説明

音響波情報測定装置および生体情報測定方法

【課題】高感度かつ高精度に音響波を検出できる音響波情報測定装置および生体情報測定方法を提供すること。
【解決手段】生体情報を測定する音響波情報測定装置として、光を生体に照射する光源6と、変位量と電位差との関係にヒステリシスを持つ特性を有する圧電素子1と、電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように電圧を圧電素子1に供給するための制御信号を出力する確率共鳴回路7と、確率共鳴制御回路7からの制御信号に基づいて、圧電素子1に印加される電圧を制御する信号を出力する電圧制御回路5と、電圧制御回路5からの信号に従って圧電素子1に付加雑音電圧Vnを含む電圧を供給する電圧供給部4とを備え、圧電素子1に印加される付加雑音電圧Vnを含む電圧の強度が、圧電素子1から出力される電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整する音響波情報測定装置を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響波情報測定装置に関し、特に、生体情報を含んだ音響波の上記生体情報を測定するのに使用されれば好ましい音響波測定装置に関する。また、本発明は、特に、生体を伝播してきた微弱な音圧信号(音響波)を検出して増幅して生体情報を測定するのに使用されれば好ましい音響波情報測定装置に関する。
【0002】
また、本発明は、生体情報測定方法に関し、特に、生体を伝播してきた微弱な音圧信号(音響波)を検出して増幅して、生体情報を測定するのに使用されれば好ましい生体情報測定方法に関する。
【背景技術】
【0003】
光を生体に照射すると、その光の波長に対して吸収の強い部位のみが、光エネルギーを吸収して熱を発生する。その熱が、圧力波を生み出し、音響波を発生する。このような機構で発生する音響波を生体に装着した音波センサで検出するのが、光音響分光法である。
【0004】
光音響分光法は、非破壊で物質の情報を得ることができるため広く用いられ、近年では医療への応用が試みられている。この方法は、生体に光を照射することで発生する超音波の信号を観測するから、脂肪・血糖などの組成や血圧・酸素飽和度などのバイタルサインを、生体を傷つけずに診断でき、非常に有益である。
【0005】
この方法において、発生した音響波の伝播時間や遅延時間や振幅の大きさは、生体組織の光吸収係数や光吸収部位の深さやサイズに相関がある。すなわち、光吸収に関するパラメータは、生体の組成や構造を反映しているから、音響波から光吸収の情報を得ることで生体の組成や血糖値やヘモグロビンの量などについて知ることができるのである。
【0006】
光を用いた生体情報の測定の応用としては、光と超音波パルスの相互作用による速度変化を利用する方法がある。
【0007】
レーザ光を物質に照射すると、条件によって誘起音と呼ばれる超音波が発生する。レーザ光照射により生体部位の温度が上昇すると、超音波の速度がその温度情報に従って感度良く変動する。
【0008】
このことから、照射による発熱の程度によって反射してくる超音波信号の到達時間が異なり、この音響波を検知することで照射部位の光吸収強度を知ることができる。
【0009】
こうした光音響分光法は、ヘモグロビンやメラニンなどの生体色素の分布や量を知るのに用いられ、また、グルコースを光吸収体とした血糖値の計測への使用が試みられている。また、こうした光音響分光法を用いて、生体を線状あるいは面状にスキャンすることで、光吸収部位の断層画像を得ることができる。
【0010】
このような背景において、従来、圧電素子を、変位センサの役割を果たすトランスデューサーとして、音響信号の検出に用いる場合がある。圧電素子は、圧力などの外力を受けて変位することで電位差が発生する。圧電素子のこの性質を利用して、音圧による変位を電気信号に変換し、変位に応じたアナログ電気信号を生成している。
【特許文献1】特開2004−347355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記光音響分光法を用いた生体情報の測定には、以下に示す課題が存在する。
【0012】
すなわち、生体を傷つけない程度の強度の光照射によって得られる音響信号は、非常に微弱である。
【0013】
更には、生体内部は、多数の血管や、筋組織や、骨等によって構成される複雑な生体組織からなるから、音響波が、音響波が生体を伝わって検出されるまでの途中の経路で、検査したい部位以外から大きな損失を受け、音響信号が、この理由から更に微弱となる。
【0014】
更には、圧電素子への外乱によって生じる雑音が、バックグラウンドとして信号に混じるので、生体パラメータを抽出するために必要な信号対雑音比(Signal to Noise:以下「S/N比」と呼ぶ)が得られなくなり、音響信号を圧電素子で検出することが困難となる。
【0015】
したがって、本発明の課題は、高感度かつ高精度に音響波を検出できる音響波情報測定装置および生体情報測定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、この発明の音響波情報測定装置は、
光を出射する光源と、
音響波を受けた際に起こる変位に基づいて電位差を出力し、かつ、上記変位量と上記電位差との関係にヒステリシスを持つ特性を有する圧電素子と、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように電圧を上記圧電素子に供給するための制御信号を出力する確率共鳴制御部と、
上記確率共鳴制御部から出力される制御信号に基づいて、上記圧電素子に印加される電圧を制御する信号を出力する電圧制御部と、
上記電圧制御部からの信号に従って上記圧電素子に電圧を供給する電圧供給部と
を備え、
上記圧電素子に印加される電圧の強度は、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整されていることを特徴としている。
【0017】
本発明者は、上記課題を、次に示す着想で解決できることを見出した。
【0018】
すなわち、音響波を受けた際に起こる圧電素子の変位と、その変位に基づいて圧電素子から出力される電位差との関係にヒステリシスを持つ特性を有することが知られている。
【0019】
図9は、一般的な圧電素子の圧電素子の変位と、その変位に基づいて圧電素子から出力される電位差との関係を示す図である。
【0020】
図9に示すように、一般的な圧電素子では、圧電素子が、小さい変位から大きい変位へ変化したときの電位差と、大きい変位から小さい変位へ変化したときの電位差に差が生じ、同じ変位でも2種類の電位差の経路が現れていることがわかる。すなわち、一般的な圧電素子では、圧電素子の変位と、電位差との関係にヒステリシスを持つ特性がある。
【0021】
ここで、上記特許文献1に記載されているように、従来、このヒステリシス特性は、圧電素子の感度を低下させる要因であると考えられ、変位と電位差との線形性を上げるため、このヒステリシスを低減することが課題とされてきた。
【0022】
しかしながら、本発明者は、以下の実施例で詳細に述べるように、従来、好ましくないと考えられてきた、局所的に急激な増加を示すヒステリシス形状を、確率共鳴現象を誘起するように、積極的に利用すると、出力である電位差を格段に増大させることができること、かつ、音響波からS/N比が大きい大きな出力を引き出すことができることを発見した。
【0023】
本発明によれば、ヒステリシスのある圧電素子に、上記圧電素子に印加される電圧の強度が、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整されていて、確率共鳴現象を誘起しているから、微弱な音響波の信号を、格段に大きくできる。したがって、例えば、従来測定することができなかった生体内部からの微弱な音響波を、増幅して検知することができ、かつ、音響波が有する情報を高感度かつ高精度に測定できる。
【0024】
また、一実施形態では、
上記圧電素子に印加される電圧は、付加雑音電圧を含んでいるか、または、バイアス電圧である。
【0025】
本発明の本質は、圧電素子のヒステリシス特性と、確率共鳴現象を利用して、微弱な音響波の信号を格段に大きくすることにある。
【0026】
ここで、上記圧電素子に印加される電圧として、付加雑音電圧を含む電圧、または、バイアス電圧を、使用すると、所望の確率共鳴現象を容易かつ確実に誘起させることができる。
【0027】
したがって、この場合、微弱な音響波の信号を、格段に大きくでき、例えば、付加雑音電圧を含む電圧、または、バイアス電圧を圧電素子に印加するこの装置を、生体情報を測定に使用すると、従来測定することができなかった生体内部からの微弱な音響波を、増幅して検知することができ、かつ、音響波が有する情報を高感度かつ高精度に測定できる。
【0028】
また、一実施形態では、
上記圧電素子に印加される電圧は、付加雑音電圧を含んでいる。
【0029】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部から出力される制御信号に基づいて、上記光源に注入される電流を制御する信号を出力する電流制御部と、
上記電流制御部からの信号に従って上記光源に電流を供給する電流供給部とを備え、
上記光源に注入される上記電流の強度は、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整されている。
【0030】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させるように、上記圧電素子に印加される上記付加雑音電圧を含む上記電圧の値を調整する。
【0031】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させるように、上記光源に注入される上記電流の値を調整する。
