説明

面状発光装置及び発光装置用粘着材

【課題】輝度のバランスが崩れるのを有効に防ぎ、優れた外観を提供できる面状発光装置を提供する。
【解決手段】面状発光装置10は、光源11と、光源11の出射面11aに近接配置された平面視長方形のシート状のライトガイド13と、ライトガイド13の一方の面13a側に配置されたシートスイッチ20とから概略構成され、粘着材15は、ミラー効果を有する反射層を備えている。この粘着材15は、例えば、シート状の基材の両面に、粘着材料を塗布した粘着材層が形成された、いわゆる両面テープ状とし、基材または粘着材層に反射層を備える。これにより、粘着材15を透過して余分な発光が行われるのを防ぎ、光源11により照明したときの輝度分布の均一化を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータなどの操作キーを見易くするための照明に用いて好適な面状発光装置及びそれに用いて好適な粘着材に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話等のキーボタン部を明るく照明するために面状発光装置が用いられている。面状発光装置としては、薄板状、フィルム状のライドガイドの一端側に光源を備えた側面発光方式のものが広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
例えば、図5に示す面状発光装置は、上ケース101と下ケース102からなるケースの中に、基板103が配置されている。この基板103の上方には、複数個の操作キー104が配置されたキーパッド105が配置されている。図5、図6に示すように、このキーパッド105の操作キー104の下方には、導光板106を介して、それぞれの操作キー104に対応する複数個のスイッチング素子107が基板103に保持されている。そして、キーパッド105に設けられた操作キー104は、上ケース101に設けられた挿通孔101aを挿通して上ケース101の表面に突出している。
【0004】
基板103には、液晶表示装置109が設けられており、この液晶表示装置109は、上ケース1に設けられた表示窓101bを介して視認可能となっている。
キーパッド105と基板3上のスイッチング素子107との間には、キーパッド105に配置された操作キー104を内側から照明する照明装置として、導光板106が設けられている。この導光板106は、透明で可撓性の材料によって形成されており、線状又は複数個の点状の発光体を有する光源108から入射された光をキーパッド105の下面に投射する。
【0005】
図7に示すように、上述の構造の面状発光装置において、光源108から導光板106の一側端に入射された光は、導光板106の表裏面とその周囲の空気層との界面で反射しながら導光板106に沿って伝搬していく。導光板106内を伝搬していく光は、導光板106の背面側において、各操作キー104に対応した位置に設けられた光取出部106Aから漏れ光として外部に出射することで、各操作キー104に対応した位置が発光するようになっている。
【0006】
上記したような導光板106と基板103は、それぞれ、例えば矩形をなしたフィルム状、薄板状、シート状であり、これらは互いに対向した状態で、粘着剤90により接着されている(例えば、特許文献2、3、4参照。)。
ここで、近年、この種の面状発光装置を備えた携帯電話などの電子機器の機械的強度を高めるために、導光板106と基板103とを粘着剤90で接着する領域を広めることが要請されている。この粘着剤90の厚みは通常0.05mm程度とされ、ポリエステル系の透明樹脂基材の上下両面に接着層を設けて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001ー167655号公報
【特許文献2】特開2007ー53063号公報
【特許文献3】特開2007ー305313号公報
【特許文献4】特開2008ー60058号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記構造の面状発光装置にあっては、導光板106の背面側に沿って設けられる粘着剤90も光を透過するため、この粘着剤90を通して余分な発光が行われてしまうという問題があった。このような面状発光装置においては、全体が均一な明るさとなるように予めシミュレーションを行って光度を調整している。しかし、粘着剤90を通しての発光により輝度のバランスが崩れてしまい、部分的に明るい場所(ホットスポット)が生じてしまうので、シミュレーションした結果と実際の装置での輝度分布状態が相違するという問題がある。
【0009】
