説明

非常に高い皮膚浸透率を有するオキシカム及び関連化合物の正荷電水溶性プロドラッグ

構造1で表されるオキシカム及び関連化合物の新規な正荷電プロドラッグを設計、合成した。これらのプロドラッグの正に荷電されたアミノ基は、薬物の溶解性を大いに増大させるだけでなく、膜のホスファート頭基上の負電荷と結合し、プロドラッグを細胞質ゾルの中に押し込む。プロドラッグは、オキシカム及び関連化合物よりも〜100倍速く人の皮膚を通して拡散する。これらのプロドラッグを経皮投与した場合、ピーク血漿レベルに達するのに〜50分しかかからない。プロドラッグは、人又は動物におけるオキシカム治療可能な状態の治療に使用され、経口投与だけでなく、どんな種類の薬物治療のためでも経皮投与でも医薬的に使用され、オキシカムのたいていの副作用を回避し得る。プロドラッグの制御経皮投与システムは、オキシカム及び関連化合物が絶えず最適治療血中レベルに達することを可能にし、効能を増大させ、その副作用を減少させることを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オキシカム及び関連化合物の正に荷電された水溶性プロドラッグの調製剤、及び人又は動物において、オキシカム治療可能な状態を治療する際のその医薬用途に関する。より具体的に言うと、本発明は、オキシカム及び関連化合物の使用と関連する副作用を克服するためにある。これらのプロドラッグは経口又は経皮投与され得る。
【背景技術】
【0002】
ピロキシカム、スドキシカム、ロルノキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ロモキシカム、イソキシカム、シンノキシカム、メロキシカム、及び関連化合物は、抗炎症性及び鎮痛性を有する4−ヒドロキシ−1,2−ベンゾチアジンカルボキサミドの、エノール酸(enolic acid)類のうちの一つである。この分類の最初のメンバー、ピロキシカムは、1982年にフェルデン(Pfizer)として米国で導入された。オキシカムは、主要な鎮痛及び解熱薬である。これらは、関節リウマチ、変形性関節症、及び発熱の症状の軽減のために使用される。オキシカムの他の薬剤は、米国特許3,787,324、3,822,258、4,180,662及び4,376,768号明細書で開示されている。
【0003】
残念ながら、多くの副作用はオキシカム及び関連化合物の使用と関連し、最も著しくは
胃腸障害であり、例えば、消化不良、胃十二指腸出血、胃潰瘍、及び胃炎である。Fishman(Fishman; Robert, 米国特許7,052,715号明細書)は、経口薬物治療と関連した追加的な課題を指摘した。それは、疼痛又は炎症のある末端部を効果的に治療するためには、血流中で達成されなければならない濃度レベルが有意でなければならないということである。これらのレベルはしばしば、疼痛又は損傷のある特定部位を正確に標的とすることが可能である場合に必要となるレベルよりもずっと高い。Fishmanら多くは(Van Engelenなど米国特許6,416,772号明細書、Macridesなど米国特許6,346,278号明細書、Kirbyなど米国特許6,444,234号明細書、Roentschなど米国特許5,654,337号明細書、Parkなど米国特許6,190,690号明細書、Pearsonなど米国特許6,528,040号明細書、及びBotknechtなど米国特許5,885,597号明細書)、配合物による経皮応用送達システムを開発しようと試みた。しかしながら、遅い皮膚浸透率のために、配合物によって治療有効血漿レベルのこれらの種類の薬物を患者(host)に送達することは非常に難しい。Susan Milosovichらは、テストステロニル−4−ジメチルアミノブチラート塩酸塩(testosteronyl-4-dimethylaminobutyrate.HCl)(TSBH)を設計し、調製した。これは、親油性部分及び生理学的pHではプロトン化された形態で存在する第3級アミン基を有する。彼らは、プロドラッグ(TSBH)は、薬物(TS)それ自体よりも〜60倍速く人の皮膚を通して拡散することを見出した[Susan Milosovichなど、J. Pharm. Sci., 82,227(1993)]。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピロキシカム、スドキシカム、ロルノキシカム、テノキシカム、アンピロキシカム、ロモキシカム、イソキシカム、シンノキシカム、メロキシカム、及び関連化合物は、関節リウマチ及び変形性関節症の徴候並びに症状の軽減、並びに発熱の軽減のために使用される。
残念ながら、多くの副作用はオキシカム及び関連化合物の使用と関連し、最も著しくは
胃腸障害であり、例えば、消化不良、胃十二指腸出血、胃潰瘍、及び胃炎である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、オキシカム及び関連化合物の新規な正荷電プロドラッグの調製、並びにそれらの医薬用途に関する。オキシカム及び関連化合物のプロドラッグは、次式の構造1を有する。
【化1】

