処理して得られたことを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
即ち、本発明のキャリアは、下記A部分(及びそのためのモノマーA成分;以下同じ)、下記B部分(及びそのためのモノマーB成分;以下同じ)、および下記C部分(及びそのためのモノマーC成分;以下同じ)をラジカル共重合して得られるアクリル系共重合体を被覆した後、加熱処理して得られる静電潜像現像用キャリアである。
【0018】
【化5】

(式中において、R、m、R、R、X、Y、及びZは以下に該当するものを示す。)
: 水素原子、またはメチル基
m:炭素原子数1〜8のメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基
:炭素原子数1〜4のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びブチル基等のアルキル基
は、炭素数1〜8のメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、及びブチル基等のアルキル基、または炭素数1〜4のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基
【0019】
A部分(及びそのためのモノマーA成分):
【0020】
【化6】

前式中、
: 水素原子、またはメチル基
m:炭素原子数1〜8のメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、
:炭素原子数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基
【0021】
A部分(及びモノマーA成分)において、X=10〜40モル%であり、より好ましくは、15〜30モル%である。
A部分(モノマーA成分)は、側鎖にメチル基が多数存在する原子団・トリス(トリメチルシロキシ)シランを有しており、樹脂全体に対してA部分(モノマーA成分)の比率が高くなると表面エネルギーが小さくなり、トナーの樹脂成分、ワックス成分などの付着が少なくなる。A部分(モノマーA成分)が10モル%未満だと十分な効果が得られず、トナー成分の付着が急増する。また、40モル%より多くなると、B部分(モノマーB成分)、およびC部分(モノマーC成分)が減り、架橋が進まず、強靭性が不足すると共に、芯材と樹脂層の接着性が低下し、キャリア被膜の耐久性が悪くなる。
【0022】
は炭素原子数1〜4のアルキル基であり、このようなA部分を生じるモノマーA成分としては、次式で示されるトリス(トリアルキルシロキシ)シラン化合物が例示される。
下式中、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはプロピル基である。
CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe
CH=CH−COO−C−Si(OSiMe
CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe
CH=CMe−COO−C−Si(OSiEt
CH=CH−COO−C−Si(OSiEt
CH=CMe−COO−C−Si(OSiEt
CH=CMe−COO−C−Si(OSiPr
CH=CH−COO−C−Si(OSiPr
CH=CMe−COO−C−Si(OSiPr
【0023】
A部分のためのモノマー成分Aの製造方法は特に限定されないが、トリス(トリアルキルシロキシ)シランを白金触媒の存在下にアリルアクリレートまたはアリルメタクリレートと反応させる方法や、特開平11−217389号公報に記載されている、カルボン酸と酸触媒の存在下で、メタクリロキシアルキルトリアルコキシシランとヘキサアルキルジシロキサンとを反応させる方法などにより得られる。
【0024】
B部分(及びモノマーB成分/前駆体モノマーB):(架橋成分)
【0025】
【化7】

前式中、
: 水素原子、またはメチル基
m:炭素原子数1〜8のメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基。
:炭素原子数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基
は、炭素数1〜8のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基など)、又は炭素数1〜4のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基)。
即ち、B部分のためのモノマーB成分(前駆体を含む)は、ラジカル重合性の2官能(Rがアルキル基の場合)、又は3官能性(Rもアルコキシ基の場合)のシラン化合物であり、Y=10〜40モル%であるが、より好ましくは10〜35モル%である。
B成分が10モル%未満だと、強靭さが十分得られない。一方、40モル%より多いと、被膜は固くて脆くなり、膜削れが発生し易くなる。また、環境特性が悪化する。加水分解した架橋成分がシラノール基として多数残り、環境特性(湿度依存性)を悪化させていることも考えられる。
【0026】
このようなモノマーB成分としては、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリトキシプロピルトリ(イソプロペキシ)シラン、3−アクリロキシプロピルトリ(イソプロペキシ)シランが例示される。
【0027】
被膜の架橋による高耐久化技術としては、特許第3691115号公報がある。特許第3691115号公報には、磁性粒子表面を、少なくとも末端にビニル基を有するオルガノポリシロキサンとヒドロキシル基、アミノ基、アミド基およびイミド基からなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有するラジカル共重合性単量体との共重合体をイソシアネート系化合物により架橋させた熱硬化性樹脂で被覆した静電荷像現像用キャリアが記載されているが、被膜の剥がれ・削れにおいて十分な耐久性が得られていないのが現状である。
【0028】
その理由は十分明らかになっているとは言えないが、前述の共重合体をイソシアネート系化合物により架橋させた熱硬化性樹脂の場合、構造式からも分かるように、共重合体樹脂中のイソシアネート化合物と反応(架橋)する単位重量当りの官能基(アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキル基、メルカプト基等の活性水素含有基)が少なく、架橋点において、ニ次元、あるいは三次元的な緻密な架橋構造を形成することができない。そのために長時間使用すると、被膜剥がれ・削れなどが生じ(被膜の耐磨耗性が小さく)易く、十分な耐久性が得られていないと推察される。
被膜の剥がれ・削れが生じると、キャリア抵抗低下による画像品質の変化、キャリア付着が起こる。また、被膜の剥がれ・削れは、現像剤の流動性を低下させ、汲み上げ量低下を引き起こし、画像濃度低下、TCアップに伴う時汚れ、トナー飛散の原因となっている。
本発明は樹脂単位重量当たりでみても、二官能、あるいは三官能の架橋可能な官能基(点)を多数(重量当り、2倍〜3倍多い)有した共重合樹脂であり、これを更に、縮重合により架橋させたものであるため、被膜が極めて強靭で削れ難く、高耐久化が図られていると考えられる。
また、イソシアネート化合物による架橋より、本発明のシロキサン結合による架橋の方が結合エネルギーが大きく熱ストレスに対しても安定しているため、被膜の経時安定性が保たれていると推察される。
【0029】
C部分(及びモノマーC成分):(アクリル成分)
【0030】
【化8】

前式中、
: 水素原子、またはメチル基
:炭素原子数1〜4の脂肪族炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基であるアクリロイル基、またはメタアクリロイル基を有するラジカル重合性アクリル系化合物であり、Z=30〜80モル%である。更に好ましくは、35〜75モル%である。
かつ、60モル%<Y+Z<90モル%であり、更に好ましくは、70モル%<Y+Z<85モル%である。
即ち、Xは10〜40モル%である。
C部分は、被膜に可とう性を付与し、かつ、芯材と被膜との接着性を良好にしている。
C部分(モノマーC成分)が30モル%未満だと十分な接着性が得られず、80モル%より大きくなると、X、およびYのいずれかが10以下となるため、キャリア被膜の撥水性、硬さと可とう性(膜削れ)を両立させることが難しくなる。
【0031】
C部分のためのモノマーC成分のアクリル系化合物(モノマー)としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルが好ましく、具体的には、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ブチルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルメタクリレート、3−(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルメタクリレート、2−(ジエチルアミノ)エチルアクリレートが例示される。これらの内ではアルキルメタクリレートが好ましく、特にメチルメタクリレートが好ましい。また、これらの化合物の1種類を単独で使用してもよく、2種類以上の混合物を使用してもよい。
【0032】
本発明のキャリアの被膜を構成する重合体は、A成分、B成分およびC成分の各モノマーをラジカル共重合して得られたアクリル系共重合体であり、さらに加熱処理により架橋成分Bを縮重合させて得られたものである。
【0033】
通常、分子量の大きな樹脂は粘度が非常に高く、粒径の小さなコアに塗布する場合、粒子の凝集、被膜の不均一化などが生じ易く、コートキャリアを製造することが極めて難しい。
従って、本発明の共重合樹脂は、重量平均分子量が5,000〜100,000が好ましい。より好ましくは、10,000〜70,000である。5,000より小さいと、被膜の強度が不足し、100,000であると、液粘度が高くなり、キャリア製造性が悪くなる。
そこで、本発明では、表面エネルギーが小さく、トナー成分が付着し難い比較的分子量の小さな樹脂を塗布し、シラン系の架橋成分で架橋させることによって、実質的に分子量の極めて大きな被膜を形成することによって、被膜削れ/剥がれが少なく、かつトナースペントが少ないキャリアを得ることができた。
【0034】
(2)
本発明はまた、シラノール基、及び/又は加水分解によりシラノ−ル基を生成することが可能な官能基を有するシリコーン樹脂を被覆して、しかる後に加熱処理して得られたことを特徴とする(1)記載の静電潜像現像剤用キャリアを包含する。
【0035】
この点について説明すると、シラノール基、及び/又は加水分解によりシラノ−ル基を生成することが可能な官能基(例えば、アルコキシ基やSi原子に結合するハロゲノ基等の陰性基)を有するシリコーン樹脂は、前記(1)記載の樹脂における架橋成分Bと直接的に、あるいはシラノール基に変化した状態の架橋成分Bと縮重合することができる。そして、前記(1)に、シリコーン樹脂成分(B)を含有させることにより、トナースペント性を更に改善される。
【0036】
本発明において、被覆層を形成する際に用いられるシラノール基、及び/又は加水分解によりシラノ−ル基を生成することが可能な官能基を有するシリコーン樹脂は、下記一般式(I)で示される繰り返し単位の少なくとも一つを含有することが好ましい。
【0037】
【化9】