【0032】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上であるように、上記圧電素子に印加する、上記付加雑音電圧を含む電圧の値を調整する。
【0033】
また、一実施形態では
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上であるように、上記光源に注入する電流の値を調整する。
【0034】
また、一実施形態では
上記付加雑音電圧によって生じる上記圧電素子の変位量は、上記音響波によって生じる変位量の1/10以下である。
【0035】
また、一実施形態では、
上記付加雑音電圧の強度は、ランダムに変化する。
【0036】
また、一実施形態では、
上記付加雑音電圧の強度変化は、有色雑音である。
【0037】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御装置は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させることが可能なカットオフ周波数を有する上記有色雑音の電圧を、上記電圧供給部が上記圧電素子に印加するように、上記電圧制御部に制御信号を出力する。
【0038】
また、一実施形態では、
上記付加雑音電圧の強度変化は、白色雑音である。
【0039】
また、一実施形態では、
上記圧電素子に印加される電圧は、バイアス電圧である。
【0040】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部から出力される制御信号に基づいて、上記光源に注入される電流を制御する信号を出力する電流制御部と、
上記電流制御部からの信号に従って上記光源に電流を供給する電流供給部と
を備え、
上記光源に注入される上記電流の強度は、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整されている。
【0041】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させるように、上記圧電素子に印加される上記バイアス電圧の値を調整する。
【0042】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させるように、上記光源に注入される上記電流の値を調整する。
【0043】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上であるように、上記圧電素子に印加する、上記付加雑音電圧を含む電圧の値を調整する。
【0044】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上であるように、上記光源に注入する電流の値を調整する。
【0045】
また、一実施形態では、
上記圧電素子の上記電位差に基づく信号を出力する。
【0046】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部に、上記圧電素子が出力した上記電位差に基づく信号の一部を入力する。
【0047】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部に入力する信号は、電気信号である。
【0048】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記電気信号に基づいて、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するような電圧の値を制御する信号を、上記電圧制御部に出力する。
【0049】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記電気信号に基づいて、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するような電流の値を制御する信号を、上記電流制御部に出力する。
【0050】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部からの信号に基づいて、上記光源に注入する電流を制御する電流制御部と、
上記電流制御部からの信号に基づいて、上記光源に電流を注入する電流供給部と
を有する。
【0051】
また、一実施形態では、
上記圧電素子に印加される電圧は、付加雑音電圧を含んでおり、
上記確率共鳴制御部からの信号に基づいて、上記圧電素子に印加する上記付加雑音電圧を含む電圧を制御する電圧制御部と、
上記電圧制御部からの信号に基づいて、上記付加雑音電圧を含む電圧を上記圧電素子に印加する電圧供給部と
を有する。
【0052】
また、一実施形態では、
上記圧電素子に印加される電圧は、バイアス電圧であり、
上記確率共鳴制御部からの信号に基づいて、上記圧電素子に印加するバイアス電圧を制御する電圧制御部と、
上記電圧制御部からの信号に基づいて、上記バイアス電圧を上記圧電素子に印加する電圧供給部と
を有する。
【0053】
また、一実施形態では、
上記光源と、上記圧電素子とは、同一基板上に配置されている。
また、本発明の生体情報測定方法は、
光源から生体に断続的に光を照射するステップと、
音響波を受けた際に起こる変位に基づいて電位差を出力し、上記変位量と上記電位差との関係にヒステリシスを持つ特性を有する圧電素子に、上記光の生体への照射に起因して生成した音響波を入力して、上記圧電素子に変位を生じさせるステップと、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧を、上記圧電素子に印加するステップとを含む。
【0054】
また、一実施形態では、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、付加雑音電圧を含む電圧であるか、または、バイアス電圧である。
【0055】
また、一実施形態では、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、付加雑音電圧を含む電圧である。
【0056】
また、一実施形態では、
上記光源に、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された値である電流を供給するステップを含む。
【0057】
また、一実施形態では、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させる上記付加雑音電圧および上記電圧を、上記圧電素子に印加する。
【0058】
また、一実施形態では、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させる上記電流を、上記光源に供給する。
【0059】
また、一実施形態では、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上になる上記付加雑音電圧を上記圧電素子に印加する。
【0060】
また、一実施形態では、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上になる上記電流を上記光源に供給する。
【0061】
また、一実施形態では、
上記付加雑音電圧によって生じる上記圧電素子の変位量は、上記音響波によって生じる変位量の1/10以下である。
【0062】
また、一実施形態では、
上記付加雑音電圧の強度は、ランダムに変化する。
【0063】
また、一実施形態では、
上記付加雑音電圧の強度変化は、有色雑音である。
【0064】
また、一実施形態では、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させることが可能なカットオフ周波数を有する上記付加雑音電圧を、上記圧電素子に印加する。
【0065】
また、一実施形態では、
上記付加雑音電圧の強度変化は、白色雑音である。
【0066】
また、一実施形態では、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、バイアス電圧である。
【0067】
また、一実施形態では、
上記光源に、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された値である電流を供給するステップを含む。
【0068】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させる上記バイアス電圧を、上記圧電素子に印加する。
【0069】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させる上記電流を、上記光源に供給する。
【0070】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、
上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上になる上記付加雑音電圧を上記圧電素子に印加する。
【0071】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、
上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上になる上記電流を上記光源に供給する。
【0072】
また、一実施形態では、
上記圧電素子の上記電位差に基づく信号を出力する。
【0073】
また、一実施形態では、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、付加雑音電圧を含む電圧であり、
上記光源に、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された値である電流を供給するステップを含み、
上記電流および上記付加雑音電圧を含む電圧を、確率共鳴制御部によって制御し、