また、局所的な発光は、特に光源108の近傍において起こりやすい。例えば、図8に示すように面状発光装置の光源108を実際に点灯した場合にその発光状態を模写した図に示す如く、光源108に近接した導光板106の側端部側において、また、その近傍の粘着剤90の部分において、同様にして局所的に輝度が極端に高い部分が生じ、輝度のバランスが崩れてしまうという問題もある。更に、前記粘着剤90がポリエステル系の透明樹脂基材の上下両面に接着層を設けた構造である場合、粘着剤90自体が光源108の光を受けて余分に発光するので、粘着剤90の領域をこれまで以上に広めるようにすると、余計な発光部分が増加する結果、実際の装置における輝度分布とシミュレーションによる輝度分布とのずれをより大きくしてしまう問題がある。
【0010】
本発明は、このような技術的課題に基づいてなされたもので、粘着材の部分の面積が大きくなっても粘着材の部分が必要以上に明るくなることを抑制し、面状発光装置における輝度のバランスが崩れるのを有効に防ぎ、均一性に優れた照明状態を得ることのできる面状発光装置を提供することを目的とする。
本発明は、照明用のライトガイドと他の部材との接着用として好適であり、均一な明るさを得ることが可能な粘着材に関する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の面状発光装置は、光源と、光源に近接配置されて光源からの光をその一端面側から導入されるとともに、その面方向に沿って光を導光するシート状のライトガイドと、ライトガイドの一方の面側にライトガイドと対向して配置されたシートスイッチと、ライドガイドとシートスイッチとを接着する粘着材とが備えられ、前記粘着材は、光源からの光が当該粘着材を透過するのを防止するため、ライドガイドからの光を反射する光反射性を有していることを特徴とする。
このように、粘着材に光反射性を持たせることで、光源からライドガイドに導入された光が当該粘着材を透過して余計に発光するのを防止することができ、粘着材を透過した光によりライドガイドにおける輝度分布のバランスが低下するのを防止できる。
【0012】
ここで、粘着材は、基材と、基材の表面に形成された反射層と、基材および反射層を覆うように塗布された粘着材層と、からなるものとすることができる。
この場合、反射層は、いかなる構成としても良いが、例えば、基材の表面にアルミニウム系金属または銀が蒸着されることで形成するのが好ましい。
【0013】
また、粘着材は、ライドガイドとシートスイッチとを接着する粘着材料に、反射性を有した物質の粒子が練り込まれることで反射性を有したものとすることができる。
このような反射性を有した物質の粒子としては如何なるものを用いてもよいが、アルミニウム系金属または銀の粒子を好適に用いることができる。
このような粘着材は、厚さ0.1mm以下とするのが好ましい。
【0014】
また、光源の一面側と、ライトガイドの他方の面とを跨ぐように、遮光性を有した遮光部材を設けるのも、ライトガイドの輝度分布を向上させるのに有効である。
【0015】
本発明の粘着材は、光源と、前記光源に近接配置されて前記光源からの光をその一端面側から導入されるとともに、その面方向に沿って前記光を導光するシート状のライトガイドと、前記ライトガイドの一方の面側に前記ライトガイドと対向して配置された他の部材とを接着するための粘着材であって、この粘着材に光反射性が付与されたことを特徴とする。
本発明の粘着材は、基材とその表面に形成された粘着材層とからなり、前記基材と前記粘着材層のいずれかまたは両方に光反射機能が付与されてなり、前記光反射機能は光反射性コーティングの付与か光反射性粒子の混合により達成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、粘着材に光反射性を持たせることで、光源からライドガイドに導入された光が粘着材を透過して不必要に発光することを防止することができ、粘着材を透過した光によりライドガイドにおける輝度分布のバランスが低下することを防止できる。
このようにして輝度のバランスが崩れることを有効に防ぎ、優れた外観、視認性を得ることが可能な面状発光装置の提供が可能となる。
また、本発明の粘着材はライドガイドにおける輝度分布のバランスが低下することを防止できるので、粘着材の面積を従来よりも大きくして接着強度の向上を図ったとしても、優れた外観、視認性を得ることが可能なライトガイドを備えた発光装置の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は本発明に係る面状発光装置の第一実施形態を示す平面図である。
【図2】図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】図3は本発明に係る面状発光装置の第二実施形態を示す図であり、ライトガイドの操作キーのレイアウト例及びライトガイドの輝度分布状態を示すための模式図である。
【図4】図3の比較例であり、面状発光装置を従来の粘着材を用いて形成した場合の輝度分布状態を示すための模式図である。
【図5】面状発光装置を備えた携帯電話の従来構造の一例を示す斜視展開図である。
【図6】従来の面状発光装置の一例を示す平面図である。
【図7】従来の面状発光装置の一例を示す断面図である。
