説明

非晶質状のラパマイシンの3−ヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−2−メチルプロピオン酸との42−エステル、およびそれを含むその医薬組成物

本発明は、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体を提供する。本発明はまた、当該非晶質体の製造方法および当該非晶質体を含む医薬組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの新規な可溶体に関する。
【背景技術】
【0002】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(CCI−779)は溶解性に乏しいため、固体結晶体、代表的には、錠剤、を含む経口固体剤形の生理学上許容され得る溶媒への溶解が遅くなる。
【0003】
ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解および吸収は、共沈殿の技術、スプレー乾燥、ナノ粒子の使用および湿式造粒法を用いる担体システムによって固体分散物を形成することにより改善されたことが報告されている。しかしながら、当該技術は、ラパマイシンが結晶または非晶質体であり得ると主張しているものの、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルはこれまでに製造、単離および/または特徴付けのいずれもなされていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、治療的に活性な化合物であるので、改善された溶解度、溶解速度およびバイオアベイラビリティーを有する非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを得ることは、非常に望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの態様では、本発明は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを提供する。当該非晶質体は、結晶体と比べて増大した溶解度を示すので、医薬組成物への使用を含む種々の用途に有用である。
【0006】
別の態様では、本発明は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの製造方法を提供する。
【0007】
さらなる態様では、本発明は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む医薬組成物を提供する。
【0008】
さらにさらなる態様では、本発明は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含むキットを提供する。
【0009】
本発明の他の態様および利点を、以下に示すその好ましい実施態様の詳細な説明により、さらに説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを提供する。非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、X線回折(XRD)および示差走査熱量測定(DSC)で単離されかつ特徴付けされる。
【0011】
本発明の非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの欠点を克服する。当該非晶質体は、結晶体と比べて少なくとも3倍の可溶性を有する。
【0012】
以下に、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのさらなる利点、ならびにこれを得る方法およびこれの使用方法を提供する。
【0013】
I. 定義
用語「溶解溶媒」は、固体を溶解することができる溶媒を表すことを意味する。本明細書中で用いるように、溶解溶媒には、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル、または非晶質および結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの組み合わせを溶解することができる任意の溶媒が挙げられる。
【0014】
用語「沈殿」は、化合物の固体形態が溶解した化合物を含む溶液から沈殿される方法を表すことを意味する。本明細書中で用いるように、沈殿は、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解溶媒中溶液から、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを沈殿させることを表すことを意味する。
【0015】
用語「沈殿溶媒」は、溶液に溶解した化合物を沈殿させることができる溶媒を表すことを意味する。本明細書中で用いる沈殿溶媒は、溶解溶媒から非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを沈殿させる溶媒を説明する。沈殿溶媒には、溶解した化合物を含む溶解溶媒と相溶性である溶媒を挙げることができる。あるいは、沈殿溶媒には、溶解した化合物を含む溶解溶媒と非相溶性である溶媒を挙げることができる。1つの実施態様では、沈殿溶媒は水である。別の実施態様では、沈殿溶媒はアルカンである。適切なアルカンの1つの例はn−ヘプタンである。しかしながら、他の適切なアルカンまたは任意の上述の個々の沈殿溶媒の組み合わせを選択することができる。
【0016】
用語「蒸発」は、溶液から溶媒を蒸発させることにより、化合物の固体形態が形成される方法を表すことを意味する。
【0017】
用語「粉砕」は、当業者に公知の方法(R. W. Lee et al., Particle Size Reduction in “Water Insoluble Drug Formulation”, Rong Liu, Ed., Interpharm Press Co., Denver, CO:473-392(2000)に記載の技術が挙げられる)を用いて化合物の固体形態が粉砕される方法を表すことを意味する。本明細書中で用いる粉砕は、粉砕ジャーなどの当該分野で公知の装置を用いて、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを粉砕して非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを製造する方法を説明する。しかしながら、粉砕装置のタイプは、本発明を限定するものではない。
【0018】
用語「室温」は、約23℃〜約25℃の温度を表すことを意味する。しかしながら、当業者は、特定の室温が、非晶質体の形成の間に用いる条件および環境条件に依存して変化し得ることを容易に理解するであろう。
【0019】
本明細書中で用いる用語「安定」は、長時間にわたって約10%未満が分解する化合物を表すことを意味する。1つの実施態様では、用語「安定」は、約6%未満が分解する化合物を説明する。別の実施態様では、用語「安定」は、約3%未満が分解する化合物を説明する。さらなる実施態様では、用語「安定」は、約0.7%未満が分解する化合物を説明する。さらに他の実施態様では、用語「安定」は、約0.4%未満が分解する化合物を説明する。
【0020】
本明細書中で用いる用語「長時間」は、少なくとも1または2週間の期間を意味し、この間、本発明の化合物は安定である。望ましくは、本発明の化合物は、約6ヶ月〜約12ヶ月間安定である。しかしながら、当業者は、本発明の化合物が安定な期間を容易に決定し得るであろう。
【0021】
II. 非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの製造方法
1つの態様では、本発明は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの製造方法を提供する。代表的には、非晶質体は、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルから製造される。そのような技術には、蒸発、沈殿および粉砕などが挙げられる。しかしながら、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを製造するのに用いられる特定の方法は、本発明を限定するものではない。
【0022】
(A)蒸発
本発明によれば、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルおよび溶解溶媒を含む溶液から、溶解溶媒を蒸発させることにより製造することができる。
【0023】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、溶解溶媒と組み合わされて、溶解した結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む溶液を形成する。溶解溶媒は、代表的には、アルコールまたはエーテルであり、無水であってもよいし、水を含んでいてもよい。例えば、適切なアルコールには、エタノール、メタノールおよびイソプロパノールが挙げられる。1つの特定の望ましい実施態様では、溶解溶媒はエタノールである。他の特に望ましい実施態様では、溶解溶媒はジエチルエーテルである。
【0024】
必要に応じて、蒸発の前に、溶解溶媒および結晶体を含む溶液に、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの分解を防止する化合物などの他の成分が添加される。例えば、酸化防止剤および安定化剤を、溶解溶媒および結晶体を含む溶液に添加することができる。1つの実施態様では、溶液に添加することができる酸化防止剤には、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンなどが挙げられる。別の実施態様では、溶液に添加することができる安定化剤には、エチレンジアミン酢酸、パルミチン酸アスコルビルおよびビタミンEが挙げられる。
【0025】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルおよび任意の他の成分を溶解溶媒に添加した後、溶液を少なくとも約1分間撹拌する。代表的には、溶液を、約1分〜約2時間にわたって混合する。当業者は、用いる混合のタイプ、および溶解溶媒を結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルと混合するのに必要な時間を容易に決定することができるであろう。
【0026】
溶解溶媒は、非晶質体または結晶体の分解を促進しない温度またはそれ未満の温度で溶液から蒸発させる。当業者は、溶解溶媒の性質に基づき、蒸発に必要な温度を決定することができるであろう。1つの実施態様では、溶解溶媒を、少なくとも約20℃の温度で蒸発させる。さらなる実施態様では、溶解溶媒を、約25℃〜約50℃の温度で蒸発させる。別の実施態様では、溶解溶媒を、約25℃〜約30℃の温度で蒸発させる。
【0027】
溶解溶媒の蒸発を促進するため、減圧もまた用いることができる。溶解溶媒を蒸発させるため、本発明では、約1気圧(atm)未満の圧力を有する減圧が用いられる。あるいは、溶解溶媒は、約1atmの大気圧で溶液から蒸発させられる。1つの実施態様では、蒸発は、約1atm未満の圧力を用いて行われる。別の実施態様では、蒸発は、約0.02atmの減圧などのロータリーエバポレーターにより得られる減圧を用いて行われる。
【0028】
減圧は、捕捉されたまたは残存する溶解溶媒または水のような望まない揮発性化合物を除去するため、より短いまたはより長い時間維持することができる。当業者は、捕捉されたまたは残存する溶解溶媒または水を蒸発させるのに要する時間を容易に決定することができるであろう。1つの実施態様では、減圧は、少なくとも8時間維持される。別の実施態様では、減圧は、約8時間〜約7日間維持される。
