説明

音響警報装置

【課題】自車両に接近する標的物体の認知度を向上させることを課題とする。
【解決手段】自車両に接近する移動体を検出する第1の検出装置10で検出された移動体の位置、方向、ならびに警報音を出力するか否かを検出処理装置12で判別し、警報音を出力する場合には、移動体の位置、方向に対応して移動を伴う立体音像を立体音生成装置13で生成し、生成された立体音像を可聴の警報音として出力装置15から出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体等の物体が自車両に接近した際に音響により警報を発する音響警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、例えば以下に示す文献に記載されたものが知られている(特許文献1参照)。この文献1には、自車両の例えば斜め後方から接近する標的物体を検出すると、検出方向から側方斜め上方を通り前方へ音像を移動させ、後側方の死角に標的物体が存在することを被警報者に知らせる技術が記載されている。
【特許文献1】特開2000−36998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の装置においては、音像は標的物体の位置に依存せずに移動するため、ドライバー等の被警報者(受聴者)が標的物体の正確な位置を把握することが困難であった。
【0004】
そこで、本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自車両に接近する標的物体の正確な位置の認知度を向上させる音響警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の課題を解決する手段は、自車両に接近する標的物体の位置、方向の判別結果に応じて警報音を出力する場合には、標的物体の位置、方向に対応して移動を伴う立体音像を生成し、この立体音像を可聴の警報音として出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、標的物体の位置、方向に対応して移動を伴う立体音像を生成し、この立体音像を可聴の警報音として出力することにより、自車両に接近する標的物体の正確な位置の認知度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を用いて本発明を実施するための最良の実施例を説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の実施例1に係る音響警報装置の構成を示す図である。図1に示す実施例1の装置は、第1の検出装置10、第2の検出装置11、検出処理装置12、立体音生成装置13、変換装置14ならびに出力装置15を備えて構成されている。
【0009】
第1の検出装置10は、車両に搭載して自車両に相対的に接近する標的物体となる移動体(自車両が移動することで自車両に対して相対的に移動体となる固定物や停止体等も含まれる)を検出し、例えば超音波センサ、レーザレーダ、スキャニングセンサ、カメラ、マイク等で構成される。
【0010】
第2の検出装置11は、警報音を受聴する受聴者(被警報者)となる運転者の動作を検出し、運転者の例えばウィンカ操作、ステアリング操作等を検出するセンサで構成される。
【0011】
検出処理装置12は、第1の検出装置10によって検出された移動体の位置、方向や種別を判別し、また移動体が自車両に接近した際に、警報音(立体音像)の出力が必要であるか否かを判断する。
【0012】
立体音生成装置13は、検出処理装置12によって得られた移動体の位置、方向や種別に対応したデジタル音源による警報音(立体音像)を生成する。
【0013】
上記検出処理装置12ならびに立体音生成装置13は、プログラムに基づいて各種動作処理を制御するコンピュータに必要な、CPU、記憶装置(ROM、RAM)、入出力装置等の資源を備え、制御処理ロジック(ソフトウェア)に基づいて上記処理を実行する例えばマイクロコンピュータ等により実現される。
【0014】
変換装置14は、立体音生成装置13によって生成されたデジタル音源をアナログ音源に変換し、例えばD/A(デジタル/アナログ)コンバータ等で構成される。
【0015】
出力装置15は、移動体が自車両に接近した際にそれを運転者に認知させる警報音(立体音像)を出力し、受聴可能な音量に調整するスピーカ、アンプ等からなる増幅装置を備えている。
【0016】
次に、図2または図3に示すフローチャートを参照して、この実施例1ならびに順を追って以下に説明する実施例2〜実施例10に共通した警報音の基本出力動作について説明する。