上記確率共鳴制御部に、上記圧電素子が出力した上記電位差に基づく信号の一部を電気信号として入力する。
【0074】
また、一実施形態では、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、バイアス電圧であり、
上記光源に、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された値である電流を供給するステップを含み、
上記バイアス電圧を、確率共鳴制御部によって制御し、
上記確率共鳴制御部に、上記圧電素子が出力した上記電位差に基づく信号の一部を電気信号として入力する。
【0075】
また、一実施形態では、
上記電気信号を、上記確率共鳴制御部に入力して上記確率共鳴制御部で監視する。
【0076】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記電気信号に基づいて、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するような電圧の値を制御する信号を、電圧制御装置に出力する。
【0077】
また、一実施形態では、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、付加雑音電圧を含む電圧であり、
上記確率共鳴制御部から出力された信号に基づいて、上記圧電素子に印加する上記付加雑音電圧を含む電圧を制御する上記電圧制御装置が、電圧供給装置に信号を出力し、
上記電圧制御装置から出力された信号に基づいて、上記電圧供給装置が、上記付加雑音電圧を含む電圧を上記圧電素子に印加する。
【0078】
また、一実施形態では、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、バイアス電圧であり、
上記確率共鳴制御部から出力された信号に基づいて、上記圧電素子に印加するバイアス電圧を制御する上記電圧制御装置が、電圧供給装置に信号を出力し、
上記電圧制御装置から出力された信号に基づいて、上記電圧供給装置が、上記バイアス電圧を上記圧電素子に印加する。
【0079】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部は、上記電気信号に基づいて、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するような電流の値を制御する信号を、電流制御装置に出力する。
【0080】
また、一実施形態では、
上記確率共鳴制御部からの信号に基づいて、上記光源に注入する電流を制御する上記電流制御装置が、電流供給装置に信号を出力し、上記電流制御装置から出力された信号に基づいて、上記電流供給装置が、電流を上記光源に供給する。
【発明の効果】
【0081】
本発明の音響波情報測定装置によれば、従来、生体情報の信号の抽出には、相応しくないと考えられていて、生体情報の信号の抽出に積極的に利用されていなかった圧電素子のヒステリシスを、積極的に利用しているから、従来の圧電素子では検知が困難なほど微弱で、かつ、外乱によるバックグラウンドが混じった音響波であっても、音響信号の周期を強調するように振幅を増大させてS/N比を向上して検出することができる。よって、光音響分光法に基づいて、必要となる高感度かつ高精度な信号を得ることができる。
【0082】
また、本発明の生体情報測定方法によれば、高感度かつ高精度に生体情報を検出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0083】
以下、本発明を図示の形態により詳細に説明する。
【0084】
図1は、本発明の一実施形態の音響波情報測定装置の概略的な構成を示す図である。
【0085】
図1に示すように、この音響波情報測定装置は、圧電素子1と、電流供給部2と、電流制御部としての電流制御回路3と、電圧供給部4と、電圧制御部としての電圧制御回路5と、光源の一例としてのパルス光源6と、確率共鳴制御部としての確率共鳴制御回路7とを備える。
【0086】
上記圧電素子1としては、例えば、広帯域で生体にマッチしやすい音響インピーダンスを有するポリフッ化ビニリデン(PVdF)の圧電素子が使用される。また、上記パルス光源6としては、例えば、近赤外域のパルス半導体レーザー(波長0.9μm)が使用される。
【0087】
また、図1において、上記音響波Soutは、パルス光源6から光Psが生体に照射されることによって生じ、生体内部から伝播してきた音響信号である。この音響波Soutは、一般的に微弱な信号であり、更に、このことに加えて、生体内部を伝播する過程で散乱や吸収を受けて劣化している。
【0088】
上記圧電素子1は、生体表面に設置されている。上記圧電素子1は、音響波を受けると変位して、その変位に基づいて電位差を出力するようになっており、変位量と電位差との関係に図9に示すようなヒステリシスを持つ。
【0089】
上記圧電素子1は、生体内から伝播してきた上記音響波Soutを受けて内部で処理し、受信信号Sr(時間に関する電圧の関数)を出力するようになっている。また、上記受信信号Srの一部は、図示しない電圧電流変換器で電流信号に変換されて、受信電流Irとして確率共鳴制御回路7に出力されるようになっている。
【0090】
確率共鳴制御回路7は、圧電素子1から出力された受信電流Irを受信することで音響波Soutの状態をモニターしている。上記確率共鳴制御回路7は、圧電素子1から出力される受信電流Irを受けて、この受信電流Irに基づいて、圧電素子1へ印加する電圧値を制御するための制御信号を、電圧制御回路5に出力すると共に、パルス光源6に注入する電流値を制御する制御信号を、電流制御回路3に出力するようになっている。
【0091】
確率共鳴制御回路7には、電流供給部2や電圧供給部4の値などの駆動条件に応じた圧電素子1の入出力特性のデータが予め入力されている。
【0092】
確率共鳴制御回路7は、上記入出力データに基づいて、音響波Soutを受けて生じる変位によって得られる圧電素子1の電位差の振幅が確率共鳴効果に基づく増大を示し、受信信号SrのS/N比が向上する、電流供給部2がパルス光源6に供給する電流値、および、電圧供給部4が圧電素子1に供給する電圧値を算出する。そして、上記算出した電流値を電流供給部2にパルス光源6に供給させる制御信号を、電流制御回路3に出力すると共に、上記算出した電圧値を電圧供給部4に圧電素子1に供給させる制御信号を電圧制御回路5に出力する。尚、確率共鳴効果によって電位差の振幅を増幅し、受信信号SrのS/N比を向上させる方法については後に詳述する。
【0093】
上記電流制御回路3は、確率共鳴制御回路7からの制御信号に従って、電流供給部2を制御する。また、上記電流供給部2は、電流制御回路3からの制御信号に基づいて、パルス光源6に注入する電流値を増減させる。
【0094】
上記電圧供給部4は、電圧制御回路5からの制御信号に従って、雑音を含む電圧Vnを圧電素子1に印加する。この電圧Vnは、音響波Soutを受けて生じる変位から得られる圧電素子1の電位差の振幅が確率共鳴効果によって増大し、受信信号SrのS/N比が向上するように、雑音強度が調整された電圧である。
【0095】
図2〜図4は、上記実施形態の音響波情報測定装置が、圧電素子1への音響波Soutを、増幅および検知するメカニズムを説明する図である。
【0096】
図2は、音響波Soutを受けた際に、圧電素子1に起こる変位量x0の時間波形を示す波形図である。
【0097】
上記パルス光源6から生体に照射される光Psが、パルス状であることに起因して、光Psの照射によって生じる音響波Soutは、図2に示すように、時間の経過と共に増減を繰り返すパルス状の信号となる。すなわち、上記音響波Soutには、極大値と極小値が繰り返し現れる。以下では、極大値をピーク、極小値をボトムと呼ぶ。
【0098】
図2に示す音響波Soutの周期や遅延時間は、生体内部の情報を反映している。ここで、図2は、上記音響波Soutが圧電素子1に与える実変位が、微弱であって、圧電素子1のxth以下であるため、圧電素子1が、音響波Soutを電位差として検知できない状態を示している。
【0099】
図3は、圧電素子1に印加された電圧Vnの時間波形を示す波形図である。図3に示すように、上記電圧Vnは、有色雑音の強度変化を示している。白色雑音が、周波数帯域を持たないのに対し、有色雑音は、周波数帯域を有する。有色雑音の周波数帯域は、カットオフ周波数によって決定される。
【0100】
以下では、音響波Soutに含まれる音響信号に対比して、非周期的でランダムな強度変化を持つ雑音として圧電素子1に意図的に印加する電圧Vnを「付加雑音電圧Vn」と称し、体動等に起因する自然発生的な雑音と区別する。また、図3にΔVnで示す、付加雑音電圧Vnの最大値と最小値との差を、付加雑音電圧Vnの雑音強度と定義する。
【0101】
上記圧電素子1は、圧力などの外力を受けて変位することで電位差が発生する性質だけでなく、逆に電圧を印加すると体積が変化して変位量が発生するアクチュエーターとしての性質も有している。すなわち、上記圧電素子1は、付加雑音電圧Vnの印加によって変位量(この変化量を以下の図4にxnで示す)を得る。この変位量は、付加雑音電圧Vnに従って増減する。
【0102】
図4は、圧電素子1が受ける全変位量xinの時間波形を示す波形図である。
【0103】
図4に示すように、全変位量xinは、図2にx0で示す音響波Soutによって受けた変位量と、図3にVnで示す付加雑音電圧を印加されることで得た変位量xnとの和で与えられ、xin=x0+xnの関係がある。
【0104】
図3に示す付加雑音電圧Vnは、図2の変位量x0の波形を大きく崩さない程度に微弱であるため、図4の変位量xinにおいても、元の音響波Soutから得た変位量x0のピークとボトムが反映されている。
【0105】