【0029】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルおよびアルコールを含む液体サンプルからアルコールを蒸発させることにより形成される。
【0030】
(B)沈殿
別の実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、沈殿により得られる。詳細には、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルおよび溶解溶媒を含む溶液に沈殿溶媒を添加することにより、非晶質体を沈殿させる。
【0031】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを、溶解溶媒に溶解させる。1つの実施態様では、溶解溶媒はアルコールまたはエーテルである。さらなる実施態様では、溶解溶媒はアルコールである。このようなアルコールは、無水アルコールであってもよいし、水を含んでいてもよい。適切なアルコールには、エタノール、メタノールおよびイソプロパノールを挙げることができる。1つの特に望ましい実施態様では、溶解溶媒はエタノールである。別の実施態様では、溶解溶媒はエーテルであり得る。1つの特に望ましい実施態様では、エーテルはジエチルエーテルである。
【0032】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを溶解溶媒に添加した後、溶液を少なくとも約1分間混合する。代表的には、溶液は、約1分〜約2時間の混合物である。当業者は、用いる混合のタイプ、および溶解溶媒を結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルと混合するのに要する時間と同様に用いる混合のタイプを容易に決定することができるであろう。
【0033】
適切な期間の後、沈殿溶媒を用いて、溶媒から非晶質体を沈殿させる。非晶質体は、代表的には、沈殿に用いる温度で沈殿溶媒に不溶性であるか、または溶解溶媒/沈殿溶媒混合物に不溶性である。
【0034】
当業者は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを溶解溶媒から沈殿させるのに必要な沈殿溶媒を、特定の温度、圧力および用いる溶解溶媒に依存して容易に決定することができるであろう。しかしながら、本発明では、上述の沈殿溶媒のいずれか1つを本発明に用いることができる。
【0035】
これにより、非晶質体を、非晶質体の沈殿が許容される温度またはそれ以下の温度で、サンプルから沈殿させる。当業者は、用いる特定の溶解溶媒および沈殿溶媒を考慮に入れながら、非晶質体の沈殿を促進する特定の温度を容易に決定することができるであろう。1つの実施態様では、沈殿は、約50℃またはそれ未満の温度で行われる。別の実施態様では、沈殿は、約室温またはそれ未満の温度で行われる。さらなる実施態様では、沈殿は、約5℃の温度で行われる。
【0036】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルが一旦形成すると、当業者に公知のろ過、傾瀉、遠心分離およびクロマトグラフィーなどの技術を用いて単離することができる。代表的には、ろ過を用いて、沈殿した非晶質サンプルを単離する。
【0037】
一旦沈殿すると、減圧を用いて、残存するまたは捕捉された溶解溶媒または水などの揮発性化合物を除去することができる。約1大気圧(atm)未満の圧力を有する減圧を本発明で用いることができる。好ましくは、約0.2〜約0.8atmの減圧が用いられる。
【0038】
このような減圧は、より短いまたはより長い時間にわたって維持することができる。当業者は、残存するまたは捕捉された溶解溶媒または水のいずれかを蒸発させるのに必要な量を容易に決定することができるであろう。1つの実施態様では、減圧は、少なくとも約8時間維持される。別の実施態様では、減圧は、少なくとも約2日維持される。さらなる実施態様では、減圧は、約2日〜約7日維持される。
【0039】
減圧は、残存するまたは捕捉された溶解溶媒または水のいずれかの除去を促進する温度で維持され得る。1つの実施態様では、約室温の温度を用いることができる。別の実施態様では、約5℃〜約25℃の温度を用いることができる。
【0040】
従って、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、沈殿溶媒を用いて、非晶質体を、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルおよび溶解溶媒を含む液体サンプルから沈殿させることにより得られる。
【0041】
(C)粉砕
さらにさらなる態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを粉砕することにより得ることができる。
【0042】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを粉砕するためにいくつかの装置を用いることができ、これは当業者により選択することができる。このような装置には、粉砕ジャー、ボールミルおよび流体エネルギーミルなどが挙げられる。当業者は、本発明で用いる適切な粉砕装置および条件を容易に決定することができるであろう。しかしながら、特定の粉砕装置の使用は、本発明を限定するものではない。
【0043】
代表的には、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを粉砕ジャー中に入れ、結晶体を粉砕する。粉砕時間の長さは、粉砕ジャー中に入れた結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの量および用いる特定の粉砕ジャーに依存するであろう。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、粉砕が時間と共に進むにつれて、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの量が増加することを見出した。1つの実施態様では、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを、少なくとも約20分粉砕することができる。別の実施態様では、当該結晶体を、少なくとも約40分粉砕する。さらなる実施態様では、当該結晶体を、少なくとも約60分粉砕する。
【0044】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを粉砕することにより得ることができる。
【0045】
III. 非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの特徴付け
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの特徴付けおよび当該非晶質体の結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルからの識別は、当業者に公知の技術を用いて達成される。詳細には、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルが蒸発、沈殿または粉砕の後に存在することの確認は、融点、赤外分光法(IR)、核磁気共鳴分光法(NMR)、マススペクトル分析(MS)、燃焼分析、ラマン分光法、元素分析、および高速液体クロマトグラフィーを含むクロマトグラフィー、を含む技術を用いて行うことができる。
【0046】
ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質の性質はまた、示差走査熱量測定(DSC)およびX線回折(XRD)などの当業者により用いられる技術を用いて確認することもできる。
【0047】
(A)分光法を用いた同定
HPLCを用いて、上述の蒸発、沈殿または粉砕により得られた生成物がラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルであることを確認することができる。詳細には、非晶質サンプルのHPLCクロマトグラフは、結晶体のHPLCクロマトグラフと実質的に同じであるはずである。望ましくは、非晶質体のHPLCクロマトグラフは、結晶体のHPLCクロマトグラフと同一である。
【0048】
非晶質体のHPLCクロマトグラフはまた、当業者により容易に同定され得る不純物に対応するさらなるピークを含み得る。しかしながら、当業者は、当該不純物の存在は非晶質体の同定を妨害しないことを容易に理解するであろう。
【0049】
種々のHPLC条件が、HPLCクロマトグラフを得るのに用いられるが、これらは当業者によって容易に決定され得、本発明を限定するものではない。このようなHPLC条件には、カラム温度、流速、検出波長、カラム型、カラムサイズおよび移動相などの変化が挙げられる。1つの実施態様では、HPLC条件には、温度約45℃、流速約1.0ミリメートル(mL)/分、検出波長約280ナノメートル(nm)、および3ミクロン(μ)のODS粒子を含む逆相150ミリメートル(mm)×4.6mm YMC Pack(登録商標)ODS−AMカラムが挙げられる。種々の移動相もまた本発明に用いて、非晶質体のHPLCクロマトグラフを得ることができる。1つの実施態様では、移動相には、酢酸アンモニウム溶液、アセトニトリル、ジオキサンまたはそれらの組み合わせが挙げられる。1つの実施態様では、移動相には、pH約3.8の酢酸アンモニウム溶液、アセトニトリルおよびジオキサンを約80:52:68のモル比で含む溶液が挙げられる。別の実施態様では、移動相には、pH約3.8の酢酸アンモニウム溶液、アセトニトリルおよびジオキサンを20:34:46のモル比で含む溶液が挙げられる。上述の移動相の組み合わせもまた用いることができる。
【0050】
このようにして非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのHPLCクロマトグラフが得られるが、これを結晶体の既知のHPLCクロマトグラフと比較する。代表的には、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、上記条件を用いて約21分の保持時間を有する。
【0051】
上記HPLC条件を用いることにより、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのHPLCクロマトグラフが得られた。非晶質体について、約21分の保持時間が得られた。次いで、非晶質体のHPLCクロマトグラフを、同じHPLC条件を用いた結晶体のHPLCと比較した。本発明においては、非晶質体の保持時間は、結晶体の保持時間である約21分と同じであった。
【0052】
ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルが蒸発、沈殿または粉砕後に存在することを確認した後、その非晶質の性質を、XRDおよびDSCを用いて確認した。
【0053】
(B)X線回折を用いる同定
X線回折(XRD)技術を用いて、非晶質体を結晶体から識別する。当業者に公知のように、結晶化合物は、シャープなピークを含むXRDパターンを生じる。しかしながら、非晶質化合物は、通常、広くかつ弱く規定されたピークを含むXRDパターンを生じる。代表的には、粉末XRD回折技術を用いて、非晶質化合物を同定する。
【0054】
