説明

非接触型ICメディアの製造方法および非接触型ICメディア

【課題】本発明は、リーダライタに対して非接触でデータの授受を行う非接触型ICメディアの製造方法および非接触型ICメディアに関し、製造工程の削減を図り、低コストで外力によるICチップへの影響を軽減させることを目的とする。
【解決手段】基材12の第2の片12B上にアンテナ部15と共に、ICチップ17の実装領域の周辺領域にリブ部18を所定高さで形成させ、第1の片12A上に第1および第2の片が重ねられたときにリブ部18と突き合わされる対向リブ部19を所定高さで形成させ、ICチップ17を実装させた後に当該第1および第2の片12A,12Bを重ね合わせ接着させることで当該リブ部18と対向リブ部19とを突き合わせさせ、延長部20を形成した第3の片12Cを第2の片に重ね接着させることでICチップ17をアンテナ部15の両端に接続させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リーダライタに対して非接触でデータの授受を行う非接触型ICメディアの製造方法および非接触型ICメディアに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えばRF−ID(Radio Frequency Identification)と称される非接触型メディア(非接触型ICカード等)に関する技術が急速に進歩してきており、その使用も多岐にわたっている。このようなRF−IDは、基材にアンテナ部となるアンテナパターンを形成してICチップを搭載したインレットと称されるものを他のベース基材に貼着して作製される。このようなRF−IDは、ベース基材に紙材やフィルムを使用するものも多く、曲げ等に対してICチップに影響を与えない強度の向上が望まれている。
【0003】
例えば、上記RF−IDにおいては、紙材やフィルム等をベース基材としたインレットにおいて通信のためにアンテナ部のアンテナパターンを複数巻回してループ状に形成するのが一般的であり、パターンの両端の端子間に絶縁層を介してパターンラインを交差させてICチップを搭載することが知られている。このようなRF−IDは、曲げ等に対してICチップへの保護が不十分であるために、ベース基材の強度向上を図ったものとして、以下の特許文献にその形態や製造方法が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2000−259804号公報
【0005】
上記特許文献にはICカード補強構造が開示されており、2つのオーバーシート間にICチップ、回路パターンが形成された回路用シートおよびスペーサーシートを接着層を介して埋設させたICカードであって、カード全体の表面および裏面のICチップが位置されている部分に補強シールをそれぞれ接着剤で貼付した構造のものとして示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献に記載されているICカード補強構造は、補強シールをそれぞれ貼付することから、その分の製造工程や設備が必要となってコスト高、スループットの低下を招くと共に、補強シールを別途必要としてその分の製品コストが高くなるという問題がある。
【0007】
本発明は、製造工程の削減を図り、外力によるICチップへの影響を軽減させる低コストの非接触型ICメディアの製造方法および非接触型ICメディアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1の発明では、少なくとも2片の絶縁性の基材上の一方の片にアンテナ部が形成されて、当該アンテナ部の端部間にICチップを実装させる非接触型ICメディアの製造方法であって、前記基材の何れかの2片の少なくとも一方面および他の片の所定面に接着剤層が形成されるステップと、前記一方片上に前記アンテナ部が形成されると共に、当該アンテナ部および前記ICチップを実装させる領域と隔離された当該ICチップ実装領域の周辺領域にリブ部が当該ICチップの厚さより大の高さで形成されるステップと、前記アンテナ部が形成された片上に、当該アンテナ部の両端と接続させて前記ICチップが実装されるステップと、前記2片の前記接着剤層同士を対向させて重ね接着されるステップと、を含む構成とする。
【0009】
請求項2、3の発明では、「前記リブ部が形成される際、前記他方片上に、前記2片が重ねられたときに当該リブ部と突き合わされる対向リブ部が所定高さで形成されるステップを含み、対向する前記リブ部および当該対向リブ部とが突き合わされて重ね接着される」構成であり、