【図8】従来の面状発光装置における輝度分布を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る面状発光装置の実施形態について以下に説明する。
なお、以下の実施形態は、本発明の主旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
「第一実施形態」
図1、図2は、本発明の面状発光装置の第一実施形態を示す概略図であり、図1は平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図である。
この実施形態の面状発光装置10は、例えば携帯電話において複数の操作キーが配列される部分に設けられるもので、光源11と、光源11の出射面11aに近接配置された平面視長方形のシート状のライトガイド13と、ライトガイド13の一方の面(下面)13a側に配置されたシートスイッチ20とから概略構成されている。
【0019】
シートスイッチ20は、粘着材15を介して、ライトガイド13に接着されている。この構造により、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に間隙18が設けられている。即ち、ライトガイド13とシートスイッチ20とが接することなく、粘着材15の厚みに応じた間隙18をあけて両者が対向配置されている。
ライトガイド13とシートスイッチ20との間に設けられた間隙18の厚み、すなわち、ライトガイド13とシートスイッチ20との距離は特に限定されず、面状発光装置10が使用される状況において、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しない程度であれば良いが、面状発光装置10の全体を薄型化するためには、0.01mm以上、0.05mm以下であることが好ましい。
【0020】
ライトガイド13のシートスイッチ20が配置された側の面、すなわち、ライトガイド13の一方の面13aには、携帯電話の各操作キー50に対応した所定の位置に、複数の光取出部19が形成されている。また、ライトガイド13の他方の面13bが、面状発光装置10の上面(表面、発光面)をなしている。
【0021】
光取出部19は、ライトガイド13を構成するシート状樹脂シートの一面の必要な領域に印刷パターン19Pを形成するなどの構造を採用することができる。
ライトガイド13にあっては、その一方の端面13eに対し、光源11からの出射光が入射されると、その入射光がライトガイド13の一方の面13aと他方の面13bの間で反射を繰り返しながらライトガイド13の内部を伝搬してゆく。そして、印刷パターン19Pを形成した領域において、ライトガイド13の内部を伝搬している光が外部に漏れ出る。これにより、印刷パターン19Pを形成した領域、すなわち各操作キー50に対応した領域から外側に光を出射することができる。
【0022】
光取出部19を構成する印刷パターン19Pは、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、パッド印刷法などの印刷法により、ライトガイド13の一方の面13aに形成された微小ドットである。
スクリーン印刷法とは、孔版印刷として版に化学繊維のスクリーンを張ったものを利用し、そのスクリーンに光学的に版膜を作って必要な画線以外の目を塞ぎ、版を作り、その版膜の孔を介してインキを擦りつけることにより版の下に設置した被印刷物の印刷面に印刷を行う方法である。インキはスクリーンの版膜の孔を通過して被印刷面に押し出されて印刷されるので、必要な大きさの印刷パターン19Pを形成することができる。
【0023】
グラビア印刷は、印刷しようとする凸などの部分が窪んでいる版を用い、この窪みにインキが入るように適当な方法で版全体にインキを付け、表面をドクターと呼ばれる装置で拭き取りながら余分なインキを掻き落とし、窪みに入っているインキだけを残し、そのインキを被印刷面に押し付けて移し、インキの盛り上がり部分を形成することで凹凸部を形成する印刷方法である。印刷の濃淡は、窪みの幅とインキの厚みで表現するため、精巧な凹凸形状を形成可能であり、ライトガイド13に所望の印刷パターン19Pを形成できる。
パッド印刷は、凹版プレートの凹部にインキを盛りつけ、ブレードによって凹部以外の部分のインキを掻き取り、シリコン製などのパッドを凹版に押し付けてインキをパッドに写し取り、このパッドを被印刷物の印刷面に押し付けることで凹凸部を形成する方法である。なお、パッドは球形状やドラム状など、種々のものが適用できる。この方法により3次元形状の転写も正確にできるので、ライトガイド13に所望の印刷パターン19Pを形成できる。
これらの印刷法により形成された印刷パターン19P(光取出部19)は、数字や文字として認識できるので、ライトガイド13上に、操作キーを備えたキーパッド等を別途設ける必要が無いから、その場合、面状発光装置10をより一層薄型化することができ、ひいては、この面状発光装置10を適用した電子機器をより一層薄型化することができる。