従って、XRDを本発明に用いて、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを結晶体から識別する。結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの粉末XRDパターンが本発明で得られるが、これはまた当業者が容易に入手可能である。図1Aの結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルについてのXRDパターンおよび/またはデータを参照されたい。当業者に公知のように、結晶体の代表的な粉末XRDパターンは、約8°、約9°、約11°、約15°、約16°、約18°、約19°および約20°で変動する強度のいくつかのシャープなピークを含む。
【0055】
従って、本明細書に記載のように得られた非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの粉末XRDパターンは、当業者に公知のX線結晶学的技術を用いて得られる。1つの実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンは、1つのブロードなピークまたはハローを含む。別の実施態様では、非晶質体のXRDパターンは、1つのブロードなハローを含む。さらなる実施態様では、非晶質体のXRDパターンは、2θに約17°の1つのブロードなハローを含む。
【0056】
他のピークもまた、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンに存在し得、これらはサンプル中の不純物に対応する。他のピークは、代表的には、なおサンプル中に存在する少量の結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルに対応する。
【0057】
非晶質体の特徴付けに加えて、XRDを用いて、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの生成をモニタリングする。代表的には、サンプルが、蒸発、沈殿および粉砕における種々の段階で得られ、それらからXRDパターンが得られる。1つの実施態様では、サンプルを、粉砕における種々の段階、ならびにそれらから得られたXRDパターンにおいて得る。別の実施態様では、溶解溶媒中のサンプルを種々の間隔で回収し、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル固体を沈殿させ、そのXRD回折パターンを得る。さらなる実施態様では、溶解溶媒中のサンプルを、種々の間隔で回収し、溶解溶媒を蒸発し、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRD回折パターンを得る。
【0058】
本発明者らは、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの粉砕後に得られたサンプルのXRDパターンの2θピークは、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルが粉砕されるにつれて、時間と共に強度が減少することを見出した。
【0059】
(C)示差走査熱量測定を用いた同定
示差走査熱量測定(DSC)技術もまた、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを結晶体から識別するのに用いられる。当業者は、DSC温度記録図を得るための条件を容易に決定することができるであろう。TA示差走査熱量計、パージガスとしての窒素ガス、昇温速度5℃/min、他の装置および条件などを含む種々のDSC温度記録図が当業者により利用可能である。
【0060】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのDSC温度記録図は当業者に公知であり、これは約164℃におけるシャープな融解吸熱で特徴付けられるが、このことは、化合物の結晶の性質を示す。結晶体のDSC温度記録図はまた、分解生成物に対応するピークを含み得、かつ約173°〜約178℃において吸熱を含み得る。
【0061】
本発明に従って、蒸発、沈殿および粉砕により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのDSC温度記録図は、結晶体のXRDパターンに存在する約164℃の吸熱ピークを欠く。このピークを欠くことにより、サンプルの非晶質の性質が確認される。蒸発および沈殿により製造した非晶質体の非晶質体はまた、約43℃、105℃、173℃および176-177℃における分解吸熱を含み得る。理論に束縛されることを望まないが、43℃での吸熱は、残存する溶解溶媒、代表的には、エタノールおよび/または水に対応する。
【0062】
沈殿により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのDSC温度記録図もまた、約109℃における吸熱を含む。
【0063】
粉砕により製造された非晶質体のDSC温度記録図は、約52℃、105℃、155℃および173-177℃に吸熱を含み、かつ約127℃に吸熱を含み得る。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、176-177℃の吸熱は分解生成物に対応すると決定した。本発明者らはまた、粉砕が進むにつれて、約164℃における吸熱ピークに対応する非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの融点が155℃にシフトすることを決定した。
【0064】
従って、1つの実施態様では、2θでのブロードなハローが約17°であるX線回折ピークパターンを有し、示差走査熱量測定温度記録図が結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの約164℃の吸熱ピークを欠き、かつ、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの特徴を有する高速液体クロマトグラフィークロマトグラフを有する、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを製造することができる。
【0065】
IV. 非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解度
本発明に従って製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、結晶体に対していくつかの利点を有する。1つの態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、結晶体よりも高い溶解度を有する。
【0066】
固体のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、結晶体または非晶質体のいずれの形態で、溶解のための溶解溶媒に添加される。1つの実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、上述の蒸発、沈殿または粉砕により固体として得られるが、必要に応じてふるいにかけて、固体の粒径をさらに低減する。
【0067】
当業者に公知のように、微粉化もまた、微細に粉砕するまたは固体の粒径を低減するのに有用である。非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、当業者に公知の技術を用いて微粉化することができる。当業者は、微粉化のためのジェットミルなどの装置を容易に選択することができるであろう。当該分野で公知のジェットミルの例には、Trostミル(商標)、MC流体(登録商標)エネルギーミルおよびAlpine(商標)ASスパイラルジェットミルなどが挙げられる。
【0068】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解度は、結晶および非晶質体の別のサンプルを、溶解溶媒に溶解することにより測定することができる。次いで、これらのサンプルの溶解度を比較することができる。種々の溶媒を用いて、非晶質状の溶解度を決定することができるが、当該溶媒は当業者により選択することができる。1つの実施態様では、溶媒は、非晶質状および結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの一方または両方を溶解する。さらなる実施態様では、溶媒は水である。別の実施態様では、溶媒は、水およびクエン酸を含む溶液である。さらに別の実施態様では、溶媒は、水、クエン酸およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)またはラウリル硫酸ナトリウム(SLS)を含む溶液である。さらに他の実施態様では、溶媒は、約4.6のpHに調整された、0.005Mの水およびクエン酸溶液である。さらに他の実施態様は、溶媒は、必要に応じて約4.6のpHに調整された、EDTA含有クエン酸緩衝液である。別の実施態様では、溶媒は、0.2%SLS含有クエン酸緩衝液である。
【0069】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解度はまた、結晶体を溶解溶媒中で混合する時間を長くするか、または当該結晶体を粉砕することにより増加させることができる。当業者は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解溶媒への溶解を促進するのに必要な時間の長さを容易に理解するであろう。1つの実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを、少なくとも約0.5時間、溶媒に溶解させる。別の実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを、約0.5時間〜約72時間、溶媒に溶解させる。さらなる実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを、約24〜約48時間、溶媒に溶解させる。
【0070】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのサンプルはまた、以下で詳細に論じるように、錠剤に圧縮してもよい。当該サンプルを含むこのような錠剤は、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(図1)を含む錠剤と比べてより速い溶解速度を示す。1つの実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む錠剤は、結晶体を含む錠剤に比べて約1.5倍溶解度が高い。
【0071】
代表的には、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、約5℃までの温度で安定である。
【0072】
V. 非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む組成物
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む組成物もまた、本発明に従って製造することができる。このような組成物は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルおよび医薬上許容され得る担体を組み合わせることにより製造される。
【0073】
本明細書中に記載の非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む組成物は、医薬的有効量の非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを用いた所望の送達経路に適した任意の剤形に処方することができる。例えば、本発明の組成物は、経口、皮膚、皮内、気管支内、鼻内、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、腹腔内、鼻内、経膣、経直腸、舌下、頭蓋内、硬膜内、気管内または徐放のような経路により送達することができる。好ましくは、送達は経口的である。
