音声及びデータパケット送信のための無線通信システムにおける送信装置内でのタイマの運用
本発明は、音声及びパケット送信のための無線通信システムに関する。システムは、受信装置(NodeB;UE)へ音声及びデータパケットを送信するための送信装置(NodeB;UE)を含む。送信装置は、第1期間にセットされ、送信装置から第1データパケット(P1)が送信される時に開始するよう構成される第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を備える。送信装置(NodeB;UE)は、第2電力(E2)が選択される第2閾値レベル(Eth2)以下である場合には、第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を中断させるよう構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、並びに、音声及びデータパケット送信のための方法に関する。システムは、受信装置へ音声及びデータパケットを送信するための送信装置を含む。送信装置は最大電力を有し、ゼロから最大電力と選択される第1閾値レベルとの差までの第1範囲内の大きさの第1電力により高優先度データを第1専用チャネル上で送信すると共に、ゼロから最大電力マイナス第1電力マイナス第1閾値レベルまでの第2範囲内の大きさの第2電力により低優先度データを第2専用チャネル上で送信するよう構成される。送信装置は、第1期間にセットされ、送信装置から第1データパケットが送信される時に開始するよう構成される第1破棄タイマを備える。送信装置は、第1期間内に受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は第1データパケットの所定の回数の再送の後に、第1データパケットを破棄するよう構成される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ダウンリンク方向における、HSDPAで表される高速ダウンリンクパケットアクセス(High−Speed Downlink Packet Access)を利用した無線データ送信に関し、特に、NodeBのような送信装置におけるタイマの運用に関する。本発明はまた、アップリンクにおける、HSUPAで表される高速アップリンクパケットアクセス(High−Speed Uplink Packet Access)を利用した無線データ送信に関し、特に、ユーザ機器(UE:user equipment)のような送信装置におけるタイマの運用に関する。本発明は、UE内のHSUPAトラフィックのためのタイマT1_UEと類似した、NodeB内のHSDPAトラフィックのためのタイマT1_NodeBの利用を対象とする。
【0003】
図1は、NodeBにおける高速ダウンリンク共有チャネル(HS−DSCH:High−Speed Downlink Shared Channel)を概略的に示し、図2は、UEにおけるHS−DSCHを概略的に示している。図1及び図2は、即ち、NodeBからUEへのダウンリンク方向に関する。
【0004】
HSDPAにより、NodeBとUEとの間に新たに認知されたプロトコルが導入される。NodeBは、入って来るダウンリンクエンドユーザのデータをバッファリングし、いつバッファリングされたデータを送信するのかを決定するために内部のスケジューリングエンティティを利用する。スケジューリング決定の目的は、NodeBが、UEエンティティからチャネル品質評価を継続的に受信することである。NodeBはまた、UE受信装置の機能性についての知識を有する。
【0005】
毎秒500回までのペースで、NodeBは、メディアアクセス制御高速(以下MAC−hsと呼ばれる)プロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)をUEに送信する。2msの送信機会ごとに、NodeBは、バッファリングされたデータ量、チャネル品質評価、UEの機能性、及び利用可能なダウンリンク符号の与えられた量に従って、MAC−hs PDUのサイズを変えることが出来る。MAC−hsエンティティごとに、1つのUEのためのデータ、又は15個までのUEのためのデータが、符号分割を利用して、2msの送信機会ごとに、スケジューリングされたUEの間でスケジューリングされうる。UEは、高速共有制御チャネル(HS−SCCH:High−Speed Shared Control Channel)と示されるHSDPA制御チャネルを復号し、CRCチェックサムが成功すると、UEは、高速物理ダウンリンク共有チャネル(HS−PDSCH:High−Speed Physical Downlink Shared Channel)と呼ばれるHSDPAパケットデータチャネルの復号に進む。
【0006】
HS−SCCH及びHS−PDSCHの結果に従って、UEは、受信フィードバックをピア(peer)NodeBへ送信する。受信フィードバックは、NodeB送信装置により解釈され、UEのための受信失敗を示すネガティブなフィードバックの後に、NodeBはデータを再送し、又は、UEのフィードバックが無い場合に、即ち、不連続送信(DTX:Discontinous Transmission)ということだが、NodeBはデータを再送する。
【0007】
MAC−hs PDUは、フィールド0から63まで巡回するモジュロ送信シーケンス番号(Transport Sequence Number、以下TSNと呼ばれる)により付番される。MAC−hsは、複数のハイブリット自動リピート要求(Hybrid−Automatic Repeat−reQuest、以下HARQと呼ばれる)プロセスから構成され、各HARQプロセスは、MAC−hs PDUを送信し、確認応答(ACKnowledgement、以下ACKと呼ばれる)、受信装置がMAC−hs PDUを正確に復号しなかったことを意味する否定応答(Negative Acknowledgement、以下NACKと呼ばれる)、又は、フィーバック無し、即ちDTXを待ち受ける。往復時間は、無線インタフェースの伝播遅延を除いた、MAC−hs PDU送信からフィードバックACK/NACKの受信が確定されるまでの時間を含む。NACKの受信の後に、MAC−hs送信装置は、MAC−hs PDUを再送する。複数のHARQプロセスを有する理由は、1つのHARQプロセスのみが利用可能である場合に往復時間が相対的に長いからであり、全接続時間Tで割った送信時間t(以下t/Tと呼ばれる)は短いであろう。このことは、1つのプロセスが応答を待つ間に、他のHARQプロセス、又は、複数のHARQプロセスが送信することを意味する。この結果として、t/Tは100パーセントとなりうる。
【0008】
MAC−hsプロトコルは、セミリライアブル(semi−reliable)であり、即ち、送信側のMAC−hsエンティティは、送信されたMAC−hsを破棄することが出来、受信側のMAC−hsエンティティへと1回又は数回再送する可能性がある。
【0009】
MAC−hs PDUを破棄する理由は、MAC−hs受信装置が他のセルに移動し電力が低下した場合に、又は、任意の他の理由によりデータを受信出来ない場合に、無線リンクを介した不必要な再送を防止することであり、最初の送信若しくは最大数の再送の後の所定の時間に、又は双方を組み合わせた後の所定の時間に行なわれる。
【0010】
UEにおけるMAC−hs受信装置は、シーケンスが昇順でない順番でPDUが受信された場合(再送により起こりうる)の影響を和らげる目的で、受信ウィンドウ(receiver window)を利用する。TSN=next_expected_tsnにおいてMAC−hs PDUが成功裏に復号された場合にはいつでも、受信装置は、RLCレイヤへとPDUを伝達しうる。後続のTSN番号(即ち、next_expected_tsn+1)が既に成功裏に復号されているかどうかに従って、このMAC−hs PDUもまた伝達されうる。送信ウィンドウは適切に更新される。MAC−hsプロトコルからのRLCレイヤへの送信は、連続して行なわれる。
【0011】
例えば送信装置がMAC−hs PDUを破棄したという状況から回復するために、受信装置は、この問題を解決するために以下に記載する2つの仕組みを利用する。
1)タイマに基づくストール(stall)回避:
TSN>next_expected_tsnのPDUの受信時に、受信装置は、T1で表されるタイマを開始する。タイマが切れた時に、受信装置は、後続のPDUが受信されるように適切なアクションを取る。正確な詳細は、3GPP 25.321 11.6.2.3.2章に記載されている。
【0012】
この振る舞いは図5にも示されている。
【0013】
2)ウィンドウに基づくストール回避:
window_sizeで表される受信ウィンドウは<32であり、[highest_received_tsn−window_size+1、highest_received_tsn]の範囲内の全てのTSNを含む。
例:
window_size=8、及び、highest_received_TSN=9は、受信ウィンドウが以下のシーケンス番号、2、3、4、5、6、7、8、9を含むことを意味する。
【0014】
受信ウィンドウの外のTSNのMAc−hs PDU、即ち[highest_received_tsn−window_size+1、highest_received_tsn]の範囲内に無いMAC−hs PDUが受信された後に、受信装置は、自身のhighest_received_tsnをMAC−hs PDUのTSNに等しく設定し、受信ウィンドウの自身の先頭部(highest_received_tsn)を移動させる。
【0015】
受信ウィンドウの先頭部が進む場合に、受信されてはいるが未だに伝達されていない、もはや受信ウィンドウ内に存在しないMAC−hs PDUがRLCレイヤへと伝達される。当業者は、受信ウィンドウ内のTSN番号が、モジュロカウンティングによりTSN=63からTSN=0へと戻る(wrap around)可能性があることが分かるであろう。
【0016】
この振る舞いは図6に示されている。
【0017】
NodeBにおける破棄タイマ:
ノードB・アプリケーション・パート(NBAP:NodeB Application Part)信号の無線リンクセットアップ要求(Radio Setup Request)、及び、NBAP信号の無線リンク再構成要求(Radio Link Recofiguration Request)において、RNCは、以下T1_coarseで表される、HS−DSCH MAC−dフローにおける特定の優先度付きキューのための、破棄タイマ(Discard Timer)と示される任意のフィールドを含む能力がある。
【0018】
使用される場合には、NodeBは、RNCから受信された、特定のHSDPA優先度付きキューのための各プロトコルデータユニットにスタンプを付す(time−stamp)。UEは、幾つかの優先度付きキューを有しうることに注意されたい。
T1_coarseは、各プロトコルデータユニットが送信権を得る時間を定め、NodeBは、期限切れのプロトコルデータユニットを破棄する。
【0019】
T1_coarseは、遅延に影響されやすいデータのためのトラフィックを制御するために利用されうる。
【0020】
T1_coarseは、運用者が、データがRNCから受信されてからの待機時間を、NodeB−hsスケジューラによりHARQプロセスからの送信のためにスケジューリングされるまで制御することを可能とする。
【0021】
しかし、T1_coarseは、各HARQプロセスがそのタスクを完了するために消費する時間を制御しない。
【0022】
UEでは、T1タイマの利用は、運用者が、UEが特定のMAC−hs PDUを受信しようと試みる時間を制御することを可能とする。
【0023】
3GPPにより必要とされていなくても、NodeBのベンダは、各HARQプロセスにより消費される時間を制御するために、第2破棄タイマ(以下、T1_NodeBで表される)を利用する可能性が非常に高い。T1_NodeBは、その目的が、UE T1タイマのもたらす影響を予測すること、即ち、送信されるMAC−hs PDUがUE内のT1タイマの結果として破棄される不必要な送信を防止することであるという意味において、UE内の「T1タイマに類似している」。このような見解の理由は幾つかある。
【0024】
1.T1タイマがUEで利用されるという事実は、送信NodeB側での利用の動機付けとなり、例えば、タイマ及びウィンドウに基づくストール回避によって、UE受信装置が、不完全なMAC−hs PDUシーケンス(例えば、TSN2、3、5、6、7)を自身の上位レイヤへと伝達することもある。本例の場合TSN=4の送信を続けることは、UE並び替え(re−ordering)エンティティがTSN=4を破棄するので、無駄である。
【0025】
2.例えば、UEが劣悪な無線条件により、HS−SCCHを復号出来ないことを想定すると、データを受信出来ないUEのために送信を際限なく継続することは賢明ではない。この場合の際限の無い送信は、正に帯域幅のリソースの浪費である。
【0026】
NodeB T1_NodeB実装の例は、以下のとおりである。
(I)NodeBは、HARQプロセスごとに1つのタイマを実装しており、各タイマは互いに独立して機能し、MAC−hs PDUの(各新しいTSNごとの)最初の送信時に開始する。タイマは、タイマを中断させるACKが受信されるまで継続される。タイマが切れた場合に、MAC−hs PDUが破棄される。
【0027】
(II)先に記載したタイマと、MAC−hs PDUの再送量をカウントするカウンタの双方の組み合わせ。タイマが切れる場合、又は、再送量が閾値を超えて増加する場合には、MAC―hs PDUは破棄される。
【0028】
図3は、NodeB内のE−DCH部を示している。
L1処理は、DPCCHチャネル、E−DPCCHチャネル及びE−DPDCHチャネルの一般的部分の、レイヤ1による復号を示す。MAC−e及びE−DPCCHの復号1〜nは、NodeB内で行なわれる特定のUEのための復号と、EULスケジューラへと送信される得られた情報(例えば、満足/不満足(happy/unhappy)情報)、及び、HARQ受信装置へと送信される得られた情報と、を示している。
HARQエンティティ1〜mは、UE1〜nのために存在するE−DPDCHの復号に必要なHARQ受信装置の機能を示す。HARQエンティティは、E−DCH FP部に情報を送信し、RGCH/HICH処理部を介してUEにフィードバック命令を送信する。
E−DCH FPは、復号されたデータと、Iubインタフェースを介してRNCに送信される制御情報とを送信し、RNCから送信ネットワーク輻輳標識(TCI:Transport Network Congestion Indication)を受信するための一般的な処理を示す。
スケジューラエンティティは、AGCH処理を介して送信される、UEへの正確なスケジューリング許可(scheduling grant)を決定する役目を果たす。スケジューリングエンティティはまた、RNCからのTCIメッセージを復号し、RGSH/HICH処理ユニットを介してRGCHメッセージを送信し、L1処理、MAC−e&E−DPCCH復号、及びHARQエンティティにおいて利用されるUEごとの復号リソース量を制御する役目を果たす。
RGCH/HICH処理1〜nは、UEごとの特定のRGCH及びHICH符号化を含む。
AGCH処理は、特定のAGCG符号化を含む。
レイヤ1の処理は、E−AGCHチャネル及びE−RGCH/HICHチャネルのための汎用レイヤ1の符号化を含む。
UEからの全てのアップリンクチャネルを電力制御するために利用されるF−DPCH/DPCHチャネルは、この図の中に示されていない。
【0029】
図4は、UE内のE−DCH部を示している。
L1処理は、E−AGCHチャネル及びRGCH/HIGHチャネルの一般的な復号を示す。
RGCH/HICH処理は、RGCHチャネル及びHICHチャネルの特定の復号を示す。AGCH処理は、AGCHチャネルの特定の復号を示す。