【0006】
式中、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-であってn=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R4はH、CH3、C25、CF3、又はC25を表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……であり、R5はアリール又はヘテロアリール系を表し、以下のものを含むが、これに限定されない。
【0007】
【化2】

式中、X1及びX2はH、F、Cl、Br、I、CF3、C25、SO2CF3、SO2CH3、NO2、CN、又は1〜8炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基を表す。

【0008】
【化3】

【化4】

【0009】
式中、X1及びX2はH、F、Cl、Br、I、CF3、C25、SO2CF3、SO2CH3、NO2、又は1〜8炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基を表す。全てのR、-(CH2)n-、基は分枝鎖若しくは直鎖であり、C、H、O、S、又はN原子を含んでもよく、単結合、二重結合、及び三重結合を有してもよい。いずれのCH2基はO、S又はNHと置換されてもよい。
【0010】
薬物吸収は、胃腸管からであろうと他の部位からであろうと、薬物が分子形で障壁膜を横断して通過することを必要とする。薬物は初めに溶解しなければならず、もし薬物が望ましい生物薬剤的性質を有しているならば、高濃度の領域から低濃度の領域へと膜を横断して通過し、血液循環又は体循環に入るだろう。全ての生物学的膜は、主要な構成成分として脂質を含有している。膜形成について主要な役割を果たしている分子は、全てホスファート含有高極性頭基(head group)を有し、たいていの場合、2つの高疎水性炭化水素尾部(tail)を有している。膜は2分子膜であり、その2つの親水性頭基は、両側にある水性領域へと外側を向いている。非常に親水性な薬物は膜の疎水性層を通過することができず、非常に疎水性な薬物はそれらの類似性のため膜の一部として疎水性層に留まり、内側にある細胞質ゾルに能率的に入ることができないだろう。
【0011】
本発明の目的は、胃液中及び皮膚の水分中でのオキシカム及び関連化合物の溶解性を増大させること、並びにそれらを経皮投与可能(局所適用)にさせるであろう、膜及び皮膚障壁を通してのそれらの浸透率を増大させることにより、オキシカム及び関連化合物の副作用を回避することである。これらの新規なプロドラッグは、共通して2つの構造的特徴を有している。すなわち、これらは、親油性部分及び生理学的pHではプロトン化された形態で存在する第1級、第2級又は第3級アミン基(親水性部分)を有している。膜障壁を通して能率的に通過するためには、このような親水性親油性バランスが必要とされる[Susan Milosovichなど、J. Pharm. Sci., 82,227(1993)]。正に荷電されたアミノ基は薬物の溶解性を大きく増大させる。4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(4-N,N-dimethylaminobutyryloxy-2-methyl-N-2-pyridiny1,2H,1,2-benzothiazine-3-carboxamide 1,1-dioxide.HCl)、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル(isoxolyl)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩、ピロキシカム、スドキシカム、ロルノキシカム、テノキシカム、ロモキシカム、イソキシカム、及びメロキシカムの水中での溶解性は、>300 mg、>300 mg、>300 mg、>300 mg、>300 mg、>300 mg、>300 mg、<0.1 mg、<0.1 mg、<0.1 mg、<0.1 mg、<0.1 mg、<0.1 mg、及び<0.1 mg/mlである。多くの例では、一連の中での最も遅い又は律速段階は薬物の溶解である。オキシカム及び関連化合物は、胃液中又は皮膚の水分中で非常に低い溶解性を有する。これらの新規なプロドラッグは、錠剤、カプセル剤、液剤、又は懸濁剤のような投与形態で経口投与されると、直ちに胃液中で溶解するだろう。これらのプロドラッグのアミノ基上にある正電荷は、膜のホスファート頭基上にある負電荷と結合するだろう。従って、膜の外側の局所的な濃度が非常に高くなり、高濃度の領域から低濃度の領域へのこれらのプロドラッグの通過を促進するだろう。これらのプロドラッグが膜に入るとき、親水性部分は、半液体状濃縮水溶液又は懸濁液である細胞質ゾルの中にプロドラッグを押し込むだろう。胃のpHは1〜3であるため、胃粘膜の膜のホスファート頭基上にある負電荷はプロトン(H+)と結合される。これらのプロドラッグの正電荷は胃粘膜のホスファート頭基に結合することができない。従って、プロドラッグは胃を傷つけないだろう。
【0012】
4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩、ピロキシカム、スドキシカム、ロルノキシカム、テノキシカム、ロモキシカム、イソキシカム、メロキシカム、及び関連化合物の人の皮膚を通しての浸透率を、修正フランツ(Franz)細胞を使用することによって試験管内で測定した。修正フランツ細胞は前大腿部及び後大腿部のヒト皮膚組織(厚さ360〜400μm)から単離した。受容液(receiving fluid)は生理食塩水中2%ウシ血清アルブミン10mlからなり、600rpmで撹拌した。時間に対する、皮膚に浸透するこれらのプロドラッグ及び親薬物の累積量を特異的な高速液体クロマトグラフィー法により測定した。
【0013】
