非水電解質電池、及び電池システム
【課題】非運用時における電池温度も検知できるようにする。
【解決手段】セルケース60に固定されている2つの検出端子77と、各検出端子77からセルケース60内に伸びている導線72と、各導線72の端部相互を電気的に接続する導電体71と、を備えている。導電体71は、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度で溶融する低融点金属である。
【解決手段】セルケース60に固定されている2つの検出端子77と、各検出端子77からセルケース60内に伸びている導線72と、各導線72の端部相互を電気的に接続する導電体71と、を備えている。導電体71は、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度で溶融する低融点金属である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、正負の電極体及び電解液が容器内に収容されている非水電解質電池、及びこれを備えている電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、リチウムイオン電池に代表される非水電解質電池は、高エネルギー密度の電池として注目されている。
【0003】
このように高エネルギー密度の非水電解質電池は、その性能等が電池の温度に影響を受けるため、電池の温度を管理することが好ましい。そこで、以下の特許文献1に記載の技術では、単電池のセル外に温度センサを設け、この温度センサからの出力を制御回路に入力することで、この単電池の温度を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−080135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リチウムイオン電池に代表される非水電解質電池では、発明者等の試験によると、特に数10〜100Ah規模の大型電池においては電池の設置環境や充放電電流によってその容器の外面と内部の温度と差が極めて大きくなることがあり、例えば、30℃以上の温度差が生じることがある。このため、特許文献1に記載の技術のように、容器外に温度センサを設けた場合、電池を管理する上で適正な電池温度を検知することができないことがある、という問題点がある。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の技術では、起動中の制御回路の管理下で電池の充放電が行われる電池運用時にしか、電池の温度を検知できず、制御回路が起動していないとき(例えば、電気自動車の完全停止時)電池を運用していないときの電池の温度をまったく検知できない、という問題点がある。リチウムイオン電池に代表される非水電解質電池は、電気自動車等に搭載されることがあるが、この場合、電気自動車等が炎天下に置かれると、この電気自動車等に搭載されている非水電解質電池の温度が極めて高くなり、電池性能が著しく悪化する等が考えられる。このため、電池を運用していないときの電池の温度をまったく検知できない、ということは重要な問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に着目し、電池管理を管理する上で適正な電池温度を検知できると共に、非運用時における電池温度も検知できる非水電解質電池、及びこれを備えている電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するための電池に係る発明は、
正負の電極体及び電解液が容器内に収容されている非水電解質電池において、前記容器の外部に露出している第一及び第二検出端子と、前記第一検出端子から前記容器内に延びる第一導線と、前記第二検出端子から前記容器内に延びる第二導線と、前記第一導線の端と前記第二導線の端とを電気的に接続する導電体と、前記正負の電極体に対して、前記第一導線、前記第二導線及び前記導電体を絶縁する絶縁体と、を備え、
前記導電体は、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度で溶融する低融点金属であることを特徴とする。
【0009】
当該非水電解質電池では、電池の運用時、電池の非運用時、電池単体で保管されているときのいずれのときでも、容器内の温度が、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度以上になると、導電体は、溶融し、導電体は複数に分裂する。このため、当該非水電解質電池では、電池の運用時、電池の非運用時、電池単体で保管されているときのいずれのときでも、容器内の温度が予め定められた温度以上になったことの履歴が残る。よって、当該非水電解電池によれば、電池の運用状態の如何に関わらず、第一検出端子と第二検出端子との間の電気抵抗値を測定することで、容器内の温度が予め定められた温度以上になったことを検知できる。
【0010】
ここで、前記非水電解質電池において、前記正の電極体に接続されている正極端子と、前記負の電極体に接続されている負極端子とのうち、一方の電極端子のみが前記第一検出端子と前記第二検出端子とのうちの一方の検出端子を兼ねてもよい。
【0011】
当該非水電解質電池では、正極端子と負極端子とのうち、一方の電極端子のみが第一検出端子と第二検出端子とのうちの一方の検出端子を兼ねるので、部品点数及び製造工程が減少して、電池の製造コストを抑えることができる。
【0012】
また、前記非水電解質電池において、前記正極端子が、前記第一検出端子を兼ね、前記第二検出端子は、前記容器と電気的に接続され、前記第二検出端子と前記導電体とを接続する前記第二導線中には、前記第一導線、前記第二導線及び前記容器の電気抵抗よりも高い抵抗値の抵抗体が設けられていてもよい。
【0013】
当該非水電解質電池では、正極端子と容器とが抵抗体を介して電気的に接続されることになる。このため、容器は、正極端子の電位に近くなり、電解液中のイオンと反応することによる容器の腐食を抑えることができる。
【0014】
また、前記非水電解質電池において、前記第一導線、前記第二導線及び前記導電体を有する導体ユニットを複数備え、複数の前記導体ユニット毎の前記導電体は、融点が互いに異なっていてもよい。
【0015】
当該非水電解質電池では、容器内の温度として、互いに異なる複数の温度を検知することができる。
【0016】
また、前記非水電解質電池において、少なくとも、前記予め定められた温度のときに、前記第一導線の前記導電体側の端と前記第二導線の該導電体側の端との間を離間させる離間力を発生する離間力発生手段を備えてもよい。
【0017】
具体的には、前記第一導線と前記第二導線とのうち、少なくとも一方の導線が、他方の導線の前記導電体側の端から離れる方向に弾性変形している弾性体であり、該弾性体である該少なくとも一方の導線が前記離間力発生手段を成してもよい。
【0018】
また、前記第一導線と前記第二導線とのうち、少なくとも一方の導線が、前記予め定められた温度で他方の導線の前記導電体側の端から離れる方向に変形する形状記憶合金で形成され、該形状記憶合金で形成されている該少なくとも一方導線が前記離間力発生手段を成してもよい。
【0019】
また、前記第一導線と前記第二導線との間に配置され、前記離間力を発生する弾性体を備え、前記弾性体が前記離間力発生手段を成してもよい。
【0020】
当該非水電解質電池では、容器内の温度が予め定められた温度以上になり、導電体が溶融すると、第一導線の導電体側の端と第二導線の導電体側の端との間の離間力により、導電体が確実に分裂する。よって、当該非水電解質電池によれば、容器内の温度が予め定められた温度になったことを明確に検知することができる。
【0021】
また、前記非水電解質電池において、前記導電体は、前記第一検出端子と前記第二検出端子とが並んでいる方向が長手方向を成し、該長手方向の長さが該第一検出端子と該第二検出端子との間の間隔以上であり、前記導電体における前記長手方向の一方の端部に、前記第一導線の端が接続され、他方の端部に前記第二導線の端が接続されてもよい。
【0022】
当該非水電解質電池では、導電体の長手方向の長さが長いため、容器内の温度が予め定められた温度以上になり、導電体が溶融すると、導電体が分裂する可能性を高めることができる。
【0023】
また、前記非水電解質電池において、複数の前記正の電極体と複数の前記負の電極体とは、絶縁性を有するセパレータを介して交互に重なり合って、正負の電極体の束を成し、前記導電体は、該正負の電極体の束の中に配置されてもよいし、該正負の電極体の束の外に配置されてもよい。
【0024】
前記問題点を解決するための電池システムに係る発明は、
前記非水電解質電池と、前記第一検出端子と前記第二検出端子との間の電気抵抗の値を検知する抵抗値センサと、前記非水電解質電池の動作を制御する制御器と、を備え、
前記制御器は、前記抵抗値センサと接続され、該抵抗値センサが検知した前記第一検出端子と前記第二検出端子との間の電気抵抗の値が予め定められた値を超える場合には、当該非水電解質電池に温度異常があった旨を外部に送る、ことを特徴とする。
【0025】
当該電池システムでは、容器内の温度が予め定められた温度以上になったことを外部に通知することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、容器内の温度が予め定められた温度以上になると、導電体が溶融し、その履歴が残るため、電池が運用状態であるか非運用状態であるかに関わらず、容器内の温度が予め定められた温度以上になったことを検知できる。このため、本発明によれば、電池管理を管理する上で適正な電池温度を検知できると共に、非運用時における電池温度も検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る第一実施形態における電池システムの構成図である。
【図2】本発明に係る電池の要部切欠き斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図(導電体の溶融前)である。
【図4】図2におけるIII−III線断面図(導電体の溶融後)である。
【図5】本発明に係る第二実施形態における電池の断面図である。
【図6】本発明に係る第三実施形態における電池の断面図である。
【図7】本発明に係る第四実施形態における電池の断面図である。
【図8】本発明に係る第五実施形態における電池の導体ユニットの正面図である。
【図9】本発明に係る第五実施形態における電池の温度検知構造の正面図)である。
【図10】本発明に係る第六実施形態における電池の温度検知構造の正面図である。
【図11】本発明に係る第七実施形態における電池の温度検知構造の正面図である。
【図12】本発明に係る第八実施形態における電池の温度検知構造の正面図である。
【図13】本発明に係る第九実施形態における電池の断面図である。
【図14】本発明に係る第十実施形態における電池の要部切欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る電池システムの各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0029】
「第一実施形態」
まず、本発明に係る第一実施形態としての電池システムについて、図1〜図4を用いて説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の電池システム100は、非水電解質電池である複数のリチウムイオン単電池(以下、単に電池とする)1を含む組電池101と、各電池1を制御する制御回路105と、組電池101が電力負荷111に供給する電流の値を検知する電流計109と、を備えている。この電池システム100は、例えば、電気自動車に搭載される。この場合、この電池システム100の電力負荷111は、モータ等である。
【0031】
複数の電池1は、これら電極端子が相互にバスバー等で電気的に接続されて、前述の組電池101を構成している。
【0032】
制御回路105は、複数の電池1毎に設けれ、当該電池1の動作状態を監視制御するCMU(Cell Monitoring Unit)5と、各CMU5の動作及び各電池の状態を管理するBMU(Battery Management Unit)6とから構成される。電池1毎のCMU5は、バスによりパラレルにBMU6に接続され、このBMU6との間でデータの送受信を行う。
【0033】
なお、ここでは、一つの電池1毎にCMU5を設けているが、いくつかの電池1毎にCMU5を設けてもよいし、組電池101全体で一つのCMU5を設けてもよい。また、ここでは、複数のCMU5とBMU6とをパラレルにバス接続しているが、複数のCMU5とBMU6とをシリアルにバス接続してもよい。
【0034】
電池1には、この電池1の状態を検知するための各種センサ2が取り付けられている。本実施形態では、1つの電池1と、この電池1に対する各種センサ2と、この電池1に対するCMU5とで、電池モジュール108を成している。各種センサ2からの出力は、CMU5に入力する。CMU5は、各種センサ2からの出力データを必要に応じて、BMU6に送信する。
【0035】