【0017】
図2のフローチャートに示す出力動作は、自車両周辺の移動体を検出し、かつ自車両の挙動の変化を検出したときに警報音を出力する一連の処理動作であり、図3のフローチャートに示す出力動作は、自車両周辺の移動体を検出したときに警報音を出力する一連の動作である。
【0018】
先ず図2において、自車両周辺に移動体を検出したか否かを判別する(ステップS21)。移動体の検出例としては、例えば走行中の自車両後方を走行する車両やバイク、もしくは自車両発進時の周囲に存在する歩行者等である。
【0019】
判別の結果、移動体を検出した場合には、続いて自車両の挙動に変化が見られるか否かを判別する(ステップS22)。自車両の挙動変化例としては、例えば走行中のウィンカ操作やステアリング操作(右左折、車線変更等)、もしくはシフトレバーのポジションにより自車両の後退走行(駐車等)である。
【0020】
判別の結果、自車両の挙動に変化が見られた場合には、続いて警報音を出力する必要があるか否かを判別する(ステップS23)。警報音を出力する必要がある場合としては、例えば左車線を走行している自車両に対して右車線の後方より接近する車両を検出し、かつ自車両が左車線から右車線に車線変更しようとした場合等、自車両の運転操作に注意を要するような場合である一方、警報音を出力しない場合としては、例えば自車両が左車線を走行中、右車線を車両が追越していくような場合等の自車両の運転操作に特に支障をきたさないような場合である。
【0021】
判別の結果、警報音の出力を必要とする場合には、続いて移動体の接近方向から警報音が運転者に出力されるように立体音像を生成し(ステップS24)、生成された立体音像を運転者に出力する(ステップS25)。
【0022】
次に、図3において、自車両周辺に移動体を検出したか否かを判別する(ステップS31)。移動体の検出例としては、例えば走行中の自車両後方を走行する車両やバイク、もしくは自車両発進時の周囲に存在する歩行者等である。
【0023】
判別の結果、移動体を検出した場合には、続いて警報音を出力する必要があるか否かを判別する(ステップS32)。警報音を出力する必要がある場合としては、例えば自車両に近接して(すれすれに)走行している車両やバイクを検出した場合等、自車両の周囲に走行上注意すべき物体が存在するような場合である一方、警報音を出力しない場合としては、例えば緊急車両を検出した場合等である。
【0024】
判別の結果、警報音の出力を必要とする場合には、続いて移動体の接近方向から警報音が運転者に出力されるように立体音像を生成し(ステップS33)、生成された立体音像を出力する(ステップS34)。
【0025】
次に、自車両の走行シーンに対して生成される具体的な立体音像について説明する。
【0026】
先ず、例えば図4に示すように、自車両40に対して斜め後方を走行する他の車両41が存在し、このような状態において自車両40の運転者42がウィンカを操作して車両41が走行している車線側に車線変更をしようとする場合には、車両41の存在を運転者42に知らせるために、運転者42に対して車両41の方向とは別の方向(図4では運転者42の後方左側)から車両41の検出方向に向かって音像43を移動させ、運転者42の意識を車両41の方向に指向させる。音像は例えば運転者42の左後方から右後方や、右前方から右後方といったように移動させる。
【0027】
このような音像の移動により、運転者の意識の中に矢印を描き直感での方向認知が可能となる。音像を移動させて運転者が受聴することで、音像の終点を認知しやすくなる利点がある。これにより、自車両に接近する移動体の位置、方向の誤認を防ぐとともに、音像の移動により音像の定位感も向上する。
【0028】
また、図5に示すように、運転者42の頭を中心として、左右(X)軸−前後(Y)軸を跨いだ、または軸上から音像移動の方法を用いることで、前後左右の方向認知を向上させることができる。なお、音像の移動としては、例えば図6(a)に示すように多方向から直線的な移動の他に、同図(b)に示すように曲線的に移動させるようにしても同様の効果を得ることが可能となる。
【0029】
このような様々な音像の移動を使い分けることで、すなわち移動体の種別や位置に応じて音像の移動方法を変更することで、移動体に対する運転者の認知度を向上させることが可能となる。また、この方法を拡張することで、移動体の横方向の移動や斜め方向の移動などを、音像の移動で運転者に提示することが可能となる。
【実施例2】
【0030】