pH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)2mL中、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩、及び4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩の20%溶液、又はピロキシカム、スドキシカム、ロルノキシカム、テノキシカム、ロモキシカム、イソキシカム、及びメロキシカムの20%懸濁液のどちらかからなるドナーを使用して得た結果を図1に示す。4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1 ,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩、ピロキシカム、スドキシカム、ロルノキシカム、テノキシカム、ロモキシカム、イソキシカム、及びメロキシカムに対して、1.7 mg、1.5 mg、1.6 mg、1.8 mg、1.7 mg、1.8 mg、1.9 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、0.001 mg、及び0.001 mg/cm2/hという明白な流速値を計算した。本結果は、ジアルキルアミノエチル基上の正電荷は、薬物が膜又は皮膚障壁を横断して通過することにおいて非常に重要な役割を有していることを示す。構造1で表される他のプロドラッグは非常に高い浸透率を有し、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩の浸透率と非常に近似している。
【0014】
生体内での、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩、及び4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩、ピロキシカム、スドキシカム、ロルノキシカム、テノキシカム、ロモキシカム、イソキシカム、及びメロキシカムの、無処理ヘアレスマウスの皮膚を通しての浸透率を比較した。イソプロパノール1mL中、これらの化合物の20%溶液からなるドナーをヘアレスマウスの背中10cm2に塗布した。薬物の血漿レベルを、特異的な高速液体クロマトグラフィー法により測定した。本結果(図2)は、ドナー系の塗布後、〜50分で4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩のピークレベルに達したことを示す。
【0015】
オキシカム及び関連化合物を経口投与するとき、それらがピーク血漿レベルに達するのに1〜2時間かかる。ピーク血漿レベルは、ピロキシカム、及びスルドキシカムでは〜0.005mg/ml、並びに4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩では〜0.5mg/mlであった(ほぼ100倍の差)。血漿中〜0.5mg/mlのアセトアミノフェン及びアセトアミノサロールは、効果的な鎮痛活性及び効果的な抗炎症活性を生じるための血漿レベルよりも〜50倍を超えて高い。これは非常に興奮させる結果である。これらのプロドラッグを経皮投与することによって、患者に治療有効血漿レベルのオキシカムを送達することは、非常に容易かつ迅速であろう。これらの結果は、プロドラッグを経口投与だけでなく、どんな種類の薬物治療のためにも、経皮投与もし得ることを示す。生体内での、構造1で表される他のプロドラッグの浸透率は、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩の浸透率と近似している。
【0016】
プロドラッグの急性毒性を調査した。マウスにおける経口での4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩、及びピロキシカムのLD50は、550 mg/kg、670 mg/kg、580 mg/kg、500 mg/kg、610 mg/kg、570 mg/kg、590 mg/ kg、及び360 mg/kgである。プロドラッグは親薬物よりも毒性が低い。
【0017】
良いプロドラッグは血漿中で親薬物に戻るべきである。本発明のプロドラッグは、試験管内でヒト血漿中酵素によって速やかに切り離され得る。プロドラッグのうちの90%より多くは、数分で、変化してそれらの親薬物に戻る。プロドラッグははるかに高い吸収率を有するため、同用量でそれらの親薬物よりも強い作用を有するだろう。オキシカムは鎮痛及び解熱活性を示す。これらのプロドラッグの鎮痛及び解熱活性を、対照としてピロキシカムを使用して試験した。
【0018】
鎮痛活性:マウス尻尾の痛覚閾値延長時間を、D'Amour-Smith法(J. Pharmacol. Exp. Ther., 72,74(1941))に従って測定した。これらのプロドラッグ20mg/kgを経皮投与した後、マウスの尻尾を熱にさらし、痛覚閾値延長時間を測定した。得られた結果を図3に示す。オキシカムのプロドラッグを経皮投与した場合、これらはよく鎮痛活性を示した。
【0019】
酢酸溶液をマウスの腹腔内に投与したときに起こるライジング(writhing)数を数え、対照群に基づく抑制率を計算した。4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(50mg/kg、B)、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(50mg/kg、C)、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(50mg/kg、D)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(50mg/kg、E)、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩(50mg/kg、F)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩(50mg/kg、G)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩(50mg/kg、H)を、酢酸溶液を投与する60分前に、マウスに経皮投与した。グループAは対照群である。結果を表1に示す。
表1.オキシカムのプロドラッグによるライジング抑制率