【0074】
本発明の経口投与錠剤組成物はまた、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの誘導体を含む経口投与の錠剤を製造するのに用いることができ、当該誘導体には、当業者に公知のエステル、カーバメート、サルフェート、エーテル、オキシム、カーボネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0075】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの医薬的有効量は、特定の化合物、送達の様式、治療される症状の重篤性、および組成物で用いられる任意の他の活性成分に依存して変動し得る。投与計画もまた、最適な治療応答を提供するために調整され得る。いくつかに分割した用量を1日当たりに送達する(例、1日当たり分割用量を2〜4回)ことができるが、単回用量を送達することもできる。しかしながら、用量は、治療の状況の要件で示されるように、比例的に低減または増加することができる。1つの実施態様では、送達は、毎日、毎週または毎月を基本とする。別の実施態様では、送達は、毎日の送達である。しかしながら、毎日の用量は、周期的送達に基づいて低減または増加することができる。
【0076】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、本発明の組成物と相溶性を有する固体および液体の担体などの1つまたはそれ以上の医薬上許容され得る担体または賦形剤と組み合わせることができるが、これに限定されない。このような担体には、アジュバント、シロップ、エリキシル、希釈剤、結合剤、滑剤、界面活性剤、造粒剤、崩壊剤、軟化剤、金属キレート化剤、pH調整剤、界面活性剤、充填剤、崩壊剤、およびそれらの組み合わせなどが挙げられる。1つの実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、金属キレート化剤、pH調整剤、界面活性剤、充填剤、崩壊剤、滑剤および結合剤と組み合わせられる。
【0077】
アジュバントには、着香剤、着色剤、保存剤および追加の酸化防止剤を挙げることができるが、これらに限定されず、ビタミンE、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)を挙げることができる。
【0078】
結合剤には、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、微結晶セルロース、非結晶セルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン(ポビドン、PVP)、ゼラチン、アラビアゴムおよびアカシア、ポリエチレングリコール、澱粉、シュークロース、カオリン、デキストロースおよびラクトースのような糖、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、デキストレート、デキストリン、グリセリルモノオレエート、グリセリルモノステアレート、グリセリルパルミトステアレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステアレート、ポリビニルアルコールならびにゼラチンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。1つの実施態様では、結合剤は、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはゼラチンである。別の実施態様では、結合剤はポビドンである。
【0079】
滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリルフマル酸ナトリウムなどが挙げられる。1つの実施態様では、滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはステアリルフマル酸ナトリウムである。別の実施態様では、滑剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0080】
造粒剤には、二酸化ケイ素、微結晶セルロース、澱粉、炭酸カルシウム、ペクチン、クロスポビドンおよびポリプラスドンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
崩壊剤または崩壊剤には、クロスカルメロースナトリウム、澱粉、カルボキシメチルセルロース、置換ヒドロキシプロピルセルロース、重炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、α化澱粉またはクロスポビドンなどが挙げられる。1つの実施態様では、崩壊剤は、クロスカルメロースナトリウムである。
【0082】
軟化剤には、ステアリルアルコール、ミンク油、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソプロピルラウレート、ポリエチレングリコール、オリーブ油、石油ゼリー、パルミチン酸、オレイン酸およびミリスチン酸ミリスチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
界面活性剤には、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポロキサマーまたはラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。1つの実施態様では、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
【0084】
金属キレート化剤には、エデト酸、マロン酸またはフマル酸などの生理学上許容され得るキレート化剤を挙げることができる。1つの実施態様では、金属キレート化剤は、エデト酸である。
【0085】
pH調整剤もまた、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む溶液のpHを約4〜約6に調整するのに用いることができる。1つの実施態様では、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む溶液のpHは、約4.6のpHに調整される。pH調整剤には、クエン酸、アスコルビン酸、フマル酸またはマロン酸、およびそれらの塩などの生理学上許容され得る試薬を挙げることができる。1つの実施態様では、pH調整剤はクエン酸である。
【0086】
本発明に従って用いることができる充填剤には、無水ラクトース、微結晶セルロース、マンニトール、リン酸カルシウム、α化澱粉またはシュークロースが挙げられる。1つの実施態様では、充填剤は無水ラクトースである。別の実施態様では、充填剤は微結晶セルロースである。
【0087】
1つの実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む組成物は、錠剤、カプレットまたはカプセル、マイクロカプセル、分散可能な散剤、顆粒、懸濁液、シロップ、エリキシルおよびエアロゾルにより経口的に送達される。望ましくは、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む組成物が経口的に送達される場合、送達は、錠剤およびハードカプセルまたは液体を充填したカプセルにより行われる。
【0088】
別の実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む組成物は、容易な注射可能性が存在する程度に流体である無菌の注射可能な溶液、懸濁液、分散物および散剤の形態で、静脈内、筋肉内、皮下、非経口および腹腔内送達することができる。このような注射可能な組成物は、製造および保存の条件下で無菌および安定であり、細菌および真菌のような微生物の汚染作用がない。
【0089】
さらなる実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む組成物は、従来の坐剤の形態で、経直腸送達することができる。
【0090】
別の実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む組成物は、従来の坐剤、クリーム、ゲル、リングまたはコーティングした子宮内避妊具(IUD)の形態で、経膣で送達することができる。
【0091】
さらに他の実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む組成物は、エアロゾルの形態で、経鼻または経気管支送達することができる。
【0092】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む本発明の組成物は、1つまたはそれ以上の抗拒絶化学療法剤のような他の薬剤とともに共投与することができることもまた意図される。
【0093】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの投与の要件は、発症する症候の重篤性および治療される特定の被検体に依存して変動し得る。当業者は、必要とされる非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの量を容易に決定することができるであろう。1つの実施態様では、約0.5〜約75mgが投与される。さらなる実施態様では、約1〜約25mgが投与される。別の実施態様では、特に他の薬剤と組み合わせて投与される場合、約0.5〜約10mgが投与される。さらにさらなる実施態様では、約2〜約5mgが投与される。さらに他の実施態様では、約5〜約15mgが投与される。
【0094】
治療は、所望の効果を生じるのに必要とされる用量よりも少ない非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの用量を、通常は非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの最適用量未満の用量を投与することにより開始することができる。その後、用量は、当該状況での最適な効果が達成されるまで増加することができる。正確な用量は、処置される個々の被検体についての経験に基づいて投与する医師により決定されるであろう。通常、本発明の組成物は、危険または有害な副作用を起こすことなく効果的な結果を概して生じる濃度で投与されることが最も望ましい。
【0095】
VI. 非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む投与可能な組成物の製造方法
1つの態様では、本発明は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む医薬組成物の製造方法を含む。組成物は、上述のいくつかの異なる経路によって哺乳動物被検体に投与することができ、望ましくは、固体または液体形態で経口投与される。
【0096】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む錠剤、カプセルおよびカプレットを含む固体形態は、非晶質体を、1つまたはそれ以上の上述の成分と共にブレンドすることにより形成され得る。1つの実施態様では、組成物の成分は、乾式または湿式ブレンドされる。別の実施態様では、成分は乾式造粒される。さらなる実施態様では、成分は、液体に懸濁または溶解され、哺乳動物被検体への投与に適切な形態に添加される。
【0097】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む液体形態は、非晶質体を、哺乳動物被検体への投与に適切な液体に溶解または懸濁することにより形成することができる。
【0098】