図7は本発明の実施例2に係る音響警報装置において出力される音像を示す図である。この実施例2の特徴とするところは、先の実施例1に対して、移動体となる他の車両41の位置に対応した方向(図7では右後方)に第1の音像71を設定し、かつ別の方向から第1の音像71の位置に向かって第2の音像72を移動させ移動後第2の音像を消滅させたことにあり、第2の音像72の移動方向等他は先の実施例1と同様である。
【0031】
このように、移動体の方向に第1の音像71を設定し、第1の音像71とは異なる箇所から第1の音像71に向かって第2の音像72を移動させるといった音像環境を採用することで、先の実施例1と同様の効果が得られる。また、第1の音像71と第2の音像72とは異なる音種を用いることで、両音像の区別が可能となり受聴時の混乱を回避することができる。
【実施例3】
【0032】
図8は本発明の実施例3に係る音響警報装置において出力される音像を示す図である。この実施例3の特徴とするところは、先の実施例2に対して、自車両の移動とともに第1の音像を移動させたことにあり、他は先の実施例2と同様である。
【0033】
図8において、先ず先の実施例2と同様に同図(a1)に示すように、自車両40の右後方に他の車両41の走行が検出されると、先の実施例2と同様に同図(b1)に示すように、車両41の方向に例えば「ブーン」という音種の第1の音像71を設定し、かつ第1の音像71の左側から第1の音像71に向かって例えば「ヒューン」という第1の音像の音種と異なる音種の第2の音像72を移動させる。
【0034】
その後、運転者42によってウィンカが操作された後車両41が走行している右側車線に自車両40が車線変更を開始すると、図8(a2)〜同図(a4)に示すように自車両40の右側車線への移動とともに、同図(b2)〜(b4)に示すように第2の音像72が車両41の方向に対応して移動し、同図(a4)に示すように自車両40が右側の車線に移動し終わってウィンカの点滅が停止した後に、同図(b4)に示すように第1の音像71がフェードアウトする。
【0035】
このような実施例3においては、自車両に対する移動体の位置の認知度をより一層向上させることが可能となる。
【実施例4】
【0036】
図9は本発明の実施例4に係る音響警報装置において出力される音像を示す図である。この実施例4は、先の実施例2に対して、自車両の右斜め後方から接近してくる他の車両が自車両に極めて接近し、併走状態もしくはそれに近い状態で両車両が走行するに至った際の音像の生成出力の一例である。
【0037】
図9において、同図(a1)に示すように自車両40が左側の車線を走行しているときに、同図(a2)に示すように自車両40の斜め右側後方に自車両40に接近する他の車両41が検出されると、同図(b2)に示すように検出された移動体の方向に対応して第1の音像71が設定され、かつこの第1の音像71は車両41が自車両40に接近する方向に対応して移動する。一方、第1の音像71の左側から第1の音像71に向かって第2の音像72を移動させる。
【0038】
その後、図9(a3)に示すように車両41が自車両に接近するにしたがって、同図(b3)に示すように第1の音像71をその方向に移動させ、車両41が自車両40に近接して走行するような状態になると、第1の音像71とは別の箇所から第1の音像71に向かって第2の音像72を移動させる。
【0039】
このような音像環境を形成することで、他の車両が自車両に接近走行している状態を運転者に的確に認知させることが可能となる。
【実施例5】
【0040】
図10は本発明の実施例5に係る音響警報装置において出力される音像を示す図である。この実施例5は、先の実施例4と同様に、自車両の右斜め後方から接近する他の車両が自車両に極めて接近し、併走状態もしくはそれに近い状態で両車両が走行するに至った際の音像の生成出力の一例である。
【0041】
図10において、同図(a)に示すように、自車両40が左側の車線を走行しているときに自車両40の斜め右側後方に自車両40に接近してくる他の車両41が検出されると、同図(b1)に示すように検出された移動体の方向に対応して第1の音像71が設定される一方、第1の音像71の左側から第1の音像71に向かって第2の音像72を移動させる。
【0042】
その後、双方の車両が接近状態で走行を続けている場合には、図10(b2)に示すように第1の音像71を出力し続ける。このような状態が続くと、運転者42の車両41に対する意識が低下するおそれがあるので、定期的例えば10秒毎に同図(b1)で示すと同様に第1の音像71に向かって第2の音像72を発生移動させ、第1の音像71の位置に運転者42の意識を向かわせる。
【0043】