本結果は、プロドラッグは優れた鎮痛活性を表すということを示す。構造1で表される他の化合物は類似した鎮痛活性を示す。
【0020】
解熱活性:ラットは発熱物質として滅菌された大腸菌懸濁液を受容した。対照群はグループAである。2時間後、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(25mg/kg、B)、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(25mg/kg、C)、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(25mg/kg、D)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(25mg/kg、E)、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩(25mg/kg、F)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩(25mg/kg、G)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩(25mg/kg、H)を経皮投与した。ラットの体温を試験化合物の投与前後90分間隔で測った。結果を表2に示す。
表2.オキシカムのプロドラッグの解熱活性

本結果から、プロドラッグは25mg/kg用量において強い解熱活性を示したということが分かる。構造1で表される他の化合物は類似した解熱活性を示す。
【0021】
経口高用量のいくつかのNSAIAは、シクロオキシゲナーゼ活性の抑制による抗反応−抗喘息活性を示すということもまた知られている。これらのプロドラッグは、非常に高い膜浸透率を有するため、患者の口又は鼻の中にスプレーすることにより喘息の治療に使用され得る。
【0022】
これらのプロドラッグはまた、シクロオキシゲナーゼ活性を抑制し、かつ非常に高い膜浸透率を有するため、乾癬、アクネ、日焼け又は他の皮膚病を治療するためにも使用され得る。これらは、皮膚癌、肺癌、乳癌、及び他の癌の治療に有益であるかも知れない。
【0023】
本発明は、通例、補助剤及び賦形剤に加えて、例えば、経口投与のための錠剤、カプセル剤又は液剤の形態で、及び経皮投与のための液剤、ローション剤、軟膏剤、乳剤又はゲル剤の形態で、構造1で表されるプロドラッグを含む薬剤調製に関する。構造1で表される新規な活性化合物は、人又は動物において、オキシカム治療可能な状態を治療するために、ビタミン、例えばA、B、C、E若しくはベータ−カロテン、又は他の薬物、例えば、ベータ−カロテン、カフェイン、プソイドエフェドリン、アザピロン、葉酸等と併用され得る。
【0024】
構造1で表される化合物、又は少なくとも構造1で表される化合物を活性成分として含む組成物の経皮治療応用システムは、人又は動物において、オキシカム治療可能な状態を治療するために使用され得る。これらのシステムは、活性物質含有マトリックス層及び非透過性支持層からなる包帯又はパッチであり得る。最も好ましいシステムは、活性物質貯蔵庫であり、これが皮膚に面する透過性底面を有する。放出の割合を制御することによって、このシステムは、オキシカム及び関連化合物が絶えず最適治療血中レベルに達することを可能にし、オキシカム及び関連化合物の効能を増大させ、かつ副作用を減少させることを可能にする。これらのシステムは手首、足首、腕、足、又は体のどこでも付けることができる。
【0025】
上記の構造1で表される化合物は、オキシカム及び関連化合物から、カップリング試薬、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート等を使用することにより、構造2で表される化合物との反応によって調製され得る。
【化5】