電力負荷111には、この電力負荷111の動作を制御する負荷制御装置112が接続されている。当該電池システム100が電気自動車に搭載される場合、この負荷制御装置112は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)である。BMU6は、この負荷制御装置112とバスで接続され、この負荷制御装置112との間でデータの送受信を行う。また、負荷制御装置112には、電力負荷111の制御指示等を行う入力装置113や、各電池1に関する情報を出力する出力装置114が接続されている。
【0036】
入力装置113は、例えば、電力負荷111が設けられている装置の計器パネルのスイッチ類等である。また、出力装置114は、電力負荷111や各電池1に関する情報等を表示する表示装置、音声出力するスピーカー等である。
【0037】
電池1は、図2及び図3に示すように、複数の正極板(正の電極体)10と、複数の負極板(負の電極体)20と、負極板20を覆うセパレータ30と、電解液と、これらを収納するセルケース(容器)60と、を備えている。
【0038】
この電池1の電解液には、水溶液が使用されず、リチウムイオンの溶存した有機溶剤溶液が使われている。
【0039】
各電極板10,20は、シート状の集電体に活物質等を塗工して形成したものである。集電体は、矩形シート状の本体と、矩形シート状の部分の縁から延びているタブ14,24とを有している。活物質は、この集電体の本体に塗工されている。正極板10は、アルミニウム箔等の集電体の本体に正極用の活物質(例えば、マンガン酸リチウム:LiMn2O2や、3元系材料:LiNixCoyMnzO2 (x+y+z=1)等)が塗工された正極板本体11と、この活物質が塗工されていない前述のタブ14とを有している。また、負極板20は、銅箔等の集電体の本体に負極用の活物質(例えば、カーボンや人造黒鉛)が塗工された負極板本体21と、この活物質が塗工されていない前述のタブ24とを有している。
【0040】
負極板20の負極板本体21は、セパレータ30により完全に覆われ、負極板20のタブ24は、一部がセパレータ30から露出している。セパレータ30は、絶縁性及び耐電解液性を有する樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン等で形成されている。
【0041】
複数の正極板10と、それぞれがセパレータ30で覆われている複数の負極板20とは、タブ14,24が設けられている側が互いに同じ側になるよう、交互に重ね合わされて、電極積層体40を形成している。
【0042】
セルケース60は、アルミニウム等の金属で形成されている。このセルケース60は、電極積層体40が入る直方体状の収納凹部が形成されているケース本体61と、このケース本体61の開口を塞ぐ蓋62と、を有している。
【0043】
セルケース60の蓋62には、正負の電極端子65,66が絶縁材63を介して固定されている。さらに、この蓋62には、安全弁(不図示)等も固定されている。正負の電極端子65,66は、蓋62を貫通した状態で蓋62に固定され、セルケース60の内側及び外側に突出している。
【0044】
正極端子65には、正極板10のタブ14に接合されたリード41がビス43で接続されている。また、負極端子66には、負極板20のタブ24に接続されたリード42がビス43で接続されている。
【0045】
本実施形態の電池1は、さらに、セルケース60の蓋62に絶縁材78を介して固定されている2つの検出端子77と、各検出端子77に接続されている導線72と、各導線72の端部相互を電気的に接続する導電体71と、正負の電極板10,20に対して、導電体71及び導線72のそれぞれを絶縁する絶縁体73,74と、を備えている。
【0046】
2つの検出端子77は、電極端子65,66と同様、セルケース60の蓋62を貫通した状態で蓋62に固定され、セルケース60の内側及び外側に突出している。各検出端子77には、導線72の一方の端部がビス79により接続されている。2つの検出端子77にそれぞれ接続されている導線72の他方の端部には、導電体71に接続されている。この導電体71は、各電極板10,20の束である電極積層体40内のほぼ中央部に配置されている。
【0047】
導電体71は、耐電解液性を有し、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度(例えば、60℃)で溶融する低融点金属で形成されている。低融点金属は、例えば、Bi−Sn−Pb−Cd合金で形成されている。この低融点金属は、各組成金属の組成比等を変えることで、その融点を15℃程度から190℃程度の範囲で変えることができる。この低融点合金としては、例えば、株式会社大阪アサヒメタル工場製のU−アロイと呼ばれるものがある。
【0048】
導電体71を覆う絶縁体73及び導線72を覆う絶縁体74は、絶縁性のみならず、耐熱性、耐電解液性を有する樹脂、例えば、ポレオレフィン、ポリイミド、ポリフェニレン サルファイド(PPS)等で形成されている。
【0049】
導電体71を覆う絶縁体73は、内部に導電体71が入る中空部73sと、この中空部73s内に導線72を通す2つの開口73tとが形成されている。この中空部73sは、導電体71が熱溶融した際に、変形できるように、導電体71よりも大きなサイズに形成されている。また、各開口73tは、中空部73s内の導電体71が熱溶融した際に、2本の導線72が離れる方向に移動可能に、この方向に長く形成されている。
【0050】
2つの検出端子77には、両者間の電気抵抗の値を検知する抵抗値センサ2aが接続されている。この抵抗値センサ2aは、図1を用いて説明した、電池毎の各種センサ2のうちの一つで、CMU5に接続されている。
【0051】
本実施形態では、2本の導線72と、導電体71と、導線72を覆う絶縁体73,74と、導電体71を覆う絶縁体73,74と、2つの検出端子77と、を有して、このセルケース60内の温度を検知するための温度検知構造を構成している。
【0052】
次に、本実施形態の電池システムの動作について説明する。
【0053】
本実施形態の電池1では、起動中の制御回路105の管理下で電池1の充放電が行われる電池運用時、制御回路105が起動していない電池1の非運用時、電池単体で保管されているときのいずれのときでも、セルケース60内の温度が、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度(例えば、60℃)以上になると、図4に示すように、導電体71は溶融し、複数に分裂する。このため、本実施形態の電池1では、起動中の制御回路105の管理下で電池1の充放電が行われる電池運用時、制御回路105が起動していない電池の非運用時、電池単体で保管されているときのいずれのときでも、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったことの履歴が残る。
【0054】
CMU5は、制御回路105が起動すると、抵抗値センサ2aを起動させて、この抵抗値センサ2aから、2つの検出端子77間の電気抵抗値を取得する。仮に、制御回路105の起動前の電池非運用時に、セルケース60内の温度が予め定められた温度になっていたとすると、前述したように、このセルケース60内の導電体71は、溶融し、複数に分裂している。このため、2本の導線72間の電気抵抗値、言い換えると、2つの検出端子77間の電気抵抗値は、実質的に無限大になる。
【0055】
CMU5は、抵抗値センサ2aから2つの検出端子77間の電気抵抗値を取得すると、この電気抵抗値が予め定められた値以上であるか否かを判断し、予め定められた値以上である場合には、電池1のIDと共に、例えば、この電池1が仕様性能を満たさなくなった可能性がある旨をBMU6に通知する。ここで、電池抵抗値の予め定められた値は、導電体71が溶融していないときの2つの検出端子77間の電気抵抗値より十分に高い値である。
【0056】
BMU6は、CMU5から、電池1のIDと共に、この電池1が仕様性能を満たさなくなった可能性がある旨の通知を受けると、負荷制御装置112へ、例えば、電池使用の停止指令を出力する。負荷制御装置112は、この停止指令を受けると、例えば、電力負荷111の使用を停止すると共に、出力装置114に、例えば、「電池が仕様性能を満たさなくなった。」「電池異常による電力負荷の使用停止中」等を出力させる。
【0057】
CMU5は、2つの検出端子77間の電気抵抗値が予め定められた値以上であると判断すると、さらに、BMU6の管理下で、この電池1を運用できない状態にする。電池1を運用できない状態にする方法としては、例えば、この電池1を含む組電池101と電力負荷111との間に設けたブレーカー等を動作させて、組電池101と電力負荷111との間の電気的接続を絶つ方法等がある。
【0058】
また、制御回路105が起動中で電池1の運用時に、セルケース60内の温度が予め定められた温度になり、セルケース60内の導電体71が溶融して、2つの検出端子77間の電気抵抗値が予め定められた値以上になった場合も、電池システム100は以上と基本的に同様に動作する。
【0059】
また、電池単体で保管されているときに、例えば、保管環境での温度が著しく上昇し、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になれば、セルケース60内の導電体71が溶融し、2つの検出端子77間の電気抵抗値は、予め定められた値以上になる。このため、例えば、保管中の電池単体を電池システム100に組み込む前に、この電池1の2つの検出端子77間の電気抵抗値をテスター等で測定し、測定で得られた電気抵抗値が予め定められた値以上であるか否かに応じて、この電池1の組み込みの可否を判断するとよい。なお、仮に、テスター等による電気抵抗値の測定を実行せずに、この電池1を電池システム100に組み込んだ場合には、この電池システム100は、電池非運用時に、セルケース60内の温度が予め定められた温度になった場合と同様に動作する。
【0060】
以上、本実施形態では、電池1のセルケース60内の温度を検知できるので、電池管理する上で適正な電池温度を取得することができる。さらに、本実施形態では、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になると、その履歴が残るため、電池1が運用状態であるか非運用状態であるかに関わらず、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったことを検知できる。
【0061】
また、本実施形態では、セルケース60内の温度を検知するための温度検知構造が、電池1の充放電経路とは独立した場所に設けられているため、この温度検知構造による電池性能の低下を防ぐことができる。
【0062】
なお、本実施形態の電池システム100は、電池1の2つの検出端子77間の電気抵抗値を検知する抵抗値センサ2aを有しているが、この抵抗値センサ2aは無くても、前述したように、メインテナンス者がメインテナンス時にテスター等で、2つの検出端子77間の電気抵抗値を測定することで、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったか否かを検知できる。仮に、テスター等による測定で得られた電気抵抗値が予め定められた値以上であれば、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったと判断できるので、この場合、メインテナンス者は、この電池を交換する等の適切な処理をとることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になって、導電体71が溶融すると、導電体71が分裂するものとして、CMU5が抵抗値センサ2aから取得した電気抵抗値を判断する際に用いる予め定められた抵抗値、つまり閾値を定めている。しかしながら、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になって、導電体71が溶融しても、導電体71は分裂せず、その一部の断面積が小さくなるだけに留まる場合もあり得る。そこで、CMU5が用いる閾値は、このような場合も想定して、導電体71が溶融していないときの2つの検出端子77間の電気抵抗値よりも高い値で、且つ導電体71の一部の断面積がある所定の断面積まで小さくなったときの2つの検出端子77間の電気抵抗値よりも低い値に定めてもよい。
【0064】
「第二実施形態」
次に、本発明に係る第二実施形態としての電池システムについて、図5を用いて説明する。なお、以下の各実施形態の電池システムでは、第一実施形態の電池システムに対して、主として、温度検知構造が異なっており、電池システムの他の構成は基本的に同じであるので、以下では、主として温度検知構造について説明する。
【0065】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、一つの検出端子77と、2本の導線72と、2本の導線72の端が接続されている導電体71と、導線72を覆う絶縁体74と、導電体71を覆う絶縁体73と、を有している。
【0066】
一つの検出端子77は、第一実施形態と同様に、セルケース60の蓋62に絶縁材78を介して固定されている。2本の導線72のうち、一本の導線72は、この検出端子77にビス79で接続されている。一方、残りの一本の導線72は、正負の電極端子65,66のうち、一方の電極端子65に、この電極端子65に接続されるリード41と共に、ビス43で接続されている。
【0067】