1つの実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む医薬組成物の製造方法は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル、金属キレート化剤、pH調整剤、界面活性剤、充填剤、結合剤、崩壊剤および滑剤を組み合わせることを含む。
【0099】
別の実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む医薬組成物の製造方法は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル、金属キレート化剤、pH調整剤、界面活性剤、第1部の少なくとも1つの充填剤、結合剤、第1部の崩壊剤、第2部の少なくとも1つの充填剤、第2部の崩壊剤および滑剤を組み合わせることを含む。
【0100】
さらなる実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む医薬組成物の製造方法は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル、エデト酸、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、無水ラクトース、ポビドン、クロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを組み合わせることを含む。
【0101】
さらに他の実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む医薬組成物の製造方法は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル、エデト酸、クエン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、第1部の無水ラクトース、ポビドン、第1部のクロスカルメロースナトリウム、第2部の無水ラクトース、第2部のクロスカルメロースナトリウムおよびステアリン酸マグネシウムを組み合わせることを含む。
【0102】
さらに他の実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む医薬組成物の製造方法は、以下の工程を含む:(a)ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体、金属キレート化剤およびpH調整剤を組み合わせる工程;(b)界面活性剤、第1部の少なくとも1つの充填剤、結合剤および第1部の崩壊剤を組み合わせる工程;(c)(b)の生成物を(a)の生成物と組み合わせる工程;(d)第2部の無水ラクトースおよび第2部のクロスカルメロースナトリウムを、(c)の生成物と組み合わせる工程;(e)(d)の生成物をブレンドする工程;ならびに(f)(e)の生成物を滑剤と組み合わせる工程。工程(b)の生成物は、必要に応じて、大きい塊を除去する器具、例えば、ふるいにかけることができる。
【0103】
さらにさらなる実施態様では、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む医薬組成物の製造方法は、以下の工程を含む:(a)ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体、エデト酸およびクエン酸を組み合わせる工程;(b)ラウリル硫酸ナトリウム、第1部の無水ラクトース、ポビドンおよび第1部のクロスカルメロースナトリウムを組み合わせる工程;(c)(b)の生成物を(a)の生成物と組み合わせる工程;(d)第2部の無水ラクトースおよび第2部のクロスカルメロースナトリウムを、(c)の生成物と組み合わせる工程;(e)(d)の生成物をブレンドする工程;および(f)(e)の生成物をステアリン酸マグネシウムと組み合わせる工程。
【0104】
本発明はまた、本発明への使用のために設計された医薬組成物のキットまたはパッケージを含む。本発明のキットは、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体および上述の哺乳動物被検体への投与に適切な担体を含むことができる。
【0105】
VII. 非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの使用方法
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、当該結晶体が治療または予防することが知られている当業者に公知の種々の症状の治療または予防に用いることができる。
【0106】
従って、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルは、免疫抑制活性、抗拒絶活性、抗真菌活性、抗炎症活性、抗腫瘍活性および抗増殖活性を有する。
【0107】
従って、当該非晶質体は、腎臓、心臓、肝臓、肺、骨髄、膵臓、角膜、小腸、皮膚同種移植片および心臓弁異種移植片などの移植拒絶の治療または予防に用いることができる。当該非晶質体はまた、アレルギー性脳脊髄炎、喘息、ならびに再狭窄、アテローム性動脈硬化および心臓炎症性疾患などの過増殖血管疾患の治療または予防に用いることができる。成人T細胞白血病/リンパ腫、移植片対宿主疾患、眼炎症および真菌感染もまた、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを用いて治療することができる。当該非晶質体は、さらに、星状細胞腫、前立腺癌、乳癌、小細胞肺癌および卵巣癌などの肉腫および癌腫を含む固形腫瘍の治療または予防に用いることができる。ループス、リウマチ性関節炎、糖尿病、重症筋無力症および多発性硬化症のような自己免疫疾患もまた、本発明に従って製造された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを用いて治療することができる。さらに、乾癬、皮膚炎、湿疹、脂漏症、炎症性腸疾患、肺の炎症(喘息、慢性閉塞性肺疾患、気腫、急性呼吸困難症候群、気管支炎など)および眼ブドウ膜炎などの炎症性疾患もまた、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体を用いて治療することができる。
【0108】
適切な投与計画は、本明細書中で提供される情報に基づいて容易に決定することができる。
【0109】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲を限定するものではない。特定の試薬および条件が以下の実施例に概説されているが、当業者は、本発明の趣旨および範囲に包含されることが意図される改変がなされ得ることを理解するであろう。
【実施例1】
【0110】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの製造方法
A. ブチル化ヒドロキシトルエンおよびブチル化ヒドロキシアニソールを用いる蒸発による、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの製造方法
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(0.5g)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)(0.063g)およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)(0.125g)を無水エタノール(15mL)中に溶解させた。アルコールを、減圧下でロータリーエバポレーターを用いて、約25℃〜約30℃の一定温度で、水浴を用いて蒸発させた。蒸発させた固体材料(バッチA1)を、減圧下で一晩保持して、残存するエタノールを除去した。
【0111】
次いで、乾燥した材料を80番のメッシュふるいにかけ、X線回折(XRD)および示差走査熱量測定(DSC)を用いて分析した。
【0112】
B. 非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの蒸発による製造方法
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(0.5g)を、無水エタノール(2mL)中に溶解させた。次いで、アルコールを低温でロータリーエバポレーターを用いて、約25℃〜約30℃の一定の温度で、水浴を用いて蒸発させた。蒸発させた材料を、減圧下で一晩維持して、残存するエタノールを除去した。
【0113】
次いで、乾燥した材料(バッチB1)を80番のメッシュふるいにかけ、XRDおよびDSCを用いて分析した。
【0114】
C. 非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの製造方法
種々の量の結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを、表1に記載の種々の量のエタノールに溶解させた。次いで、得られた溶液を室温で維持する(バッチC1-C3)か、または約0℃の温度の氷冷水を用いて、約40分間、室温より低い温度に冷却した(バッチC4およびC5)。これらの溶液のそれぞれに水を添加すると、固体がこれらの溶液から沈殿した。沈殿した固体をろ過により回収し、室温で約2日〜約7日、減圧下で乾燥した。
【0115】
【表1】

【0116】
D. 非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの粉砕による製造方法
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(1.416g)を、25mLの粉砕ジャーおよび直径12mmのステンレス鋼球(2個)を備えたRetsch(登録商標)Mixer Mill(MM2型)中で、毎分40回転(rpm)のスピードで粉砕した。粉砕したサンプルを、20分(バッチD1)、40分(バッチD2)および60分(バッチD3)で、XRDおよびDSC分析のために取り出した。
【実施例2】
【0117】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの微粉化
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(15.0g)の微粉化を、Trost(商標)ミル(ジェットミル)を用いて、1平方インチ当たり約40ポンドの窒素導入圧力、約1g/分の供給速度で行い、微粉化された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(10.3g)を得た。
【実施例3】
【0118】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの分光学的分析
実施例1に記載のように蒸発、沈殿および粉砕により得られた非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのサンプルのHPLCクロマトグラフを得た。
【0119】
HPLC条件は、カラム温度:約45℃;流速:約1.0mL/分;検出波長:約280nm;3μの粒子を含む、150mm×4.6mm YMC Pack(登録商標)ODS−AMカラム;pH約3.8の酢酸アンモニウム溶液、アセトニトリルおよびジオキサンをモル比約80:52:68で含む、第1の移動相;およびpH約3.8の酢酸アンモニウム溶液、アセトニトリルおよびジオキサンをモル比約20:34:46で含む、第2の移動相を含んだ。
【0120】
非晶質サンプルのHPLCクロマトグラフを、同じ上述の条件を用いて、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのサンプルのHPLCクロマトグラフと比較した。非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル材料について、約21分の保持時間が観察された。
