説明

非対称層構造を有する光学的に可変性の顔料

本発明は、粒子が長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ50nm〜1.5μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有する金属反射材料のコアを有し、それらの面の間の距離がコアの最短軸である顔料であって、(a)場合によってはコアの一つの平行面上にあるSiOy(0.95<y≦2.0)層、(b)SiOy層上にあるSiOx(0.03<x≦0.95)層、及び(c)SiOx層上にあるSiOz(0.95<z≦2.0)層を含む顔料、その製造方法ならびに塗料、織物、インクジェット印刷、化粧品、コーティング組成物、プラスチック、印刷インク及びセラミックスやガラス用のうわぐすりにおけるその使用に関する。SiOy層を有しない顔料は鮮やかな色を生じさせる。SiOy層を有する顔料は不透明であり、メタリックな外観を見せる鮮やかな色を生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(a)場合によってはコアの一つの平行面上にあるSiOy(0.95<y≦2.0)層、(b)SiOy層上にあるSiOx(0.03≦x≦0.95)層、及び(c)SiOx層上にあるSiOz(0.95<z≦2.0)層を含む顔料、その製造方法ならびに塗料、織物、インクジェット印刷、化粧品、コーティング組成物、プラスチック、印刷インクならびにセラミックス及びガラス用のうわぐすりにおけるその使用に関する。
【0002】
EP−A−803549は、(a1)実質的に透明な材料又は金属反射材料からなるコア、及び(a2)実質的に1種以上の酸化ケイ素(ケイ素に対する酸素のモル比は平均で0.25〜0.90である)からなる少なくとも一つのコーティングを有する有色光沢顔料に関する。
【0003】
驚くことに今、SiOx層が金属コアの一つの平行面だけに存在し、そのSiOx層が金属コアの上に直に位置するか、SiOy層によってコアから離隔しているならば、強いメタリック効果を有する淡色顔料を得ることができるということがわかった。
【0004】
したがって、本発明は、粒子が長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ50nm〜1.5μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有する金属反射材料のコアを有し、それらの面の間の距離がコアの最短軸である顔料であって、
(a)場合によってはコアの一つの平行面上にあるSiOy(0.95<y≦2.0、特に0.95<y≦1.80)層、
(b)コアの一つの平行面上又は、SiOy層が存在する場合、SiOy層上にあるSiOx(0.03≦x≦0.95、特に0.05≦x≦0.5、とりわけ0.10≦x≦0.30)層、及び
(c)SiOx層上にあるSiOz(0.95<z≦2.0、特に1.0z≦2.0、とりわけ1.4≦z≦2.0)層
を含む顔料、その製造方法ならびに塗料、織物(たとえばPCT/EP03/11188を参照)、インクジェット印刷(たとえばPCT/EP03/11189を参照)、化粧品(たとえばPCT/EP03/02196を参照)、コーティング組成物、プラスチック、印刷インクならびにセラミックス及びガラス用のうわぐすりにおけるその使用に関する。
【0005】
好ましい実施態様では、本発明は、粒子が長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ50nm〜1.5μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有する金属反射材料のコアを有し、それらの面の間の距離がコアの最短軸である顔料であって、
(a)場合によってはコアの一つの平行面上にあるSiOy(0.95<y≦1.80、特に1.0≦y≦1.80、とりわけ1.40≦y≦1.80)層、
(b)コアの一つの平行面上又は、SiOy層が存在する場合、SiOy層上にあるSiOx(0.03≦x≦0.95、特に0.05≦x≦0.5、とりわけ0.10≦x≦0.30)層、及び
(c)SiOx層上にあるSiOz(1.0<z≦2.0、特に1.4≦z≦2.0、とりわけz=2.0)層
を含む顔料に関する。
【0006】
顔料粒子は、好ましくは、長さ及び幅が5〜20μmであり、厚さが60nmから1.0μmである。
【0007】
本発明の顔料フレークは均一な形状ではない。それでも、簡潔に説明するため、フレークは「直径」を有するものとして参照する。フレークの直径は、好ましくは約1〜60μm、特に2〜50μm、より好ましくは約5〜40μmの範囲にあることが好ましい。したがって、アスペクト比(直径:厚さの比)は、約2:1〜1200:1、特に7:1〜258:1である。
【0008】
「SiOy又はSiOz(0.95<y又はz≦2.0)」とは、ケイ素に対する酸素のモル比が平均で>0.95〜2.0であることをいう。
【0009】
「SiOx(0.03≦y≦0.95)」とは、ケイ素に対する酸素のモル比が平均で0.03〜0.95であることをいう。
【0010】
本発明にしたがって、「アルミニウム」は、アルミニウム及びアルミニウム合金を含む。アルミニウム合金は、たとえば、G. WassermannのUllmanns Enzyklopadie der Industriellen Chemie, 4. Auflage, Verlag Chemie, Weinheim, Band 7, S. 281 to 292に記載されている。特に適当なものは、WO00/12634の10〜12頁に記載されている、アルミニウムの他にケイ素、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛、ニッケル、バナジウム、鉛、アンチモン、スズ、カドミウム、ビスマス、チタン、クロム及び/又は鉄を20重量%未満、好ましくは10重量%未満の量で含む耐食性アルミニウム合金である。
【0011】
金属反射材料として好ましいものは、Ag、Al、Au、Cu、Cr、Ge、Mo、Ni、Ti、Zn、それらの合金、黒鉛、Fe23又はMoS2である。特に好ましいものはAlである。
【0012】
金属コアの厚さは、使用される金属材料に依存し、たとえばアルミニウムの場合、20〜10nm、好ましくは40〜60nmである。
【0013】