図4に示すように、上記変位量xinは、ピーク付近で圧電素子1の閾値xthを上回っているから、変位量x0のピークとその周期などを反映する形で圧電素子1で検出できる。
【0106】
つまり、音響波Soutを受けて発生する変位量x0と、付加雑音電圧Vnにより発生する変位量xnとの組み合わせによって、変位量x0に含まれる生体情報の検出が可能になるのである。
【0107】
図5は、上記実施形態の音響波情報測定装置の圧電素子1の動作特性を説明する図である。また、図5(a)は、上記圧電素子1の変位の変位量と、その変位量に応じて圧電素子1に生じる電位差の対応関係を示す入出力特性を示す図であり、図5(b)は、図4で説明した変位量xinの時間波形を示す波形図である。また、図5(c)は、図5(b)の変位xinによって得られる電位差の時間波形を示す波形図であり、受信信号Srとして出力される時間波形を示す波形図である。尚、図5(a)において、横軸は、変位量xinを示し、縦軸は、変位量xinに応じて得られる電位差を示している。
【0108】
図2および4で説明したように、本実施の形態の圧電素子1は、検知できる最小の変位量xthを持つ。図5(a)に示すように、この変位量xthは、測定される圧電素子1の変位(実変位)の下限の閾値xthに対応する。図5(a)から、実変位がxth以下であると、実変位が小さすぎて、圧電素子1が、音響波Soutを電位差として検知できないことになる。
【0109】
また、図5(a)に示すように、圧電素子1の特性は、ヒステリシスを持つため、閾値xthを超えて変位を大きくしていくと、その形状に従って単位変位に対する電位差の変化が急激に大きくなる。すなわち、変位量が所定の閾値xthを境に上下する場合に、電位差が急激に変化する。
【0110】
図2に示す例では、付加雑音電圧Vnを印加する前の変位量x0は、最大値が圧電素子1の閾値xthより小さく微弱である。
【0111】
そのため、音響波Soutを図1の圧電素子1に入力しただけでは、変位量x0は、図5(a)に示す入出力特性曲線上でxthを超えることができず、電気信号として検知されない。
【0112】
上記圧電素子1に、図3に示す付加雑音電圧Vnを印加すると、変位量xnが誘起され、図2の変位量x0と足し合わされて、図4に示すようにx0のピーク近傍で変位量xinが圧電素子1の閾値xthを越え、図5(a)においても、変位量x0のピーク近傍で変位量xinが閾値xthを越えることになる。
【0113】
図5(a)に示すように、閾値xth近傍では、ヒステリシス上で変位が小さいときより大きいときのほうが単位変位に対する電位差の変化が大きい。すなわち、閾値xth近傍では、変位が大きい方がヒステリシス曲線の傾きが大きく、変動量xinが、閾値xthを超えると、電位差は、ヒステリシス形状に従って急激に増大していく。したがって、図5(c)に示すように、電位差の振幅ΔVoutが増大するので、電位差に基づく受信信号Srの振幅も急激に増減する。電位差を一律に増幅するのではなく、電位差をヒステリシス特性に基づいて増幅するから、音響波Soutから得られる変位量x0のピークや、その周期が強調された振幅ΔVoutを得ることができるのである。
【0114】
図5(b)に示す変位量xinと、図5(c)に示す電位差の振幅ΔVoutとの関係を、図5(b)に示す波形の最初のピークを例にとって以下で説明する。
【0115】
図5(b)に示すように、図5(b)の変位量xinは、最初のピークにおいて最大値xin1をとる。ここで、この最大値xin1をとるとき、図5(c)の電位差も最大値V1をとる。次にxinが減少していくと図5(c)の電位差も減少するから、変位量xinのピークに応じて電位差もピークを持ち、ピークにおいて電位差の振幅ΔVoutが得られる。同様に、続く、変位量xinのピークがそれぞれの最大値をとるところで、それに応じた電位差と、その振幅ΔVoutとが得られる。こうして生体の情報を含んだ変位量xinの周期やピークが、電位差の振幅ΔVoutに反映され、この電位差が圧電素子1により電気信号に変換されて、受信信号Srとして出力される。
【0116】
以上が、微弱な音響波Soutの検出のメカニズムである。
【0117】
次に、音響波を受けて圧電素子から出力される受信信号SrのS/N比の向上効果について説明する。
【0118】
図5(a)に示すように、一般に圧電素子では、変位量と電位差との間にヒステリシスの特性がみられ、ヒステリシスの範囲内では、ある変位量に対し、電位差が、経路A1上と経路B1上に一つずつあり、すなわち安定点が2つ存在する。A1とB1のどちらの値をとるかは、それまでの変位の変化が、増加していたか、または、減少していたかによって異なる。
【0119】
変位が、ゼロから増加すると、ヒステリシス形状に沿って、変位が増加するにつれて、単位変位に対する電位差の変化が大きくなる。ただし、さらに変位が大きくなると電位差の変化は、再び小さくなる。
【0120】
すなわち、上記圧電素子1が受ける変位量xinを大きくしていくと、電位差はA1の曲線に沿って増大していく。さらに変位量xinの強度を増大させていくと、ヒステリシス形状に従って電位差が急激に増大し、その後、電位差の変化量は緩和されるものの、電位差が増大する。
【0121】
電位差が最大値に達した後、今度は、変位量xinを減らしていくと、電位差は、経路B1をたどってヒステリシス形状に従ってはじめ緩やかに減少し、次に電位差が急激に減少する。さらに変位量xinを減少させていくと、変位量xinが圧電素子1の閾値xthとなったところで検知されなくなる。
【0122】
xth以下では実変位は検知されないので、電位差は出力されない。この状態は、圧電素子1に入力された信号が、非常に微弱な状態であることを示している。この状態において、パルス状の受信信号Srは、オフとなる状態に相当する。
【0123】
上記圧電素子1の変位量と電位差との関係に示すヒステリシスがあると、図5(a)に示すように、変位量xinのピーク付近の変位量に対して、変位量が増加していく場合よりも変位量が減少していく場合のほうが、電位差の変化が緩やかである。すなわち、ピーク直後の電位差の減少が緩やかであるので、高い電位差を維持し易くなる。
【0124】
したがって、変位量xinがピークを過ぎて減少していくとき、音響波Soutが伝播途中に受けた損失の影響でxinの波形が乱れていてもピークが維持され易く、その結果、xinのピークが圧電素子1の応答の速さの範囲内で検知されて受信信号Srにピークとして現れやすくなる。したがって、振幅をより確実に増大させることができて、x0のピークを反映したxinのピークを検出することができるのである。
【0125】
これに対し、変位量と、電位差との関係が、ヒステリシスに従わず、線形関係である(A1とB1が一致する)場合、ピーク直後の変位量の減少がヒステリシスのある場合に比べて急激である。したがって、この場合、xinのピーク近傍で電位差が高い状態に押しあがっても、波形の乱れによって電位差の低い状態にすぐに落ちてしまう確率が高くなる。このため、ピークが維持されにくくなって、圧電素子の応答の速さの範囲内で、xinのピークが、検知されずに現れにくくなる。また、ヒステリシスを有する場合よりも、振幅の増幅度も小さくなる。
【0126】
更には、本実施形態の音響波情報測定装置では、上記変位量xinのピークが、閾値xthを超える確率に比べて、ピーク以外のバックグラウンド部分が、閾値xthを超える確率が低い。すなわち、図2の変位量x0において、ボトム近傍に相当する部分では図4のごとくxth以下となって検出されにくくなるので、得られる電位差の時間変化は、図5(c)に示すように、変位量xinに含まれる変位量x0のピークがより増幅されて、そのピークや周期を強調したものになる。つまり、変位量x0のピークが強調される一方、ピーク以外のバックグラウンド部分ではxthを超える確率が低いために検出されにくいので、電位差の振幅ΔVoutが増大される。したがって、受信信号SrのS/N比を、ヒステリシスや雑音を利用しない場合よりも向上させることが可能になる。
【0127】
このように、従来の圧電素子に検知されないほど微弱な音響波Soutを、ヒステリシスを有する圧電素子1に入力すると共に、付加雑音電圧Vnを圧電素子1に印加すると、変位量x0のピークの近傍で、変位量xinが圧電素子1の閾値xthを超えることができ、またヒステリシスに従って電位差の振幅ΔVoutが急激に増大するので、微弱な信号も検出できる。
【0128】
このとき、電位差ΔVoutは、一律に増幅するのではなく、音響波Soutから得られる変位量x0のピークや、その周期が強調されるように増幅される。また、相対的に音響信号以外のバックグラウンド部分の増幅が小さくなるから、その理由からも、音響信号のピークや周期が強調され、圧電素子1によって変換されて得られる受信信号SrのS/N比を、付加雑音電圧を印加しない場合に比べて大きく向上させることができる。
【0129】
通常であればS/N比を低減させる悪因となる雑音を、付加することでかえって信号のS/N比を向上させる「確率共鳴」と呼ばれる現象を利用して、通常の機能素子が検出できないような微弱な信号を検出、増幅することができるようにすると共に、信号のS/N比を大きく向上させるようにしたのである。
【0130】
上記付加雑音電圧Vnは、圧電素子1に印加される際、受信信号SrがS/N比の向上効果を得られるような雑音強度ΔVnと、カットオフ周波数とを有するように適切に調整する。
【0131】
なぜなら、付加雑音電圧Vnの雑音強度が小さすぎると、変位量xinが閾値xthを超えることができず、受信信号SrのS/N比を向上するために必要な大きさの振幅を持つΔVoutを得ることができないからである。
【0132】
また、付加雑音電圧Vnの雑音強度ΔVnが大きすぎると、変位量x0の波形とは無関係に変位量xinが閾値xthを超えてしまうため、電位差の強度変化がランダムになってしまい、受信信号SrのS/N比を向上できなくなるからである。