【0038】
ここで、上記式(I)中、Aは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メトキシ基、炭素数1〜4の低級アルキル基、またはアリール基(フェニル基、トリル基など)であり、Aは炭素数1〜4のアルキレン基、またはアリーレン基(フェニレン基など)である。
【0039】
上記式のアリール基において、その炭素数は6〜20、好ましくは6〜14である。このアリール基には、ベンゼン由来のアリール基(フェニル基)の他、ナフタレンやフェナントレン、アントラセン等の縮合多環式芳香族炭化水素由来のアリール基及びビフェニルやターフェニル等の鎖状多環式芳香族炭化水素由来のアリール基等が包含される。なお、アリール基は、各種の置換基で置換されていてもよい。
【0040】
アリーレン基の炭素数は、6〜20、好ましくは6〜14である。このアリーレン基としては、ベンゼン由来のアリーレン基(フェニレン基)の他、ナフタレンやフェナントレン、アントラセン等の縮合多環式芳香族炭化水素由来のアリーレン基及びビフェニルやターフェニル等の鎖状多環式芳香族炭化水素由来のアリーレン基等が包含される。なお、アリーレン基は、各種の置換基で置換されていてもよい。
【0041】
本発明に使用できるシリコーン樹脂の市販品としては、特に限定されないが、KR251、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152、KR155、KR211、KR216、KR213(以上、信越シリコーン社製)、AY42−170、SR2510、SR2400、SR2406、SR2410、SR2405、SR2411(東レ・ダウコーニング株式会社製)(東レ・シリコーン社製)等が挙げられる。
【0042】
上述のように、種々のシリコーン樹脂が使用可能であるが、中でも、メチルシリコーン樹脂は、低トナースペント性、帯電量の環境変動が小さいことなどの理由から特に好ましい。
シリコーン樹脂の重量平均分子量としては、1000〜100,000、好ましくは、1000〜30000程度である。用いる樹脂の分子量が100,000より大きい場合、塗布時に塗布液の粘度が上昇しすぎ、塗膜の均一性が十分得られなかったり、硬化後に樹脂被膜の密度が十分上がらない場合がある。1000より小さいと硬化後の樹脂被膜がもろくなるなどの不具合が生じやすい。
【0043】
シリコーン樹脂の含有比率としては、前記(1)項記載の樹脂に対して、5重量%〜80重量%、好ましくは、10重量%〜60重量%である。
5重量%より少ないとスペント性などの改良効果が得られず、80重量%より多いと被膜の強靭性が不足して、被膜削れし易くなる。
また、本発明では、フィラーの分散性向上、およびトナー帯電量調整などのために、シランカップリング剤を用いることも可能である。
特に、シリコーン樹脂に対しては、トナー帯電量調整のため、以下に示すアミノシランカップリング剤を適量(0.001〜30重量%)含有させることが有効である。
【0044】
アミノシランカップリング剤としては、以下のようなものが挙げられる。
N(CHSi(OCH MW 179.3
N(CHSi(OC MW 221.4
NCHCHCHSi(CH(OC) MW 161.3
NCHCHCHSi(CH)(OC MW 191.3
NCHCHNHCHSi(OCH MW 194.3
NCHCHNHCHCHCHSi(CH)(OCH MW 206.4
NCHCHNHCHCHCHSi(OCH MW 224.4
(CHNCHCHCHSi(CH)(OC MW 219.4
(CNCSi(OCH MW 291.6
【0045】
前記(1)、および(2)の縮合反応を促進するためには、下記の化合物を添加することがより好ましい。
縮合反応促進触媒は、アルコキシシリル基同士やアルケニロキシシリル基同士、あるいはアルコキシシリル基とシラノ−ル基を縮合させて架橋させるものである。
【0046】
有機スズ化合物、有機チタネート化合物、有機ジルコニウム化合物、および有機アルミニウム化合物などを使用することができる。
【0047】
具体的には、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジマレート、ジオクチルスズジラウレート、ジオクチルスズジマレート、オクチル酸スズなどの有機スズ化合物;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)、チタンテトラノルマルブトキシド、チタンジイソプロポキシビス(トリエタノールアミネート)、テトラアルキルチタネートなどの有機チタネート化合物;テトラブチルジルコネート、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトライソブチルジルコネート、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ブトキシトリス(アセチルアセトナート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物が例示される。
縮合触媒の配合量は、通常、樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲が好ましい。
【0048】
(3)
本発明においてはさらに、前記(1)項または(2)項記載の樹脂をキャリア芯材に被覆した後、使用する芯材粒子のキューリー点未満の温度、好ましくは130〜300℃の温度で熱処理することにより、縮合による架橋反応が促進される。
より好ましい熱処理温度は、150〜250℃である。
130℃より低いと、縮合による架橋反応が進まず、十分な被膜強度が得られない。
一方、300℃より高い温度になると、前記(1)記載の樹脂が炭化してくる等の理由のため、被膜が削れ易くなる。
【0049】
(4)
本発明のキャリアは、下記一般式で表されるフェライト芯材粒子と該粒子表面を被覆する樹脂層とからなり、重量平均粒径Dwが22〜90μmであり、より好ましくは22〜45μm、更に好ましくは22〜35μmの範囲である。
重量平均粒径Dwが前記範囲よりも大きいと、キャリア付着がより起こりにくくなるが、潜像に対してトナーが忠実に現像されなくなって、ドット径のバラツキが大きくなり粒状性が低下する。また、トナー濃度が高いと地汚れし易くなる。
前記キャリア付着は、静電潜像の画像部又は地肌部にキャリアが付着する現象を示す。
それぞれの電界が強いほどキャリア付着し易い。画像部は、トナー現像されることにより電界が弱められるため、地肌部に比べ、キャリア付着は起こり難い。
【0050】
本発明においてキャリア、キャリア芯材及びトナーに関して言う重量平均粒径Dwは、個数基準で測定された粒子の粒径分布(個数頻度と粒径との関係)に基づいて算出されたものである。
この場合の重量平均粒径Dwは次式で表わされる。
【0051】
【数1】