すなわち、本実施形態の温度検知構造は、正負の電極端子65,66のうち、一方の電極端子65が第一実施形態における2つの検出端子77の一方を兼ねるようにしたものである。
【0068】
一つの検出端子77と、正負の電極端子65,66のうち、導線72が接続されている電極端子65とには、抵抗値センサ2aが接続されている。
【0069】
以上、本実施形態でも、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になると、導電体71が溶融するため、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったときが、電池の運用状態であるか非運用状態であるかに関わらず、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったことを検知できる。
【0070】
また、本実施形態では、検出端子77が一つで済むため、第一実施形態の電池1に対して、部品点数及び製造工程が減少して、電池の製造コストを抑えることができる。
【0071】
ところで、本実施形態では、温度検知構造が、第一実施形態と異なり、電池の充放電経路とは独立して設けられていない。つまり、本実施形態の温度検知構造で、導電材で形成されている電流路の一方が、電池の充放電経路中の電極端子65に接続されている。しかしながら、この温度検知構造の電流路の他方が閉じているため、充放電電流がこの電流路に流れ込むことは基本的にない。また、電極端子65に接続されるリード41が仮に銅製である場合に、この電極端子65に接続される導線72も銅製にすることで、電池の充放電経路中に、異種材料を介在させずに済む。よって、本実施形態でも、この温度検知構造による電池性能の低下を防ぐことができる。
【0072】
「第三実施形態」
次に、本発明に係る第三実施形態としての電池システムについて、図6を用いて説明する。
【0073】
本実施形態の電池システムの温度検知構造も、第二実施形態と同様、一つの検出端子77と、2本の導線72と、2本の導線72の端が接続されている導電体71と、導線72を覆う絶縁体74と、導電体71を覆う絶縁体73と、を有している。さらに、この温度検知構造は、一本の導線72中に設けられている抵抗体75を有している。
【0074】
一つの検出端子77は、第二実施形態と異なり、セルケース60の蓋62に絶縁材を介さずに固定されている。すなわち、この検出端子77は、セルケース60と電気的に接続されている。
【0075】
2本の導線72のうち、抵抗体75が設けられている導線72は、一つの検出端子77にビス79で接続されている。一方、残りの導線72は、正極端子65に、この正極端子65に接続されるリード41と共に、ビス43で接続されている。抵抗体75の抵抗値は、各導線72の抵抗値、導電体71の抵抗値、セルケース60の抵抗値よりも高く、例えば、1KΩである。
【0076】
本実施形態は、一本の導線72中に抵抗体75が設けられている点、一つの検出端子77がセルケース60と電気的に接続されている点、及び検出端子を兼ねる電極端子が正極端子65に限定されている点を除いて、第二実施形態と同様である。このため、本実施形態でも、第二実施形態と基本的に同様の効果を得ることができる。
【0077】
ところで、リチウムイオン電池の場合、セルケース60をAlで形成すると、このセルケース60を形成しているAlが電解液中のイオンと反応して、セルケース60の一部が腐食したり、このAlがセルケース60内に溶け出して、電池性能を低下させることが問題になる。この問題を解決する方法の一つとして、正極端子65とセルケース60とを抵抗を介して電気的に接続して、セルケース60の電位を正極端子65の電位に近づける方法がある。
【0078】
本実施形態では、Al製のセルケース60と正極端子65とが、抵抗体75を介して、2本の導線72及び導電体71で電気的に接続されている。このため、導電体71が溶融して分裂していなければ、Al製のセルケース60の電位が正極端子65の電位に近づくことになる。よって、本実施形態では、セルケース60の腐食等を防ぐことができる。
【0079】
なお、本実施形態の場合、第二実施形態と異なり、電池の充放電経路中の正極端子65から、本実施形態の温度検知構造の電流路を介して、セルケース60に電流が流れることになる。しかしながら、この電流路には抵抗値の大きな抵抗体75が介在しているため、その電流の値は極めて小さく、この温度検知構造による電池性能の低下は、実質的にないに等しい。
【0080】
「第四実施形態」
次に、本発明に係る第四実施形態としての電池システムについて、図7を用いて説明する。
【0081】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、基本的に、第三実施形態と同様である。但し、本実施形態の温度検知構造は、2本の導線72と、一本の導線72中に設けられている抵抗体75と、2本の導線72の端が接続されている導電体71と、導電体71及び導線72のそれぞれを覆う絶縁体73,74とから成る導体ユニット70を複数有している点で、第三実施形態と異なる。複数の導体ユニット70は、一つの検出端子77及び正極端子65と、互いに並列な関係で接続されている。
【0082】
各導体ユニット70の導電体71は、その融点が互いに異なっている。例えば、一つの導体ユニット70における導電体71の融点が60℃である場合、他の導体ユニット70における導電体71の融点は120℃である。
【0083】
本実施形態でも、以上の実施形態と同様、CMU5が、2つの端子(検出端子77と正極端子65)間の電気抵抗値を抵抗値センサ2aから取得し、この電気抵抗値が予め定められた値以上であるか否かを判断する。但し、予め定められた値、つまり閾値が、導体ユニット70の数に対応した分だけ存在し、CMU5は、抵抗値センサ2aから取得した電気抵抗値が複数の閾値毎に、当該閾値以上であるか否かを判断する。つまり、CMU5は、セルケース60内の温度が、複数の導電体71毎の融点以上になったか否かを判断する。
【0084】
ここで、複数の閾値は、いずれの導電体71も溶融していないときの2つの端子間の電気抵抗値よりも高い。また、例えば、導電ユニットが3つある場合の3つ閾値のうち、第一の閾値は、最も融点の低い導電体71のみが溶融して、この導電体71のみが分裂したときの2つの検出端子77間の電気抵抗値よりも低い値である。また、第二の閾値は、第一の閾値よりも高い値で、且つ、最も融点の低い導電体71、及び次に融点の低い導電体71のみが溶融して、これらの導電体71のみが分裂したときの2つの検出端子77間の電気抵抗値よりも低い値である。また、第三の閾値は、第二の閾値よりも十分に高い値である。
【0085】
仮に、図7に示すように、本実施形態の電池システムは、2つの導体ユニット70を有し、前述したように、一方の導体ユニットにおける導電体71の融点が60℃で、他方の導体ユニットにおける導電体71の融点が120℃である、とする。
【0086】
この場合、CMU5は、セルケース60内の温度が、2つの導体ユニット毎の閾値を用いて、60℃以上で120℃未満の温度になったか否か、120℃以上になったか否かを判断する。
【0087】
CMU5は、60℃以上で120℃未満の温度になったと判断した場合、120℃以上になったと判断した場合のいずれも場合も、第一実施形態と同様、電池のIDと共に、例えば、この電池が仕様性能を満たさなくなった可能性がある旨をBMU6に通知する。さらに、CMU5は、60℃以上で120℃未満の温度になったと判断した場合、セルケース60内の温度がこの温度域になったことをBMU6に通知し、120℃以上になったと判断した場合、セルケース60内の温度がこの温度域になったことをBMU6に通知する。
【0088】
BMU6は、CMU5からの通知を受けると、第一実施形態と同様、負荷制御装置112へ、例えば、電池使用の停止指令を出力する。さらに、BMU6は、CMU5からの通知のうち、セルケース60内の温度を記憶する。なお、以上の各実施形態においても、BMU6は、CMU5から、電池のIDと共に、例えば、この電池が仕様性能を満たさなくなった可能性がある旨の通知を受けると、この通知を記憶しておくことが好ましい。
【0089】
このように、セルケース60内の温度がBMU6に記憶されると、メインテナンス者は、メインテナンス時に、この電池のセルケース60内の温度が60℃以上で120℃未満の温度になったか、120℃以上になったかを知ることができる。
【0090】
ここで、電池のセルケース60内の温度が60℃以上で120℃未満の温度になった場合、この電池が、電気自動車用に搭載される電池として要求される仕様性能を満たさなくなっている可能性があるものの、例えば、一般家庭での蓄電池用の電池として要求される仕様性能を満たすとする。また、電池のセルケース60内の温度が120℃以上の温度になった場合、この電池の安全性能を満たさなくなっている可能性があるとする。
【0091】
このような場合、メインテナンス者は、BMU6に記憶されているセルケース60内の温度が60℃以上で120℃未満の温度であることを知ると、この電池を電池システムから外して、他の電池を代わりに搭載すると共に、電池システムから外した電池を一般家庭での蓄電池用の中古電池とする。また、メインテナンス者は、BMU6に記憶されているセルケース60内の温度が120℃以上の温度であることを知ると、この電池を電池システムから外して、他の電池を代わりに搭載すると共に、電池システムから外した電池を廃棄処分とする。
【0092】
以上、本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第三実施形態の電池システムの温度検知構造と同一の構造を有しているため、本実施形態においても、第三実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
さらに、本実施形態では、複数の導体ユニット70を有し、各導体ユニット70の導電体71の融点が互いに異なっているため、セルケース60内の温度として、互いに異なる複数の温度を検知することができる。
【0094】
なお、本実施形態は、第三実施形態の変形例であるが、第一及び第二実施形態においても、本実施形態と同様、導体ユニットの複数化を図ってもよい。
【0095】
「第五実施形態」
次に、本発明に係る第五実施形態としての電池システムについて、図8及び図9を用いて説明する。
【0096】
以上の各実施形態では、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になって、この導電体71が溶融しても、この導電体71が分裂しないおそれがある。この場合、2つの端子間の電池抵抗値は、導電体71の溶融の前後での変化が小さいため、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になったことを明確に検知できない可能性がある。そこで、本実施形態を含め、第6〜第8実施形態において、導電体71が溶融すれば、この導電体71の分裂可能性を高めることができる構成について説明する。
【0097】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第一実施形態の温度検知構造における2本の導線をそれぞれ板バネで形成したものである。板バネである導線72aは、自重による変形量が自身の長手方向の長さに対して無視できる程度の剛性を有している。
【0098】
導線72aの一方の端部72sは、図9に示すように、ビス79で検出端子77に接続された状態では、この導線72aの他方の端部側72t、つまり導電体71との接続側に対して、鋭角的に折り曲げられた状態になっている。
【0099】
しかしながら、この導線72aの一方の端部72sは、図8に示すように、ビス79で検出端子77に接続される前の状態では、他方の端部側78tに対して、鈍角的にしか折り曲げられていない。この導線72aの一方の端部72sをビス79で検出端子77に接続する際には、この導体72aの他方の端部側72tに対して一方の端部72sを強制的に弾性変形させて、鋭角的に折り曲げた状態にし、その上で、この一方の端部72sをビス79で検出端子77に接続する。
【0100】
よって、導線72aの一方の端部72sがビス79で検出端子77に接続された状態では、この導線72aは、ビス79で検出端子77に接続される前の状態に戻ろうとする復元力が生じている。この復元力は、導線72aの他方の端部側72tが一方の端部72sに対する角度が大きくなる方向の力であるから、一本の導線72aの他方の端部側72tが、他の一本の導線72aの他方の端部側72tから離れようとする離間力Fであると言える。すなわち、板バネで形成されている導線72aは、離間力発生手段を形成している。
【0101】
このように、本実施形態では、2本の導線72aには、各導線72aの他方の端部間を離そうとする離間力Fが常時生じているため、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になって、この導電体71が溶融すると、確実に分裂する。このため、本実施形態では、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になったことを確実に検知することができる。
【0102】