EUL Ctrlは、上位レイヤからのMAC−Dフローごとの入力バッファキューの監視、送信キュー選択の制御、MAC−esヘッダの制御、HARQプロセスの制御、正しいHARQプロセスへのHICHフィードバックの中継、MAC−eヘッダの制御のようなEUL送信エンティティの全体の制御を含む。
MAC−es処理は、MAC−esヘッダ及びペイロードの符号化を示す。
HARQプロセス1〜mは、HARQ手続きの送信を示す。
MAC−e処理は、MAC−eヘッダ情報の符号化を示す。
UEを電力制御するために利用されるF−DPCH/DPCHチャネルはこの図の中に示されていない。
【0030】
ここで、E−DCHは、アップリンク方向、即ちUEからNodeBへの方向を示している。
【0031】
WCDMA(Wideband Code Division Multiplex Access、広帯域符号分割多重アクセス)仕様書のリリース6において、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA(E−DCHとも呼ばれる))通信方式が、ダウンリンク高速パケットデータアクセス(HSPDA)方式に加えて、後者の通信方式により提供されるビットレートに合わせるために定められ、改善された対話型サービス、バックグラウンドサービス及びストリーミングサービスが提供される。従来技術文書3GPP TS 25.309には、「FDD Enhanced Uplink;Overall Description;Stage 2」がある。2006‐04‐06のバージョンV6.6.0には、拡張Ulが記載されている。
【0032】
関連するセクションがさらに、3GPPの参考文献TS25.211、TS25.321で参照されうる。
【0033】
スケジューリングにより、NodeBには、E−DCHのためのUE送信フォーマット組み合わせ(TFC:Transport Format Combination)部に影響を与えるためのツールが提供される。E−DCHスケジューリングは、NodeBによりUEへと送信されるスケジューリング許可、E−DCHデータレートの上限の設定、及び、現在許可されているよりも速いレートで送信する許可を要求するためにUEからNodeBへと送信されるスケジューリング要求に基づいている。本発明において、スケジューリングされるデータという語は、NodeBがスケジューリング許可を送信した結果としてUEにより送信されるE−DCHデータを示す場合に利用される。
【0034】
E−DCHはまた、本明細書において非スケジューリング対象(non−scheduled)データとして示されるスケジューリングされない送信、即ち、サービング許可(serving grant)に関係なく行なわれる送信をサポートする。非スケジューリング対象MAC−e PDU内で許容されるビット量は、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)を通じてMAC−dフローごとに構成される。基本的に、スケジューリングされない送信は、スケジューリング要求のために必要であるが(明らかに、システムはこの余地が無ければ適切に動作しない)、信号無線ベアラ(SRB:Signal Radio Bearer)及びVoIPのような保証型ビットレートサービスのためにも利用されうる。
【0035】
HSUPAネットワークは、Iuインタフェースを介して無線ネットワークコントローラ(RNC:Radio Network Controller)と通信するコアネットワークを含む。このネットワークはまた、Iubインタフェースを介してRNCと通信する複数の基地局NodeBを含む。各NodeBは、EULスケジューラユニット(EUL_SCH)を含む。EULスケジューラユニットは、MAC−eスケジューラとも呼ばれ、各Iubインタフェースを介してRNCと通信するよう構成される。UEは、無線を介して各NodeBと通信する。
【0036】
以下のHSUPAチャネルは、即ち、UEに対してMAC−eスケジューラからシグナリングする絶対許可を伝達するためのE−DCH絶対許可チャネル(E−AGCH:E−DCH Absolute Grant Channel)、相対許可シグナリングのためのE−DCH相対許可チャネル(E−RGCH:E−DCH Relative Grant Channel)、UEが送信したデータを復号するNodeBからの確認応答のフィードバックを伝達するためのE−DCHハイブリットインジケータチャネル(E−HICH:Hybrid Indicator Channel)、送信電力制御(TPC:Transport Power Control)命令を伝達するための専用物理チャネル(DPCH:Dedicated Physical Channel)又はフラクショナルDPCH(Fractional DPCH)、MAC−eペイロードを伝達するための拡張DPDCH(E−DPDCH:Enhanced DPDCH)、及びMAC−eの制御シグナリングを伝達するための拡張DPCCH(E−DPCCH:Enhanced DPCCH)は、無線を介して送信される。
【0037】
文書3GPP TS 25.309 FDD、Enhanced Uplink Overall descriptionにより、拡張アップリンク仕様書が概観出来る。
【0038】
従来技術の文書「High Speed Uplink Packet Access(HSUPA);White Paper、application note 1MA94」、Rohde Schwarz、01.2006においても、HSUPAの概要が参照されうる。
【0039】
HSUPA仕様書によれば、拡張専用チャネル(E−DCH:Enhanced Dedicated Channel)高速アップリンク送信チャネルは、短い送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)、ソフトな再結合(recombining)による高速ハイブリット自動リピート要求(ARQ:Automatic Repeat Request)、遅延を低減するための高速スケジューリング、データレートの向上、及びキャパシティの向上のような複数の新しい特徴を提供する。
【0040】
UEがNodeBとの通信をセットアップする場合に、HSDPAセッションの後にセットアップ手続きが、送信制御プロトコル(TCP:Transmission Control Protocol)を用いて、例えばインターネットページをダウンロード/サーフィンするために続けられることもある。ユーザエンティティのキャパシティに従って、このことはさらに、HSUPA送信を含むこともあり、HSUPAダウンリンクチャネル上でTCPメッセージを送信するNodeBは、NodeBへのE−DCHアップリンク上でTCP確認応答を受信する。NodeBは、UEがどのようなペースでE−DCH上で送信するかを決定し又はスケジューリングするため、NodeBは自身のスケジューリング決定を伝達するためにE−AGCHを利用する。TCPデータセグメントがダウンリンクで送信されてから、TCP確認応答が応答としてアップリンクで送信されるまでの時間から測定される、より短い遅延は、TCPレイヤのより短い往復時間の見積もりにより、ファイル転送等のダウンロード時間の低減に繋がる。
【0041】
3GPPにより必要とされていなくとも、UEのベンダは、UE内で各HARQプロセスにより消費される時間を制御するために、破棄タイマ(以下T1−UEで表される)を利用する可能性が非常に高い。T1_UEは、その目的が、RNC T1タイマのもたらす影響を予測すること、即ち、送信されるMAC−hs PDUがRNC内のT1タイマの結果として破棄される不必要な送信を防止することであるという意味において、RNC内の「T1タイマに類似している」。
【0042】
既存の解決策による問題点:
図7を参照すると、HSDPAは、以下で解説する「未使用の電力」を利用する。実線は、専用物理チャネル(DPCH)上を送信される音声及び例えばストリーミングサービスのような高優先度データのための、電力制御された専用チャネルDCHの電力利用と、フラクショナル専用物理チャネル(F−DPCH)のために必要とされる電力と、を示している。破線は、HS−DSCHのためにNodeBにより利用される電力を表している。
【0043】
さらに図7を参照するが、同様の状況がHSUPAについて、HSUPAのスケジューリングされたデータ部分のために「未使用の電力」を利用するUEにおいて生じる。実線は、音声、VoIP、又は例えばストリーミングサービスのような高優先度データのための専用チャネルDCHについての電力利用と、専用物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)のために必要とされる電力と、を示している。DCHデータは、専用物理データチャネル(DPDCH)において送信され、又は、HSUPAにおいて非スケジュール対象データとして送信されると想定される。破線は、UEのためのE−DCHのスケジューリングされるデータ部分により利用される電力を表している。
【0044】
破線は、グラフの軸をとの関連で正確に縮尺されていない。しかし、HSDPA/HSUPAがDCHにより利用されない電力のみ利用しうるため、破線及び実線が互いに逆になっていることが明らかである。即ち、実線が最大電力Emaxに達する場合に、破線は、ゼロに近く又はゼロに等しいその最小値に達している。最小値は、以下、「電力低下」(power drop)と呼ばれる。電力低下の間、HSDPA/HSUPAは、如何なる電力も利用することが許されない。これらHSDPA/HSUPA電力が低下する周期又は時点は未知である。
【0045】
図8は、HSDPAの実際の電力利用、即ち、第1閾値Eth1が方程式から外されている場合の当該電力利用を示している。第1閾値Eth1は、共通チャネルのために利用される電力を表している。共通チャネルによって、1つ以上のUEにアドレス指定されるチャネル、又は、共有チャネルであるAGCHチャネルのようなチャネルを示している。共通チャネルは特に、同期チャネル(SCH:Synchronisation Channel)、共通パイロットチャネル(CPICH:Common Pilot Channel)、プライマリ共通制御物理チャネル(P−CCPCH:Primary Common Control Physical Channel)、セカンダリ共通制御物理チャネル(SCCPCH:Secondary Common Control Physical Channel)、E−AGCH、及びE−HICH/E−RGCHがある。当業者は、共通チャネルにより利用される電力(Eth1)が一定ではなく、時間によって変化することに気付くであろうが、問題を示すために、一定の電力として示されている。さらに当業者は、共通チャネルの送信はNodeBのためにのみ有効であり、UEのためには有効でないことが分かるであろう。Eth1は、HSUPA送信ためにUE内で生じる問題を表す場合に、これ以降ゼロである。Emaxは、NodeB及びUEのために利用される最大電力を表す。当業者は、UEのためのEmaxが、USB又はPCMCIAインタフェースによりUEが電力供給される場合の最大エネルギー消費制限により、又は、送信用のエネルギーを格納するためにコンデンサをUEが利用する場合の一時的なエネルギー貯蔵制限により、最大許容送信電力、熱限界のような規制問題に依存しうることが分かるであろう。図7及び図8の双方はさらに以下で、本発明の記載と関連して記載される。
【0046】
ここで問題は、このような電力低下の前にHARQプロセスがMAC−hs/MAC−e PDUを送信した場合に何が起こるかということである。
【0047】
問題を例示するために、以下のシナリオがHSUPAのシナリオために記載される。
a)NodeBが1つのUEへのデータをRNCから受信し、NodeB HARQプロセスからの保留中又は進行中の送信は起きていないと想定する。
b)UEは、自身の並び替えエンティティ内にも、自身のHARQプロセス内にもデータを有さない。Next_expected_tsnは0であり、highest_received_tsnは63である。
c)さらに、NodeBが、先に記載した破棄の仕組み(I又はII)のうちの一方又は他方を実施していると想定する。
d)NodeBは、TSN=0の、HARQプロセス1からのデータを送信し、自身のT1_NodeBを開始する。
e)UEは、HS−SCCHを正確に復号するが、HS−PDSCHは正確に復号しない。即ち、UEは情報を自身のHARQプロセスに格納するが、自身の並び替えエンティティにはどの情報も送られない。
f)先に記載した電力低下が、NodeBからのHSDPAの更なる送信を妨げ、T1_NodeBが場合によっては失効する→TSN=0の、HARQプロセス1内のMac−hs PDUが破棄される。
g)電力低下が終り、HSDPA送信が可能であるが、送信されるべきデータが存在しないので、送信は行なわれない。
【0048】
上記の例の問題から回復するために、RNCは、NodeBから送信されるデータをTSN=1として再送する必要があり、これにより、UE内でT1タイマの開始が促され、タイマが失効した場合に、ピアUE無線リンクプロトコル(RLC:Radio Link Protocol)へとデータを伝達する。
【0049】
より一般的には、HSDPAの電力低下がMAC−hs PDUの破棄に繋がる可能性があり、このために、再送の機会がより少ないために再送の量が予期されるよりも低いというということから、上記問題を説明することができる。
【0050】
「予期される」とは、運用者が、例えば、全てのMAC−hs PDUが少なくとも3回再送されるように、T1_NodeBと再送数とを設定した可能性があるということを意味する。これらの問題は、NodeBが破棄の仕組みに基づいて、例えば先のI若しくはII又はその組み合わせに従って、タイマを利用する場合に発生する。
【0051】
同じ問題が、アップリンク方向においてUEについて存在するが、ここでは、UE内の送信装置は、アップリンク拡張専用チャネルにおいて、高速アップリンクパケットアクセス、HSUPAを利用し、HSDPA及びHS−DSCHの代わりにE−DSHを利用し、T1タイマはRNC内に位置する。
【0052】
従って、上記の確認された問題が解決される、音声及びデータパケットのための改善された無線通信システムについての必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0053】
本発明の目的は、先に記載した必要性を満たすことであり、ダウンリンク方向、及び及び/又は、アップリンク方向におけるより効率の良い無線データ通信を見出すことである。本発明は、電力低下の間、破棄タイマを中断させることを提案する。破棄タイマはその後、電力が戻った時に、一定の基準が満たされた場合に継続される。中断の危険性又はネガティブな観点は、以下で分かるように、ポジティブな側面と比べて低い。
【課題を解決するための手段】
【0054】
無線通信システムは、音声及びデータパケット送信のために意図され、受信装置へと音声及びデータパケットを送信するための送信装置を含む。送信装置は、所定の最大電力を有し、ゼロから最大電力と選択される第1閾値レベルとの差までの第1範囲内の大きさの第1電力により高優先度データ、有利に音声及び/又は高優先度データ通信を第1専用チャネル上で送信すると共に、ゼロから最大電力マイナス第1電力マイナス第1閾値レベルまでの第2範囲内の大きさの第2電力により低優先度データを第2専用チャネル上で送信するよう構成される。送信装置は、第1期間にセットされ、送信装置から第1データパケットが送信される時に開始するよう構成される破棄タイマを備える。送信装置は、第1期間内に受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は第1データパケットの所定の回数の再送の後に、第1データパケットを破棄するよう構成される。
【0055】