【0024】
これら複数の光取出部19には、シートスイッチ20に組み込まれた複数の感圧型のスイッチ素子30が平面視位置合わせされ、図2に示す如く、光取出部19とスイッチ素子30とが上下に対向するように配置されている。
シートスイッチ20は、PCB(Printed Circuit Board)もしくはFPC(Flexible Printed Circuit)などのプリント配線基板からなる基板21において、ライトガイド13と対向する面(以下、「一方の面」と言う。)21aに、複数のスイッチ素子30が設けられ、これらスイッチ素子30が抑えシート25により覆われた構成となっている。
各スイッチ素子30は、基板21の一方の面21a上に所定間隔で設けられた導電性材料からなる接点部22と、接点部22を覆うように、接点部22との導通、非導通を切り替えるためのドーム形状のメタルプレート23とから構成されている。
メタルプレート23は、接点部22に接離可能な可撓性を備え、基板21の一方の面21aとは反対側に凸状をなす椀型のメタルドームとして構成されている。このメタルプレート23は、図示しない粘着材層を介して押えシート25に接着されている。
【0025】
本実施形態の面状発光装置10では、操作者が指先やペンなどの操作子によりライドガイド13の操作キー50の部分を押圧すると、ライドガイド13および押さえシート25を介してメタルプレート23の凸状面23aが押圧される。すると、この凸状面23aが、基板21の一方の面21a側に向けて湾曲するように変形して接点部22に当接し、接点部22との導通がとれるようになっている。
したがって、本実施形態の面状発光装置10によれば、メタルプレート23が設けられている操作キー50の存在を各光取出部19からの漏れ光により位置表示できるとともに、操作キー50を指などの操作子により押圧してメタルプレート23を変形させ、接点部22との導通を切り替えることで各スイッチ素子30のオンオフ(導通、非導通)操作を行うことができる。
【0026】
光源11としては、発光ダイオード(Light Emitting Diode、LED)などの発光素子、冷陰極管などの発光体などからなるものが用いられる。光源11がLEDからなるものである場合、箱状のケースの内部に発光素子チップが内蔵され、この発光素子チップが出射した光を光源11のケース側面の出射面11aから出射できるように構成されている。
また、光源11は、はんだ29によって、基板21の一方の面21a上の図示略の電気回路に接続されて設けられている。
【0027】
本実施形態のライトガイド13は、シート状の樹脂からなり、例えば、平面視長方形をなしている。
ライトガイド13を構成する樹脂としては、光透過性の樹脂であり、かつ、弾性変形可能なものであれば特に限定されないが、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(ポリメチルメタクリレート、PMMA)のエラストマー、ウレタンアクリレートからなる群から選択されたいずれかが用いられる。
これら樹脂の中でも、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に設けられた間隙18の幅を一定に保つように、すなわち、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しないようにするためには、適度な剛性を有する樹脂が好ましく、具体的には、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。また、ポリカーボネート系樹脂は、厚みが薄くても光の透過率が高いので好適である。
また、ポリウレタン系樹脂やシリコーン樹脂は弾性を有するので、これらの樹脂からなるライトガイド13は、その上面が傷付きにくくなるとともに、スイッチ素子30(光取出部19)を押圧した際の感触がよくなる。
【0028】
ライトガイド13の厚みは特に限定されず、光源11からの出射光の透過率が高く、操作キー50を操作者が指先やペンなどの操作子で押圧した場合、メタルプレート23を下向きに湾曲させて変形させて接点部22に導通させることができるが、操作キー50を押圧しない場合、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に設けられた間隙18の幅を一定に保つことができる(すなわち、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しないようにすることができる)程度であればよく、面状発光装置10を薄型化するためには、0.1mm以上、0.2mm以下であることが好ましい。
【0029】
粘着材15は、ミラー効果を有する光反射層を備えている。粘着材15は、シート状の基材の両面に、粘着材料を塗布した粘着材層が形成された、両面テープ状とし、基材または粘着材層に反射層を備えることができる。