前式中、Dは各チャネルに存在する粒子の代表粒径(μm)を示し、nは各チャネルに存在する粒子の総数を示す。なお、チャネルとは、粒径分布図における粒径範囲を測定幅単位に分割するための長さを示すもので、本発明の場合には、2μmの等分長さ(粒径分布幅)を採用した。
【0052】
また、各チャネルに存在する粒子の代表粒径としては、各チャネルに保存する粒子粒径の下限値を採用した。
【0053】
本発明において粒径分布を測定するための粒度分析計としては、マイクロトラック粒度分析計(モデルHRA9320−X100:Honewell社製)を用いた。
その測定条件は以下のとおりである。
[1]粒径範囲:100〜8μm
[2]チャネル長さ(チャネル幅):2μm
[3]チャネル数:46
[4]屈折率:2.42
【0054】
本発明のキャリアを構成する芯材粒子の材料としては、従来公知の各種の磁性材料が用いられる。本発明で用いるキャリア芯材粒子において、1000エルステッド(Oe)の磁場を印加したときのその磁気モーメントは、40emu/g以上、好ましくは50emu/g以上である。その上限値は特に制約されないが、通常、150emu/g程度である。キャリア芯材粒子の磁気モーメントが前記範囲よりも小さくなると、キャリア付着が生じやすくなるので好ましくない。
【0055】
前記磁気モーメントは、以下のようにして測定することができる。B−Hトレーサー(BHU−60/理研電子(株)製)を使用し、円筒のセルにキャリア芯材粒子1.0gを詰めて装置にセットする。磁場を徐々に大きくし3000エルステッドまで変化させ、次に徐々に小さくして零にした後、反対向きの磁場を徐々に大きくし3000エルステッドとする。更に徐々に磁場を小さくして零にした後、最初と同じ方向に磁場をかける。このようにして、B−Hカーブを図示し、その図より1000エルステッドの磁気モーメントを算出する。
【0056】
1000エルステッドの磁場を印加したときの磁気モーメントが40emu/g以上となる芯材粒子としては、例えば、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライトなどが挙げられる。この場合、フェライトとは一般に次式で表される焼結体である。
【0057】
【化10】

