説明

頭髪および頭皮に薬剤を放出するための被膜形成性の液体製剤

本発明は、頭皮および/または頭髪への塗布後に頭皮表面および頭髪への活性成分の送達に有用な被膜を形成する、キトサン、キトサン誘導体またはそれらの生理学的に許容される塩を含有する液体組成物を提供するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤、医療デバイス、衛生用品、または化粧品を調製するための、頭皮表面および頭髪への活性成分の送達に有用な、頭皮または頭髪への塗布後に被膜を形成する、キトサン、キトサン誘導体またはそれらの生理学的に許容される塩を含有する液体組成物に関する。薬剤、衛生用品、洗浄剤または化粧品中に含有される活性成分の頭皮または頭髪への送達は、乳剤、軟膏剤、ゲル剤、散剤、またはフォーム剤のような一般的製剤が、頭皮または頭髪表面との持続的な接触を可能にしないという点で問題となることが多い。
【背景技術】
【0002】
キトサンおよびその誘導体は、甲殻類の外骨格から抽出されたキチンに由来するアミノ多糖類であり、様々な調製物におけるその使用が当技術分野において知られている。特許文献1には、タンパク質またはペプチドの分離のための担体として有用な、微粒子の成分としてキトサンが開示されており、特許文献2においては、有効成分としてパラフィンワックスを含む、皮膚マッサージのためのパック組成物の成分としてキトサンが報告されており、特許文献3には、ボツリヌス毒素のゲル様またはスポンジ状の調製物の成分として、しわ治療薬を得るためのキトサンの使用が教示されている。特許文献4には、空洞を充填する創傷被覆材(cavity-filling wound dressing)に有用なヒドロゲルの成分としてキトサン誘導体が報告されている。特許文献5においては、多孔質でスポンジ状の組織を有する担体シートの成分として、高い脱アセチル化度を有するキトサンの組成物が教示されている。特許文献6には、ナノサイズの繊維の網状構造の形態のキトサンを含む組成物が開示されている。特許文献7には、薬剤を長期間保持する規則的な層状構造を有するキトサンの多層状のエアギャップシートが開示されており、特許文献8には、皮膚へ塗布するための薬剤において分散安定化剤または乳化剤として使用することができる両親媒性キトサン誘導体が教示されている。最後に、特許文献9には、少なくとも1種の抗真菌薬およびヒドロキシアルキルまたはカルボキシアルキルキトサンを含有するマニキュア液組成物が開示されており、一方、特許文献10には、ヒドロキシプロピルキトサンと組み合わせたトクサ属からの1種のハーブ抽出物に基づいた爪再構成組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国特許公開第20020084672号
【特許文献2】韓国特許公開第20020048534号
【特許文献3】特開2005−306746号公報
【特許文献4】国際公開第2005/055924号
【特許文献5】特開2004−231604号公報
【特許文献6】国際公開第03/042251号
【特許文献7】国際公開第02/057983号
【特許文献8】特開平11−060605号
【特許文献9】欧州特許第1303249号
【特許文献10】国際公開第2004/112814号
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Gummer, C.L. et al. The skin penetration cell: design update. Int. J. Pharm. 1987, 40, 101-104
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、頭皮および/または頭髪への塗布後に頭皮表面および頭髪への活性成分の送達に有用な被膜を形成する液体組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
驚くべきことに、キトサン誘導体の液体調製物が、爪への塗布に有用であるのみならず、頭皮への塗布後および揮発性溶媒の蒸発後に、薬剤および他の活性成分が頭皮および/または頭髪表面と密接に接触したままにするのに適した弾性被膜を形成し得るということを見出した。キトサン、医薬活性剤および揮発性溶媒を含有する被膜形成溶液は、一例として、乳剤、ローション剤および軟膏剤と比較して脂性の頭皮の煩わしい感覚を回避し、大きい頭皮表面を処置する場合の乾燥までの長い待ち時間を回避する、揮発性溶媒の急速な蒸発および弾性被膜の容易な形成を可能にすることにより、頭皮または頭髪表面に容易に噴霧することができる。キトサンまたはキトサン誘導体の被膜形成溶液も、穏やかなマッサージにより、または噴霧により頭皮に塗布することができる。キトサンの被膜形成溶液は、活性成分の頭皮の深層への急速な浸透を可能にし、したがって結果的に、毛嚢に至るまでの活性成分の浸透が必要な、抜け毛のような頭皮の症状および/または疾患の安全な治療および/または予防に有用となる。さらに、液体キトサン組成物の溶媒の蒸発後に形成される皮膚膜は、頭皮および/または頭髪表面との持続的で密接な接触、ならびに塗布後の薬剤または他の活性成分の長時間の持続放出を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】3回の実験で無毛ラットの皮膚を通って透過したフィナステライドを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の目的物は、頭皮および/または頭髪への活性成分の送達に有用な、キトサン、キトサン誘導体またはそれらの生理学的に許容される塩を含有する液体製剤の形態の組成物である。キトサン誘導体の中でも、ヒドロキシプロピルキトサンなどのヒドロキシアルキルキトサン、または他の水溶性キトサンが好ましい。