【0133】
また、付加雑音電圧Vnのカットオフ周波数が高くなると、それとともに雑音強度ΔVnも大きくなって、受信信号SrのS/N比に大きく影響することになるからである。
【0134】
図6は、付加雑音電圧Vnの雑音強度ΔVnを変化させたときの受信信号SrのS/N比の一例を示した図である。尚、図6では、S/N比を、SNR(signal noise ratio)と表している。
【0135】
図6に示すように、受信信号SrのS/N比は、最適な雑音強度Dmにおいて最大となる。知りたい生体の情報は、特定の周波数を有する光を、生体に照射したときに得られた出力において、特定の周波数に表れることがわかっている。このことからS/N比を算出することができる。
【0136】
本実施形態では、確率共鳴制御回路10が、上記S/N比の最大値である最適な雑音強度Dmを算出し、この最適な雑音強度Dmを有する付加雑音電圧Vnを圧電素子1に印加するようになっている。すなわち、本実施の形態では、受信信号SrのS/N比が最大である最適な雑音強度Dmを有するように、付加雑音電圧Vnの雑音強度ΔVnを調整している。
【0137】
このようにして、適度な付加雑音電圧Vnによって生じる変位量xnが、微小な変位量x0を閾値xth上に押し上げ、振幅が大きく受信信号SrのS/N比の向上が得られる電位差の振幅ΔVoutの発生を可能にしている。
【0138】
このように、付加雑音電圧Vnは、受信信号SrのS/N比の向上効果を得られるような雑音強度ΔVnと、カットオフ周波数とに適切に調整され、圧電素子1に印加される。そして、上記付加雑音電圧Vnの雑音強度ΔVnと、そのカットオフ周波数とを適切に調節して得られる変位量xnが、変位量x0に足しあわされる。
【0139】
したがって、変位量x0のピーク及び/またはボトムと、圧電素子1に印加される付加雑音電圧Vnによって得られる変位量xnのピーク及び/またはボトムとが確率的に同期(共鳴)して、変位量x0が音響波Soutの周期を反映したピークまたはボトムとなるタイミングに、変位量xinが閾値xthを上下する。
【0140】
したがって、上述のように、ヒステリシス形状に従って電位差の振幅ΔVoutが増大するので、ヒステリシスや付加雑音電圧Vnを利用しない場合よりも、電位差ΔVoutの振幅が増大し受信信号SrのS/N比も向上させることができる。
【0141】
更には、本実施形態では、パルス光源6に注入される電流の値もまた、変位量x0のピーク及び/またはボトムと変位量xnの強度とを確率的に同期させることにより、xinが圧電素子1の閾値xthを上下して電位差の振幅ΔVoutが急激に増大するように確率共鳴制御部7によって調整されている。
【0142】
本実施形態では、電流、電圧を介して圧電素子1とパルス光源6の動作を制御しているから、確率共鳴効果を利用して微弱な音響波Soutを感知して、この感知にしたがって、得られる電位差の振幅の増幅を行なうために最適な条件で圧電素子1を動作させることができ、受信信号SrのS/N比を効率的に向上させることができる。
【0143】
本実施の形態の生体情報測定方法によれば、ヒステリシスを持つ圧電素子1に付加雑音電圧Vnを印加して得られる変位量xnを圧電素子1に与えているから、音響波Soutによって圧電素子1に与えられる変位量x0が微弱であっても、変位量x0の周期を強調するように圧電素子1の電位差の振幅ΔVoutを増大させることができる。したがって、音響波Soutの周期や遅延時間などの情報を、消費電力や回路への負担を小さくしながら得ることができる。したがって、生体組織に損傷を与えることなしに、生体内部の情報が反映された受信信号SrのS/N比を向上させることができる。
【0144】
また、このことにより、本実施の形態の音響波情報測定装置を、光音響分光において通常の測定装置では検出できないような微弱な音響波の信号を検出できる高感度な受信器として機能させることができる。
【0145】
また、本実施の形態では、圧電素子1からの受信信号Srの一部を受信電流Irとして確率共鳴制御回路7に出力しているから、本実施の形態の音響波情報測定装置は、圧電素子1が受ける音響波Soutの状態をモニターしながら、電圧制御回路5の出力値を変化させたり安定化させたりすることができる。したがって、受信信号Srが確率共鳴効果を得られる最適な圧電素子1の動作条件を有するように、圧電素子1を容易に調整することができる。
【0146】
更には、本実施の形態の音響波情報測定装置は、パルス光源6に注入する電流についても、確率共鳴制御回路7によって電流制御回路3を制御しているから、この電流の値を調整して注入することによっても、確率共鳴効果を制御でき、音響波Soutにゆらぎが生じたときにも受信信号SrのS/N比を向上させるように好適に調整することができる。
【0147】
尚、付加雑音電圧Vnの代わりに、クロック電圧を圧電素子1に付加して圧電素子1の閾値xthを超えるようにした場合、クロック電圧の位相及び周期が変位量x0と完全に同一か正確に倍数になっていて、両者のピークが同期しなければ、大きな振幅の電位差は得られない。よって、変位量x0の時間変動が激しく波形がゆらいでいるときには、受信信号SrのS/N比が低下する。
【0148】
これに対し、ランダムな強度変化を持つ付加雑音電圧Vnは様々な周波数成分を有するので、信号波形のゆらぎにも強くなり、受信信号SrのS/N比の向上効果を維持できる。また、クロック電圧を発生させるよりも付加雑音電圧Vnを発生させるほうが、消費電力も低減できる。
【0149】
また、圧電素子1に印加する電圧に定常電圧を含ませ、音響波の状態に応じて定常電圧値を調整してもかまわない。この場合においても、劣化した信号が増幅され、S/N比が向上された受信信号Srを得られる。この場合、S/N比の向上効果を最大に得られるように調整しやすくなるが、消費電力が大きくなる。
【0150】
また、付加雑音電圧Vnのカットオフ周波数は最適に調整せずとも、受信信号Srの向上効果を得ることは可能である。しかし、カットオフ周波数は雑音強度に影響するので、調整した方がより最適な雑音強度を得やすくなり、受信信号SrのS/N比の向上効果も得られるため、付加雑音電圧Vnのカットオフ周波数が最適に調整されていた方が好ましい。
【0151】
また、パルス光源6に注入される電流の値を確率共鳴制御部7によって最適に調整せずとも、受信信号Srの向上効果を得ることは可能である。しかし、パルス光源6に注入される電流の値もまた、変位量x0のピーク及び/またはボトムと変位量xnの強度とを確率的に同期させるよう調整することにより、xinが圧電素子1の閾値xthを上下して電位差の振幅ΔVoutが急激に増大しやすくなる。
【0152】
また、図6を参照して、付加雑音電圧Vnの強度は、受信信号SrのS/N比が最大である最適雑音強度Dmとなるように調整されている。しかしながら、付加雑音電圧Vnの強度はこれに限るものではなく、得られる受信信号SrのS/N比が、生体情報測定で必要とされるS/N比の値を満たす範囲である雑音強度であればかまわない。例えば、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上であれば好ましい。また、付加雑音電圧Vnによって得られる変位量xnの最大値と最小値との差が変位量xinの振幅の1/10以下であれば、受信信号SrのS/N比が向上され、更に好ましい。
【0153】
付加雑音電圧Vnの強度が強すぎると、電位差の波形が崩れるので雑音の低減は起こらなくなる。少なくとも、付加雑音電圧Vnの雑音強度ΔVnによって得られる変位量xnが変位量x0の振幅より大きい場合、変位量x0の周期を再現できなくなるため、生体内部の状態を反映した音響波の周期や遅延時間の検出ができなくなる。
【0154】
これに対し、付加雑音電圧Vnの雑音強度ΔVnによって得られる変位量xnが変位量xinの振幅の1/10以下であれば、さらに電位差の振幅ΔVoutを大きくでき、受信信号SrのS/N比を向上することができるため、好ましい。
【0155】
また、付加雑音電圧Vnとして有色雑音を用いたが、強度変化が非周期的でランダムであれば、有色雑音でなくとも、受信信号SrのS/N比の向上効果を得ることは可能である。しかし、有色雑音を用いた場合、カットオフ周波数によって有色雑音の周波数帯域を調整することができる。そのため、音響波Soutの周波数に合わせて有色雑音の周波数帯域を調整することで、受信信号SrのS/N比の向上効果をより得やすくなるというメリットがある。
【0156】
また、パルス光源6は、所望の生体の光音響分光を行うために適した波長の断続光を発生させることができるものであれば、固体レーザやQスイッチレーザ、キセノンランプ、音響光学フィルタなどその他の光源や装置を用いてもよい。
【0157】
また、圧電素子1はPVdFでなくとも、音圧を感知できるのであれば電歪効果の大きなジルコン酸−チタン酸鉛系セラミックス(PZT)のピエゾ素子や水晶振動子などその他のセンサを用いてもよい。
【0158】
また、圧電素子1はパルス光源6に対して生体の表面に設置しなくとも、パルス光源6に対して生体の裏面に設置しても良い。
【0159】
また、音響波情報測定装置において、確率共鳴制御回路7、電流制御回路3、電圧制御回路5などの制御回路(制御部)を、圧電素子1やパルス光源6や電流供給部2、電圧供給部4などと共に集積してモジュールとして一体化してもよい。この場合、構成がコンパクトになり、音響波情報測定装置の取り扱いが簡単になる。
【0160】
図7は、本実施の形態の音響波情報測定装置の第1の変形例の音響波情報測定装置の概略構成図である。
【0161】
第1の変形例の音響波情報測定装置は、図1において、Vnで示されている付加雑音電圧として有色雑音の代わりに白色雑音の付加雑音電圧Vnaを用いている点のみが、上記実施形態の音響波情報測定装置と異なる。
【0162】