但し、x+y+z=100mol%であって、M、Nはそれぞれ、Ni、Cu、Zn、Li、Mg、Mn、Sr、Caなどでの金属原子あり、2価の金属酸化物と3価の鉄酸化物との完全混合物から構成されている。本発明においてより好ましく用いられる1000エルステッドの磁場を印加したときの磁気モーメントが50emu/g以上の芯材粒子としては、例えば、鉄系、マグネタイト系、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Srフェライト、Mn系フェライトなどの磁性体粒子が挙げられる。
【0058】
また、本発明のキャリア芯材としては、磁性粉をフェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂など公知の樹脂中に分散した形態を持つ、所謂樹脂分散キャリアであることができる。
【0059】
(5)キャリア被膜の強度アップ、および抵抗調整のために、被覆樹脂層にフィラーを含有させることが有効である。
被覆層中に含有させるフィラーの含有量として樹脂に対して2〜500重量%が好ましく、より好ましくは5〜400重量%の範囲である。含有量は用いる微粒子の粒子径、比表面積によって、適切に選ばれるが、2重量%未満では被覆層の耐摩耗効果が発現しにくく、500重量%を超えると、微粒子の脱離が生じやすくなる。
【0060】
使用することができるフィラーの例としては、以下に記載の、導電性ZnO、Al等の金属又は金属酸化物粉、シリカ、アルミナ、酸化チタン、種々の方法で調製されたSnO又は種々の元素をドープしたSnO、TiB、ZnB、MoB等のホウ化物、炭化ケイ素、ポリアセチレン、ポリパラフェニレン、ポリ(パラ−フェニレンスルフィド)、ポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子、ファーネスブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。
【0061】
これらのフィラーは、以下の方法、即ち、コーティングに使用する溶媒、あるいは被覆用樹脂溶液にフィラーを投入後、ボールミル、ビーズミルなどメディアを使用した分散機、あるいは高速回転する羽根を備えた攪拌機を使用することによって均一に分散することができる。
また、フィラーの分散性向上などのために、各種分散剤、及び/またはシランカップリング剤を適量含有させることも可能である。
【0062】
キャリア芯材粒子表面に被膜を形成するための方法としては、スプレードライ法、浸漬法、あるいはパウダーコーティング法など公知の方法が使用できる。
特に、流動床型コーティング装置を用いる方法は、均一な塗付膜を形成するのに有効である。
キャリア芯材粒子表面上に形成する樹脂層の厚みは、通常0.02〜3.0μm、好ましくは0.03〜1.0μmである。
【0063】
[被覆層の平均膜厚の計測法]
透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、キャリアの断面を観察して、被覆層の平均膜厚を測定した。
【0064】
(6)
本発明のキャリア、印加電圧1000V/2mmにおいて、電気抵抗LogR(Ωcm)は、9.0〜16.0、より好ましくは10.0〜15.0である。
キャリア抵抗を制御することによって、エッジ効果を抑えた、文字部などの細線の再現性が良い色汚れのない高精細な画像が得られる。
【0065】
LogR(Ωcm)が9.0(Ωcm)未満はキャリア付着悪化、16.0(Ωcm)より高いと後端白抜けなどの画像品質劣化が生じやすい。
キャリアの抵抗率が9.0よりも低いと、現像ギャップ(感光体と現像スリーブ間の最近接距離)が狭くなった場合、キャリアに電荷が誘導されてキャリア付着が発生し易くなる。感光体の線速度、および、現像スリーブの線速度が大きい場合、悪化の傾向が見られる。また、ACバイアスを印加する場合は顕著である。通常、カラートナー現像用キャリアは充分なトナー付着量を得るため、低抵抗のものが使用されることが一般的である。
上記の抵抗範囲のキャリアは、適正なトナー帯電量のもとで使用することにより、充分な画像濃度が得られる。
また、16.0より大きいとトナーと反対極性の電荷が溜まりやすくなり、キャリアが帯電してキャリア付着が起き易くなる。
上記キャリア抵抗率は、次の方法により、測定することができる。
【0066】
図1に示すように、電極間距離2mm、表面積2×4cmの電極(12a)、(12b)を収容したフッ素樹脂製容器からなるセル(11)にキャリア(13)を充填し、両極間に1000Vの直流電圧を印加し、ハイレジスタンスメーター4329A(4329A+LJK 5HVLVWDQFH OHWHU;横川ヒューレットパッカード株式会社製)にて直流抵抗を測定し、電気抵抗率LogR・Ωcmを算出する。
キャリア抵抗測定の際の充填の度合いは、キャリアをセルにあふれるまで入れたのち、セル全体を20回タッピングしたのち、セルの上面を非磁性でできた水平なへらを用いてセルの上端に沿って一回の操作で平らにかきとる。充填の際に加圧は不要である。
【0067】
上記キャリアの抵抗率の調整は、芯材粒子上の被覆樹脂の抵抗調整、膜厚の制御、および被覆樹脂層へ導電性微粉末を含有させることによって可能である。
【0068】
(7)
本発明の現像剤はトナーとキャリアからなり、キャリアとして、(1)乃至(6)のいずれかに記載のキャリアが用いられる。
本発明に使用されるトナーは、熱可塑性樹脂を主成分とするバインダー樹脂中に、着色剤、微粒子、そして帯電制御剤、離型剤等を含有させたものであり、従来公知の各種のトナーを用いることができる。このトナーは、重合法、造粒法などの各種のトナー製法によって作成された不定形または球形のトナーであることができる。また、磁性トナー及び非磁性トナーのいずれも使用可能である。
【0069】
トナーのバインダー樹脂としては以下のものを、単独あるいは混合して使用できる。
スチレン系バインダー樹脂として、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体;アクリル系バインダーとして、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレートが挙げられ、その他、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。
【0070】
また、ポリエステル樹脂は、スチレン系やアクリル系樹脂に比して、トナーの保存時の安定性を確保しつつ、より溶融粘度を低下させることが可能である。このようなポリエステル樹脂は、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応によって得ることができる。
アルコール成分としては、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノーAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単位体、その他の2価のアルコール単位体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエスリトール、ジペンタエスリトール、トリペンタエスリトール、蔗糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の三価以上の高アルコール単量体を挙げることができる。
【0071】
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸成分としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステルと、リノレイン酸からの二量体酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体酸、これら酸の無水物等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0072】
エポキシ系樹脂としては、ビスフェノールAとエポクロルヒドリンとの重縮合物等があり、例えば、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(以上、三井石油化学工業(株)製)、エポトートYD−011、YD−012、YD−014、YD−904、YD−017、(以上、東都化成(株)製)エポコ−ト1002、1004、1007(以上、シェル化学社製)等の市販のものが挙げられる。
【0073】
本発明に使用される着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、ハンザイエローG、ローダミン6Gレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、染顔料など、従来公知の染顔料を単独あるいは混合して使用し得る。
【0074】
また、トナーに磁性体を含有させて磁性トナーとすることも可能である。磁性体としては、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Znフェライト、Baフェライトなどの微粉末が使用できる。
【0075】
トナーの摩擦帯電性を充分に制御する目的で、いわゆる帯電制御剤、例えばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸およびその塩、サリチル酸、ナフトエ塩、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミノ化合物、第4級アンモニウム化合物、有機染料などを含有させることができる。
【0076】
さらにまた、本発明で用いるトナーには必要に応じて離型剤を添加してもよい。
離型剤材料としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、カルナウバワックス、マイクロクリスタリンワックス、ホホバワックス、ライスワックス、モンタン酸ワックス等を単独または混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。
【0077】
トナーには、添加剤を添加することができる。良好な画像を得るためには、トナーに充分な流動性を付与することが肝要である。これには、一般に流動性向上材として疎水化された金属酸化物の微粒子や、滑剤などの微粒子を外添することが有効であり、金属酸化物、有機樹脂微粒子、金属石鹸などを添加剤として用いることが可能である。これら添加物の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂、ステアリン酸亜鉛のごとき滑剤や、酸化セリウム、炭化ケイ素などの研磨剤;例えば表面を疎水化したSiO、TiO等の無機酸化物などの流動性付与剤;ケーキング防止剤として知られるもの、および、それらの表面処理物などが挙げられる。トナーの流動性を向上させるためには、特に、疎水性シリカが好ましく用いられる。
【0078】
(8)
本発明のトナーとキャリアとからなる静電潜像現像剤で用いるトナーは、その重量平均粒径は3.0〜9.0μm、より好ましくは3.0〜6.0μmである。
【0079】
キャリアに対するトナーの割合は、キャリア100重量部当り、トナー2〜50重量部、好ましくは2〜25重量部、より好ましくは3〜20重量部の割合である。
なお、トナー粒径はコールターマルチサイザーII(コールターカウンター社製)を用いて測定した。
【0080】
トナーとキャリアとからなる現像剤において、キャリアが(1)〜(6)のいずれかに記載のキャリアであり、
トナーの帯電量は、好ましくは10〜60μc/g、より好ましくは15〜50μc/gである。
帯電量が10μc/gより低いと、地汚れ、およびトナー飛散が多くなる。また、60μc/gより大きいとキャリア付着が起き易くなる。
【0081】
現像剤の帯電量は以下の方法で測定することができる。これを図2に示す。
一定量の現像剤を、両端に金属メッシュを備えた導体容器(ケージ)に入れる。メッシュ(ステンレス製)の目開きはトナーとキャリアの粒径の中間のもの(目開き20μm)選び、トナーがメッシュの間を通過するように設定する。ノズルから圧縮窒素ガス(1kgf/cm)を60秒間吹き付けて、トナーをゲージの外へ飛び出させると、ケージ内にトナーの電荷と逆極性を持ったキャリアが残される。
その電荷量Qと、飛び出したトナーの質量Mを測定し、単位質量当たりの電荷量を帯電量Q/Mとして算出する。トナー帯電量はμc/gで表示される。
【0082】
(10)
本発明において、重量平均粒径9μm以下のトナーと、前記(1)〜(6)のいずれかのキャリアからなる現像剤を使用した静電潜像現像方法によって、特に粒状性が良くなり、更に高画質化が達成される。
【0083】
前記(11)〜(14)について、以下に説明する。
[上記電圧印加された現像スリーブ使用の現像方法及び現像装置について]
キャリアとして、前記(1)〜(6)のいずれかに記載のキャリアを用い、トナーの重量平均粒径が3.0〜9.0μm、好ましくは3.0〜6.0μmを用い、かつ、現像スリーブと感光体の距離が0.4mm以下であり、かつ現像バイアスとして交流電圧を印加することを特徴とする電子写真現像方法、及び現像装置により、キャリア付着の少ない、高画質を得ることができる。
【0084】
本発明の現像方法は、前記した本発明のキャリア、トナー、および現像剤を用いて静電潜像を現像する方法である。該方法においては、外部から印加する現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳させた交流電圧を印加すると、充分な画像濃度が得られる。特に、ハイライトの粒状性が良好となる。
【0085】
更に、現像バイアスとして、直流電圧のみを印加すると、キャリア付着、エッジ効果が大幅に改善され、また、地汚れ対する余裕度が大きくなるため、キャリアに対するトナー被覆率を上げられること、またトナー帯電量、および現像バイアスを下げることが可能となり、画像濃度アップを図ることができるので好ましい。
【0086】
[プロセスカートリッジについて]
なお、感光体と、この感光体の表面を帯電させる帯電ブラシと、前記感光体の表面に形成される静電潜像を前記のキャリア、および現像剤を用いて現像する現像部と、前記感光体の表面に残存する現像剤を払拭するブレードとを具備することを特徴とするプロセスカートリッジとして電子写真システムに採用することができた。
【0087】
次に、図面により本発明の電子写真現像方法ならびに電子写真現像装置の例を詳しく説明するが、これらの例は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するためのものではない。
図3は、本発明の電子写真現像方法および現像装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図3において、潜像担持体である感光体ドラム(20)に対向して配設された現像装置(40)は、現像剤担持体としての現像スリーブ(41)、現像剤収容部材(42)、規制部材としてのドクターブレード(43)、支持ケース(44)等から主に構成されている。
感光体ドラム(20)側に開口を有する支持ケース(44)には、内部にトナー(21)を収容するトナー収容部としてのトナーホッパー(45)が接合されている。トナーホッパー(45)に隣接した、トナー(21)とキャリア粒子(23)とからなる現像剤を収容する現像剤収容部(46)には、トナー粒子(21)とキャリア粒子(23)を撹拌し、トナー粒子に摩擦/剥離電荷を付与するための、現像剤撹拌機構(47)が設けられている。
【0088】
トナーホッパー(45)の内部には、図示しない駆動手段によって回動されるトナー供給手段としてのトナーアジテータ(48)及びトナー補給機構(49)が配設されている。
トナーアジテータ(48)及びトナー補給機構(49)は、トナーホッパー(45)内のトナー(21)を現像剤収容部(46)に向けて撹拌しながら送り出す。
感光体ドラム(20)とトナーホッパー(45)との間の空間には、現像スリーブ(41)が配設されている。図示しない駆動手段で図の矢印方向に回転駆動される現像スリーブ(41)は、キャリア粒子(23)による磁気ブラシを形成するために、その内部に現像装置(40)に対して相対位置不変に配設された、磁界発生手段としての図示しない磁石を有する。
現像剤収容部材(42)の、支持ケース(44)に取り付けられた側と対向する側には、規制部材(ドクターブレード)(43)が一体的に取り付けられている。規制部材(ドクターブレード)(43)は、この例では、その先端と現像スリーブ(41)の外周面との間に一定の隙間を保った状態で配設されている。
【0089】
このような装置を非限定的に用い、本発明の現像方法は、次のように遂行される。即ち、上記構成により、トナーホッパー(45)の内部からトナーアジテータ(48)、トナー補給機構(49)によって送り出されたトナー(21)は、現像剤収容部(46)へ運ばれ、現像剤撹拌機構(47)で撹拌されることによって、所望の摩擦/剥離電荷が付与され、キャリア粒子(23)と共に現像剤として、現像スリーブ(41)に担持されて感光体ドラム(20)の外周面と対向する位置まで搬送され、トナー(21)のみが感光体ドラム(20)上に形成された静電潜像と静電的に結合することにより、感光体ドラム(20)上にトナー像が形成される。
【0090】
図4はこのような現像装置を有する画像形成装置の一例を示す断面図である。ドラム状の像担持体すなわち感光体ドラム(20)の周囲に、像担持体帯電部材(32)、像露光系(33)、現像(装置)機構(40)、転写機構(50)、クリーニング機構(60)、除電ランプ(70)が配置されていて、この例の場合、像担持体帯電部材(32)の表面は感光体(20)の表面とは約0.2mmの間隙を置いて非接触状態にあり、帯電用部材(32)により感光体(20)に帯電を施す際、帯電部材(32)に図示してない電圧印加手段によって直流成分に交流成分を重畳した電界により感光体に帯電を与えることにより、帯電ムラを低減することが可能であり、効果的である。現像方法を含む画像形成方法は、以下の動作で行なわれる。