基材に反射層を備える場合、基材には、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂等を用いることができ、その表面に、例えばアルミニウム系金属や銀を表面に蒸着したり塗布したりすることで反射層を形成することができる。また、基材をシート状のアルミニウム系材料等で形成することで、基材そのものが反射層として機能する構成とすることもできる。
粘着材層を形成するため、このような基材の表面に塗布される粘着材料としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤等を用いることができる。
【0030】
一方、粘着材層を反射層とする場合、粘着材層を形成する粘着材料に、アルミニウム粉末、銀粉末等のフィラーを練り込み、粘着材層に反射性を発揮させる。このような粘着材料としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤などが挙げられる。
また、上記のように粘着材15を両面テープ状とせず、粘着材15を、それ自体の形状を保持する粘着材料により形成することもできる。この場合も、上記と同様、粘着材層を形成する粘着材料に、アルミニウム粉末、銀粉末等のフィラーを練り込み、粘着材層に反射性を発揮させる。このような粘着材料としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤などが挙げられる。
【0031】
このように反射層を有した本実施形態の粘着材15は、ライトガイド13の一方の面13aの外周縁部に沿って設けられた枠状部15Aと、携帯電話において互いに間隔を隔てて複数列に配列された各操作キー、すなわち光取出部19の列の間に設けられた帯状部15Bとが設けられている。
粘着材15の厚みは特に限定されないが、面状発光装置10が使用される状況において、ライトガイド13とシートスイッチ20が接しない程度であればよく、面状発光装置10を薄型化するためには、0.01mm以上、0.05mm以下であることが好ましい。
【0032】
また、光源11の上面11bと、ライトガイド13の一方の面13aとにわたり、シート状の遮光部材40が設けられている。
遮光部材40は、遮光性を有する材料からなり、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の樹脂、各種金属からなる群から選択されたいずれかが用いられる。遮光性を高めるために、これらの材料に顔料を練り込んだり、これらの材料からなるシートの表面に塗料を塗布するのが好ましい。その色相は、十分な遮光性を有するのであれば特に限定されず、白色等でもよいが、最も光を吸収して遮光性の高い黒色とするのが好ましい。また、本実施形態における粘着材15と同様の、反射層を有する材料から遮光部材40を形成することもできる。
【0033】
以上説明の構成によれば、シートスイッチ20が、シート状のライトガイド13の一方の面13aに設けられた粘着材15を介してライトガイド13に接着され、ライトガイド13とシートスイッチ20との間に間隙18が設けられているので、ライトガイド13とシートスイッチ20とが接していない。すなわち、ライトガイド13の一方の面13aおよび他方の面13bが、樹脂からなる他の部材と接することなく、空気層に接している。
従って、ライトガイド13の一方の端面13eに対して光源11からの出射光が入射されると、その入射光がライトガイド13の一方の面13aと他方の面13bの間で反射しながらライトガイド13の内部を伝搬して、光取出部19以外の部分で光が漏れ出る割合が少ない。ゆえに、光源11からライトガイド13に入射された光は、光取出部19を中心としてライトガイド13の外部に出射するので、ライトガイド13を伝搬する光が、その伝搬に伴って減衰する量が最小限に抑えられるから、ライトガイド13の全長に渡って、光取出部19を発光させるために十分な量の光を導くことができる。
【0034】
そして、上述したように、粘着材15を、反射層を有するものとしたので、ライトガイド13の一方の面13aの外周縁部に沿って設けられた枠状部15Aだけでなく、光取出部19の列の間に設けられた帯状部15Bを設けても、粘着材15を透過して余分な発光が行われることを防止することができ、操作キー50が形成されたライトガイド13を照明したときの輝度分布の均一化を図ることができる。また、粘着材15が光を反射するならば、従来の透明な粘着剤が光を拡散して自ら発光していたのに対し、粘着材15自体は発光することがないので、シミュレーションにより求めた輝度分布を崩すことなく粘着材15を配置することができる。よって、粘着材15を設ける位置を増やすか、粘着材15の幅や面積を増加しても、輝度状態のバランスを崩すことがない。また、粘着材15の位置や幅をこれまでより増加できることにより、面状発光装置を設ける携帯電話機器などの電子機器の筐体の強度を向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態の構造では、光源11の上面11bとライトガイド13の一方の面13bとに渡ってこれらを部分的に覆う遮光部材40を備えることで、光源11とライトガイド13との隙間部分から漏光するのを防止することができる。これにより、操作キー50が配置されたライトガイド13を照明したときの輝度分布の更なる均一化を図ることができる。