「前記基材は第3の片を含んで前記接着剤層が少なくとも一方面に形成されるもので、前記アンテナ部が形成される片の当該アンテナ部の一方端の領域、および当該第3の片に当該アンテナ部の一方端を前記ICチップの接続端子に接続させるための短絡部を形成させる領域に、互いの領域が重ねられたときに対向される貫通部がそれぞれ形成されるステップと、前記アンテナ部と共に前記短絡部が形成され、その際に前記貫通部に当該導電性部材が充満されるステップと、前記第3の片と前記アンテナ部が形成された片との前記接着剤層同士を対向させて重ね合わせ接着され、その際に対向する前記貫通部に充満された導電性部材同士が導通されるステップと、を含む」構成である。
【0010】
請求項4の発明では、少なくとも2片の絶縁性の基材上の一方または他方の片に、アンテナ部がチップ上に形成されたICチップを実装させる非接触型ICメディアの製造方法であって、前記基材の何れかの2片の少なくとも一方面および他の片の所定面に接着剤層が形成されるステップと、前記基材の一方片または他方片上に、導電性部材または非導電性部材により、実装されるべき前記ICチップの領域と隔離された周辺領域に所定形状のリブ部が当該ICチップの厚さより大の高さで形成されるステップと、前記一方片または他方片における前記2片が重ねられたときに前記リブ部の内側となる領域に、前記ICチップが実装されるステップと、前記2片の前記接着剤層同士を対向させて重ね接着させるステップと、を含む構成とする。
【0011】
請求項5の発明では、前記一方片上に前記リブ部が形成される際、前記他方片上に、前記2片が重ねられたときに上記リブ部と突き合わされる所定形状の対向リブ部が所定高さで形成されるステップを含み、対向する前記リブ部および当該対向リブ部とが突き合わされて重ね接着されるステップを含む構成である。
【0012】
請求項6の発明では、少なくとも2片が重ねられて接着剤により接着される基材と、前記基材の重ね面に導電性部材で形成されるアンテナ部と、前記アンテナ部の両端に接続されて実装されるICチップと、前記ICチップの周辺における前記アンテナ部と隔離された領域に設けられ、当該ICチップの厚さより大の保護リブ部と、を有する非接触型ICメディアの構成とする。
【0013】
請求項7の発明では、少なくとも第1〜第3の片が重ねられて接着剤により接着される基材と、前記第3の片の一方面に導電性部材で形成されるもので、前記第2の片に対する貫通部が所定位置に形成されて当該貫通部に当該導電性部材が充満される短絡部と、前記第2の片における前記第1の片との重ね面に導電性部材により形成されるもので、前記第3の片の貫通部に対応する貫通部が形成されて当該導電性部材が充満されることで当該第3の片の短絡部と導通される端部を有するアンテナ部と、前記アンテナ部の両端に前記短絡部を介して接続されて実装されるICチップと、前記第1および第2の片に設けられ、前記ICチップの周辺における前記アンテナ部と隔離された領域に当該ICチップの厚さより大の保護リブ部と、を有する非接触型ICメディアの構成とする。
【0014】
請求項8の発明では、少なくとも2片が重ねられて接着剤により接着される基材と、前記2片の重ね合わせ面に位置され、アンテナ部がチップ上に形成されたICチップと、前記ICチップの周辺における当該ICチップと隔離された領域に、導電性部材または非導電性部材により所定形状で形成されて設けられ、当該ICチップの厚さより大の保護リブ部と、を有する非接触型ICメディアの構成とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1〜3の発明によれば、2片の基材の一方片上にアンテナ部と共に、ICチップ実装領域の周辺領域に当該アンテナ部およびICチップと隔離されたリブ部を所定高さで形成させ、適宜、他方片上に当該2片が重ねられたときにリブ部と突き合わされる対向リブ部を所定高さで形成させ、ICチップを実装させた2片を重ね合わせ接着させ、また適宜アンテナ部とICチップとを接続させるための短絡部を基材の第3の片に形成して重ね接着させることにより、ICチップを外力から保護させるリブ部をアンテナ部と同時期に形成させることから、製造工程の削減、スループットの向上を図ることができ、コスト低減を図ることができるものである。
【0016】