【0009】
キトサンの被膜形成溶液は、レシピエント、好ましくはヒトの頭皮および/または頭髪に局所的に塗布され、頭皮の穏やかなマッサージにより塗布してもよく、弾性被膜の形成を可能にすることにより容易に噴霧してもよい。キトサンの被膜形成溶液は、活性成分の急速な浸透、頭皮との持続的で密接な接触および塗布後の薬剤の長時間の持続放出を可能にする。
【0010】
本発明の液体調製物目的物は、溶液、エマルジョン、コロイドまたは懸濁液の形態であり、キトサン誘導体の含量が0.1から10重量%(重量パーセントは調製物全体に対して示している)、より好ましくは0.2から5重量%、最も好ましくは0.25から2.0重量%であり、該目的物は、溶媒の蒸発後に弾性被膜を形成するのに適した少なくとも1種の活性医薬または化粧品、または植物抽出物を0.001から25重量%、より好ましくは0.2から10重量%、最も好ましくは0.4から5.0重量%含有し、前記被膜は頭皮表面および/または頭髪の表面と密接に接触しており、抜け毛、禿頭症、脱毛症、アンドロゲン性脱毛症、頭髪の脆弱化および他の頭髪の症状のような頭皮および/または頭髪の症状および/または疾患を治療するのに有用な前記活性成分の急速で持続的な浸透を可能にし、該目的物は、少なくとも1種の揮発性溶媒も25から90重量%、好ましくは30から85重量%、より好ましくは35から80重量%の量で含有する。
【0011】
本発明の組成物目的物は、表面に噴霧して均一で不可視の被膜を残すことができるという点で従来の製剤より優れている。さらに、本発明による組成物は、ゲル剤およびローション剤のように汚さず、乾燥せず、他の硬質な被膜調製物のように塗布されたときに煩わしい感覚を与えない。
【0012】
医薬組成物は、適合した賦形剤および薬学的に許容される担体を使用して、従来の技法に従って調製され、補足的な、またはいずれにせよ有用な活性を有する他の有効成分を組み合わせて含有し得る。
【0013】
本発明に従って調製されるこれらの組成物の例としては、無毛または有毛頭皮に塗布するための溶液、エマルジョン、懸濁液、コロイドが挙げられる。
【0014】
本発明による組成物は、5−アルファ還元酵素阻害剤、抗アンドロゲンホルモン、カリウムチャネルアゴニスト、アミノ酸、植物抽出物、酸化防止剤から選択される1種または複数の活性剤を含有してもよく、抜け毛、禿頭症、脱毛症を予防および治療し、頭髪を育て、ボリュームを増やし、強化するのに適している。
【0015】
本発明による組成物中に含有し得る5−アルファ還元酵素阻害剤の例としては、フィナステライド、デュタステライド、アゼライン酸、ベータシトステロール、亜鉛、ビタミンB6が挙げられる。
【0016】
本発明による組成物中に含有し得る抗アンドロゲンホルモンの例としては、スピロノラクトン、酢酸シプロテロン、フルタミド、ケトコナゾール、エストロゲンおよびそれらの塩が挙げられる。
【0017】
本発明による組成物中に含有し得るカリウムチャネルアゴニストの例としては、ミノキシジルが挙げられる。
【0018】
本発明による組成物中に含有し得るアミノ酸の例としては、L−システイン、N−アセチルシステイン、L−シスチン、L−メチオニン、ジメチルスルホン、L−タウリンが挙げられる。
【0019】
その抽出物を本発明による組成物中に含有し得る植物の例としては、ノコギリパルメット、アロエベラ、スギナ、キビ、アフリカプルーン、セイヨウイラクサ、ジュズダマ、ビワが挙げられる。
【0020】
本発明による組成物中に含有し得る酸化防止剤の例としては、アスコルビン酸;グルタチオン;メラトニン;トコフェロールおよびトコトリエノール;レスベラトロールおよびフラボノイドを含めたポリフェノール酸化防止剤;ビニフェロール;リコペン、カロテンを含めたカロテノイドが挙げられる。
【0021】
本発明による組成物は、当該領域を穏やかにマッサージすることにより頭皮表面に、または噴霧により頭髪に塗布することができる。蒸発後、処置した表面に弾性被膜が形成され、それにより活性成分の頭皮および/または頭髪への数時間または数日間もの持続的送達が可能となる。
【0022】