ここでは、「所定の最大電力」は、時間とともに変化しうる選択された電力を意味する。即ち、最大電力は、1つの時点において1つの値を有し、異なる時点において他の値を有しうる。NodeBは通常、最大電量の変動に関しては、UEよりもスタティック(static)である。
【0056】
本発明は、送信装置が、第2電力が選択される第2閾値レベル以下である場合には、第1破棄タイマを中断させるよう構成されるということを特徴とする。第2閾値レベルと等しいことは特に、第2閾値レベルがゼロである場合を指しているが、ゼロを上回る値のためにも有効でありうる。
【0057】
本発明の1つの効果は、電力低下によりデータパケットが送信され確認応答されることが妨げられる場合に、不必要なRLC再送が防止されうるということである。
【0058】
送信装置は、無線基地局、即ち、ダウンリンク方向においてHSDPAを使用するよう構成されるNodeB内に含まれうる。第2電力は、HSPDA送信のために利用される電力である。第1破棄タイマは、HSPDA電力が第1専用ダウンリンクチャネルDCH上のトラフィックによって選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される。
【0059】
送信装置はまた、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)を使用するよう構成されるUE内にも含まれうる。HSUPAは、現在のアップリンク速度が5.76Mbit/sまでの、HSPAファミリにおける3G携帯電話通信プロトコルである。HSUPAのための仕様書は、3GPPにより発行されたユニバーサル移動通信システムのリリース6の規格に含まれる。
【0060】
HSUPAは、アップリンク拡張専用チャネルE−DCHを利用し、このE−DCH上では、HSDPAにより採用されるものと類似したリンク適応方法を採用する。
【0061】
従って、ユーザ機器は、アップリンク方向においてHSUPAを使用するよう構成される。第2電力は、HSUPAのために利用される電力であり、最大電力は、UEの最大送信電力である。第1破棄タイマは、HSUPA電力が第1専用チャネル上のUE及び/又はトラフィック上の電力制限によって選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される。
【0062】
第1破棄タイマT1_NodeB/T1_UEは、HARQプロセス内に包含され、このHARQプロセスは、送信されたMAC−hsプロトコルデータユニット(PDU)/MAC−e PDUが成功裏に受信されたことを示す確認応答信号(ACK)が受信されると、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告する。ここで、図1〜図4が参照されるが、ここでは「MAC−hsスケジューラ」は、NodeB内のダウンリンク部分に含まれ、「MAC−e制御装置」は、UEのアップリンク部分に含まれる。
【0063】
送信装置がHARQプロセスを中断する場合に、受信装置での成功裏の受信の確率を上げるためにHARQプロセスがスケジューラ/MAC−e制御装置からスケジューリングの許可を得るために、延長時間(extra time)が第1破棄タイマに追加される。
【0064】
本発明の他の実施形態において、HARQプロセスは、任意のHARQプロセスがTSN>TSNHARQにおいてACKを受信したかを調べるよう構成され、但しTSNは[lowest_transmitted_tsn、highest_transmitted_tsn]内にあり、真である場合には、HARQプロセスは第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を再開する。
【0065】
送信装置は、3GPP若しくはロングタームエボリューション(Long Term Evolution)を利用し、又は、拡張アップリンクが可能であるよう構成される。
【0066】
以下、本発明がより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
以下、複数の図面を参照して本発明を記載することにする。先に図1〜図8との関連で従来技術が記載されてきたが、図1〜図6における情報が図8〜図12との関連で利用される。
【図1】従来技術に従ったNodeB内のHS−DSCHの全体図を概略的に示す。
【図2】従来技術に従ったUE内のHS−DSCHの全体図を概略的に示す。
【図3】従来技術に従ったNodeB内のE−DCH部の全体図を概略的に示す。
【図4】従来技術に従ったUE内のE−DCH部の全体図を概略的に示す。
【図5】従来技術に従ったタイマベースのストール回避に関するスキーム及びフローチャートを概略的に示す。
【図6】従来技術に従ったウィンドウベースのストール回避に関するスキーム及びフローチャートを概略的に示す。
【図7】HSDPA/HSUPAがどのように送信装置の「未使用の電力」を利用するのかに関する、従来技術に従った電力チャートを概略的に示す。
【図8】HSDPA/HSUPAの実際の電力利用に関する、従来技術に従った電力チャートを概略的に示す。
【図9】従来技術に従った状態図を概略的に示す。
【図10】本発明に係る1つのHARQプロセスのための方法のフローチャートを概略的に示す。
【図11】本発明の第1実施形態に係る状態図を概略的に示す。
【図12】本発明の第2実施形態に係る状態図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
先に述べたように、先に図1〜図8との関連で従来技術を記載してきたが、本発明を解説するために、以下では、図1〜図8が図9〜図12と共に参照される。
【0069】
図7は、送信装置がNodeBであり、HSDPAが、図に示すように、UEへの通信のために「未使用の電力」を利用する場合を示す。実線は、音声及び又はストリーミングサービス又は保証型ビットレート(GBR:Garanteed BitRate)サービスのような高優先度データのための、電力制御された専用チャネルDCHの電力利用を示す。破線は、DCHの電力がどのように、HSDPAにより利用可能な電力に影響を与えるのかを示す。HSDPAがDCHにより使用されない電力のみ使用しうるため、破線及び実線が互いに逆になっていることが明らかである。即ち、実線が最大電力EMAXに達する場合に、破線は、ゼロに近く又はゼロに等しいその最小値に達している。以下では、最小値は「電力低下」と呼ばれる。電力低下の間、HSDPAは、如何なる電力も利用することが許されない。これらHSDPA電力が低下する周期又は時点は予測不可能である。
【0070】
先に述べたように、本発明は、上記に係るHSDPA又はDSUPAを利用した音声及びデータパケット送信のための無線通信システムに関する。本システムは、音声及びデータパケットを、NodeB又はUEである受信装置へと送信するための、NodeB内又はUE内の送信装置をそれぞれ含む。送信装置がNodeBである場合には、受信装置はUEであり、そしてその逆も同様である。送信装置NodeB;UEは、所与の時点において最大電力Emaxを有し、ゼロから最大電力と選択される第1閾値レベルEth1との差までの第1範囲R1内の大きさの第1電力E1により高優先度データを第1専用チャネルDCH上で送信すると共に、ゼロから最大電力Emaxマイナス第1電力E1マイナス第1閾値レベルEth1までの第2範囲R2内の大きさの第2電力E2により低優先度データを第2専用チャネルHS−DSCH;E−DSCH上で送信するよう構成される。
【0071】
図8は、HSDPA/HSUPAの実際の電力利用を示す。即ち、第1閾値レベルが、可能性のある利用可能な電力から減算されている。E2=Emax−Eth1−E2であることが図から明らかであり、このことは、E2がゼロ(E2=Emax−Eth1である場合)からEmax−Eth1(E2がゼロである場合)までの範囲にある残り電力のみを利用しうることを示している。
【0072】
図9は、従来技術に従った状態図を示す。図9は、データパケットP1の最初の送信時に開始される、HARQプロセスに包含される第1破棄タイマT1_NodeB;T1_UEを示している。HARQプロセスは、送信されたデータパケットP1が成功裏に受信されたことを示す確認応答信号ACKが受信されると、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告するよう構成され、又は、T1_NodeB内に受信装置により確認応答がなされなかった場合に、若しくはP1データパケットの所定の回数の再送の後に、P1データパケットを破棄するよう構成される。
【0073】
図10は、本発明に係る1つのHARQプロセスのための方法のフローチャートを概略的に示す。基本的に、図10は、電力低下が示される場合に(Power_drop_ind)、第1破棄タイマT1_NodeB;T1_UEが中断されることを示している。
【0074】
図10を参照するが、図11は、本発明の第1実施形態に係る状態図を概略的に示している。本発明に係る送信装置は、図9に従ったHARQプロセスを利用し、従って、第1期間に設定され、送信装置から第1データパケットP1が送信される時に開始するよう構成される第1破棄タイマT1_NodeBを備える。送信装置NodeB;UEは、第1期間内に受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は第1データパケットの所定の回数の再送の後に、第1データパケットを破棄するよう構成される。本発明によれば、送信装置NodeB;UEは、第2電力E2が選択される第2閾値レベルEth2以下である場合には、第1破棄タイマT1_NodeB;T1_UEを中断させるよう構成される。破棄タイマT1_NodeB;T1_UEは、第2電力E2が戻った場合、即ち選択される第2閾値レベルEth2を上回る場合に再開するよう構成される。第2閾値レベルEth2はゼロまで設定可能であり、このことが図7及び図8に示されている。
【0075】
HARQプロセスは、送信されたMAC−hs/MAC−e PDUが成功裏に受信されたことを示す確認応答信号ACKを受信する場合に、確認として確認応答信号ACKを受け取るよう構成され、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告する。HARQプロセスは、破棄タイマT1_NodeB;T1_UEの中断前、当該中断の間、及び当該中断の後にACKを受け取るよう構成される。
【0076】
NodeBがT1_NodeBを実装する動機は、主に、不必要な再送が起きることを防止することである。状況は、従来技術に関連して先に述べたように、UEのタイマベース及びウィンドウベースストール回避により、上位レイヤ、即ちRLCレイヤへと不完全なMAC−hs TSNシーケンスデータが伝達される場合に起こりうる。
【0077】
RLCレイヤがAMモード(Acknowledge Mode)で動作する場合に、RLCレイヤは、欠けているデータを再送する。RLCの再送がエンドユーザのスループットを減少させるか否かは多くのファクタに、例えばエンドTCP状態及びRLC AM状態、同様にNodeB状態に依存するが、一般には、HSDPAが3GPPプロトコル群に新たな再送エンティティを導入したという事実から、RLC再送の量を最小限にすることが賢明である。
【0078】
従って、電力低下がまれに起こる場合、1つの解決策は、当然のことながら何も行なわないことであるが、一方、電力低下は、重要なイベントの間に起こる可能性があり、乏しいスループットのマイナス面により、無線HSDPA運用者についてネガティブな評判が引き起こされるであろう。しかし、繰り返すが、電力低下の周期は未知である。
【0079】
提案される解決策は、電力低下が存在する場合に各HARQプロセスに標識を備え、現在のT1_NodeBを中断又は抑制又は停止又はホールド(hold)することである。電力低下の状態が収束した時に、タイマは再開される。
【0080】
HARQプロセスが、送信されるMAC−hsが成功裏に受信されたというポジティブなフィードバックACKを受信する場合に、HARQプロセスは、確認としてACKを受け取り、内部のMAC−hsスケジューラに成功裏の結果を報告する。このことは、送信されUEにより正常に受信された、処理が済んでいない(outstanding)データをHARQプロセスが有するが、HARQがUEでの成功裏の受信を知らない時に、電力低下が起こる場合に起こりうる。
【0081】
全てのHARQプロセスがここで各個別のHARQプロセスを中断する場合に、各HARQプロセスが、スケジューラからスケジューリングの許可を得て、UEでの成功裏の受信の確率を向上させるために、延長時間が追加される。
【0082】
例外的な状況:
本発明が利用される場合、NodeBにおけるT1_NodeBは、電力低下によって、UEにおけるT1タイマよりも遅く切れる可能性がある。一般にこのことは、受信側がデータを拒絶する間に送信側がデータを送信する危険性が高まるので好ましくない。
【0083】
例:
a)UE内の並び替えエンティティが以下の状態を有すると想定する:
next_expected_tsn=13
highest_received_tsn=14(即ち、TSN=3が欠けている)
これにより、T1タイマは動作していることになる。
HARQプロセス1は、MAC−hs TSN=13からの情報を格納している。
b)NodeB内のHARQプロセス1は、駆動しているT1_NodeBを有し、MAC_hs PDU TSN=13を一度送信している。
c)電力低下が起こり、タイマがNodeB内で中断される。
d)UE T1タイマが切れ、next_expected_tsn=15となり、highest_received_tsn=14となる。
e)電力低下が解消し、HARQプロセス1はTSN=13を再送する。これにより、UEでの成功裏の受信がもたらされ、そして並び替えエンティティ内の破棄されたデータが与えられる。
【0084】
この例は、T1_NodeBの一般的な中断が役に立たない場合の例を示している。一方、プロトコルはこの振る舞いに対して堅牢であり、害を及ぼさない。
【0085】
図10を参照するが、図12は、本発明の第2実施形態に係る状態図を概略的に示しており、第1実施形態における例のネガティブな影響を克服するために、以下のことが提案される。
【0086】
各HARQプロセスは、任意のHARQプロセスがTSN>TSNHARQにおいてACKを受信したかを調べるよう構成され、但しTSNは[lowest_transmitted_tsn;highest_transmitted_tsn]の範囲内にある。真である場合には、HARQプロセスはT1_NodeBを再開する。当業者は、[lowest_transmitted_tsn;highest_transmitted_tsn]内のTSN番号が、モジュロカウンティングによりTSN=63からTSN=0へと戻りうることが分かるであろう。
【0087】
例:
NodeBが[3、7]のウィンドウを送信し、即ち、NodeBはTSN=3、4、5、6、7を送信したと想定する。そして、TSN=3については未だに受信装置により確認応答がなされず、その他については確認応答がなされるものとする。TSN=5を送信するHARQプロセスは、電力低下の間に、TSN=6又は7が確認応答されているか(又は、確認応答される予定か)どうかを調べ、そうである場合には、自身のT1_NodeBを再開する。
【0088】
本実施形態により、UEが、
a)UE内のT1タイマが開始している、又は、
b)全データが正確に受信された
ということの明示的な標識である現在の送信ウィンドウにおいて、
上位のTSN、即ちNodeBにより「遅れて送信された」当該TSNの受信を確認したかどうかを検査するステップが含まれる。a)b)の双方の場合に、好適なアクションは、T1_NodeB;T1_UEを再開することである。
【0089】
本発明の第3実施形態に従って、T1_NodeBの中断はサービスに依存し、このことは一定のトラフィックの遅延のためには、全体のスループットよりも、より重大(critical)であることもある。