請求項4、5の発明によれば、少なくとも2片のうちの一方片上に、アンテナ部がチップ上に形成されたICチップを実装させる領域と隔離された周辺領域に所定形状のリブ部を所定高さで形成させ、適宜、他方片上に当該2片が重ねられたときに上記リブ部と突き合わされる所定形状の対向リブ部を所定高さで形成させ、上記2片を重ね接着させることで当該リブ部、対向リブ部の内側にICチップを位置させることにより、ICチップを外力から保護させる非接触型ICメディアを安価に製造することができるものである。
【0017】
請求項6〜8の発明によれば、実装されるICチップの周辺領域に、当該ICチップより高さの大な保護リブ部を設ける構造とすることにより、ICチップを外力から保護するメディアの強度を向上させることができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の最良の実施形態を図により説明する。なお、本実施形態で示す図のうち、断面図は説明上のために寸法等は無視して示してある。また、本実施形態では、基材の何れかの3片または2片の少なくとも一方面および他の片の所定面に接着剤層を形成させる場合として、製造上の効率向上から当該基材の表裏両面の全面に当該接着剤層を形成するものとして説明する。
【0019】
図1に、本発明に係る非接触型ICメディアの第1実施形態の構成図を示す。図1(A)は本発明に係る非接触型ICメディアの展開状態の部分平面図、図1(B)は図1(A)のA−A断面図、図1(C)は製造途中の概念斜視図、図1(D)は図1(B)の状態で折り重ね接着させた最終的な非接触型ICメディアの断面図である。図1(A)〜(D)において、非接触型ICメディア11は、図1(A)、(B)に示すように、フィルムまたは紙材等の絶縁性の基材12が、第1〜第3の片12A〜12Cより構成され、それぞれが接着剤層13を介して折線14部分で折り重ね合わせ接着されるものである。
【0020】
図1(A)、(B)に示すように、第2の片12Bの一方面(実際的には接着剤層13面上)には、アンテナ部15が所定数巻回された形態で形成されるもので、当該アンテナ部15はその一方端が巻回部分を挟んで対向する端子部16を含む概念であり、他方端と当該端子部16の他方端がICチップ17の接続端子と接続されるものである。アンテナ部15(端子部16を含む)は、導電性部材、例えば従前より知られている導電性インキを用いて、例えばスクリーン印刷により形成されたものである。導電性インキとしては、例えば通常スクリーン印刷に使用されるインキに導電性金属粒子を混入させたものがある。
【0021】
また、上記アンテナ部15(端子部16を含む)および実装されるICチップ17の領域と隔離された当該ICチップ17の周辺領域に、上記同様の導電性部材(導電性インキ)でリブ部18が形成される。ICチップ17は、例えば0.5mm四方のもので、厚さが80μm〜150μmのものまであるが、厚さが例えば150μmの場合には、形成されるリブ部18の高さが同様の150μmで形成される(同様の厚さでアンテナ部15、端子部16も同時に形成される)。なお、他の実施形態においてもICチップ17の厚さを150μmとして説明する。
【0022】
一方、第1の片12A上の一方面(実際的には接着剤層13面上)には、第1および第2の片12A,12Bが折り重ねられたときに上記リブ部18と突き合わされる位置に対向リブ部19が同様の高さで形成される。また、第3の片12Cの一方面(実際的には接着剤層13面上)には、第2および第3の片12B,12Cが折り重ねられたときに、上記アンテナ部15の一方端と端子部16の一方端とを接続させる位置に短絡部20が同様の導電性部材(導電性インキ)により形成される。
【0023】
この場合、アンテナ部15の一方端には貫通部21Aが形成されると共に、端子部16の一方端には貫通部21Bが形成され、上記短絡部20の両端に貫通部22A,22Bが形成されるもので、これら貫通部21A,21B,22A,22Bには上記同様の導電性部材(導電性インキ)が充満される。すなわち、折り重ね接着させたときに、接着剤層13を構成する接着剤を感圧接着剤として接着時の圧力により貫通部21Aと貫通部22Aとが互いに充満された導電性インキで導通状態となり、貫通部21Bと貫通部22Bとが互いに充満された導電性インキで導通状態となることによって、第2の片12B上におけるアンテナ部15と端子部26とが導通状態となるものである。
【0024】
上記接着剤層13を構成する感圧接着剤としては、例えば天然ゴムまたは天然ゴムラテックスで構成される接着剤に、シリカ、コーンスターチ、デンプン等の微粒状充填剤を充填させたもので、当該微粒状充填剤の充填量や加える圧力によって接着強度を調整することができる。すなわち、接着剤層13は、基材12の折り重ね接着後に剥離不能とさせるものでもよく、再剥離可能とさせるものでもよい。
