説明

顕微鏡写真装置および顕微鏡写真装置制御方法

【課題】複数の撮影範囲に対して多点タイムラプス撮影を行なう際、撮影間隔時間等に制限される事なく、各々の被検物の撮影を行なえる顕微鏡写真装置および制御方法を提供すること。
【解決手段】被検物を保持するためのステージと被検物に集光するための対物レンズとが相対的に3次元方向に移動可能な顕微鏡本体と、被検物を撮影して被検物画像を取得する手段と、ステージ等が相対的に移動することにより顕微鏡本体の視野範囲を設定し、これに対応するステージの位置情報を記憶する手段と、視野範囲における顕微鏡本体および撮影手段の設定情報を記憶する手段と、視野範囲をタイムラプス撮影する際の撮影条件を記憶する手段と、記憶された位置情報、設定情報および撮影条件に基づいて、視野範囲ごとのタイムラプス撮影像を取得する手段と、撮影された最新のタイムラプス撮影画像を視野範囲ごとに一括表示する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡画像を一定時間間隔ごとに撮影(タイムラプス撮影)する顕微鏡写真装置および顕微鏡写真装置制御方法に関し、特に、複数の撮影範囲に対して同時にタイムラプス撮影を行なう多点タイムラプス撮影により撮影した顕微鏡画像を一覧表示させた上で、各顕微鏡画像について所望の撮影制御を行なう顕微鏡写真装置および顕微鏡写真装置制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡により被検物を観察する方法として、顕微鏡画像を一定時間間隔ごとに撮影(以下、タイムラプス撮影と称する。)するとともに、撮影終了後に一連の撮影画像を再生し、時間的な被検物の形態変化を動画像として観察する方法がある。このような方法は、顕微鏡視野内に存在する特定の被検物、例えば生きた細胞の時間的変化を観察する方法として極めて有効とされている。
【0003】
また最近では、同一条件で培養した細胞に対して複数の試薬の効果を確認する場合や、異なる細胞の経時変化を同一環境下で観察する時間変化を同一時刻で観察する場合等に、複数の撮影位置に対してもタイムラプス撮影を行なう場合がある。
【0004】
この様に複数の撮影範囲に対して同時にタイムラプス撮影を行なう撮影方法(以下、多点タイムラプス撮影と称する)では、複数の撮影範囲が同一の顕微鏡視野内にあるとは限らず、その被検物内の顕微鏡視野外、またはその被検物とは異なる被検物である場合も多い。
【0005】
この様な場合の撮影方法として、電動にてX,Y,Zが制御可能なステージの上に被検物を積載し、予め複数の撮影範囲の位置座標と、該当位置における撮像素子の露出値、および撮影範囲に適用されるタイムラプス撮影の間隔時間や撮影枚数等を設定する事で、多点タイムラプスを可能とする様な構成および方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−277754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の手法では、設定可能なタイムラプス間隔時間や撮影枚数の設定は、全ての観察範囲に対して同一であるため、同一の比較検討を行なう複数被検物のみに対する一連の多点タイムラプス撮影しか行なう事はできず、培養する環境が同一であり、ステージ上に積載する被検物の数量に余裕がある場合でも、異なる間隔で経時変化を比較したい実験等は別途行なわなければならないという問題点があった。すなわち、タイムラプス撮影は、被検物となる細胞の変化速度が緩慢であったり長期的な変化を続けたりした場合、一通りの撮影シーケンスが数日から数週間に及ぶ事も少なくないため、複数種類の実験には多大な時間を要してしまうという問題点があった。
【0008】
また、細胞の経時変化により最適露出値が変化してしまうこと、細胞が移動して観察範囲を外れてしまうこと、あるいはピントがずれてしまうこと等の問題が発生したり、経時変化の過程で撮影範囲(撮影倍率)を変更したい状況が発生しても、タイムラプス撮影は継続されているため、せっかく長時間かけて撮影したデータが無駄に終わってしまったりするという問題点があった。
【0009】
さらに、細胞の死滅や、形態変化が収束した際にも、設定されている撮影枚数を撮影してしまうため、膨大な画像ファイルによる保存用メモリが無駄に消費するという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記従来技術の欠点に鑑みてなされたもので、複数の撮影範囲に対して多点タイムラプス撮影を行なう際、撮影間隔時間や撮影枚数に制限される事なく、各々の被検物の撮影を行なえ、さらに撮影途中で任意の条件変更を可能にした操作性や効率の良い多点タイムラプス撮影が行なえる顕微鏡写真装置および顕微鏡写真装置制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するため、下記のような構成を採用した。