【0090】
例えば、T1_NodeBの中断は以下のことに基づく。
a)UEがどのような送信優先度を有するか基づき、又は、UEごと、及び(複数のキューが存在する場合には)優先度付きキューごとの送信優先度に基づいて、例えばユーザごとのMAC−dフローごとに設定される。
b)上位レイヤのユーザの優先度、例えば、8つの優先度クラスを有するIEEE 802.1Dにおけるユーザの優先度に依存する。
c)その上位レイヤに提供されるRLCサービス、即ち、透過的データ転送サービス(Transparent data transfer service)、確認応答されないデータ転送サービス、及び、確認応答されるデータ転送サービス(3GPP 25.322参照)のモードに基づく。
d)当該中断は、他のバックグラウンドデータに対してVoIPサービスについて異なって設定されうる。
【0091】
図7〜12を参照しながら、第2電力はHSPDA電力であり、第1破棄タイマT1_NodeBは、HSUPA電力が第1専用チャネルDCH上のDCHトラフィックによって選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断されることを記載してきた。
【0092】
先に記載したように、送信装置はユーザ機器UEであってもよい。ここで、図3〜図4が参照される。UEは、アップリンク方向においてHSUPAを利用するよう構成され、第2専用チャネルは、E−DCH上を送信されるスケジューリングされたデータである。第2電力E2はHSUPA電力であり、最大電力Emaxは、UEの最大送信電力である。第1破棄タイマは、HSUPA電力が第1専用チャネルDCH上のUE及び/又はDCHトラフィック上の電力制限によって選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される。従って、図7〜12は、UEのためにも有効であり、その場合、E−DCHが、HSUPA送信のためのHSDSCHの代わりとなる。
【0093】
総括すると、NodeB又はUE内の送信装置は、スケジューラ/MAC−e制御装置からスケジューリングの許可を得て、受信装置NodeB;UEにおける成功裏の受信の確率を上げるために、第1破棄タイマT1_NodeBに延長時間を追加することにより、HARQプロセスを中断するよう構成される。
【0094】
当業者は、先に紹介した解決策が、拡張アップリンクが可能なUEにおける送信側のため、同様に、NodeB又はUEに実装される拡張アップリンクのために利用されうることが分かるであろう。
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信システム、並びに、音声及びデータパケット送信のための方法に関する。システムは、受信装置へ音声及びデータパケットを送信するための送信装置を含む。送信装置は最大電力を有し、ゼロから最大電力と選択される第1閾値レベルとの差までの第1範囲内の大きさの第1電力により高優先度データを第1専用チャネル上で送信すると共に、ゼロから最大電力マイナス第1電力マイナス第1閾値レベルまでの第2範囲内の大きさの第2電力により低優先度データを第2専用チャネル上で送信するよう構成される。送信装置は、第1期間にセットされ、送信装置から第1データパケットが送信される時に開始するよう構成される第1破棄タイマを備える。送信装置は、第1期間内に受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は第1データパケットの所定の回数の再送の後に、第1データパケットを破棄するよう構成される。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ダウンリンク方向における、HSDPAで表される高速ダウンリンクパケットアクセス(High−Speed Downlink Packet Access)を利用した無線データ送信に関し、特に、NodeBのような送信装置におけるタイマの運用に関する。本発明はまた、アップリンクにおける、HSUPAで表される高速アップリンクパケットアクセス(High−Speed Uplink Packet Access)を利用した無線データ送信に関し、特に、ユーザ機器(UE:user equipment)のような送信装置におけるタイマの運用に関する。本発明は、UE内のHSUPAトラフィックのためのタイマT1_UEと類似した、NodeB内のHSDPAトラフィックのためのタイマT1_NodeBの利用を対象とする。
【0003】
図1は、NodeBにおける高速ダウンリンク共有チャネル(HS−DSCH:High−Speed Downlink Shared Channel)を概略的に示し、図2は、UEにおけるHS−DSCHを概略的に示している。図1及び図2は、即ち、NodeBからUEへのダウンリンク方向に関する。
【0004】
HSDPAにより、NodeBとUEとの間に新たに認知されたプロトコルが導入される。NodeBは、入って来るダウンリンクエンドユーザのデータをバッファリングし、いつバッファリングされたデータを送信するのかを決定するために内部のスケジューリングエンティティを利用する。スケジューリング決定の目的は、NodeBが、UEエンティティからチャネル品質評価を継続的に受信することである。NodeBはまた、UE受信装置の機能性についての知識を有する。
【0005】
毎秒500回までのペースで、NodeBは、メディアアクセス制御高速(以下MAC−hsと呼ばれる)プロトコルデータユニット(PDU:Protocol Data Unit)をUEに送信する。2msの送信機会ごとに、NodeBは、バッファリングされたデータ量、チャネル品質評価、UEの機能性、及び利用可能なダウンリンク符号の与えられた量に従って、MAC−hs PDUのサイズを変えることが出来る。MAC−hsエンティティごとに、1つのUEのためのデータ、又は15個までのUEのためのデータが、符号分割を利用して、2msの送信機会ごとに、スケジューリングされたUEの間でスケジューリングされうる。UEは、高速共有制御チャネル(HS−SCCH:High−Speed Shared Control Channel)と示されるHSDPA制御チャネルを復号し、CRCチェックサムが成功すると、UEは、高速物理ダウンリンク共有チャネル(HS−PDSCH:High−Speed Physical Downlink Shared Channel)と呼ばれるHSDPAパケットデータチャネルの復号に進む。
【0006】
HS−SCCH及びHS−PDSCHの結果に従って、UEは、受信フィードバックをピア(peer)NodeBへ送信する。受信フィードバックは、NodeB送信装置により解釈され、UEのための受信失敗を示すネガティブなフィードバックの後に、NodeBはデータを再送し、又は、UEのフィードバックが無い場合に、即ち、不連続送信(DTX:Discontinous Transmission)ということだが、NodeBはデータを再送する。
【0007】
MAC−hs PDUは、フィールド0から63まで巡回するモジュロ送信シーケンス番号(Transport Sequence Number、以下TSNと呼ばれる)により付番される。MAC−hsは、複数のハイブリット自動リピート要求(Hybrid−Automatic Repeat−reQuest、以下HARQと呼ばれる)プロセスから構成され、各HARQプロセスは、MAC−hs PDUを送信し、確認応答(ACKnowledgement、以下ACKと呼ばれる)、受信装置がMAC−hs PDUを正確に復号しなかったことを意味する否定応答(Negative Acknowledgement、以下NACKと呼ばれる)、又は、フィーバック無し、即ちDTXを待ち受ける。往復時間は、無線インタフェースの伝播遅延を除いた、MAC−hs PDU送信からフィードバックACK/NACKの受信が確定されるまでの時間を含む。NACKの受信の後に、MAC−hs送信装置は、MAC−hs PDUを再送する。複数のHARQプロセスを有する理由は、1つのHARQプロセスのみが利用可能である場合に往復時間が相対的に長いからであり、全接続時間Tで割った送信時間t(以下t/Tと呼ばれる)は短いであろう。このことは、1つのプロセスが応答を待つ間に、他のHARQプロセス、又は、複数のHARQプロセスが送信することを意味する。この結果として、t/Tは100パーセントとなりうる。
【0008】
MAC−hsプロトコルは、セミリライアブル(semi−reliable)であり、即ち、送信側のMAC−hsエンティティは、送信されたMAC−hsを破棄することが出来、受信側のMAC−hsエンティティへと1回又は数回再送する可能性がある。
【0009】
MAC−hs PDUを破棄する理由は、MAC−hs受信装置が他のセルに移動し電力が低下した場合に、又は、任意の他の理由によりデータを受信出来ない場合に、無線リンクを介した不必要な再送を防止することであり、最初の送信若しくは最大数の再送の後の所定の時間に、又は双方を組み合わせた後の所定の時間に行なわれる。
【0010】
UEにおけるMAC−hs受信装置は、シーケンスが昇順でない順番でPDUが受信された場合(再送により起こりうる)の影響を和らげる目的で、受信ウィンドウ(receiver window)を利用する。TSN=next_expected_tsnにおいてMAC−hs PDUが成功裏に復号された場合にはいつでも、受信装置は、RLCレイヤへとPDUを伝達しうる。後続のTSN番号(即ち、next_expected_tsn+1)が既に成功裏に復号されているかどうかに従って、このMAC−hs PDUもまた伝達されうる。送信ウィンドウは適切に更新される。MAC−hsプロトコルからのRLCレイヤへの送信は、連続して行なわれる。
【0011】
例えば送信装置がMAC−hs PDUを破棄したという状況から回復するために、受信装置は、この問題を解決するために以下に記載する2つの仕組みを利用する。
1)タイマに基づくストール(stall)回避:
TSN>next_expected_tsnのPDUの受信時に、受信装置は、T1で表されるタイマを開始する。タイマが切れた時に、受信装置は、後続のPDUが受信されるように適切なアクションを取る。正確な詳細は、3GPP 25.321 11.6.2.3.2章に記載されている。
【0012】
この振る舞いは図5にも示されている。
【0013】
2)ウィンドウに基づくストール回避:
window_sizeで表される受信ウィンドウは<32であり、[highest_received_tsn−window_size+1、highest_received_tsn]の範囲内の全てのTSNを含む。
例:
window_size=8、及び、highest_received_TSN=9は、受信ウィンドウが以下のシーケンス番号、2、3、4、5、6、7、8、9を含むことを意味する。
【0014】
受信ウィンドウの外のTSNのMAc−hs PDU、即ち[highest_received_tsn−window_size+1、highest_received_tsn]の範囲内に無いMAC−hs PDUが受信された後に、受信装置は、自身のhighest_received_tsnをMAC−hs PDUのTSNに等しく設定し、受信ウィンドウの自身の先頭部(highest_received_tsn)を移動させる。
【0015】
受信ウィンドウの先頭部が進む場合に、受信されてはいるが未だに伝達されていない、もはや受信ウィンドウ内に存在しないMAC−hs PDUがRLCレイヤへと伝達される。当業者は、受信ウィンドウ内のTSN番号が、モジュロカウンティングによりTSN=63からTSN=0へと戻る(wrap around)可能性があることが分かるであろう。
【0016】
この振る舞いは図6に示されている。
【0017】
NodeBにおける破棄タイマ:
ノードB・アプリケーション・パート(NBAP:NodeB Application Part)信号の無線リンクセットアップ要求(Radio Setup Request)、及び、NBAP信号の無線リンク再構成要求(Radio Link Recofiguration Request)において、RNCは、以下T1_coarseで表される、HS−DSCH MAC−dフローにおける特定の優先度付きキューのための、破棄タイマ(Discard Timer)と示される任意のフィールドを含む能力がある。
【0018】
使用される場合には、NodeBは、RNCから受信された、特定のHSDPA優先度付きキューのための各プロトコルデータユニットにスタンプを付す(time−stamp)。UEは、幾つかの優先度付きキューを有しうることに注意されたい。
T1_coarseは、各プロトコルデータユニットが送信権を得る時間を定め、NodeBは、期限切れのプロトコルデータユニットを破棄する。
【0019】
T1_coarseは、遅延に影響されやすいデータのためのトラフィックを制御するために利用されうる。
【0020】
T1_coarseは、運用者が、データがRNCから受信されてからの待機時間を、NodeB−hsスケジューラによりHARQプロセスからの送信のためにスケジューリングされるまで制御することを可能とする。
【0021】
しかし、T1_coarseは、各HARQプロセスがそのタスクを完了するために消費する時間を制御しない。
【0022】
UEでは、T1タイマの利用は、運用者が、UEが特定のMAC−hs PDUを受信しようと試みる時間を制御することを可能とする。
【0023】
3GPPにより必要とされていなくても、NodeBのベンダは、各HARQプロセスにより消費される時間を制御するために、第2破棄タイマ(以下、T1_NodeBで表される)を利用する可能性が非常に高い。T1_NodeBは、その目的が、UE T1タイマのもたらす影響を予測すること、即ち、送信されるMAC−hs PDUがUE内のT1タイマの結果として破棄される不必要な送信を防止することであるという意味において、UE内の「T1タイマに類似している」。このような見解の理由は幾つかある。
【0024】
1.T1タイマがUEで利用されるという事実は、送信NodeB側での利用の動機付けとなり、例えば、タイマ及びウィンドウに基づくストール回避によって、UE受信装置が、不完全なMAC−hs PDUシーケンス(例えば、TSN2、3、5、6、7)を自身の上位レイヤへと伝達することもある。本例の場合TSN=4の送信を続けることは、UE並び替え(re−ordering)エンティティがTSN=4を破棄するので、無駄である。
【0025】
2.例えば、UEが劣悪な無線条件により、HS−SCCHを復号出来ないことを想定すると、データを受信出来ないUEのために送信を際限なく継続することは賢明ではない。この場合の際限の無い送信は、正に帯域幅のリソースの浪費である。
【0026】
NodeB T1_NodeB実装の例は、以下のとおりである。
(I)NodeBは、HARQプロセスごとに1つのタイマを実装しており、各タイマは互いに独立して機能し、MAC−hs PDUの(各新しいTSNごとの)最初の送信時に開始する。タイマは、タイマを中断させるACKが受信されるまで継続される。タイマが切れた場合に、MAC−hs PDUが破棄される。
【0027】
(II)先に記載したタイマと、MAC−hs PDUの再送量をカウントするカウンタの双方の組み合わせ。タイマが切れる場合、又は、再送量が閾値を超えて増加する場合には、MAC―hs PDUは破棄される。
【0028】
図3は、NodeB内のE−DCH部を示している。
L1処理は、DPCCHチャネル、E−DPCCHチャネル及びE−DPDCHチャネルの一般的部分の、レイヤ1による復号を示す。MAC−e及びE−DPCCHの復号1〜nは、NodeB内で行なわれる特定のUEのための復号と、EULスケジューラへと送信される得られた情報(例えば、満足/不満足(happy/unhappy)情報)、及び、HARQ受信装置へと送信される得られた情報と、を示している。