【0025】
そして、図1(C)に示すように、第1〜第3の片12A〜12Cが連接された基材12が折り線14でいわゆるZ折りにより重ね合わせ接着されたときに、上記のように第3の片12Cの短絡部20で第2の片12B上におけるアンテナ部15と端子部26とが導通状態になると共に、図1(D)に示すように、第1の片12Aに形成された対向リブ部19と第2の片12Bに形成されたリブ部18とが突き合わされて保護リブ部となる。すなわち、上記リブ部18および対向リブ部19が互いにICチップ17の厚み(高さ)と同程度に形成されていることから当該保護リブ部の高さは、例え接着時の圧力によっても少なくとも当該ICチップ17の高さより大となる。
【0026】
ここで、図2に、本発明に係る非接触型ICメディア作製における製造システムの一例の構成図を示す。図2において、製造システム31は、連続基材供給部32、穿孔部33、ミシン部34、印刷部35、乾燥・硬化部36、実装部37、折り部38、切断・圧着部39および排出部40を適宜備える。連続基材供給部32は、後述の図3で示すように第1〜第3の片12A〜12Cが連設された基材12を連続状態(連続基材32A)で供給するものであり、その表裏両面には予め上記接着剤層13が形成されているものとする。
【0027】
上記穿孔部33は、第1〜第3の片12A〜12Cが折り重ねられたときにアンテナ部15の一方端および端子部16の一方端と、短絡部20の両端が重なる部分に接続のための貫通部21A,21B,22A,22Bをそれぞれ形成する。上記ミシン部34は、単一の基材12(第1〜第3の片12A〜12C)とするための切取ミシン線(41)を形成すると共に、当該第1〜第3の片12A〜12Cとして折り重ねするための折線14を形成する。なお、当該ミシン部34は、後述の乾燥・硬化部36の後工程で実装部37の前工程に配置してもよいが、ここでは当該位置に配置するものとして説明する。
【0028】
上記印刷部35は、例えばスクリーン印刷を行うもので、使用される印刷インキは上述のように導電性インキであり、上述のように厚さ150μmに対して厚さ(高さ)150μmで印刷する。すなわち、当該印刷部35は、第1の片12Aの対向リブ部19、第2の片12Bのアンテナ部15および端子部16、第3の片12Cの短絡部20とを一度に形成する。このとき、上記穿孔部33で形成した貫通部21A,12B,22A,22B内に導電性インキを充満させる。ここで、充満とは、当該貫通部21A,21B,22A,22B内に導電性インキが充填される際に少なくとも当該導電性インキが一方面(感圧接着剤層13側)と同一面または突出される程度をいう。
【0029】
上記乾燥・硬化部36は、上記印刷部35で印刷を行った際の導電性インキを所定温度で加熱して硬化(定着)させる。上記実装部37は、上記形成されたアンテナ部15の他端と端子部16の他端との間に、ICチップ17を接続して実装する。上記折り部38は、連続の第1〜第3の片12A〜12Cを互いの接着剤層13を介して上記形成した折線14に沿っていわゆるZ折りに折り重ねる。この場合、上述のように、第1および第2の片12A,12B間では、対向リブ部19が形成された面とアンテナ部15およびリブ部18が形成された面とが折り重ねられて接着されることでリブ部18と対向リブ部19とが突き合わされた状態とされる。また、第2および第3の片12B,12C間では、アンテナ部15および端子部16の形成面の反対面と短絡部20の形成面の反対面とが対向されて折り重ねられる。すなわち、最終的な非接触型ICメディア11が接着される前の連続された状態となる。
【0030】
そして、上記切断・圧着部39は、折り重ねられた最終的な非接触型ICメディア11の接着される前の連続した状態を単一の非接触型ICメディア11とすべく上記形成された切取ミシン線(41)によって切断し、圧着ローラにより所定圧力で接着剤層13同士を接着させることによって非接触型ICメディア11として排出部40に排出するものである。
【0031】
そこで、図3および図4に、図2の製造システムによる非接触型ICメディア作製の説明図を示す。まず、図3(A)に示すように連続基材供給部32より供給される第1〜第3の片12A〜12Cが連接される基材12を連続させた連続基材32Aの表裏両面には上記接着剤層(感圧性)13が予め塗布されているもので、以降では表示を省略して示している。接着剤層13が形成された連続基材32Aは、穿孔部33において上記のように位置決めされた貫通部21A,21B,22A,22Bが、当該単一となるときの基材12(第1〜第3の片12A〜12C)毎に形成される(図3(B))。
