説明

音叉型圧電振動片および圧電振動デバイス

【課題】音叉型圧電振動片の直列共振抵抗値を低く抑えて音叉型圧電振動片の特性を良好にする。
【解決手段】水晶振動片2の寸法に関して、基部23の一端面24と対応する他端面29から第1,2脚部21,22の突出端面211,221までの全長距離L1は、1500μm以下に設定されている。基部23の一端面24から他端面29までの基部全長距離L2が、150〜350μmに設定されている。第1,2励振電極51,52の基部23に形成された部分57,58の一端面24から他端面29に向かう基部側励振電極距離L3が、基部全長距離L2に対して0.2〜0.8の割合の寸法で設定されている。基部23のX軸方向の基部全幅距離Wが、500〜700μmに設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音叉型圧電振動片および圧電振動デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、圧電振動デバイスとして、例えば、音叉型水晶振動子(以下、水晶振動子という)などが挙げられる。この種の圧電振動デバイスでは、その筐体であるパッケージがベースとキャップとから構成され、筐体内部は気密封止されている。また、この筐体内部では、水晶振動片が、ベース上の電極パッドに導電性接着剤を介して接合されている。
【0003】
この水晶振動片は、その基板が、基部と、この基部から突出した2本の脚部とから構成されてなり、異電位で構成された励振電極が脚部に形成されている。また、基板には、基部において励振電極を電極パッドと電気的に接続させるための引出電極が形成されている。この引出電極は、励振電極から引き出し形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−336207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した水晶振動子では、筐体内部の水晶振動片の脚部の寸法によってその直列共振抵抗値が決定する。そのため、現在、電子機器の小型化がすすんでおり、この小型化にともない上記したような水晶振動子も小型化がすすめられているが、小型化により水晶振動片の脚部の全長寸法(水晶振動片のY軸方向の寸法)を可変させることは水晶振動片の特性を可変させる。そのため、水晶振動片の基部の全長寸法(水晶振動片のY軸方向の寸法)を小さくしなければならない。
【0005】
しかしながら、水晶振動片の基部の全長寸法を小さくすると、基部での振動漏れを防ぐことが難しくなる。そのため、直列共振抵抗値が高くなり、水晶振動片の特性を悪化させる原因となる。また、水晶振動片の基部の全長寸法を小さくすると、引出電極の電極パターンの形成が難しくなり、電極ショートを起こす可能性が高くなる。
【0006】
そこで、上記課題を解決するために、本発明は、音叉型圧電振動片の直列共振抵抗値を低く抑えて音叉型圧電振動片の特性を良好にする音叉型圧電振動片および圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる音叉型圧電振動片は、基部と、この基部の一端面から突出した複数本の脚部とから構成された音叉型圧電振動片において、異電位で構成された励振電極が前記脚部及び前記基部に形成されるとともに、前記励振電極を前記基部で外部電極と電気的に接続させるために前記励振電極から引き出された引出電極が前記基部及び前記脚部に形成され、前記基部で前記引出電極と外部電極とが電気的に接続され、前記基部の一端面と対向する他端面から前記脚部の突出端面までの全長距離が、1500μm以下に設定されるとともに、前記一端面から前記他端面までの基部全長距離が、150〜350μmに設定され、前記励振電極の前記基部に形成された部分の前記一端面から前記他端面に向かう基部側励振電極距離が、前記基部全長距離に対して0.2〜0.8の割合の寸法で設定され、前記基部の前記一端面から前記他端面に向かう方向と直行する方向の基部全幅距離が、500〜700μmに設定されたことを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記励振電極及び前記引出電極が前記脚部及び前記基部に形成され、前記基部で前記引出電極と外部電極とが電気的に接続され、前記全長距離が、1500μm以下に設定されるとともに、前記基部全長距離が、150〜350μmに設定され、前記基部側励振電極距離が、前記基部全長距離に対して0.2〜0.8の割合の寸法で設定され、前記基部の前記一端面から前記他端面に向かう方向と直行する方向の基部全幅距離が、500〜700μmに設定されるので、前記基部における前記引出電極と外部電極との接続領域を確保したまま、前記全長距離に対する前記基部全長距離の割合を減少させることが可能となる。