【0091】
画像形成の一連のプロセスは、ネガ−ポジプロセスで説明を行なうことができる。有機光導電層を有する感光体(OPC)に代表される像担持体(20)は除電ランプ(70)で除電され、帯電チャージャや帯電ローラといった帯電部材(32)で均一にマイナスに帯電され、レーザー光学系(33)より照射されるレーザー光で潜像形成(この例では露光部電位の絶対値は、非露光部電位の絶対値より低電位となる)が行なわれる。
【0092】
レーザー光は半導体レーザーから発せられて、高速で回転する多角柱の多面鏡(ポリゴン)等により像担持体すなわち感光体(20)の表面を、像担持体(20)の回転軸方向に走査する。このようにして形成された潜像が、現像装置、現像手段又は現像装置(40)にある現像剤担持体である現像スリーブ(41)上に供給されたトナー粒子及びキャリア粒子の混合物からなる現像剤により現像され、トナー可視像が形成される。潜像の現像時には、電圧印加機構(図示せず)から現像スリーブ(41)に、像担持体(20)の露光部と非露光部の間に、ある適当な大きさの電圧またはこれに交流電圧を重畳した現像バイアスが印加される。
【0093】
一方、転写媒体(例えば紙)(80)が、給紙機構(図示せず)から給送され、上下一対のレジストローラ(図示せず)で画像先端と同期をとって像担持体(20)と転写部材(50)との間に給送され、トナー像が転写される。このとき、転写部材(50)には、転写バイアスとして、トナー帯電の極性と逆極性の電位が印加されることが好ましい。その後、転写媒体または中間転写媒体(80)は像担持体(20)より分離され、転写像が得られる。
また、像担持体上に残存するトナー粒子は、クリーニング部材としてのクリーニングブレード(61)にて、クリーニング機構(60)内のトナー回収室(62)へ回収される。
回収されたトナー粒子は、トナーリサイクル手段(図示せず)により現像部および/またはトナー補給部に搬送され、再使用されても良い。
画像形成装置は、上述の現像装置を複数配置し、転写媒体上へトナー像を順次転写した後、定着機構へ送り、熱等によってトナーを定着する装置であっても良く、一端中間転写媒体上へ複数のトナー像を転写し、これを一括して転写媒体に転写後同様の定着を行なう装置であっても良い。
【0094】
図5には、本発明による電子写真現像方法を用いた別のプロセス例を示す。感光体(20)は導電性支持体上に少なくとも感光層が設けてなり、駆動ローラ(24a)、(24b)により駆動され、帯電ローラ(32)による帯電、光源(33)による像露光、現像装置(40)による現像、帯電器(50)を用いる転写、光源(26)によるクリーニング前露光、ブラシ状クリーニング手段(64)及びクリーニングブレード(61)によるクリーニング、除電光源(70)による除電が繰返し行なわれる。図5においては、感光体(20)(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0095】
図6には、本発明のプロセスカートリッジの1例が示される。このプロセスカートリッジは、本発明のキャリアを使用し、感光体(20)と、近接型のブラシ状接触帯電手段(32)、本発明の現像剤を収納する現像手段(40)、クリーニング手段としてのクリーニングブレード(61)を少なくとも有するクリーニング手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジである。本発明においては、上述の各構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このプロセスカートリッジを複写機やプリンタ等の画像形成装置本体に対して着脱可能に構成することができる。
【0096】
前記(9)の補給用現像剤について、さらに詳細に説明する。
本願発明のキャリアを、キャリアとトナーから成る補給用現像剤とし、現像装置内の余剰の現像剤を排出しながら画像形成を行う画像形成装置に適用することで、極めて長期に亘って安定した画像品質が得られる。つまり、現像装置内の劣化したキャリアと、補給用現像剤中の劣化していないキャリアを入れ替えることによって、長期間に渡ってキャリア特性、および現像剤帯電量を安定に保ち、高品質画像が維持することが出来る。本方式は、特に高画像面積を印字する時に有効である。高画像面積の作像時は、キャリアへのトナースペントによるキャリアの帯電劣化が生じ易い。本方式を用いると高画像面積時に、キャリア補給量も多くなるため、劣化したキャリアが入れ替わる頻度が上がる。これにより、極めて長期間に渡って安定した画像が得られる。
補給用現像剤の混合比率は、キャリア1質量部に対してトナーを2〜50質量部の配合割合とすることが好ましい。トナーが2質量部未満の場合には、補給キャリア量が多すぎ、キャリア供給過多となり現像装置中のキャリア濃度が高くなりすぎるため、現像剤の帯電量が増加しやすい。又、現像剤帯電量が上がる事により、現像能力が下がり画像濃度が低下してしまう。また50質量部を超えると、補給用現像剤中のキャリア割合が少なくなるため、画像形成装置中のキャリアの入れ替わりが少なくなり、キャリア劣化に対する効果が期待できなくなる。
【実施例】
【0097】
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、「部」は、重量部を表わす。
【0098】
(樹脂の合成例)
(共重合体の合成)
以下、本発明を実施例にて具体的に説明する。「部」は重量部を意味する。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて標準ポリスチレン換算で求めた。粘度は25℃でJIS−K2283に準じて測定した。また、不揮発分はコーティング剤組成物1gをアルミ皿に秤取り、150℃で1時間加熱した後の重量を測定して、次式に従って算出した。
不揮発分(%)=(加熱後の重量×100)/加熱前の重量
以下、本発明に使用する樹脂の合成例を示す。
【0099】
(樹脂合成例1)
撹拌機付きフラスコにトルエン300gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、
CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン84.4g(200ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン37.2g(150ミリモル)、メタクリル酸メチル65.0g(650ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は34,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。
このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.7mm/sであり、比重は0.91であった。
【0100】
(樹脂合成例2)
3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン37.2g(150ミリモル)を、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン 39g(150ミリモル)に替える以外は、合成例1と全く同じようにして、ラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は33,000であった。次いで、
このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。
このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.8mm/sであり、比重は0.91であった。
【0101】
(樹脂合成例3)
撹拌機付きフラスコにトルエン300gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン33.8g(80ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン37.2g(150ミリモル)、メタクリル酸メチル77.0g(770ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は36,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.8mm/sであり、比重は0.90であった。
【0102】
(樹脂合成例4)
撹拌機付きフラスコにトルエン400gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン181.5g(430ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン37.2g(150ミリモル)、メタクリル酸メチル42.0g(420ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は38,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.8mm/sであり、比重は0.92であった。
【0103】
(樹脂合成例5)
撹拌機付きフラスコにトルエン250gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン12.7g(30ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン49.6g(200ミリモル)、メタクリル酸メチル77.0g(770ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は34,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.6mm/sであり、比重は0.91であった。
【0104】
(樹脂合成例6)
撹拌機付きフラスコにトルエン250gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン57.0g(230ミリモル)、メタクリル酸メチル77.0g(770ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は39,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.9mm/sであり、比重は0.90であった。
【0105】
(樹脂合成例7)
撹拌機付きフラスコにトルエン350gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン63.3g(150ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン111.6g(450ミリモル)、メタクリル酸メチル40.0g(400ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は37,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.6mm/sであり、比重は0.91であった。
【0106】
(樹脂合成例8)
撹拌機付きフラスコにトルエン350gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン84.4g(200ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン12.4g(50ミリモル)、メタクリル酸メチル75.0g(750ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は34,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.7mm/sであり、比重は0.90であった。
【0107】
(樹脂合成例9)
撹拌機付きフラスコにトルエン350gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン105.5g(250ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、メタクリル酸メチル75.0g(750ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は39,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.8mm/sであり、比重は0.92であった。
【0108】
(樹脂合成例10)
攪拌器、コンデンサー、温度計、窒素導入管、滴下装置を備えた容量500mlのフラスコにMEK(メチルエチルケトン)を100部を仕込んだ。別に窒素雰囲気下80℃でMMA(メチルメタクリレート)を32.6部、HEMA(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)を2.5部、MPTS(オルガノポリシロキサン−1:3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン)を64.9部、V−40(和光純薬工業株式会社製)(1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル))を1部を MEK100部に溶解させて得られた溶液を2時間にわたり反応容器中に滴下し、5時間熟成させた。
この共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにMEK(メチルエチルケトン)で希釈した。
【0109】
(樹脂合成例11)
撹拌機付きフラスコにトルエン250gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH2=CMe−COO−C3H6−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン25.3g(60ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン14.9g(60ミリモル)、メタクリル酸メチル88.0g(880ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は32,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.9mm/sであり、比重は0.90であった。
【0110】
(樹脂合成例12)
撹拌機付きフラスコにトルエン450gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン156.1g(370ミリモル):サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン94.2g(380ミリモル)、メタクリル酸メチル25.0g(250ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。
滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は39,000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は9.0mm/sであり、比重は0.92であった。
【0111】
(合成例13)
撹拌機付きフラスコにトルエン500gを投入して、窒素ガス気流下で90℃まで昇温した。次いでこれに、CH=CMe−COO−C−Si(OSiMe (式中、Meはメチル基である。)で示される3−メタクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン211g(500ミリモル:サイラプレーン TM−0701T/チッソ株式会社製)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン124.0g(500ミリモル)、および、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.58g(3ミリモル)の混合物を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル0.06g(0.3ミリモル)をトルエン15gに溶解した溶液を加えて(2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリルの合計量0.64g=3.3ミリモル)、90〜100℃で3時間混合してラジカル共重合させてメタクリル系共重合体を得た。
得られたメタクリル系共重合体の重量平均分子量は35、000であった。次いで、このメタクリル系共重合体溶液の不揮発分が25重量%になるようにトルエンで希釈した。このようにして得られた共重合体溶液の粘度は8.5mm/sであり、比重は0.92であった。
【0112】
[キャリア製造実施例]
(キャリア製造例1)
合成例1で得られた重量平均分子量34,000のメタクリル系共重合体(100部)、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート4部を、トルエンで希釈して、固形分10wt%の樹脂溶液を得た。
芯材として重量平均粒径Dw=59.0μmのMnフェライト粒子を用いて、芯材表面において平均膜厚が0.20μmになるように、流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を各70℃に制御して塗布・乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて、180℃/2時間焼成し、キャリアAを得た。キャリアAは、体積固有抵抗LogRが15.5Ωcm、磁化は、62emu/gであった。
【0113】
(キャリア製造例2)
樹脂を、合成例2で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表1に示される特性のキャリアBを得た。
【0114】
【表1】