その後、自車両40と車両41とがさらに接近した場合には、図10(b41)に示すように第1の音像71を接近方向に移動させるとともに、この第1の音像71に向かって第2の音像72を発生移動させる。一方、自車両40と車両41との接近状態が解消された場合には、図10(b42)に示すように第1の音像71をフェードアウトして消音する。
【0044】
このような音像環境を形成することで、他の車両が自車両に接近走行している状態が継続しても、運転者の認知度の低下を回避することが可能となる。また、自車両と他の車両との走行状態が変わっても、その変化を的確に運転者に認知させることができる。
【実施例6】
【0045】
図11は本発明の実施例6に係る音響警報装置において出力される音像を示す図である。この実施例6は、車線を変更する際に変更する車線の後方で他の車両を検出した場合の音像の生成出力の一例である。
【0046】
図11に示すように、片側2車線の道路の左側の車線を自車両40が走行している状態において、右側の車線に変更すべくウィンカを操作したときに右側の車線の後方に他の車両41を検出した場合には、第1の音像111を運転者42の後方左側から右側に移動させて音像の終点で検出した車両41の方向を運転者42に呈示する。その後、第1の音像111の終点から車両の走行音等の音種の第2の音像112を前方に移動させて自車両40の横辺りで停止させ、自車両40が変更する右側車線の後方に他の車両41が走行していることを運転者に認知させる。
【0047】
このような音像環境を形成することで、車線変更する際に変更しようとする車線に他の車両が走行していることを運転者に十分に認知させることが可能となる。
【実施例7】
【0048】
図12は本発明の実施例7に係る音響警報装置において出力される音像を示す図である。この実施例7は、車線を変更する際に変更する車線の後方で他の車両を検出した場合の音像の生成出力の一例である。
【0049】
図12に示すように、片側2車線の道路の左側の車線を自車両40が走行している状態において、右側の車線に変更すべくウィンカを操作したときに右側の車線の後方に他の車両41を検出した場合には、第1の音像111を運転者42の後方左側から右側に移動させて音像の終点で検出した車両41の方向を運転者42に呈示する。その後、第1の音像111の終点から車両の走行音等の音種の第2の音像112を前方に移動させて自車両40の横辺りで停止させ、自車両40が変更する右側車線の後方に他の車両41が走行していることを運転者に認知させる。
【0050】
その後、ウィンカが作動点滅した状態で自車両40が車線変更する前に車両41が自車両40を追い越して行った場合には、第2の音像112は消音する。車両41が自車両40を追い越していった直後に続けて、右側の車線に車両41の後方を走行していた例えばバイク等の他の車両44を検出した場合には、車両41を検出した場合と同様に、車両44に対して第1の音像111と第2の音像112が発生移動する。
【0051】
このような音像環境を形成することで、車線変更する際に変更しようとする車線に複数の車両が連続して走行してくるような場合であってもそれを運転者に十分に認知させることが可能となる。
【実施例8】
【0052】
図13は本発明の実施例8に係る音響警報装置において出力される音像を示す図である。この実施例8は、車線を変更する際に変更する車線の後方で他の車両を検出しなかった場合の音像の生成出力の一例である。
【0053】
図13に示すように、片側2車線の道路の左側の車線を自車両40が走行している状態において、右側の車線に変更すべくウィンカを操作したときに右側の車線の後方に他の車両41を検出しなかった場合には、第1の音像111を運転者42の後方左側から右側に移動させ、先の実施例6,7等で出力した第2の音像は出力しない。
【0054】
このような音像環境を形成することで、車線変更する際に変更しようとする車線に他の車両が走行していない場合であっても変更しようとする車線の後方に運転者の注意を喚起することが可能となる。
【実施例9】
【0055】
図14は本発明の実施例9に係る音響警報装置において出力される音像を示す図である。この実施例9は、車線を変更している最中に変更する車線の後方で他の車両を検出した場合の音像の生成出力の一例である。
【0056】
図14に示すように、片側2車線の道路の左側の車線から右側の車線に自車両40が車線変更しているときに、右側の車線の後方から自車両40に接近する他の車両(図示せず)を検出した場合には、第1の音像111を運転者42の後方左側から右側に移動させて音像の終点で検出した車両41の方向を運転者42に呈示する。その後、第1の音像111の終点辺りに第2の音像112を発生させて移動させない、もしくは運転者42の後方辺りまで移動させる。