本発明の組成物目的物は、毛嚢での高くてより長い持続能力を活性成分に付与するために、吸収促進剤を含めた浸透力を改良する系(penetration modifying system)、または活性成分の表皮への浸透率を改良し、真皮表皮接合部に貯蔵部を作り出す改良型の送達系(modified delivery system)も含有し得る。本発明による組成物中に含有し得る吸収促進剤の例としては、Transcutol P(登録商標)(ジエチレングリコールモノエチルエーテル)が挙げられる。本発明による組成物中に含有し得る改良型の送達系の例としては、マイクロカプセルが挙げられる。
【0023】
本発明の医薬組成物およびその用途は、次に、以下の実施例によりいっそう完全に説明する。しかし、そのような実施例は例示のために示すものであって制限のためではないことに留意されたい。
【実施例1】
【0024】
以下の組成重量/重量%を有する被膜形成溶液を調製した。
【0025】
1)フィナステライド 0.25%
2)エチルアルコール96° 55.00%
3)プロピレングリコール 5.00%
4)ヒドロキシプロピルキトサン 1.00%
5)精製水 38.75%
調製
エチルアルコール、プロピレングリコールおよび水を室温で混合した。次いで、フィナステライドを添加し、清澄な溶液が得られるまで混合した。ヒドロキシプロピルキトサンを最後の成分として添加し、混合物を室温で24時間または溶解するまで撹拌した。
【0026】
得られた製剤は清澄で無色の溶液であり、長期間の貯蔵後でさえ外観が均一であった。さらに、該液体は、頭皮表面に強力に付着することができる艶消しで非粘着性および弾性の被膜を形成することができた。
【実施例2】
【0027】
以下のw/w%組成を有する液体製剤を調製した。
【0028】
1)デュタステライド 0.25%
2)エチルアルコール96° 55.00%
3)プロピレングリコール 5.00%
4)ヒドロキシプロピルキトサン 2.00%
5)精製水 37.75%
調製
実施例1に関して記載したのと同じ方法を使用することにより該製剤を調製した。
【0029】
ヒドロキシプロピルキトサンを最後の成分として添加し、混合物を室温で24時間または溶解するまで撹拌した。
【0030】
得られた製剤は清澄で無色の溶液であり、長期間の貯蔵後でさえ外観が均一であった。さらに、該液体は、頭皮表面に強力に付着することができる艶消しで非粘着性および弾性の被膜を形成することができた。
【実施例3】
【0031】
以下のw/w%組成を有する液体製剤を調製した。
【0032】
1)ミノキシジル 2.00%
2)エチルアルコール96° 55.00%
3)プロピレングリコール 5.00%
4)ヒドロキシプロピルキトサン 1.00%
5)精製水 37.00%
調製
実施例1に関して記載したのと同じ方法を使用することにより該製剤を調製した。
【0033】
ヒドロキシプロピルキトサンを最後の成分として添加し、混合物を室温で24時間または溶解するまで撹拌した。
【0034】
得られた製剤は清澄で無色の溶液であり、長期間の貯蔵後でさえ外観が均一であった。さらに、該液体は、頭皮表面に強力に付着することができる艶消しで非粘着性および弾性の被膜を形成することができた。
【実施例4】
【0035】
以下のw/w%組成を有する液体製剤を調製した。
【0036】
1)スピロノラクトン 1.00%
2)エチルアルコール96° 55.00%
3)プロピレングリコール 5.00%
4)ヒドロキシプロピルキトサン 2.00%
5)精製水 37.00%
調製
実施例1に関して記載したのと同じ方法を使用することにより該製剤を調製した。
【0037】
ヒドロキシプロピルキトサンを最後の成分として添加し、混合物を室温で24時間または溶解するまで撹拌した。
【0038】
得られた製剤は清澄で無色の溶液であり、長期間の貯蔵後でさえ外観が均一であった。さらに、該液体は、頭皮表面に強力に付着することができる艶消しで非粘着性および弾性の被膜を形成することができた。
【実施例5】
【0039】
オスの無毛ラットの背面または腹部皮膚から得た無毛ラットの切除した皮膚に実施例1による被膜形成溶液を塗布することによりin vitroの透過試験を実施した。付着している脂肪および皮下組織の除去後、皮膚の一部(約9cm2)をGummerの透過垂直セルの2つの区画の間に障壁として置いた(非特許文献1参照)。受容相を下側の区画に導入し、1.0または0.5mLの実施例1による組成物を露出した皮膚表面に規則的に分布させた。所定の時間間隔(2、4、8、12、16、20および24時間)で5.0mLの受容液を分析のために回収し、直ちに等量の追加の緩衝液で代替した。該実験を3回繰り返した。
【0040】
3回の実験で無毛ラットの皮膚を通って透過したフィナステライドを図1で報告している。ラットの無毛皮膚を通って透過した合計パーセント量(Q%)は、1.0mL用量については6.59±1.90%、0.5mL用量については8.78±1.33%であった。
【0041】
フィナステライドが、実施例1によるヒドロキシプロピルキトサンの被膜形成溶液の塗布後に、急速で持続的な方法でラットの皮膚を透過することができたという結論に達した。
【実施例6】
【0042】
以下の組成重量/重量%を有する調製物を調製した。
【0043】
1.フィナステライド 0.25%
2.精製水 19.25%
3.プロピレングリコール 10.00%
