説明

非接触ICラベル

【課題】モノポールアンテナとして動作し、金属製の被接着体に取り付けても通信可能であって、薄型でかつ小型の非接触ICラベルを提供する。
【解決手段】非接触ICラベル1は、磁性シート10と、磁性シートの一方の面10a上に配置されたアンテナ部21と、磁性シートの一方の面上に配置され、アンテナ部と電気的に接続されたインピーダンス整合回路部22と、インピーダンス整合回路部に設けられたICチップ23と、一部が磁性シートの他方の面10b上に配置され、磁性シートの縁部10bに沿って配されるように折り曲げられているとともに、インピーダンス整合回路部と電気的に接続されたグラウンド部24と、を備え、磁性シートの厚さ方向に見たときに、アンテナ部はグラウンド部が占める領域内に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、UHF帯およびSHF帯で用いられる非接触ICラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFIDタグ(非接触ICラベル)とリーダなどとの間で無線通信が行われている。しかし、このRFIDタグを金属製の被接着体に取り付けたときには通信性能が低下してしまうので、この問題点を解決するために、以下に説明するような様々なRFIDタグの構成が検討されている。
たとえば、13.56MHz帯の電波を用いる電磁誘導方式のRFIDタグでは、アンテナと被接着体の間に高透磁率の磁性体(磁性シート)を設け、アンテナと被接着体との間にロスの少ない磁束のルートを確保することで、金属製の被接着体に取り付けても用いることができるRFIDタグを実現している。
【0003】
これに対して、UHF帯およびSHF帯で用いられる電波方式のRFIDタグでは、アンテナと被接着体との間に誘電体また空気層を設けることで、アンテナと被接着体との隙間を確保し、被接着体の影響を抑える方法が一般的に用いられる。
しかしながら、この方法では、アンテナと被接着体との間に500μm程度の厚さの誘電体を用いたり、同程度の厚さの空気層を設けたりした場合では、アンテナと被接着体の間隔が狭すぎるため、金属製の被接着体の影響を強く受けてしまい通信不能となってしまう。よって、現状では薄手(厚さが500μm以下)のRFIDタグを作ることは難しいとされている。
【0004】
UHF帯およびSHF帯で用いられる電波方式の他のRFIDタグとして、特許文献1に示すように、アンテナと被接着体との間に磁性体を設ける構成も提案されている。このRFIDタグでは、アンテナと金属製の被接着体との間に軟磁性体を配置している。特許文献1では、軟磁性体について克明な記載はあるが、使用するアンテナに関する克明な記載はない。アンテナの応用例としてモノポールアンテナの記載があるが、ダイポールアンテナのグランド側エレメントを筐体(金属物体)に落とすとした記述があるだけで、その詳細は示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−309811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のモノポールアンテナにおけるグランド側と筐体との電気的な接続法としては、ボルト・ビス止め、カシメ等の方法が考えられる。筐体に設けられた接続導体面には酸化皮膜形成、汚れ等の問題があるために、前述の電気的な接続法では、機械的応力によってそれらの絶縁膜を破り、電気的な接続信頼性を高めている。
【0007】
しかしながら、RFIDタグを薄型でかつ小型のラベルに用いた場合では、前述のようなボルト・ビス止め、カシメ等の筐体への接続法は利便性を大きく欠いてしまうことから非現実的である。また、RFIDタグをラベルに用いた場合は、裏面に設けられた非導電性の接着層(粘着剤)の接着力で筐体に貼り付ける構造であるために、ラベルとしての利便性を保ちつつグランド側エレメントを筐体に電気的に接続することは、その構造上簡単にはできないといった問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、モノポールアンテナとして動作し、金属製の被接着体に取り付けても通信可能であって、薄型でかつ小型の非接触ICラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の非接触ICラベルは、磁性シートと、前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と電気的に接続されたインピーダンス整合回路部と、前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、一部が前記磁性シートの他方の面上に配置され、前記磁性シートの縁部に沿って配されるように折り曲げられているとともに、前記インピーダンス整合回路部と電気的に接続されたグラウンド部と、を備え、前記磁性シートの厚さ方向に見たときに、前記アンテナ部は前記グラウンド部が占める領域内に配置されることを特徴としている。
【0010】
本発明の他の非接触ICラベルは、磁性シートと、前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、一部が前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と電気的に接続されたインピーダンス整合回路部と、前記磁性シートの一方の面側に配置されるとともに前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、前記磁性シートの他方の面上に配置されるとともに前記インピーダンス整合回路部と電気的に接続されたグラウンド部と、を備え、前記インピーダンス整合回路部は、前記磁性シートの縁部に沿って配されるように折り曲げられ、前記磁性シートの厚さ方向に見たときに、前記アンテナ部は前記グラウンド部が占める領域内に配置されることを特徴としている。