なお、本実施形態では、導線72aの一方の端部72sが他方の端部側72tに対して鈍角的にしか折り曲げられていない状態から、この一方の端部72sを他方の端部側72tに対して強制的に弾性変形させ、鋭角的に折り曲げることで、前述の離間力Fを発生させているが、この離間力Fを発生させることができる形態であれば、導線72aをどのように弾性変形させてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、2本の導線72aの両方を板バネで形成しているが、1本の導線72aのみを板バネで形成してもよい。
【0104】
「第六実施形態」
次に、本発明に係る第六実施形態としての電池システムについて、図10を用いて説明する。
【0105】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第一実施形態の温度検知構造における2本の導線72間に、バネ76を設けたものである。このバネ76は、耐電解液性を有する金属で形成してもよいが、耐電解液性及び耐熱性を有する樹脂で形成してもよい。
【0106】
このバネ76の一方の端部は、一方の導線72の絶縁体74に接合され、このバネ76の他方の端部は、他方の導線72の絶縁体74に接合されている。このバネ76は、その両端部が導線72の絶縁体74に接合され、且つ2本の導線72がそれぞれ検出端子77に接続され状態では、縮んでいる状態である。このため、この状態のバネ76には、一方の導線72の導電体側の端部に対して、他方の導線72の導電体側の端部を離そうとする離間力Fである、復元力が生じている。すなわち、このバネ76は、離間力発生手段を形成している。
【0107】
よって、本実施形態でも、第五実施形態と同様、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になって、この導電体71が溶融すると、確実に分裂するため、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になったことを確実に検知することができる。
【0108】
なお、本実施形態では、バネ76の両端部を2本の導線72の絶縁体74に接合しているが、バネ76が絶縁性を有する材料で形成されている場合には、バネ76の両端部を2本の導線72に直接接合してもよい。また、本実施形態では、2本の導線72の長手方向における中間部分にバネ76を設けているが、2本の導線72の導電体側の端部にバネを設けてもよい。この場合、導電体71を覆う絶縁体73を弾性変形させて、この絶縁体73をバネとして利用するとよい。
【0109】
「第七実施形態」
次に、本発明に係る第七実施形態としての電池システムについて、図11を用いて説明する。
【0110】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第一実施形態の温度検知構造における2本の導線のうち、一方の導線72bを形状記憶合金で形成したものである。
【0111】
この導線72bは、導電体71の融点で、図11中の想像線で示すように、他方の導線72の導電体側の端部から離れる方向に変形するよう、その形状が記憶されている。このため、形状記憶合金で形成されている導線72bは、導電体71の融点になると、他方の導線72の導電体側の端部から離れる方向に変形しようとする離間力Fが生じる。すなわち、形状記憶合金で形成されている導線72bは、離間力発生手段を形成している。
【0112】
よって、本実施形態でも、第五及び第六実施形態と同様、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になって、この導電体71が溶融すると、確実に分裂するため、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になったことを確実に検知することができる。
【0113】
なお、本実施形態では、2本の導線72,72bのうち、一方の導線72bのみを形状記憶合金で形成しているが、両方の導線を形状記憶合金で形成してもよい。
【0114】
また、本実施形態を含め、第五及び第六実施形態は、いずれも、第一実施形態の変形例であるが、これらの実施形態の離間力発生手段を、第二〜第四実施形態に適用してもよい。
「第八実施形態」
次に、本発明に係る第八実施形態としての電池システムについて、図12を用いて説明する。
【0115】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第一実施形態の温度検知構造における導電体の長手方向を、2つの検出端子77が並んでいる方向を長手方向とし、この長手方向の長さを、2つの検出端子77間の間隔以上にしたものである。
【0116】
この導電体71cの長手方向の一方の端部には、一方の導線72の端部が接続され、他方の端部には、他方の導線72の端部が接続されている。
【0117】
以上、本実施形態では、導電体71cの長手方向の長さが長いため、この導電体71cが溶融した際に、この導電体71cが分裂する可能性が極めて高くなる。よって、本実施形態では、セルケース60内の温度が導電体71cの融点以上になったことを検知する可能性を高めることができる。
【0118】
なお、本実施形態は、第一実施形態の変形例であるが、第二〜第四実施形態においても、本実施形態と同様、導電体の長手方向の長さを長くしてもよい。
に適用してもよい。
【0119】
「第九実施形態」
次に、本発明に係る第九実施形態としての電池システムについて、図13を用いて説明する。
【0120】
以上の各実施形態の電池システムの温度検知構造は、いずれも、導電体が複数の電極板の束である電極積層体内のほぼ中央部に配置されている。しかしながら、本実施形態では、導電体71が電極積層体40外であって、この電極積層体40とセルケース60の蓋62との間に配置されている。
【0121】
このため、本実施形態では、セルケース60内の温度を検知できるものの、以上の実施形態に比べて、セルケース60内の電極積層体40の温度をより正確に検知できない。一方で、本実施形態では、電極積層体40内に異物混入の可能性が低くなるため、電極積層体40の製造時不良や電池運用時の不良(導電体71等による内部短絡の発生等)等のリスクを軽減することができる。さらに、本実施形態では、電極積層体40内に導電体71及びその絶縁体73を入れるための隙間を確保する必要がないため、以上の実施形態よりも電池の小型化を図ることができる。
【0122】
なお、本実施形態は、第一実施形態の変形例であるが、他の実施形態においも、本実施形態と同様に、電極板の束の外に導電体を配置してもよい。特に、電極板の束の中に導電体を配置すると、電極板の束の幅が広がる可能性の高い第三〜第七実施形態の電池システムでは、電池の小型化を図る意味で、本実施形態と同様に、電極板の束の外に導電体を配置することが有効である。
【0123】
「第十実施形態」
次に、本発明に係る第十実施形態としての電池システムについて、図14を用いて説明する。
【0124】
本実施形態の電池は、複数の電極板ブロック50を有し、複数の電極板ブロック50のうちの隣り合う電極板ブロック50の相互間に、以上の実施形態で説明した導電体71を配したものである。
【0125】
電極板ブロック50は、複数の電極板が積層された電極積層体40と、この電極積層体40を覆う絶縁性樹脂板51と、有している。但し、電極積層体40で、タブ14,24が形成されている側には、絶縁性樹脂板51が配置されていない。複数の電極板ブロック50は、各電極板ブロック50の電極積層体40の積層方向に積層されている。このように、複数の電極板ブロック50の相互間は、絶縁性樹脂板51が介在し、隣り合う電極板ブロック50の相互間に導電体71を配置しても、絶縁性樹脂板51が導電体71及び導線72と電極板との間の短絡を防ぐ絶縁体として機能することになる。
【0126】
このため、本実施形態では、以上の各実施形態と異なり、導電体71及び導線72のそれぞれを覆う絶縁体73,74を有していない。すなわち、本発明において、導電体71及び導線72と電極板等との間での絶縁性を確保する絶縁体が存在すれば、導電体71及び導線72のそれぞれを覆う絶縁体73,74を別途設ける必要性はない。
【符号の説明】
【0127】
1:電池、2a:抵抗値センサ、5:CMU、6:BMU、10:正電極板、20:負電極板、30:セパレータ、40:電極積層体、50:電極板ブロック、60:セルケース、61:ケース本体、62:蓋、70:導体ユニット、71,71c:導電体、72,72a,72b:導線、73,74:絶縁体、75:抵抗体、76:バネ、77:検出端子、100:電池システム、101:組電池、105:制御回路、111:電力負荷、112:負荷制御装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、正負の電極体及び電解液が容器内に収容されている非水電解質電池、及びこれを備えている電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、リチウムイオン電池に代表される非水電解質電池は、高エネルギー密度の電池として注目されている。
【0003】
このように高エネルギー密度の非水電解質電池は、その性能等が電池の温度に影響を受けるため、電池の温度を管理することが好ましい。そこで、以下の特許文献1に記載の技術では、単電池のセル外に温度センサを設け、この温度センサからの出力を制御回路に入力することで、この単電池の温度を管理している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−080135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リチウムイオン電池に代表される非水電解質電池では、発明者等の試験によると、特に数10〜100Ah規模の大型電池においては電池の設置環境や充放電電流によってその容器の外面と内部の温度と差が極めて大きくなることがあり、例えば、30℃以上の温度差が生じることがある。このため、特許文献1に記載の技術のように、容器外に温度センサを設けた場合、電池を管理する上で適正な電池温度を検知することができないことがある、という問題点がある。
【0006】
さらに、特許文献1に記載の技術では、起動中の制御回路の管理下で電池の充放電が行われる電池運用時にしか、電池の温度を検知できず、制御回路が起動していないとき(例えば、電気自動車の完全停止時)電池を運用していないときの電池の温度をまったく検知できない、という問題点がある。リチウムイオン電池に代表される非水電解質電池は、電気自動車等に搭載されることがあるが、この場合、電気自動車等が炎天下に置かれると、この電気自動車等に搭載されている非水電解質電池の温度が極めて高くなり、電池性能が著しく悪化する等が考えられる。このため、電池を運用していないときの電池の温度をまったく検知できない、ということは重要な問題点がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に着目し、電池管理を管理する上で適正な電池温度を検知できると共に、非運用時における電池温度も検知できる非水電解質電池、及びこれを備えている電池システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記問題点を解決するための電池に係る発明は、
正負の電極体及び電解液が容器内に収容されている非水電解質電池において、前記容器の外部に露出している第一及び第二検出端子と、前記第一検出端子から前記容器内に延びる第一導線と、前記第二検出端子から前記容器内に延びる第二導線と、前記第一導線の端と前記第二導線の端とを電気的に接続する導電体と、前記正負の電極体に対して、前記第一導線、前記第二導線及び前記導電体を絶縁する絶縁体と、を備え、
前記導電体は、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度で溶融する低融点金属であることを特徴とする。
【0009】
当該非水電解質電池では、電池の運用時、電池の非運用時、電池単体で保管されているときのいずれのときでも、容器内の温度が、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度以上になると、導電体は、溶融し、導電体は複数に分裂する。このため、当該非水電解質電池では、電池の運用時、電池の非運用時、電池単体で保管されているときのいずれのときでも、容器内の温度が予め定められた温度以上になったことの履歴が残る。よって、当該非水電解電池によれば、電池の運用状態の如何に関わらず、第一検出端子と第二検出端子との間の電気抵抗値を測定することで、容器内の温度が予め定められた温度以上になったことを検知できる。
【0010】
ここで、前記非水電解質電池において、前記正の電極体に接続されている正極端子と、前記負の電極体に接続されている負極端子とのうち、一方の電極端子のみが前記第一検出端子と前記第二検出端子とのうちの一方の検出端子を兼ねてもよい。
【0011】
当該非水電解質電池では、正極端子と負極端子とのうち、一方の電極端子のみが第一検出端子と第二検出端子とのうちの一方の検出端子を兼ねるので、部品点数及び製造工程が減少して、電池の製造コストを抑えることができる。
【0012】
また、前記非水電解質電池において、前記正極端子が、前記第一検出端子を兼ね、前記第二検出端子は、前記容器と電気的に接続され、前記第二検出端子と前記導電体とを接続する前記第二導線中には、前記第一導線、前記第二導線及び前記容器の電気抵抗よりも高い抵抗値の抵抗体が設けられていてもよい。