SiOy層(a)の厚さは、一般には20〜500nm、好ましくは100〜500nmである。
【0014】
SiOx層(b)の厚さは、一般には5〜200nm、好ましくは5〜100nmである。
【0015】
SiOz層(c)の厚さは、一般には1〜100nm、好ましくは5〜100nm、特に10〜50nmである。
【0016】
以下、本発明の顔料の調製を、金属としてアルミニウムを参照しながらさらに詳細に説明する。
【0017】
SiOx及び/又はSiOyでコーティングされたアルミニウムフレークは、原則的に、以下の工程:
a)支持体に分離剤を蒸着させて分離剤層を製造する工程、
b)分離剤層にAl層を蒸着させる工程、
c)場合によっては、Al層にSiOy(0.95≦y≦1.80、特に1.0≦y≦1.80、とりわけ1.1≦y≦1.50)層を蒸着させる工程、
d)Al層又は、SiOy層が存在する場合、SiOy層にSiOx層を蒸着させる工程、
e)場合によっては、SiOx層にSiOy層を蒸着させる工程、
f)分離剤層を溶媒に溶解させる工程、
d)溶媒からSiOxコーティングされたアルミニウムフレークを分離する工程
を含む方法(EP−B−990715)によって得ることができる。
【0018】
SiOy層は、好ましくは、SiとSiO2との混合物、SiOy及びそれらの混合物を含む仕込み原料が存在する蒸発器から蒸着させる。
【0019】
SiOx層は、酸素の存在でケイ素を蒸発させることによって製造され、そのとき、酸素の分圧を調節することにより、指定の蒸着速度で酸素に対するケイ素の比を正確に制御することが可能である(たとえばEP−A−803549を参照)。
【0020】
本明細書で先に述べた方法は、高い面平行性及び平均厚さの±10%、特に±5%の範囲の既定厚さを有する、SiOxコーティング又はSiOy/SiOxコーティングされたアルミニウムフレークを入手可能にする。
【0021】
SiOy層は、微細なケイ素と石英(SiO2)粉末との好ましくは化学量論的な混合物を、たとえばDE4342574C1及びUS−A−6202591に記載されている蒸発器中、高真空下1300℃超に加熱することによって得られる。反応生成物は一酸化ケイ素ガスであり、これを、真空下、通過中の支持体に直接当てると、そこでSiOとして凝縮する。非化学量論的混合物を使用することも可能である。蒸発器中に存在する仕込み原料は、SiとSiO2との混合物、SiOy及びそれらの混合物を含み、互いに反応する物質(Si及びSiO2)の粒径は、有利には0.3mm未満である。SiとSiO2との重量比は、有利には0.15:1〜0.75:1(重量部)の範囲であり、好ましくは、化学量論的混合物が存在する。蒸発器中に存在するSiOyは直接蒸発する。SiとSiO2とは、1300℃を超える温度で反応して一酸化ケイ素蒸気を形成する。
【0022】
工程a)で支持体に蒸着される分離剤は、ラッカー(表面コーティング)、ポリマー、たとえばUS−B−6,398,999に記載されているような(熱可塑性)ポリマー、特にアクリルもしくはスチレンポリマー又はそれらの混合物、有機溶媒又は水に可溶性であり、真空中で蒸発させることができる有機物質、たとえばアントラセン、アントラキノン、アセトアミドフェノール、アセチルサリチル酸、ショウノウ酸無水物、ベンズイミダゾール、ベンゼン−1,2,4−トリカルボン酸、ビフェニル−2,2−ジカルボン酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ジヒドロキシアントラキノン、ヒダントイン、3−ヒドロキシ安息香酸、8−ヒドロキシキノリン−5−スルホン酸一水和物、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、イソフタル酸、4,4−メチレン−ビス−3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、ナフタレン−1,8−ジカルボン酸無水物、フタルイミド及びそのカリウム塩、フェノールフタレイン、フェノチアジン、サッカリン及びその塩、テトラフェニルメタン、トリフェニレン、トリフェニルメタノール又はこれらの物質の少なくとも2種の混合物であることができる。分離剤は、好ましくは、水溶性であり、真空中で蒸発させることができる無機塩(たとえばDE19844357を参照)、たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、フッ化ナトリウムアルミニウム及び四ホウ酸二ナトリウムである。
【0023】
工程f)は通常、工程a)〜e)の圧力よりも高く、かつ大気圧よりも低い圧力で実施される。
【0024】
(可動)支持体は、好ましくは、ポリマーコーティングを有しても有しなくてもよい1個以上の連続した金属ベルト又は1個以上のポリイミドもしくはポリエチレンテレフタレートベルトを含む。可動支持体はさらに、軸を中心に回転する1個以上の円板、円柱又は他の回転対称体を含むことができる。
【0025】
SiOxコーティングされたアルミニウムフレークは、好ましくは洗い流しならびにその後のろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション又は蒸発によって分離剤溶媒から分離させる。さらには、SiOxコーティングされたアルミニウムフレークは、溶媒に含まれる溶解した分離剤の洗い流しののち、溶媒とともに凍結させ、続いて凍結乾燥の処理に付してもよく、すると、三重点未満での昇華の結果として溶媒が分別され、乾燥したフレークが個々の面平行な構造の形態で後に残る。
【0026】
凝縮した亜酸化ケイ素は式SiOyに相当する(0.95<y≦1.8、好ましくは約1≦y≦1.5、1未満のy値は、蒸発器材料中のケイ素の過剰によって達成される)。SiOy(y>1.0)は、酸素の存在でSiOを蒸発させることによって得られる。超高真空下を除き、数10-2Paの工業用真空では、蒸発したSiOは常にSiOy(1≦y≦1.8、特に1.1≦y≦1.8)として凝縮する。理由は、高真空装置は、表面からのガス放出の結果として、蒸発温度で反応しやすいSiOと反応する痕跡量の水蒸気を常に含むからである。
【0027】
高純度の酸素雰囲気中のSiOのいわゆる反応性蒸発の結果として、たとえば、可視範囲で吸収を起こさず、550nmでの屈折率が1.55であるSiO1.5層を得ることが可能である(E. Ritter, J. Vac. Sci Technol. 3 (1966) 225)。
【0028】