式中、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-であってn=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……である。
【0026】
上記の構造1で表される化合物は、オキシカム及び関連化合物から、構造3で表される化合物との反応によって調製され得る。
【化6】

式中、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-であってn=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、Xはハロゲン、又はp−トルエンスルホニルを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……である。
【発明の効果】
【0027】
これらのオキシカム及び関連化合物のプロドラッグは、親油性部分及び親水性部分(生理学的pHではプロトン化された形態で存在するアミン基)を有する。これらのプロドラッグの正に荷電されたアミノ基は2つの優れた利点を有する。第一に、薬物の溶解性を大きく増大させる。すなわち、これらの新規なプロドラッグが、錠剤、カプセル剤、液剤、又は懸濁剤のような投与形態で経口投与されるとき、これらは直ちに胃液中で溶解するだろう。第二に、これらのプロドラッグのアミノ基上にある正電荷は、膜のホスファート頭基上にある負電荷と結合するだろう。従って、膜の外側の局所的な濃度が非常に高くなり、高濃度の領域から低濃度の領域へのこれらのプロドラッグの通過を促進するだろう。これらのプロドラッグが膜に入るとき、親水性部分は、半液体状濃縮水溶液又は懸濁液である細胞質ゾルの中にプロドラッグを押し込むだろう。実験結果は、90%を超えるプロドラッグが変化して親薬物に戻ったということを示す。プロドラッグははるかに高い吸収率を有し、従って、プロドラッグは同用量でオキシカム及び関連化合物よりも強い作用を有するだろう。実験結果は、オキシカムのプロドラッグは、オキシカムよりも〜100倍速く、人の皮膚を通して拡散することを示唆する。オキシカム及び関連化合物を経口投与するとき、これらがピーク血漿レベルに達するのに1〜2時間かかるが、これらのプロドラッグは、ピーク血漿レベルに達するのにたったの〜約50分しかかからなかった。最も興奮させる結果は、プロドラッグを経口投与だけでなく、どんな種類の薬物治療のためにも経皮投与することが可能であり、かつオキシカム及び関連化合物のたいていの副作用、最も著しくは胃腸障害、例えば、消化不良、胃十二指腸出血、胃潰瘍、及び胃炎を回避するだろうということである。これらのプロドラッグを経皮投与することのもう一つの大きな利点は、特に子供への、薬物投与がいっそう容易になるだろうということである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】フランツ細胞(n=5)での、単離されたヒト皮膚組織を横断する4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(A、20%溶液)、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(B、20%溶液)、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(C、20%溶液)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(D、20%溶液)、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩(E、20%溶液)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩(F、20%溶液)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩(G、20%溶液)、ピロキシカム(H、20%懸濁液)、スドキシカム(I、20%懸濁液)、ロルノキシカム(J、20%懸濁液)、テノキシカム(K、20%懸濁液)、ロモキシカム(L、20%懸濁液)、イソキシカム(M、20%懸濁液)、及びメロキシカム(N、20%懸濁液)の累積量。それぞれの場合において、媒体はpH7.4ホスファート緩衝液(0.2M)であった。
【図2】イソプロパノール中の、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩、ピロキシカム、及びスドキシカム1mlをヘアレスマウス(n=5)の背中に局所適用した後の、薬物総血漿レベル。
【図3】4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(B)、N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(C)、6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(D)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩(E)、8-クロロ-(4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-ピリジン-2-イルアミノ-メチリデン)-3-メチル-2,2-ジオキソ-2λ6,7-ジチア-3-アザビシクロ[4,3,0]ノナ-8,10-ジエン-5-オン塩酸塩(F)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩(G)、4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-(5-メチル-2-チアゾリル)-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド-1,1-ジオキシド塩酸塩(H)20mg/kg経皮投与後の、マウス尻尾の痛覚閾値延長時間。グループAは対照群である。