【0057】
このような音像環境を形成することで、車線の変更中に運転者42は警報音を受聴することになり、運転者は変更しようとしている車線の後方に他の車両が走行していることを十分に認知することが可能となる。
【実施例10】
【0058】
図15は本発明の実施例10に係る音響警報装置において出力される音像を示す図である。この実施例10は、ナビゲーションシステムによって自車両が経路誘導されている場合の音像の生成出力の一例である。
【0059】
ナビゲーションシステムにより右左折が呈示され、右左折の例えば50m程度手前からウィンカの操作がなされていなくとも自車両の後方で他の車両が検出された場合には、音像を出力する。
【0060】
例えば図15(a)に示すように、ナビゲーションシステムの表示装置に「この先の交差点を左方向です」といった経路が呈示された際に、同図(b)に示すように自車両40の斜め左側後方に例えばバイク等の他の車両44が検出された場合には、第1の音像111を運転者42の後方右側から左側に移動させて音像の終点で検出した車両44の方向を運転者42に呈示する。その後、第1の音像111の終点辺りから前方に向かって第2の音像112を移動させ、車両44が左後方から自車両40に向かって走行していることを認知させる。
【0061】
このような音像環境を形成することで、右左折をしようとする際にウィンカの操作前に後方の車両を認知することができる。これにより、早期に他の車両を認知することが可能となり、ウィンカを早期に操作したり、自車両40が右左折する前に後方の車両を先に行かせる等の措置をとることが可能となり、追突や巻き込み等を未然に防止することが可能となる。
【0062】
上記実施例6,7,9,10において、図16に示すように自車両40の車線変更時に後方車両の存在または後方車両の接近を検出した場合には、同図(b1)で示すように、運転者42の後方左から右もしくは右から左に向かって検出した移動体の方向を指向するように第1の音像111を移動させ、第1の音像111の終点付近から前方の運転者42の横方向に向かって第2の音像112を移動させて音像環境を形成する手法を採用したが、このような第1の音像111の移動手法に代えて、例えば同図(b2)に示すように、運転者42の右横または左横から右後方または左後方に向かって直線的に検出した移動体の方向を指向するように第1の音像111を移動させ、あるいは同図(b3)に示すように、運転者42の真後ろから検出した移動体の方向に向かって直線的に第1の音像111を移動させるような手法を採用しても、同様な効果を得ることが可能である。
【0063】
また、上記実施例6,7,9,10において採用された第1の音像111ならびに第2の音像112に関しては、以下に記載するような手法を採用するようにしてもよい。
(1)両音像は同一音種であってもよい。
(2)両音像は異なる音種を用いる。
(3)第1の音像を第2の音像よりも早く移動させる。
(4)第1の音像と第2の音像との間に無音区間を挿入する。
上記(2)〜(4)を採用することで、両音像の違いを区別し易くなる。
(5)第2の音像の終点を運転者の左右横近辺に設定し、車線変更時による注意を喚起する。
(6)第2の音像は、検出された車両が自車両を追い越して行ったときに消音する。
(7)第2の音像は、運転者がウィンカの点滅操作を中止したときに消音する。
(8)第2の音像は、出力されている際に運転者がウィンカの点滅操作を中止しても音像の移動中は出力を継続し、音像の終点まで出力し続ける。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施例1に係る音響警報装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の動作処理の手順を示すメインフローチャートである。
【図3】本発明の動作処理の手順を示す他のメインフローチャートである。
【図4】本発明の実施例1に係る音像環境を示す図である。
【図5】本発明の実施例1に係る他の音像環境を示す図である。
【図6】本発明の実施例1に係る他の音像環境を示す図である。
【図7】本発明の実施例2に係る音像環境を示す図である。
【図8】本発明の実施例3に係る音像環境を示す図である。
【図9】本発明の実施例4に係る音像環境を示す図である。
【図10】本発明の実施例5に係る音像環境を示す図である。
【図11】本発明の実施例6に係る音像環境を示す図である。
【図12】本発明の実施例7に係る音像環境を示す図である。
【図13】本発明の実施例8に係る音像環境を示す図である。