蒸着工程中で成長中のSiOy層にUV光を照射するならば、実質的に吸収のない層が得られる(DE−A−1621214)。
【0029】
詳細には、塩、たとえばNaCl、続いてアルミニウム、場合によってはSiOy及びSiOxの層を、蒸発器を経由して<0.5Paの真空下を通過させながら、連続金属ベルトであってもよい支持体に順次に蒸着させる。蒸着される塩の厚さは約20〜100nm、好ましくは30〜60nmであり、アルミニウムの厚さは20〜100nmであり、SiOyの厚さは20〜500nmであり、SiOxの厚さは5〜200nmである。閉鎖されてループを形成するベルト形の支持体は、そのさらなる行程で、公知の構造形態の動的真空ロックチャンバ(US6270840を参照)を通過して、1〜5×104Paの圧力、好ましくは600〜109Paの圧力、特に103〜5×103Paの圧力の領域に入り、そこで溶解浴に浸漬される。溶媒の温度は、その蒸気圧が指示された圧力範囲に入るように選択されるべきである。機械的支援により、分離剤層は急速に溶解し、生成物層はフレークに砕散し、その後、懸濁液の形態で溶媒中に存在する。ベルトは、そのさらなる行程で、乾燥させられ、なおもそれに付着する汚染物質を除かれる。ベルトは、第二の群の動的真空ロックチャンバを通過して蒸発チャンバに戻り、そこで、分離剤及び生成物層をコーティングする工程が繰り返される。
【0030】
そして、生成物構造ならびに溶媒及びその中に溶解した分離剤を含む、両方の場合に存在する懸濁液を、さらなる処理で、公知の技術にしたがって分離する。そのためには、まず、生成物構造を液中で濃縮し、新鮮な溶媒で数回すすいで、溶解した分離剤を洗い流す。そして、まだ湿潤している固体の形態の生成物を、ろ過、沈降、遠心分離、デカンテーション又は蒸発によって分別し、乾燥させる。
【0031】
大気圧で洗い流ししたのちの面平行な構造の分別は、固形分約50%まで濃縮しておいた懸濁液を凍結させ、それを公知の方法で約−10℃及び50Pa圧で凍結乾燥に付すことにより、穏やかな条件下で実施することができる。乾燥質が生成物として後に残り、それを、コーティング又は化学転換によってさらに処理する工程に付すことができる。
【0032】
連続ベルトを使用する代りに、DE−A−19952032にしたがって、回転体を有する装置の中で、分離剤ならびにSiOx、Al及びSiOyを蒸着させる工程、溶解工程及び支持体を乾燥させる工程を実施することにより、生成物を製造することが可能である。回転体は、1個以上の円板、円柱又は他の回転対称体であることができる。
【0033】
数10-2Paの工業用真空下で、SiOyではなくSiを蒸発させるならば、等モル量に満たない酸素含量を有する酸化ケイ素、すなわちSiOx(0.03≦x≦0.95、特に0.05≦x≦0.50、とりわけ0.10≦x≦0.3)が得られ、この酸化ケイ素は、薄い層でさえ、酸化に対する驚くほど高い安定性及び高い屈折率を有する。酸素の存在における150〜500℃、好ましくは175〜300℃での加熱は、予想外にも、非常に薄い、たとえば厚さ約20nmの表在的な二酸化ケイ素層を生じさせ、これは、連続層Al/SiOx/SiO2を有する構造を製造する非常に好都合な方法である。より厚い二酸化ケイ素層が望まれるならば、上記のように、SiOyの蒸着及びその酸化加熱処理によって、又はフレークをSiO2で湿式ケミカルコーティングすることによって好都合に製造することができる。
【0034】
酸化加熱処理の場合、空気又は他の酸素含有ガスを、200℃を超える、好ましくは400℃を超える温度で、たとえばばら材料の形態又は流動床中にある小板に通してSiOyを酸化させる。
【0035】
したがって、上記のように、SiOyの蒸着及び場合によってはその酸化加熱処理により、SiOz層を製造することができる。
【0036】
フレークをSiO2で湿式ケミカルコーティングする場合、たとえば以下の方法を使用することができる。約50〜100℃、特に70〜80℃に加熱しておいた、コーティングされる材料の懸濁液にソーダ水ガラス溶液を計量供給する。同時に10%塩酸を加えることによってpHを4〜10、好ましくは6.5〜8.5に維持する。水ガラス溶液を加えたのち、攪拌を30分間実施する(たとえばWO98/53011を参照)。
【0037】
本発明の第一の好ましい実施態様は、粒子が長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ50nm〜1.5μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有するアルミニウムのコアを有し、それらの面の間の距離がコアの最短軸である顔料であって、
(b)コアの一つの平行面上にあるSiOx(0.03≦x≦0.95)層、及び
(c)SiOx層上にあるSiO2(0.03≦x≦0.95、特に0.05≦x≦0.5、とりわけ0.10≦x≦0.30)層
を含む顔料に関する。
【0038】
この実施態様におけるアルミニウムコアの厚さは、20〜100nm、好ましくは40〜60nmである。この実施態様におけるSiOx層(b)の厚さは、5〜200nm、好ましくは5〜100nmである。この実施態様におけるSiO2層(c)の厚さは、5〜100nm、好ましくは10〜50nmである。
【0039】
本発明の第二の好ましい実施態様は、粒子が長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ50nm〜1.5μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有するアルミニウムのコアを有し、それらの面の間の距離がコアの最短軸である顔料であって、
(a)コアの一つの平行面上にあるSiOy(0.95<y≦1.8)層、
(b)SiOy層上にあるSiOx(0.03≦x≦0.95)層、及び
(c)SiOx層上にあるSiOz(1.0≦z≦2.0、特に1.4≦z≦2.0、とりわけz=2.0)層
を含む顔料に関する。
【0040】
本明細書で先に記載したように、SiOz層をSiO2層に転換することができ、その結果、粒子が長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ50nm〜1.5μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有するアルミニウムのコアを有し、それらの面の間の距離がコアの最短軸である顔料であって、