第1の変形例の音響波情報測定装置では、上記実施形態の音響波情報測定装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第1の変形例の音響波情報測定装置では、上記実施形態の音響波情報測定装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、上記実施形態の音響波情報測定装置と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
【0163】
第1の変形例の音響波情報測定装置においても、微弱な音響波Soutを検知して増幅し、受信信号SrのS/N比を、付加雑音電圧を付加しない場合のS/N比よりも向上させることができる。
【0164】
第1変形例の音響波情報測定装置は、受信信号SrのS/N比の向上効果を最大に得られるように付加雑音電圧Vnaのカットオフ周波数によって調整することができず、確率共鳴現象を起こしにくくなるが、電圧制御回路5においてカットオフ周波数を調整する手順が不要であるので、構成が簡潔になるという利点がある。
【0165】
図8は、本実施の形態の音響波情報測定装置の第2の変形例の音響波情報測定装置の概略構成図である。
【0166】
第2の変形例の音響波情報測定装置は、図1において、Vnで示されている付加雑音電圧の代わりに、雑音が付加されていないバイアスとしての電圧Vnbを用いている点のみが、上記実施形態の音響波情報測定装置と異なる。
【0167】
第2の変形例の音響波情報測定装置では、上記実施形態の音響波情報測定装置の構成部と同一構成部には同一参照番号を付して説明を省略することにする。また、第2の変形例の音響波情報測定装置では、上記実施形態の音響波情報測定装置と共通の作用効果および変形例については説明を省略することにし、上記実施形態の音響波情報測定装置と異なる構成、作用効果および変形例についてのみ説明を行うことにする。
【0168】
第2の変形例の音響波情報測定装置は、音響波Soutが生体内部を伝播する過程で加わった雑音や、圧電素子1に加わった外乱としての雑音を、付加雑音電圧の代わりとして利用する。こうした自然発生的な雑音が圧電素子1に加わることで生じた変位量をxinBとする。
【0169】
こうした自然発生的な雑音のピークと変位量x0のピークが確率的に同期することで、変位量xinBは、圧電素子1の閾値xthを、変位量x0の周期を反映した状態で超えることができる。
【0170】
第2の変形例の音響波情報測定装置では、確率共鳴制御回路7Bには、電流供給部2や電圧供給部4の値などの駆動条件に応じた圧電素子1の入出力特性のデータが予め入力されている。
【0171】
上記確率共鳴制御回路7Bは、当該入力データに基づいて、音響波Soutを受けて生じる変位によって得られる圧電素子1の電位差の振幅が、確率共鳴効果によって増大し、受信信号SrのS/N比が向上するように、電流供給部2がパルス光源6に供給する電流値、および、電圧供給部4が圧電素子1に供給する電圧値を算出する。そして電圧制御回路5および電流制御回路3に制御信号を出力する。
【0172】
上記電流制御回路3は、確率共鳴制御回路7Bからの制御信号に従って、電流供給部2を制御する。また、上記電流供給部2は、電流制御回路3からの制御信号に基づいて、パルス光源6に注入する電流値を上下させる。
【0173】
上記電圧制御回路5は、確率共鳴制御回路7Bからの制御信号に従って、電圧供給部4を制御する。また、上記電圧供給部4は、電圧制御回路5からの制御信号に基づいて、圧電素子1に印加する電圧値を上下させる。
【0174】
第2の変形例の音響波情報測定装においても、微弱な音響波Soutを検知して増幅しているから、受信信号SrのS/N比を、確率共鳴制御回路7Bを用いない場合のS/N比よりも向上させることができる。
【0175】
第2の変形例の音響波情報測定装置は、付加雑音電圧を用いて受信信号SrのS/N比効果を最大に得られるように調整することができず、確率共鳴現象を起こしにくくなるが、電圧供給部4において雑音を発する手段が不要であるので、構成が簡潔で実装がコンパクトになるという利点がある。
【0176】
本発明の音響波情報測定装置は、近赤外光を用いた生体の光音響分光による観察などに使用されると好ましいく、具体的には、例えば、脂肪・血糖などの組成や血圧・酸素飽和度などのバイタルサインを、生体を傷つけずに診断したり、メラニンなどの生体色素を測定するのに使用されれば好ましい。また、本発明の音響波情報測定装置は、広範な診断対象・用途・使用場所における診断装置、検査装置、及び測定装置などに使用されれば好ましい。
【0177】
尚、本発明の音響波情報測定装置は、生体情報を検出するのに使用されると好ましいが、本発明の音響波情報測定装置の使用用途は、生体情報以外の情報を検出するのに限られるわけではなく、この発明の音響波情報測定装置を、音響波に含有される生体情報以外の情報を抽出するのに使用しても良い。
【0178】
また、上記実施形態では、上記圧電素子に印加される電圧として、付加雑音電圧を含む電圧、または、バイアス電圧を、使用して、確率共鳴現象を誘起させたが、この発明では、上記圧電素子に印加される電圧として、付加雑音電圧を含む電圧およびバイアス電圧以外の電圧であって、かつ、電圧の強度が、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大する電圧を使用しても良いことは、勿論である。本発明の本質は、圧電素子のヒステリシス特性と、確率共鳴現象を利用して、微弱な音響波の信号を格段に大きくすることにあり、付加雑音電圧を含む電圧およびバイアス電圧以外の電圧であっても、電圧の強度が、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大する電圧であれば、上記本発明の本質を満足することは言うまでもないからである。
【0179】
尚、本発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0180】
さらに、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0181】
【図1】本発明の一実施形態の音響波情報測定装置の概略的な構成を示す図である。
【図2】音響波を受けた際に、圧電素子に起こる変位量の時間波形を示す波形図である。
【図3】圧電素子に印加された電圧の時間波形を示す波形図である。
【図4】圧電素子が受ける全変位量の時間波形を示す波形図である。
【図5】上記実施形態の音響波情報測定装置の圧電素子の動作特性を説明する図である。
【図6】付加雑音電圧の雑音強度を変化させたときの受信信号のS/N比の一例を示した図である。
【図7】本実施の形態の音響波情報測定装置の第1の変形例の音響波情報測定装置の概略構成図である。
【図8】本実施の形態の音響波情報測定装置の第2の変形例の音響波情報測定装置の概略構成図である。
【図9】一般的な圧電素子の圧電素子の変位と、電気信号として出力される測定値(電位差)との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0182】
1 圧電素子
2 電流供給部
3 電流制御回路
4 電圧供給部
5 電圧制御回路
6 パルス光源
7,7B 確率共鳴制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を出射する光源と、
音響波を受けた際に起こる変位に基づいて電位差を出力し、かつ、上記変位量と上記電位差との関係にヒステリシスを持つ特性を有する圧電素子と、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように電圧を上記圧電素子に供給するための制御信号を出力する確率共鳴制御部と、
上記確率共鳴制御部から出力される制御信号に基づいて、上記圧電素子に印加される電圧を制御する信号を出力する電圧制御部と、
上記電圧制御部からの信号に従って上記圧電素子に電圧を供給する電圧供給部と
を備え、
上記圧電素子に印加される電圧の強度は、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整されていることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の音響波情報測定装置において、
上記圧電素子に印加される電圧は、付加雑音電圧を含んでいるか、または、バイアス電圧であることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の音響波情報測定装置において、
上記圧電素子に印加される電圧は、付加雑音電圧を含んでいることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部から出力される制御信号に基づいて、上記光源に注入される電流を制御する信号を出力する電流制御部と、
上記電流制御部からの信号に従って上記光源に電流を供給する電流供給部とを備え、
上記光源に注入される上記電流の強度は、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整されていることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項5】
請求項3に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させるように、上記圧電素子に印加される上記付加雑音電圧を含む上記電圧の値を調整することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項6】
請求項4に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させるように、上記光源に注入される上記電流の値を調整することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項7】