【図4】構造1。式中、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-であってn=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R4はH、CH3、C25、CF3、又はC25を表し、R5は請求項1で示されるアリール又はヘテロアリール系を表す。Arは請求項1で示されるアリール又はヘテロアリール環を表す。Xはハロゲン、又はp−トルエンスルホニルを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表し、n=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(最良の形態)
4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩の調製
4-ヒドロキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド33.1g(0.1mol)をアセトン200ml及び10%NaHCO3250ml中に溶解した。ジメチルアミノブチリルクロリド塩酸塩22.3g(0.12mol)を混合物に加えた。混合物を室温で3時間撹拌した。溶液を蒸発させた。酢酸エチル500mlを反応混合物に加え、混合物を5%NaHCO3(1×200ml)及び水(3×100ml)で洗浄した。得られた有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除去した。HClガス(4g)を溶液中にバブルする。固形生成物を濾過により集めた。乾燥後、吸湿性の目的生成物40g(83.2%)を得た。水中での溶解性:250mg/ml、元素分析:C2125ClN45S、分子量:480.96、計算% C:52.44, H: 5.24, Cl: 7.37, N: 11.65, O: 16.63, S: 6.67、実測% C: 52.40, H: 5.27, Cl: 7.42, N: 11.60; O: 16.70, S: 6.61、1H-NMR(400MHz,D2O):δ: 2.00 (m, 2H), 2.23 (m, 2H), 2.46 (s, 3H), 2.85 (s, 6H), 3.18 (m, 2H), 6.60-6.70 (m, 2H), 7.20 (m, 1H), 7.40-7.44 (m, 2H), 7.56 (m, 1H), 7.80 (m, 1H), 8.10 (m, 1H)。
【0030】
(発明の形態)
N-(2-チアゾリル)-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩の調製
(2-チアゾリル)-4-ヒドロキシ-2-メチル-2H,1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド32.5g(0.1mol)及びジエチルアミノ酪酸16g(0.1mol)をジクロロメチレン300mlに溶解した。混合物を氷浴で0℃に冷却する。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6g(0.1mol)を反応混合物に添加した。混合物を0℃で1時間、及び室温で2時間撹拌した。固形物を濾過により除去する。ジクロロメチレン溶液を5%NaHCO3(2×100ml)及び水(3×100ml)で洗浄した。得られた有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除去した。HClガス(4g)を溶液中にバブルする。固形生成物を濾過により集めた。乾燥後、吸湿性の目的生成物37g(76%)を得た。水中での溶解性:250mg/ml、元素分析:C1923ClN452、分子量:486.99、計算% C: 46.86, H: 4.76, Cl: 7.28, N: 11.50, O: 16.43, S: 13.17、実測% C: 46.83, H: 4.78, Cl: 7.31, N: 11.52, O: 16.41, S: 13.15、1H-NMR(400MHz,D2O)δ: 2.01 (m, 2H), 2.22 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 2.85 (s, 6H), 3.18 (m, 2H), 6.50 (m, 1H), 7.20 (m, 1H), 7.40 (m, 1H), 7.50 (m, 1H), 7.58 (m, 1H), 7.85 (m, 1H)。
【0031】
6-クロロ-4-ヒドロキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩の調製