(a)コアの一つの平行面上にあるSiOy(0.95<y≦1.8)層、
(b)SiOy層上にあるSiOx(0.03≦x≦0.95)層、及び
(c)SiOx層上にあるSiO2
を含む顔料が得られる。
【0041】
この実施態様におけるアルミニウムコアの厚さは、20〜100nm、好ましくは40〜60nmである。この実施態様におけるSiOy層(a)の厚さは、20〜500nm、好ましくは100〜500nmである。この実施態様におけるSiOx層(b)の厚さは、5〜200nm、好ましくは5〜100nmである。この実施態様におけるSiO2層(c)の厚さは、5〜100nm、好ましくは10〜50nmである
【0042】
顔料の物理的及び/又は化学的性質を改善するため、さらなる層を付着させてもよい。
【0043】
R. Besold, Aluminiumpigmente fur wassrige Beschichtungen - Widerspruch oder Wirklichkeit?, Fabre + Lack 97 (1991) 311-314によると、アルミニウム顔料の安定化のために、二つのグループに分けることができる多数の手法が公知である。
―顔料表面への腐蝕防止剤の吸着
―リン酸エステル:DE−A−3020073、EP−A−170474、EP−A−133644、US−A−4,565,716、US−A−4,808,231、
―ホスフェート及びホスファイト:US−A−4,565,716、US−A−4,808,231、EP−A−240367、
―バナデート:EP−A−305560、EP−A−104075、
―クロメート:US−A−2,904,523、US−A−4,693,754、EP−A−259592、
―ダイマー酸:DE−A−3002175、ならびに
―連続的な無機保護層による顔料の封じ込め:
―SiO2:US−A−2,855,366、US−A−3,954,496、
―Fe23:DE−A−3003352、
―TiO2:DE−A−3813335、
又は有機保護層:
―DE−A−3630356、DE−A−3147177、EP−A−477433、特にリン酸で改質された樹脂:EP−A−170474、CA−A−1,273,733、AT−A−372696、DE−A−3807588、EP−A−319971
【0044】
たとえば、完成した顔料を、耐光、耐候及び耐薬品安定性をさらに高める、又は顔料の取扱い、特に種々の媒体への配合を容易にする後続のコーティング又は後続の処理に付すことが可能である。たとえば、DE−A−2215191、DE−A−3151354、DE−A−3235017又はDE−A−3334598に記載されている方法が後続の処理及び/又は後続のコーティングに適当である。
【0045】
さらには、色効果を改善するため、金属酸化物層、特にTiO2又はZrO2層を、好ましくは湿式ケミカル法によって顔料に適用してもよい。そのためには、顔料を水中に懸濁させ、1種以上の金属塩溶液を、当該金属酸化物又は金属水酸化物を付着させるのに適したpH値で加えることにより、平滑な金属酸化物又は水酸化物層でコーティングする。また、酸化物又は水酸化物の混合層を付着させることも可能である。湿式ケミカルコーティングは公知であり、たとえば、DE−A−1467468、DE−A−1959988、DE−A−2009566、DE−A−2214545、DE−A−2215191、DE−A−2244298、DE−A−2313331、DE−A−2522572、DE−A−3137808、DE−A−3137809、DE−A−3151343、DE−A−3151354、DE−A−3151355、DE−A−3211602及びDE−A−3235017、DE1959988、WO93/08237及びWO98/53001に記載されている。
【0046】
本発明の顔料は非常に均一な厚さによって際立ち、その結果、非常に高い色の純度及び濃さが達成される。
【0047】
金属又は非金属の無機小板形の粒子又は顔料は、エフェクト顔料(特に金属エフェクト顔料又は干渉顔料)、すなわち、適用媒体に色を付与する他に、さらなる性質、たとえば色の角度依存性(フロップ)、ラスター(表面光沢ではない)又はテキスチャーを付与する顔料である。金属エフェクト顔料では、指向性顔料粒子で実質的に指向性の反射が起こる。干渉顔料の場合、色付与効果は、薄い高屈折層における光の干渉現象による。
【0048】
本発明の(エフェクト)顔料は、すべての通例の目的に、たとえばポリマーの練込み着色、コーティング(自動車分野のためのものをはじめとする特殊効果仕上げ塗装を含む)及び印刷インク(オフセット印刷、凹版印刷、ブロンズ及びフレキソ印刷を含む)ならびに、たとえば、化粧品、インクジェット印刷、織物の染色、セラミックスやガラスのうわぐすりならびに紙及びプラスチックのレーザマーキングにおける用途で使用することができる。このような用途は、参考文献、たとえば「Industrielle Organische Pigmente」(W. Herbst and K. Hunger, VCH Verlagsgesellschaft mbH, Weinheim/New York、全面改訂第二版1995)から公知である。
【0049】
本発明の顔料が干渉顔料(エフェクト顔料)である場合、本発明の顔料は、ゴニオクロマチックであり、鮮やかで高彩度の(光沢のある)色を生じさせる。したがって、これらの顔料は、従来の透明顔料、たとえば有機顔料、たとえばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレン、イソインドリノンなどとの組み合わせに非常に適し、透明顔料がエフェクト顔料と類似した色を有することが可能になる。しかし、たとえばEP−A−388932又はEP−A−402943と同様に、透明顔料の色とエフェクト顔料の色とが補色である場合に、特に興味深い組み合わせ効果が得られる。
【0050】
高分子量有機材料を着色するために本発明の顔料を使用すると、優れた結果を得ることができる。
【0051】