【0011】
本発明の他の非接触ICラベルは、磁性シートと、前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と電気的に接続されたインピーダンス整合回路部と、前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、一部が前記磁性シートの他方の面上に配置され、前記磁性シートの縁部に沿って配されるように折り曲げられているとともに、前記インピーダンス整合回路部と電気的に接続されたグラウンド部と、前記磁性シートの他方の面および前記グラウンド部に設けられ、金属製の被接着体に貼り付けられることで自身を介して前記グラウンド部と前記被接着体とを静電容量結合させる接着層と、を備えることを特徴としている。
【0012】
本発明の他の非接触ICラベルは、磁性シートと、前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、一部が前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と電気的に接続されたインピーダンス整合回路部と、前記磁性シートの一方の面側に配置されるとともに前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、前記磁性シートの他方の面上に配置されるとともに前記インピーダンス整合回路部と電気的に接続されたグラウンド部と、前記磁性シートの他方の面および前記グラウンド部に設けられ、金属製の被接着体に貼り付けられることで自身を介して前記グラウンド部と前記被接着体とを静電容量結合させる接着層と、を備え、前記インピーダンス整合回路部は、前記磁性シートの縁部に沿って配されるように折り曲げられていることを特徴としている。
【0013】
また、上記の非接触ICラベルにおいて、前記インピーダンス整合回路部はコイル状に形成され、前記磁性シートの厚さ方向に見たときに、前記インピーダンス整合回路部は前記アンテナ部および前記グラウンド部に重ならないように配置されることがより好ましい。
また、上記の非接触ICラベルにおいて、前記磁性シートの他方の面には段部が形成され、前記グラウンド部が前記段部に配置されるとともに、前記磁性シートの他方の面における前記段部以外の面、および前記グラウンド部の外面が同一面上に配置されていることがより好ましい。
また、上記の非接触ICラベルにおいて、前記磁性シートの一方の面には凹部が形成され、前記ICチップは前記凹部に収容されていることがより好ましい。
【0014】
また、上記の非接触ICラベルにおいて、前記アンテナ部、前記インピーダンス整合回路部、および前記グラウンド部が、自身の主面上に印刷またはエッチングにより一体に形成されたフィルム状の基材を備え、前記磁性シートに前記基材が巻き付けられていることがより好ましい。
また、上記の非接触ICラベルにおいて、データ読み取り装置との間の通信方式に電波方式を用いてもよい。
また、上記の非接触ICラベルにおいて、データ読み取り装置との間の通信方式に電波方式および電磁誘導方式を用いてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の非接触ICラベルによれば、モノポールアンテナとして動作し、金属製の被接着体に取り付けても通信可能であって、薄型でかつ小型に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態の非接触ICラベルを模式的に示す側面の断面図である。
【図2】同非接触ICラベルの平面図である。
【図3】同非接触ICラベルの底面図である。
【図4】同非接触ICラベルにおいて、基材の主面にアンテナ部、インピーダンス整合回路部およびグラウンド部を印刷した状態を示す図である。
【図5】同非接触ICラベルを金属製の被接着体に貼り付けた状態を示す断面図である。
【図6】同非接触ICラベルを用いた実験の内容を説明する側面図である。
【図7】本発明の第1実施形態の変形例における非接触ICラベルの底面図である。
【図8】本発明の第2実施形態の非接触ICラベルを模式的に示す側面の断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態の非接触ICラベルを模式的に示す平面図である。
【図10】同非接触ICラベルの要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態の非接触ICラベルを、図1から図7を参照しながら説明する。本非接触ICラベルは、データ読み取り装置との間で非接触にて通信を行うものである。
図1から図3に示すように、本実施形態の非接触ICラベル1は、磁性シート10と、磁性シート10の一方の面10a上に配置されたアンテナ部21およびインピーダンス整合回路部22と、インピーダンス整合回路部22に設けられたICチップ23と、磁性シート10の他方の面10b上に配置されたグラウンド部24とを備えている。
なお、図2、3、7および9では、後述する基材26は説明の便宜のため示していない。
【0018】
磁性シート10の厚さは、例えば250μmであり、磁性シート10には、磁性シート10の厚さ方向に貫通する貫通孔(凹部)11が形成されている。