そのため、前記基部上の前記基部側励振電極距離を延長することが可能となる。その結果、前記基部での振動漏れを防ぐことが可能となり、当該音叉型圧電振動片の直列共振抵抗値を低く抑えて当該音叉型圧電振動片の特性を良好にすることが可能となる。また、当該音叉型圧電振動片の基部の全長寸法を小さくした場合であっても、前記引出電極の電極パターンの形成を容易にして、電極ショートが起こるのを防止することが可能となる。
【0009】
前記構成において、前記基部上の前記励振電極は、その基部側先端幅を狭くし、かつ、前記基部の中央領域に位置するように形成されてもよい。
【0010】
この場合、前記基部上の前記励振電極は、その基部側先端幅を狭くし、かつ、前記基部の中央領域に位置するように形成されるので、前記基部において前記引出電極と外部電極と電気的に接続させる接続領域を確保することが可能となる。具体的に、前記励振電極は前記基部の中央領域に形成されるので、前記基部の幅方向の端部領域において前記接続領域を確保することが可能となる。そのため、当該音叉型圧電振動片の小型化がすすみ、その結果、前記基部が小型化された場合であっても、前記接続領域を確保することが可能となり、小型化にともなって本構成による作用効果は著しく得ることが可能となる。
【0011】
前記構成において、前記脚部は2つ設けられ、かつ、前記主面において前記励振電極は対称形成されてもよい。
【0012】
この場合、前記脚部は2つ設けられ、かつ、前記主面において前記励振電極は対称形成されるので、各前記励振電極による振動のバランスが保たれ、より直列共振抵抗値を低く抑えて特性を向上させることが可能となる。
【0013】
前記構成において、前記引出電極と外部電極との接続領域は、前記基部の前記励振電極の前記全長方向延長上の位置以外の位置に形成されてもよい。
【0014】
この場合、前記引出電極と外部電極との接続領域は、前記基部の前記励振電極の前記全長方向延長上の位置以外の位置に形成されるので、前記基部の前記励振電極の前記全長方向延長上の位置を、前記励振電極から外部電極に引き出される前記引出電極の電極形成領域として確保することが可能となる。また、前記励振電極を前記基部の他端面側へ延長して設けることができるので、当該音叉型圧電振動片の直列共振抵抗値を低く抑えて当該音叉型圧電振動片の特性を良好にすることが可能となる。
【0015】
前記構成において、前記脚部の少なくとも一主面には、脚部側溝部が形成されてもよい。
【0016】
この場合、前記脚部の少なくとも一主面には、脚部側溝部が形成されるので、当該音叉型圧電振動片の直列共振抵抗値を低く抑え、良好な直列共振抵抗値を得るのに好ましい。特に、前記基部での振動漏れを前記基部側溝部で防ぐことが可能となり、当該音叉型圧電振動片の直列共振抵抗値を低く抑えて当該音叉型圧電振動片の特性を良好にすることが可能となる。
【0017】
前記構成において、前記基部の少なくとも一主面には、基部側溝部が形成されてもよい。
【0018】
この場合、前記基部の少なくとも一主面には、基部側溝部が形成されるので、当該音叉型圧電振動片の直列共振抵抗値を低く抑え、良好な直列共振抵抗値を得るのに好ましい。また、前記基部側溝部によって、異極で構成された前記励振電極と前記引出電極との接続を回避することが可能となり、電極ショートが起こるのを防止することが可能となる。
【0019】
上記の目的を達成するため、本発明にかかる圧電振動デバイスは、ベースとキャップとから内部空間を有するパッケージが形成され、前記内部空間内の前記ベース上に、上記した音叉型圧電振動片が前記基部において保持されたことを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、前記ベースと前記キャップとから前記内部空間を有する前記パッケージが構成され、前記内部空間内の前記ベース上に、上記した音叉型圧電振動片が保持されているので、上記した本発明にかかる音叉型圧電振動片と同様の作用効果を有する。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる音叉型圧電振動片および圧電振動デバイスによれば、音叉型圧電振動片の直列共振抵抗値を低く抑えて音叉型圧電振動片の特性を良好にすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施例では、圧電振動デバイスとして音叉型水晶振動子に本発明を適用した場合を示す。