本発明の顔料又は顔料組成物を使用して着色することができる高分子量有機材料は、天然起源であっても合成起源であってもよい。高分子量有機材料は通常、約103〜108g/mol又はそれを超える分子量を有する。これらは、たとえば、天然樹脂、乾性油、ゴムもしくはカゼイン又はそれらから誘導される天然物質、たとえば塩素化ゴム、油改質アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、たとえばエチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酢酪酸セルロースもしくはニトロセルロースであることができるが、特に、重合、重縮号又は重付加によって得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性樹脂)である。重合樹脂のクラスのうち、特にポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン及び置換ポリオレフィン、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル又はブタジエンの重合物ならびに前記モノマーの共重合物、たとえば特にABS又はEVAを挙げることができる。
【0052】
重付加樹脂及び重縮合樹脂の系のうち、たとえば、ホルムアルデヒドとフェノール類との縮合物、いわゆるフェノプラスト及びホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素又はメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト及びコーティング樹脂として使用されるポリエステル、飽和樹脂、たとえばアルキド樹脂又は不飽和樹脂、たとえばマレイン酸樹脂ならびに直鎖状ポリエステル及びポリアミド、ポリウレタン又はシリコーンを挙げることができる。
【0053】
前記高分子量化合物は、単独で存在してもよいし、混合物としてプラスチック素材又は溶融体の形態で存在してもよい。これらはまた、それらのモノマーの形態で存在することもできるし、重合状態で、コーティング又は印刷インクのための膜形成剤又はバインダー、たとえば煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂及び尿素−ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂として溶解した形態で存在することもできる。
【0054】
意図する目的に依存して、本発明のエフェクト顔料又はエフェクト顔料組成物をトナーとして又は調製物の形態で使用することが有利であることがわかった。コンディショニング法又は意図する用途に依存して、高分子量有機材料、特にポリエチレンを着色するためのエフェクト顔料の使用に悪影響を及ぼさないという条件で、コンディショニング工程の前又は後で特定量のテキスチャー改善剤をエフェクト顔料に加えることが有利であるかもしれない。適当な薬剤は、特に、炭素原子を少なくとも18個含有する脂肪酸、たとえばステアリン酸もしくはベヘン酸又はそれらのアミドもしくは金属塩、特にマグネシウム塩及び可塑剤、ロウ、樹脂酸、たとえばアビエチン酸、ロジン石鹸、アルキルフェノール類又は脂肪族アルコール、たとえばステアリルアルコール又は炭素原子8〜22個を含有する脂肪族1,2−ジヒドロキシ化合物、たとえば1,2−ドデカンジオールならびに変性松やにマレイン酸樹脂又はフマル酸松やに樹脂である。テキスチャー改善剤は、最終生成物に基づいて好ましくは0.1〜30重量%、特に2〜15重量%の量で加えられる。
【0055】
本発明の(エフェクト)顔料は、着色される高分子量有機材料に着色有効量で加えることができる。高分子量有機材料と、高分子量有機材料に基づいて0.01〜80重量%、好ましくは0.1〜30重量%の本発明の顔料とを含む着色された組成物が有利である。多くの場合、1〜20重量%、特に約10重量%の濃度を実践で使用することができる。
【0056】
高い濃度、たとえば30重量%を超える濃度は普通、比較的低い顔料含量を有する色付き材料を製造するための着色剤として使用することができる濃縮物(「マスタバッチ」)の形態にあるが、本発明の顔料は、通例の配合物中で異例に低い粘度を有するため、それでも十分に加工することができる。
【0057】
有機材料を着色するためには、本発明のエフェクト顔料を単独で使用してもよい。しかし、異なる色相又は色効果を達成するために、本発明のエフェクト顔料に加えて、所望の量の他の色付与成分、たとえば白、有色、黒又はエフェクト顔料を高分子量有機物質に加えることも可能である。有色顔料が本発明のエフェクト顔料と混合して使用される場合、合計量は、高分子量有機材料に基づいて好ましくは0.1〜10重量%である。本発明のエフェクト顔料と、別の色、特に補色の有色顔料との好ましい組み合わせによって特に高い角度依存呈色性が得られ、エフェクト顔料を使用して得られる着色と、有色顔料を使用して得られる着色とは、10°の計測角で20〜340、特に150〜210の色相差(ΔH*)を示す。
【0058】
好ましくは、本発明の(エフェクト)顔料は透明な有色顔料と組み合わされ、このとき、透明な有色顔料は、本発明のエフェクト顔料と同じ媒体中に存在することもできるし、隣接媒体中に存在することもできる。エフェクト顔料と有色顔料とが有利にも隣接媒体中に存在する構造の例は、多層エフェクトコーティングである。
【0059】
本発明の顔料による高分子量有機物質の着色は、たとえば、ロールミル又は混合もしくは粉砕装置を使用して、場合によってはマスタバッチの形態にある当該顔料を基材と混合することによって実施される。そして、着色された材料を、そのものは公知の方法、たとえば圧延、圧縮成形、押出し、コーティング、注型又は射出成形によって所望の最終形態にする。顔料の配合の前又は後で、プラスチック工業で通例の添加物、たとえば可塑剤、充填剤又は安定剤を通例の量でポリマーに加えることができる。特に、非剛性の成形物を製造する、又はそれらの脆性を下げるためには、成形の前に可塑剤、たとえばリン酸、フタル酸又はセバシン酸のエステルを高分子量化合物に加えることが望ましい。
【0060】
コーティング及び印刷インクを着色する場合、高分子量有機材料及び本発明の(エフェクト)顔料を、場合によっては通例の添加物、たとえば充填剤、他の顔料、乾燥剤又は可塑剤とともに、同じ有機溶媒又は溶媒混合物中に微分散又は溶解させる。このとき、個々の成分を別々に溶解又は分散させることも可能であるし、いくつかの成分をいっしょに溶解又は分散させ、その後ではじめてすべての成分を合わせることも可能である。
【0061】
着色される高分子量有機材料への本発明のエフェクト顔料の分散及び本発明の顔料組成物の加工は、好ましくは、エフェクト顔料がより小さな部分に砕散しないよう比較的弱い剪断力しか発生しない条件に付されて実施される。