6-クロロ-4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩36g(0.1mol)をアセトン200ml及び10%NaHCO3200ml中に溶解した。ジメチルアミノブチリルクロリド塩酸塩22.3g(0.12mol)を混合物に加え、混合物を室温で3時間撹拌した。溶液を蒸発させた。酢酸エチル500mlを反応混合物に加え、混合物を10%NaHCO3(1×500ml)及び水(3×100ml)で洗浄した。得られた有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除去した。HClガス(4g)を溶液中にバブルする。固形生成物を濾過により集めた。乾燥後、吸湿性の目的生成物42g(80.5%)を得た。水中での溶解性:250mg/ml、元素分析:C1922Cl2452、分子量:521.44、計算% C: 43.76, H: 4.25, Cl: 13.60, N: 10.74, O: 15.34, S: 12.30、実測% C: 43.72, H: 4.27, Cl: 13.67, N: 10.70; O: 15.37, S: 12.27、1H-NMR(400MHz,D2O):δ: 2.02 (m, 2H), 2.21 (m, 2H), 2.47 (s, 3H), 2.86 (s, 6H), 3.18 (m, 2H), 6.60-6.70 (m, 2H), 7.10 (s, 1H), 7.44 (m, 1H), 8.10 (m, 1H)。
【0032】
4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド塩酸塩の調製
4-ヒドロキシ-2-メチル-N-2-ピリジニル-2H-チエノ[2,3-e]-1,2-チアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド32.5g(0.1mol)及びジエチルアミノ酪酸16g(0.1mol)をジクロロメチレン300mlに溶解した。混合物を氷浴で0℃に冷却する。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6g(0.1mol)を反応混合物に添加した。混合物を0℃で1時間、及び室温で2時間撹拌した。固形物を濾過により除去する。ジクロロメチレン溶液を5%NaHCO3(2×100ml)及び水(3×100ml)で洗浄した。得られた有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除去した。HClガス(4g)を溶液中にバブルする。固形生成物を濾過により集めた。乾燥後、吸湿性の目的生成物39g(80.1%)を得た。水中での溶解性:250mg/ml、元素分析:C1923ClN452、分子量:486.99、計算% C: 46.86, H: 4.76, Cl: 7.28, N: 11.50, O: 16.43, S: 13.17、実測% C: 46.82, H: 4.77, Cl: 7.30, N: 11.47; O: 16.47, S: 13.15、1H-NMR(400MHz,D2O)δ: 2.02 (m, 2H), 2.21 (m, 2H), 2.47 (s, 3H), 2.86 (s, 6H), 3.18 (m, 2H), 6.61-6.70 (m, 2H), 7.30 (d, 1H), 7.45 (m, 1H), 7.60 (d, 1H), 8.11 (m, 1H)。
【0033】
4-N,N-ジメチルアミノブチリルオキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩の調製
4-ヒドロキシ-2-メチル-N-[5-メチル-3-イソキソリル-2H-1,2-ベンゾチアジン-3-カルボキサミド 1,1-ジオキシド]塩酸塩32.5g(0.1mol)及びジエチルアミノ酪酸16g(0.1mol)をジクロロメチレン300mlに溶解した。混合物を氷浴で0℃に冷却する。N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド20.6g(0.1mol)を反応混合物に添加した。混合物を0℃で1時間、及び室温で2時間撹拌した。固形物を濾過により除去する。ジクロロメチレン溶液を5%NaHCO3(2×100ml)及び水(3×100ml)で洗浄した。得られた有機溶液を無水硫酸ナトリウム上で乾燥させた。硫酸ナトリウムを濾過により除去した。HClガス(4g)を溶液中にバブルする。固形生成物を濾過により集めた。乾燥後、吸湿性の目的生成物37g(78.7%)を得た。水中での溶解性:250mg/ml、元素分析:C1923ClN46S、分子量:470.93、計算% C: 48.46, H: 4.92, Cl: 7.53, N: 11.90, O: 20.38, S: 6.81、実測% C: 48.43, H: 4.94, Cl: 7.57, N: 11.86, O: 20.41, S: 6.79、1H-NMR(400MHz,D2O)δ: 2.01 (m, 2H), 2.22 (m, 2H), 2.44 (s, 3H), 2.85 (s, 6H), 3.18 (m, 2H), 6.40 (m, 1H), 7.20 (m, 1H), 7.40 (m, 1H), 7.52 (m, 1H), 7.58 (m, 1H), 7.85 (m, 1H)。
【産業上の利用可能性】
【0034】
構造1で表されるプロドラッグは、オキシカム及び関連化合物よりも優れている。これらは、人又は動物において、オキシカム及び関連化合物治療可能な状態の治療に医薬的に使用され得る。これらは、関節リウマチ及び変形性関節症の徴候並びに症状の軽減、発熱の軽減、並びに月経困難症の治療のために使用され得る。これらのプロドラッグは、非常に高い膜浸透率を有するため、患者に吸入することによって喘息の治療に使用され得る。これらは、乳癌、結腸直腸癌(colorestal cancer)、膵臓癌、皮膚癌、及び他の癌の治療に使用され得、これらは抗炎症性のため、乾癬、アクネ、日焼け又は他の皮膚病を治療するために使用され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の構造1で表される化合物。
【化1】