磁性シート10としては、磁性粒子、または磁性フレークとプラスチックまたはゴムとの複合材からなる、ラベル用途として柔軟性に富んだ公知の材料を用いることができる。磁性シート10の厚さ方向に見た平面視において、磁性シート10は矩形状に形成されている。
本実施形態では、アンテナ部21、インピーダンス整合回路部22、およびグラウンド部24は、図4に示すように、PETなどの樹脂でフィルム状に形成された基材26の主面26aに銀ペーストインキを印刷することで一体に形成されている。基材26の厚さは、例えば50μmである。
そして、磁性シート10に基材26を巻き付け、不図示の接着層により貼り付けることで、磁性シート10の面10a、10b上にアンテナ部21、インピーダンス整合回路部22、およびグラウンド部24が配置されている。
図1から図3に示すように、アンテナ部21およびグラウンド部24は、平面視で矩形状に形成されている。アンテナ部21およびグラウンド部24は、それぞれがインピーダンス整合回路部22と電気的に接続されている。
グラウンド部24は、磁性シート10の他方の面10bおよび側面10c上に、磁性シート10の縁部10dに沿って配されるように折り曲げられている。
図2に示す平面視において、アンテナ部21は、グラウンド部24が占める領域内に配置されている。すなわち、平面視において、アンテナ部21とグラウンド部24とが完全に一致するように重なっていてもよいし、アンテナ部21がグラウンド部24が占める領域より小さく形成されていてもよい。
【0019】
インピーダンス整合回路部22は、図2に示すように所定の形状に蛇行させた配線により形成されている。インピーダンス整合回路部22は、ICチップ23の不図示の電気接点に電気的に接続され、ICチップ23とアンテナ部21との間、およびICチップ23とグラウンド部24との間に、互いに等しい所定のインピーダンスおよび抵抗値が生じるように構成されている。
ICチップ23は公知の構成のものが用いられ、ICチップ23内には所定の情報が記憶されている。そして、ICチップ23に設けられた不図示の電気接点から電波方式により電波のエネルギーを供給することで、記憶された情報をこの電気接点から外部に電波として伝達させることができる。ICチップ23は、磁性シート10の貫通孔11に収容されている。
【0020】
このように構成されたアンテナ部21、インピーダンス整合回路部22、ICチップ23、およびグラウンド部24は、通信部20を構成する。そして、磁性シート10に通信部20が設けられた基材26を巻き付け、磁性シート10を挟んで両側にアンテナ部21、グラウンド部24をそれぞれ配置する。図2に示すアンテナ部21が配置された側が非接触ICラベル1の表面となり、図3に示すグラウンド部24が配置された側が裏面となる。
以上のように構成された非接触ICラベル1を、図5に示すように、非接触ICラベル1の裏面を接着層31を介して金属板(被接着体)32に貼り付ける。接着層31としては、電波を透過させるものであれば、所望のものを用いることができる。
アンテナ部21に外部のデータ読み取り装置を対向させることで、アンテナ部21が放射面(放射アンテナエレメント)、グラウンド部24が接地面(アース)となり、非接触ICラベル1がモノポールアンテナ(1/4波長接地型アンテナ)として機能する。
【0021】
RFIDタグは、通常、非接地型の1/2波長ダイポールアンテナを採用しており、ICチップを挟んだそれぞれの位置に、1/4波長もしくはそれ以下の長さの放射アンテナエレメントを備えている。RFIDタグのサイズを小さくするために、放射アンテナエレメントをメアンダ形状(蛇行形状)にしているものも少なくない。
【0022】
本発明で採用されているモノポールアンテナは、通常、ダイポールアンテナの片側の放射アンテナエレメントを接地することで、接地側に1/4波長の影像アンテナが電気的に形成され、残るもう一方の1/4波長の放射アンテナエレメントと合わせることで、接地型1/2波長ダイポールアンテナが形成されるというものである。よって、図2に示すように1つの1/4波長のアンテナ部21だけで、通常の1/2波長ダイポールアンテナとほぼ同等の性能が得られるアンテナであることから、非接触ICラベルにモノポールアンテナを搭載した場合、通常の1/2波長ダイポールアンテナを搭載したものと比べてラベルの小型化が可能となる。
【0023】
ただし、前述のモノポールアンテナの作用は、放射アンテナエレメントが接地面に対して垂直に立てられた場合で、かつ放射アンテナエレメントの回りは空気などの同一の誘電体であるという一般的な条件での場合である。これに対して、本実施形態の非接触ICラベル1の構成は大きく異なる。すなわち、放射面であるアンテナ部21が、接地面であるグラウンド部24に対して平行である。さらに、アンテナ部21の回りは、外部のデータ読み取り装置と対向する面側は基材26を挟んで空気であるが、その裏面側の面は磁性シート10と接しており、さらにその薄い磁性シート10を挟んでグラウンド部24が配置されている。
このため、本発明の非接触ICラベル1と、前述の一般的な条件におけるモノポールアンテナとで、効果および作用は異なっていると考えられる。
【0024】
以上、被接着体が金属製である場合で説明したが、次に、被接着体が液体を収容するための容器である場合について説明する。