【0115】
(キャリア製造例3)
樹脂を、合成例3で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表1に示される特性のキャリアCを得た。
【0116】
(キャリア製造例4)
樹脂を、合成例4で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表1に示される特性のキャリアDを得た。
【0117】
(キャリア製造例5)
樹脂を、合成例5で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表1に示される特性のキャリアEを得た。
【0118】
(キャリア製造例6)
樹脂を、合成例6で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表1に示される特性のキャリアFを得た。
【0119】
(キャリア製造例7)
樹脂を、合成例7で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表
1に示される特性のキャリアGを得た。
【0120】
(キャリア製造例8)
樹脂を、合成例8で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表
1に示される特性のキャリアHを得た。
【0121】
(キャリア製造例9)
樹脂を、合成例9で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表
1に示される特性のキャリアIを得た。
【0122】
(キャリア製造例10)
樹脂合成例10で得られた樹脂に対して、架橋剤としてイソホロンジイソシアネート/トリメチロールプロパンアダクト(IPDI/TMP系:NCO%=6.1%)をOH/NCOモル比率が(OHは合成例10の樹脂中OH)1/1となるように調整した後MEKで希釈して固形比3重量%であるコート樹脂溶液を調合した。
芯材として重量平均粒径Dw=59.0μmのMnフェライト粒子を用いて、芯材表面において平均膜厚が0.20μmになるように、流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を各70℃に制御して塗布・乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて、160℃/1時間焼成し、キャリアJを得た。キャリアJは、体積固有抵抗LogRが15.7Ωcm、磁化は、62emu/gであった。
【0123】
(キャリア製造例11)
樹脂を、合成例11で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表1に示される特性のキャリアKを得た。
【0124】
(キャリア製造例12)
樹脂を、合成例12で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表1に示される特性のキャリアLを得た。
【0125】
(キャリア製造例13)
樹脂を、合成例13で得られた樹脂に替える以外は、キャリア製造例1と同様にして、表1に示される特性のキャリアMを得た。
【0126】
(キャリア製造例14)
2官能または3官能のモノマーから作成された重量平均分子量15,000のメチルシリコーンレジン(固形分25%)30部を加える以外は実施例1と全く同じ方法で、キャリア製造例14のキャリアNを得た。
【0127】
(キャリア製造例15)
焼成温度を100℃にする以外は、実施例1と全く同じ方法で、製造例15のキャリアを作成し、キャリアOを得た。
【0128】
(キャリア製造例16)
焼成温度を320℃にする以外は、実施例1と全く同じ方法で、製造例16のキャリアを作成し、キャリアPを得た。
【0129】
(キャリア製造例17)
キャリア芯材として、重量平均粒径29.6μmのMnフェライトを使用する以外は、実施例1と全く同じ方法で、製造例17のキャリアを作成し、キャリアQを得た。
【0130】
(キャリア製造例18)
合成例1で得られた重量平均分子量34,000のメタクリル系共重合体(100部)、平均粒径が0.2μmの導電性酸化スズ200部、触媒としてジルコニウムテトラアセチルアセトネート4部を、トルエンで希釈してビーズミルで1時間導電性酸化スズを分散させ、固形分10wt%の樹脂溶液を得た。
芯材として重量平均粒径Dw=59.0μmのMnフェライト粒子を用いて、芯材表面において平均膜厚が0.50μmになるように、流動床型コーティング装置を使用して、流動槽内の温度を各70℃に制御して塗布・乾燥した。
得られたキャリアを電気炉中にて、180℃/2時間焼成し、製造例18のキャリアを作成し、キャリアRを得た。キャリアRは、体積固有抵抗LogRが13.1Ωcm、磁化は、60emu/gであった。
【0131】
(トナー製造例1)
ポリエステル樹脂 100部
[重量平均分子量(Mw)18,000、
数平均分子量(Mn)4000、ガラス転移点(Tg)59℃、
軟化点;120℃]
離型剤:カルナウバワックス 5部
カーボンブラック(#44 三菱化学社製) 10部
含フッ素4級アンモニウム塩 4部
以上の各成分をヘンシェルミキサーにより十分混合し、2軸式押出し機にて溶融混練し、
混練物を圧延冷却した。放冷後カッターミルで粗粉砕し、ついでジェット気流式微粉砕機
で微粉砕し、さらに風力分級機を用いて分級して、重量平均粒径7.4μmのトナー母体粒子を得た。
更に、このトナー母体粒子100部に対して、疎水性シリカ微粒子(R972:日本アエロジル社製)1.0部を加え、ヘンシェルミキサーで混合して、トナーIを得た。
【0132】
(トナー製造例2)
重量平均粒径を5.2μm、疎水性シリカ微粒子(R972:日本アエロジル社製)を1.42部とする以外はトナー製造例1と全く同様にして、トナーIIを得た。
【0133】
(現像剤の特性)
以上のトナー製造例1及び2で得たトナーI及びトナーIIと、キャリア製造実施例1〜18で得たキャリアA〜Rを用い、使用トナー等、他条件を振って種々の現像剤を製造した。
【0134】
以下、実施例及び比較例の現像剤に関し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。なお、「部」は、重量部を表わす。
【実施例1】
【0135】
キャリア製造例1で得られたキャリアA(100部)に対して、トナー製造例1で得られたトナーI(7.4μm)を7.0部を加えて、ボールミルで20分攪拌して、現像剤を作成した。初期の帯電量は、35μc/g、現像の現像スリーブ上への現像剤汲み上げ量は45mg/cmであった。
得られた現像剤を用いて初期の画像出しののち、この現像剤をImagioColor4000に装着し、単色モードで10分間攪拌した。その後、画像面積7%のチャートを使用して10万枚のランニングを行い、試験終了後、画像濃度、ハイライト部の画像濃度、画像の粒状性、地汚れ時汚れ、後端白白抜け、キャリア付着、環境での画像濃度変動、およびトナー飛散を評価した。評価結果を上記表1、及び下記表2に示す。
【実施例2】
【0136】
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、実施例2の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0137】
【表2】