【0023】
本実施例にかかる音叉型水晶振動子1(以下、水晶振動子という)は、図1,2に示すように、フォトリソグラフィ法で成形された音叉型水晶振動片2(本発明でいう音叉型圧電振動片であり、以下、水晶振動片という)と、この水晶振動片2を保持するベース11と、ベース11に保持した水晶振動片2を気密封止するためのキャップ12とからなる。
【0024】
この水晶振動子1では、図1に示すように、ベース11とキャップ12とが接合されて筐体であるパッケージが構成され、このパッケージ内に内部空間13が形成される。この内部空間13のベース11上において水晶振動片2が保持されるとともに、パッケージの内部空間13が気密封止されている。この際、ベース11と水晶振動片2とは、導電性接合材3を用いて接合されている。
【0025】
次に、この水晶振動子1の各構成について説明する。
【0026】
ベース11は、図1に示すように、底部と、この底部から上方に延出した壁部とから構成される箱状体に形成されている。このベース11は、セラミック材料からなる平面視矩形状の一枚板上に、セラミック材料の直方体が積層して凹状に一体的に焼成されている。また、壁部は、底部の表面外周に沿って成形されている。この壁部の上面は、キャップ12との接合領域であり、この接合領域には、キャップ12と接合するためのメタライズ層(図示省略)が設けられている。
【0027】
また、セラミック材料が積層して凹状に一体的に焼成されたベース11の内部空間13における側壁には、図1に示すように、段部14が形成され、この段部14上に下記する電極パッド41,42が形成され、これら電極パッド41,42上に水晶振動片2が片保持して設けられる。
【0028】
また、内部空間13内のベース11の段部14の表面には、水晶振動片2の励振電極51,52(下記参照)と電気的に接続する電極パッド41,42が形成されている。これら電極パッド41,42は、それぞれに対応した引回し電極43,44を介して、ベース11の裏面15に形成される端子電極(図示省略)に電気的に接続され、これら端子電極が外部部品や外部機器の電極に接続される。なお、これらの端子電極、電極パッド41,42、引回し電極43,44は、タングステン、モリブデン等のメタライズ材料を印刷した後にベース11と一体的に焼成して形成される。そして、これらの端子電極、電極パッド41,42、引回し電極43,44のうち一部のものについては、メタライズ上部にニッケルメッキが形成され、その上部に金メッキが形成されて構成される。
【0029】
キャップ12は、金属材料からなり、図2に示すように、平面視矩形状の一枚板に成形されている。このキャップ12は、下面にろう材(図示省略)が形成されており、シーム溶接やビーム溶接等の手法、あるいは金錫封止等によりベース11に接合されて、キャップ12とベース11とによる水晶振動子1のパッケージが構成される。なお、本実施例でいう内部空間13とは、キャップ12とベース11により気密封止された領域のことをいう。また、キャップ12をセラミック材料とし、ガラス材料を介して気密封止してもよい。
【0030】
また、本実施例では、導電性接合材3として、導電性接着剤が用いられている。この導電性接着剤の材料には、複数の銀フィラを含有したシリコンが用いられ、導電性接着剤を硬化させることで、複数の銀フィラが結合して導電性物質となる。
【0031】
次に、内部空間13に配された水晶振動子1の各構成について説明する。
【0032】
水晶振動片2は、図1,2に示すように、音叉型水晶振動片であり、異方性材料の水晶片である基板からエッチング形成される。
【0033】
基板は、2本の脚部21,22(第1脚部,第2脚部)と、基部23とから構成され、第1,2脚部21,22が基部23の一端面24から突出して形成されている。
【0034】
また、第1,2脚部21,22の両主面(表側主面25と裏側主面26)には、水晶振動子1の小型化により劣化する直列共振抵抗値を改善させるために、脚部側溝部27が形成されている。
【0035】
この水晶振動片2の表裏側主面25,26には、異電位で構成された2つの励振電極51,52(第1励振電極,第2励振電極)と、これらの第1,2励振電極51,52を電極パッド41,42に電気的に接続させるための引出電極53,54が形成されている。そして、引出電極53,54と電極パッド41,42が導電性接合材3を介して接合されて、引出電極53,54と電極パッド41,42とが電気的に接続される。なお、ここでいう引出電極53,54と電極パッド41,42とを電気的に接続させる接続領域2Aは、基部23の第1,2励振電極51,52の全長方向(図2に示すY軸方向)延長上の位置以外の位置に形成されている。