従来、一般的なRFIDタグを容器の側面中央に貼り付けた場合、その容器の壁面の厚さが薄い場合では、容器の内容物がアンテナエレメントの片面全体に密着したのと同じ状態となるために、内容物の誘電率、誘電損によってアンテナエレメントの共振周波数が非常に変化しやすいという状況になる。容器内の液体の有無および液体の種類によって容器内の内容物の誘電率、誘電損が変化することで、上記理由によりアンテナ部21の共振周波数が変化し、その結果、通信距離が低下したり、RFIDタグを外部のデータ読み取り装置で読み取り不能となったりするという大きな問題があった。
【0025】
本実施形態の非接触ICラベル1では、前述のとおりアンテナ部21は外部のデータ読み取り装置と対向するモノポールアンテナの放射面となり、グラウンド部24がモノポールアンテナとして前記放射面に対する接地面となる。
グラウンド部24を容器側にして非接触ICラベル1を容器に貼り付けた状態において、アンテナ部21から被接着体である容器側をみると、まず磁性シート10があってその先に導体であり接地面であるグラウンド部24がある。このため、グラウンド部24が金属反射板となり、その背面に位置する容器、およびその内容物の影響が少なくなることから、アンテナ部21の共振周波数はほとんど変化せず、よって通信距離の変動も少ないと考えられる。
【0026】
以上のようにモノポールアンテナとして構成された非接触ICラベル1を、金属板や液体を収容するための容器に取り付けた場合の通信距離を測定する検証実験を行った。
以下にその内容および結果について説明する。
【0027】
(実験1)
実験には、下記に示す機材および材料を使用し、図6に示すように構成した。
・磁性シート10:大同特殊鋼(株)製 NRC025(厚さ250μm)
・ICチップ23:NXP社製 UCODE G2iL
・アンテナ部21、グラウンド部24:厚さ12μmのアルミニウムの薄膜
アンテナ部21の寸法 15mm×5mm
・インピーダンス整合回路部22:ICチップ23以外は自社製
PETフィルム(厚さ50μm)製の基材26上に銀ペーストインキでパターン印刷(厚さ8μm)
・リーダライタR1:950MHz帯RFID用リーダライタ 三菱電機社製
RF−RW002(最大出力1W 30dBm)
・読み取りアンテナR2:950MHz帯RFID用アンテナ 三菱電機社製
RF−ATCP001(左旋円偏波 最大利得6dBi)
・固定減衰器R3:ヒロセ電機製 AT−107(減衰量 7dB)
なお、リーダライタR1、読み取りアンテナR2、および固定減衰器R3で、データ読み取り装置R10を構成する。
・金属板32:ステンレス製(250mm×250mm×0.5mm)
【0028】
(1−1 実験方法)
図6に示すように、非接触ICラベル1をステンレス製の金属板32上に置き、読み取りアンテナR2によって非接触ICラベル1の通信距離の測定を行った。
アンテナ部21およびグラウンド部24は、インピーダンス整合回路部22の外側に形成された不図示の接続パッド(面電極)と面接触によりインピーダンス整合回路部22と電気的に接続されており、図4に示すように、アンテナ部21およびグラウンド部24とインピーダンス整合回路部22とが一体化している。
この実験では、接着層31に代えて、実際に使用することが想定される粘着材と同程度(接着層31と同程度)の誘電率を有する樹脂フィルム31Aを用いた。具体的には、厚さが25μmのPETフィルムを用いた。
接着層31に代えて樹脂フィルム31Aを用いたので、金属板32と樹脂フィルム31Aとを密着させるために不図示の発砲スチロールを非接触ICラベル1上に置き、非接触ICラベル1と金属板32とを密着させた。なお、発泡スチロールは通信距離の測定結果にはほとんど影響を与えないことが分かっている。
【0029】
実験に使用したリーダライタR1および読み取りアンテナR2は、本非接触ICラベル1をある程度の通信距離にて読み取ることが可能なUHF帯高出力リーダライタおよびアンテナである。
リーダライタR1の最高出力は1W(30dBm)であるが、実験環境の都合上リーダライタR1と読み取りアンテナR2を結ぶ同軸ケーブル上に−7dBの固定減衰器R3を接続し、リーダライタR1の出力を0.2W(23dBm)に減衰させて実験をおこなった。
【0030】
(1−2 実験結果)
非接触ICラベル1に向くように読み取りアンテナR2を回転させ、読み取りアンテナR2が通信部20から情報を読み取ることができる距離の最大値(通信距離)を求めた。
通信距離は、140mmとなった。
上記の通信距離は、金属製の被接着体に直接貼り付けても通信可能な薄型でかつ小型の非接触ICラベルとして、充分な性能を有しているといえる数値である。
【0031】
なお、実際の使用に際しては、固定減衰器R3を外すことでデータ読み取り装置R10の出力を最大の1W(30dBm)まで上げられるので、通信距離がさらに長くなるのは言うまでもない。
また、磁性シート10の電気的な物性値(透磁率、磁性損失、誘電率、誘電損失など)を好適なものにすることと、インピーダンス整合回路部22のインピーダンス整合、磁性シート10の厚さ、アンテナ部21およびグラウンド部24の形状を最適化することで、通信距離はさらに長くなると考えられる。
【0032】
次に、本実施形態の非接触ICラベル1が貼り付けられる被接着体を容器とした場合の通信距離を測定する検証実験を行った。
以下にその内容および結果について説明する。
【0033】
(実験2)
実験には、下記に示す機材および材料を使用した。
・磁性シート10、ICチップ23、アンテナ部21、グラウンド部24、インピーダンス整合回路部22、および基材26は、実験1と同じものを用いた。
・UHF帯高出力ハンディリーダー(データ読み取り装置):SAMSUNG社製 VLACG1 最大出力:1W