【0036】
なお、上記実施形態では、ライトガイド13に印刷パターン19Pからなる光取出部19が設けられた面状発光装置10を例示したが、本発明の面状発光装置はこれに限定されない。本発明の面状発光装置にあっては、ライトガイド13の他方の面13b、すなわち、ライトガイド13のシートスイッチ20と対向する面とは反対側の面に光取出部が設けられていてもよい。この場合、ライトガイド13の他方の面13bに設けられた光取出部19を覆うように光透過性の樹脂からなる保護膜を設けてもよい。このようにすれば、光取出部19を傷付き難くすることができる。
【0037】
また、粘着材15として、ライトガイド13の一方の面13aの外周縁部に沿って設けられた枠状部15Aと、光取出部19の列の間に設けられた帯状部15Bとを設ける例を挙げたが、これに限るものではなく、粘着材15の設置レイアウトはいかなるものとしてもよい。
本実施形態において例示した以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、他の構成に適宜変更することが可能である。
【0038】
「第二実施形態」
以下、本発明に係る面状発光装置の第二実施形態について図3に基づいて説明する。
図3に示す面状発光装置は、上記第一実施形態と基本的な構成は全く同様であり、デザイン、操作キー50の形状等が異なるのみである。
即ち、図1、図2に示した構造のように、光源11、ライトガイド13、シートスイッチ20から構成され、ライドガイド13とシートスイッチ20の基板21とが、枠状部15A1と帯状部15B1とを有した、反射層を有する粘着材151により接着されている。なお、図3においては、粘着材151の概形と光源11と操作キー50と印刷パターン19Pの配置関係とそれらの概形のみを示している。
【0039】
この実施形態の面状発光装置では、操作キー50が縦に4行、横に3列、合計12箇所設けられているが、粘着材151はそれらを囲むように横長の長方形状に枠状部15A1が形成され、第1列目の操作キー50と第2列目の操作キー50との間に縦方向に沿って帯状部15B1が設けられ、第2列目の操作キー50と第3列目の操作キー50との間に帯状部15B1が設けられている。また、第1列目の操作キー50のうち、第1行目の操作キー50と第2行目の操作キー50との間の外側部分に凹部152が形成され、第3列目の操作キー50のうち、第1行目の操作キー50と第2行目の操作キー50の間の外側に凹部153が形成されている。図3においては粘着材151の部分を白線で表示したので、この白線の外郭を形取るような形状に先の実施形態と同等構造のライトガイドが設けられている。
【0040】
そして、前記凹部152、153の内側の位置に光源11が配置され、各光源11から凹部152、153の部分に存在しているライトガイドの端面から光を導入できるように構成されている。
このような面状発光装置においても、当然のことながら上記第一実施形態で示した面状発光装置と同様の作用効果を奏することができる。即ち、光源11から光をライトガイドに入射した場合、帯状部15B1の部分が光反射機能を有するために帯状部15B1の部分が独自に強く発光してしまうことが無くなり、複数の操作キー50を配置した部分全体がバランス良く発光する。
【0041】
ここで、上記図3に示した平面形状の面状発光装置と、図3に示す構造に対し従来の光透過性の粘着剤を用いた面状発光装置との比較検証を行ない、その結果を以下に実施例として説明する。
【0042】
「実施例」
図3に示す構造の面状発光装置において、ライトガイドには、厚さ0.2mmのウレタン樹脂材を用いた。
粘着材15B1は、基材として、表面にアルミニウムを蒸着したPETフィルムを用い、表面に粘着材層(厚さ0.05mm)を形成した両面粘着材とした。この粘着材15B1を、操作キー50の列間の帯状部15B1に設けた。
また、光源11の上面とライトガイドの一方の面とにわたり、遮光部材として厚さ0.05mmの黒フィルムを貼り、光源11からライトガイドの端面に白色光を照射した。
【0043】
〈比較例〉
上記実施例に対し、粘着材151の帯状部15B1のアルミニウム蒸着基材に代えて、従来のPETからなる透明基材を粘着材の帯状部15B2として用いた。この粘着材15B2の設置範囲は図3に示す実施例の粘着材151の帯状部15B1と同様とした。また、上記実施例の遮光部材40は、この比較例においては設置しなかった。
【0044】
上記した実施例構造と比較例構造とを用いて、光源11から同条件で白色光を出射した場合の輝度分布を比較した結果を図3と図4に対比して模式図として示す。