HARQエンティティ1〜mは、UE1〜nのために存在するE−DPDCHの復号に必要なHARQ受信装置の機能を示す。HARQエンティティは、E−DCH FP部に情報を送信し、RGCH/HICH処理部を介してUEにフィードバック命令を送信する。
E−DCH FPは、復号されたデータと、Iubインタフェースを介してRNCに送信される制御情報とを送信し、RNCから送信ネットワーク輻輳標識(TCI:Transport Network Congestion Indication)を受信するための一般的な処理を示す。
スケジューラエンティティは、AGCH処理を介して送信される、UEへの正確なスケジューリング許可(scheduling grant)を決定する役目を果たす。スケジューリングエンティティはまた、RNCからのTCIメッセージを復号し、RGSH/HICH処理ユニットを介してRGCHメッセージを送信し、L1処理、MAC−e&E−DPCCH復号、及びHARQエンティティにおいて利用されるUEごとの復号リソース量を制御する役目を果たす。
RGCH/HICH処理1〜nは、UEごとの特定のRGCH及びHICH符号化を含む。
AGCH処理は、特定のAGCG符号化を含む。
レイヤ1の処理は、E−AGCHチャネル及びE−RGCH/HICHチャネルのための汎用レイヤ1の符号化を含む。
UEからの全てのアップリンクチャネルを電力制御するために利用されるF−DPCH/DPCHチャネルは、この図の中に示されていない。
【0029】
図4は、UE内のE−DCH部を示している。
L1処理は、E−AGCHチャネル及びRGCH/HIGHチャネルの一般的な復号を示す。
RGCH/HICH処理は、RGCHチャネル及びHICHチャネルの特定の復号を示す。AGCH処理は、AGCHチャネルの特定の復号を示す。
EUL Ctrlは、上位レイヤからのMAC−Dフローごとの入力バッファキューの監視、送信キュー選択の制御、MAC−esヘッダの制御、HARQプロセスの制御、正しいHARQプロセスへのHICHフィードバックの中継、MAC−eヘッダの制御のようなEUL送信エンティティの全体の制御を含む。
MAC−es処理は、MAC−esヘッダ及びペイロードの符号化を示す。
HARQプロセス1〜mは、HARQ手続きの送信を示す。
MAC−e処理は、MAC−eヘッダ情報の符号化を示す。
UEを電力制御するために利用されるF−DPCH/DPCHチャネルはこの図の中に示されていない。
【0030】
ここで、E−DCHは、アップリンク方向、即ちUEからNodeBへの方向を示している。
【0031】
WCDMA(Wideband Code Division Multiplex Access、広帯域符号分割多重アクセス)仕様書のリリース6において、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA(E−DCHとも呼ばれる))通信方式が、ダウンリンク高速パケットデータアクセス(HSPDA)方式に加えて、後者の通信方式により提供されるビットレートに合わせるために定められ、改善された対話型サービス、バックグラウンドサービス及びストリーミングサービスが提供される。従来技術文書3GPP TS 25.309には、「FDD Enhanced Uplink;Overall Description;Stage 2」がある。2006‐04‐06のバージョンV6.6.0には、拡張Ulが記載されている。
【0032】
関連するセクションがさらに、3GPPの参考文献TS25.211、TS25.321で参照されうる。
【0033】
スケジューリングにより、NodeBには、E−DCHのためのUE送信フォーマット組み合わせ(TFC:Transport Format Combination)部に影響を与えるためのツールが提供される。E−DCHスケジューリングは、NodeBによりUEへと送信されるスケジューリング許可、E−DCHデータレートの上限の設定、及び、現在許可されているよりも速いレートで送信する許可を要求するためにUEからNodeBへと送信されるスケジューリング要求に基づいている。本発明において、スケジューリングされるデータという語は、NodeBがスケジューリング許可を送信した結果としてUEにより送信されるE−DCHデータを示す場合に利用される。
【0034】
E−DCHはまた、本明細書において非スケジューリング対象(non−scheduled)データとして示されるスケジューリングされない送信、即ち、サービング許可(serving grant)に関係なく行なわれる送信をサポートする。非スケジューリング対象MAC−e PDU内で許容されるビット量は、無線リソース制御(RRC:Radio Resource Control)を通じてMAC−dフローごとに構成される。基本的に、スケジューリングされない送信は、スケジューリング要求のために必要であるが(明らかに、システムはこの余地が無ければ適切に動作しない)、信号無線ベアラ(SRB:Signal Radio Bearer)及びVoIPのような保証型ビットレートサービスのためにも利用されうる。
【0035】
HSUPAネットワークは、Iuインタフェースを介して無線ネットワークコントローラ(RNC:Radio Network Controller)と通信するコアネットワークを含む。このネットワークはまた、Iubインタフェースを介してRNCと通信する複数の基地局NodeBを含む。各NodeBは、EULスケジューラユニット(EUL_SCH)を含む。EULスケジューラユニットは、MAC−eスケジューラとも呼ばれ、各Iubインタフェースを介してRNCと通信するよう構成される。UEは、無線を介して各NodeBと通信する。
【0036】
以下のHSUPAチャネルは、即ち、UEに対してMAC−eスケジューラからシグナリングする絶対許可を伝達するためのE−DCH絶対許可チャネル(E−AGCH:E−DCH Absolute Grant Channel)、相対許可シグナリングのためのE−DCH相対許可チャネル(E−RGCH:E−DCH Relative Grant Channel)、UEが送信したデータを復号するNodeBからの確認応答のフィードバックを伝達するためのE−DCHハイブリットインジケータチャネル(E−HICH:Hybrid Indicator Channel)、送信電力制御(TPC:Transport Power Control)命令を伝達するための専用物理チャネル(DPCH:Dedicated Physical Channel)又はフラクショナルDPCH(Fractional DPCH)、MAC−eペイロードを伝達するための拡張DPDCH(E−DPDCH:Enhanced DPDCH)、及びMAC−eの制御シグナリングを伝達するための拡張DPCCH(E−DPCCH:Enhanced DPCCH)は、無線を介して送信される。
【0037】
文書3GPP TS 25.309 FDD、Enhanced Uplink Overall descriptionにより、拡張アップリンク仕様書が概観出来る。
【0038】
従来技術の文書「High Speed Uplink Packet Access(HSUPA);White Paper、application note 1MA94」、Rohde Schwarz、01.2006においても、HSUPAの概要が参照されうる。
【0039】
HSUPA仕様書によれば、拡張専用チャネル(E−DCH:Enhanced Dedicated Channel)高速アップリンク送信チャネルは、短い送信時間間隔(TTI:Transmission Time Interval)、ソフトな再結合(recombining)による高速ハイブリット自動リピート要求(ARQ:Automatic Repeat Request)、遅延を低減するための高速スケジューリング、データレートの向上、及びキャパシティの向上のような複数の新しい特徴を提供する。
【0040】
UEがNodeBとの通信をセットアップする場合に、HSDPAセッションの後にセットアップ手続きが、送信制御プロトコル(TCP:Transmission Control Protocol)を用いて、例えばインターネットページをダウンロード/サーフィンするために続けられることもある。ユーザエンティティのキャパシティに従って、このことはさらに、HSUPA送信を含むこともあり、HSUPAダウンリンクチャネル上でTCPメッセージを送信するNodeBは、NodeBへのE−DCHアップリンク上でTCP確認応答を受信する。NodeBは、UEがどのようなペースでE−DCH上で送信するかを決定し又はスケジューリングするため、NodeBは自身のスケジューリング決定を伝達するためにE−AGCHを利用する。TCPデータセグメントがダウンリンクで送信されてから、TCP確認応答が応答としてアップリンクで送信されるまでの時間から測定される、より短い遅延は、TCPレイヤのより短い往復時間の見積もりにより、ファイル転送等のダウンロード時間の低減に繋がる。
【0041】
3GPPにより必要とされていなくとも、UEのベンダは、UE内で各HARQプロセスにより消費される時間を制御するために、破棄タイマ(以下T1−UEで表される)を利用する可能性が非常に高い。T1_UEは、その目的が、RNC T1タイマのもたらす影響を予測すること、即ち、送信されるMAC−hs PDUがRNC内のT1タイマの結果として破棄される不必要な送信を防止することであるという意味において、RNC内の「T1タイマに類似している」。
【0042】
既存の解決策による問題点:
図7を参照すると、HSDPAは、以下で解説する「未使用の電力」を利用する。実線は、専用物理チャネル(DPCH)上を送信される音声及び例えばストリーミングサービスのような高優先度データのための、電力制御された専用チャネルDCHの電力利用と、フラクショナル専用物理チャネル(F−DPCH)のために必要とされる電力と、を示している。破線は、HS−DSCHのためにNodeBにより利用される電力を表している。
【0043】
さらに図7を参照するが、同様の状況がHSUPAについて、HSUPAのスケジューリングされたデータ部分のために「未使用の電力」を利用するUEにおいて生じる。実線は、音声、VoIP、又は例えばストリーミングサービスのような高優先度データのための専用チャネルDCHについての電力利用と、専用物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)のために必要とされる電力と、を示している。DCHデータは、専用物理データチャネル(DPDCH)において送信され、又は、HSUPAにおいて非スケジュール対象データとして送信されると想定される。破線は、UEのためのE−DCHのスケジューリングされるデータ部分により利用される電力を表している。
【0044】
破線は、グラフの軸をとの関連で正確に縮尺されていない。しかし、HSDPA/HSUPAがDCHにより利用されない電力のみ利用しうるため、破線及び実線が互いに逆になっていることが明らかである。即ち、実線が最大電力Emaxに達する場合に、破線は、ゼロに近く又はゼロに等しいその最小値に達している。最小値は、以下、「電力低下」(power drop)と呼ばれる。電力低下の間、HSDPA/HSUPAは、如何なる電力も利用することが許されない。これらHSDPA/HSUPA電力が低下する周期又は時点は未知である。
【0045】
図8は、HSDPAの実際の電力利用、即ち、第1閾値Eth1が方程式から外されている場合の当該電力利用を示している。第1閾値Eth1は、共通チャネルのために利用される電力を表している。共通チャネルによって、1つ以上のUEにアドレス指定されるチャネル、又は、共有チャネルであるAGCHチャネルのようなチャネルを示している。共通チャネルは特に、同期チャネル(SCH:Synchronisation Channel)、共通パイロットチャネル(CPICH:Common Pilot Channel)、プライマリ共通制御物理チャネル(P−CCPCH:Primary Common Control Physical Channel)、セカンダリ共通制御物理チャネル(SCCPCH:Secondary Common Control Physical Channel)、E−AGCH、及びE−HICH/E−RGCHがある。当業者は、共通チャネルにより利用される電力(Eth1)が一定ではなく、時間によって変化することに気付くであろうが、問題を示すために、一定の電力として示されている。さらに当業者は、共通チャネルの送信はNodeBのためにのみ有効であり、UEのためには有効でないことが分かるであろう。Eth1は、HSUPA送信ためにUE内で生じる問題を表す場合に、これ以降ゼロである。Emaxは、NodeB及びUEのために利用される最大電力を表す。当業者は、UEのためのEmaxが、USB又はPCMCIAインタフェースによりUEが電力供給される場合の最大エネルギー消費制限により、又は、送信用のエネルギーを格納するためにコンデンサをUEが利用する場合の一時的なエネルギー貯蔵制限により、最大許容送信電力、熱限界のような規制問題に依存しうることが分かるであろう。図7及び図8の双方はさらに以下で、本発明の記載と関連して記載される。
【0046】
ここで問題は、このような電力低下の前にHARQプロセスがMAC−hs/MAC−e PDUを送信した場合に何が起こるかということである。
【0047】
問題を例示するために、以下のシナリオがHSUPAのシナリオために記載される。
a)NodeBが1つのUEへのデータをRNCから受信し、NodeB HARQプロセスからの保留中又は進行中の送信は起きていないと想定する。
b)UEは、自身の並び替えエンティティ内にも、自身のHARQプロセス内にもデータを有さない。Next_expected_tsnは0であり、highest_received_tsnは63である。
c)さらに、NodeBが、先に記載した破棄の仕組み(I又はII)のうちの一方又は他方を実施していると想定する。
d)NodeBは、TSN=0の、HARQプロセス1からのデータを送信し、自身のT1_NodeBを開始する。
e)UEは、HS−SCCHを正確に復号するが、HS−PDSCHは正確に復号しない。即ち、UEは情報を自身のHARQプロセスに格納するが、自身の並び替えエンティティにはどの情報も送られない。
f)先に記載した電力低下が、NodeBからのHSDPAの更なる送信を妨げ、T1_NodeBが場合によっては失効する→TSN=0の、HARQプロセス1内のMac−hs PDUが破棄される。
g)電力低下が終り、HSDPA送信が可能であるが、送信されるべきデータが存在しないので、送信は行なわれない。
【0048】
上記の例の問題から回復するために、RNCは、NodeBから送信されるデータをTSN=1として再送する必要があり、これにより、UE内でT1タイマの開始が促され、タイマが失効した場合に、ピアUE無線リンクプロトコル(RLC:Radio Link Protocol)へとデータを伝達する。
【0049】
より一般的には、HSDPAの電力低下がMAC−hs PDUの破棄に繋がる可能性があり、このために、再送の機会がより少ないために再送の量が予期されるよりも低いというということから、上記問題を説明することができる。
【0050】
「予期される」とは、運用者が、例えば、全てのMAC−hs PDUが少なくとも3回再送されるように、T1_NodeBと再送数とを設定した可能性があるということを意味する。これらの問題は、NodeBが破棄の仕組みに基づいて、例えば先のI若しくはII又はその組み合わせに従って、タイマを利用する場合に発生する。
【0051】
同じ問題が、アップリンク方向においてUEについて存在するが、ここでは、UE内の送信装置は、アップリンク拡張専用チャネルにおいて、高速アップリンクパケットアクセス、HSUPAを利用し、HSDPA及びHS−DSCHの代わりにE−DSHを利用し、T1タイマはRNC内に位置する。
【0052】