【0032】
続いて、ミシン部34において、連続基材32Aを単一とするための分離線である切取ミシン線41がそれぞれ当該連続基材32Aの幅方向に形成されると共に、折線14が例えば当該連続基材32Aの長手方向で形成される(図3(C))。印刷部35では、連続基材32Aの第1〜第3の片12A〜12Cにおける一方面の同一面上に、上記対向リブ部19、アンテナ部15、端子部16、リブ部18および短絡部20を一度に印刷して形成させる。これらの形成位置はスクリーン印刷における版によって定まり、それぞれ貫通部21A,21B,22A,22B上を含んで形成される。この際、スキージにより導電性インキが供給されることから、当該貫通部21A,21B,22A,22B内に導電性インキが充填され、当該導電性インキの版上への供給量を調節することで上記充満状態にさせることができるものである(図3(D)、図4(A))。
【0033】
印刷部35によって上記対向リブ部19、アンテナ部15、端子部16、リブ部18および短絡部20が形成された連続基材32Aは、乾燥・硬化部36によって定着された後に、実装部37においてアンテナ部15の他端と端子部16の他端間にICチップ17が搭載されて実装される(図4(B))。その後、折り部38により折線14に沿ってそれぞれ接着剤層13を介在させた状態で順次折り重ねられる(図4(B))。このとき、リブ部18と対向リブ部19とが突き合わされた状態なる。
【0034】
折り重ねられた連続基材32Aは、切断・圧着部39において、折り重ねられた状態で単一の基材12(第1〜第3の片12A〜12C)に分離され、圧着ローラによって感圧接着剤同士が接着されて非接触型ICメディア11として排出部40に排出されるものである(図4(C))。すなわち、リブ部18と対向リブ部19とがICチップ17の厚さより高い保護リブ部となって、当該ICチップ17の周辺に位置されることとなる。なお、圧着時に実装されたICチップ17に過度の圧力が加えられないように、圧着ローラには当該ICチップ17を回避する溝を形成させてもよい。
【0035】
このように、ICチップ17を外力から保護させる当該リブ部18および対向リブ部19の保護リブ部をアンテナ部15等と同時期に形成することから、製造工程の削減、スループットの向上を図ることができ、製造された非接触型ICメディア11のコストを低減させることができるものである。
【0036】
ところで、上記実施形態では、基材12を3片で区分していわゆるZ折りとして非接触型ICメディア11を製造した場合を示したが、第3の片12Cを構成させずに製造することもできる。すなわち、上記図1(A)で示す第2の片12B上において、アンテナ部15の一方端と、対向する端子部16の一方端との間に位置される回路パターン上に絶縁層を形成させ、当該絶縁層上にジャンパ部を導電性部材で形成することで当該アンテナ部15の一方端と端子部16の一方端とを導通状態とさせることができるものである。
【0037】
次に、図5に、本発明に係る非接触型ICメディア作製における他の製造システムの一例の構成図を示す。この製造システムは、図5では、上述のフィルムまたは紙材等の絶縁性の第1〜第3の片12A〜12Cを枚葉の第1〜第3の基材61A〜61Cとして上記同様の非接触型ICメディア11を製造するシステムである。
【0038】
すなわち、図5において、製造システム51は、第1の基材61Aの処理搬送ライン、第2の基材61Bの処理搬送ラインおよび第3の基材61Cの処理搬送ラインが並列に配置されたもので、それぞれ対応する単片基材供給部52A〜52C、穿孔部53B,53C、印刷部54A〜54C、乾燥・効果部55A〜55Cが順次配置される。そして、第2の基材61Bの処理搬送ラインにおける乾燥・効果部55Bの次段には実装部56Bが配置され、この後段に反転部57Bが配置される。これら第1〜第3の基材61A〜61Cの処理搬送ラインは、重ね合わせ圧着の主搬送ライン58に連結される。
【0039】
上記主搬送ライン58には、第1および第2の基材61A,61Bを重ね合わせる部分に位置合わせのためのセンサ59Bが設けられ、第3の基材61Cを重ね合わせる部分に位置合わせのためのセンサ59Cが設けられる。そして、重ね合わせ工程の後段に圧着部60が配置されたものである。
【0040】