【0013】
当該非水電解質電池では、正極端子と容器とが抵抗体を介して電気的に接続されることになる。このため、容器は、正極端子の電位に近くなり、電解液中のイオンと反応することによる容器の腐食を抑えることができる。
【0014】
また、前記非水電解質電池において、前記第一導線、前記第二導線及び前記導電体を有する導体ユニットを複数備え、複数の前記導体ユニット毎の前記導電体は、融点が互いに異なっていてもよい。
【0015】
当該非水電解質電池では、容器内の温度として、互いに異なる複数の温度を検知することができる。
【0016】
また、前記非水電解質電池において、少なくとも、前記予め定められた温度のときに、前記第一導線の前記導電体側の端と前記第二導線の該導電体側の端との間を離間させる離間力を発生する離間力発生手段を備えてもよい。
【0017】
具体的には、前記第一導線と前記第二導線とのうち、少なくとも一方の導線が、他方の導線の前記導電体側の端から離れる方向に弾性変形している弾性体であり、該弾性体である該少なくとも一方の導線が前記離間力発生手段を成してもよい。
【0018】
また、前記第一導線と前記第二導線とのうち、少なくとも一方の導線が、前記予め定められた温度で他方の導線の前記導電体側の端から離れる方向に変形する形状記憶合金で形成され、該形状記憶合金で形成されている該少なくとも一方導線が前記離間力発生手段を成してもよい。
【0019】
また、前記第一導線と前記第二導線との間に配置され、前記離間力を発生する弾性体を備え、前記弾性体が前記離間力発生手段を成してもよい。
【0020】
当該非水電解質電池では、容器内の温度が予め定められた温度以上になり、導電体が溶融すると、第一導線の導電体側の端と第二導線の導電体側の端との間の離間力により、導電体が確実に分裂する。よって、当該非水電解質電池によれば、容器内の温度が予め定められた温度になったことを明確に検知することができる。
【0021】
また、前記非水電解質電池において、前記導電体は、前記第一検出端子と前記第二検出端子とが並んでいる方向が長手方向を成し、該長手方向の長さが該第一検出端子と該第二検出端子との間の間隔以上であり、前記導電体における前記長手方向の一方の端部に、前記第一導線の端が接続され、他方の端部に前記第二導線の端が接続されてもよい。
【0022】
当該非水電解質電池では、導電体の長手方向の長さが長いため、容器内の温度が予め定められた温度以上になり、導電体が溶融すると、導電体が分裂する可能性を高めることができる。
【0023】
また、前記非水電解質電池において、複数の前記正の電極体と複数の前記負の電極体とは、絶縁性を有するセパレータを介して交互に重なり合って、正負の電極体の束を成し、前記導電体は、該正負の電極体の束の中に配置されてもよいし、該正負の電極体の束の外に配置されてもよい。
【0024】
前記問題点を解決するための電池システムに係る発明は、
前記非水電解質電池と、前記第一検出端子と前記第二検出端子との間の電気抵抗の値を検知する抵抗値センサと、前記非水電解質電池の動作を制御する制御器と、を備え、
前記制御器は、前記抵抗値センサと接続され、該抵抗値センサが検知した前記第一検出端子と前記第二検出端子との間の電気抵抗の値が予め定められた値を超える場合には、当該非水電解質電池に温度異常があった旨を外部に送る、ことを特徴とする。
【0025】
当該電池システムでは、容器内の温度が予め定められた温度以上になったことを外部に通知することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明では、容器内の温度が予め定められた温度以上になると、導電体が溶融し、その履歴が残るため、電池が運用状態であるか非運用状態であるかに関わらず、容器内の温度が予め定められた温度以上になったことを検知できる。このため、本発明によれば、電池管理を管理する上で適正な電池温度を検知できると共に、非運用時における電池温度も検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る第一実施形態における電池システムの構成図である。
【図2】本発明に係る電池の要部切欠き斜視図である。
【図3】図2におけるIII−III線断面図(導電体の溶融前)である。
【図4】図2におけるIII−III線断面図(導電体の溶融後)である。
【図5】本発明に係る第二実施形態における電池の断面図である。
【図6】本発明に係る第三実施形態における電池の断面図である。
【図7】本発明に係る第四実施形態における電池の断面図である。
【図8】本発明に係る第五実施形態における電池の導体ユニットの正面図である。
【図9】本発明に係る第五実施形態における電池の温度検知構造の正面図)である。
【図10】本発明に係る第六実施形態における電池の温度検知構造の正面図である。
【図11】本発明に係る第七実施形態における電池の温度検知構造の正面図である。
【図12】本発明に係る第八実施形態における電池の温度検知構造の正面図である。
【図13】本発明に係る第九実施形態における電池の断面図である。
【図14】本発明に係る第十実施形態における電池の要部切欠き斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る電池システムの各種実施形態について、図面を用いて説明する。
【0029】
「第一実施形態」
まず、本発明に係る第一実施形態としての電池システムについて、図1〜図4を用いて説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施形態の電池システム100は、非水電解質電池である複数のリチウムイオン単電池(以下、単に電池とする)1を含む組電池101と、各電池1を制御する制御回路105と、組電池101が電力負荷111に供給する電流の値を検知する電流計109と、を備えている。この電池システム100は、例えば、電気自動車に搭載される。この場合、この電池システム100の電力負荷111は、モータ等である。
【0031】
複数の電池1は、これら電極端子が相互にバスバー等で電気的に接続されて、前述の組電池101を構成している。
【0032】
制御回路105は、複数の電池1毎に設けれ、当該電池1の動作状態を監視制御するCMU(Cell Monitoring Unit)5と、各CMU5の動作及び各電池の状態を管理するBMU(Battery Management Unit)6とから構成される。電池1毎のCMU5は、バスによりパラレルにBMU6に接続され、このBMU6との間でデータの送受信を行う。
【0033】
なお、ここでは、一つの電池1毎にCMU5を設けているが、いくつかの電池1毎にCMU5を設けてもよいし、組電池101全体で一つのCMU5を設けてもよい。また、ここでは、複数のCMU5とBMU6とをパラレルにバス接続しているが、複数のCMU5とBMU6とをシリアルにバス接続してもよい。
【0034】
電池1には、この電池1の状態を検知するための各種センサ2が取り付けられている。本実施形態では、1つの電池1と、この電池1に対する各種センサ2と、この電池1に対するCMU5とで、電池モジュール108を成している。各種センサ2からの出力は、CMU5に入力する。CMU5は、各種センサ2からの出力データを必要に応じて、BMU6に送信する。
【0035】
電力負荷111には、この電力負荷111の動作を制御する負荷制御装置112が接続されている。当該電池システム100が電気自動車に搭載される場合、この負荷制御装置112は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)である。BMU6は、この負荷制御装置112とバスで接続され、この負荷制御装置112との間でデータの送受信を行う。また、負荷制御装置112には、電力負荷111の制御指示等を行う入力装置113や、各電池1に関する情報を出力する出力装置114が接続されている。
【0036】
入力装置113は、例えば、電力負荷111が設けられている装置の計器パネルのスイッチ類等である。また、出力装置114は、電力負荷111や各電池1に関する情報等を表示する表示装置、音声出力するスピーカー等である。
【0037】
電池1は、図2及び図3に示すように、複数の正極板(正の電極体)10と、複数の負極板(負の電極体)20と、負極板20を覆うセパレータ30と、電解液と、これらを収納するセルケース(容器)60と、を備えている。
【0038】
この電池1の電解液には、水溶液が使用されず、リチウムイオンの溶存した有機溶剤溶液が使われている。
【0039】
各電極板10,20は、シート状の集電体に活物質等を塗工して形成したものである。集電体は、矩形シート状の本体と、矩形シート状の部分の縁から延びているタブ14,24とを有している。活物質は、この集電体の本体に塗工されている。正極板10は、アルミニウム箔等の集電体の本体に正極用の活物質(例えば、マンガン酸リチウム:LiMn2O2や、3元系材料:LiNixCoyMnzO2 (x+y+z=1)等)が塗工された正極板本体11と、この活物質が塗工されていない前述のタブ14とを有している。また、負極板20は、銅箔等の集電体の本体に負極用の活物質(例えば、カーボンや人造黒鉛)が塗工された負極板本体21と、この活物質が塗工されていない前述のタブ24とを有している。
【0040】
負極板20の負極板本体21は、セパレータ30により完全に覆われ、負極板20のタブ24は、一部がセパレータ30から露出している。セパレータ30は、絶縁性及び耐電解液性を有する樹脂、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン等で形成されている。
【0041】
複数の正極板10と、それぞれがセパレータ30で覆われている複数の負極板20とは、タブ14,24が設けられている側が互いに同じ側になるよう、交互に重ね合わされて、電極積層体40を形成している。
【0042】
セルケース60は、アルミニウム等の金属で形成されている。このセルケース60は、電極積層体40が入る直方体状の収納凹部が形成されているケース本体61と、このケース本体61の開口を塞ぐ蓋62と、を有している。
【0043】
セルケース60の蓋62には、正負の電極端子65,66が絶縁材63を介して固定されている。さらに、この蓋62には、安全弁(不図示)等も固定されている。正負の電極端子65,66は、蓋62を貫通した状態で蓋62に固定され、セルケース60の内側及び外側に突出している。
【0044】
正極端子65には、正極板10のタブ14に接合されたリード41がビス43で接続されている。また、負極端子66には、負極板20のタブ24に接続されたリード42がビス43で接続されている。
【0045】
本実施形態の電池1は、さらに、セルケース60の蓋62に絶縁材78を介して固定されている2つの検出端子77と、各検出端子77に接続されている導線72と、各導線72の端部相互を電気的に接続する導電体71と、正負の電極板10,20に対して、導電体71及び導線72のそれぞれを絶縁する絶縁体73,74と、を備えている。
【0046】
2つの検出端子77は、電極端子65,66と同様、セルケース60の蓋62を貫通した状態で蓋62に固定され、セルケース60の内側及び外側に突出している。各検出端子77には、導線72の一方の端部がビス79により接続されている。2つの検出端子77にそれぞれ接続されている導線72の他方の端部には、導電体71に接続されている。この導電体71は、各電極板10,20の束である電極積層体40内のほぼ中央部に配置されている。
【0047】
導電体71は、耐電解液性を有し、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度(例えば、60℃)で溶融する低融点金属で形成されている。低融点金属は、例えば、Bi−Sn−Pb−Cd合金で形成されている。この低融点金属は、各組成金属の組成比等を変えることで、その融点を15℃程度から190℃程度の範囲で変えることができる。この低融点合金としては、例えば、株式会社大阪アサヒメタル工場製のU−アロイと呼ばれるものがある。
【0048】
導電体71を覆う絶縁体73及び導線72を覆う絶縁体74は、絶縁性のみならず、耐熱性、耐電解液性を有する樹脂、例えば、ポレオレフィン、ポリイミド、ポリフェニレン サルファイド(PPS)等で形成されている。
【0049】
導電体71を覆う絶縁体73は、内部に導電体71が入る中空部73sと、この中空部73s内に導線72を通す2つの開口73tとが形成されている。この中空部73sは、導電体71が熱溶融した際に、変形できるように、導電体71よりも大きなサイズに形成されている。また、各開口73tは、中空部73s内の導電体71が熱溶融した際に、2本の導線72が離れる方向に移動可能に、この方向に長く形成されている。
【0050】
2つの検出端子77には、両者間の電気抵抗の値を検知する抵抗値センサ2aが接続されている。この抵抗値センサ2aは、図1を用いて説明した、電池毎の各種センサ2のうちの一つで、CMU5に接続されている。
【0051】
本実施形態では、2本の導線72と、導電体71と、導線72を覆う絶縁体73,74と、導電体71を覆う絶縁体73,74と、2つの検出端子77と、を有して、このセルケース60内の温度を検知するための温度検知構造を構成している。
【0052】