【0036】
第1励振電極51は、図2に示すように、第1脚部21の表裏側主面25,26に形成された第1主面電極と、第2脚部22の両側面(対向側面等)に形成された第2側面電極とにより構成される。そして、これら第1主面電極と第2側面電極とが引出電極53によって接続されている。また、第1励振電極51は、第1脚部21から基部23に延出して形成されている。
【0037】
同様に、第2励振電極52は、図2に示すように、第2脚部22の表裏側主面25,26に形成された第2主面電極と、第1脚部21の両側面(対向側面等)に形成された第1側面電極とにより構成される。そして、これら第2主面電極と第1側面電極とが引出電極54によって接続されている。また、第2励振電極52は、第2脚部22から基部23に延出して形成されている。
【0038】
上記した第1,2励振電極51,52は、図2に示すように、その表裏側主面25,26において対称形成され、基部23上の第1,2励振電極51,52は、その基部側先端55,56幅を狭くし、かつ、基部23の中央領域2Bに位置するように形成されている。具体的に、基部23上の第1,2励振電極51,52は、その基部側先端55,56に向かうにつれてその一片が基部23の中央領域2Bに向かうように漸次傾斜して形成されている。
【0039】
また、上記した第1,2励振電極51,52は、例えば、クロムの下地電極層と、金の上部電極層とから構成された積層薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成される。また、上記した引出電極53,54は、例えば、クロムの下地電極層と、金の中間電極層と、クロムの上部電極層と、から構成された積層薄膜である。この薄膜は、真空蒸着法等の手法により全面に形成された後、フォトリソグラフィ法によりメタルエッチングして所望の形状に形成され、クロムの上部電極層のみが部分的にマスクして真空蒸着法等の手法により形成される。
【0040】
また、基部23の表側主面25には、図2に示すように、基部側溝部28が形成され、この基部側溝部28により、異極で構成された第1励振電極51と引出電極54との接続、及び第2励振電極52と引出電極53との接続が回避される。図2に示す基部側溝部28の形状は、その開口形状が基部23の他端面29(下記参照)側へ向かうにしたがって中央に近接するように折曲形成されてなる。このため、接続領域2Aを拡大することができる。
【0041】
上記した水晶振動片2の寸法に関して、図2に示すように、基部23の一端面24と対応する他端面29から第1,2脚部21,22の突出端面211,221までの全長距離L1は、1500μm以下に設定され、本実施例では、1500μmに設定されている。また、基部23の一端面24から他端面29までの基部全長距離L2が、150〜350μmに設定され、本実施例では、300μmに設定されている。また、第1,2励振電極51,52の基部23に形成された部分57,58の一端面24から他端面29に向かう基部側励振電極距離L3が、基部全長距離L2に対して0.2〜0.8の割合の寸法で設定され、本実施例では、120μmに設定されている。また、基部23の一端面24から他端面29に向かう方向(図2に示すY軸方向)と直行する方向(図2に示すX軸方向)の基部全幅距離Wが、500〜700μmに設定され、本実施例では、600μmに設定されている。
【0042】
上記したように、本実施例にかかる水晶振動片2によれば、全長距離L1が、1500μm以下に設定されるとともに、基部全長距離L2が、150〜350μmに設定され、基部側励振電極距離L3が基部全長距離L2に対して0.2〜0.8の割合の寸法で設定され、基部全幅距離Wが、500〜700μmに設定されている。そのため、基部23における引出電極53,54と外部電極(電極パッド41,42)との接続領域を確保したまま、全長距離L1に対する基部全長距離L2の割合を減少させることができる。そのため、基部23上の基部側励振電極距離L3を延長することができる。その結果、基部23での振動漏れを防ぐことができ、当該水晶振動片2の直列共振抵抗値を低く抑えて水晶振動片2の特性を良好にすることができる。また、水晶振動片2の基部23の全長寸法(全長距離L1)を小さくした場合であっても、引出電極53,54の電極パターンの形成を容易にして、電極ショートが起こるのを防止することができる。