このような製造システム51においては、第1〜第3の基材61A〜61Cの必要面には予め上記接着剤層13が形成されており、これらがそれぞれの単片基材供給部52A〜52Cに所定数セットされて次工程に供給される。単片基材供給部52Aより順次供給される第1の基材61Aは、一方面(実際には接着剤層13上)に印刷部54Aにより対向リブ部19が予め位置決めされた版のスクリーン印刷により形成され、乾燥・効果部55Aで定着された後に反転部56Aにより反転されて主搬送ライン58に供給される。
【0041】
第2の基材61Bの搬送処理ラインでは、単片基材供給部52Bより順次供給される当該第2の基材61Bは穿孔部53Bで上述のようにアンテナ部15の一方端および端子部16の一方端に対応する部分に貫通部21A,21Bが形成されて印刷部54Aに供給され、アンテナ部15、端子部16、リブ部18が当該貫通部21A,21Bに導電性インキを充満させながら予め位置決めされた版でスクリーン印刷により形成される。そして、乾燥・硬化部55Bで供給された導電性インキが定着された後、実装部56Bで上述のようにICチップ17が搭載されて実装され、反転部57Bにより反転されて、主搬送ライン58上で搬送されてきた第1の基材61A上に供給される。このとき、主搬送ライン58上ではセンサ59Bにより位置決めされて当該第1の基材61A上に重ね合わせられる。
【0042】
また、第3の基材61Cの処理搬送ラインでは、単片基材供給部52Cより順次供給される第3の基材61Cは穿孔部53Cで上述のように短絡部20の両端に対応する部分に貫通部22A,22Bが形成されて印刷部54Cに供給され、短絡部20が当該貫通部22A,22Bに導電性インキを充満させながら予め位置決めされた版でスクリーン印刷により形成される。続いて、乾燥・硬化部55Cで供給された導電性インキが定着された後、主搬送ライン58に供給される。このとき、主搬送ライン58上ではセンサ59Cにより位置決めされて第1および第2の基材61A,61B上に重ね合わせられる。
【0043】
そして、それぞれに塗布されている接着剤層13により第1〜第4の基材61A〜61Cが圧着部60で所定圧力により接着されることで非接触型ICメディア11が作製されるものである。このとき、実装されているICチップ17に過度の圧力が加えられないように圧着部60における圧着ローラには当該ICチップ17を回避するための溝が形成されるものである。
【0044】
このように、枚葉の3枚の基材61A〜61Cで非接触型ICメディア11Aを製造させるものであり、従前の補強シールを貼付させるICカードを枚葉で製造させた場合と比しても、安価にICチップ17を外力から保護させる非接触型ICメディアとすることができるものである。
【0045】
次に、図6に、本発明に係る非接触型ICメディアの第2実施形態の構成図を示す。図6(A)は本発明に係る非接触型ICメディアの展開状態の部分平面図、図6(B)は図1(A)のB−B断面図、図6(C)は製造途中の概念斜視図、図6(D)は図6(B)の状態で折り重ね接着させた最終的な非接触型ICメディアの断面図である。図6(A)〜(D)において、非接触型ICメディア11Aは、図6(A)、(B)に示すように、フィルムまたは紙材等の絶縁性の基材12が、第1および第2の片12A,12Bのより構成され、それぞれが接着剤層13を介して折線14部分で折り重ね合わせ接着されたものである。
【0046】
図6(A)、(B)に示すように、第2の片12Bの一方面(実際的には接着剤層13面上)の所定位置にはICチップ17Aが搭載されるもので、当該ICチップ17Aは、回路領域71の周囲に、例えば巻回パターンのアンテナ部72が形成されたもので、当該ICチップ17A単独でリーダライタとデータの授受を行うことができるものである。このようなICチップ17Aとしては、例えば株式会社エフイーシー製のICチップ(商品名「MMチップ」)がある。
【0047】
また、上記搭載されるICチップ17Aの領域と隔離された当該ICチップ17Aの周辺領域に、上記同様の導電性部材(導電性インキ)で所定形状(ここでは、一部切断された円形状)のリブ部18Aが形成される。例えば、上記同様に、ICチップ17が0.5mm四方で厚さ150μmの場合には、形成されるリブ部18Aの高さが同様の150μmで形成される。
【0048】