・容器:円筒型プラスチック製(直径70mm×高さ100mm、側面厚さ2mm)
【0034】
(2−1 実験方法)
実験1と同様に、非接触ICラベル1を、不図示の容器の側面中央部に、容器の周方向に非接触ICラベル1の長手方向が沿うように貼り付け、上記のUHF帯高出力ハンディリーダーによって非接触ICラベル1の通信距離の測定を行った。
通信距離の測定は、容器に水道水を満たした状態と、容器が空の(水道水が入っていない)状態とで行った。
データ読み取り装置としては、非接触ICラベル1程度のサイズの読み取りに適した上記のUHF帯高出力ハンディリーダーを用いた。ハンディリーダーの最高出力は1Wであるが、1dB刻みに出力が可変できる仕様になっている。本実験では出力を0.5W(27dBm)に設定して実験を行った。
【0035】
(2−2 実験結果)
容器に貼り付けられた非接触ICラベル1に向くようにハンディリーダーを回転させ、ハンディリーダーが通信部20から情報を読み取ることができる距離の最大値を求めた。
通信距離は、容器に水道水を満たした状態で110mm、容器が空の状態で90mmとなった。
なお、通信距離の具体的なデータとしては示さないが、ハンディリーダーの向きによっては、内容物(水道水)の有無による通信距離の差がほとんどない場合もあった。
本実験では、容器が空の場合、内容物は空気となり、非接触ICラベル1は空気の誘電率、誘電損の影響を強く受ける。一方で、容器に水道水を満たした状態では、非接触ICラベル1は水道水の誘電率、誘電損の影響を強く受ける。
空気の誘電率は1.0であり、水の誘電率は80であることから、誘電率だけをみても、これら空気および水が面接触するアンテナ部21への影響力は大きく、アンテナ部21の共振周波数の変化は著しいはずである。しかし、本発明の非接触ICラベル1では、内容物(水道水)の有無による通信距離の差は、かなり少ない。
【0036】
以上説明したように、容器に取り付けたときに、その容器の内容物の有無、内容物の違いによる通信距離の変動が少ない薄型でかつ小型の非接触ICラベル1を作ることができる。
なお、非接触ICラベル1の実際の使用に際しては、データ読み取り装置の出力を最大の1W(30dBm)まで上げられるので、通信距離がさらに長くなるのは言うまでもない。
また、磁性シート10の電気的な物性値(透磁率、磁性損失、誘電率、誘電損失など)を好適なものにすることと、インピーダンス整合回路部22のインピーダンス整合、磁性シート10の厚さ、アンテナ部21およびグラウンド部24の形状を最適化することで、容器に取り付けられた状態であっても非接触ICラベル1の通信距離はさらに向上すると考えられる。
【0037】
以上説明したように、本実施形態の非接触ICラベル1によれば、アンテナ部21を磁性シート10の一方の面10a上に配置するとともに、グラウンド部24を磁性シート10の他方の面10bおよび側面10c上に配置している。そして、平面視においてアンテナ部21はグラウンド部24が占める領域内に配置されているため、グラウンド部24側を、金属板32や、液体を収容したり空にしたりできる容器などの被接着体に取り付けても、被接着体側の影響を受けにくく通信距離が安定する。このため、裏面側(グラウンド部24側)を被接着体に取り付けた時に、非接触ICラベル1をモノポールアンテナとして動作させることができる。
平面視で一方の面10a側から見た時に、グラウンド部24が磁性シート10の裏側に配置されている。さらに、非接触ICラベル1は、磁性シート10、アンテナ部21、グラウンド部24、および基材26といった、シート状またはフィルム状に形成されたものを積層させて形成されている。したがって、非接触ICラベル1を薄型かつ小型に構成することができる。
【0038】
磁性シート10には貫通孔11が形成され、ICチップ23は貫通孔11に収容されている。このため、ICチップ23が一方の面10aから外方に突出しないようにすることができ、非接触ICラベル1の外観を向上させることができる。
例えば、非接触ICラベル1の表面にホログラムのような鏡面光沢が施された場合には、磁性シート10の一方の面10aからICチップ23が突出していると、非接触ICラベルの表面が平坦ではなくなり、この表面の鏡面光沢における反射光に乱れが生じて非接触ICラベルの商品価値を下げることになる。
ICチップ23を覆う基材26の厚さを充分厚くできれば非接触ICラベル1の表面における反射光の乱れを抑えられるが、本発明の非接触ICラベルは非常に薄くて基材26を厚くできないことから、磁性シート10にICチップ23を収容する貫通孔11を形成して反射光の乱れを抑えている。
【0039】
アンテナ部21、インピーダンス整合回路部22、およびグラウンド部24は基材26の主面26aに一体に印刷されている。これにより、アンテナ部21とインピーダンス整合回路部22、インピーダンス整合回路部22とグラウンド部24の電気的な接続を確実かつ容易に行うとともに、非接触ICラベル1の生産性を向上させることができる。
さらに、アンテナ部21、インピーダンス整合回路部22、およびグラウンド部24を薄く形成した場合であっても、磁性シート10に基材26を巻き付けることで、磁性シート10の一方の面10aおよび他方の面10b上にアンテナ部21、インピーダンス整合回路部22、およびグラウンド部24を容易に配置することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、非接触ICラベル2は、図7に示すように形成されていてもよい。すなわち、この変形例では、グラウンド部24は、磁性シート10の他方の面10b上のみに配置されている。さらに、インピーダンス整合回路部22は、磁性シート10の一方の面10a、側面10cおよび他方の面10bおよび側面10c上に、磁性シート10の縁部10dに沿って配されるように折り曲げられている。