請求項3に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上であるように、上記圧電素子に印加する、上記付加雑音電圧を含む電圧の値を調整することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項8】
請求項4に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上であるように、上記光源に注入する電流の値を調整することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項9】
請求項3に記載の音響波情報測定装置において、
上記付加雑音電圧によって生じる上記圧電素子の変位量は、上記音響波によって生じる変位量の1/10以下であることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項10】
請求項3に記載の音響波情報測定装置において、
上記付加雑音電圧の強度は、ランダムに変化することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項11】
請求項3に記載の音響波情報測定装置において、
上記付加雑音電圧の強度変化は、有色雑音であることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御装置は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させることが可能なカットオフ周波数を有する上記有色雑音の電圧を、上記電圧供給部が上記圧電素子に印加するように、上記電圧制御部に制御信号を出力することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項13】
請求項3に記載の音響波情報測定装置において、
上記付加雑音電圧の強度変化は、白色雑音であることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項14】
請求項2に記載の音響波情報測定装置において、
上記圧電素子に印加される電圧は、バイアス電圧であることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項15】
請求項14に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部から出力される制御信号に基づいて、上記光源に注入される電流を制御する信号を出力する電流制御部と、
上記電流制御部からの信号に従って上記光源に電流を供給する電流供給部と
を備え、
上記光源に注入される上記電流の強度は、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整されていることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項16】
請求項14に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させるように、上記圧電素子に印加される上記バイアス電圧の値を調整することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項17】
請求項15に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させるように、上記光源に注入される上記電流の値を調整することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項18】
請求項14に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上であるように、上記圧電素子に印加する、上記付加雑音電圧を含む電圧の値を調整することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項19】
請求項15に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上であるように、上記光源に注入する電流の値を調整することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項20】
請求項3、4、14または15に記載の音響波情報測定装置において、
上記圧電素子の上記電位差に基づく信号を出力することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項21】
請求項20に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部に、上記圧電素子が出力した上記電位差に基づく信号の一部を入力することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項22】
請求項21に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部に入力する信号は、電気信号であることを特徴とする音響波情報測
定装置。
【請求項23】
請求項22に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記電気信号に基づいて、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するような電圧の値を制御する信号を、上記電圧制御部に出力することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項24】
請求項22に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記電気信号に基づいて、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するような電流の値を制御する信号を、上記電流制御部に出力することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項25】
請求項24に記載の音響波情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部からの信号に基づいて、上記光源に注入する電流を制御する電流制御部と、
上記電流制御部からの信号に基づいて、上記光源に電流を注入する電流供給部と
を有することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項26】
請求項23に記載の音響波情報測定装置において、
上記圧電素子に印加される電圧は、付加雑音電圧を含んでおり、
上記確率共鳴制御部からの信号に基づいて、上記圧電素子に印加する上記付加雑音電圧を含む電圧を制御する電圧制御部と、
上記電圧制御部からの信号に基づいて、上記付加雑音電圧を含む電圧を上記圧電素子に印加する電圧供給部と
を有することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項27】
請求項23に記載の音響波情報測定装置において、
上記圧電素子に印加される電圧は、バイアス電圧であり、
上記確率共鳴制御部からの信号に基づいて、上記圧電素子に印加するバイアス電圧を制御する電圧制御部と、
上記電圧制御部からの信号に基づいて、上記バイアス電圧を上記圧電素子に印加する電圧供給部と
を有することを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項28】
請求項3または4に記載の音響波情報測定装置において、
上記光源と、上記圧電素子とは、同一基板上に配置されていることを特徴とする音響波情報測定装置。
【請求項29】
光源から生体に断続的に光を照射するステップと、
音響波を受けた際に起こる変位に基づいて電位差を出力し、上記変位量と上記電位差との関係にヒステリシスを持つ特性を有する圧電素子に、上記光の生体への照射に起因して生成した音響波を入力して、上記圧電素子に変位を生じさせるステップと、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧を、上記圧電素子に印加するステップとを含む、生体情報測定方法。
【請求項30】
請求項29に記載の生体情報測定方法において、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、付加雑音電圧を含む電圧であるか、または、バイアス電圧であることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項31】
請求項30に記載の生体情報測定装置において、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、付加雑音電圧を含む電圧であることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項32】
請求項31に記載の生体情報測定方法において、
上記光源に、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された値である電流を供給するステップを含む、生体情報測定方法。
【請求項33】
請求項31に記載の生体情報測定方法において、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させる上記付加雑音電圧および上記電圧を、上記圧電素子に印加することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項34】