式中、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-であってn=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R4はH、CH3、C25、CF3、又はC25を表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表し、R5はアリール又はヘテロアリール系を表し、以下のものを含むが、これに限定されず、
【化2】

【化3】

式中、X1及びX2はH、F、Cl、Br、I、CF3、C25、SO2CF3、SO2CH3、NO2、又は1〜8炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基を表し、




【化4】

式中、X1及びX2はH、F、Cl、Br、I、CF3、C25、SO2CF3、SO2CH3、NO2、又は1〜8炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル若しくはアルキニル残基を表し、全てのR、-(CH2)n-、基は分枝鎖若しくは直鎖であり、O、S、Cl、F、Br、I、又はN原子を含んでもよく、単結合、二重結合、及び三重結合を有してもよく、いずれのCH2基はO、S、又はNHと置換されてもよい。
【請求項2】
請求項1に記載の、構造1で表される化合物を調製する方法であって、該化合物を、オキシカム及び関連化合物から、カップリング試薬、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート等を使用することにより、以下の構造2で表される化合物と反応させることにより得ることを特徴とする方法。
【化5】

式中、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-であってn=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表す。
【請求項3】
請求項1に記載の、構造1で表される化合物を調製する方法であって、該化合物を、オキシカム及び関連化合物の金属塩、有機塩基塩、又は固定化された塩基塩から、以下の構造3で表される化合物と反応させることにより得ることを特徴とする方法。
【化6】

式中、Rは分枝鎖若しくは直鎖、-(CH2)n-であってn=0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10……、アリール残基又はヘテロアリール残基を表し、R1はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R2はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、R3はH、1〜12炭素原子を有するアルキル、アルキルオキシ、アルケニル、若しくはアルキニル残基のいずれか一つ、アリール又はヘテロアリール残基を表し、Xはハロゲン、又はp−トルエンスルホニルを表し、A-はCl-、Br-、F-、I-、AcO-、シトラート、又は陰イオンを表す。
【請求項4】
請求項1に記載の、構造1で表される化合物、又は少なくとも構造1で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、人又は動物において、オキシカム治療可能な状態を治療するために、経口投与又は経皮投与可能である化合物又は組成物であって、前記オキシカム治療可能な状態が、歯痛、頭痛、並びに関節炎及び他の炎症性疼痛、熱、癌、月経困難症、放射線誘発性嘔吐、糖尿病性神経障害、急性片頭痛、血友病性関節症、骨喪失、並びに日焼けを含むが、これに限定されるものではない化合物又は組成物。
【請求項5】
人又は動物において、オキシカム治療可能な状態を治療する方法であって、身体の一部に(溶液、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルの形態で)経皮投与することにより、請求項1に記載の、構造1で表される化合物、又は少なくとも構造1で表される化合物を活性成分として含む組成物の治療有効血漿レベルを送達することを特徴とする方法。
【請求項6】
人又は動物において、疼痛、例えば、頭痛、歯痛、筋肉痛、並びに関節炎及び他の炎症性疼痛を局所的に治療する方法であって、治療有効量の、請求項1に記載の、構造1で表される化合物、又は少なくとも構造1で表される化合物を活性成分として含む組成物を炎症部位に投与することを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1に記載の、構造1で表される化合物、又は少なくとも構造1で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、乾癬、アクネ、日焼け又は他の皮膚病を治療するために、溶液、スプレー、ローション、軟膏、エマルジョン又はゲルの形態で経皮投与され得る化合物又は組成物。
【請求項8】
請求項1に記載の、構造1で表される化合物、又は少なくとも構造1で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、喘息を治療するために、口若しくは鼻又は体の他の部分を通してスプレーすることにより投与されることを特徴とする化合物又は組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の、構造1で表される化合物、又は少なくとも構造1で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、人又は動物において、炎症性眼疾患、角膜手術後眼痛、緑内障、又は耳の炎症性及び/又は有痛性状態(耳炎)を治療するための化合物又は組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の、構造1で表される化合物、又は少なくとも構造1で表される化合物を活性成分として含む組成物であって、乳癌、結腸直腸癌、膵臓癌、皮膚癌、及び他の癌を治療するための化合物又は組成物。
【請求項11】
人又は動物において、NSAIA治療可能な状態を治療するための、請求項1に記載の、構造1で表される化合物、又は少なくとも構造1で表される化合物を活性成分として含む組成物の経皮治療応用システムであって、活性物質含有マトリックス層及び非透過性支持層からなる包帯又はパッチであり得、最も好ましくは、活性物質貯蔵庫であり、これが皮膚に面する透過性底面を有し、放出の割合を制御することによって、オキシカムが絶えず最適治療血中レベルに達することを可能にし、効能を増大させ、オキシカムの副作用を減少させることを可能にすることを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−505936(P2010−505936A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531929(P2009−531929)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【国際出願番号】PCT/IB2006/053741
【国際公開番号】WO2008/044095
【国際公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(509011581)テックフィールズ バイオケム カンパニー リミテッド (10)
【出願人】(509023539)
【Fターム(参考)】