【0043】
また、基部23上の第1,2励振電極51,52は、その基部側先端55,56幅を狭くし、かつ、基部23の中央領域2Bに位置するように形成されるので、基部23において引出電極53,54と外部電極(電極パッド41,42)と電気的に接続させる接続領域2Aを確保することができる。具体的に、第1,2励振電極51,52は基部23の中央領域2Bに形成されるので、基部23の幅方向の端部領域において接続領域2Aを確保することができる。そのため、水晶振動片2の小型化がすすみ、その結果、基部23が小型化された場合であっても、接続領域2Aを確保することができ、小型化にともなって本構成による作用効果は著しく得ることができる。
【0044】
また、表裏側主面25,26において第1,2励振電極51,52は対称形成されるので、第1,2励振電極51,52による振動のバランスが保たれ、より直列共振抵抗値を低く抑えて特性を向上させることができる。
【0045】
また、引出電極53,54と外部電極(電極パッド41,42)との接続領域2Aは、基部23の第1,2励振電極51,52の全長方向(Y軸方向)延長上の位置以外の位置に形成されるので、基部23の第1,2励振電極51,52の全長方向(Y軸方向)延長上の位置を、第1,2励振電極51,52から外部電極(電極パッド41,42)に引き出される引出電極53,54の電極形成領域として確保することができる。また、第1,2励振電極51,52を基部23の他端面29側へ延長して設けることができるので、水水晶振動片2の直列共振抵抗値を低く抑えて水晶振動片2の特性を良好にすることが可能となる。
【0046】
また、第1,2脚部21,22の表裏側主面25,26には、脚部側溝部27が形成されるので、水晶振動片2の直列共振抵抗値を低く抑え、良好な直列共振抵抗値を得るのに好ましい。特に、基部23での振動漏れを基部側溝部28で防ぐことができ、水晶振動片2の直列共振抵抗値を低く抑えて水晶振動片2の特性を良好にすることができる。
【0047】
また、基部23の表側主面25には、基部側溝部28が形成されるので、水晶振動片2の直列共振抵抗値を低く抑え、良好な直列共振抵抗値を得るのに好ましい。また、基部側溝部28によって、異極で構成された第1,2励振電極51,52と引出電極53,54との接続を回避することができ、電極ショートが起こるのを防止することができる。
【0048】
また、上記したように、本実施例にかかる水晶振動子1によれば、ベース11とキャップ12とから内部空間13を有するパッケージが構成され、内部空間13内のベース11上に、上記した水晶振動片2が保持されているので、上記した本発明にかかる水晶振動片2と同様の作用効果を有する。
【0049】
なお、本実施例では、2本の第1,2脚部21,22から構成されているが、脚部が複数本で構成されていればその本数は限定されるものでなく、例えば、4本の脚部から構成されてもよい。
【0050】
また、本実施例では、導電性接合材3として、導電性接着剤を用いているが、金属バンプを用いても良い。この金属バンプの場合、導電性接着剤と比較して水晶振動片2と電極パッド41,42との接合領域を小さくすることができ、水晶振動子1の小型化に好適である。
【0051】
また、本実施例では、第1,2脚部21,22の表裏側主面25,26に脚部側溝部27が形成されているが、これは直列共振抵抗値を改善させるための好適な例であり、表裏側主面25,26のうちいずれか一主面に設けられてもよい。
【0052】
また、本実施例では、基部23上の第1,2励振電極51,52は、その基部側先端に向かうにつれてその一片が基部23の中央領域2Bに向かうように漸次傾斜して形成されているが、これに限定されるものでなく、基部23上の第1,2励振電極51,52は、その基部側先端幅を狭くし、かつ、基部23の中央領域2Bに位置するように形成されていればよい。そのため、図3に示すように基部23上の第1,2励振電極51,52が階段状に形成されてもよい。
【0053】
また、本実施例では、図2に示す基部側溝部28が基部23の表側主面25に形成されている、この基部側溝部28の形状はこれに限定されるものではなく、異極で構成された励振電極と引出電極との接続を回避するものであれば、その形状は任意に設計されてよい。例えば、図3に示すように基部側溝部28の形状(基部側溝部28の開口形状)が長方形であってもよい。また、基部側溝部28は、基部23の表側主面25だけではなく、裏側主面26にも形成されてもよい。
【0054】