【0138】
(比較例1)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例1の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0139】
(比較例2)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例2の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0140】
(比較例3)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例3の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0141】
(比較例4)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例4の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0142】
(比較例5)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例5の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0143】
(比較例6)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例6の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0144】
(比較例7)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例7の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0145】
(比較例8)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例8の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0146】
(比較例9)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例9の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0147】
(比較例10)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例10の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0148】
(比較例11)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例11の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【実施例3】
【0149】
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、実施例3の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0150】
(比較例12)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例12の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【0151】
(比較例13)
トナーとキャリアの組合せを表1に示すように変更して、比較例13の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【実施例4】
【0152】
キャリア製造例17で得られた重量平均粒径30.2μmのキャリアQを100部と、トナー製造例1で得られたトナーI(7.4μm)を10部を加えて、ボールミルで20分攪拌して、現像剤を作成した。
以下、実施例1と全く同様にして、この現像剤の評価を行った。
【実施例5】
【0153】
キャリアを、被服樹脂中に導電性微粒子を含むキャリアR変更して、実施例5の現像剤を作成し、初期画像出しの後、各々10万枚のランニングを行ない、経時品質を確認した以外は、実施例1と全く同様にして評価を行なった。評価結果を表1、2に示す。
【実施例6】
【0154】
キャリア100部に対して、トナー製造例2で得られた、5.2μmトナーIIの5部を使用する以外は、実施例1と全く同様の方法で現像剤を作成した。実施例1と全く同様にして、この現像剤の評価を行った。
【実施例7】
【0155】
現像バイアスをDC−500のみとする(ACバイアス成分を畳重させない)以外は、実施例1と全く同じ方法で現像剤の評価を行った。
【実施例8】
【0156】
実施例6と全く同じ方法で5.2μmトナーIIを使用して現像剤を作成した。初期剤の帯電量は43μc/gであった。得られた現像剤を用いて初期の画像出しののち、この現像剤をImagioColor4000に装着し、単色モードで10分間攪拌した。
一方、補給用の現像剤として、前記の現像剤1部に対して、トナーIIを10部を加えて、更にボールミルで5分撹拌して、補給用現像剤を作成した。この補給用現像剤をトナー補給ユニットに充填し、ランニング試験用のトナーとした。
その後、ImagioColor4000にて、画像面積50%のチャートを使用し、
10万枚のランニングを行った。
補給現像剤中に含まれるキャリアよって現像器中の現像剤量が増えるため、ランニングスタートよりも増える現像剤については、オーバーフローさせて現像装置の背部より排出させ、回収した。試験終了後、画像濃度、ハイライト部の画像濃度、画像の粒状性、地汚れ時汚れ、後端白白抜け、キャリア付着、環境での画像濃度変動、およびトナー飛散を評価した。画像面積が7%から50%に増え、現像剤が劣化し易いランニング条件であったが、良好な結果が得られた。評価結果を表1〜表4に示す。
【0157】
(比較例14)
実施例6において、画像面積50%のチャートを使用する以外は、実施例6と全く同じ方法でImagioColor4000使用してランニング試験を行った。評価結果を表1〜表4に示す。
【0158】
(実機品質評価)
なお、画像品質確認および信頼性試験等の特性試験は、リコー社製 イマジオカラー4000(リコー製デジタルカラー複写機・プリンタ複合機)を使用し、次の現像条件で作成した。
・現像ギャップ(感光体−現像スリーブ):0.3mm
・ドクターギャップ(現像スリーブ−ドクター):0.65mm
・感光体線速度:200mm/sec
・(現像スリーブ線速度)/(感光体線速度):1.80
・書込み密度:600dpi
・帯電電位(Vd):−600V
・画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V
・現像バイアス:DC −500V /交流バイアス成分:2KHz、−100V〜―900V、50%duty
品質評価は転写紙上で実施、但しキャリア付着は現像後転写前の状態を感光体上から粘着テープに転写して観察した。
【0159】
(実機品質評価項目)
(現像剤の物性変動)
(1)現像剤汲み上げ量の変動率(%)
={(初期における現像剤汲み上げ量―10万枚ランニング後の現像剤汲み上げ量)/初期における現像剤汲み上げ量}×100
但し、現像スリーブ上の現像剤汲み上げ量=mg/cm
±5%未満 : ◎大変良好
±5以上〜±10%未満 : ○良好
±10以上〜±20%未満 : △使用可能
±20%以上 : ×不良
【0160】
(2)スペントトナー量:10万枚ランニングしたキャリアと初期キャリアについて、トナー成分をメチルエチルケトンで抽出し、その差をスペントトナー量(キャリア重量に対するwt%で表示)する。
0以上 〜0.03Wt%未満 : ◎大変良好
0.03Wt%以上 〜0.07t%未満 : ○良好
0.07Wt%以上 〜0.15Wt%未満 : △使用可能
0.15Wt%以上 : ×不良
【0161】
(3)トナー帯電量(Q/M)環境変動率(%)=2×{(10℃15%におけるトナー帯電量−30℃90%におけるトナー帯電量)/(10℃15%におけるトナー帯電量+30℃90%におけるトナー帯電量)}×100
0以上〜10%未満 : ◎大変良好
10以上〜30%未満 : ○良好
30以上〜70%未満 : △使用可能
70%以上 : ×不良
【0162】
(画像品質評価)
上記の画像形成において画像の評価に採用した試験方法および評価基準は以下のとおりである。
画像品質評価は転写紙上で実施、但しキャリア付着は現像後、転写前の状態を感光体上から粘着テープに転写して観察した。
(4)ベタ部画像濃度:上記現像条件における、30mm×30mmのベタ部(注1)の中心をX−Rite938分光測色濃度計で、5個所測定し平均値を出した。
注1;現像ポテンシャル400V相当箇所=(露光部電位−現像バイアスDC)=−100V−(−500V)
(5)ハイライト部画像濃度:上記現像条件における、30mm×30mmのハイライト部(注2)の中心をX−Rite938分光測色濃度計で、5個所測定し平均値を出した。
注2;現像ポテンシャル150V相当箇所=(ハイライト部電位−現像バイアスDC)=−350V−(−500V)
(6)粒状度:下記の式で定義された粒状度(明度範囲:50〜80)を測定し、その数値を下記のようにランクに置き換えて評価した。
粒状度=exp(aL+b)∫(WS(f))1/2・VTF(f)df
L:平均明度
f:空間周波数(cycle/mm)
WS(f):明度変動のパワースペクトラム
VTF(f):視覚の空間周波数特性
a,b:係数
0以上〜0.2未満 : ◎(大変良好)
0.2以上〜0.3未満 : ○(良好)
0.3以上〜0.4未満 : △(使用可能)
0.4以上 : ×(不良)
(7)地汚れは画像上の地肌部の汚れを目視で評価した。表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能 ×:不良 とした。
(8)キャリア付着(ベタ部)
キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。感光体上にキャリア付着が発生しても、一部のキャリアしか紙に転写しないため、以下の方法で評価した。
前述の現像条件(帯電電位(Vd):−600V、画像部(ベタ原稿)にあたる部分の感光後の電位:−100V、現像バイアス:DC −500V)における、イマジオカラー4000のベタ画像(30mm×30mm)に付着したキャリアの個数を、感光体上でカウントしてベタキャリア付着の評価を行った。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能、×:不良とした。
(9)キャリア付着(エッジ)
キャリア付着が発生すると、感光体ドラムや定着ローラーの傷の原因となり、画像品質の低下を招く。感光体上にキャリア付着が発生しても、一部のキャリアしか紙に転写しないため、以下の方法で評価した。
帯電電位(Vd)を−600V、露光部電位−100V、現像バイアス(Vb)DC−400Vの現像条件で、即ち、地肌ポテンシャル200Vの条件で、感光体上の副走査方向に2ドットライン(100lpi/inch)の画像を形成した。
次に、感光体上に現像された2ドットラインを粘着テープ(面積100cm)で転写し、その個数をカウントしてキャリア付着の評価を行った。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
(10)環境ID変動
ΔID= 30℃90%時と10℃15%時のベタ部の画像濃度の差
0以上〜0.05未満 : ◎(大変良好)
0.05以上〜0.15未満 : ○(良好)
0.15以上〜0.25未満 : △(使用可能)
0.25以上 : ×(不良)
(11)トナー飛散
10万枚ランニング後の現像装置周辺のトナの飛散状態を以下の基準で評価した。
表中記載の記号は、◎:大変良好、○:良好、△:使用可能、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
以上の結果をまとめて表3、表4に表わす。
【0163】
【表3】