非接触ICラベル2をこのように構成しても、本実施形態の非接触ICラベル1と同様の効果を奏することができる。
【0041】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図8を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図8に示すように、本実施形態の非接触ICラベル3は、第1実施形態の非接触ICラベル1のグラウンド部24に代えて、グラウンド部41および前述の接着層31を備え、磁性シート10の他方の面10bには段部12が形成されている。
【0042】
磁性シート10の段部12は、切削加工などで形成することができる。
グラウンド部41は、第1実施形態のグラウンド部24と長さのみが異なる。
グラウンド部41の一端は、磁性シート10の他方の面10bおよび側面10c上に、磁性シート10の縁部10dに沿って配されるように折り曲げられている。グラウンド部41の他端は、段部12に配置されている。この例では、グラウンド部41がアンテナ部21およびインピーダンス整合回路部22とともに一体に形成された基材26の端部も、段部12に配置されている。
磁性シート10の他方の面10bにおける段部12以外の面10e、および基材26のうち段部12に配置された部分の外面26aは、同一面上に配置されている。
接着層31は、磁性シート10の面10eおよび基材26の外面26aの全体にわたり設けられている。
【0043】
前記実施形態のグラウンド部24は、平面視において、グラウンド部24が占める領域内にアンテナ部21が配置されるように形成されていた。これに対して、本実施形態のグラウンド部41はグラウンド部24に比べて小さく構成することができる。
本非接触ICラベル3は、接着層31、すなわち、非接触ICラベル3の裏面を金属板32に貼り付けて用いられる。金属板32に非接触ICラベル3を貼り付けて磁性シート10の厚さ方向に見たときに、アンテナ部21は金属板32が占める領域内に配置されていることが好ましい。
【0044】
このように構成された非接触ICラベル3を金属板32に貼り付け、非接触ICラベル3とデータ読み取り装置との間で電波方式により通信を行うと、グラウンド部41のうち段部12に配された部分と金属板32とが、領域Cにおいて基材26および接着層31を介して静電容量結合する。
UHF帯の周波数帯域で通信する場合であれば、グラウンド部41のうち金属板32に対向する部分の面積は、例えば、20〜30mm程度であれば充分である。このとき、モノポールアンテナとしての接地面は、被接着体である金属板32となる。
【0045】
以上説明したように、本実施形態の非接触ICラベル3によれば、モノポールアンテナとして動作し、金属板32に貼り付けても通信可能であって、薄型でかつ小型に形成することができる。なお、本実施形態の非接触ICラベル3は、容器に貼り付けて用いるのには適していない。
磁性シート10に段部12が形成され、段部12にグラウンド部41および基材26が配置されるとともに、磁性シート10の面10eと基材26の外面26aとが同一面上に配置されている。このため、磁性シート10の他方の面10bからグラウンド部41や基材26が突出するのを防止し、非接触ICラベル3の裏面側の外観を向上させることができる。このように構成することによっても、非接触ICラベル3の表面における反射光の乱れを抑えることができる。
【0046】
平面視したときの大きさは、本実施形態の非接触ICラベル3と第1実施形態の非接触ICラベル1とで変わらない。しかし、非接触ICラベル3のグラウンド部41は非接触ICラベル1のグラウンド部24よりも短く形成できるため、非接触ICラベル3は非接触ICラベル1に比べて製造コストを抑えることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、第1実施形態における変形例である非接触ICラベル2のように構成してもよい。すなわち、グラウンド部24を、磁性シート10の他方の面10b上のみに配置する。そして、インピーダンス整合回路部22を、磁性シート10の一方の面10a、側面10cおよび他方の面10bおよび側面10c上に、磁性シート10の縁部10dに沿って配されるように折り曲げる。
非接触ICラベル1をこのように構成しても、本実施形態の非接触ICラベル3と同様の効果を奏することができる。
【0048】
また、グラウンド部41を基材26上に形成してから磁性シート10に配置するのでなく、基材26を用いずにグラウンド部41を直接段部12に配置してもよい。この場合には、磁性シート10の面10e、およびグラウンド部41の外面が同一面上に配置されることになる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について図9および図10を参照しながら説明するが、前記実施形態と同一の部位には同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図9および図10に示すように、本実施形態の非接触ICラベル4は、第1実施形態の非接触ICラベル1の磁性シート10およびインピーダンス整合回路部22に代えて、磁性シート36およびインピーダンス整合回路部37を備えている。
【0050】