従って、上記の確認された問題が解決される、音声及びデータパケットのための改善された無線通信システムについての必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0053】
本発明の目的は、先に記載した必要性を満たすことであり、ダウンリンク方向、及び及び/又は、アップリンク方向におけるより効率の良い無線データ通信を見出すことである。本発明は、電力低下の間、破棄タイマを中断させることを提案する。破棄タイマはその後、電力が戻った時に、一定の基準が満たされた場合に継続される。中断の危険性又はネガティブな観点は、以下で分かるように、ポジティブな側面と比べて低い。
【課題を解決するための手段】
【0054】
無線通信システムは、音声及びデータパケット送信のために意図され、受信装置へと音声及びデータパケットを送信するための送信装置を含む。送信装置は、所定の最大電力を有し、ゼロから最大電力と選択される第1閾値レベルとの差までの第1範囲内の大きさの第1電力により高優先度データ、有利に音声及び/又は高優先度データ通信を第1専用チャネル上で送信すると共に、ゼロから最大電力マイナス第1電力マイナス第1閾値レベルまでの第2範囲内の大きさの第2電力により低優先度データを第2専用チャネル上で送信するよう構成される。送信装置は、第1期間にセットされ、送信装置から第1データパケットが送信される時に開始するよう構成される破棄タイマを備える。送信装置は、第1期間内に受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は第1データパケットの所定の回数の再送の後に、第1データパケットを破棄するよう構成される。
【0055】
ここでは、「所定の最大電力」は、時間とともに変化しうる選択された電力を意味する。即ち、最大電力は、1つの時点において1つの値を有し、異なる時点において他の値を有しうる。NodeBは通常、最大電量の変動に関しては、UEよりもスタティック(static)である。
【0056】
本発明は、送信装置が、第2電力が選択される第2閾値レベル以下である場合には、第1破棄タイマを中断させるよう構成されるということを特徴とする。第2閾値レベルと等しいことは特に、第2閾値レベルがゼロである場合を指しているが、ゼロを上回る値のためにも有効でありうる。
【0057】
本発明の1つの効果は、電力低下によりデータパケットが送信され確認応答されることが妨げられる場合に、不必要なRLC再送が防止されうるということである。
【0058】
送信装置は、無線基地局、即ち、ダウンリンク方向においてHSDPAを使用するよう構成されるNodeB内に含まれうる。第2電力は、HSPDA送信のために利用される電力である。第1破棄タイマは、HSPDA電力が第1専用ダウンリンクチャネルDCH上のトラフィックによって選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される。
【0059】
送信装置はまた、高速アップリンクパケットアクセス(HSUPA)を使用するよう構成されるUE内にも含まれうる。HSUPAは、現在のアップリンク速度が5.76Mbit/sまでの、HSPAファミリにおける3G携帯電話通信プロトコルである。HSUPAのための仕様書は、3GPPにより発行されたユニバーサル移動通信システムのリリース6の規格に含まれる。
【0060】
HSUPAは、アップリンク拡張専用チャネルE−DCHを利用し、このE−DCH上では、HSDPAにより採用されるものと類似したリンク適応方法を採用する。
【0061】
従って、ユーザ機器は、アップリンク方向においてHSUPAを使用するよう構成される。第2電力は、HSUPAのために利用される電力であり、最大電力は、UEの最大送信電力である。第1破棄タイマは、HSUPA電力が第1専用チャネル上のUE及び/又はトラフィック上の電力制限によって選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される。
【0062】
第1破棄タイマT1_NodeB/T1_UEは、HARQプロセス内に包含され、このHARQプロセスは、送信されたMAC−hsプロトコルデータユニット(PDU)/MAC−e PDUが成功裏に受信されたことを示す確認応答信号(ACK)が受信されると、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告する。ここで、図1〜図4が参照されるが、ここでは「MAC−hsスケジューラ」は、NodeB内のダウンリンク部分に含まれ、「MAC−e制御装置」は、UEのアップリンク部分に含まれる。
【0063】
送信装置がHARQプロセスを中断する場合に、受信装置での成功裏の受信の確率を上げるためにHARQプロセスがスケジューラ/MAC−e制御装置からスケジューリングの許可を得るために、延長時間(extra time)が第1破棄タイマに追加される。
【0064】
本発明の他の実施形態において、HARQプロセスは、任意のHARQプロセスがTSN>TSNHARQにおいてACKを受信したかを調べるよう構成され、但しTSNは[lowest_transmitted_tsn、highest_transmitted_tsn]内にあり、真である場合には、HARQプロセスは第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を再開する。
【0065】
送信装置は、3GPP若しくはロングタームエボリューション(Long Term Evolution)を利用し、又は、拡張アップリンクが可能であるよう構成される。
【0066】
以下、本発明がより詳細に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
以下、複数の図面を参照して本発明を記載することにする。先に図1〜図8との関連で従来技術が記載されてきたが、図1〜図6における情報が図8〜図12との関連で利用される。
【図1】従来技術に従ったNodeB内のHS−DSCHの全体図を概略的に示す。
【図2】従来技術に従ったUE内のHS−DSCHの全体図を概略的に示す。
【図3】従来技術に従ったNodeB内のE−DCH部の全体図を概略的に示す。
【図4】従来技術に従ったUE内のE−DCH部の全体図を概略的に示す。
【図5】従来技術に従ったタイマベースのストール回避に関するスキーム及びフローチャートを概略的に示す。
【図6】従来技術に従ったウィンドウベースのストール回避に関するスキーム及びフローチャートを概略的に示す。
【図7】HSDPA/HSUPAがどのように送信装置の「未使用の電力」を利用するのかに関する、従来技術に従った電力チャートを概略的に示す。
【図8】HSDPA/HSUPAの実際の電力利用に関する、従来技術に従った電力チャートを概略的に示す。
【図9】従来技術に従った状態図を概略的に示す。
【図10】本発明に係る1つのHARQプロセスのための方法のフローチャートを概略的に示す。
【図11】本発明の第1実施形態に係る状態図を概略的に示す。
【図12】本発明の第2実施形態に係る状態図を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0068】
先に述べたように、先に図1〜図8との関連で従来技術を記載してきたが、本発明を解説するために、以下では、図1〜図8が図9〜図12と共に参照される。
【0069】
図7は、送信装置がNodeBであり、HSDPAが、図に示すように、UEへの通信のために「未使用の電力」を利用する場合を示す。実線は、音声及び又はストリーミングサービス又は保証型ビットレート(GBR:Garanteed BitRate)サービスのような高優先度データのための、電力制御された専用チャネルDCHの電力利用を示す。破線は、DCHの電力がどのように、HSDPAにより利用可能な電力に影響を与えるのかを示す。HSDPAがDCHにより使用されない電力のみ使用しうるため、破線及び実線が互いに逆になっていることが明らかである。即ち、実線が最大電力EMAXに達する場合に、破線は、ゼロに近く又はゼロに等しいその最小値に達している。以下では、最小値は「電力低下」と呼ばれる。電力低下の間、HSDPAは、如何なる電力も利用することが許されない。これらHSDPA電力が低下する周期又は時点は予測不可能である。
【0070】
先に述べたように、本発明は、上記に係るHSDPA又はDSUPAを利用した音声及びデータパケット送信のための無線通信システムに関する。本システムは、音声及びデータパケットを、NodeB又はUEである受信装置へと送信するための、NodeB内又はUE内の送信装置をそれぞれ含む。送信装置がNodeBである場合には、受信装置はUEであり、そしてその逆も同様である。送信装置NodeB;UEは、所与の時点において最大電力Emaxを有し、ゼロから最大電力と選択される第1閾値レベルEth1との差までの第1範囲R1内の大きさの第1電力E1により高優先度データを第1専用チャネルDCH上で送信すると共に、ゼロから最大電力Emaxマイナス第1電力E1マイナス第1閾値レベルEth1までの第2範囲R2内の大きさの第2電力E2により低優先度データを第2専用チャネルHS−DSCH;E−DSCH上で送信するよう構成される。
【0071】
図8は、HSDPA/HSUPAの実際の電力利用を示す。即ち、第1閾値レベルが、可能性のある利用可能な電力から減算されている。E2=Emax−Eth1−E2であることが図から明らかであり、このことは、E2がゼロ(E2=Emax−Eth1である場合)からEmax−Eth1(E2がゼロである場合)までの範囲にある残り電力のみを利用しうることを示している。
【0072】
図9は、従来技術に従った状態図を示す。図9は、データパケットP1の最初の送信時に開始される、HARQプロセスに包含される第1破棄タイマT1_NodeB;T1_UEを示している。HARQプロセスは、送信されたデータパケットP1が成功裏に受信されたことを示す確認応答信号ACKが受信されると、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告するよう構成され、又は、T1_NodeB内に受信装置により確認応答がなされなかった場合に、若しくはP1データパケットの所定の回数の再送の後に、P1データパケットを破棄するよう構成される。
【0073】
図10は、本発明に係る1つのHARQプロセスのための方法のフローチャートを概略的に示す。基本的に、図10は、電力低下が示される場合に(Power_drop_ind)、第1破棄タイマT1_NodeB;T1_UEが中断されることを示している。
【0074】
図10を参照するが、図11は、本発明の第1実施形態に係る状態図を概略的に示している。本発明に係る送信装置は、図9に従ったHARQプロセスを利用し、従って、第1期間に設定され、送信装置から第1データパケットP1が送信される時に開始するよう構成される第1破棄タイマT1_NodeBを備える。送信装置NodeB;UEは、第1期間内に受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は第1データパケットの所定の回数の再送の後に、第1データパケットを破棄するよう構成される。本発明によれば、送信装置NodeB;UEは、第2電力E2が選択される第2閾値レベルEth2以下である場合には、第1破棄タイマT1_NodeB;T1_UEを中断させるよう構成される。破棄タイマT1_NodeB;T1_UEは、第2電力E2が戻った場合、即ち選択される第2閾値レベルEth2を上回る場合に再開するよう構成される。第2閾値レベルEth2はゼロまで設定可能であり、このことが図7及び図8に示されている。
【0075】
HARQプロセスは、送信されたMAC−hs/MAC−e PDUが成功裏に受信されたことを示す確認応答信号ACKを受信する場合に、確認として確認応答信号ACKを受け取るよう構成され、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告する。HARQプロセスは、破棄タイマT1_NodeB;T1_UEの中断前、当該中断の間、及び当該中断の後にACKを受け取るよう構成される。
【0076】
NodeBがT1_NodeBを実装する動機は、主に、不必要な再送が起きることを防止することである。状況は、従来技術に関連して先に述べたように、UEのタイマベース及びウィンドウベースストール回避により、上位レイヤ、即ちRLCレイヤへと不完全なMAC−hs TSNシーケンスデータが伝達される場合に起こりうる。
【0077】
RLCレイヤがAMモード(Acknowledge Mode)で動作する場合に、RLCレイヤは、欠けているデータを再送する。RLCの再送がエンドユーザのスループットを減少させるか否かは多くのファクタに、例えばエンドTCP状態及びRLC AM状態、同様にNodeB状態に依存するが、一般には、HSDPAが3GPPプロトコル群に新たな再送エンティティを導入したという事実から、RLC再送の量を最小限にすることが賢明である。
【0078】
従って、電力低下がまれに起こる場合、1つの解決策は、当然のことながら何も行なわないことであるが、一方、電力低下は、重要なイベントの間に起こる可能性があり、乏しいスループットのマイナス面により、無線HSDPA運用者についてネガティブな評判が引き起こされるであろう。しかし、繰り返すが、電力低下の周期は未知である。
【0079】
提案される解決策は、電力低下が存在する場合に各HARQプロセスに標識を備え、現在のT1_NodeBを中断又は抑制又は停止又はホールド(hold)することである。電力低下の状態が収束した時に、タイマは再開される。
【0080】
HARQプロセスが、送信されるMAC−hsが成功裏に受信されたというポジティブなフィードバックACKを受信する場合に、HARQプロセスは、確認としてACKを受け取り、内部のMAC−hsスケジューラに成功裏の結果を報告する。このことは、送信されUEにより正常に受信された、処理が済んでいない(outstanding)データをHARQプロセスが有するが、HARQがUEでの成功裏の受信を知らない時に、電力低下が起こる場合に起こりうる。
【0081】
全てのHARQプロセスがここで各個別のHARQプロセスを中断する場合に、各HARQプロセスが、スケジューラからスケジューリングの許可を得て、UEでの成功裏の受信の確率を向上させるために、延長時間が追加される。
【0082】
例外的な状況:
本発明が利用される場合、NodeBにおけるT1_NodeBは、電力低下によって、UEにおけるT1タイマよりも遅く切れる可能性がある。一般にこのことは、受信側がデータを拒絶する間に送信側がデータを送信する危険性が高まるので好ましくない。
【0083】
例:
a)UE内の並び替えエンティティが以下の状態を有すると想定する:
next_expected_tsn=13
highest_received_tsn=14(即ち、TSN=3が欠けている)
これにより、T1タイマは動作していることになる。
HARQプロセス1は、MAC−hs TSN=13からの情報を格納している。
b)NodeB内のHARQプロセス1は、駆動しているT1_NodeBを有し、MAC_hs PDU TSN=13を一度送信している。
c)電力低下が起こり、タイマがNodeB内で中断される。
d)UE T1タイマが切れ、next_expected_tsn=15となり、highest_received_tsn=14となる。
e)電力低下が解消し、HARQプロセス1はTSN=13を再送する。これにより、UEでの成功裏の受信がもたらされ、そして並び替えエンティティ内の破棄されたデータが与えられる。
【0084】
この例は、T1_NodeBの一般的な中断が役に立たない場合の例を示している。一方、プロトコルはこの振る舞いに対して堅牢であり、害を及ぼさない。
【0085】
図10を参照するが、図12は、本発明の第2実施形態に係る状態図を概略的に示しており、第1実施形態における例のネガティブな影響を克服するために、以下のことが提案される。
【0086】