【0062】
本発明の顔料を0.1〜50重量%、特に0.5〜7重量%の量で含むプラスチック。コーティングの分野では、本発明の顔料は、0.1〜10重量%の量で使用される。たとえば、塗料及び凹版、オフセット又はスクリーン印刷のための印刷インクのためのバインダー系の着色においては、顔料は、0.1〜50重量%、好ましくは5〜30重量%、特に8〜15重量%の量で印刷インクに配合される。
【0063】
たとえばプラスチック、コーティング又は印刷インク、特にコーティング又は印刷インク、とりわけコーティングで得られる着色は、優れた性質、特に極めて高い彩度、抜群の堅ろう性、高い色純度及び/又は高い角度依存呈色性によって際立つ。
【0064】
着色される高分子量有機材料がコーティングである場合、それは特に特殊コーティング、とりわけ自動車仕上げ塗装である。
【0065】
本発明の(エフェクト)顔料はまた、唇又は肌のメイクアップ及び髪又は爪の着色にも適している。
【0066】
したがって、本発明は、化粧品調製物又は配合物の全重量に基づいて、本発明の顔料、特にエフェクト顔料0.0001〜90重量%及び化粧品に適したキャリヤ材料10〜99.9999重量%を含む化粧品調製物又は配合物に関する。
【0067】
このような化粧品調製物又は配合物は、たとえば、リップスティック、ほお紅、ファンデーション、ネイルエナメル及びヘアシャンプーである。
【0068】
顔料は、単独で使用してもよいし、混合物の形態で使用してもよい。加えて、本発明の顔料を他の顔料及び/又は着色剤とともに、たとえば本明細書で先に記載したように又は化粧品調製物で公知であるように組み合わせて使用することが可能である。
【0069】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、好ましくは、本発明の顔料を、調製物の全重量に基づいて0.005〜50重量%の量で含有する。
【0070】
本発明の化粧品調製物及び配合物に適したキャリヤ材料としては、そのような組成物に使用される通例の物質がある。
【0071】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、たとえばスティック、軟膏、クリーム、エマルション、懸濁液、分散液、粉末又は溶液の形態であってもよい。これらは、たとえば、リップスティック、マスカラ剤、ほお紅、アイシャドー、ファンデーション、アイライナー、パウダー又はネイルエナメルである。
【0072】
調製物がスティック、たとえばリップスティック、アイシャドー、ほお紅又はファンデーションの形態にあるならば、調製物は、そのかなりの部分が、1種以上のロウ、たとえばオゾケライト、ラノリン、ラノリンアルコール、水添ラノリン、アセチル化ラノリン、ラノリンロウ、蜜ロウ、カンデリラロウ、微晶質ロウ、カルナバロウ、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ココアバター、ラノリン脂肪酸、ペトロラタム、石油ゼリー、25℃で固体であるモノ−、ジ−もしくはトリグリセリド又はそれらの脂肪エステル、シリコーンロウ、たとえばメチルオクタデカン−オキシポリシロキサン及びポリ(ジメチルシロキシ)ステアロキシシロキサン、ステアリン酸モノエタノールアミン、マツ脂及びその誘導体、たとえばアビエチン酸グリコール及びアビエチン酸グリセロール、25℃で固体である水添油、糖グリセリドならびにカルシウム、マグネシウム、ジルコニウム及びアルミニウムのオレイン酸塩、ミリスチン酸塩、ラノリン脂肪酸塩、ステアリン酸塩及びジヒドロキシステアリン酸塩からなることができる脂肪成分からなる。
【0073】
脂肪成分はまた、少なくとも1種のロウと、少なくとも1種の油との混合物からなることもでき、その場合、たとえば以下の油が適当である。パラフィン油、パーセリン油、ペルヒドロスクアレン、スイートアーモンド油、アボカド油、カロフィラム油、ヒマシ油、ゴマ油、ホホバ油、約310〜410℃の沸点を有する鉱油、シリコーン油、たとえばジメチルポリシロキサン、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、オレイルアルコール、穀粒油、たとえば小麦胚芽油、イソプロピルラノレート、イソプロピルパルミテート、イソプロピルミリステート、ブチルミリステート、セチルミリステート、ヘキサデシルステアレート、ブチルステアレート、デシルオレエート、アセチルグリセリド、アルコール及びポリアルコール、たとえばグリコール及びグリセロールのオクタノエート及びデカノエート、アルコール及びポリアルコール、たとえばセチルアルコール、イソステアリルアルコール、イソセチルラノレート、イソプロピルアジペート、ヘキシルラウレート及びオクチルドデカノールのリシノレエート。
【0074】
スティックの形態のこのような調製物中の脂肪成分は一般に、調製物の全重量の99.91重量%までを構成することができる。
【0075】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、さらなる成分、たとえばグリコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、モノアルカノールアミド、無着色ポリマー、無機又は有機充填剤、防腐剤、UVフィルタ又は化粧品で通例である他の補助剤及び添加物、たとえば、天然又は合成もしくは部分的に合成のジ−もしくはトリグリセリド、鉱油、シリコーン油、ロウ、脂肪アルコール、Guerbetアルコールもしくはそのエステル、親油性機能的化粧品有効成分、たとえば日焼け止めフィルタ又はそれらの物質の混合物をさらに含むことができる。
【0076】
皮膚化粧品に適した親油性機能的化粧品有効成分、有効成分組成物又は有効成分抽出物は、経皮的又は局所的な適用に関して認可されている成分又は成分の混合物である。例として以下を挙げることができる。
【0077】
―皮膚表面及び毛髪に対して清浄作用を有する有効成分。これらには、皮膚を清浄するように働くすべての物質、たとえば油、石鹸、合成洗剤及び固形物質がある。
【0078】
―脱臭及び制汗作用を有する有効成分。これらには、アルミニウム塩又は亜鉛塩に基づく制汗剤、殺菌性又は静菌性脱臭物質、たとえばトリクロサン、ヘキサクロロフェン、アルコール及びカチオン性物質、たとえば第四級アンモニウム塩を含む脱臭剤ならびに吸臭剤、たとえばGrillocin(登録商標)(リシノール酸亜鉛と種々の添加剤との組み合わせ)又はクエン酸トリエチル(場合によっては酸化防止剤、たとえばブチルヒドロキシトルエンと組み合わされている)又はイオン交換樹脂がある。