請求項32に記載の生体情報測定方法において、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させる上記電流を、上記光源に供給することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項35】
請求項31に記載の生体情報測定方法において、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上になる上記付加雑音電圧を上記圧電素子に印加することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項36】
請求項32に記載の生体情報測定方法において、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上になる上記電流を上記光源に供給することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項37】
請求項31に記載の生体情報測定方法において、
上記付加雑音電圧によって生じる上記圧電素子の変位量は、上記音響波によって生じる変位量の1/10以下であることを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項38】
請求項31に記載の生体情報測定方法において、
上記付加雑音電圧の強度は、ランダムに変化することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項39】
請求項31に記載の生体情報測定方法において、
上記付加雑音電圧の強度変化は、有色雑音であることを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項40】
請求項39に記載の生体情報測定方法において、
上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記付加雑音電圧により上記圧電素子が受ける変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させることが可能なカットオフ周波数を有する上記付加雑音電圧を、上記圧電素子に印加することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項41】
請求項31に記載の生体情報測定方法において、
上記付加雑音電圧の強度変化は、白色雑音であることを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項42】
請求項30に記載の生体情報測定装置において、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、バイアス電圧であることを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項43】
請求項42に記載の生体情報測定装置において、
上記光源に、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された値である電流を供給するステップを含む、生体情報測定方法。
【請求項44】
請求項42に記載の生体情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させる上記バイアス電圧を、上記圧電素子に印加することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項45】
請求項43に記載の生体情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量を、上記圧電素子に検知される変位の閾値に対して上下させて、上記圧電素子に生じる上記電位差の振幅を増大させる上記電流を、上記光源に供給することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項46】
請求項42に記載の生体情報測定方法において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、
上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上になる上記付加雑音電圧を上記圧電素子に印加することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項47】
請求項43に記載の生体情報測定方法において、
上記確率共鳴制御部は、上記音響波により上記圧電素子が受ける上記変位と、
上記圧電素子に上記音響波以外から受ける外乱が加わることで生じた変位とを確率的に同期させることにより、上記圧電素子が受ける全変位量に基づいて出力する電位差から生成される受信信号のS/N比が、最大のS/N比の80%以上になる上記電流を上記光源に供給することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項48】
請求項31、32、42または43に記載の生体情報測定方法において、
上記圧電素子の上記電位差に基づく信号を出力することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項49】
請求項48に記載の生体情報測定方法において、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、付加雑音電圧を含む電圧であり、
上記光源に、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された値である電流を供給するステップを含み、
上記電流および上記付加雑音電圧を含む電圧を、確率共鳴制御部によって制御し、
上記確率共鳴制御部に、上記圧電素子が出力した上記電位差に基づく信号の一部を電気信号として入力することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項50】
請求項48に記載の生体情報測定装置において、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、バイアス電圧であり、
上記光源に、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された値である電流を供給するステップを含み、
上記バイアス電圧を、確率共鳴制御部によって制御し、
上記確率共鳴制御部に、上記圧電素子が出力した上記電位差に基づく信号の一部を電気信号として入力することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項51】
請求項49または50に記載の生体情報測定装置において、
上記電気信号を、上記確率共鳴制御部に入力して上記確率共鳴制御部で監視することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項52】
請求項51に記載の生体情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記電気信号に基づいて、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するような電圧の値を制御する信号を、電圧制御装置に出力することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項53】
請求項52に記載の生体情報測定装置において、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、付加雑音電圧を含む電圧であり、
上記確率共鳴制御部から出力された信号に基づいて、上記圧電素子に印加する上記付加雑音電圧を含む電圧を制御する上記電圧制御装置が、電圧供給装置に信号を出力し、
上記電圧制御装置から出力された信号に基づいて、上記電圧供給装置が、上記付加雑音電圧を含む電圧を上記圧電素子に印加することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項54】
請求項52に記載の生体情報測定装置において、
上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するように調整された電圧は、バイアス電圧であり、
上記確率共鳴制御部から出力された信号に基づいて、上記圧電素子に印加するバイアス電圧を制御する上記電圧制御装置が、電圧供給装置に信号を出力し、
上記電圧制御装置から出力された信号に基づいて、上記電圧供給装置が、上記バイアス電圧を上記圧電素子に印加することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項55】
請求項51に記載の生体情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部は、上記電気信号に基づいて、上記電位差の振幅が確率共鳴現象に基づいて増大するような電流の値を制御する信号を、電流制御装置に出力することを特徴とする生体情報測定方法。
【請求項56】
請求項55に記載の生体情報測定装置において、
上記確率共鳴制御部からの信号に基づいて、上記光源に注入する電流を制御する上記電流制御装置が、電流供給装置に信号を出力し、上記電流制御装置から出力された信号に基づいて、上記電流供給装置が、電流を上記光源に供給することを特徴とする生体情報測定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−165634(P2009−165634A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−7045(P2008−7045)
【出願日】平成20年1月16日(2008.1.16)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】