磁性シート36は、アンテナ部21およびグラウンド部24の間に配置されたアンテナ側磁性シート38と、アンテナ側磁性シート38に一体に形成されたチップ側磁性シート39とを有している。
アンテナ側磁性シート38には、モノポールアンテナとして動作させるために最適な物性値(透磁率、磁性損失、誘電率、誘電損失など)となっている材料が用いられている。一方で、チップ側磁性シート39には、後述するように、電磁誘導方式の通信においてデータ読み取り装置から放射された磁界の磁束を効率的に受信するために、高透磁率かつ低磁性損失な材料が用いられている。
【0051】
インピーダンス整合回路部37は、コイル状に形成され、コイル全体としての軸線が磁性シート36の厚さ方向に平行となるように配置されている。
インピーダンス整合回路部37は、図9に示す磁性シート10の厚さ方向に見た平面視において、アンテナ部21およびグラウンド部24に重ならないように配置されている。なお、アンテナ部21は、グラウンド部24が占める領域内に配置されている。
【0052】
このように構成された本実施形態の非接触ICラベル4は、第1実施形態の非接触ICラベル1のように、裏面の面を金属板32に貼り付けて使用することができる。本非接触ICラベル4を容器に貼り付けた場合、前述の非接触ICラベル1と同様にアンテナ部21はモノポールアンテナの放射面として働き、グラウンド部24は接地面として働くことで、グラウンド部24の裏面にあたる容器の内容物(液体)の影響を軽減することができる。
一方で、非接触ICラベル4のインピーダンス整合回路部37は、図10に示すように、データ読み取り装置R20との間で電磁誘導方式により通信を行うことができる。これは、インピーダンス整合回路部37、およびデータ読み取り装置R20に設けられた不図示のコイルをそれぞれ貫く磁束Mが生じることで、インピーダンス整合回路部37およびコイルが相互誘導するためである。平面視においてインピーダンス整合回路部37がアンテナ部21およびグラウンド部24に重ならないため、磁束Mを遮るものが無く、効果的に相互誘導して通信を行うことができる。
【0053】
UHF帯の電波を用いた電磁誘導方式による通信は、水を始めとして液体などの誘電率、誘電損失の影響を受けにくい通信方式であることから、容器などに取り付けて用いられる非接触ICラベルに採用されている。電磁誘導方式の通信では、データ読み取り装置R20から放射された磁界の磁束を効果的に受信するために、一般的に、ループアンテナ(コイルアンテナ)が用いられる。このことから、本実施形態のインピーダンス整合回路部37は、配線をループ状に形成してループアンテナとしている。
【0054】
なお、本実施形態では、磁性シート36は、アンテナ側磁性シート38およびチップ側磁性シート39が一体に形成されたものであるとした。しかし、アンテナ側磁性シート38チップ側磁性シート39を一体とせずに並べて配置して磁性シートを構成してもよい。
このような磁性シートの仕様は、磁性シートを効率的に製造するために適宜選択されてよい。
【0055】
以上、本発明の第1実施形態から第3実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更なども含まれる。さらに、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは、言うまでもない。
たとえば、前記第1実施形態から第3実施形態では、アンテナ部21の形状は矩形状としたが、これに限定されず、円形状、楕円形状、多角形状、メアンダ形状、アレーアンテナ形状などであってもよい。
また、グラウンド部24の形状も矩形状に限定されず、円形状、楕円形状、多角形状などであってもよい。
【0056】
また、前記第1実施形態から第3実施形態では、基材26の主面26aにアンテナ部21、インピーダンス整合回路部22、およびグラウンド部24を印刷することにより形成したが、これらを主面26aにエッチングなどにより形成してもよい。
アンテナ部21、インピーダンス整合回路部22、およびグラウンド部24を別々に形成してから、アンテナ部21とインピーダンス整合回路部22、インピーダンス整合回路部22とグラウンド部24をハンダなどで電気的に接続し、磁性シートの縁部に沿って配されるように折り曲げてもよい。
また、磁性シートには貫通孔11が形成されているとしたが、貫通孔11に代えて、磁性シートの一方の面から凹んだ凹部を形成し、この凹部にICチップ23を収容してもよい。
非接触ICラベルにおいて、表面における反射光の乱れが問題とならない場合には、磁性シートの貫通孔や段部は形成されてなくてもよい。
【0057】
なお、非接触ICラベルが実際に用いられる際には、図には示さないが、目視または機械読み取りのための文字、図形などの情報が記載されたフィルムや紙類が、ICチップ23の保護も兼ねて、通信部に対する磁性シートとは反対側に設けられてもよい。なお、この情報は、非接触ICラベルにフィルムなどを設けた後に、プリンタ等によりフィルム、紙類に記載しても構わない。
【符号の説明】
【0058】
1、2、3、4 非接触ICラベル
10、36 磁性シート
10a 一方の面
10b 他方の面
10d 縁部
11 貫通孔(凹部)
12 段部
21 アンテナ部
22、37 インピーダンス整合回路部
23 ICチップ
26 基材
31 接着層
32 金属板(被接着体)
R10、R20 データ読み取り装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性シートと、
前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、
