説明

非晶質Fe100−a−bPaMb合金ホイル及びその製造方法

好ましくは自立型の形態である、非晶質Fe100−a−bホイル;めっき水溶液の電着又は電鋳によるその製造方法;変圧器、発電機、モーター、パルスアプリケーション、磁気遮蔽の構成要素としてのその使用。aは13〜24の実数であり、bは0〜4の実数であり、MはFe以外の少なくとも1種の遷移元素である。非晶質Fe100−a−bホイルは、次の各特性:X線回折法で立証されるように非晶質であること;20マイクロメートルより大きい平均厚さ;200〜1100MPaである引張強さ;120μΩcmより大きい電気抵抗;1.4Tより大きい高い飽和誘導(Bs)、40A/m未満の保磁場(Hc)、電力周波数(60Hz)及び少なくとも1.35Tのピーク誘導で0.65W/kg未満の損失(W60)、及び低いμH値について、10000より大きい高い相対透磁率(B/μH)のうち少なくとも1つ、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Fe100−a−bで表される非晶質材料のホイルと、そのホイルを製造するための方法に関する。
本発明のホイルからなる材料は、軟磁性、特に、高い飽和誘導、低い保磁場、高い浸透性、低い電力周波数損失などの各特性を示す。更に、かかる材料は、興味深い機械的特性や電気的特性を有し得る。
【0002】
本発明のホイルは、変圧器、エンジン、発電機、及び磁気遮蔽の強磁性コアとして特に興味深い。
【背景技術】
【0003】
磁束線を集束させる磁性材料は、永久磁石から磁気記録ヘッドまで、多くの産業上の用途を有する。特に、高い浸透性と、印加された電場曲線に対して殆ど可逆性の磁性を有する軟磁性材料は、電気的な動力装置において広く用いられている。商業的な鉄−ケイ素 変圧器鋼材は、100000程度の高い相対透磁率、約2.0Tの飽和誘導、70μΩcmまでの抵抗、及び数ワット/kgの50/60Hz損失を有し得る。これらの製品は有益な特徴を有するが、そのような変圧器に伝わる電力の損失は有意な経済的損失を示す。1940年代以来、損失の低い粒子配向Fe-Si鋼が開発されてきた[米国特許第1,965,559号(Goss),(1934)及び、例えば、概説:「Soft Magnetic Materials(柔磁性材料),G. E. Fish, Proc. IEEE, 78, p. 947 (1990)」を参照]。磁壁運動に基づく異常損失について機構を特定したプライ・アンド・ビーン・モデル(Pry and Bean model)[R. H. Pry and C. P. Bean, J. Appl. Phys., 29, p. 532, (1958)]により刺激され、現代の磁性材料は、例えばレーザスクライビング[I. Ichijima, M. Nakamura, T. Nozawa and T. Nakata, IEEE Trans Mag, 20, p. 1557, (1984)]又は機械的スクライビングにより、磁区の改良から利益を得ている。このアプローチは、60Hzで約0.6W/kgの損失を導いている。熱処理及び機械的な表面エッチングを注意深く制御することにより、薄いシートにおいて非常に低い損失、すなわち1.7T及び50Hzにおいて0.2W/kgの損失が得られる[K. I. Arai, K. Ishiyama and H. Magi, IEEE Trans Mag, 25, p. 3989, (1989)]。しかし、商業的に入手可能な材料は、60Hzで0.68W/kg程度に低い損失を示す。
【0004】
ここ25年間にわたり、多くの強磁性体系における結晶粒寸法の改良により、ヒステリシス損失の有意な減少につながっている。磁気交換長さ(magnetic exchange length)未満である粒子(約30nm未満の直径)についてHerzerのランダム異方性モデル[Herzer, G. (1989) IEEE Trans Mag 25, 3327-3329, Ibid 26, p. 1397-1402]にしたがうと、異方性が有意に低減され、20A/mより低い非常に低い保磁値(H)とこれゆえに低いヒステリシス損失を特徴とする、非常に軟磁性の挙動が生じる。多くの場合、これらの材料は、非晶質マトリクス、例えば、ガラス状合金中に組み込まれたナノ結晶の分布(米国特許第4,217,135号(Luborskyら)を参照)からなる。これらの所望な特性を達成するためには、多くの場合、大部分は非晶質である状態で初めに生成された材料に対して注意深い応力緩和及び/又は部分的な再結晶化熱処理を施用する。
【0005】
ガラス状合金は、超急冷により加工するのが一般的であり、通常、ケイ素、リン、ホウ素、又は炭素などの20%のメトロイド、及び約80%の鉄から作られる。これらのフィルムは、厚みと幅が限定されている。そのうえ、へりからへりまで、及び端から端までの厚みは、表面粗さとともに変動する。関心を集めるそのような材料は、かかる材料の製造に付随する高いコストのために、非常に限定される。また、非晶質合金は、真空堆積、スパッタリング、プラズマスプレー、超急冷、及び電着により調製できることができる。典型的な商業的リボンは、25μmの厚みと210mmの幅を有する。
【0006】
