説明

非透明微小空洞含有自己支持性フィルムの製造方法

i)線状ポリエステルマトリックスを提供するためにイソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が少なくとも0.02である本質的にテレフタレート、イソフタレートおよび脂肪族ジメチレンからなるモノマー単位を有する少なくとも一の線状ポリエステル;ガラス転移温度が前記線状ポリエステルマトリックスよりも高い少なくとも一の非晶性高分子および/または前記線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度よりも高い融点を有する少なくとも一の結晶性高分子;および任意で、無機不透明顔料、白色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、および着色剤からなる成分の群から少なくとも一の成分を、混練機または押出機内で混合する工程と;ii)工程i)で生成した混合物を厚いフィルムに形成して急冷する工程と;iii)厚いフィルムを、>4N/mmの延伸力で初期長の少なくとも2倍に長手方向に延伸する工程と;およびiv)工程iii)で長手方向に延伸されたフィルムを初期幅の少なくとも2倍に幅方向に延伸する工程を含む、非透明微小空洞含有自己支持性フィルムの製造方法;上述の方法にしたがって製造した、非透明微小空洞含有軸方向延伸フィルムの、合成紙としての使用;および上述の方法にしたがって製造した、非透明微小空洞含有軸方向延伸フィルムの、画像記録素子における使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非透明な微小空洞含有自己支持性フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許3755499は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、およびエチレンテレフタレートおよびエチレンイソフタレートのコポリマーからなる群から選択される線状ポリエステルと、ポリマー混合物に対して7から35重量%の混合率で混合される、ガラス転移点が前記線状ポリエステルよりも高い高分子であってポリメチルメタクリレート、アクリロニトリルおよびスチレンのコポリマー、アクリロニトリル、ブタジエンおよびスチレンのコポリマーからなる群から選択されるものとから本質的になる書き込み用の合成シートを開示し、前記合成シートは、該シートの凸凹した表面に核を構成するために前記高分子が前記線状ポリエステル中に均一に分散しているため表面のざらつきが非常に細かい。これら混合されたポリマー材料の同時および連続的な延伸は、通常85から95℃で、元の長さの2から3.5倍の延伸比率で行われ、シートはその最終用途に応じた書き込み易さおよび不透明度に調整されることが開示されている。米国特許3755499の発明の目的は、表面状態、不透明度および他の必要特性が向上された、書き込みおよび他の同様な目的のための合成シートの提供であると述べられている。米国特許3755499はさらに、混合される熱可塑性樹脂が、形成時に線状ポリエステル中に実質的に均一に混合および分散される限り、線状ポリエステルと相溶性を有しても有さなくてもよいこと、形成されたフィルムが、透明であるかどうかにかかわらず、延伸時に均一でマットな表面を実現し、このように得られたフィルムが熱収縮性があり、書き込み特性の点で許容可能であり、且つ適切な不透明度を有しうること、そして高温におけるフィルムサイズの安定性をさらに向上するために、線状ポリエステルの延伸温度以上、且つ混合熱可塑性樹脂および線状ポリエステルの融点以下の温度で熱処理されうることを開示している。実施例2は、100から105℃のガラス転移温度を有するアクリロニトリルおよびスチレンのコポリマーを、ポリエチレンテレフタレートと7および35重量%の濃度で混合すること、およびTダイからの溶融押出により150μm厚のフィルム試料を形成することを例示している。これらのフィルムシートは次いで、二軸延伸機により、85℃で、長手方向および幅方向にフィルムの元の長さの2倍の延伸比率で同時に延伸され、また、85℃で、長手方向へ3倍および幅方向へ3倍に同時二軸延伸もされた。結果として得られたフィルムは、以下の特性を有すると報告されている:


米国特許3755499は、無機不透明顔料の添加の影響、またはここで開示された不透明微小空洞含有フィルムへの像様過熱の影響を明らかにできていない。
【0003】
欧州特許公開0606663は、無機不活性顔料を含有する反射写真材料用の不透明なポリエステルコポリマー支持体の製造方法を開示し、前記ポリエステルは主な繰り返し単位としてエチレンテレフタレート単位を含み、前記方法は示した順序で以下の工程:テレフタル酸およびエチレングリコールをビス(β-ヒドロキシ-エチル)テレフタレートまたはそのオリゴマーを供してエステル化工程を実行するか、またはジメチルテレフタレートおよびエチレングリコールを供してエステル交換を実行する工程、徐々に低下する真空状態での重縮合、得られたポリマーを粒状化した後に顆粒を乾燥させて押出機に送るか、または得られたコポリマーを溶融状態で押出機に直接送る工程、ポリマーをシート状に押し出す工程、結果として得られたシートを急冷部材で急冷し固める工程、シートを二軸延伸する工程、二軸延伸されたフィルムをアニールする工程を含み、テレフタル酸またはジメチルテレフタレートがそれぞれ、別の芳香族ジカルボン酸または別の芳香族ジカルボン酸のジメチルエステルで置換され、および/またはエチレングリコールが別のジオールで置換され、前記置換がエチレングリコールおよびテレフタル酸またはジメチルテレフタレートのそれぞれに対して最大20モル%に達することを特徴とする。欧州特許公開0606663は、好適な実施態様として、ポリエステルコポリマーが、エチレングリコールと、最大20モル%までの量がイソフタル酸で置換されたテレフタル酸かまたは最大20モル%までの量がジメチルイソフタレートで置換されたジメチルテレフタレートとの重縮合反応生成物であることを開示している。
【0004】
欧州特許公開0654503は、50から97重量%の線状ポリエステルと3から50重量%のスチレン含有ポリマーとのポリマーブレンドから作られた造形品を開示し、ここでパーセンテージはポリエステルとスチレン含有ポリマーの合計に関連する。欧州特許公開0654503はまた、ポリエステルが少なくとも80重量%のポリエチレンテレフタレートを含有し、および最大20重量%のポリエチレンイソフタレートを含有してよく、実施例7においては85重量%のポリエステルと15重量%のABS2の混合を例示しており、該ポリエステルは94重量%のポリエチレンテレフタレートと6重量%のポリエチレンイソフタレートの混合からなる。
【0005】
欧州特許公開1291155は、一軸配向PETベースフィルム;およびPETベースフィルムに塗布された被膜からなるエンボス加工可能な被覆ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを開示し、ここで被膜およびPETベースフィルムは、複合材として幅方向に延伸されており、前記被膜は前記幅方向への延伸時にPETベースフィルムの表面部分に樹脂含浸しており、そのためフィルム表面部分はエンボス加工可能である。欧州特許公開1291155はまた、PETベースフィルムが共押出され、少なくとも2つの層を形成することを開示しており、実施例4および5において、約18%のイソフタル酸および82%のテレフタル酸のモル比を有するイソフタル酸コテレフタル酸ランダムコポリエステルコポリマーからなる共押出コポリエステル層が記載されている。
【0006】
先行技術の非透明微小空洞含有軸方向延伸フィルムは、不十分な不透明度および寸法安定性または十分な寸法安定性の欠如および不十分な不透明度を課題としている。さらに、特定の用途では、非透明微小空洞含有軸方向延伸フィルムの白色度が不十分であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
これまで、本出願人が承知している先行技術文献は以下のとおりである:
【特許文献1】1973年8月28日公開の米国特許3755499
【特許文献2】1994年7月20日公開の欧州特許公開0606663
【特許文献3】1995年5月24日公開の欧州特許公開0654503
【特許文献4】2003年3月12日公開の欧州特許公開1291155
【特許文献5】1994年3月3日公開の国際公開94/04961
【特許文献6】1992年10月20日公開の米国特許5156709
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明の態様は、改良された非透明微小空洞含有軸方向延伸フィルムを提供することである。
【0009】
よって、本発明のさらなる態様は、改良された非透明微小空洞含有軸方向延伸フィルムの製造方法を提供することである。
【0010】
よって、本発明の態様はまた、非透明微小空洞含有軸方向延伸フィルムにおける透かしパターン形成方法を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる態様および利点は後述から明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本質的にテレフタレート、イソフタレートおよび脂肪族ジメチレンのモノマー単位からなる連続相線状ポリエステルマトリックスを有し、および、ガラス転移温度が前記線状ポリエステルマトリックスよりも高い少なくとも一の非晶性高分子および/または融点が前記線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度よりも高い少なくとも一の結晶性高分子を均一に分散した状態で有する、白色で、微小空洞を含有し、非透明で、自己支持性の、且つ二軸延伸されたフィルムが、驚くことに、線状ポリエステルマトリックス中のテレフタレートモノマー単位に対するイソフタレートモノマー単位のモル比が少なくとも0.02である線状ポリマーマトリックスを使用すること、および>4N/mmの延伸力で押出物を長手方向に延伸することによって、より高い光学濃度、つまりより高い不透明度を持たせて製造できることが発見された。
【0013】
本発明の態様は、i)線状ポリエステルマトリックスを提供するためにイソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が少なくとも0.02である本質的にテレフタレート、イソフタレートおよび脂肪族ジメチレンからなるモノマー単位を有する少なくとも一の線状ポリエステル;ガラス転移温度が前記線状ポリエステルマトリックスよりも高い少なくとも一の非晶性高分子および/または前記線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度よりも高い融点を有する少なくとも一の結晶性高分子;および任意で、無機不透明顔料、白色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、および着色剤からなる成分の群から少なくとも一の成分を、混練機または押出機内で混合する工程と;ii)工程i)で生成した混合物を厚いフィルムに形成して急冷する工程と;iii)厚いフィルムを、>4N/mmの延伸力で初期長の少なくとも2倍に長手方向に延伸する工程と;およびiv)工程iii)で長手方向に延伸されたフィルムを初期幅の少なくとも2倍に幅方向に延伸する工程を含む、非透明微小空洞含有自己支持性フィルムの製造方法によって実現される。
【0014】
本発明の態様はまた、i)線状ポリエステルマトリックスを提供するためにイソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が少なくとも0.02である本質的にテレフタレート、イソフタレートおよび脂肪族ジメチレンからなるモノマー単位を有する少なくとも一の線状ポリエステル;ガラス転移温度が前記線状ポリエステルマトリックスよりも高い少なくとも一の非晶性高分子および/または前記線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度よりも高い融点を有する少なくとも一の結晶性高分子;および任意で、無機不透明顔料、白色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、および着色剤からなる成分の群から少なくとも一の成分を、混練機または押出機内で混合する工程と;ii)工程i)で生成した混合物を厚いフィルムに形成して急冷する工程と;iii)厚いフィルムを、>4N/mmの延伸力で初期長の少なくとも2倍に長手方向に延伸する工程と;およびiv)工程iii)で長手方向に延伸されたフィルムを初期幅の少なくとも2倍に幅方向に延伸する工程を含む方法によって製造された非透明微小空洞含有二軸延伸自己支持性フィルムへの加圧により随意に補助される像様加熱工程を含む、透かしパターン(透明パターン)形成方法によって実現される。
【0015】
本発明の態様はまた、上述の方法にしたがって製造した非透明微小空洞含有自己支持性フィルムの、合成紙としての使用によって実現される。
【0016】
本発明の態様はまた、上述の方法にしたがって製造した非透明微小空洞含有自己支持性フィルムの、画像記録素子における使用によって実現される。
【0017】
本発明の好適な実施態様は、本発明の詳細な説明に開示する。
【0018】
本発明の詳細な説明
定義
本発明の開示において使用される用語「空洞」または「微小空洞」は、例えばポリエステルマトリックスと混合しない粒子に起因する空洞誘発粒子の結果として延伸中に配向ポリマーフィルムに形成されうるマイクロセル、微小クローズドセル、キャビティ、気泡、または細孔または多孔を意味する。空洞または微小空洞は、空気または何らかの気体で満たされていてもいなくてもよい。空洞または微小空洞は、最初は何も満たされていなくても、経時的に空気または何らかの気体で満たされることとなってもよい。
【0019】
用語「不透明」は、ASTM D589−97にしたがって、またはTAPPI,360 Lexington Avenue,New York,USA公開の不透明度試験T425m−60にしたがって決定される、可視光に対する不透明度のパーセンテージが90%を超えることを意味する。
【0020】
本発明の開示において使用される用語「フィルム」は、特定の組成を持つ押出シート、または互いに接触する同一または異なる複数の組成物を有する液体の共押出によって製造される、同一または異なる複数の組成物を有する多数のフィルムからなるシートである。本開示において用語「フィルム」および「ホイル」は同じ意味で用いられる。
【0021】
本発明の開示において使用される用語「線状ポリステル」は、炭化水素ジメチレンおよびジカルボキシレートモノマー単位を含むポリエステルを意味する。
【0022】
本発明の開示において使用される用語「泡」は、多くの気泡を液体または固体に閉じ込めることにより形成される物質を意味する。
【0023】
本発明の開示において使用される用語「線状ポリエステル中のジメチレン脂肪族モノマー単位」は、ジメチレン脂肪族ジオールまたはそのエーテルに由来するモノマー単位を意味し、ここで用語「脂肪族」は脂環式を包含する。
【0024】
本発明の開示において使用される用語「濃度(密度)」は、直径3mmのボールチップを有する誘導プローブと接触して測定した厚さを有する100mm×100mmのフィルム片の重さを、その体積で割ったものを意味する。この値は、フィルム片の表面が平らで、互いに平行であることを前提とする。この値は、欧州特許公開0496323および国際公開2005/105903で報告されている見かけ密度に相当する。
【0025】
本発明の開示において使用される用語「無機不透明顔料」は、少なくとも1.4の屈折率を持つ実質的に白色の無機顔料、およびポリマー中に分散して微小空洞化により延伸時に不透明性を生じさせることができる顔料を含む、不透明化する(より不透明にする)ことができる顔料を意味する。
【0026】
本発明の開示において使用される用語「白色剤」は、大気紫外線の影響下で青色に発光する白色/無色の有機化合物を意味する。
【0027】
本発明の開示において使用される用語「支持体(支持)」は、「自己支持性材料」を意味し、分散溶液として支持体上に被覆、蒸発またはスパッタされうるがそれ自体は自己支持性がない「層」と区別される。また、任意の導電面層、および接着に必要な何らかの処理または接着を補助するために付けられる層も含む。
【0028】
本発明の開示において使用される用語「連鎖重合ブロック」は、縮合ポリマーを除き、ブロックコポリマーまたはグラフトコポリマー中のブロックであるかまたは単に連鎖重合ポリマー鎖でありうる連鎖重合ポリマー鎖を意味する。
【0029】
本発明の開示において使用される用語「重ね刷り可能」は、従来のインパクトおよび/またはノンインパクト印刷工程で重ね刷り可能であることを意味する。
【0030】
本発明の開示において使用される用語「従来の印刷工程」は、インクジェット印刷、凹版印刷、スクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、スタンプ印刷、グラビア印刷、染料転写印刷、昇華型熱転写印刷、およびレーザー誘起熱転写法を含むが、これらに限定されない。
【0031】
本発明の開示において使用される用語「パターン」は、任意の形状の線、四角、円、または何らかの不揃いな形状であってよい非連続的な層を意味する。
【0032】
本発明の開示において使用される用語「層」は、例えば支持体と称されるものの全域を覆う(連続的な)被覆を意味する。
【0033】
本発明の開示において使用される用語「非透明フィルム」は、透明な画像に十分なコントラストを与えて該画像を明瞭に認識可能にすることができるフィルムを意味する。非透明フィルムは「不透明なフィルム」であってよいが、半透明性が全く残っていない、つまり光がフィルムを通過しないという意味で完全に不透明である必要はない。マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて測定される透過光学濃度が、フィルムの非透明度の尺度を提供することができる。ISO2471は紙の裏当ての不透明度に関し、一枚の紙が下にある同様の紙上の印刷物を目視できなくする度合いに影響する紙の特性に関連する場合に適用可能で、「パーセンテージで表される、黒い裏当てを有する一枚の紙の視感反射係数の、白い反射裏当てを有する同一サンプルの本来の視感反射係数に対する比」として不透明度を定義するものである。例えば80g/mのコピー用紙は白色、非透明で、ISO5−2に準拠してマクベスTR924を用いて黄色フィルタを介して測定したとき0.5の光学濃度を有し、金属蒸着フィルムは典型的に2.0から3.0の光学濃度を有する。
【0034】
本発明の開示において使用される用語「透過」は、入射する可視光の50%を拡散させることなく伝達(透過)し、好適には入射する可視光の70%を拡散させることなく伝達する特性を有することを意味する。
【0035】
本発明の開示において使用される用語「可撓」は、例えば損傷されることなくドラムなどの湾曲した物体の湾曲に沿うことができることを意味する。
【0036】
本発明の開示において使用される用語「着色剤」は、染料および顔料を意味する。
【0037】
本発明の開示において使用される用語「染料」は、適切な周囲条件下において、添加した媒質中で10mg/L以上の溶解度を有する着色剤を意味する。
【0038】
本発明の開示において使用される用語「顔料」は、DIN55943(参照により本明細書に組み込む)において、適切な周囲条件下で分散媒質中に実質的に不溶性であり、よって該媒質中で10mg/L以下の溶解度を有する、無機または有機で有彩または無彩の着色物質として定義されている。
【0039】
非透明微小空洞含有フィルムの製造方法