【実施例4】
【0121】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの特徴付け
XRDパターンおよびDSC温度記録図は、結晶状および非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルについて得られた。本発明に従って得られたXRDパターンは、市販のX線回折装置であるPhilips(登録商標)Expert BW-3040を用いて得られた。本発明に従って得られたDSC温度記録図は、市販の示差走査熱量計を用いて得られた。。
【0122】
A. X線回折(XRD)
(i)結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンが得られた。当該XRDパターンは、2θにおけるXRDパターンの約8°、約9°、約11°、約15°、約16°、約17°、約18°および約20°に特徴的ピークを示す(図1A)。
【0123】
(ii)非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル
【0124】
蒸発および沈殿により製造された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンは、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルについての特徴的結晶ピークと同じものが、非晶質体についてのX線回折パターンには存在しないことを示した。
【0125】
詳細には、溶媒蒸発(バッチA1)または沈殿(バッチC1)により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンは、2θにおいて約17°のブロードなピークを示した(図3Aおよび3B)。
【0126】
さらに、粉砕により製造された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(バッチD1〜D3)のXRDパターンは、粉砕時間が増加するにつれ、特徴的結晶ピークの顕著な減少を示した(図1B〜1Dおよび表2)。詳細には、粉砕時間が増加するにつれて、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルに対応するピークが消失したが、このことは、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルが形成したことを示す。
【0127】
【表2】

【0128】
B. 示差走査熱量測定(DSC)
(i)結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル
【0129】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのDSC温度記録図は、163.98℃におけるシャープな融解吸熱により特徴付けられるが、当該吸熱は、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの結晶の性質を示す(図4)。DSC温度記録図はまた、178.25℃において分解生成物の吸熱を示す。
【0130】
(ii)蒸発により製造された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル
エタノール蒸発法により製造された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(バッチB1)のDSC温度記録図は、43.30℃にブロードな吸熱を示した。理論に束縛されることを望まないが、本発明者らは、この43.30℃におけるブロードな吸熱は、おそらく残存するエタノールおよび水に起因すると仮定した(図5)。DSC温度記録図はまた、105.18℃に小さい吸熱を示した。DSC温度記録図の173.24℃および176.50℃において、分解生成物の吸熱の可能性もまた観察された。
【0131】
結晶体についての163.98℃における特徴的融解吸熱は、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのDSC温度記録図には存在しなかったが、このことは、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルが存在することを示す。
【0132】
(iii)沈殿により製造された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル
沈殿により製造された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(バッチC1)のDSC温度記録図は、約43.30℃にブロードな吸熱を示したが、これはおそらく、上述のように、残存するエタノールおよび水に起因したのであろう(図6)。DSC温度記録図はまた、105.18℃に小さい吸熱を示した。DSC温度記録図の173.24℃および176.50℃において、分解生成物の吸熱の可能性もまた観察された。
【0133】
結晶体についての163.98℃における特徴的融解吸熱は、このDSC温度記録図には存在しなかったが、このことは、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルが存在することを示す。
【0134】
(iv)粉砕により製造された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル
60分の粉砕により製造された非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(バッチD3)のDSC温度記録図は、結晶吸熱の強度の減少および163.98℃から155.17℃へのシフトを示した。このシフトにより、サンプルの結晶化度が実質的に減少したことが示された(図7)。
【実施例5】
【0135】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解度
A. 緩衝液への溶解度
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(バッチC4)および微粉化した結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのクエン酸溶液中への溶解度を決定した。
【0136】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(バッチC3)(9.1mg)および微粉化した結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(41.0mg)を含む別のサンプルを、0.001%EDTAを含む10gの(0.005M)クエン酸溶液を含むシンチレーションバイアルに添加した。溶液を混合し、室温およびpH約4.6で維持した。次いで、バイアルをロータリーシェーカーで24時間振とうした。
【0137】
非晶質溶液および結晶溶液の両方のサンプル(2mL)を、選択した時間間隔(0、0.5、3、5および24時間)で取り出し、0.2μmのフィルターを通してろ過し、室温で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析した(表1)。サンプルの溶解度を、HPLCクロマトグラフに提供されたデータおよび当業者により用いられる技術を用いて計算し、表3に提供する。
【0138】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解度を、24時間の時間にわたって計算し、25℃で約1.88μg/mLと計算されたが、これは結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解度の3倍高い。この点から、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解は、微粉化結晶体よりも速い。
【0139】
【表3】

【0140】
B. 界面活性剤溶液中への溶解度
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(バッチC4)および微粉化した結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの界面活性剤溶液への溶解度を測定した。
【0141】
0.2%のラウリル硫酸ナトリウムおよび0.001%のカルシウムEDTAを含む0.005Mクエン酸溶液を、約4.73のpHに調整した。
【0142】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(バッチC4)(60mg)および微粉化した結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(60mg)を含む別々のサンプルを、10gのクエン酸/SLS溶液を含むシンチレーションバイアルに添加した。次いで、溶液を混合し、室温で維持し、ロータリーシェーカーで約24〜約48時間振とうした。
【0143】
非晶質溶液および結晶溶液の両方のサンプル(2mL)を、24時間および48時間で取り出し、0.2μmのフィルターを通してろ過し、室温で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(表4)を用いて分析した。次いで、サンプルの溶解性を、HPLCクロマトグラフに提供されたデータおよび当業者により用いられる技術を用いて計算し、表4に提供する。
【0144】
【表4】

【0145】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42エステルの24時間の時間にわたるSLS界面活性剤溶液中での溶解度は、25℃で約2.17mg/mLであると計算されたが、これは、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの溶解度の約3.5倍高い。
【0146】
この観点から、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの界面活性剤溶液中への溶解もまた、微粉化結晶体より速い。
【実施例6】
【0147】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの安定性
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの安定性は、特定の時間にわたり、種々の温度で測定した。
【0148】
約200mgの、蒸発(バッチA1)または沈殿(バッチC4)により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのサンプルを、HPLCガラスバイアルに添加し、バイアルをKim Wipes(商標)ペーパー(Fisher Scientific)で覆い、Kim Wipes(商標)ペーパーをワイヤを用いてバイアルの口に縛りつけた。
【0149】
次いで、蒸発により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルサンプルおよび沈殿により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを、約1gの無水硫酸カルシウム乾燥剤を含むより大きなシンチレーションバイアルに入れた。外側のシンチレーションバイアルに栓をし、パラフィルムで密封し、安定チャンバ中に入れた。一方の安定チャンバを、約5℃の温度で約10〜20%の相対湿度(RH)に保持し、他方の安定チャンバを、約40℃の温度で約75%のRHに保持した。