鉄群の材料を基材とする合金の電着は、金属合金堆積の分野において最近10年の間で最も重要な開発のひとつである。FePは、コスト効率のある軟磁性材料として、特別な注目を受けるに値する。FeP合金フィルムは、電気化学的、無電解、冶金の、機械的、及びスパッタリング法により製造することができる。電気化学的処理は広く使用されており、これにより、適するメッキ条件を用いて、コーティング組成、マイクロ構造、内部応力、及び磁気特性の制御が可能となる。
【0007】
以下は、鉄を基材とする合金に関する一定の特許の例を提供する。
米国特許第4,101,389号(Uedaira)は、非晶質鉄−リン又は鉄−リン−銅フィルムを銅基板上に鉄(0.3〜1.7モル濃度(M)の二価の鉄)及び次亜リン酸塩(0.07〜0.42Mの次亜リン酸塩)浴から、3〜20A/dmの低い電流密度、1.0〜2.2のpH、30〜50℃の低い温度で電着することを開示している。堆積したフィルム中のP含量は、1.2〜1.4Tの磁束密度Bで12〜30原子%である。自立性ホイルは製造されていない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第一の目的は、自立型ホイルの形態である非晶質Fe100−a−b合金ホイルであって、
前記ホイルの平均厚さが20μm〜250μm、好ましくは50μmより大きく、より好ましくは100μmより大きく、
式Fe100−a−bにおいて、aは13〜24の数であり、bは0〜4の実数であり、MはFe以外の少なくとも1種の遷移元素であり、
前記合金が、20nmより小さいサイズを有するナノ結晶が埋め込まれた非晶質のマトリックスを有し、該非晶質マトリックスが、前記合金の体積の85%より高い割合を占める、前記合金ホイルにより構成される。
【0009】
好ましい態様において、ナノ結晶が、5nmより小さいサイズを有し、非晶質マトリックスが、合金の体積の85%を占める。ナノ粒子の寸法が小さい場合、合金中のナノ粒子の比率が低い場合に磁気特性が高められる。ナノ粒子を含まない合金が特に好ましい。
【0010】
X線回折(XRD)の特徴は、合金が非晶質構造であることを示す。透過型電子顕微鏡(TEM)の特徴は、非晶質合金中に存在する場合にはナノ粒子を示す。
本明細書中において「非晶質」とは、XRDの特徴により非晶質であると考えられる構造、並びにTEMによりナノ結晶が非晶質マトリクスに埋め込まれていると特徴づけられる構造を意味する。
【0011】
本発明の非晶質Fe100−a−b合金ホイルは、200〜1100MPa、好ましくは500MPaを超える引張強さと、120μΩcmより高い、好ましくは140μΩcmより高い、より好ましくは160μΩcmより高い電気抵抗(ρdc)を有する。
【0012】
本発明のホイルを構成する非晶質Fe100−a−b合金は、
以下の追加の特性:
1.4Tより大きい、好ましくは1.5Tより大きい、より好ましくは1.6Tより大きい、高い飽和誘導(B);
1.35Tの誘導にて、40A/m未満、好ましくは15A/m未満、より好ましくは11A/m未満の低い保磁場(H);
電力周波数(60Hz)にて、少なくとも1.35Tのピーク誘導について、0.65W/kg未満、好ましくは0.45W/kg未満、より好ましくは0.3W/kg未満の低い損失(W60);及び
低いμH値について、10000より大きい、好ましくは20000より大きい、より好ましくは50000より大きい、高い相対透磁率(B/μH)
のうち少なくとも1つを有する、軟磁性材料である。
【0013】
その磁気特性を考慮すると、本発明の非晶質Fe100−a−b合金ホイルは、変圧器、モーター、発電機、及び磁気シールドの強磁性コアを形成するのに有用である。
【0014】
本発明の合金の磁気損失は、リン含量が高い場合に改良される。しかし、Pの含量が高いと、合金を電着により製造する場合にクーロン効率に悪影響が及ぶ。リン含量「a」が13より低い場合、Fe100−a−b合金はXRDにより示されるようにもはや非晶質ではなく、結果として、磁気特性は、合金を変圧器のコアとして使用するには充分に良好ではない。リン含量「a」が24より高い場合、クーロン効率は低く、合金を調製するための電着プロセスは経済的な観点から魅力がない。そのうえ、飽和磁化は、ホイル中のPの含量の増加とともに減少する。好ましい態様において、リン含量「a」は15.5〜21である。
【0015】
本発明の非晶質Fe100−a−bホイルにおいて、Mは、Mo、Mn、Cu、V、W、Cr、Cd、Ni、Co、Znからなる群から選択される単一の元素であるか、又は、前記元素のうち少なくとも2種の組み合わせであることができる。好ましくは、Mは、Cu、Mn、Mo、又はCrである。合金の耐腐食性を向上することからCuが特に好ましい。Mn、Mo、及びCrは良好な磁気特性を提供する。
【0016】
本発明のホイルを構成する材料は、一般に、製造法又はプロセスに使用する前駆体から生ずる不可避的不純物を含む。本発明の非晶質Fe100−a−bホイル中に最も一般的に存在する不純物は、酸素;水素;ナトリウム;カルシウム;炭素;Mo、Mn、Cu、V、W、Cr、Cd、Ni、Co、又はZn以外の電着された金属不純物である。不純物を1重量%未満、好ましくは0.2重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満含有する材料が特に関心がもたれている。