すなわち、本発明の一態様によれば、本発明の顕微鏡写真装置は、被検物を保持するためのステージと上記被検物に集光するための対物レンズとが相対的に3次元方向に移動可能な顕微鏡本体と、上記被検物を撮影して被検物画像を取得する撮影手段と、上記ステージまたは上記対物レンズが相対的に移動することにより上記顕微鏡本体の視野範囲を設定し、上記視野範囲に対応する上記ステージの位置情報を記憶する位置記憶手段と、上記視野範囲における上記顕微鏡本体および上記撮影手段の設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、上記視野範囲をタイムラプス撮影する際の撮影条件を記憶するタイムラプス情報記憶手段と、上記位置記憶手段に記憶された上記位置情報、上記位置情報に対応する上記設定情報記憶手段に記憶された上記設定情報および上記タイムラプス情報記憶手段に記憶された上記撮影条件に基づいて、上記視野範囲ごとのタイムラプス撮影像を取得する撮影制御手段と、上記撮影制御手段によって撮影された最新のタイムラプス撮影画像を上記視野範囲ごとに一括表示する画像表示手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
これにより、多点タイムラプス撮影を行なう際、各々独立したタイムラプス時間間隔や撮影枚数で撮影を行なう事が可能であるため、異なる経時変化を呈する複数の細胞等に対して同時に撮影を行なう事ができ、撮影時間の大幅な削減が可能となる。
【0013】
また、各々の撮影範囲の最新画像を、マルチ画面として表示させるため、一目で全ての観察範囲の被検物挙動をモニタする事が可能となり、各被検物状態の変化を素早く察知する事が可能になる。
【0014】
また、本発明の顕微鏡写真装置は、上記撮影制御手段が、タイムラプス撮影中に撮影動作の中断を上記視野範囲ごとに行なう撮影中断制御機能および中断されていた撮影を再開する撮影再開制御機能とを有し、上記画像表示手段が、上記撮影中断制御機能により撮影を中断されたことまたは上記撮影再開制御機能により再開されたことを表示により知らせる撮影状態通知機能を有することが望ましい。
【0015】
これにより、多点タイムラプス撮影中に継続して撮影する必要の無くなった観察範囲のみの中断が可能であるため、無駄な撮影時間の短縮、および不要な画像ファイルによる保存用メモリの消費を回避する事が可能となる。
【0016】
また、本発明の顕微鏡写真装置は、上記位置記憶手段、上記設定情報記憶手段および上記タイムラプス情報記憶手段が、上記撮影中断制御機能により撮影を中断された上記視野範囲に対して、記憶されていた情報を変更可能とする情報変更機能を有することが望ましい。
【0017】
これにより、タイムラプス撮影の一時停止中に種々の撮影条件を変更可能としたため、例えば被検物の移動による撮影ミスや、被検物の経時変化に伴う光量の変化による、撮影露出ミス等を回避し、事前に補正する事が出来る様になる。さらに途中から急激な変化を呈する様な被検物があっても、常に適正なタイムラプス間隔時間を再設定可能であるため、撮影のタイミングを逸するといった事もなくなる。
【0018】
また、本発明の顕微鏡写真装置は、上記撮影制御手段が、上記タイムラプス撮影中の撮影動作を行っていない期間に、選択された視野範囲のライブ画像を撮像するリアルタイム撮像機能を有し、上記画像表示手段が、上記撮影制御手段からの上記ライブ画像を、選択した視野範囲に対応する表示位置に表示させるリアルタイム画像表示機能を有することが望ましい。
【0019】
これにより、一時停止中の撮影条件の補正等を的確に行なえ、安定した撮影動作が可能となる。
また、本発明の顕微鏡写真装置は、上記撮影制御手段が、複数の視野範囲の撮影順序を決める際に、撮影が終了していない視野範囲の中から最も近い視野範囲を次の撮影範囲とすることが望ましい。
【0020】
これにより、撮影タイミングとなった複数の撮影範囲を撮影する際に、撮影までに要する時間を極力少なくする事が可能となるので、予め設定したタイムラプス間隔時間に対して精度の高い多点タイムラプス撮影を行なうことが可能となる。
【0021】
また、本発明の一態様によれば、本発明の顕微鏡写真装置制御方法は、被検物を保持するためのステージと上記被検物に集光するための対物レンズとが相対的に3次元方向に移動可能な顕微鏡本体が実行する顕微鏡写真装置制御方法であって、上記被検物を撮影して被検物画像を取得し、上記ステージまたは上記対物レンズが相対的に移動することにより上記顕微鏡本体の視野範囲を設定し、上記視野範囲に対応する上記ステージの位置情報を記憶し、上記視野範囲における上記顕微鏡本体および上記撮影における設定情報を記憶し、上記視野範囲をタイムラプス撮影する際の撮影条件を記憶し、上記記憶された上記位置情報、上記位置情報に対応する上記設定情報および上記記憶された上記撮影条件に基づいて、上記視野範囲ごとのタイムラプス撮影像を取得し、上記撮影された最新のタイムラプス撮影画像を上記視野範囲ごとに一括表示することを特徴とする。