次に、本実施形態の電池システムの動作について説明する。
【0053】
本実施形態の電池1では、起動中の制御回路105の管理下で電池1の充放電が行われる電池運用時、制御回路105が起動していない電池1の非運用時、電池単体で保管されているときのいずれのときでも、セルケース60内の温度が、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度(例えば、60℃)以上になると、図4に示すように、導電体71は溶融し、複数に分裂する。このため、本実施形態の電池1では、起動中の制御回路105の管理下で電池1の充放電が行われる電池運用時、制御回路105が起動していない電池の非運用時、電池単体で保管されているときのいずれのときでも、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったことの履歴が残る。
【0054】
CMU5は、制御回路105が起動すると、抵抗値センサ2aを起動させて、この抵抗値センサ2aから、2つの検出端子77間の電気抵抗値を取得する。仮に、制御回路105の起動前の電池非運用時に、セルケース60内の温度が予め定められた温度になっていたとすると、前述したように、このセルケース60内の導電体71は、溶融し、複数に分裂している。このため、2本の導線72間の電気抵抗値、言い換えると、2つの検出端子77間の電気抵抗値は、実質的に無限大になる。
【0055】
CMU5は、抵抗値センサ2aから2つの検出端子77間の電気抵抗値を取得すると、この電気抵抗値が予め定められた値以上であるか否かを判断し、予め定められた値以上である場合には、電池1のIDと共に、例えば、この電池1が仕様性能を満たさなくなった可能性がある旨をBMU6に通知する。ここで、電池抵抗値の予め定められた値は、導電体71が溶融していないときの2つの検出端子77間の電気抵抗値より十分に高い値である。
【0056】
BMU6は、CMU5から、電池1のIDと共に、この電池1が仕様性能を満たさなくなった可能性がある旨の通知を受けると、負荷制御装置112へ、例えば、電池使用の停止指令を出力する。負荷制御装置112は、この停止指令を受けると、例えば、電力負荷111の使用を停止すると共に、出力装置114に、例えば、「電池が仕様性能を満たさなくなった。」「電池異常による電力負荷の使用停止中」等を出力させる。
【0057】
CMU5は、2つの検出端子77間の電気抵抗値が予め定められた値以上であると判断すると、さらに、BMU6の管理下で、この電池1を運用できない状態にする。電池1を運用できない状態にする方法としては、例えば、この電池1を含む組電池101と電力負荷111との間に設けたブレーカー等を動作させて、組電池101と電力負荷111との間の電気的接続を絶つ方法等がある。
【0058】
また、制御回路105が起動中で電池1の運用時に、セルケース60内の温度が予め定められた温度になり、セルケース60内の導電体71が溶融して、2つの検出端子77間の電気抵抗値が予め定められた値以上になった場合も、電池システム100は以上と基本的に同様に動作する。
【0059】
また、電池単体で保管されているときに、例えば、保管環境での温度が著しく上昇し、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になれば、セルケース60内の導電体71が溶融し、2つの検出端子77間の電気抵抗値は、予め定められた値以上になる。このため、例えば、保管中の電池単体を電池システム100に組み込む前に、この電池1の2つの検出端子77間の電気抵抗値をテスター等で測定し、測定で得られた電気抵抗値が予め定められた値以上であるか否かに応じて、この電池1の組み込みの可否を判断するとよい。なお、仮に、テスター等による電気抵抗値の測定を実行せずに、この電池1を電池システム100に組み込んだ場合には、この電池システム100は、電池非運用時に、セルケース60内の温度が予め定められた温度になった場合と同様に動作する。
【0060】
以上、本実施形態では、電池1のセルケース60内の温度を検知できるので、電池管理する上で適正な電池温度を取得することができる。さらに、本実施形態では、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になると、その履歴が残るため、電池1が運用状態であるか非運用状態であるかに関わらず、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったことを検知できる。
【0061】
また、本実施形態では、セルケース60内の温度を検知するための温度検知構造が、電池1の充放電経路とは独立した場所に設けられているため、この温度検知構造による電池性能の低下を防ぐことができる。
【0062】
なお、本実施形態の電池システム100は、電池1の2つの検出端子77間の電気抵抗値を検知する抵抗値センサ2aを有しているが、この抵抗値センサ2aは無くても、前述したように、メインテナンス者がメインテナンス時にテスター等で、2つの検出端子77間の電気抵抗値を測定することで、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったか否かを検知できる。仮に、テスター等による測定で得られた電気抵抗値が予め定められた値以上であれば、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったと判断できるので、この場合、メインテナンス者は、この電池を交換する等の適切な処理をとることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態では、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になって、導電体71が溶融すると、導電体71が分裂するものとして、CMU5が抵抗値センサ2aから取得した電気抵抗値を判断する際に用いる予め定められた抵抗値、つまり閾値を定めている。しかしながら、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になって、導電体71が溶融しても、導電体71は分裂せず、その一部の断面積が小さくなるだけに留まる場合もあり得る。そこで、CMU5が用いる閾値は、このような場合も想定して、導電体71が溶融していないときの2つの検出端子77間の電気抵抗値よりも高い値で、且つ導電体71の一部の断面積がある所定の断面積まで小さくなったときの2つの検出端子77間の電気抵抗値よりも低い値に定めてもよい。
【0064】
「第二実施形態」
次に、本発明に係る第二実施形態としての電池システムについて、図5を用いて説明する。なお、以下の各実施形態の電池システムでは、第一実施形態の電池システムに対して、主として、温度検知構造が異なっており、電池システムの他の構成は基本的に同じであるので、以下では、主として温度検知構造について説明する。
【0065】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、一つの検出端子77と、2本の導線72と、2本の導線72の端が接続されている導電体71と、導線72を覆う絶縁体74と、導電体71を覆う絶縁体73と、を有している。
【0066】
一つの検出端子77は、第一実施形態と同様に、セルケース60の蓋62に絶縁材78を介して固定されている。2本の導線72のうち、一本の導線72は、この検出端子77にビス79で接続されている。一方、残りの一本の導線72は、正負の電極端子65,66のうち、一方の電極端子65に、この電極端子65に接続されるリード41と共に、ビス43で接続されている。
【0067】
すなわち、本実施形態の温度検知構造は、正負の電極端子65,66のうち、一方の電極端子65が第一実施形態における2つの検出端子77の一方を兼ねるようにしたものである。
【0068】
一つの検出端子77と、正負の電極端子65,66のうち、導線72が接続されている電極端子65とには、抵抗値センサ2aが接続されている。
【0069】
以上、本実施形態でも、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になると、導電体71が溶融するため、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったときが、電池の運用状態であるか非運用状態であるかに関わらず、セルケース60内の温度が予め定められた温度以上になったことを検知できる。
【0070】
また、本実施形態では、検出端子77が一つで済むため、第一実施形態の電池1に対して、部品点数及び製造工程が減少して、電池の製造コストを抑えることができる。
【0071】
ところで、本実施形態では、温度検知構造が、第一実施形態と異なり、電池の充放電経路とは独立して設けられていない。つまり、本実施形態の温度検知構造で、導電材で形成されている電流路の一方が、電池の充放電経路中の電極端子65に接続されている。しかしながら、この温度検知構造の電流路の他方が閉じているため、充放電電流がこの電流路に流れ込むことは基本的にない。また、電極端子65に接続されるリード41が仮に銅製である場合に、この電極端子65に接続される導線72も銅製にすることで、電池の充放電経路中に、異種材料を介在させずに済む。よって、本実施形態でも、この温度検知構造による電池性能の低下を防ぐことができる。
【0072】
「第三実施形態」
次に、本発明に係る第三実施形態としての電池システムについて、図6を用いて説明する。
【0073】
本実施形態の電池システムの温度検知構造も、第二実施形態と同様、一つの検出端子77と、2本の導線72と、2本の導線72の端が接続されている導電体71と、導線72を覆う絶縁体74と、導電体71を覆う絶縁体73と、を有している。さらに、この温度検知構造は、一本の導線72中に設けられている抵抗体75を有している。
【0074】
一つの検出端子77は、第二実施形態と異なり、セルケース60の蓋62に絶縁材を介さずに固定されている。すなわち、この検出端子77は、セルケース60と電気的に接続されている。
【0075】
2本の導線72のうち、抵抗体75が設けられている導線72は、一つの検出端子77にビス79で接続されている。一方、残りの導線72は、正極端子65に、この正極端子65に接続されるリード41と共に、ビス43で接続されている。抵抗体75の抵抗値は、各導線72の抵抗値、導電体71の抵抗値、セルケース60の抵抗値よりも高く、例えば、1KΩである。
【0076】
本実施形態は、一本の導線72中に抵抗体75が設けられている点、一つの検出端子77がセルケース60と電気的に接続されている点、及び検出端子を兼ねる電極端子が正極端子65に限定されている点を除いて、第二実施形態と同様である。このため、本実施形態でも、第二実施形態と基本的に同様の効果を得ることができる。
【0077】
ところで、リチウムイオン電池の場合、セルケース60をAlで形成すると、このセルケース60を形成しているAlが電解液中のイオンと反応して、セルケース60の一部が腐食したり、このAlがセルケース60内に溶け出して、電池性能を低下させることが問題になる。この問題を解決する方法の一つとして、正極端子65とセルケース60とを抵抗を介して電気的に接続して、セルケース60の電位を正極端子65の電位に近づける方法がある。
【0078】
本実施形態では、Al製のセルケース60と正極端子65とが、抵抗体75を介して、2本の導線72及び導電体71で電気的に接続されている。このため、導電体71が溶融して分裂していなければ、Al製のセルケース60の電位が正極端子65の電位に近づくことになる。よって、本実施形態では、セルケース60の腐食等を防ぐことができる。
【0079】
なお、本実施形態の場合、第二実施形態と異なり、電池の充放電経路中の正極端子65から、本実施形態の温度検知構造の電流路を介して、セルケース60に電流が流れることになる。しかしながら、この電流路には抵抗値の大きな抵抗体75が介在しているため、その電流の値は極めて小さく、この温度検知構造による電池性能の低下は、実質的にないに等しい。
【0080】
「第四実施形態」
次に、本発明に係る第四実施形態としての電池システムについて、図7を用いて説明する。
【0081】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、基本的に、第三実施形態と同様である。但し、本実施形態の温度検知構造は、2本の導線72と、一本の導線72中に設けられている抵抗体75と、2本の導線72の端が接続されている導電体71と、導電体71及び導線72のそれぞれを覆う絶縁体73,74とから成る導体ユニット70を複数有している点で、第三実施形態と異なる。複数の導体ユニット70は、一つの検出端子77及び正極端子65と、互いに並列な関係で接続されている。
【0082】
各導体ユニット70の導電体71は、その融点が互いに異なっている。例えば、一つの導体ユニット70における導電体71の融点が60℃である場合、他の導体ユニット70における導電体71の融点は120℃である。
【0083】
本実施形態でも、以上の実施形態と同様、CMU5が、2つの端子(検出端子77と正極端子65)間の電気抵抗値を抵抗値センサ2aから取得し、この電気抵抗値が予め定められた値以上であるか否かを判断する。但し、予め定められた値、つまり閾値が、導体ユニット70の数に対応した分だけ存在し、CMU5は、抵抗値センサ2aから取得した電気抵抗値が複数の閾値毎に、当該閾値以上であるか否かを判断する。つまり、CMU5は、セルケース60内の温度が、複数の導電体71毎の融点以上になったか否かを判断する。