【0017】
本発明のホイルは、次式
Fe100−a−b’Cub’(式中、aは15〜21、好ましくは17であり、b’は0.2〜1.6、好ましくは約0.8である);
Fe100−a−b’Mnb’(式中、aは15〜21、好ましくは17であり、b’は0.2〜1.6、好ましくは約0.8である);
Fe100−a−b”Mob”(式中、aは15〜21、好ましくは17であり、b”は0.5〜3、好ましくは約0.2である);及び
Fe100−a−b”Crb”(式中、aは15〜21、好ましくは17であり、b”は0.5〜3、好ましくは約0.2である);
のうち1つを有する非晶質合金からつくられることができる。
【0018】
いくつかの他の非晶質Fe100−a−b合金ホイルは、
が、Cub’Mob”、すなわち、式Fe100−a−b’−b”Cub’Mob”で、式中、aは15〜21、好ましくは17であり、b’は0.2〜1.6、好ましくは約0.8であり、b”は0.5〜3、好ましくは約2であるもの、
が、Cub’Crb”、すなわち、式Fe100−a−b’−b”Cub’ Crb”で、式中、aは15〜21、好ましくは17であり、b’は0.2〜1.6、好ましくは約0.8であり、b”は0.5〜3、好ましくは約2であるもの、
が、Mnb’Mob”、すなわち、式Fe100−a−b’−b”Mnb’Mob”で、式中、aは15〜21、好ましくは17であり、b’は0.2〜1.6、好ましくは約0.8であり、b”は0.5〜3、好ましくは約2であるもの、
が、Mnb’Crb”、すなわち、式Fe100−a−b’−b”Mnb’Crb”で、式中、aは15〜21、好ましくは17であり、b’は0.2〜1.6、好ましくは約0.8であり、b”は0.5〜3、好ましくは約2であるもの、
である。
【0019】
特に興味深いのは、
Fe83.816.2、Fe78.521.5、Fe82.517.5、及びFe79.720.3
Fe83.515.5Cu1.0、Fe83.216.6Cu0.2、Fe81.817.8Cu0.4、Fe82.016.6Cu1.4、Fe82.915.5Cu1.6、Fe83.715.8Mo0.5、及びFe74.023.6Cu0.8Mo1.6
Fe83.515.5Mn1.0、Fe83.216.6Mn0.2、Fe81.817.8Mn0.4、Fe82.016.6Mn1.4、Fe82.915.5Mn1.6、Fe83.715.8Mn0.5、及びFe74.023.6Mn0.8Mo1.6
からなる群から選択される非晶質Fe100−a−b合金である。
【0020】
本発明の第二の目的は、本発明の第一の目的にしたがった非晶質Fe100−a−b合金ホイルを製造するための方法である。
本発明の非晶質Fe100−a−b合金ホイルは、合金析出のための基板である作動電極とアノードとを有する電気化学セルを用いて電着することにより得られ、前記電気化学セルはめっき溶液として作用する電解質溶液を含有し、該作動電極と該アノードの間に直流電流又はパルス状逆電流が印加され、
該めっき溶液は、pHが0.8〜2.5、温度が40℃〜105℃の水溶液であり、
好ましくは0.5〜2.5Mの濃度であり、新しい鉄屑、鉄、純鉄、及び第一鉄の塩からなる群から選択される鉄前駆体と(前記第一鉄の塩は、好ましくは、FeCl、Fe(SONH、FeSO、及びこれらの混合物からなる群から選択される)、
好ましくはNaHPO、HPO、HPO、及びこれらの混合物からなる群から選択され、0.035〜1.5Mの濃度である、リン前駆体と、
任意成分として、0.1〜500mMの濃度であるM塩と
を含有し、
該作動電極と該アノードの間に、3〜150A/dmの密度で、直流電流又はパルス電流が印加され、
めっき水溶液の速度が1〜500cm/sである。
【0021】
該めっき水溶液のpHは、好ましくは、少なくとも1種の酸及び/又は少なくとも1種の塩基を添加することにより、その調製の間に調節する。
上記のように定義した方法により、50%より高いクーロン効率を有する合金堆積物を提供する。一部の具体的な態様において、クーロン効率は、70%より高く、又は83%程度まで高い。
【0022】
本発明の方法は、非晶質Fe100−a−b合金を自立型ホイルとして調製するために使用するのに都合がよい。自立型ホイルは、作動電極からその上に堆積したホイルをはがすことにより得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、厚み50μmのFe100−a−b自立型ホイルにおけるPの原子%対メッキ浴中の次亜リン酸塩の濃度の関係を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例1に記載したとおりである。
【図2】図2は、厚み50μmのFe100−a−b自立型ホイルにおけるPの原子%対プロセスのクーロン効率の関係を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例1に記載したとおりである。