【0022】
これにより、多点タイムラプス撮影を行なう際、各々独立したタイムラプス時間間隔や撮影枚数で撮影を行なう事が可能であるため、異なる経時変化を呈する複数の細胞等に対して同時に撮影を行なう事ができ、撮影時間の大幅な削減が可能となる。
【0023】
また、各々の撮影範囲の最新画像を、マルチ画面として表示させるため、一目で全ての観察範囲の被検物挙動をモニタする事が可能となり、各被検物状態の変化を素早く察知する事が可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、多点タイムラプス撮影を行なう際、各々独立したタイムラプス時間間隔や撮影枚数で撮影を行なう事が可能であるため、異なる経時変化を呈する複数の細胞等に対して同時に撮影を行なう事ができ、撮影時間の大幅な削減が可能となる。
【0025】
また、本発明によれば、各々の撮影範囲の最新画像を、マルチ画面として表示させるため、一目で全ての観察範囲の被検物挙動をモニタする事が可能となり、各被検物状態の変化を素早く察知する事が可能になる。
【0026】
また、本発明によれば、多点タイムラプス撮影中に継続して撮影する必要の無くなった観察範囲のみの中断が可能であるため、無駄な撮影時間の短縮、および不要な画像ファイルによる保存用メモリの消費を回避する事が可能となる。
【0027】
また、本発明によれば、タイムラプス撮影の一時停止中に種々の撮影条件を変更可能としたため、例えば被検物の移動による撮影ミスや、被検物の経時変化に伴う光量の変化による、撮影露出ミス等を回避し、事前に補正する事が出来る様になる。さらに途中から急激な変化を呈する様な被検物があっても、常に適正なタイムラプス間隔時間を再設定可能であるため、撮影のタイミングを逸するといった事もなくなる。
【0028】
また、本発明によれば、一時停止中の撮影条件の補正等を的確に行なえ、安定した撮影動作が可能となる。
また、本発明によれば、撮影タイミングとなった複数の撮影範囲を撮影する際に、撮影までに要する時間を極力少なくする事が可能となるので、予め設定したタイムラプス間隔時間に対して精度の高い多点タイムラプス撮影を行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明が適用される顕微鏡写真装置の概略構成を示す図である。
【図2】情報データベース18のデータ構造を示す図である。
【図3】モニタ8の表示画面例を示す図(その1)である。
【図4】モニタ8の表示画面例を示す図(その2)である。
【図5】進捗画像101を説明するための図である。
【図6】撮影データ表示領域107の表示例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態における多点タイムラプス撮影シーケンスの流れを示すフローチャートである。
【図8】タイムラプス撮影が完了した際の進捗画像101を説明するための図である。
【図9】進捗画像101の[5]がリアルタイム画像を表示している例を示す図である。
【図10】ポップアップメニュー110の例を示す図である。
【図11】進捗画像[5]がマルチモニタ領域102から削除された例を示す図である。
【図12】進捗画像[5]上のステータスマーク109が一時停止を示すマークに変わる例を示す図である
【図13】ポップアップメニュー111の例を示す図である。
【図14】第2の実施の形態における多点タイムラプス撮影シーケンスの流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について述べる。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明が適用される顕微鏡写真装置の概略構成を示す図である。
【0031】
図1において、顕微鏡本体1には、視野範囲選択手段およびピント調節手段として3次元方向に移動可能な電動ステージ2と対物レンズ3とが対峙して配置されている。電動ステージ2上には、被検物4が保持され、この被検物4の観察像を、対物レンズ3を介して接眼レンズ5で肉眼観察可能にするとともに、CCD撮像素子を備えた撮像部6により撮像可能にしている。また、撮像部6には、制御部7が接続されている。
【0032】
また、制御部7は、撮像制御部71、顕微鏡制御部72、および撮影情報管理部73を有し、モニタ8、入力装置9、ステージ駆動部10、レボルバ駆動部11、照明制御部12、光学素子制御部13が接続されている。