4.イソプロパノール 70.00%
5.キトサン 0.50%
調製
キトサンおよびフィナステライドをプロピレングリコール中に溶解し、次いで、その他の成分を添加し、混合物を溶解するまで撹拌することにより該製剤を調製した。得られた液体は、皮膚表面に強力に付着することができる弾性被膜を形成することができた。
【実施例7】
【0044】
以下のw/w%組成を有する液体製剤を調製した。
【0045】
1.ビワ葉1,3−ブチレングリコール抽出物1 10.00%
2.エチルアルコール96° 36.50%
3.ジエチレングリコールモノエチルエーテル2 0.50%
4.ヒドロキシプロピルキトサン 1.00%
5.精製水 52.00%
1ビワ葉抽出物CA、2Transcutol(登録商標)P
調製
エチルアルコールおよび水を室温で混合した。次いで、ビワ葉抽出物CAを添加し、清澄な溶液が得られるまで混合した。ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、ヒドロキシプロピルキトサンを最後の成分として添加し、混合物を室温で4時間または溶解するまで撹拌した。
【0046】
得られた製剤は清澄で無色の溶液であり、外観が均一であった。さらに、該液体は、艶消しで非粘着性および弾性の被膜を形成することができた。
【実施例8】
【0047】
以下のw/w%組成を有する液体製剤を調製した。
【0048】
1.ジュズダマ1,3−ブチレングリコール溶液1 10.00%
2.エチルアルコール96° 36.50%
3.ジエチレングリコールモノエチルエーテル1 0.50%
4.ヒドロキシプロピルキトサン 1.00%
5.精製水 52.00%
1加水分解したジュズダマ抽出物、2Transcutol(登録商標)P
調製
エチルアルコールおよび水を室温で混合した。次いで、加水分解したジュズダマ抽出物を添加し、清澄な溶液が得られるまで混合した。ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、ヒドロキシプロピルキトサンを最後の成分として添加し、混合物を室温で4時間または溶解するまで撹拌した。
【0049】
得られた製剤は清澄でわずかに黄色い溶液であり、外観が均一であった。さらに、該液体は、艶消しで非粘着性および弾性の被膜を形成することができた。
【実施例9】
【0050】
以下のw/w%組成を有する液体製剤を調製した。
【0051】
1)ビワ葉1,3−ブチレングリコール抽出物1 10.00%
2)エチルアルコール96° 36.50%
3)ジエチレングリコールモノエチルエーテル2 0.50%
4)キトサン 1.00%
5)精製水 52.00%
1ビワ葉抽出物CA、2Transcutol(登録商標)P
調製
pH3.0の酢酸による酸化後、キトサンを水中に溶解した。次いで、エチルアルコールを添加し、清澄な粘性の溶液を得るまで混合物を撹拌した。この時点で、pHは5.5まで上昇した。
【0052】
ジエチレングリコールモノエチルエーテルを添加し、最後にハーブ抽出物を添加した。
【0053】
得られた製剤は清澄で無色の溶液であり、外観が均一でわずかに粘性であった。
【実施例10】
【0054】
インフォームドコンセントを与えた年齢20〜45歳の4人の健康な女性のボランティアの頭髪に対する実施例9による溶液の効果を評価するためにオープンな比較試験を実施した。全ての女性が滑らかな頭髪を有しており、被験者1は地毛、被験者2および3は染めた髪、被験者4は白髪交じりであった。標準的シャンプーによる頭髪の洗浄後、各女性から、頭皮の同じ領域から2つの束をサンプリングし、以下の手順に従った。
【0055】
各女性の1つの束に実施例9による溶液を処置し、次いで、ドライヤーでブローした。
【0056】
その他の束をドライヤーでブローし、未処置の対照とした。
【0057】
以下のパラメーターを測定した。
【0058】
1.体積:0=不十分、1=乏しい、2=適度、3=大量
2.牽引抵抗力(UNI EN ISO2062:1997に従った)
3.分光測光法(CIE、国際照明委員会(Commission Internationale de l'Eclairage)に従って輝きを測定した)
4.3D Hirox KH−770の2100倍および350倍でのデジタル3Dビデオ顕微鏡法
結果は以下の通りであった。処理した束は、12%高い平均体積、分光測光法により測定すると6%高い輝きおよび対照束より11%高い牽引抵抗力を示した。デジタルビデオ顕微鏡法では、処理した頭髪がより滑らかで角質がより規則的な外観を有しているように見えた。
【0059】
結論として、実施例9に従った調製物は、ヒトの頭髪のボリュームを増やし、ヒトの頭髪を強化し、その輝きおよび滑らかさを改善することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)キトサン、キトサン誘導体またはそれらの生理学的に許容される塩と、
(b)5−アルファ還元酵素阻害剤、抗アンドロゲンホルモン、カリウムチャネルアゴニスト、アミノ酸、植物抽出物および酸化防止剤から選択される少なくとも1種の医薬または化粧品活性成分と、