一方、第1の片12A上の一方面(実際的には接着剤層13面上)には、第1および第2の片12A,12Bが折り重ねられたときに上記リブ部18Aと突き合わされる位置に所定形状(リブ部18A同形状または適宜対応した形状)の対向リブ部19Aが同様の高さで形成される。そして、図6(C)に示すように、第1および第2の片12A,12Bが連接された基材12が折線14でいわゆる2つ折りにより重ね合わせ接着されたときに、図6(D)に示すように、第1の片12Aに形成された対向リブ部19Aと第2の片12Bに形成されたリブ部18Aとが突き合わされて保護リブ部とした非接触型ICメディア11Aとなる。
【0049】
すなわち、上記リブ部18Aおよび対向リブ部19Aが互いにICチップ17Aの厚み(高さ)と同程度に形成されていることから当該保護リブ部の高さは、例え接着時の圧力によっても少なくとも当該ICチップ17Aの高さより大となるものである。換言すれば、上記非接触型ICメディア11Aは、リブ部18Aの内側または対向リブ部19Aの内側に当該ICチップ17Aが実装されたもので、当該ICチップ17Aが当該リブ部18Aおよび対向リブ部19Aとが突き合わされた保護リブ部で囲まれた状態とされるものである。
【0050】
ところで、上記リブ部18Aおよび対向リブ部19Aを上記のように導電性インキで形成する場合、ICチップ17Aのリーダライタとの通信時の通信エネルギを増幅させるブースタとさせることができ、このような増幅が不要であれば当該リブ部18Aおよび対向リブ部19Aを非導電性部材で形成すればよい。
【0051】
このように、上述のような回路領域71の周囲に巻回パターンのアンテナ部72が形成されたICチップ17Aを使用する場合であっても、外力から保護させる非接触型ICメディア11Aを安価に製造することができるものである。
【0052】
なお、上述の第1実施形態および第2実施形態において、導電性インキの粘度や形成されるアンテナ等の容量を調整することにより、ICチップ17,17Aの厚さに対して充分な高さを確保させたリブ部18,18Aのみで保護リブ部とすることとしてもよいが、上述の第1実施形態および第2実施形態のように、保護リブ部を構成させるリブ部17,17Aと対向リブ部19,19Aとを突き合わせる対向する片に分けてを形成させることでこれらを同時に形成させることができることから、150μmを超える厚さでは印刷困難な印刷手段であっても使用することができ、しかも製造工程が増えることもなく、かつ容易に当該ICチップ17,17Aの厚さ以上の高さを確保することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の非接触型ICメディアの製造方法および非接触型ICメディアは、RF−ID等で使用されるICカード、ICタグ等や、当該RF−IDの単片インレット生産等に適用させることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る非接触型ICメディアの第1実施形態の構成図である。
【図2】本発明に係る非接触型ICメディア作製における製造システムの一例の構成図である。
【図3】図2の製造システムによる非接触型ICメディア作製の説明図(1)である。
【図4】図2の製造システムによる非接触型ICメディア作製の説明図(2)である。
【図5】本発明に係る非接触型ICメディア作製における他の製造システムの一例の構成図である。
【図6】本発明に係る非接触型ICメディアの第2実施形態の構成図である。
【符号の説明】
【0055】
11 非接触型ICメディア
12 基材
13 接着剤層
15 アンテナ部
17 ICチップ
18 リブ部
19 対向リブ部
31,51 製造システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2片の絶縁性の基材上の一方の片にアンテナ部が形成されて、当該アンテナ部の端部間にICチップを実装させる非接触型ICメディアの製造方法であって、
前記基材の何れかの2片の少なくとも一方面および他の片の所定面に接着剤層が形成されるステップと、
前記一方片上に前記アンテナ部が形成されると共に、当該アンテナ部および前記ICチップを実装させる領域と隔離された当該ICチップ実装領域の周辺領域にリブ部が当該ICチップの厚さより大の高さで形成されるステップと、
前記アンテナ部が形成された片上に、当該アンテナ部の両端と接続させて前記ICチップが実装されるステップと、
前記2片の前記接着剤層同士を対向させて重ね接着されるステップと、