前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と電気的に接続されたインピーダンス整合回路部と、
前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、
一部が前記磁性シートの他方の面上に配置され、前記磁性シートの縁部に沿って配されるように折り曲げられているとともに、前記インピーダンス整合回路部と電気的に接続されたグラウンド部と、
を備え、
前記磁性シートの厚さ方向に見たときに、前記アンテナ部は前記グラウンド部が占める領域内に配置されることを特徴とする非接触ICラベル。
【請求項2】
磁性シートと、
前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、
一部が前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と電気的に接続されたインピーダンス整合回路部と、
前記磁性シートの一方の面側に配置されるとともに前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、
前記磁性シートの他方の面上に配置されるとともに前記インピーダンス整合回路部と電気的に接続されたグラウンド部と、
を備え、
前記インピーダンス整合回路部は、前記磁性シートの縁部に沿って配されるように折り曲げられ、
前記磁性シートの厚さ方向に見たときに、前記アンテナ部は前記グラウンド部が占める領域内に配置されることを特徴とする非接触ICラベル。
【請求項3】
磁性シートと、
前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、
前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と電気的に接続されたインピーダンス整合回路部と、
前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、
一部が前記磁性シートの他方の面上に配置され、前記磁性シートの縁部に沿って配されるように折り曲げられているとともに、前記インピーダンス整合回路部と電気的に接続されたグラウンド部と、
前記磁性シートの他方の面および前記グラウンド部に設けられ、金属製の被接着体に貼り付けられることで自身を介して前記グラウンド部と前記被接着体とを静電容量結合させる接着層と、
を備えることを特徴とする非接触ICラベル。
【請求項4】
磁性シートと、
前記磁性シートの一方の面上に配置されたアンテナ部と、
一部が前記磁性シートの一方の面上に配置され、前記アンテナ部と電気的に接続されたインピーダンス整合回路部と、
前記磁性シートの一方の面側に配置されるとともに前記インピーダンス整合回路部に設けられたICチップと、
前記磁性シートの他方の面上に配置されるとともに前記インピーダンス整合回路部と電気的に接続されたグラウンド部と、
前記磁性シートの他方の面および前記グラウンド部に設けられ、金属製の被接着体に貼り付けられることで自身を介して前記グラウンド部と前記被接着体とを静電容量結合させる接着層と、
を備え、
前記インピーダンス整合回路部は、前記磁性シートの縁部に沿って配されるように折り曲げられていることを特徴とする非接触ICラベル。
【請求項5】
前記インピーダンス整合回路部はコイル状に形成され、
前記磁性シートの厚さ方向に見たときに、前記インピーダンス整合回路部は前記アンテナ部および前記グラウンド部に重ならないように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の非接触ICラベル。
【請求項6】
前記磁性シートの他方の面には段部が形成され、
前記グラウンド部が前記段部に配置されるとともに、前記磁性シートの他方の面における前記段部以外の面、および前記グラウンド部の外面が同一面上に配置されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の非接触ICラベル。
【請求項7】
前記磁性シートの一方の面には凹部が形成され、
前記ICチップは前記凹部に収容されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の非接触ICラベル。
【請求項8】
前記アンテナ部、前記インピーダンス整合回路部、および前記グラウンド部が、自身の主面上に印刷またはエッチングにより一体に形成されたフィルム状の基材を備え、
前記磁性シートに前記基材が巻き付けられていることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の非接触ICラベル。
【請求項9】
データ読み取り装置との間の通信方式に電波方式を用いたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の非接触ICラベル。
【請求項10】
データ読み取り装置との間の通信方式に電波方式および電磁誘導方式を用いたことを特徴とする請求項5に記載の非接触ICラベル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−55457(P2013−55457A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191546(P2011−191546)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】