なお、本発明は、その精神(主旨)または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施例はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、音叉型水晶振動片などの音叉型圧電振動片、及び音叉型水晶振動子などの圧電振動デバイスに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1(a)は、本実施例にかかる、キャップは外した状態の水晶振動子の概略平面図である。図1(b)は、本実施例にかかる水晶振動子の内部空間を示した側面図である。
【図2】図2は、本実施例にかかる水晶振動片の平面図である。
【図3】図3は、本実施例の他の例にかかる水晶振動片の平面図である。
【符号の説明】
【0057】
1 音叉型水晶振動子(圧電振動デバイス)
11 ベース
12 キャップ
13 内部空間
2 音叉型水晶振動片(音叉型圧電振動片)
21,22 第1脚部,第2脚部(脚部)
211,221 脚部の突出端面
23 基部
24 基部の一端面
25,26 表側主面,裏側主面(主面)
27 脚部側溝部
28 基部側溝部
29 他端面
2A 接続領域
2B 基部の中央領域
51,52 第1励振電極,第2励振電極(励振電極)
53,54 引出電極
57,58 励振電極の基部に形成された部分
L1 全長距離
L2 基部全長距離
L3 基部側励振電極距離
W 基部全幅距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、この基部の一端面から突出した複数本の脚部とから構成された音叉型圧電振動片において、
異電位で構成された励振電極が前記脚部及び前記基部に形成されるとともに、前記励振電極を前記基部で外部電極と電気的に接続させるために前記励振電極から引き出された引出電極が前記基部及び前記脚部に形成され、前記基部で前記引出電極と外部電極とが電気的に接続され、
前記基部の一端面と対向する他端面から前記脚部の突出端面までの全長距離が、1500μm以下に設定されるとともに、前記一端面から前記他端面までの基部全長距離が、150〜350μmに設定され、
前記励振電極の前記基部に形成された部分の前記一端面から前記他端面に向かう基部側励振電極距離が、前記基部全長距離に対して0.2〜0.8の割合の寸法で設定され、
前記基部の前記一端面から前記他端面に向かう方向と直行する方向の基部全幅距離が、500〜700μmに設定されたことを特徴とする音叉型圧電振動片。
【請求項2】
前記基部上の前記励振電極は、その基部側先端幅を狭くし、かつ、前記基部の中央領域に位置するように形成されたことを特徴とする請求項1に記載の音叉型圧電振動片。
【請求項3】
前記脚部は2つ設けられ、かつ、前記主面において前記励振電極は対称形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の音叉型圧電振動片。
【請求項4】
前記引出電極と外部電極との接続領域は、前記基部の前記励振電極の前記全長方向延長上の位置以外の位置に形成されたことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1つに記載の音叉型圧電振動片。
【請求項5】
前記脚部の少なくとも一主面には、脚部側溝部が形成されたことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1つに記載の音叉型圧電振動片。
【請求項6】
前記基部の少なくとも一主面には、基部側溝部が形成されたことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1つに記載の音叉型圧電振動片。
【請求項7】
ベースとキャップとから内部空間を有するパッケージが形成され、前記内部空間内の前記ベース上に、請求項1乃至6のうちいずれか1つに記載の音叉型圧電振動片が前記基部において保持されたことを特徴とする圧電振動デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−81698(P2007−81698A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265662(P2005−265662)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000149734)株式会社大真空 (312)
【Fターム(参考)】