【図3】図3は、250℃で30分アニールした後の、保磁場(H(磁気計測定)対厚み50μmのFe100−a−b自立型ホイル中のPの原子%の関係を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例1に記載したとおりである。
【図4】図4は、250℃で30分アニールした後の、電力周波数損失(W60磁気計測定)対厚み50μmのFe100−a−b自立型ホイル中のPの原子%の関係を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例1に記載したとおりである。
【図5】図5は、種々の組成のP原子%で製造した、堆積したままの状態(アニールしていない)の厚み50μmのFe100−a−bホイルのX線回折パターンを示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例1に記載したとおりである。
【図6】図6は、本発明にしたがった非晶質Fe8514Cuホイル及び非晶質Fe8515ホイルについて得られた示差走査熱量計のパターン(DSC)に関する違いを示す。本実施例にしたがって得られたFe8515ホイル及びFe8514CuのDSCスペクトルを示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例1に記載したとおりである。
【図7】図7は、二つの発熱DSCピークの開始温度のFe100−a−bホイル中Pの原子%に対する変動を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例1に記載したとおりである。
【図8】図8は、本発明の非晶質Fe8515ホイルについて、25℃〜380℃の蓄積急熱処理(30秒)の関数としての保磁場H(物理的特性)の変動を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例1に記載したとおりである。
【図9】図9は、Fe81.817.8Cu0.4自立型ホイルのX線回折分析であって、堆積したままの状態及び異なる三つの温度:275、288、425℃でアニールしたままの状態の試料のX線回折パターンを示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例5に記載したとおりである。
【図10】図10は、実施例5に対応する試料について、電力周波数損失(W60)と、ピーク誘導Bmax(変圧器Epstein構成を用いて測定)の関数として対応する保磁(H)の値を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例5に記載したとおりである。
【図11】図11は、実施例5に対応する試料について、ピーク誘導Bmax(変圧器Epstein構成を用いて測定)の関数としての相対的透過率(μrel=Bmax/μmax)を示し、ゼロ誘導における値は、低い印加場の60HzB−Hループの最大勾配から見積もられる。メッキ浴の組成と操作条件は実施例5に記載したとおりである。
【図12】図12は、厚み20〜50μmのFe100−a−b自立型ホイル中のPの原子%と、電流密度との間の関係を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例11に記載したとおりである。
【図13】図13は、厚み20〜50μmのFe100−a−bホイルのメッキプロセスのクーロン効率と、電流密度との間の関係を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例11に記載したとおりである。
【図14】図14は、Fe82.517.5自立型ホイルのX線回折分析であって、堆積したままの状態の試料及び異なる二つの温度:288及び425℃でアニールした後の試料のX線回折パターンを示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例11に記載したとおりである。
【図15】図15は、実施例11に対応する試料について、電力周波数損失(W60)と、ピーク誘導Bmax(変圧器Epstein構成を用いて測定)の関数として対応する保磁(H)の値を示す。メッキ浴の組成と操作条件は実施例11に記載したとおりである。
【図16】図16は、実施例11に対応する試料について、ピーク誘導Bmax(変圧器Epstein構成を用いて測定)の関数としての相対的透過率(μrel=Bmax/μmax)を示し、ゼロ誘導における値は、低い印加場の60HzB−Hループの最大勾配から見積もられる。メッキ浴の組成と操作条件は実施例11に記載したとおりである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
実施例1
回転式ディスク作動電極−メッキ溶液中Cuの有無によらないdc電流密度
本実施例は、Fe100−a−b自立型ホイルの磁気特性に対するPの原子%の影響を示す。
【0025】
数多くのホイルを、電解質としてメッキ水溶液を含有する電気化学的セルへと調製する。
使用するメッキ水溶液の組成は、以下のとおりであり、P前駆体の濃度とM前駆体の濃度は変動し、MはCuである。
【0026】
FeCl・4HO 1.0M
NaHPO・HO 0.035−0.5M
CuCl・2HO 0−0.3mM