【0150】
次いで、沈殿により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルサンプルを、約2gの無水硫酸カルシウム乾燥剤を含む4mLの高密度ポリエチレン(HDPE)のボトルに入れた。HDPEボトルを、熱伝導シールを用いて密封し、プラスチックキャップを用いて閉じた。1つのボトルを、約5℃の安定チャンバ中に入れ、1つのボトルを、約室温の安定チャンバ中に入れ、3番目のボトルを、約40℃で約75%のRHの安定チャンバ中に入れた。
【0151】
蒸発により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルサンプルのサンプルを、第1週および第2週に取り出した(表5)。沈殿により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルサンプルのサンプルを、1週間で取り出し、分析した(表6)。
【0152】
【表5】

【0153】
【表6】

【0154】
これらのデータは、沈殿および蒸発により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのサンプルが安定であることを示す。
【実施例7】
【0155】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む錠剤の製造
エデト酸(0.008g)、無水クエン酸(0.021g)、および沈殿により製造した非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル(バッチA1)のブレンド物を、ペーパー上で幾何学的に混合して予備ブレンド混合物を製造した。SLS(2.841g)、無水ラクトース(17.356g)、ポビドン(16.521g)、ならびに微結晶セルロース(MCC)PH112、NF(35.049g)およびクロスカルメロースナトリウム(3.165g)を含む混合物約75%を、20番のメッシュふるいにかけた。次いで、このふるいにかけた混合物を、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む予備ブレンド混合物と合わせ、Vブレンダーに移した。残りの25%のMCCおよびクロスカルメロースナトリウムの混合物をVブレンダーに添加し、5分間ブレンドした。ステアリン酸マグネシウム(0.397g)をブレンドした混合物に添加し、さらに2分間ブレンドした。
【0156】
最終混合物を、B2Stokes(商標)打錠機を用いて成形した0.25×0.71インチカプレットを用いて、625mg錠剤(硬度:14〜17キロポンド(kp))に圧縮した。
【0157】
カラム温度:約45℃;流速:約1mL/分;検出波長:約280nm;3μmの粒子を含む、150mm×4.6mm YMC Pack(登録商標)ODS−AMカラム;pH約3.8の酢酸アンモニウム溶液、アセトニトリルおよびジオキサンをモル比約80:52:68で含む、第1の移動相;およびpH約3.8の酢酸アンモニウム溶液、アセトニトリルおよびジオキサンをモル比約20:34:46で含む、第2の移動相を用いて、各サンプルのHPLCを上述のように得た。約21分の保持時間のピークが観察された。
【0158】
本明細書に引用した全ての刊行物は、本明細書中で参照することによって本明細書中に組み込まれる。本発明を、特に好ましい実施態様を参照しながら説明してきたが、本発明の趣旨から逸脱することなく改変がなされ得ることが理解されるであろう。このような改変は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1A〜1Dは、結晶および非晶質状のボールミル粉砕したラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのX線回折(XRD)パターンを示す。図1Aは、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンである。図1B〜Dは、20分、40分および60分粉砕した後に得られた、ボールミル粉砕したラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンである。
【図2】図2は、非晶質および結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む錠剤の、0.4%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)溶液中での溶解速度を比較したグラフである。非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む錠剤を四角形で示し、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含む錠剤を三角形で示す。
【図3】図3A〜Bは、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンである。図3Aは、蒸発により製造した、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンである。図3Bは、沈殿により製造した、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのXRDパターンである。
【図4】図4は、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの示差走査熱量測定(DSC)温度記録図である。
【図5】図5は、蒸発により製造した、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのDSC温度記録図である。
【図6】図6は、沈殿により製造した、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのDSC温度記録図である。
【図7】図7は、60分のボールミル粉砕により製造した、非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルのDSC温度記録図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の特徴:
(a)X線回折ピークパターンが、約17°の2θにおけるブロードなハローを含むこと;および
(b)示差走査熱量測定温度記録図が、結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの約164℃の吸熱ピークを欠いていること
を有する、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体。
【請求項2】
以下:
(i)温度が約45℃であり、
(ii)流速が約1mL/分であり、
(iii)検出波長が約280nmであり、
(iv)150mm×4.6mm YMC Pack(登録商標)ODS−AMカラムが3μの粒子を含み、
(v)第1の移動相が、pH約3.8の酢酸アンモニウム溶液、アセトニトリルおよびジオキサンをモル比約80:52:68で含み、ならびに
(vii)第2の移動相が、pH約3.8の酢酸アンモニウム溶液、アセトニトリルおよびジオキサンをモル比約20:34:46で含む、
の条件で、高速液体クロマトグラフィーの保持時間が約21分である、請求項1記載の非晶質体。
【請求項3】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルに比べて、溶解溶媒中に少なくとも3倍可溶性である、請求項1または2記載の非晶質体。
【請求項4】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルに比べて、ラウリル硫酸ナトリウム含有溶解溶媒中に少なくとも3.5倍可溶性である、請求項1または2記載の非晶質体。
【請求項5】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルおよびアルコールを含む液体サンプルから、当該アルコールを蒸発させることにより得ることができる、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体。
【請求項6】
アルコールが無水アルコールである、請求項5記載の非晶質体。
【請求項7】
アルコールがエタノール、メタノールまたはイソプロパノールである、請求項5または6記載の非晶質体。
【請求項8】
アルコールがエタノールである、請求項7記載の非晶質体。
【請求項9】
アルコールが少なくとも約20℃の温度で蒸発させられる、請求項5〜8のいずれか1項に記載の非晶質体。
【請求項10】
アルコールが少なくとも約25℃〜約50℃の温度で蒸発させられる、請求項9記載の非晶質体。
【請求項11】
サンプルがブチル化ヒドロキシアニソールをさらに含む、請求項5〜10のいずれか1項に記載の非晶質体。
【請求項12】
サンプルがブチル化ヒドロキシトルエンをさらに含む、請求項5〜11のいずれか1項に記載の非晶質体。
【請求項13】
沈殿溶媒を用いて液体サンプルから非晶質体を沈殿させることで得られるラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体であって、該液体サンプルが結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルおよび溶解溶媒を含む、非晶質体。
【請求項14】
溶解溶媒がアルコールまたはエーテルを含む、請求項13記載の非晶質体。
【請求項15】
アルコールがエタノール、メタノールまたはイソプロパノールである、請求項14記載の非晶質体。
【請求項16】
エーテルがジエチルエーテルである、請求項14記載の非晶質体。
【請求項17】
沈殿溶媒が水またはアルカンである、請求項13〜16のいずれか1項に記載の非晶質体。
【請求項18】
アルカンがn−ヘプタンである、請求項17記載の非晶質体。
【請求項19】
沈殿が約50℃またはそれ未満の温度で行われる、請求項13〜18のいずれか1項に記載の非晶質体。
【請求項20】
沈殿が室温またはそれ未満の温度で行われる、請求項19記載の非晶質体。
【請求項21】
温度が約5℃である、請求項20記載の非晶質体。
【請求項22】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを粉砕することにより得ることができる、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体。
【請求項23】
結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを含むサンプルのX線回折パターンの2θピークの強度が、該結晶状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルが粉砕されるにつれて時間とともに減少する、請求項22記載の非晶質体。
【請求項24】
非晶質体の示差走査熱量測定温度記録図が、約164℃において吸熱ピークを欠く、請求項22記載の非晶質体。
【請求項25】
図3Aおよび図3Bからなる群から選択されるX線回折パターンを有する、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル体。
【請求項26】
図5および図6からなる群から選択される示差走査熱量測定温度記録図を有する、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステル体。
【請求項27】
ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体および医薬上許容され得る担体を含む、医薬組成物。
【請求項28】