を含むことを特徴とする非接触型ICメディアの製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の非接触型ICメディアの製造方法であって、前記リブ部が形成される際、前記他方片上に、前記2片が重ねられたときに当該リブ部と突き合わされる対向リブ部が所定高さで形成されるステップを含み、対向する前記リブ部および当該対向リブ部とが突き合わされて重ね接着されることを特徴とする非接触型ICメディアの製造方法。
【請求項3】
請求項1または2記載の非接触型ICメディアの製造方法であって、
前記基材は第3の片を含んで前記接着剤層が少なくとも一方面に形成されるもので、
前記アンテナ部が形成される片の当該アンテナ部の一方端の領域、および当該第3の片に当該アンテナ部の一方端を前記ICチップの接続端子に接続させるための短絡部を形成させる領域に、互いの領域が重ねられたときに対向される貫通部がそれぞれ形成されるステップと、
前記アンテナ部と共に前記短絡部が形成され、その際に前記貫通部に当該導電性部材が充満されるステップと、
前記第3の片と前記アンテナ部が形成された片との前記接着剤層同士を対向させて重ね合わせ接着され、その際に対向する前記貫通部に充満された導電性部材同士が導通されるステップと、
を含むことを特徴とする非接触型ICメディアの製造方法。
【請求項4】
少なくとも2片の絶縁性の基材上の一方または他方の片に、アンテナ部がチップ上に形成されたICチップを実装させる非接触型ICメディアの製造方法であって、
前記基材の何れかの2片の少なくとも一方面および他の片の所定面に接着剤層が形成されるステップと、
前記基材の一方片または他方片上に、導電性部材または非導電性部材により、実装されるべき前記ICチップの領域と隔離された周辺領域に所定形状のリブ部が当該ICチップの厚さより大の高さで形成されるステップと、
前記一方片または他方片における前記2片が重ねられたときに前記リブ部の内側となる領域に、前記ICチップが実装されるステップと、
前記2片の前記接着剤層同士を対向させて重ね接着させるステップと、
を含むことを特徴とする非接触型ICメディアの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の非接触型ICメディアの製造方法であって、前記一方片上に前記リブ部が形成される際、前記他方片上に、前記2片が重ねられたときに上記リブ部と突き合わされる所定形状の対向リブ部が所定高さで形成されるステップを含み、対向する前記リブ部および当該対向リブ部とが突き合わされて重ね接着されるステップを含むことを特徴とする非接触型ICメディアの製造方法。
【請求項6】
少なくとも2片が重ねられて接着剤により接着される基材と、
前記基材の重ね面に導電性部材で形成されるアンテナ部と、
前記アンテナ部の両端に接続されて実装されるICチップと、
前記ICチップの周辺における前記アンテナ部と隔離された領域に設けられ、当該ICチップの厚さより大の保護リブ部と、
を有することを特徴とする非接触型ICメディア。
【請求項7】
少なくとも第1〜第3の片が重ねられて接着剤により接着される基材と、
前記第3の片の一方面に導電性部材で形成されるもので、前記第2の片に対する貫通部が所定位置に形成されて当該貫通部に当該導電性部材が充満される短絡部と、
前記第2の片における前記第1の片との重ね面に導電性部材により形成されるもので、前記第3の片の貫通部に対応する貫通部が形成されて当該導電性部材が充満されることで当該第3の片の短絡部と導通される端部を有するアンテナ部と、
前記アンテナ部の両端に前記短絡部を介して接続されて実装されるICチップと、
前記第1および第2の片に設けられ、前記ICチップの周辺における前記アンテナ部と隔離された領域に当該ICチップの厚さより大の保護リブ部と、
を有することを特徴とする非接触型ICメディア。
【請求項8】
少なくとも2片が重ねられて接着剤により接着される基材と、
前記2片の重ね合わせ面に位置され、アンテナ部がチップ上に形成されたICチップと、
前記ICチップの周辺における当該ICチップと隔離された領域に、導電性部材または非導電性部材により所定形状で形成されて設けられ、当該ICチップの厚さより大の保護リブ部と、
を有することを特徴とする非接触型ICメディア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−4043(P2006−4043A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177894(P2004−177894)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】