CaCl・2HO 0.5M
以下の操作条件で、電気化学的セルにおいて電着を行う。
【0027】
電流密度(dc電流): 3−5A/dm
温度: 40℃
pH: 1.1−1.4
溶液速度: 1−4cm/s
アノード: 4cmのDSA
カソード: 1.3cmのチタンRDE
作動電極の回転速度: 900rpm
アノードとカソードの距離: 7cm
図1は、厚み50μmのFe100−a−b自立型ホイルにおけるPの原子%対メッキ浴中のリン前駆体の濃度の関係を示す。ホイル中のPの原子%は、溶液中のP濃度とともに増加する。
【0028】
図2は、自立型ホイルにおけるリンの濃度とクーロン効率の間の関係を示す。これは、実施例1に説明するメッキ浴組成と電着条件について、約70%の良好なクーロン効率が得られ、Pの原子%は12〜18(及びb=0)であることを示している。
【0029】
P含量が12〜14原子%、b=0のFe100−a−b自立型ホイルの磁気特性を図3、図4に説明する。図3は、ホイル中のPの原子%について保磁(H磁気計測定)に対する効果を示す。Hは、14〜18原子%であるP含量の最小の値を示す。図4は、Pの原子%が12から16%へと増加し、24原子%の値まで一定にとどまる場合に、電力周波数損失(磁気計比較測定、W60)が低減することを示す。二次元X線回折でみられるようにホイルを取り囲む小領域を除いて結晶質ピークは存在しない(エッジ効果)ことを示す、図5にX線回折パターンで示すように、非晶質合金組成Fe100−a−b(a=15〜17原子%)を有する自立型ホイルに関して、最も良好な磁気特性が得られる。エッジ効果は、RDEに関して製造される自立型ホイルについて無視することはできない。
【0030】
図6は、本実施例にしたがって得られたFe8515ホイル及びFe8514CuのDSCスペクトルを示す。非晶質Fe8515ホイルのスペクトルは、約366℃及び約383℃において二つの発熱ピークが存在することを示す。第一の発熱ピークの前に250〜290℃でアニールした電着された状態のままのFe100−a−1Cuホイルは、13≦a≧20原子%のP含量で非晶質相のみを示す。フィルム中のPの原子%に依存して320〜360℃で第一の発熱ピークにアニールした後、堆積物は非晶質相に混合したbccFe相からなる。約380℃で第二の発熱ピークにアニールした後、堆積物はbccFe及びFePからなる。
【0031】
図7は、Cu1原子%に関して、第一のDSCピーク開始温度とホイル中のPの原子%の間の強い関係を示す。Pの原子%が16%より高く、Cuが1原子%である、Fe100−a−1Cu合金について、二つの発熱ピークはもはや存在しないが、ただひとつの発熱ピークが約400℃に存在する。
【0032】
図8は、堆積したままの状態の非晶質Fe8515ホイルの保磁H(物理的特性)の25℃〜380℃の蓄積急熱処理(30秒)について進展を示す。温度が25℃から約300℃へと高くなるにつれて、Hは約73から26A/mに低減する。このHの劇的な変化は、結晶化温度より低い温度で生じ(図6にみられるように)、おそらくは応力解放機構と磁気領域構造の制御に関係する。
【0033】
実施例2
回転ディスク式作動電力−メッキ溶液Fe100−a−bにおけるCu(b=1)に関するパルス状可逆電流密度
数多くのホイルを、電解質としてメッキ水溶液を含有する電気化学的セルへと調製する。施用した電流を、dcモードの代わりにパルス可逆モードで調節したことを除いて、実施例1の手順にしたがってホイルを調製した。
【0034】
メッキ水溶液の組成は、以下のとおりである。
FeCl・4HO 1.0M
NaHPO・HO 0.035M
CuCl・2HO 0.15mM
CaCl・2HO 0.5M
以下の条件で電着を行う。パルス/可逆電流密度は次のとおりである。
【0035】
on: 10msec 4.5A/dm
reverse: 1msec 1A/dm
浴の温度: 60℃
pH: 1.3
溶液速度: 1cm/s
アノード: 4cmのDSA
カソード: 1.3cmのチタンRDE
作動電極の回転速度: 900rpm
アノードとカソードの距離: 7cm
得られる自立型ホイル材料は、Fe83.515.5Cuという組成を有する。この試料のX線回折分析は、非晶質合金について特徴的な広いスペクトル示す。クーロン効率はおよそ50%である。ホイルの厚みは70μmである。アルゴン下で30分265℃でアニールしたあとで、保磁(H磁気計測定)は23A/mである。
【0036】
実施例3
回転ディスク式作動電力−パルス状可逆電流密度−Fe100−a
M前駆体なしで、実施例2の手順にしたがって非晶質合金自立型ホイルを調製する。
【0037】
メッキ水溶液の組成は、以下のとおりである。
FeCl・4HO 1.0M
NaHPO・HO 0.035M
CaCl・2HO 0.5M
以下の条件でメッキを行う。パルス/可逆電流密度は次のとおりである。
【0038】
on: 10msec 4.5A/dm
reverse: 1msec 1A/dm
浴の温度: 40℃
pH: 1.3
溶液速度: 1cm/s
アノード: 4cmのDSA
カソード: 1.3cmのチタンRDE
作動電極の回転速度: 900rpm
アノードとカソードの距離: 7cm