(c)少なくとも1種の揮発性溶媒と、
を含有することを特徴とする、頭皮および/または頭髪の症状および/または疾患の治療および/または予防用組成物。
【請求項2】
成分a)は、前記組成物の総重量に対して0.1から10%、好ましくは0.2から5%、より好ましくは0.25から2.0%の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分a)は、水溶性キトサン誘導体またはそれらの塩であることを特徴とする前記請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記水溶性キトサン誘導体は、ヒドロキシアルキル−キトサンであることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記ヒドロキシアルキル−キトサンは、ヒドロキシプロピル−キトサンであることを特徴とする請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
成分b)は、前記組成物の総重量に対して0.001から25%、好ましくは0.2から10%、より好ましくは0.4から5.0%の量で存在することを特徴とする前記請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記5−アルファ還元酵素阻害剤は、フィナステライド、デュタステライド、アゼライン酸、ベータシトステロール、亜鉛、ビタミンB6から選択され、前記抗アンドロゲンホルモンは、スピロノラクトン、酢酸シプロテロン、フルタミド、ケトコナゾール、エストロゲンおよびそれらの塩から選択され、前記カリウムチャネルアゴニストはミノキシジルであり、前記アミノ酸は、L−システイン、N−アセチルシステイン、L−シスチン、L−メチオニン、ジメチルスルホン、L−タウリンから選択され、および/または前記植物抽出物は、ノコギリパルメット、アロエベラ、スギナ、キビ、アフリカプルーン、セイヨウイラクサ、ジュズダマ、ビワの抽出物から選択されることを特徴とする前記請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
成分c)は、前記組成物の総重量に対して25%から90%、好ましくは30%から85%、より好ましくは35%から80%の量で存在することを特徴とする前記請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
成分c)は、好ましくはエタノールまたはイソプロパノールから選択される低級アルカノールであることを特徴とする前記請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
水を含むことを特徴とする前記請求項1〜9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
通常の賦形剤および/またはアジュバントを含むことを特徴とする前記請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
液体、好ましくは溶液、エマルジョン、懸濁液またはコロイドであることを特徴とする前記請求項1〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
噴霧により塗布されることを特徴とする前記請求項1〜12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記頭皮および/または頭髪の症状および/または疾患は、抜け毛、禿頭症、脱毛症、アンドロゲン性脱毛症および/または頭髪の脆弱化から選択されることを特徴とする前記請求項1〜13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
好ましくはジエチレングリコールモノエチルエーテルまたはマイクロカプセルから選択される少なくとも1種の浸透力を改良する系をさらに含有することを特徴とする前記請求項1〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記頭皮および/または頭髪の症状および/または疾患の治療および/または予防は、前記組成物をヒトの頭皮および/または頭髪に塗布することにより達成されることを特徴とする前記請求項1〜15のいずれか一項に記載の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2011−529938(P2011−529938A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521534(P2011−521534)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059807
【国際公開番号】WO2010/015556
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(503459992)ポリケム・エスエイ (16)
【Fターム(参考)】