【0079】
―陽光に対する防護を提供する有効成分(UVフィルタ)。適当な有効成分は、陽光からのUV線を吸収し、それを熱に転換することができるフィルタ物質(日焼け止め)である。所望の作用に依存して、以下の光防護剤が好ましい。約280〜315nmの範囲の、日焼けを生じさせる高エネルギーUV線を選択的に吸収し、より長い、たとえば315〜400nmの波長範囲(UV−A範囲)を透過させる光防護剤(UV−B吸収剤)ならびにより長い315〜400nmのUV−A範囲の波長の放射線だけを吸収する光防護剤(UV−A吸収剤)。適当な光防護剤は、たとえば、p−アミノ安息香酸誘導体、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ジベンゾイルメタン誘導体、ジフェニルアクリレート誘導体、ベンゾフラン誘導体、1個以上の有機ケイ素基を含むポリマーUV吸収剤、ケイ皮酸誘導体、ショウノウ誘導体、トリアニリノ−s−トリアジン誘導体、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸及びその塩、メンチルアントラニレート、ベンゾトリアゾール誘導体のクラスからの有機UV吸収剤及び/又は酸化アルミニウムもしくは二酸化ケイ素でコーティングされたTiO2、酸化亜鉛もしくは雲母から選択される無機マイクロ顔料である。
【0080】
―昆虫に対する有効成分(駆除剤)は、昆虫が皮膚に触れ、そこで活性化することを防ぐための薬剤である。昆虫を駆逐し、ゆっくりと揮発する。もっともよく使用される駆除剤はジエチルトルアミド(DEET)である。他の一般的な駆除剤は、たとえば、「Pflegekosmetik」(W. Raab and U. Kindl, Gustav-Fischer-Verlag Stuttgart/New York, 1991)の161頁に見られる。
【0081】
―化学的及び機械的な影響に対する防護のための有効成分。これらには、皮膚と外部の有害物質との間にバリヤを形成するすべての物質、たとえば、水溶液に対する防護のためのパラフィン油、シリコーン油、植物油、PCL製品及びラノリン、有機溶媒の影響に対する防護のための膜形成剤、たとえばアルギン酸ナトリウム、アルギン酸トリエタノールアミン、ポリアクリル酸エステル、ポリビニルアルコールもしくはセルロースエーテル又は皮膚に対する激しい機械的応力に対する防護のための「潤滑剤」としての、鉱油、植物油もしくはシリコーン油に基づく物質がある。
【0082】
―保湿物質。たとえば以下の物質が水分調整剤(保湿剤)として使用される。乳酸ナトリウム、尿素、アルコール、ソルビトール、グリセロール、プロピレングリコール、コラーゲン、エラスチン及びヒアルロン酸。
【0083】
―角質新生効果を有する有効成分:過酸化ベンゾイル、レチノイン酸、コロイド硫黄及びレゾルシノール。
【0084】
―抗微生物剤、たとえばトリクロサン又は第四級アンモニウム化合物。
【0085】
―経皮的に適用することができる油性又は油溶性ビタミン又はビタミン誘導体、たとえばビタミンA(遊離酸又はその誘導体の形態のレチノール)、パンテノール、パントテン酸、葉酸及びそれらの組み合わせ、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF、必須脂肪酸又はナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)。
【0086】
―ビタミンベースの胎盤抽出物、特にビタミンA、C、E、B1、B2、B6、B12、葉酸及びビオチンを含む有効成分組成物、アミノ酸及び酵素ならびに微量元素マグネシウム、ケイ素、リン、カルシウム、マンガン、鉄又は銅の化合物。
【0087】
―ビフィズス族の細菌の不活性化及び壊変培養物から得られる皮膚修復複合体。
【0088】
―植物及び植物抽出物、たとえばアルニカ、アロエ、サルオガセ、ツタ、イラクサ、チョウセンニンジン、ヘナ、カミツレ、マリゴールド、ローズマリー、セージ、トクサ又はタイム。
【0089】
―動物抽出物、たとえばロイヤルゼリー、プロポリス、タンパク質又は胸腺抽出物。
【0090】
―経皮的に適用することができる化粧油:Miglyol 812タイプのニュートラルオイル、アプリコット核油、アボカド油、ババス油、綿実油、ルリヂサ油、アザミ油、落花生油、ガンマ−オリザノール、ローズヒップシード油、大麻油、ヘーゼルナッツ油、クロフサスグリ種子油、ホホバ油、サクランボ種子油、サーモン油、アマニ油、コーンシード油、マカダミアナッツ油、アーモンド油、月見草油、ミンク油、オリーブ油、ピーカンナッツ油、桃仁油、ピスタチオナッツ油、菜種油、ライスシード油、ヒマシ油、ベニバナ油、ゴマ油、大豆油、ヒマワリ油、ティーツリー油、グレープシード油又は小麦胚芽油。
【0091】
スティック形態の調製物は、好ましくは無水であるが、特定の場合には、一般に化粧品調製物の全重量に基づいて40重量%を超えない一定量の水を含んでもよい。
【0092】
本発明の化粧品調製物及び配合物が半固形製品の形態、すなわち軟膏又はクリームの形態にあるならば、それも同じく無水であっても水性であってもよい。このような調製物及び配合物は、たとえば、マスカラ、アイライナー、ファンデーション、ほお紅、アイシャドー又は目の下のくまを手入れするための組成物である。
【0093】
他方、このような軟膏又はクリームが水性であるならば、それは特に、顔料とは別に脂肪相1〜98.8重量%、水相1〜98.8重量%及び乳化剤0.2〜30重量%を含む油中水型又は水中油型のエマルションである。
【0094】
このような軟膏及びクリームはまた、さらなる従来の添加物、たとえば香料、酸化防止剤、防腐剤、ゲル形成剤、UVフィルタ、着色剤、顔料、真珠光沢剤、無着色ポリマー及び無機又は有機充填剤を含むことができる。
【0095】
調製物が粉末の形態にあるならば、それは実質的にミネラルもしくは無機又は有機充填剤、たとえば滑石、カオリン、デンプン、ポリエチレン粉末又はポリアミド粉末及び補助剤、たとえばバインダー、着色剤などからなる。
【0096】
このような調製物も同じく、化粧品で従来から使用されている種々の補助剤、たとえば芳香剤、酸化防止剤、防腐剤などを含むことができる。
【0097】