得られる自立型ホイル材料は、Fe83.816.2という組成を有する。この試料のX線回折分析は、非晶質合金について特徴的な広いスペクトル示す。クーロン効率は52%である。ホイルの厚みは120μm程度である。アルゴン下で30分265℃でアニールしたあとで、保磁力(H磁気計測定)は13.5/mである。
実施例4
パルス状可逆電流密度−低応力−大きい寸法のホイル
静的板電極を使用して90cmの寸法のホイルを製造したこと除いて、実施例3の手順にしたがって非晶質ホイルを調製する。カソードとアノードはセル中で互いに垂直に配置する。
【0039】
メッキ水溶液の組成は、以下のとおりである。
FeCl・4HO 1.0M
NaHPO・HO 0.05M
CuCl・2HO 0.3mM
以下の条件でメッキを行う。パルス/可逆電流密度は次のとおりである。
【0040】
on: 10msec 4.5A/dm
reverse: 5msec 1A/dm
浴の温度: 60℃
pH: 1.3
溶液速度: 30cm/s
アノード: 335cmの鉄板
カソード: 90cmのチタン板
アノードとカソードの距離: 25cm
メッキ水溶液を活性炭で処理して、第二鉄イオンを低減する。
【0041】
自立型ホイルをアルゴン雰囲気中で30分265℃の熱処理に供する。
得られる自立型ホイルは、Fe83.216.6Cu0.2という組成を有する。X線回折分析は、非晶質合金について特徴的な広いスペクトル示す。ホイルの厚みは98μmである。引張り強度は、ASTM E345標準試験法にしたがって測定して625〜725MPaである。この試料の密度は7.28g/ccである。
【0042】
実施例5
静的平行板
10cm×15cmのふたつの分離した平行板電極を有するセルを用いて非晶質ホイルを調製する。メッキ溶液は、以下の組成を有する。
【0043】
FeCl・4HO 1.0M
NaHPO・HO 0.08M
CuCl・2HO 0.02mM
CaCl・2HO 0.5M
以下の条件でメッキを行う。
【0044】
電流密度(dc電流): 4A/dm
温度: 60℃
pH: 1.1−1.2
溶液速度: 165cm/s
アノード: 150cmのDSA板
カソード: 150cmのチタン板
アノードとカソードの距離: 10mm
得られる自立型ホイル材料は、Fe81.817.8Cu0.4という組成を有する。クーロン効率は53%である。ホイルの厚みは70μmである。電気抵抗(ρdc)は165±15%μΩcmである。
【0045】
図9は、堆積したままの状態及び異なる三つの温度:275、288、425℃でアニールしたままの状態の試料のX線回折パターンを示す。X線回折パターンは、堆積したままの状態の試料、及び、275℃、288℃でアニールしたままの状態の試料については非晶質合金の特徴的なものであるが、
約400℃の発熱ピークよりも高い温度でホイルをアニールすると結晶質bccFe及びFePの形成を誘導する。
【0046】
アルゴン下、約275℃で5〜15分アニールした後で、また試料を用いて磁気回路をつくった永久磁石によってつくられる磁場で、磁気特性を測定する。
実施例5の試料をいくつか製造して、Epstein変圧器構成を構成し、約265℃で15分アニールして、磁気特性を測定する。
【0047】
図10は、電力周波数損失(W60)と、ピーク誘導Bmaxの関数として対応する保磁(H)の値を示す。図に示す実際の損失は、試料セグメントの重複区分のために約5%高いと見積もられ、1.35Tのピーク誘導における電力周波数損失(W60)は0.39〜0.41W/kgである。1.35Tの誘導後の保磁力(H)は13A/m±5%である。飽和誘導は1.5T±5%である。
【0048】
図11は、ピーク誘導Bmaxの関数としての相対的透過率(μrel=Bmax/μmax)を示す。ゼロ誘導における値は、低い印加場の60HzB−Hループの最大勾配から見積もられる。最大相対透過率(μrel)は11630±10%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自立型ホイルの形態である非晶質Fe100−a−b合金であって、
前記ホイルの平均厚さが20μm〜250μmであり、
式Fe100−a−bにおいて、aは13〜24の数であり、bは0〜4の実数であり、MはFe以外の少なくとも1種の遷移元素であり、
前記合金が、20nmより小さいサイズを有するナノ結晶が埋め込まれた非晶質のマトリックスを有し、該非晶質マトリックスが、前記合金の体積の85%より高い割合を占める、前記合金。
【請求項2】
ナノ結晶が、5nmより小さいサイズを有する、請求項1記載の非晶質合金。
【請求項3】
非晶質マトリックスが、合金の体積の100%を占める、請求項1記載の非晶質合金。
【請求項4】
200〜1100MPaの引張強さと、120μΩcmより高い電気抵抗(ρdc)を有する、請求項1記載の非晶質合金。
【請求項5】
以下の追加の特性:
1.4Tより大きい高い飽和誘導(B);
1.35Tの誘導にて、40A/m未満の低い保磁場(H);
電力周波数(60Hz)にて、少なくとも1.35Tのピーク誘導について、0.65W/kg未満の低い損失(W60);及び
低いμH値について、10000より大きい高い相対透磁率(B/μH)
のうち少なくとも1つを有する、請求項1記載の非晶質合金。