各HARQプロセスは、任意のHARQプロセスがTSN>TSNHARQにおいてACKを受信したかを調べるよう構成され、但しTSNは[lowest_transmitted_tsn;highest_transmitted_tsn]の範囲内にある。真である場合には、HARQプロセスはT1_NodeBを再開する。当業者は、[lowest_transmitted_tsn;highest_transmitted_tsn]内のTSN番号が、モジュロカウンティングによりTSN=63からTSN=0へと戻りうることが分かるであろう。
【0087】
例:
NodeBが[3、7]のウィンドウを送信し、即ち、NodeBはTSN=3、4、5、6、7を送信したと想定する。そして、TSN=3については未だに受信装置により確認応答がなされず、その他については確認応答がなされるものとする。TSN=5を送信するHARQプロセスは、電力低下の間に、TSN=6又は7が確認応答されているか(又は、確認応答される予定か)どうかを調べ、そうである場合には、自身のT1_NodeBを再開する。
【0088】
本実施形態により、UEが、
a)UE内のT1タイマが開始している、又は、
b)全データが正確に受信された
ということの明示的な標識である現在の送信ウィンドウにおいて、
上位のTSN、即ちNodeBにより「遅れて送信された」当該TSNの受信を確認したかどうかを検査するステップが含まれる。a)b)の双方の場合に、好適なアクションは、T1_NodeB;T1_UEを再開することである。
【0089】
本発明の第3実施形態に従って、T1_NodeBの中断はサービスに依存し、このことは一定のトラフィックの遅延のためには、全体のスループットよりも、より重大(critical)であることもある。
【0090】
例えば、T1_NodeBの中断は以下のことに基づく。
a)UEがどのような送信優先度を有するか基づき、又は、UEごと、及び(複数のキューが存在する場合には)優先度付きキューごとの送信優先度に基づいて、例えばユーザごとのMAC−dフローごとに設定される。
b)上位レイヤのユーザの優先度、例えば、8つの優先度クラスを有するIEEE 802.1Dにおけるユーザの優先度に依存する。
c)その上位レイヤに提供されるRLCサービス、即ち、透過的データ転送サービス(Transparent data transfer service)、確認応答されないデータ転送サービス、及び、確認応答されるデータ転送サービス(3GPP 25.322参照)のモードに基づく。
d)当該中断は、他のバックグラウンドデータに対してVoIPサービスについて異なって設定されうる。
【0091】
図7〜12を参照しながら、第2電力はHSPDA電力であり、第1破棄タイマT1_NodeBは、HSUPA電力が第1専用チャネルDCH上のDCHトラフィックによって選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断されることを記載してきた。
【0092】
先に記載したように、送信装置はユーザ機器UEであってもよい。ここで、図3〜図4が参照される。UEは、アップリンク方向においてHSUPAを利用するよう構成され、第2専用チャネルは、E−DCH上を送信されるスケジューリングされたデータである。第2電力E2はHSUPA電力であり、最大電力Emaxは、UEの最大送信電力である。第1破棄タイマは、HSUPA電力が第1専用チャネルDCH上のUE及び/又はDCHトラフィック上の電力制限によって選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される。従って、図7〜12は、UEのためにも有効であり、その場合、E−DCHが、HSUPA送信のためのHSDSCHの代わりとなる。
【0093】
総括すると、NodeB又はUE内の送信装置は、スケジューラ/MAC−e制御装置からスケジューリングの許可を得て、受信装置NodeB;UEにおける成功裏の受信の確率を上げるために、第1破棄タイマT1_NodeBに延長時間を追加することにより、HARQプロセスを中断するよう構成される。
【0094】
当業者は、先に紹介した解決策が、拡張アップリンクが可能なUEにおける送信側のため、同様に、NodeB又はUEに実装される拡張アップリンクのために利用されうることが分かるであろう。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声及びデータパケット送信のための無線通信システムであって、
前記システムは、受信装置(NodeB;UE)へ音声及びデータパケットを送信するための送信装置(NodeB;UE)を含み、
前記送信装置(NodeB;UE)は、最大電力(Emax)を有し、ゼロから前記最大電力(Emax)と選択される第1閾値レベル(Eth1)との差までの第1範囲(R1)内の大きさの第1電力(E1)により高優先度データを第1専用チャネル(DCH)上で送信すると共に、ゼロから前記最大電力(Emax)マイナス前記第1電力(E1)マイナス前記第1閾値レベル(Eth1)までの第2範囲(R2)内の大きさの第2電力(E2)により低優先度データを第2専用チャネル(HS−DSCH;E−DCH)上で送信するよう構成され、
前記送信装置は、第1期間にセットされ、前記送信装置から第1データパケット(P1)が送信される時に開始するよう構成される第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を備え、
前記送信装置(NodeB;UE)は、前記第1期間内に前記受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は前記第1データパケットの所定の回数の再送の後に、前記第1データパケットを破棄するよう構成され、
前記送信装置(NodeB;UE)は、前記第2電力(E2)が選択される第2閾値レベル(Eth2)以下である場合には、前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を中断させるよう構成されることを特徴とする、
システム。
【請求項2】
前記送信装置は、ダウンリンク方向においてHSDPAを使用するよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記送信装置(NodeB)は、無線基地局(NodeB)であることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2電力は、前記HSPDA電力であり、
前記第1破棄タイマは、前記HSPDA電力が前記第1専用ダウンリンクチャネル(DCH)上のDCHトラフィックによって前記選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される、ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記送信装置は、ユーザ機器(UE)であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記送信装置は、アップリンク方向においてHSUPAを使用するよう構成され、
前記第2専用チャネルは、E−DCH上で送信されるスケジュールされた前記データである、
ことを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2電力(E2)は、前記HSUPA電力であり、
前記最大電力(Emax)は、前記UEの前記最大送信電力であり、
前記第1破棄タイマは、前記HSUPA電力が前記第1専用チャネル(DCH)上のUE及び/又はDCHトラフィック上の電力制限によって前記選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)は、HARQプロセス内に包含されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記HARQプロセスは、送信されたMAC−hs/MAC−e PDUが成功裏に受信されたことを示す確認応答信号(ACK)が受信されると、確認として前記確認応答信号(ACK)を受け取り、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告するよう構成されることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記送信装置(NodeB;UE)が前記HARQプロセスを中断する場合に、前記受信装置(NodeB;UE)での成功裏の受信の確率を上げるために前記HARQプロセスが前記スケジューラ/MAC−e制御装置からスケジューリングの許可を得るために、延長時間が前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)に追加されることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記HARQプロセスは、いずれかのHARQプロセスがTSN>TSNHARQにおいてACKを受信したかを調べるよう構成され、TSNは[lowest_transmitted_tsn、highest_transmitted_tsn]内にあり、真である場合には、前記HARQプロセスは前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を再開することを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記送信装置は、3GPP若しくはロングタームエボリューション(Long Term Evolution)を利用し、又は、拡張アップリンクが可能であることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1専用チャネル上の優先される前記データは音声データであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)の前記中断はサービスに依存し、T1_NodeBの中断は、
UEがどの送信優先度を有するかに基づき、又は、UEごと、及び、複数のキューが存在する場合には優先度付きキューごとの送信優先度に基づいて設定され、及び/又は、
上位レイヤのユーザの優先度に依存し、及び/又は、
その上位レイヤに提供される前記RLCサービス、即ち、透過的データ転送サービス、確認応答されないデータ転送サービス、及び、確認応答されるデータ転送サービス(3GPP 25.322参照)の前記モードに基づき、
及び/又は、前記破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)の前記中断は、他のバックグラウンドデータに対してVoIPサービスについて異なって設定されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
音声及びデータパケット送信のための無線通信システムのための方法であって、
前記システムは、受信装置(NodeB;UE)へ音声及びデータパケットを送信するための送信装置(NodeB;UE)を含み、
前記送信装置(NodeB;UE)は、最大電力(Emax)を有し、ゼロから前記最大電力(Emax)と選択される第1閾値レベル(Eth1)との差までの第1範囲(R1)内の大きさの第1電力(E1)により高優先度データを第1専用チャネル(DCH)上で送信すると共に、ゼロから前記最大電力(Emax)マイナス前記第1電力(E1)マイナス前記第1閾値レベル(Eth1)までの第2範囲(R2)内の大きさの第2電力(E2)により低優先度データを第2専用チャネル(HS−DSCH;E−DCH)上で送信するよう構成され、
前記送信装置は、第1期間にセットされ、前記送信装置から第1データパケット(P1)が送信される時に開始するよう構成される第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を備え、
前記送信装置(NodeB;UE)は、前記第1期間内に前記受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は前記第1データパケットの所定の回数の再送の後に、前記第1データパケットを破棄するよう構成され、
前記送信装置(NodeB;UE)は、前記第2電力(E2)が選択される第2閾値レベル(Eth2)以下である場合には、前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を中断させるよう構成されることを特徴とする、
方法。
【請求項16】
前記送信装置は、ダウンリンク方向においてHSDPAを使用することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記送信装置(NodeB)は、無線基地局(NodeB)であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2電力は、前記HSPDA電力であり、
前記第1破棄タイマは、前記HSPDA電力が前記第1専用ダウンリンクチャネル(DCH)上のDCHトラフィックによって前記選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される、
ことを特徴とする、請求項15又は16に記載のシステム。
【請求項19】
前記送信装置は、ユーザ機器(UE)であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記送信装置は、アップリンク方向においてHSUPAを使用し、
前記第2専用チャネルは、E−DCH上で送信されるスケジュールされた前記データである、
ことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2電力(E2)は、前記HSUPA電力であり、
前記最大電力(Emax)は、前記UEの前記最大送信電力であり、
前記第1破棄タイマは、前記HSUPA電力が前記第1専用チャネル(DCH)上のUE及び/又はDCHトラフィック上の電力制限によって前記選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される、
ことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)は、HARQプロセス内に包含されることを特徴とする、請求項15〜21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記HARQプロセスは、送信されたMAC−hs/MAC−e PDUが成功裏に受信されたことを示す確認応答信号(ACK)が受信されると、確認として前記確認応答信号(ACK)を受け取り、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告するよう構成されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記送信装置(NodeB;UE)が前記HARQプロセスを中断する場合に、前記受信装置(NodeB;UE)での成功裏の受信の確率を上げるために前記HARQプロセスが前記スケジューラ/MAC−e制御装置からスケジューリングの許可を得るために延長時間が前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)に追加されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記HARQプロセスは、いずれかのHARQプロセスがTSN>TSNHARQにおいてACKを受信したかを調べるよう構成され、TSNは[lowest_transmitted_tsn、highest_transmitted_tsn]内にあり、真である場合には、前記HARQプロセスは前記破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を再開することを特徴とする、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記送信装置は、3GPP若しくはロングタームエボリューション(Long Term Evolution)を利用し、又は、拡張アップリンクが可能であることを特徴とする、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1専用チャネル上の優先される前記データは音声データであることを特徴とする、請求項15〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)の前記中断はサービスに依存し、T1_NodeBの中断は、