(i)ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体;および(ii)哺乳動物被検体への投与に適した担体を含む、キット。
【請求項29】
以下の成分:
(i)ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体、
(ii)金属キレート化剤、
(iii)pH調整剤、
(iv)界面活性剤、
(v)少なくとも1つの充填剤、
(vi)結合剤、
(vii)崩壊剤、および
(viii)滑剤
を組み合わせることを含む、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体を含む医薬組成物の製造方法。
【請求項30】
金属キレート化剤が、エデト酸、マロン酸またはフマル酸である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
金属キレート化剤がエデト酸である、請求項29記載の方法。
【請求項32】
pH調整剤が、クエン酸、アスコルビン酸、フマル酸またはマロン酸を含む、請求項29〜31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
pH調整剤がクエン酸である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
界面活性剤が、ポリソルベートを含む化合物、ソルビタンエステルを含む化合物、ポロキサマーまたはラウリル硫酸ナトリウムを含む、請求項29〜33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである、請求項34記載の方法。
【請求項36】
充填剤が、無水ラクトース、微結晶セルロース、マンニトール、リン酸カルシウム、α化澱粉またはシュークロースである、請求項29〜35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
充填剤が無水ラクトースを含む、請求項36記載の方法。
【請求項38】
充填剤が微結晶セルロースを含む、請求項36または37記載の方法。
【請求項39】
結合剤が、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはゼラチンを含む、請求項29〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
結合剤がポビドンである、請求項39記載の方法。
【請求項41】
崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、α化澱粉またはクロスポビドンを含む、請求項29〜40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
滑剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはステアリルフマル酸ナトリウムを含む、請求項29〜42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
滑剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項43記載の方法。
【請求項45】
成分が乾式ブレンドされ、かつ哺乳動物被検体への投与に適した形態に圧縮される、請求項29〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
成分が乾式造粒され、かつ哺乳動物被検体への投与に適した形態に圧縮される、請求項29〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
成分が湿式造粒され、かつ哺乳動物被検体への投与に適した形態に圧縮される、請求項29〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
投与可能な形態が錠剤またはカプレットである、請求項45〜47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
成分が哺乳動物被検体への投与に適した形態に添加される、請求項29〜44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
形態がカプセルである、請求項49記載の方法。
【請求項51】
形態が液体懸濁液である、請求項49記載の方法。
【請求項52】
ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体を含む医薬組成物の製造方法であって:
(a)(i)ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体、(ii)エデト酸および(iii)クエン酸を組み合わせ;
(b)ラウリル硫酸ナトリウム、第1部の無水ラクトース、ポビドンおよび第1部のクロスカルメロースナトリウムを組み合わせ;
(c)(b)の生成物を(a)の生成物と組み合わせ;
(d)第2部の無水ラクトースおよび第2部のクロスカルメロースナトリウムを(c)の生成物と組み合わせ;
(e)(d)の生成物をブレンドし;ならびに
(f)(e)の生成物をステアリン酸マグネシウムと組み合わせる
工程を含む、医薬組成物の製造方法。
【請求項53】
工程(b)の生成物がふるいにかけられる、請求項52記載の方法。
【請求項54】
医薬的有効量のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体を用いて、移植拒絶、移植片対宿主疾患、自己免疫疾患、固形腫瘍または過増殖性血管疾患を治療または予防する方法。
【請求項55】
ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体を含む医薬組成物であって:
(i)ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体、
(ii)金属キレート化剤、
(iii)pH調整剤、
(iv)界面活性剤、
(v)少なくとも1つの充填剤、
(vi)結合剤、
(vii)崩壊剤、および
(viii)滑剤
を含む、医薬組成物。
【請求項56】
金属キレート化剤が、エデト酸、マロン酸またはフマル酸を含む、請求項55記載の医薬組成物。
【請求項57】
金属キレート化剤がエデト酸である、請求項56記載の医薬組成物。
【請求項58】
pH調整剤が、クエン酸、アスコルビン酸、フマル酸またはマロン酸を含む、請求項55〜57のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項59】
pH調整剤がクエン酸である、請求項58記載の医薬組成物。
【請求項60】
界面活性剤が、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポロキサマーまたはラウリル硫酸ナトリウムから選択される、請求項55〜59のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項61】
界面活性剤がラウリル硫酸ナトリウムである、請求項60記載の医薬組成物。
【請求項62】
充填剤が、無水ラクトース、微結晶セルロース、マンニトール、リン酸カルシウム、α化澱粉またはシュークロースを含む、請求項55〜61のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項63】
充填剤が無水ラクトースを含む、請求項62記載の医薬組成物。
【請求項64】
充填剤が微結晶セルロースを含む、請求項62または63記載の医薬組成物。
【請求項65】
結合剤が、ポビドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはゼラチンを含む、請求項55〜64のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項66】
結合剤がポビドンである、請求項65記載の医薬組成物。
【請求項67】
崩壊剤が、クロスカルメロースナトリウム、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、α化澱粉またはクロスポビドンである、請求項55〜66のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項68】
崩壊剤がクロスカルメロースナトリウムである、請求項67記載の医薬組成物。
【請求項69】
滑剤が、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはステアリルフマル酸ナトリウムを含む、請求項55〜68のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項70】
滑剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項69記載の医薬組成物。
【請求項71】
成分が乾式ブレンドされ、かつ哺乳動物被検体への投与に適した形態に圧縮される、請求項55〜70のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項72】
成分が乾式造粒され、かつ哺乳動物被検体への投与に適した形態に圧縮される、請求項55〜70のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項73】
成分が湿式造粒され、かつ哺乳動物被検体への投与に適した形態に圧縮される、請求項55〜70のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項74】
投与可能な形態が錠剤またはカプレットである、請求項71または73のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項75】
成分が哺乳動物被検体への投与に適した形態に添加される、請求項55〜70のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項76】
形態がカプセルである、請求項75記載の医薬組成物。
【請求項77】
形態が液体懸濁液である、請求項75記載の医薬組成物。
【請求項78】
移植拒絶、移植片対宿主疾患、自己免疫疾患、固形腫瘍または過増殖性血管疾患を治療または予防するために哺乳動物に投与するための医薬を製造するための、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの非晶質体の使用。
【請求項79】
非晶質状のラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルを、ジェットミル中で微粉化することにより製造した、ラパマイシンの3-ヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-メチルプロピオン酸との42-エステルの微細化非晶質体。
【請求項80】
ジェットミルがTrostミル、MC流体エネルギーミルまたはAlpine(商標)ASスパイラルジェットミルである、請求項79記載の非晶質体。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−504226(P2007−504226A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525345(P2006−525345)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【国際出願番号】PCT/US2004/026591
【国際公開番号】WO2005/023254
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】