【請求項6】
Mが、Mo、Mn、Cu、V、W、Cr、Cd、Ni、Co、Znからなる群から選択される単一の元素であるか、又は、前記元素のうち少なくとも2種の組み合わせである、請求項1記載の非晶質合金。
【請求項7】
Mが、Cu、Mn、Mo、又はCrである、請求項1記載の非晶質合金。
【請求項8】
酸素;水素;ナトリウム;カルシウム;炭素;Mo、Mn、Cu、V、W、Cr、Cd、Ni、Co、又はZn以外の電着された金属不純物から選択される1種又はそれより多くの種を1%未満含有する、請求項1記載の非晶質合金。
【請求項9】
合金が次式
Fe100−a−b’Cub’、又はFe100−a−b’Mnb’(式中、aは15〜21であり、b’は0.2〜1.6である);
Fe100−a−b”Mob”、又はFe100−a−b”Crb”(式中、aは15〜21であり、b”は0.5〜3である);
Fe100−a−b(式中、Mは、Cub’Mob”、Cub’Crb”、Mnb’Mob”、又はMnb’Crb”);すなわち、式Fe100−a−b’−b”Cub’Mob”、Fe100−a−b’−b”Cub’ Crb”、Fe100−a−b’−b”Mnb’Mob”、又はFe100−a−b’−b”Mnb’Crb”(式中、aは15〜21であり、C’は0.2〜1.6であり、c”は0.5〜3である)
のうち1つを有する、請求項1記載の非晶質合金。
【請求項10】
合金が以下の式
Fe83.816.2、Fe78.521.5、Fe82.517.5、及びFe79.720.3
Fe83.515.5Cu1.0、Fe83.216.6Cu0.2、Fe81.817.8Cu0.4、Fe82.016.6Cu1.4、Fe82.915.5Cu1.6、Fe83.715.8Mo0.5、及びFe74.023.6Cu0.8Mo1.6
Fe83.515.5Mn1.0、Fe83.216.6Mn0.2、Fe81.817.8Mn0.4、Fe82.016.6Mn1.4、Fe82.915.5Mn1.6、Fe83.715.8Mn0.5、及びFe74.023.6Mn0.8Mo1.6
のうち1つを有する、請求項1記載の非晶質合金。
【請求項11】
請求項1記載の非晶質Fe100−a−b合金を製造するための方法であって、
合金析出のための基板である作動電極とアノードとを有する電気化学セルを用いて電着することを含み、前記電気化学セルはめっき溶液として作用する電解質溶液を含有し、該作動電極と該アノードの間に直流電流又はパルス状逆電流が印加され、
該めっき溶液は、pHが0.8〜2.5、温度が40℃〜105℃の水溶液であり、
好ましくは0.5〜2.5Mの濃度であり、新しい鉄屑、鉄、純鉄、及び第一鉄の塩からなる群から選択される鉄前駆体と(前記第一鉄の塩は、好ましくは、FeCl、Fe(SONH、FeSO、及びこれらの混合物からなる群から選択される)、
好ましくはNaHPO、HPO、HPO、及びこれらの混合物からなる群から選択され、0.035〜1.5Mの濃度である、リン前駆体と、
任意成分として、0.1〜500mMの濃度であるM塩と
を含有し、
該作動電極と該アノードの間に、3〜150A/dmの密度で、直流電流又はパルス電流が印加され、
めっき水溶液の速度が1〜500cm/sである、前記方法。
【請求項12】
該作動電極から合金析出物をはがす工程を更に含む、請求項11記載の方法。
【請求項13】
該めっき水溶液のpHを、少なくとも1種の酸及び/又は少なくとも1種の塩基を添加することにより、その調製の間に調節する、請求項1記載の方法。
【請求項14】
鉄チップを含有する再生器と呼ばれるチャンバー中に該めっき水溶液を再循環させて、第二鉄イオンを減らすことにより、該めっき水溶液中の該第二鉄イオン濃度を低いレベルに維持する、請求項11記載の方法。
【請求項15】
該前駆体が、炭素不純物の少ない材料である、請求項11記載の方法。
【請求項16】
該めっき水溶液を約2μmのフィルターでろ過することを更に含む、請求項11記載の方法。
【請求項17】
該めっき水溶液を活性炭で処理することを更に含む、請求項11記載の方法。
【請求項18】
該非晶質合金の形成の初期に電気分解処理(dummying)を行う、請求項11記載の方法。
【請求項19】
酸素の不存在下で、好ましくは不活性ガスの存在下で実施する、請求項11記載の方法。
【請求項20】
該電気化学セル中の該アノードが、鉄又は黒鉛又はDSA(寸法安定性アノード)からつくられたものである、請求項11記載の方法。
【請求項21】
該アノードが、該作動電極と等しい表面積を有するか、又は、貧電流分布の結果としてのカソード堆積物に対するエッジ効果の制御を可能とする値に調節された表面積を有する、請求項11記載の方法。
電流分布
【請求項22】
該アノードが、鉄からつくられたものであり、多孔性膜により該作動電極から隔離されている、請求項11記載の方法。
【請求項23】
該作動電極が、電導性材料又は金属合金からつくられたものである、請求項11記載の方法。
【請求項24】
該作動電極が、チタン、真鍮、硬質クロムめっきステンレス鋼、又はステンレス鋼からつくられたものである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