本発明の化粧品調製物及び配合物がネイルエナメルであるならば、それは本質的に、溶媒系の溶液の形態のニトロセルロース及び天然又は合成のポリマーからなり、その溶液が他の補助剤、たとえば真珠光沢剤を含むことが可能である。
【0098】
その実施態様では、着色されたポリマーは約0.1〜5重量%の量で存在する。
【0099】
本発明の化粧品調製物及び配合物はまた、毛髪を着色するために使用することができ、その場合、化粧品工業で従来から使用されているベース物質及び本発明の顔料で構成されるシャンプー、クリーム又はゲルの形態で使用される。
【0100】
本発明の化粧品調製物及び配合物は、従来の方法で、たとえば各成分を、場合によっては混合物が融解するよう加熱しながら、いっしょに混合又は攪拌することによって調製される。
【0101】
以下の実施例が本発明を説明するが、本発明の範囲を限定することはない。断りない限り、%及び部はそれぞれ重量%及び重量部である。
【0102】
実施例
実施例1
基本的な点でUS6270840に記載されている設備と同様に構成されている真空設備において、蒸発器から順に、分離剤として塩化ナトリウム(90nm、NaCl)を約900℃で、アルミニウム(90nm)を約1400〜1500℃で、SiとSiO2との反応生成物としてSiOy(150nm、y=1.0±5%)を1350〜1550℃で、Si(120nm、SiOx、x=0.3±10%)を約1600℃で蒸発させた。蒸発は約0.02Paで実施した。後で分離剤の溶解によって層を分離させるために、蒸着が実施された支持体に脱イオン水を約3000Paで吹き付け、スクレーパを使用する機械的支援及び超音波によって処理した。NaClは溶液中に通過し、不溶性である生成物層がフレークに砕散した。溶解チャンバから懸濁液を連続的に取り出し、大気圧で、ろ過によって濃縮し、脱イオン水で数回すすいで、存在するNa+及びCl-イオンを除去した。乾燥及び粉砕のち、平均最大直径が20〜40μmの範囲であるフレークが得られた。
【0103】
応用例1
以下の組成を有するインクを調製した。
【0104】
【表1】

【0105】
実施例1から得られた顔料フレークを攪拌によって組成物中に分散させた。インクをコントラスト紙に36μmの濡れ層厚さで塗布した。乾燥後、不透明なプリントは、わずかに緑を帯びた鮮やかなメタリック色を示した。反射色(CIE−L**h)を、標準D65光源で照射された白いバックグラウンドに対し、10°の視角で計測した(CIE(1965)、Datacolor D3890)。
*(明度)=83、C*(彩度)=7、h(色相)=110
【0106】
実施例2
実施例1で得られたフレークであって、粉砕の前、厚さ約1〜2nmの天然のSiO2層を表面に有するフレークを、ばら材料の形態で、200〜300℃の酸素雰囲気中、数時間焼成して、耐候堅ろう性及び耐光堅ろう性を高めた。SiO2層の厚さは約20nmに増大した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子が長さ2μm〜5mm、幅2μm〜2mm、厚さ50nm〜1.5μmであり、長さ対厚さの比が少なくとも2:1であり、実質的に平行な二つの面を有する金属反射材料のコアを有し、それらの面の間の距離がコアの最短軸である顔料であって、
(a)場合によってはコアの一つの平行面上にあるSiOy(0.95<y≦2.0、特に0.95<y≦1.80)層、
(b)コアの一つの平行面上又は、SiOy層が存在する場合、SiOy層上にあるSiOx(0.03≦x≦0.95、特に0.05≦x≦0.5、とりわけ0.10≦x≦0.30)層、及び
(c)SiOx層上にあるSiOz(0.95<z≦2.0、特に1.0≦z≦2.0)層
を含む顔料。
【請求項2】
(a)場合によってはコアの一つの平行面上にあるSiOy(0.95<y≦1.80、特に1.0≦y≦1.80、とりわけ1.40≦y≦1.80)層、
(b)コアの一つの平行面上又は、SiOy層が存在する場合、SiOy層上にあるSiOx(0.03≦x≦0.95、特に0.05≦x≦0.5、とりわけ0.10≦x≦0.30)層、及び
(c)SiOx層上にあるSiOz(1.0<z≦2.0、特に1.4≦z≦2.0、とりわけz=2.0)層を含む、請求項1記載の顔料。
【請求項3】
金属反射材料が、Ag、Al、Au、Cu、Cr、Ge、Mo、Ni、Ti、Zn、それらの合金、黒鉛、Fe23及びMoS2から選択される、請求項1又は2記載の顔料。
【請求項4】
コアの厚さが20〜100nm、好ましくは40〜60nmである、請求項3記載の顔料。
【請求項5】
SiOx層(b)の厚さが5〜200nm、好ましくは5〜100nmである、請求項1〜4のいずれか1項記載の顔料。
【請求項6】
SiOy層(a)の厚さが20〜500nm、好ましくは100〜500nmである、請求項1〜5のいずれか1項記載の顔料。
【請求項7】
請求項1記載の顔料を製造する方法であって、以下の工程:
a)支持体に分離剤を蒸着させて分離剤層を製造する工程、
b)分離剤層にAl層を蒸着させる工程、
c)場合によっては、Al層にSiOy(0.95≦y≦1.80、特に1.0≦y≦1.80、とりわけ1.1≦y≦1.50)層を蒸着させる工程、
d)Al層又は、SiOy層が存在する場合、SiOy層にSiOx層を蒸着させる工程、
e)場合によっては、SiOx層にSiOy層を蒸着させる工程、
f)分離剤層を溶媒に溶解させる工程、
d)溶媒からSiOxコーティングされたアルミニウムフレークを分離する工程
を含む方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法によって得られる顔料。
【請求項9】
請求項1〜6又は8のいずれか1項記載の顔料を含む組成物。
【請求項10】
請求項1〜6又は8のいずれか1項記載の顔料の、塗料、織物、インクジェット印刷、化粧品、コーティング組成物、プラスチック、印刷インクならびにセラミックス及びガラス用のうわぐすりにおける使用。

【公表番号】特表2006−507383(P2006−507383A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552717(P2004−552717)
【出願日】平成15年11月12日(2003.11.12)
【国際出願番号】PCT/EP2003/050817
【国際公開番号】WO2004/046254
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】