本発明の態様は、i)線状ポリエステルマトリックスを提供するためにイソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が少なくとも0.02である本質的にテレフタレート、イソフタレートおよび脂肪族ジメチレンからなるモノマー単位を有する少なくとも一の線状ポリエステル;ガラス転移温度が前記線状ポリエステルマトリックスよりも高い少なくとも一の非晶性高分子および/または前記線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度よりも高い融点を有する少なくとも一の結晶性高分子;および任意で、無機不透明顔料、白色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、および着色剤からなる成分の群から少なくとも一の成分を、混練機または押出機内で混合する工程と;ii)工程i)で生成した混合物を厚いフィルムに形成して急冷する工程と;iii)厚いフィルムを、>4N/mmの延伸力で初期長の少なくとも2倍に長手方向に延伸する工程と;およびiv)工程iii)で長手方向に延伸されたフィルムを初期幅の少なくとも2倍に幅方向に延伸する工程を含む、非透明微小空洞含有自己支持性フィルムの製造方法によって実現される。
【0040】
本発明の当該方法の第一の実施態様によると、ポリマーフィルム中の均一に分散した少なくとも一の非晶性高分子および/または少なくとも一の結晶性高分子の濃度は、5から35重量%、好ましくは9から25重量%である。
【0041】
本発明の当該方法の第二の実施態様によると、線状ポリエステルの、該ポリエステル中に分散した少なくとも一の非晶性ポリマーおよび/または少なくとも一の結晶性高分子に対する重量比は、1.85:1から19.0:1の範囲、好ましくは2.7:1から13:1の範囲、特に好ましくは3.0:1から10:1の範囲である。
【0042】
本発明の当該方法の第三の実施態様によると、連続相に分散した非晶性高分子粒子または結晶性高分子粒子は、10μm以下の直径を有し、0.5から5μmの数平均粒子サイズを有する粒子が好適であり、1から2μmの平均粒子サイズを有する粒子が特に好適である。
【0043】
本発明の当該方法の第4の実施態様によると、フィルムは、ポリエチレンオキシドといったポリエーテルを含まない。こういったポリエーテルは、密度を低くし、分解してさらなる不均一に分散した空洞を形成しうる。
【0044】
本発明の当該方法の第5の実施態様によると、フィルムは、少なくとも一の英数字、エンボスパターン、任意でエンボス加工されたホログラム、および連続、網掛けまたはデジタル画像が付与されている。
【0045】
本発明の当該方法の第6の実施態様によると、フィルムは、少なくとも一方の面に、透明な重ね刷り可能な層、つまりインパクトまたはノンインパクト印刷に適した層が設けられている。この透明な重ね刷り可能な層は、非透明微小空洞含有軸方向延伸自己支持性フィルムの表面上の少なくとも一の英数字、エンボスパターン、任意でエンボス加工されたホログラム、および連続、網掛けまたはデジタル画像の上に設けられる。
【0046】
本発明の当該方法の第7の実施態様によると、フィルムは、少なくとも一方の面に、透明化可能で多孔質の重ね刷り可能な層、つまりインパクトまたはノンインパクト印刷、例えばインクジェット印刷に適した層が設けられている。適切な屈折率を有する液体を塗布することによって(像通りに塗布することもできる)透明化される透明化可能な多孔質層が、欧州特許公開1362710および欧州特許公開1398175に開示されている。この透明化可能で重ね刷り可能な層は、透かしパターンを有する非透明微小空洞含有軸方向延伸自己支持性フィルムの表面上の少なくとも一の英数字、エンボスパターン、任意でエンボス加工されたホログラム、および連続、網掛けまたはデジタル画像の上に設けられる。
【0047】
透明化可能な多孔質の受け層の一部の透明化それ自体が画像を形成することができるか、あるいは透明な多孔質の受け層の透明化されていない領域それ自体が画像を表すことができる。透かしパターンは例えば、紙幣、株券、チケット、クレジットカード、身分証明書、または手荷物や荷物のラベルの一部であってよい。
【0048】
本発明の当該方法の第8の実施態様によると、ポリマーフィルムは、約10μmから約500μm、好適には約50μmから約300μmの厚さを有する。
【0049】
本発明の当該方法の第9の実施態様によると、ポリマーフィルムには下引層が設けられる。当該下引層により、ポリマーフィルムの湿潤性および接着性を向上することができ、当該層は好ましくはポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ(エステルウレタン)樹脂、またはアクリル樹脂を含む。
【0050】
急冷され押出された厚いフィルムは、約10から約6000μm、好適には約100から約5000μmの厚さを有する。
【0051】
本発明による二軸延伸ポリマーフィルムは、第一の方向(例えば機械の方向=MD)への第一の延伸と、その後の第二の方向(例えば機械の方向と直交する方向=TD(幅方向))への延伸によって実現される。これがポリマー鎖を配向し、よって密度および結晶化度を高める。直線押出速度V1に対する回転ローラーの表面速度V2を、延伸比率がV2/V1となるように設定することにより、2つのロールを所望の延伸比率に対応する異なる速度で走らせることで、押出方向における長手方向への配向が実行できる。長手方向の延伸比率は、空洞を形成するのに十分でなくてはならない。
【0052】
一軸および二軸配向ポリエステルフィルムを製造するために当業者に知られている長手方向への延伸作業が用いられうる。例えば、組み合わせフィルム層を、延伸が起こる領域でポリエステルのガラス転移温度(ポリエチレンテレフタレートの場合は約80℃、およびポリエチレンイソフタレートの場合は約60℃)を超える温度まで層を加熱する一組の赤外線ヒーターの間を通過させる。上述の温度は、不透明度を向上するために連続相ポリマーのガラス転移温度に近くなくてはならない。ポリエチレンテレフタレートの場合、長手方向の延伸は通常、約80から約140℃で実行される。長手方向への延伸で、空洞が、分散したポリマーの各粒子から長手方向に延伸するフィルムに形成された結果、不透明度が実現される。
【0053】
幅方向への延伸は、長手方向への延伸方向に対して実質的に90°の角度、典型的には約70から90°の角度で実行される。横への配向には通常、フィルムの両端をつかみ、次いで、例えばフィルムをガラス転移温度を超える温度に加熱する熱風ヒーターを通過させて下塗り層が上に載った組み合わせ層を加熱することによって両側方に引っ張る、適切なテンターフレームが用いられる。ポリエチレンテレフタレートおよびそのコポリマーの場合、幅方向の延伸は、約80から約140℃、好ましくは約85から約150℃で実行される。フィルムを幅方向に延伸することで、空洞が幅方向に延伸する。
【0054】
本発明による二軸延伸ポリマーフィルムの製造は、厚いフィルムを、>4.0N/mmの延伸張力で初期長の少なくとも2倍に長手方向に延伸し、その後急冷を挟んで、この長手方向の延伸に続いて、好ましくは連続相のガラス転移温度を30℃以下、特に好ましくは20℃以下超える温度で、好ましくは>4.0N/mmの延伸張力で初期幅の少なくとも3倍に、第一の延伸工程に対して実質的に90°の角度に幅方向に延伸することによってなされる。
【0055】
本発明の当該方法の第10の実施態様によると、長手方向の延伸力は、>5.0N/mm、好ましくは>6.0N/mm、特に好ましくは>7.0N/mmである。
【0056】
本発明の当該方法の第11の実施態様によると、幅方向の延伸力は、>4.0N/mm、好ましくは>5.0N/mm、特に好ましくは>6.0N/mm、さらに好ましくは>7.0N/mmである。
【0057】
本発明の当該方法の第12の実施態様によると、長手方向の延伸温度は、線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度を40℃以下超え、好ましくは30℃以下超え、特に好ましくは20℃以下越える。
【0058】
本発明の当該方法の第13の実施態様によると、幅方向の延伸温度は、線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度を40℃以下超え、好ましくは30℃以下超え、特に好ましくは20℃以下越える。
【0059】
長手方向および幅方向の延伸は、例えばBruckner社製の装置を用いて同時に行われてもよい。
【0060】
長手方向の延伸の延伸比率は、好適には約2から約6、好ましくは約2.5から約5、特に好ましくは約3から約4である。延伸比率が高いほど、不透明度が高くなる。
【0061】
本発明の当該方法の第14の実施態様によると、長手方向の延伸比率は、少なくとも2.5、好ましくは少なくとも3.0である。
【0062】
幅方向の延伸比率は、好適には約2から約6の範囲、好ましくは約2.5から約5の範囲、特に好ましくは約3から約4の範囲である。不透明度は、延伸速度%/分が高いほど、また幅方向の延伸温度が低いほど高くなる。
【0063】
本発明の当該方法の第15の実施態様によると、幅方向の延伸比率は、少なくとも2.5、好ましくは少なくとも3.0である。
【0064】
当該製造方法はさらに、収縮に対抗するためにさらなる工程として熱固定工程を含む。例えば、二軸延伸フィルムを、フィルム層をヒートセットまたはサーモフィックスするために140から240℃の熱風をフィルム層に吹き付ける第二の熱風ヒーターセットを通過させる。ヒートセット温度は、ポリエステルの結晶化を得るのに十分でなくてはならないが、空洞が潰れる可能性があるので層を熱し過ぎないように気を付けなければならない。一方、ヒートセット温度を高くすることにより、フィルムの寸法安定性が向上する。ヒートセット温度を変えることで適度に折衷した特性が得られる。ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートの場合の好適なヒートセットまたはサーモフィックス温度は140℃以上である。
【0065】
長手方向の延伸の前または後に、下塗層と呼ばれる第一の下引層が、エアーナイフコーティングシステムといった被覆手段によって無空洞ポリエステル層に付着されうる。第一の下引層は例えば、(メタ)アクリレートコポリマー、ポリ(メタ)アクリレート、ポリウレタン、スルホン化ポリエステル、スチレン-(メタ)アクリレートコポリマー、または塩化物含有コポリマー、例えば水分散液として加えられる共重合不飽和カルボン酸の存在により何らかの親水性官能基を有するラテックスの形態の塩化ビニリデンコポリマーから形成される。
【0066】
本発明の当該方法の第16の実施態様によると、フィルムは気泡を含まない。
【0067】
本発明の当該方法の第17の実施態様によると、フィルムは発泡剤および/または発泡剤の分解生成物を含まない。
【0068】
微小空洞によるフィルムの光学濃度(OD)
可視フィルタを用いて透過率で測定される微小空洞によるフィルムの光学濃度は、比較値を提供するためにフィルムの厚さの関数として空洞形成成分を含まないフィルムの光学濃度を測定することで得られる。次いで、空洞(形成)による、可視フィルタを用いて透過率で測定されるフィルムの光学濃度(の差異)が、空洞誘発成分が添加された組成物を二軸延伸することと、長手方向および幅方向の引き伸ばし比率に基づいて予想されるフィルムの厚さに関する、空洞誘発成分を含まないフィルム組成物について可視フィルタを用いて透過率で測定される光学濃度から、可視フィルタを用いて透過率で測定される光学濃度を減算することとによって得られる。
【0069】
線状ポリエステル
本発明の当該方法の第18の実施態様によると、テレフタレートモノマー単位に対するイソフタレートモノマー単位のモル比は、少なくとも0.04、好適には少なくとも0.05、特に好適には少なくとも0.065、さらに好適には少なくとも0.075である。
【0070】
本発明の当該方法の第19の実施態様によると、テレフタレートモノマー単位に対するイソフタレートモノマー単位のモル比は、少なくとも0.11、好適には少なくとも0.13、特に好適には少なくとも0.15である。
【0071】
本発明の当該方法の第20の実施態様によると、テレフタレートモノマー単位に対するイソフタレートモノマー単位のモル比は、少なくとも0.17、好適には少なくとも0.20、特に好適には少なくとも0.25である。
【0072】
本発明の当該方法の第21の実施態様によると、テレフタレートモノマー単位に対するイソフタレートモノマー単位のモル比は、0.50以下、好適には0.45以下、特に好適には0.30以下である。
【0073】
本発明の当該方法の第22の実施態様によると、線状ポリエステルの数平均分子量は10,000から30,000である。
【0074】
適切な脂肪族ジメチレンとしては例えば、エチレン、プロピレン、メチルプロピレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ネオペンチレン[-CHC(CH-CH]、1,4-シクロヘキサン-ジメチレン、1,3-シクロヘキサン-ジメチレン、1,3- シクロペンタン-ジメチレン、ノルボルナン-ジメチレン、-CHCH-(OCHCH)-、ここでnは好ましくは1から5の整数である、およびその混合物が挙げられる。
【0075】
本発明の当該方法の第23の実施態様によると、脂肪族ジメチレンモノマー単位はエチレン、テトラメチレン、ネオペンチレン、ノルボルナン-ジメチレン、および1,4-シクロヘキサン-ジメチレンからなる群から選択される。
【0076】
本発明の当該方法の第24の実施態様によると、脂肪族モノマー単位は、エチレン単位およびネオペンチレンおよび/または1,4-シクロヘキサンジメチレン単位からなり、エチレンモノマー単位に対するネオペンチレンおよび/または1,4-シクロヘキサンジメチレンモノマー単位のモル比は、少なくとも0.02、好ましくは少なくとも0.04、特に好ましくは少なくとも0.065である。
【0077】
本発明の当該方法の第25の実施態様によると、線状ポリエステルは、少なくとも2の線状ポリエステル樹脂を含む。加熱時、例えば押出機での混合中、存在する異なる線状芳香族ポリエステル樹脂は、十分に長い加熱により単一樹脂へと転じるようにメタセシス、縮合および脱凝縮を受ける。
【0078】
こういったポリエステルは、当該技術分野でよく知られており、例えば米国特許2465319および米国特許2901466に記載のような周知の技術で製造されうる。
【0079】
本発明の当該方法の第26の実施態様によると、ポリマーフィルムはさらに、導電率高上添加剤、例えば溶融してイオン化し導電率を高める金属塩、例えば酢酸マグネシウム、マンガン塩、および硫酸コバルトを含む。適切な塩濃度は、約3.5×10−4モル/モルポリエステルである。ポリエステル溶融粘度を高めることで、押出物を冷却するために5から25℃(好ましくは15から30℃)の温度に維持される冷却ローラー上によりよく溶融物を固定することができ、それによってより高い延伸力を実現することが可能となり、したがって空洞形成を向上させ混濁化の度合いを高めることができる。
【0080】
本発明で用いられる線状ポリエステルは、40℃から150℃、好ましくは50℃から120℃のガラス転移温度を有するべきで、且つ配向可能でなくてはならない。
【0081】
本発明の当該方法の第27の実施態様によると、線状ポリエステルは、25℃の60重量%フェノールおよび40重量%オルト-ジクロロベンゼンの0.5g/dL溶液中で決定される固有粘度が少なくとも0.45dl/g、好ましくは0.48から0.9dl/g、特に好ましくは0.5から0.8dl/gである。
【0082】
非晶性高分子
本発明で用いられるポリマーフィルムで使用される非晶性高分子は、それが分散する、例えば線状ポリエステルなどの連続相のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する。例えばポリ(エチレンテレフタレート)は、約80℃のガラス転移温度を有する。
【0083】
様々な非晶性高分子のガラス転移温度および屈折率を以下の表に示す:

【0084】
本発明の当該方法の第28の実施態様によると、均一に分散した非晶性高分子は架橋しているか、または架橋していない。
【0085】
本発明の当該方法の第29の実施態様によると、非晶性高分子は少なくとも一の連鎖重合ブロックを含む。
【0086】
本発明の当該方法の第30の実施態様によると、非晶性高分子は少なくとも一の連鎖重合ブロックを含み、該少なくとも一の連鎖重合ブロックは、ポリスチレン、スチレンコポリマー、SAN-ポリマー、ポリアクリレート、アクリレート-コポリマー、ポリメタクリレート、およびメタクリレート-コポリマーからなる群から選択される。
【0087】
本発明の当該方法の第31の実施態様によると、非晶性高分子は、SAN-ポリマー、ABS-ポリマー、およびSBS-ポリマーからなる群から選択された少なくとも一の連鎖重合スチレンコポリマーブロックを含む。
【0088】
本発明の当該方法の第32の実施態様によると、非晶性高分子は少なくとも一の連鎖重合SAN-ポリマーを含み、ここでSAN-ポリマーのAN-モノマー単位の濃度は15から35重量%である。
【0089】
本発明の当該方法の第33の実施態様によると、非晶性高分子はセルロースエステルを含まない。
【0090】
本発明の当該方法の第34の実施態様によると、非晶性高分子は少なくとも部分的に架橋しており、例えば少なくとも部分的に架橋したポリ(メチルメタクリレート)、または少なくとも部分的に架橋したアクリロニトリルおよびスチレンのコポリマーである。
【0091】
本発明の当該方法の第35の実施態様によると、フィルムは連続相として線状ポリエステルを有し、そこには少なくとも10%の架橋度を有する高分子が分散している。
【0092】
本発明の当該方法の第36の実施態様によると、非晶性高分子はSANポリマーであり、当該SANポリマーの濃度は、好適にはフィルムの少なくとも5重量%、特に好適にはフィルムの少なくとも10重量%である。
【0093】
本組成物のSANポリマー添加剤は、スチレンおよびα-低級アルキル置換スチレンまたはその混合物を含むスチレンモノマー成分と、アクリロニトリルおよびα-低級アルキル置換アクリロニトリルまたはその混合物を含むアクリロニトリルモノマー成分とのランダムコポリマーから本質的になる周知の種類のポリマーである。低級アルキルは、メチル、エチル、イソプロピルおよびt-ブチル基などの1から4炭素原子の直鎖または分枝鎖アルキル基を意味する。容易に入手できるSANポリマーにおいて、スチレン成分は通常、スチレン、α-直鎖アルキル置換スチレン、典型的にα-メチル-スチレン、またはその混合物であり、スチレンが好ましい。同様に容易に入手できるSANポリマーにおいて、アクリロニトリル成分は通常、アクリロニトリル、α-メチル-アクリロニトリル、またはその混合物であり、アクリロニトリルが好ましい。
【0094】
SANポリマーにおいて、スチレン成分は、スチレン成分とアクリロニトリル成分の総合重量に基づく重量の大部分を占め、つまり50%を超える重量割合、典型的には約65%から約90%、特に約70%から約80%の重量割合を占める。アクリロニトリル成分は、スチレン成分とアクリロニトリル成分の総合重量に基づく重量の小部分を占め、つまり50%以下の重量割合、典型的には約10%から約35%、特に約20%から約30%の重量割合を占める。アクリロニトリル含有量が15から35重量%、好適には18から32重量%、特に好適には21から30重量%のスチレン-アクリロニトリルコポリマーが現在商業的に入手可能である。
【0095】
SANポリマーの種類は、1976年10月26日公開のR. E. Gallagher, 米国特許番号3988393(特にコラム9, 14-16行および請求項8)、「Whittington’s Dictionary of Plastics」, Technomic Publishing Co., First Edition, 1968, 231ページ, セクション見出し「Styrene-Acrylonitrile Copolymers (SAN)」、およびR. B. Seymour, 「Introduction to Polymer Chemistry」, McGraw-Hill, Inc., 1971, 200ページ(最後の2行から201ページ(1行目)で特に同定および記載されている。スチレンおよびアクリロニトリルの共重合によるSANポリマーの調製は特に「Encyclopedia of Polymer Science and Technology」, John Wiley and Sons, Inc., Vol. 1, 1964, 425-435ページに記載されている。
【0096】
本発明の当該方法の第37の実施態様によると、非晶性高分子は、30,000から100,000の範囲、好ましくは40,000から80,000の範囲の数平均分子量を有する非架橋SANポリマーである。典型的なSANポリマーは、45,000から60,000の数平均分子量と1.2から2.5のポリマー分散度(M/M)を有する。
【0097】
本発明の当該方法の第38の実施態様によると、非晶性高分子は、50,000から200,000の範囲、好ましくは75,000から150,000の範囲の重量平均分子量を有する非架橋SANポリマーである。SANポリマーの分子量が高くなるほど、分散したSANポリマーの粒子サイズは大きい。
【0098】
結晶性高分子
本発明のポリマーフィルムで使用される結晶性高分子は、例えば線状ポリエステルなどそれが分散する連続相のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する。融点が十分に高い結晶性高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリ(4-メチル-1-ペンテン)が挙げられる。
【0099】
本発明の当該方法の第39の実施態様によると、フィルムは連続相として線状ポリエステルを有し、そこには0.5から5μm、好ましくは1から2μmの数平均粒子サイズの結晶性高分子粒子が分散している。
【0100】
様々なポリエチレンおよびポリプロピレンの融点および屈折率を以下の表に示す:

【0101】
無機不透明顔料
本発明の当該方法の第40の実施態様によると、フィルムはさらに、シリカ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、リン酸アルミニウム、および粘土からなる群から選択される少なくとも一の無機不透明顔料を含む。二酸化チタンは、アナターゼまたはルチル形態を有してよく、および酸化アルミナまたは二酸化シリコンで安定化されてよい。リン酸アルミニウムは、非晶性中空顔料、例えばBUNGE社のBiphorTM顔料であってよい。
【0102】
これらの顔料の屈折率を以下の表に示す:

【0103】
本発明の当該方法の第41の実施態様によると、フィルムは≦5重量%の無機不透明顔料を含有する、つまり種類にかかわらず存在する無機不透明顔料の総量は≦5重量%、好ましくは≦3重量%である。
【0104】
本発明の当該方法の第42の実施態様によると、フィルムはさらに、0.1から10μm、好ましくは0.2から2μmの数平均粒子サイズを有する無機不透明顔料を含有する。
【0105】
無機不透明顔料の添加は、ポリエステルの配向を安定化する利点を有し、これにより非透明微小空洞含有軸方向延伸自己支持性フィルムを、その不透明度に実質的に影響することなく175℃で安定化できる。BaSOまたはTiOなど無機不透明顔料の存在なしでポリエステルのサーモフィックスは可能であるが、ただし非透明微小空洞含有軸方向延伸自己支持性フィルムの不透明度はいくらか犠牲になる。さらに、屈折率が2.0より低い顔料は、顔料およびポリエステルマトリックス間の屈折率の差が小さいため、それ自体で十分な不透明度を提供しない。
【0106】
ポリマーフィルム中に分散した二酸化チタン粒子は、フィルム延伸時に微小空洞を誘発しないことがわかっている。
【0107】
白色剤
本発明の当該方法の第43の実施態様によると、白色剤の濃度は、≦0.5重量%、好適には≦0.1重量%、特に好適には≦0.05重量%、さらに好適には≦0.035重量%である。
【0108】
本発明の当該方法の第44の実施態様によると、フィルムはさらに、ビス-ベンゾオキサゾール、例えばビス-ベンゾオキサゾリル-スチルベンおよびビス-ベンゾオキサゾリル-チオフェン;ベンゾトリアゾール-フェニルクマリン;ナフトトリアゾール-フェニルクマリン;トリアジン-フェニルクマリン、およびビス(スチリル)ビフェニルからなる群から選択される白色剤を含有する。
【0109】
適切な白色剤は:

【0110】
難燃剤
本発明の当該方法の第45の実施態様によると、フィルムはさらに、臭素化化合物;有機リン酸化合物;メラミン;メラミン誘導体、例えば、ホウ酸、シアヌル酸、リン酸またはピロ/ポリ-リン酸などの有機または無機酸を有するメラミン塩、およびメラム、メレムおよびメロンなどのメラミン同族体;金属水酸化物、例えば水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウム;ポリリン酸アンモニウムおよびホウ酸亜鉛、例えばxZnO.yB.zHO、例えば2ZnO.3B.3.5HOの組成を有するものからなる群から選択される難燃剤を含有する。
【0111】
適切な難燃剤として挙げられるのは:

【0112】
酸化防止剤
本発明の当該方法の第46の実施態様によると、フィルムはさらに、有機スズ誘導体、立体障害フェノール、立体障害フェノール誘導体およびホスファイトからなる群から選択される酸化防止剤を含有する。
【0113】
適切な酸化防止剤として挙げられるのは:

【0114】
光安定剤
本発明の当該方法の第47の実施態様によると、フィルムはさらに、立体障害アミン光安定剤を含有する。
【0115】
適切な光安定剤として挙げられるのは:

【0116】
紫外線吸収剤
本発明の当該方法の第48の実施態様によると、フィルムはさらに、ベンゾトリアゾール誘導体およびトリアジン誘導体からなる群から選択される紫外線吸収剤を含有する。
【0117】
適切な紫外線吸収剤として挙げられるのは:

【0118】
画像記録素子
本発明の態様はまた、本発明にしたがって製造された非透明自己支持性フィルムの画像記録素子における使用により実現される。
【0119】
本発明にしたがって製造された非透明自己支持性フィルムの画像記録素子における使用の第一の実施態様によると、フィルムは、少なくとも一方の面に、透明な重ね刷り可能な層、つまりインパクトまたはノンインパクト印刷のための層が設けられている。
【0120】
本発明にしたがって製造された非透明自己支持性フィルムの画像記録素子における使用の第二の実施態様によると、フィルムは、少なくとも一方の面に、非透明な重ね刷り可能な層、つまり少なくとも一のインパクトまたはノンインパクト印刷技術に適した層が設けられている。
【0121】
本発明にしたがって製造された非透明自己支持性フィルムの画像記録素子における使用の第三の実施態様によると、フィルムは、少なくとも一方の面に、非透明な透明化可能で重ね刷り可能な層、つまり少なくとも一のインパクトまたはノンインパクト印刷技術に適した層が設けられている。
【0122】
本発明にしたがって製造された非透明自己支持性フィルムの画像記録素子における使用の第4の実施態様によると、フィルムは、少なくとも一方の面にインクジェット受け層が設けられている。典型的な受け層は、短時間で手で触れる程度に乾くように水性または溶剤インクまたはペーストである場合は多孔質、あるいは相変化インクまたは硬化性インク、例えば放射線硬化性インクの場合は非多孔質である。多孔質の受け層は通常、少なくとも一の顔料、例えばシリカまたはアルミナ;少なくとも一のバインダー、例えばスチレン-アクリレート-アクリル酸ターポリマーのアンモニウム塩;アニオン性界面活性剤などの界面活性剤、例えば脂肪族スルホネート;任意で平滑化剤、例えばポリジメチルシロキサン、および任意で媒染剤を含む。
【0123】
本発明にしたがって製造された非透明自己支持性フィルムの画像記録素子における使用の第5の実施態様によると、フィルムは、少なくとも一方の面に、イメージング層、例えば写真層、例えばハロゲン化銀乳剤層;フォトサーモグラフィック要素および実質的に感光性のサーモグラフィック要素;および染料熱転写システムの染料受け層が設けられている。
【0124】
本発明にしたがって製造された非透明自己支持性フィルムの画像記録素子における使用の第6の実施態様によると、フィルムは、少なくとも一方の面に、例えば鉛筆、ボールペンおよび万年筆で書き込み可能な層が設けられている。
【0125】
透かしパターン(透明パターン)形成方法
本発明の態様は、i)線状ポリエステルマトリックスを提供するためにイソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が少なくとも0.02である本質的にテレフタレート、イソフタレートおよび脂肪族ジメチレンからなるモノマー単位を有する少なくとも一の線状ポリエステル;ガラス転移温度が前記線状ポリエステルマトリックスよりも高い少なくとも一の非晶性高分子および/または前記線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度よりも高い融点を有する少なくとも一の結晶性高分子;および任意で、無機不透明顔料、白色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、および着色剤からなる成分の群から少なくとも一の成分を、混練機または押出機内で混合する工程と;ii)工程i)で生成した混合物を厚いフィルムに形成して急冷する工程と;iii)厚いフィルムを、>4N/mmの延伸力で初期長の少なくとも2倍に長手方向に延伸する工程と;およびiv)工程iii)で長手方向に延伸されたフィルムを初期幅の少なくとも2倍に幅方向に延伸する工程を含む方法によって製造された非透明微小空洞含有二軸延伸自己支持性フィルムへの加圧により随意に補助される像様加熱工程を含む、透かしパターン形成方法によって実現される。
【0126】
本発明の透かしパターン形成方法の第一の実施態様によると、熱は、熱またはホットスタンプ、感熱ヘッド、熱またはホットバー、またはレーザーによって加えられる。加熱は、フィルムの片面または両面に実行できる。フィルムの厚さが実質的に変化することなく、少なくとも0.4または40%までの光学濃度の変化が容易に実現できる。さらに、本発明による透かしパターン形成方法により実現される透明化効果は、熱源から供給される熱、熱源およびフィルム間の圧力、および熱源の印加時間の組み合わせにより生じる。熱は、連続的または非連続的に少なくとも1ミリ秒加えられなければならない。感熱ヘッドによる加熱は、単一の熱パルスによるものであってよいが、加熱要素の過熱を避けるために多重短熱パルスが好ましい。感熱ヘッドが使用される場合、加熱工程中に感熱ヘッドと非透明微小空洞含有二軸延伸自己支持性フィルムとの間に箔が使用されてよく、例えば6μmの厚さのPETフィルムが、感熱ヘッドの汚染を防ぐために非透明微小空洞含有フィルムと感熱ヘッドとの間に入れられてよい。感熱ヘッドプリンタ、例えばAGFA-GEVAERT N.V.社から供給されるDRYSTARプリンタが、本発明の透かしパターン、例えば名前入りの透かし模様を作るために使用できる。
【0127】
この透明化効果には、手で触って、つまり触感と、光沢度の変化とで検知できる浮き彫りパターンが伴う。この浮き彫りパターンは熱源の温度が高いほど顕著になり、例えばSANポリマーが分散相である場合、このエンボス効果は110℃から190℃の温度で増大する。非透明微小空洞含有二軸延伸自己支持性フィルムにホットスタンプを当てて得られる触感で感知できる浮き彫りは、感熱ヘッドを用いて得られるものよりはるかに顕著である。
【0128】
実現される透明度は、スタンプ/感熱ヘッド印刷条件:時間、温度および圧力によって決まる。材料のこれまでのサーモフィックス歴もまた重要である。非透明微小空洞含有二軸延伸自己支持性フィルムの熱誘導透明化は、インクジェット受け層といった層を任意で塗布する前またはその後、および透明化する前またはその後に行うことができる。透明化領域の相対的配置および支持体の透明度は、追加の安全対策として有用である。
【0129】
本発明の透かしパターン形成方法の第二の実施態様によると、熱は非連続的に加えられる。
【0130】
本発明の透かしパターン形成方法の第三の実施態様によると、透明な重ね刷り可能な層が、像様加熱の前にフィルム上に設けられる。
【0131】
本発明の透かしパターン形成方法の第4の実施態様によると、透明な重ね刷り可能な層が、像様加熱の後にフィルム上に設けられる。
【0132】
産業上の利用
本発明による非透明微小空洞含有軸方向延伸フィルムは、印刷用および他の用途のための合成紙として、LCDディスプレイおよび光起電装置のリフレクタとして、画像形成材料、例えばインパクトおよびノンインパクト(例えば電子写真、電送写真およびインクジェット)受け材料、フォトサーモグラフィック記録材料、実質的に感光性のサーモグラフィック記録材料、昇華型印刷、熱転写印刷等のための支持体として、例えばチケット、ラベル、タグ、IDカード、クレジットカード、法的文書、紙幣および包装における安全および偽造対策用途において使用することができ、また包装に組み込むこともできる。
【0133】
以下、比較例および実施例により本発明を説明する。これらの実施例で示したパーセンテージおよび比率は、そうでない表示がない場合は重量である。
【0134】
支持体の膜面上の下引層番号01:

【0135】
実施例で使用された成分:
ポリエステル:

【0136】
スチレン-アクリロニトリルコポリマー:

【0137】
MAGNUM8391:DOW CHEMICAL社のビカー軟化温度が95℃のABS樹脂
TPX(登録商標)DX820:三井化学株式会社の高剛性ポリ(4-メチルペンテン)
二酸化チタン:65重量%TiOおよび35重量%ポリエステルを含有するCLARIANT GmbH社のマスターバッチである、Renol(登録商標)-白色/PTX506
【0138】
比較例1から3
比較例1から3のフィルムの製造で使用した押出物の生成に使用したPETおよびSANの種類を表3に示す。表1に示した重量%でPET、SAN、TiOおよびUVITEX OB-oneを混合して真空下(<100mbar)で150℃で4時間乾燥し、続いて混合物をPET-押出機で溶融してシートダイから押し出し、冷却して、比較例1から3の押出物を生成した。
表1:

【0139】
次いで比較例1から3の押出物をINSTRON社の装置で長手方向に延伸し(ここで押出物は表2に示した条件下で当該装置に搭載されたオーブンで加熱される)、比較例1/LS1、2/LS1および3/LS1の軸方向に延伸されたフィルムをそれぞれ生成した。
表2:

【0140】
その後、長手方向に延伸したフィルムを、表3に示した条件下で、延伸時間30秒および延伸速度1000%/分で幅方向に延伸した。最後に、175℃で1分間フィルムを熱固定し、比較例1/LS1、2/LS2および3/LS3の実質的に不透明なフィルムを作った。
【0141】
比較例1/LS1/BS1、2/LS1/BS1、および3/LS1/BS1のフィルムの光学濃度を、マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定し、結果を表3に示す。
表3:

【0142】
比較例1/LS/BS、2LS/BS、および3LS/BSのフィルムをそれぞれ、Instron4411装置に仕掛け、0.5N/mmの圧力でフィルムと接触する上部クランプにあるはんだごてで、5秒間120から190℃の様々な温度に加熱した。試験後のフィルムの光学濃度を、マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定し、フィルムの厚さも測定した。各結果を以下の表4および5に纏める。
表4:


表5:

【0143】
比較例1/LS/BS、2LS/BS、および3LS/BSのフィルムの加熱時、実験誤差内で透明化は観察されなかった。このことは、分散SAN-ポリマー粒子が存在しないとき、二酸化チタンを含有するフィルムの透明化は起こらない、つまり微小空洞が形成されないことを示す。
【0144】
比較例4
2重量%二酸化チタン、100ppmのUVITEX OB-one、および98重量%PET02の組成を有する比較例4の厚さ1083μmの押出物を、比較例1から3について記載したように生成し、マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定した該押出物の光学濃度は1.35であった。表6に示した条件下で、比較例1から3に記載したように押出物を長手方向に延伸した。分解能1μm、精密度2μmおよび直径3mmの接触ボールを有するソニーU30A厚さ計を用いて0.8Nの測定力で16の異なる位置で上面を接触させて得られた測定値を平均化することによって、厚さ値を測定した。
表6:

【0145】
その後、長手方向に延伸したフィルムを、表7に示した条件下で、延伸時間30秒および延伸速度1000%/分で幅方向に延伸した。マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定した光学濃度および厚さも表7に示す。
表7:

【0146】
比較例1から3に見られるように、比較例4の組成物の場合、二軸延伸時の空洞形成は光学濃度に何ら貢献しないので、光学濃度のフィルム厚さへの依存性を用いて、二軸延伸時に空洞を形成する2重量%の同一の二酸化チタン顔料を有する芳香族ポリエステルに基づく組成物について空洞形成が光学濃度にもたらす貢献度を評価するための基準を提供することができる。
【0147】
二酸化チタンなど光散乱顔料を含有する着色フィルムの場合、ランベルトベールの法則による関係性は保持されない。フィルムの厚さが平均自由散乱光路長より小さい場合、光は散乱後散逸するかそうでなければ、光は散逸せず実際には光学濃度のフィルム厚さへの擬似指数関数的依存性を提供するさらなる散乱光に干渉する。この状況は非常に複雑で論理的に説明することが不可能なため、唯一可能なアプローチは、特定のフィルムの厚さで観察された実際の光学濃度を測定することである。上述の光学濃度は、公正な近似式において層厚の範囲が1084から120μmのフィルムの厚さの対数に一次従属すると思われ、以下の関係が与えられる:
光学濃度(OD)=0.891 log[厚さμm]−1.3727
【0148】
この関係は、2重量%の濃度の二酸化チタン顔料の使用に起因する光学濃度を、フィルムの厚さの関数として提供する。
【0149】
比較例5および本発明の実施例1から17
いずれも2重量%の二酸化チタンおよび15重量%のSAN06を有する比較例5および本発明の実施例1から17の厚さ約1100μmの押出物を、表8に示した割合で表8の成分を混合し、次いで真空下(<100mbar)で150℃で4時間乾燥し、その後PET-押出機で溶融し、シートダイから押し出し、そして冷却することによって生成し、表8にまとめたように約1.3g/mLの密度と、イソフタレート(IPA):テレフタレート(TPA)比率を有する比較例5および本発明の実施例1から17の押出物を生成した。
表8:

【0150】
表9に示した条件下で、比較例1から3に記載したように各押出物を長手方向に延伸した。予想厚さは、無空洞フィルムで観察される押出物の厚さおよび長さに基づく厚さである。
【0151】
長手方向の延伸には、空洞形成による密度の低下が伴い、この密度低下はIPA:TA比率が高いほど明らかに大きく、驚いたことにIPA:TPA比率が高いほどフィルムの空洞形成が増加することが示された。
表9:

【0152】
表10に、測定した厚さ、予想厚さ、つまり押出物の厚さと長手方向および幅方向の延伸比率とに基づく、空洞形成がない場合の厚さ、マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定した光学濃度、予想光学濃度、つまり層厚の理論値を用いて比較例4で開示した関係を用いて計算した光学濃度、および2重量%の濃度の特定の二酸化チタン顔料を用いたことによる予想光学濃度と観察された光学濃度の差異、ΔODを示す。
表10:

【0153】
空洞形成による光学濃度の上昇は、17から36%の範囲であった。さらに、本発明の実施例13/LS1、13/LS2および13/LS3の光学濃度値は長手方向の延伸力の影響を明らかに示すものであり、長手方向の延伸力がそれぞれ5N/mmおよび6N/mmである本発明の実施例13/LS2および13/LS3のフィルムで得られた光学濃度値が1.02および1.10であるのに比べて、長手方向の延伸力が最も高い8N/mmである本発明の実施例13/LS1のフィルムで得られた光学濃度値は1.24と最も高い。
【0154】
次いで、長手方向に延伸したフィルムを、表11に示した条件下で、延伸時間30秒および延伸速度1000%/分で幅方向に延伸した。密度、測定した厚さ、および予想厚さ、つまり押出物の厚さと長手方向および幅方向の延伸比率とに基づく、空洞形成がない場合の厚さも表11に示した。
【0155】
幅方向の延伸はフィルムの密度を低下させ、また、PET04およびPET05の割合が増えると密度はさらに低下した。このこともまた驚いたことに、IPA:TPA比率の上昇が、フィルムの空洞形成の増加を助長したことを示す。
【0156】
0.0650のIPA:TPA比率において、驚くことに幅方向の延伸は113℃以上で不可能であったが、線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度を10℃以下超える温度である85℃で可能であった。これにより、二軸延伸によるより高い光学濃度の実現が可能になる。
表11:

【0157】
表12に、測定した厚さ、予想厚さ、マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定した光学濃度、予想光学濃度、つまり層厚の理論値を用いて比較例4で開示した関係を用いて計算した光学濃度、および2重量%の濃度の特定の二酸化チタン顔料を用いたことによる予想光学濃度と観察された光学濃度の差異、ΔODを示す。
表12:

【0158】
本発明の実施例13/LS1/BS1、13/LS2/BS1および13/LS3/BS1の光学濃度値は長手方向の延伸力の影響を明らかに示すものであり、長手方向の延伸力がそれぞれ5N/mmおよび6N/mmである本発明の実施例13/LS2/BS1および13/LS3/BS1のフィルムで得られた光学濃度値が0.95および0.98であるのに比べて、長手方向の延伸力が最も高い8N/mmである本発明の実施例13/LS1/BS1のフィルムで得られた光学濃度値は1.24と最も高い。
【0159】
表12の結果は、ほぼ同じ延伸温度で、微小空洞化が二軸延伸フィルムの光学濃度にもたらす貢献度が、IPA:TPA比率が0.132に上昇すると70%以上まで高まる。IPA:TPA比率が0.132を超えると、30モル%のイソフタレートに相当するIPA:TPA比率0.421で、依然高い貢献度である0.66まで一様に低下する。
【0160】
Instron4411装置でフィルムをつかみ、フィルムを5秒間150℃のはんだごてに接触させたときのフィルムの厚さおよび光学濃度の変化を観察することによって、複数の二軸延伸フィルムについて空洞形成の存在を実証した。これらの実験の結果を表13に示す。
表13:

【0161】
実施例18
2重量%二酸化チタン、100ppmのUVITEX OB-one[ppm]、15重量%SAN06、および83重量%PET04の組成を有し、IPA:TPA比率が0.0650の、実施例18の厚さ1100μmの押出物を、比較例1から3について記載したように生成した。表14に示した4組の異なる条件下で、比較例1から3について記載したように該押出物を長手方向に延伸した。予想厚さは、無空洞フィルムで観察される押出物の厚さおよび長さに基づく厚さである。
表14:

【0162】
次いで、長手方向に延伸したフィルムを、表15に示した条件下で、比較例1から3について記載したように幅方向に延伸した。密度、測定した厚さ、および予想厚さ、つまり押出物の厚さと長手方向および幅方向の延伸比率とに基づく、空洞形成がない場合の厚さも表15に示す。
【0163】
二軸延伸はフィルムの密度を低下させ、幅方向の延伸温度が低いほど、密度の低下が激しかった。しかしながら、密度の低下は、無空洞フィルムで観察される押出物の厚さおよび長さに基づく予想厚さと比較して、単に測定した厚さに基づいて予想されるものよりも小さく、これは2つの作用の組み合わせによってのみ一部説明できる:密度の低下が、一方でポリエステルマトリックスの結晶化度の増加により補われる程度の空洞形成によるものであり、もう一方で二軸延伸によるものであること。
表15:

【0164】
表16に、測定した厚さ、予想厚さ、つまり押出物の厚さと長手方向および幅方向の延伸比率とに基づく、空洞形成がない場合の厚さ、マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定した光学濃度、予想光学濃度、つまり層厚の理論値を用いて比較例4で開示した関係を用いて計算した光学濃度、および2重量%の濃度の特定の二酸化チタン顔料を用いたことによる予想光学濃度と観察された光学濃度の差異、ΔOD、さらに幅方向の延伸を行った温度を示す。
表16:

【0165】
幅方向の延伸工程中の他の条件にかかわらず幅方向の延伸温度を下げると、2重量%の二酸化チタンの存在には起因しない光学濃度で示されるように、空洞形成の程度が70%まで増加したことが表16の結果から明らかである。
【0166】
表17に、約110℃の延伸温度で得られた異なるフィルムの延伸条件、厚さ、押出物の厚さと長手方向および幅方向の延伸比率とに基づく予想厚さ、光学濃度、予想光学濃度、および空洞形成の結果としての他のものには起因しない光学濃度の増加をまとめた。
表17:


表17のデータは、延伸時間を30秒から10秒に減らすこと、および延伸速度を1000%/分から2000%/分に上げることがまた、空洞形成を促進することを示す。
【0167】
Instron4411装置でフィルムをつかみ、フィルムを5秒間様々な温度のはんだごてに接触させたときのフィルムの厚さおよび光学濃度の変化を観察することによって、実施例18/LS1/BS1の二軸延伸フィルムについて空洞形成の存在を実証した。これらの実験の結果を表18および19に示す。
【0168】
実施例18/LS1/BS1のフィルムについて、150℃での光学濃度の低下0.42が観察され、これは25%に相当し、これに伴い層の厚さが26%減少する。
表18:


表19:

【0169】
比較例6および本発明の実施例19から22
表20にまとめたように、いずれも2重量%の二酸化チタンと、15重量%のSANまたは15重量%のABS(MAGNUM8391)、および異なる重量比のPET02およびPET04とを有する比較例6および本発明の実施例19から22の厚さ約1100μmの押出物を、比較例1から3について記載したように生成した。
表20:

【0170】
表21に示した条件下で、比較例1から3に記載したように各押出物を長手方向に延伸した。予想厚さは、無空洞フィルムで観察される押出物の厚さおよび長さに基づく厚さである。
表21:

【0171】
次いで、長手方向に延伸したフィルムを、表22に示した条件下で、延伸時間30秒および延伸速度1000%/分で幅方向に延伸した。測定した厚さ、予想厚さ、つまり押出物の厚さと長手方向および幅方向の延伸比率とに基づく、空洞形成がない場合の厚さ、マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定した光学濃度、予想光学濃度、つまり層厚の理論値を用いて比較例4で開示した関係を用いて計算した光学濃度、および2重量%の濃度の特定の二酸化チタン顔料を用いたことによる予想光学濃度と観察された光学濃度の差異、ΔODも表22に示す。
表22:

【0172】
空洞形成による光学濃度の上昇は、線状ポリエステル連続相のIPA:TPA比率が、比較例6/LS1/BS1の0(光学濃度への貢献度は50%)から、本発明の実施例22/LS1/BS1の0.111(光学濃度への貢献度は71%)へと増加すると、明らかに大きくなった。本発明の実施例20/LS1/BS1、20/LS1/BS2、および20/LS2/BS1について、二軸延伸した押出物の弾性率(ヤング率)および降伏応力を測定し、結果を以下の表23にまとめる。
表23:

【0173】
Instron4411装置でフィルムをつかみ、フィルムを5秒間150℃のはんだごてに接触させたときのフィルムの厚さおよび光学濃度の変化を観察することによって、比較例6/LS1/BS1の二軸延伸フィルムについて空洞形成の存在を実証した。これらの実験の結果を表24に示す。
表24:

【0174】
Instron4411装置でフィルムをつかみ、フィルムを5秒間様々な温度のはんだごてに接触させたときのフィルムの厚さおよび光学濃度の変化を観察することによって、本発明の実施例19/LS1/BS1および22/LS1/BS1の二軸延伸フィルムについて空洞形成の存在を実証した。これらの実験の結果を表25および26に示す。
【0175】
比較例6/LS1/BS1、本発明の実施例19/LS1/BS1、および22/LS1/BS1の各フィルムについて、150℃での光学濃度の低下0.19、0.42および0.60が観察され、これらはそれぞれ26、38および50%に相当し、これもやはり、それぞれ0、0.0401および0.111であるIPA:TPA比率の影響を反映する。
表25:


表26:

【0176】
本発明の実施例23から25
表27にまとめたように、異なる濃度のSAN06、TO4およびPET04を有する、無着色のSAN06ポリマーが芳香族ポリエステルに分散した本発明の実施例23から25の厚さ約1100μmの押出物を、比較例1から3について記載したように生成した。
表27:

【0177】
表28に示した条件下で、比較例1から3に記載したように各押出物を長手方向に延伸した。予想厚さは、無空洞フィルムで観察される押出物の厚さである。
表28:

【0178】
本発明の実施例24/LS1、24/LS2および24/LS3の光学濃度値は長手方向の延伸力の影響を明らかに示すものであり、長手方向の延伸力がそれぞれ8.44N/mmおよび6.36N/mmである本発明の実施例24/LS1および24/LS3のフィルムで得られた光学濃度値が0.97および0.78であるのに比べて、長手方向の延伸力が最も高い8.65N/mmである本発明の実施例24/LS2のフィルムで得られた光学濃度値は1.06と最も高い。
【0179】
本発明の実施例25/LS1および25/LS2の光学濃度値もまた長手方向の延伸力の影響を明らかに示すものであり、長手方向の延伸力が8.0N/mmである本発明の実施例25/LS1のフィルムで得られた光学濃度値が1.00であるのに比べて、長手方向の延伸力がより高い9.5N/mmである本発明の実施例25/LS2のフィルムで得られた光学濃度値は1.14と最も高い。
【0180】
次いで、長手方向に延伸したフィルムを、表29に示した条件下で、延伸時間30秒および延伸速度1000%/分で幅方向に延伸した。測定した厚さ、予想厚さ、つまり押出物の厚さと長手方向および幅方向の延伸比率とに基づく、空洞形成がない場合の厚さ、マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定した光学濃度、予想光学濃度、つまりフィルムの二面での屈折率によりほぼ完全に決定されるポリエチレンテレフタレートの光学濃度0.05、および芳香族ポリエステルによる予想光学濃度と観察された光学濃度の差異、ΔODも表29に示す。
表29:

【0181】
表29の結果は、IPA:TPA比率が0.0314である線状ポリエステルマトリックスを有する本発明の実施例23/LS2/BS1のフィルムの場合、空洞形成による光学濃度混濁化(低下)が0.78であったのに比べて、IPA:TPA比率が0.111である線状ポリエステルマトリックスを有する本発明の実施例25/LS2/BS4および25/LS2/BS5のフィルムの場合、空洞形成による光学濃度混濁化(低下)が1.28および1.29と強く増大したことを示す。
【0182】
Instron4411装置でフィルムをつかみ、フィルムを5秒間様々な温度のはんだごてに接触させたときのフィルムの厚さおよび光学濃度の変化を観察することによって、本発明の実施例23/LS2/BS1、24/LS1/BS1、24/LS2/BS1、および一連の本発明の実施例25の二軸延伸フィルムについて空洞形成の存在を実証した。これらの実験の結果を表30および31に示す。
表30:


表31:

【0183】
本発明の実施例23/LS2/BS1のフィルムについて、190℃での光学濃度の低下0.67が観察された(81%に相当)一方で、本発明の実施例24/LS1/BS1および24/LS2/BS1のフィルムについては、光学濃度の低下0.85および0.88が観察された(それぞれ86および85%に相当)。一連の本発明の実施例24では、190℃での光学濃度の低下は0.84から1.01(64から84%に相当)と様々であった。
【0184】
光学濃度のこれらの低下に伴い、本発明の実施例23/LS2/BS1のフィルムについては層の厚さが13%減少し、本発明の実施例24/LS1/BS1および24/LS2/BS1のフィルムについては層の厚さが16および19%減少し、一連の本発明の実施例25については25から36%の厚さの減少が観察された。これらの結果は、15または17重量%のSAN06を有するポリエステル層の透明化時の、1.01までの光学濃度の極めて大きな低下を示す。
【0185】
実施例26
IPA:TPAモル比が0.0636で、2重量%二酸化チタン、15重量%TPX(登録商標)DX820,ポリ(4-メチル-ペンテン)、33.3重量%PET2、および49.7重量%PET04を有する実施例26の厚さ約1100μmの押出物を、実施例1から58について記載したように生成した。表32に示した条件下で、実施例1から58に記載したように各押出物を長手方向に延伸した。予想厚さは、無空洞フィルムで観察される押出物の厚さである。
表32:

【0186】
次いで、長手方向に延伸したフィルムを、表33に示した条件下で、延伸時間30秒および延伸速度1000%/分で幅方向に延伸した。測定した厚さ、予想厚さ、つまり押出物の厚さと長手方向および幅方向の延伸比率とに基づく、空洞形成がない場合の厚さ、マクベスTR924濃度計により可視フィルタを用いて透過率で測定した光学濃度、予想光学濃度、および芳香族ポリエステルによる予想光学濃度と観察された光学濃度の差異、ΔODも表33に示す。
表33:

【0187】
表33の結果は、非常に大幅な不透明化を明らかに示し、実現された64%の光学濃度は、約10μmの粒子サイズを有する結晶性分散相としてTPXを有するPET04のマトリックスでの空洞形成に起因する。しかしながら、長手方向の弾性率(ヤング率)が1258N/mm、および長手方向の降伏応力が26.4N/mmと、本発明の実施例20/LS1/BS1、20/LS1/BS2、および20/LS2/BS1についての結果で見られる、不透明性発生物質としてSANを用いた材料の場合よりも大幅に低かった。
【0188】
本発明は、暗黙的または明示的に本明細書で開示された特徴または特徴の組み合わせ、またはその一般化のいかなるものも包含しうる。前述の説明の考察にあたり、本発明の範囲内で様々な修正が加えられうることは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)線状ポリエステルマトリックスを提供するためにイソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が少なくとも0.02である本質的にテレフタレート、イソフタレートおよび脂肪族ジメチレンからなるモノマー単位を有する少なくとも一の線状ポリエステル;ガラス転移温度が前記線状ポリエステルマトリックスよりも高い少なくとも一の非晶性高分子および/または前記線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度よりも高い融点を有する少なくとも一の結晶性高分子;および任意で、無機不透明顔料、白色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、および着色剤からなる成分の群から少なくとも一の成分を、混練機または押出機内で混合する工程と;ii)工程i)で生成した混合物を厚いフィルムに形成して急冷する工程と;iii)厚いフィルムを、>4N/mmの延伸力で初期長の少なくとも2倍に長手方向に延伸する工程と;およびiv)工程iii)で長手方向に延伸されたフィルムを初期幅の少なくとも2倍に幅方向に延伸する工程を含む、非透明微小空洞含有自己支持性フィルムの製造方法。
【請求項2】
前記長手方向の延伸力が、>5N/mmである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記幅方向の延伸が、>4N/mmの力で実行される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記幅方向の延伸温度が、線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度を40℃以下超える、請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
イソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が、少なくとも0.065である、請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
イソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が、少なくとも0.11である、請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
イソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が、0.50以下である、請求項1ないし6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記フィルム中の均一に分散した前記非晶性高分子または前記結晶性高分子の濃度が、5から35重量%である、請求項1ないし7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記均一に分散した非晶性高分子が、架橋しているか、または架橋していない、請求項1ないし8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記非晶性高分子が、少なくとも一の連鎖重合ブロックを含む、請求項1ないし9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも一の連鎖重合ブロックが、ポリスチレン、スチレンコポリマー、SAN-ポリマー、ポリアクリレート、アクリレート-コポリマー、ポリメタクリレート、およびメタクリレート-コポリマーからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記スチレンコポリマーが、SAN-ポリマーおよびABS-ポリマーからなる群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記SAN-ポリマーのAN-モノマー単位の濃度が、15から35重量%である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記線状ポリエステルの前記SAN-ポリマーに対する重量比が、2.0:1から9.0:1の範囲である、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記非晶性高分子が、セルロースエステルを含まない、請求項1ないし14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
少なくとも一の前記無機不透明顔料が、シリカ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、二酸化チタン、リン酸アルミニウム、および粘土からなる群から選択される、請求項1ないし15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
フィルムが、≦5重量%の無機不透明顔料を含有する、請求項1ないし16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
線状ポリエステルが、少なくとも2の線状ポリエステル樹脂を含む、請求項1ないし17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
i)線状ポリエステルマトリックスを提供するためにイソフタレートモノマー単位のテレフタレートモノマー単位に対するモル比が少なくとも0.02である本質的にテレフタレート、イソフタレートおよび脂肪族ジメチレンからなるモノマー単位を有する少なくとも一の線状ポリエステル;ガラス転移温度が前記線状ポリエステルマトリックスよりも高い少なくとも一の非晶性高分子および/または前記線状ポリエステルマトリックスのガラス転移温度よりも高い融点を有する少なくとも一の結晶性高分子;および任意で、無機不透明顔料、白色剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、および着色剤からなる成分の群から少なくとも一の成分を、混練機または押出機内で混合する工程と;ii)工程i)で生成した混合物を厚いフィルムに形成して急冷する工程と;iii)厚いフィルムを、>4N/mmの延伸力で初期長の少なくとも2倍に長手方向に延伸する工程と;およびiv)工程iii)で長手方向に延伸されたフィルムを初期幅の少なくとも2倍に幅方向に延伸する工程を含む方法によって製造された非透明微小空洞含有二軸延伸自己支持性フィルムへの加圧により随意に補助される像様加熱工程を含む、透かしパターン形成方法。
【請求項20】
請求項1ないし18のいずれかにしたがって製造した非透明微小空洞含有自己支持性フィルムの、合成紙としての使用。
【請求項21】
請求項1ないし18のいずれかにしたがって製造した非透明微小空洞含有自己支持性フィルムの、画像記録素子における使用。

【公表番号】特表2010−505983(P2010−505983A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530864(P2009−530864)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060373
【国際公開番号】WO2008/040699
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(509096256)
【Fターム(参考)】