【0164】
【表4】

【符号の説明】
【0165】
11 セル
12a 電極
12b 電極
13 キャリア
15 導体容器(ケージ)
20 感光体ドラム
21 トナー
23 キャリア
24a 駆動ローラ
24b 駆動ローラ
26 クリーニング前露光光源
32 像担持体帯電部材
33 像露光系
40 現像装置
41 現像スリーブ
42 現像剤収容部材
43 現像剤供給規制部材(ドクターブレード)
44 支持ケース
45 トナーホッパー
46 現像剤収容部
47 現像剤撹拌機構
48 トナーアジテータ
49 トナー補給機構
50 転写機構
60 クリーニング機構
61 クリーニングブレード
62 トナー回収室
64 ブラシ状クリーニング手段
70 除電ランプ
80 中間転写媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0166】
【特許文献1】特開昭55−127569号公報
【特許文献2】特開昭55−157751号公報
【特許文献3】特開昭56−140358号公報
【特許文献4】特開昭57−96355号公報
【特許文献5】特開昭57−96356号公報
【特許文献6】特開昭58−207054号公報
【特許文献7】特開昭61−110161号公報
【特許文献8】特開昭62−273576号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性を有する芯材粒子と該芯材粒子表面を被覆する樹脂層とからなる静電潜像現像剤用キャリアであって、下記構造を有する共重合体を被覆して、しかる後に加熱処理して得られたことを特徴とする静電潜像現像剤用キャリア。
【化1】

(式中において、R、m、R、R、X、Y、及びZは以下に該当するものを示す。)
:水素原子、またはメチル基
m:炭素原子数1〜8のアルキレン基
:炭素原子数1〜4のアルキル基
は、炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜4のアルコキシ基
A成分:
【化2】

X=10〜40モル%である。
B成分:
【化3】

Y=10〜40モル%である。
C成分:
【化4】

Z=30〜80モル%であり、
かつ、60モル%<Y+Z<90モル%である。
【請求項2】
シラノール基、及び/又は加水分解によりシラノ−ル基を生成することが可能な官能基を有するシリコーン樹脂を被覆して、しかる後に加熱処理して得られたことを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
【請求項3】
熱処理温度が130〜300℃であることを特徴とする請求項1または2に記載の静電潜像現像剤用キャリア。
【請求項4】
キャリアの重量平均粒径(Dw)が22〜35μmである請求項1乃至3のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
【請求項5】
フィラーを含有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
【請求項6】
キャリア電気抵抗LogR(Ωcm)が10.0〜15.0であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の静電潜像現像剤用キャリア。
【請求項7】
トナーとキャリアからなる静電潜像現像用の現像剤であって、該キャリアとして、請求項1乃至6のいずれかに記載のキャリアを用いることを特徴とする静電潜像現像剤。
【請求項8】
トナーとキャリアとからなる静電潜像現像用の現像剤であって、該キャリアが請求項1乃至6のいずれかに記載のキャリアであり、該トナーの重量平均粒径が3.0〜9.0μmであることを特徴とする静電潜像現像剤。
【請求項9】
トナーとキャリアとが収容されている現像装置に対して、キャリア1重量部当たりトナーを2〜50重量部の割合で含有する現像剤を、前記現像装置に補給するとともに、現像装置内の余剰となった現像剤を排出しながら現像を行う画像形成方法において、該キャリアが請求項1乃至6のいずれかに記載のキャリアであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかに記載の現像剤を用いることを特徴とする静電潜像現像方法。
【請求項11】
感光体、前記現像剤と、現像スリーブを用い、現像スリーブと感光体の距離が0.4mm以下であり、かつ現像バイアスとして交流電圧及び/または直流電圧を印加することを特徴とする請求項10に記載の静電潜像現像方法。
【請求項12】
請求項7乃至9のいずれかに記載の現像剤を用いる現像手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
感光体、前記現像手段を有し、該現像手段が現像スリーブを用いるものであり、該現像スリーブと前記感光体の距離が0.4mm以下であり、かつ現像バイアスとして交流電圧及び/または直流電圧を印加することを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
感光体と、該感光体の表面を帯電させる帯電部材と、請求項7乃至9のいずれかに記載の静電潜像現像剤を擁する現像部と、前記感光体の表面に残存する現像剤を払拭するブレードとを具備することを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−244026(P2010−244026A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46240(P2010−46240)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】