UEがどの送信優先度を有するかに基づき、又は、UEごと、及び、複数のキューが存在する場合には優先度付きキューごとの送信優先度に基づいて設定され、及び/又は、
上位レイヤのユーザの優先度に依存し、及び/又は、
その上位レイヤに提供される前記RLCサービス、即ち、透過的データ転送サービス、確認応答されないデータ転送サービス、及び、確認応答されるデータ転送サービス(3GPP 25.322参照)の前記モードに基づき、
及び/又は、前記破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)の前記中断は、他のバックグラウンドデータに対してVoIPサービスについて異なって設定されることを特徴とする、請求項15〜27に記載の方法。
【請求項1】
音声及びデータパケット送信のための無線通信システムであって、
前記システムは、受信装置(NodeB;UE)へ音声及びデータパケットを送信するための送信装置(NodeB;UE)を含み、
前記送信装置(NodeB;UE)は、最大電力(Emax)を有し、ゼロから前記最大電力(Emax)と選択される第1閾値レベル(Eth1)との差までの第1範囲(R1)内の大きさの第1電力(E1)により高優先度データを第1専用チャネル(DCH)上で送信すると共に、ゼロから前記最大電力(Emax)マイナス前記第1電力(E1)マイナス前記第1閾値レベル(Eth1)までの第2範囲(R2)内の大きさの第2電力(E2)により低優先度データを第2専用チャネル(HS−DSCH;E−DCH)上で送信するよう構成され、
前記送信装置は、第1期間にセットされ、前記送信装置から第1データパケット(P1)が送信される時に開始するよう構成される第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を備え、
前記送信装置(NodeB;UE)は、前記第1期間内に前記受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は前記第1データパケットの所定の回数の再送の後に、前記第1データパケットを破棄するよう構成され、
前記送信装置(NodeB;UE)は、前記第2電力(E2)が選択される第2閾値レベル(Eth2)以下である場合には、前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を中断させるよう構成されることを特徴とする、
システム。
【請求項2】
前記送信装置は、ダウンリンク方向においてHSDPAを使用するよう構成されることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記送信装置(NodeB)は、無線基地局(NodeB)であることを特徴とする、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記第2電力は、前記HSPDA電力であり、
前記第1破棄タイマは、前記HSPDA電力が前記第1専用ダウンリンクチャネル(DCH)上のDCHトラフィックによって前記選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される、ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のシステム。
【請求項5】
前記送信装置は、ユーザ機器(UE)であることを特徴とする、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記送信装置は、アップリンク方向においてHSUPAを使用するよう構成され、
前記第2専用チャネルは、E−DCH上で送信されるスケジュールされた前記データである、
ことを特徴とする、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第2電力(E2)は、前記HSUPA電力であり、
前記最大電力(Emax)は、前記UEの前記最大送信電力であり、
前記第1破棄タイマは、前記HSUPA電力が前記第1専用チャネル(DCH)上のUE及び/又はDCHトラフィック上の電力制限によって前記選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される、
ことを特徴とする、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)は、HARQプロセス内に包含されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記HARQプロセスは、送信されたMAC−hs/MAC−e PDUが成功裏に受信されたことを示す確認応答信号(ACK)が受信されると、確認として前記確認応答信号(ACK)を受け取り、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告するよう構成されることを特徴とする、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記送信装置(NodeB;UE)が前記HARQプロセスを中断する場合に、前記受信装置(NodeB;UE)での成功裏の受信の確率を上げるために前記HARQプロセスが前記スケジューラ/MAC−e制御装置からスケジューリングの許可を得るために、延長時間が前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)に追加されることを特徴とする、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記HARQプロセスは、いずれかのHARQプロセスがTSN>TSNHARQにおいてACKを受信したかを調べるよう構成され、TSNは[lowest_transmitted_tsn、highest_transmitted_tsn]内にあり、真である場合には、前記HARQプロセスは前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を再開することを特徴とする、請求項8〜10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
前記送信装置は、3GPP若しくはロングタームエボリューション(Long Term Evolution)を利用し、又は、拡張アップリンクが可能であることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項13】
前記第1専用チャネル上の優先される前記データは音声データであることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項14】
前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)の前記中断はサービスに依存し、T1_NodeBの中断は、
UEがどの送信優先度を有するかに基づき、又は、UEごと、及び、複数のキューが存在する場合には優先度付きキューごとの送信優先度に基づいて設定され、及び/又は、
上位レイヤのユーザの優先度に依存し、及び/又は、
その上位レイヤに提供される前記RLCサービス、即ち、透過的データ転送サービス、確認応答されないデータ転送サービス、及び、確認応答されるデータ転送サービス(3GPP 25.322参照)の前記モードに基づき、
及び/又は、前記破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)の前記中断は、他のバックグラウンドデータに対してVoIPサービスについて異なって設定されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
音声及びデータパケット送信のための無線通信システムのための方法であって、
前記システムは、受信装置(NodeB;UE)へ音声及びデータパケットを送信するための送信装置(NodeB;UE)を含み、
前記送信装置(NodeB;UE)は、最大電力(Emax)を有し、ゼロから前記最大電力(Emax)と選択される第1閾値レベル(Eth1)との差までの第1範囲(R1)内の大きさの第1電力(E1)により高優先度データを第1専用チャネル(DCH)上で送信すると共に、ゼロから前記最大電力(Emax)マイナス前記第1電力(E1)マイナス前記第1閾値レベル(Eth1)までの第2範囲(R2)内の大きさの第2電力(E2)により低優先度データを第2専用チャネル(HS−DSCH;E−DCH)上で送信するよう構成され、
前記送信装置は、第1期間にセットされ、前記送信装置から第1データパケット(P1)が送信される時に開始するよう構成される第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を備え、
前記送信装置(NodeB;UE)は、前記第1期間内に前記受信装置により確認応答がなされなかった場合に、又は前記第1データパケットの所定の回数の再送の後に、前記第1データパケットを破棄するよう構成され、
前記送信装置(NodeB;UE)は、前記第2電力(E2)が選択される第2閾値レベル(Eth2)以下である場合には、前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を中断させるよう構成されることを特徴とする、
方法。
【請求項16】
前記送信装置は、ダウンリンク方向においてHSDPAを使用することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記送信装置(NodeB)は、無線基地局(NodeB)であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第2電力は、前記HSPDA電力であり、
前記第1破棄タイマは、前記HSPDA電力が前記第1専用ダウンリンクチャネル(DCH)上のDCHトラフィックによって前記選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される、
ことを特徴とする、請求項15又は16に記載のシステム。
【請求項19】
前記送信装置は、ユーザ機器(UE)であることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記送信装置は、アップリンク方向においてHSUPAを使用し、
前記第2専用チャネルは、E−DCH上で送信されるスケジュールされた前記データである、
ことを特徴とする、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2電力(E2)は、前記HSUPA電力であり、
前記最大電力(Emax)は、前記UEの前記最大送信電力であり、
前記第1破棄タイマは、前記HSUPA電力が前記第1専用チャネル(DCH)上のUE及び/又はDCHトラフィック上の電力制限によって前記選択される第2閾値レベルよりも下回る場合に中断される、
ことを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)は、HARQプロセス内に包含されることを特徴とする、請求項15〜21のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
前記HARQプロセスは、送信されたMAC−hs/MAC−e PDUが成功裏に受信されたことを示す確認応答信号(ACK)が受信されると、確認として前記確認応答信号(ACK)を受け取り、内部のMAC−hsスケジューラ/MAC−e制御装置に成功裏の結果を報告するよう構成されることを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記送信装置(NodeB;UE)が前記HARQプロセスを中断する場合に、前記受信装置(NodeB;UE)での成功裏の受信の確率を上げるために前記HARQプロセスが前記スケジューラ/MAC−e制御装置からスケジューリングの許可を得るために延長時間が前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)に追加されることを特徴とする、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記HARQプロセスは、いずれかのHARQプロセスがTSN>TSNHARQにおいてACKを受信したかを調べるよう構成され、TSNは[lowest_transmitted_tsn、highest_transmitted_tsn]内にあり、真である場合には、前記HARQプロセスは前記破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)を再開することを特徴とする、請求項22〜24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記送信装置は、3GPP若しくはロングタームエボリューション(Long Term Evolution)を利用し、又は、拡張アップリンクが可能であることを特徴とする、請求項19〜22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記第1専用チャネル上の優先される前記データは音声データであることを特徴とする、請求項15〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記第1破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)の前記中断はサービスに依存し、T1_NodeBの中断は、
UEがどの送信優先度を有するかに基づき、又は、UEごと、及び、複数のキューが存在する場合には優先度付きキューごとの送信優先度に基づいて設定され、及び/又は、
上位レイヤのユーザの優先度に依存し、及び/又は、
その上位レイヤに提供される前記RLCサービス、即ち、透過的データ転送サービス、確認応答されないデータ転送サービス、及び、確認応答されるデータ転送サービス(3GPP 25.322参照)の前記モードに基づき、
及び/又は、前記破棄タイマ(T1_NodeB;T1_UE)の前記中断は、他のバックグラウンドデータに対してVoIPサービスについて異なって設定されることを特徴とする、請求項15〜27に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−541432(P2010−541432A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527329(P2010−527329)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060496
【国際公開番号】WO2009/043375
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/EP2007/060496
【国際公開番号】WO2009/043375
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(598036300)テレフオンアクチーボラゲット エル エム エリクソン(パブル) (2,266)
【Fターム(参考)】
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