【0084】
ここで、複数の閾値は、いずれの導電体71も溶融していないときの2つの端子間の電気抵抗値よりも高い。また、例えば、導電ユニットが3つある場合の3つ閾値のうち、第一の閾値は、最も融点の低い導電体71のみが溶融して、この導電体71のみが分裂したときの2つの検出端子77間の電気抵抗値よりも低い値である。また、第二の閾値は、第一の閾値よりも高い値で、且つ、最も融点の低い導電体71、及び次に融点の低い導電体71のみが溶融して、これらの導電体71のみが分裂したときの2つの検出端子77間の電気抵抗値よりも低い値である。また、第三の閾値は、第二の閾値よりも十分に高い値である。
【0085】
仮に、図7に示すように、本実施形態の電池システムは、2つの導体ユニット70を有し、前述したように、一方の導体ユニットにおける導電体71の融点が60℃で、他方の導体ユニットにおける導電体71の融点が120℃である、とする。
【0086】
この場合、CMU5は、セルケース60内の温度が、2つの導体ユニット毎の閾値を用いて、60℃以上で120℃未満の温度になったか否か、120℃以上になったか否かを判断する。
【0087】
CMU5は、60℃以上で120℃未満の温度になったと判断した場合、120℃以上になったと判断した場合のいずれも場合も、第一実施形態と同様、電池のIDと共に、例えば、この電池が仕様性能を満たさなくなった可能性がある旨をBMU6に通知する。さらに、CMU5は、60℃以上で120℃未満の温度になったと判断した場合、セルケース60内の温度がこの温度域になったことをBMU6に通知し、120℃以上になったと判断した場合、セルケース60内の温度がこの温度域になったことをBMU6に通知する。
【0088】
BMU6は、CMU5からの通知を受けると、第一実施形態と同様、負荷制御装置112へ、例えば、電池使用の停止指令を出力する。さらに、BMU6は、CMU5からの通知のうち、セルケース60内の温度を記憶する。なお、以上の各実施形態においても、BMU6は、CMU5から、電池のIDと共に、例えば、この電池が仕様性能を満たさなくなった可能性がある旨の通知を受けると、この通知を記憶しておくことが好ましい。
【0089】
このように、セルケース60内の温度がBMU6に記憶されると、メインテナンス者は、メインテナンス時に、この電池のセルケース60内の温度が60℃以上で120℃未満の温度になったか、120℃以上になったかを知ることができる。
【0090】
ここで、電池のセルケース60内の温度が60℃以上で120℃未満の温度になった場合、この電池が、電気自動車用に搭載される電池として要求される仕様性能を満たさなくなっている可能性があるものの、例えば、一般家庭での蓄電池用の電池として要求される仕様性能を満たすとする。また、電池のセルケース60内の温度が120℃以上の温度になった場合、この電池の安全性能を満たさなくなっている可能性があるとする。
【0091】
このような場合、メインテナンス者は、BMU6に記憶されているセルケース60内の温度が60℃以上で120℃未満の温度であることを知ると、この電池を電池システムから外して、他の電池を代わりに搭載すると共に、電池システムから外した電池を一般家庭での蓄電池用の中古電池とする。また、メインテナンス者は、BMU6に記憶されているセルケース60内の温度が120℃以上の温度であることを知ると、この電池を電池システムから外して、他の電池を代わりに搭載すると共に、電池システムから外した電池を廃棄処分とする。
【0092】
以上、本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第三実施形態の電池システムの温度検知構造と同一の構造を有しているため、本実施形態においても、第三実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0093】
さらに、本実施形態では、複数の導体ユニット70を有し、各導体ユニット70の導電体71の融点が互いに異なっているため、セルケース60内の温度として、互いに異なる複数の温度を検知することができる。
【0094】
なお、本実施形態は、第三実施形態の変形例であるが、第一及び第二実施形態においても、本実施形態と同様、導体ユニットの複数化を図ってもよい。
【0095】
「第五実施形態」
次に、本発明に係る第五実施形態としての電池システムについて、図8及び図9を用いて説明する。
【0096】
以上の各実施形態では、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になって、この導電体71が溶融しても、この導電体71が分裂しないおそれがある。この場合、2つの端子間の電池抵抗値は、導電体71の溶融の前後での変化が小さいため、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になったことを明確に検知できない可能性がある。そこで、本実施形態を含め、第6〜第8実施形態において、導電体71が溶融すれば、この導電体71の分裂可能性を高めることができる構成について説明する。
【0097】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第一実施形態の温度検知構造における2本の導線をそれぞれ板バネで形成したものである。板バネである導線72aは、自重による変形量が自身の長手方向の長さに対して無視できる程度の剛性を有している。
【0098】
導線72aの一方の端部72sは、図9に示すように、ビス79で検出端子77に接続された状態では、この導線72aの他方の端部側72t、つまり導電体71との接続側に対して、鋭角的に折り曲げられた状態になっている。
【0099】
しかしながら、この導線72aの一方の端部72sは、図8に示すように、ビス79で検出端子77に接続される前の状態では、他方の端部側78tに対して、鈍角的にしか折り曲げられていない。この導線72aの一方の端部72sをビス79で検出端子77に接続する際には、この導体72aの他方の端部側72tに対して一方の端部72sを強制的に弾性変形させて、鋭角的に折り曲げた状態にし、その上で、この一方の端部72sをビス79で検出端子77に接続する。
【0100】
よって、導線72aの一方の端部72sがビス79で検出端子77に接続された状態では、この導線72aは、ビス79で検出端子77に接続される前の状態に戻ろうとする復元力が生じている。この復元力は、導線72aの他方の端部側72tが一方の端部72sに対する角度が大きくなる方向の力であるから、一本の導線72aの他方の端部側72tが、他の一本の導線72aの他方の端部側72tから離れようとする離間力Fであると言える。すなわち、板バネで形成されている導線72aは、離間力発生手段を形成している。
【0101】
このように、本実施形態では、2本の導線72aには、各導線72aの他方の端部間を離そうとする離間力Fが常時生じているため、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になって、この導電体71が溶融すると、確実に分裂する。このため、本実施形態では、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になったことを確実に検知することができる。
【0102】
なお、本実施形態では、導線72aの一方の端部72sが他方の端部側72tに対して鈍角的にしか折り曲げられていない状態から、この一方の端部72sを他方の端部側72tに対して強制的に弾性変形させ、鋭角的に折り曲げることで、前述の離間力Fを発生させているが、この離間力Fを発生させることができる形態であれば、導線72aをどのように弾性変形させてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、2本の導線72aの両方を板バネで形成しているが、1本の導線72aのみを板バネで形成してもよい。
【0104】
「第六実施形態」
次に、本発明に係る第六実施形態としての電池システムについて、図10を用いて説明する。
【0105】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第一実施形態の温度検知構造における2本の導線72間に、バネ76を設けたものである。このバネ76は、耐電解液性を有する金属で形成してもよいが、耐電解液性及び耐熱性を有する樹脂で形成してもよい。
【0106】
このバネ76の一方の端部は、一方の導線72の絶縁体74に接合され、このバネ76の他方の端部は、他方の導線72の絶縁体74に接合されている。このバネ76は、その両端部が導線72の絶縁体74に接合され、且つ2本の導線72がそれぞれ検出端子77に接続され状態では、縮んでいる状態である。このため、この状態のバネ76には、一方の導線72の導電体側の端部に対して、他方の導線72の導電体側の端部を離そうとする離間力Fである、復元力が生じている。すなわち、このバネ76は、離間力発生手段を形成している。
【0107】
よって、本実施形態でも、第五実施形態と同様、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になって、この導電体71が溶融すると、確実に分裂するため、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になったことを確実に検知することができる。
【0108】
なお、本実施形態では、バネ76の両端部を2本の導線72の絶縁体74に接合しているが、バネ76が絶縁性を有する材料で形成されている場合には、バネ76の両端部を2本の導線72に直接接合してもよい。また、本実施形態では、2本の導線72の長手方向における中間部分にバネ76を設けているが、2本の導線72の導電体側の端部にバネを設けてもよい。この場合、導電体71を覆う絶縁体73を弾性変形させて、この絶縁体73をバネとして利用するとよい。
【0109】
「第七実施形態」
次に、本発明に係る第七実施形態としての電池システムについて、図11を用いて説明する。
【0110】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第一実施形態の温度検知構造における2本の導線のうち、一方の導線72bを形状記憶合金で形成したものである。
【0111】
この導線72bは、導電体71の融点で、図11中の想像線で示すように、他方の導線72の導電体側の端部から離れる方向に変形するよう、その形状が記憶されている。このため、形状記憶合金で形成されている導線72bは、導電体71の融点になると、他方の導線72の導電体側の端部から離れる方向に変形しようとする離間力Fが生じる。すなわち、形状記憶合金で形成されている導線72bは、離間力発生手段を形成している。
【0112】
よって、本実施形態でも、第五及び第六実施形態と同様、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になって、この導電体71が溶融すると、確実に分裂するため、セルケース60内の温度が導電体71の融点以上になったことを確実に検知することができる。
【0113】
なお、本実施形態では、2本の導線72,72bのうち、一方の導線72bのみを形状記憶合金で形成しているが、両方の導線を形状記憶合金で形成してもよい。
【0114】
また、本実施形態を含め、第五及び第六実施形態は、いずれも、第一実施形態の変形例であるが、これらの実施形態の離間力発生手段を、第二〜第四実施形態に適用してもよい。
「第八実施形態」
次に、本発明に係る第八実施形態としての電池システムについて、図12を用いて説明する。
【0115】
本実施形態の電池システムの温度検知構造は、第一実施形態の温度検知構造における導電体の長手方向を、2つの検出端子77が並んでいる方向を長手方向とし、この長手方向の長さを、2つの検出端子77間の間隔以上にしたものである。
【0116】
この導電体71cの長手方向の一方の端部には、一方の導線72の端部が接続され、他方の端部には、他方の導線72の端部が接続されている。
【0117】
以上、本実施形態では、導電体71cの長手方向の長さが長いため、この導電体71cが溶融した際に、この導電体71cが分裂する可能性が極めて高くなる。よって、本実施形態では、セルケース60内の温度が導電体71cの融点以上になったことを検知する可能性を高めることができる。
【0118】
なお、本実施形態は、第一実施形態の変形例であるが、第二〜第四実施形態においても、本実施形態と同様、導電体の長手方向の長さを長くしてもよい。
に適用してもよい。
【0119】
「第九実施形態」
次に、本発明に係る第九実施形態としての電池システムについて、図13を用いて説明する。
【0120】
以上の各実施形態の電池システムの温度検知構造は、いずれも、導電体が複数の電極板の束である電極積層体内のほぼ中央部に配置されている。しかしながら、本実施形態では、導電体71が電極積層体40外であって、この電極積層体40とセルケース60の蓋62との間に配置されている。
【0121】