該作動電極が、チタンからつくられたものであり、使用の前に磨かれたものである、請求項24記載の方法。
【請求項26】
該作動電極が、回転ディスク電極(RDE)、静的平行板電極、回転ドラム型電極、又はベルト型電極である、請求項11記載の方法。
【請求項27】
該めっき水溶液の温度が40〜60℃であり、
該鉄前駆体の濃度が約1Mであり、
該めっき水溶液がリン前駆体を0.035〜0.12Mの濃度で含有し、
該めっき溶液のpHが1.2〜1.4であり、
該電流が直流電流又は逆パルス電流である、請求項11記載の方法。
【請求項28】
該電流が、
3〜20A/dmの電流密度を有する直流電流であるか、又は、
約10ミリ秒のパルス間隔で3〜20A/dmの還元電流密度と、1〜5ミリ秒の間隔で約1A/dmの逆電流密度とを有する逆パルス電流である、請求項27記載の方法。
【請求項29】
該作動電極がRDEであり、前記RDEの回転速度が500〜3000rpmであり、該めっき水溶液が1〜4cm/sの速度で循環する、請求項27記載の方法。
【請求項30】
該電流が、3〜8A/dmの電流密度を有する直流電流である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
該作動電極及び該アノードが静的平行板電極であり、
該めっき水溶液の速度が100〜320cm/sであり、
該カソードと該アノードとの間の間隙が0.3cm〜3cmである、請求項27記載の方法。
【請求項32】
該電流が、4〜20A/dmの電流密度を有する直流電流である、請求項31記載の方法。
【請求項33】
該作動電極が、半円柱形の曲面アノードと組合せられた回転ドラム型電極であり、該めっき水溶液の速度が好ましくは25〜75cm/sである、請求項27記載の方法。
【請求項34】
該電流が、3〜8A/dmの電流密度を有する直流電流である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
該めっき水溶液の温度が60〜85℃であり、
該還元電流が20〜80A/dmの電流密度を有し、
該めっき溶液のpHを0.9〜1.2に維持し、
該鉄塩の濃度が約1Mであり、該リン前駆体濃度が0.12〜0.5Mである、請求項11記載の方法。
【請求項36】
該作動電極及び該アノードが静的平行板電極であり、
該めっき水溶液の速度が100〜320cm/sであり、
該カソード及びアノードの間の間隙が0.3cm〜3cmである、請求項35記載の方法。
【請求項37】
該めっき溶液の温度が85〜105℃であり、
該還元電流が80〜150A/dmの電流密度を有し、
該鉄塩の濃度が1〜1.5Mであり、該リン前駆体濃度が0.5〜0.75Mであり、
該溶液のpHが0.9〜1.2に維持される、請求項11記載の方法。
【請求項38】
該作動電極及び該アノードが静的平行板セルであり、
該平行板セル中の該溶液の速度が100〜320cm/sであり、
該静的平行電極の間の間隙が0.3cm〜3cmである、請求項37記載の方法。
【請求項39】
該非晶質Fe100−a−bホイルの機械的又は化学的研磨の追加の工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項40】
該非晶質ホイルを該作動電極から分離した後に、水素を排除するために該非晶質Fe100−a−bホイルを熱処理する追加の工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項41】
印加磁場の存在の有無にかかわらず、200℃〜300℃の温度で該非晶質Fe100−a−bホイルを熱処理する追加の工程を含む、請求項11記載の方法。
【請求項42】
追加の表面処理を含み、前記追加の表面処理がレーザ処理である、請求項41記載の方法。
【請求項43】
添加剤を添加し、前記添加剤が、
アスコルビン酸、グリセリン、β−アラニン、クエン酸、及びグルコン酸から選択される、第一鉄イオン酸化を抑制するための錯化剤;又は。
該ホイルにおける応力を低減するための、硫黄含有有機添加剤及び/又はAl(OH)などのアルミニウム誘導体である抗応力添加剤
であり、
この添加剤のうち少なくとも一種が、好ましくは、該めっき水溶液の調製工程において添加される、請求項11記載の方法。
【請求項44】
パルス用途のための約1Hz〜1000Hzの周波数の変圧器、発電機、モーターとしての、又は磁気シールドとしての、請求項1記載の非晶質Fe100−a−bホイルの使用。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公表番号】特表2010−518252(P2010−518252A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−547501(P2009−547501)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000205
【国際公開番号】WO2008/092265
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(597164909)イドロ−ケベック (30)
【氏名又は名称原語表記】Hydro−Quebec
【Fターム(参考)】