【図14】本発明の実施例9に係る音像環境を示す図である。
【図15】本発明の実施例10に係る音像環境を示す図である。
【図16】音像の他の移動例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10…第1の検出装置
11…第2の検出装置
12…検出処理装置
13…立体音生成装置
14…変換装置
15…出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両に接近する標的物体を検出する標的物体検出手段と、
前記標的物体検出手段で検出された標的物体の位置、方向を判別し、警報音を出力するか否かを判別する検出処理手段と、
前記標的物体検出手段が前記標的物体を検出し、警報音を出力する場合には、前記検出処理手段で判別された標的物体の位置、方向に対応して移動を伴う立体音像を生成する立体音像生成手段と、
前記立体音像生成手段で生成された立体音像を可聴の警報音として出力する警報音出力手段と
を有することを特徴とする音響警報装置。
【請求項2】
前記自車両の挙動変化を検出する挙動検出手段を有し、
前記検出処理手段は、前記挙動検出手段で検出された自車両の挙動に基づいて、警報の出力を判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の音響警報装置。
【請求項3】
前記立体音像生成手段は、前記標的物体が検出された方向とは異なる方向から前記標的物体が検出された方向に向かって移動する音像を生成する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の音響警報装置。
【請求項4】
前記音像は、直線的もしくは曲線的に移動する多数の音像からなる
ことを特徴とする請求項3に記載の音響警報装置。
【請求項5】
前記立体音像生成手段は、前記標的物体検出手段で検出された標的物体の方向に第1の音像を生成し、前記第1の音像に向かって移動する第2の音像を生成する
ことを特徴とする請求項3に記載の音響警報装置。
【請求項6】
前記第1の音像は、前記自車両と前記標的物体との位置関係に応じて移動または消音する
ことを特徴とする請求項5に記載の音響警報装置。
【請求項7】
前記立体音像生成手段は、前記挙動検出手段で自車両の挙動変化が検出され、前記標的物体検出手段で前記標的物体が検出されると、前記標的物体検出手段で検出された標的物体の方向に移動する第1の音像を生成し、前記第1の音像の終点から運転者の側方に移動する第2の音像を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の音響警報装置。
【請求項8】
前記第2の音像は、前記自車両と前記標的物体との位置関係に応じて消音する
ことを特徴とする請求項7に記載の音響警報装置。
【請求項9】
前記立体音像生成手段は、前記挙動検出手段で自車両の挙動変化が検出され、前記標的物体検出手段で前記標的物体が検出されると、前記標的物体検出手段で検出された標的物体の方向に移動する第1の音像を生成し、前記第1の音像の終点から運転者の側後方に移動する第2の音像、もしくは前記第1の音像の終点で出力された第2の音像を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の音響警報装置。
【請求項10】
前記自車両はナビゲーションシステムを備え、
前記立体音像生成手段は、前記ナビゲーションシステムにより前記自車両の挙動が指示され、前記標的物体検出手段で前記標的物体が検出されると、前記標的物体検出手段で検出された標的物体の方向に移動する第1の音像を生成し、前記第1の音像の終点から運転者の側方に移動する第2の音像を生成する
ことを特徴とする請求項2に記載の音響警報装置。
【請求項11】
前記第1の音像と第2の音像とは、同一または異なる音種である
ことを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の音響警報装置。
【請求項12】
前記第1の音像と第2の音像とは、異なる速度で移動する
ことを特徴とする請求項5〜10のいずれか1項に記載の音響警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−296258(P2009−296258A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147198(P2008−147198)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】