図3に模式的に示すように、実施例構造においては、操作キー50の列の間においても余分な発光が少なく、各操作キー50の部分は均一な輝度分布であるのに対し、帯状部15B1を設けていない従来構造では、図4に示すように、操作キー50の列の間の、透明粘着材の帯状部15B2を設けた部分が白く明るく発光しており、これにより中央の列の操作キー50よりもその隣に位置する帯状部15B2の部分の方がより明るく白く発光してしまう結果となった。
なお、図4の比較例構造では帯状部15B2が白く発光する上に、粘着材151の左右両側の枠状部15A1においても全体が白く発光する結果となった。
また、図3に示す実施例構造は帯状部15B1を有していない従来構造よりも接着強度が向上するので、実施例の構造を携帯電話に適用した場合、携帯電話の筐体(ケース)の強度の向上を図ることができる。
【0045】
次に、上記の輝度分布を、複数のエリアに区分し、各エリアごとの平均輝度を求めた。そして、各エリアの平均輝度の最小値をエリアの平均輝度の最大値で除算し、その値を輝度均一性の評価値とした。
(輝度均一性)=(エリアの平均輝度の最小値)/(エリアの平均輝度の最大値)
その結果、実施例構造において輝度均一性は62%であったのに対し、比較例構造において輝度均一性は51%であり、最小値と最大値の差が大きいことを確認できた。
一般に、携帯電話においては、輝度均一性は60%以上とすることが求められており、上記実施例の面状照明装置の構造ではこれを達成できることが確認された。
【符号の説明】
【0046】
10…面状発光装置、11…光源、13…ライトガイド、15…粘着材、15A、15A1…枠状部、15B、15B1…帯状部、19…光取出部、19P…印刷パターン、20…シートスイッチ、23…メタルプレート、30…スイッチ素子、40…遮光部材、50…操作キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源に近接配置されて前記光源からの光をその一端面側から導入されるとともに、その面方向に沿って前記光を導光するシート状のライトガイドと、前記ライトガイドの一方の面側に前記ライトガイドと対向して配置されたシートスイッチと、前記ライドガイドと前記シートスイッチとを接着する粘着材とが備えられ、前記粘着材は、前記光源から前記ライドガイドに導入された光が当該粘着材を透過するのを防止するため、光を反射する反射性を有していることを特徴とする面状発光装置。
【請求項2】
前記粘着材は、基材と、前記基材の表面に形成された反射層と、前記基材および前記反射層を覆うように塗布された粘着材層とからなることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。
【請求項3】
前記反射層は、前記基材の表面にアルミニウム系金属または銀が蒸着されることで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の面状発光装置。
【請求項4】
前記粘着材は、前記ライドガイドと前記シートスイッチとを接着する粘着材料に、反射性を有した物質の粒子が練り込まれることで反射性を有していることを特徴とする請求項1に記載の面状発光装置。
【請求項5】
前記反射性を有した物質の粒子は、アルミニウム系金属または銀の粒子であることを特徴とする請求項4に記載の面状発光装置。
【請求項6】
前記粘着材は、厚さ0.1mm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の面状発光装置。
【請求項7】
前記光源の一面側と、前記ライトガイドの他方の面とを跨ぐように、遮光性を有した遮光部材が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の面状発光装置。
【請求項8】
光源と、前記光源に近接配置されて前記光源からの光をその一端面側から導入されるとともに、その面方向に沿って前記光を導光するシート状のライトガイドと、前記ライトガイドの一方の面側に前記ライトガイドと対向して配置された他の部材とを接着するための粘着材であって、この粘着材に光反射性が付与されたことを特徴とする面状発光装置用粘着材。
【請求項9】
前記粘着材が、基材とその表面に形成された粘着材層とからなり、前記基材と前記粘着材層のいずれかまたは両方に光反射機能が付与されてなり、前記光反射機能は光反射性コーティングの付与か光反射性粒子の混合により達成されたことを特徴とする請求項8に記載の面状発光装置用粘着材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−212205(P2010−212205A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−59955(P2009−59955)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】