このため、本実施形態では、セルケース60内の温度を検知できるものの、以上の実施形態に比べて、セルケース60内の電極積層体40の温度をより正確に検知できない。一方で、本実施形態では、電極積層体40内に異物混入の可能性が低くなるため、電極積層体40の製造時不良や電池運用時の不良(導電体71等による内部短絡の発生等)等のリスクを軽減することができる。さらに、本実施形態では、電極積層体40内に導電体71及びその絶縁体73を入れるための隙間を確保する必要がないため、以上の実施形態よりも電池の小型化を図ることができる。
【0122】
なお、本実施形態は、第一実施形態の変形例であるが、他の実施形態においも、本実施形態と同様に、電極板の束の外に導電体を配置してもよい。特に、電極板の束の中に導電体を配置すると、電極板の束の幅が広がる可能性の高い第三〜第七実施形態の電池システムでは、電池の小型化を図る意味で、本実施形態と同様に、電極板の束の外に導電体を配置することが有効である。
【0123】
「第十実施形態」
次に、本発明に係る第十実施形態としての電池システムについて、図14を用いて説明する。
【0124】
本実施形態の電池は、複数の電極板ブロック50を有し、複数の電極板ブロック50のうちの隣り合う電極板ブロック50の相互間に、以上の実施形態で説明した導電体71を配したものである。
【0125】
電極板ブロック50は、複数の電極板が積層された電極積層体40と、この電極積層体40を覆う絶縁性樹脂板51と、有している。但し、電極積層体40で、タブ14,24が形成されている側には、絶縁性樹脂板51が配置されていない。複数の電極板ブロック50は、各電極板ブロック50の電極積層体40の積層方向に積層されている。このように、複数の電極板ブロック50の相互間は、絶縁性樹脂板51が介在し、隣り合う電極板ブロック50の相互間に導電体71を配置しても、絶縁性樹脂板51が導電体71及び導線72と電極板との間の短絡を防ぐ絶縁体として機能することになる。
【0126】
このため、本実施形態では、以上の各実施形態と異なり、導電体71及び導線72のそれぞれを覆う絶縁体73,74を有していない。すなわち、本発明において、導電体71及び導線72と電極板等との間での絶縁性を確保する絶縁体が存在すれば、導電体71及び導線72のそれぞれを覆う絶縁体73,74を別途設ける必要性はない。
【符号の説明】
【0127】
1:電池、2a:抵抗値センサ、5:CMU、6:BMU、10:正電極板、20:負電極板、30:セパレータ、40:電極積層体、50:電極板ブロック、60:セルケース、61:ケース本体、62:蓋、70:導体ユニット、71,71c:導電体、72,72a,72b:導線、73,74:絶縁体、75:抵抗体、76:バネ、77:検出端子、100:電池システム、101:組電池、105:制御回路、111:電力負荷、112:負荷制御装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正負の電極体及び電解液が容器内に収容されている非水電解質電池において、
前記容器の外部に露出している第一及び第二検出端子と、
前記第一検出端子から前記容器内に延びる第一導線と、
前記第二検出端子から前記容器内に延びる第二導線と、
前記第一導線の端と前記第二導線の端とを電気的に接続する導電体と、
前記正負の電極体に対して、前記第一導線、前記第二導線及び前記導電体を絶縁する絶縁体と、
を備え、
前記導電体は、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度で溶融する低融点金属である、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項2】
請求項1に記載の非水電解質電池において、
前記正の電極体に接続されている正極端子と、前記負の電極体に接続されている負極端子とのうち、一方の電極端子のみが前記第一検出端子と前記第二検出端子とのうちの一方の検出端子を兼ねる、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項3】
請求項2に記載の非水電解質電池において、
前記正極端子が、前記第一検出端子を兼ね、
前記第二検出端子は、前記容器と電気的に接続され、
前記第二検出端子と前記導電体とを接続する前記第二導線中には、前記第一導線、前記第二導線及び前記容器の電気抵抗よりも高い抵抗値の抵抗体が設けられている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解質電池において、
前記第一導線、前記第二導線及び前記導電体を有する導体ユニットを複数備え、
複数の前記導体ユニット毎の前記導電体は、融点が互いに異なっている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解質電池において、
少なくとも、前記予め定められた温度のときに、前記第一導線の前記導電体側の端と前記第二導線の該導電体側の端との間を離間させる離間力を発生する離間力発生手段を備えている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項6】
請求項5に記載の非水電解質電池において、
前記第一導線と前記第二導線とのうち、少なくとも一方の導線が、他方の導線の前記導電体側の端から離れる方向に弾性変形している弾性体であり、該弾性体である該少なくとも一方の導線が前記離間力発生手段を成す、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項7】
請求項5に記載の非水電解質電池において、
前記第一導線と前記第二導線とのうち、少なくとも一方の導線が、前記予め定められた温度で他方の導線の前記導電体側の端から離れる方向に変形する形状記憶合金で形成され、該形状記憶合金で形成されている該少なくとも一方導線が前記離間力発生手段を成す、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項8】
請求項5に記載の非水電解質電池において、
前記第一導線と前記第二導線との間に配置され、前記離間力を発生する弾性体を備え、
前記弾性体が前記離間力発生手段を成す、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項9】
請求項1から8に記載の非水電解質電池において、
前記導電体は、前記第一検出端子と前記第二検出端子とが並んでいる方向が長手方向を成し、該長手方向の長さが該第一検出端子と該第二検出端子との間の間隔以上であり、
前記導電体における前記長手方向の一方の端部に、前記第一導線の端が接続され、他方の端部に前記第二導線の端が接続されている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の非水電解質電池において、
複数の前記正の電極体と複数の前記負の電極体とは、絶縁性を有するセパレータを介して交互に重なり合って、正負の電極体の束を成し、前記導電体は、該正負の電極体の束の中に配置されている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の非水電解質電池において、
複数の前記正の電極体と複数の前記負の電極体とは、絶縁性を有するセパレータを介して交互に重なり合って、正負の電極体の束を成し、前記導電体は、該正負の電極体の束の外に配置されている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の非水電解質電池と、
前記第一検出端子と前記第二検出端子との間の電気抵抗の値を検知する抵抗値センサと、
前記非水電解質電池の動作を制御する制御器と、
を備え、
前記制御器は、前記抵抗値センサと接続され、該抵抗値センサが検知した前記第一検出端子と前記第二検出端子との間の電気抵抗の値が予め定められた値を超える場合には、当該非水電解質電池に温度異常があった旨を外部に送る、
ことを特徴とする電池システム。
【請求項1】
正負の電極体及び電解液が容器内に収容されている非水電解質電池において、
前記容器の外部に露出している第一及び第二検出端子と、
前記第一検出端子から前記容器内に延びる第一導線と、
前記第二検出端子から前記容器内に延びる第二導線と、
前記第一導線の端と前記第二導線の端とを電気的に接続する導電体と、
前記正負の電極体に対して、前記第一導線、前記第二導線及び前記導電体を絶縁する絶縁体と、
を備え、
前記導電体は、電池性能に影響がある温度として予め定められた温度で溶融する低融点金属である、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項2】
請求項1に記載の非水電解質電池において、
前記正の電極体に接続されている正極端子と、前記負の電極体に接続されている負極端子とのうち、一方の電極端子のみが前記第一検出端子と前記第二検出端子とのうちの一方の検出端子を兼ねる、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項3】
請求項2に記載の非水電解質電池において、
前記正極端子が、前記第一検出端子を兼ね、
前記第二検出端子は、前記容器と電気的に接続され、
前記第二検出端子と前記導電体とを接続する前記第二導線中には、前記第一導線、前記第二導線及び前記容器の電気抵抗よりも高い抵抗値の抵抗体が設けられている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解質電池において、
前記第一導線、前記第二導線及び前記導電体を有する導体ユニットを複数備え、
複数の前記導体ユニット毎の前記導電体は、融点が互いに異なっている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解質電池において、
少なくとも、前記予め定められた温度のときに、前記第一導線の前記導電体側の端と前記第二導線の該導電体側の端との間を離間させる離間力を発生する離間力発生手段を備えている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項6】
請求項5に記載の非水電解質電池において、
前記第一導線と前記第二導線とのうち、少なくとも一方の導線が、他方の導線の前記導電体側の端から離れる方向に弾性変形している弾性体であり、該弾性体である該少なくとも一方の導線が前記離間力発生手段を成す、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項7】
請求項5に記載の非水電解質電池において、
前記第一導線と前記第二導線とのうち、少なくとも一方の導線が、前記予め定められた温度で他方の導線の前記導電体側の端から離れる方向に変形する形状記憶合金で形成され、該形状記憶合金で形成されている該少なくとも一方導線が前記離間力発生手段を成す、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項8】
請求項5に記載の非水電解質電池において、
前記第一導線と前記第二導線との間に配置され、前記離間力を発生する弾性体を備え、
前記弾性体が前記離間力発生手段を成す、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項9】
請求項1から8に記載の非水電解質電池において、
前記導電体は、前記第一検出端子と前記第二検出端子とが並んでいる方向が長手方向を成し、該長手方向の長さが該第一検出端子と該第二検出端子との間の間隔以上であり、
前記導電体における前記長手方向の一方の端部に、前記第一導線の端が接続され、他方の端部に前記第二導線の端が接続されている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の非水電解質電池において、
複数の前記正の電極体と複数の前記負の電極体とは、絶縁性を有するセパレータを介して交互に重なり合って、正負の電極体の束を成し、前記導電体は、該正負の電極体の束の中に配置されている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一項に記載の非水電解質電池において、
複数の前記正の電極体と複数の前記負の電極体とは、絶縁性を有するセパレータを介して交互に重なり合って、正負の電極体の束を成し、前記導電体は、該正負の電極体の束の外に配置されている、
ことを特徴とする非水電解質電池。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の非水電解質電池と、
前記第一検出端子と前記第二検出端子との間の電気抵抗の値を検知する抵抗値センサと、
前記非水電解質電池の動作を制御する制御器と、
を備え、
前記制御器は、前記抵抗値センサと接続され、該抵抗値センサが検知した前記第一検出端子と前記第二検出端子との間の電気抵抗の値が予め定められた値を超える場合には、当該非水電解質電池に温度異常があった旨を外部に送る、
ことを特徴とする電池システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−174418(P2012−174418A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33497(P2011−33497)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】
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