【0033】
ここで制御部7は、CPU、該CPUのバスに接続されたRAM、入出力装置およびハードディスクなどの図示しない外部記憶装置から構成され、外部記憶装置には、CPUを撮影制御部71、顕微鏡制御部72および撮影情報管理部73として作動させるためのプログラムが格納されている。ここで用いられるプログラムは、例えばマイクロソフト社のWindows(登録商標)を基本ソフトウェアとして作動し、全ての指令は、マウスなどのポインティングデバイスやキーボードなどの入力装置9を介して与えられるようになっている。
【0034】
また、顕微鏡制御部72は、ステージ駆動部10、レボルバ駆動部11、照明制御部12、および光学素子制御部13に対して、撮影に必要な動作を行なわせる。また撮像制御部71は、必要な撮影条件に応じて撮像部6の種々のコントロールを行なうとともに、撮像された被検物画像をモニタ8に表示させるようにしている。
【0035】
ステージ駆動部10は、顕微鏡制御部71の指示に応じて電動ステージ2をX−Y平面(水平方向)、および上下駆動(垂直方向:Z方向)させるためのものである。
レボルバ駆動部11は、顕微鏡制御部71の指示に応じてレボルバ31を回転させ、所望する倍率の対物レンズ3を光路上に位置させるものである。
【0036】
照明制御部12は、撮影に必要な種々の照明コントロールを行なうものであり、被検物4を上方から照明する落射照明用光源14、および被検物4を下方から照明する透過照明用光源15の光量を、顕微鏡制御部72の指示に応じて調節する。
【0037】
光学素子制御部13は、偏光、位相差、ノマルスキー、および蛍光等の各種検鏡を行なうために必要な、各種フィルタや偏光素子等16の光路中へ挿脱、あるいは簡易的に観察倍率を変更可能な変倍レンズ等17の交換を、顕微鏡制御部72の指示に応じて行なうものである。
【0038】
被検物4は、例えば複数の細胞が培養液の入った透明容器の中の下部に定着している標本とする。
また、撮影情報管理部73には、撮影情報データベース18が接続されている。
【0039】
図2は、情報データベース18のデータ構造を示す図である。
図2において、撮影情報データベース18は、1番目からN番目までの各撮影範囲(#1、#2、…、#Nは撮影範囲の番号を示す)の撮影範囲ごとに撮影情報50が記憶されている。この場合、各撮影情報50は、(X1,Y1,Z1)(X2,Y2,Z2)…(XN,XN,XN)で表わされる撮影範囲の位置座標51、撮影条件52、タイムラプス撮影条件53、およびタイムラプス撮影画像の保存場所54からなっている。
【0040】
タイムラプス撮影画像は、一般的に膨大な容量になることが知られており、このため本第1の実施の形態では、ハードディスクにファイルとして保存する。
#1〜#Nの各撮影範囲のタイムラプス撮影像は、各保存場所54内に、最初の撮像画像→次の撮像画像→その次の撮影画像→・・・の様に、時系列に並んで保存されている。このときのファイルフォーマットは、時系列的に連続性のあるネーミングの静止画像ファイル(TiffやJpeg等)でも、時系列毎の静止画像に基づいて作成された、動画ファイル(AVIやMpeg等)であってもよい。
【0041】
図1の説明に戻る。
電動ステージ2はX,Y,Z方向各々に機械的原点を有している。顕微鏡制御部72は、この機械的原点を基点として、ステージ駆動部10に対して指示した移動量を内部的に管理することによって、電動ステージ2の現在の位置座標を認識できるようになっている。すなわち、顕微鏡制御部72は、対物レンズ3の光軸に対する電動ステージ2の位置を検出する位置検出手段としての機能を有し、観察視野の現在位置として電動ステージ2の現在の位置座標(X,Y,Z)を出力する。また、別の構成として、電動ステージ2の現在位置を検出する位置検出手段を別途設け、この位置検出手段によって直接的に電動ステージ2の位置座標を認識するように構成することもできる。
【0042】
次に、上述のように構成した顕微鏡写真装置の動作を説明する。
まず、タイムラプス撮影のための準備を行なう。
最初に、制御部7の撮影制御部71によりモニタ8の画面上に、図3に示すような顕微鏡画像を表示する画像表示ウィンドウ60と、撮影範囲の設定や撮影条件などを設定するコントロールウィンドウ80、および設定された後述するレシピを操作するレシピウィンドウ90を表示させる。
【0043】
この場合、画像表示ウィンドウ60には、電動ステージ2上の被検物4の観察像として、対物レンズ3を介して撮像部6により撮像した顕微鏡画像である、複数の細胞61が表示されている。
【0044】
また、コントロールウィンドウ80は、使用する対物レンズ3の選択、照明光の切換または光量調節、各種光学素子の光路中への挿脱、観察像のズーム、電動ステージ2のX−Y平面内移動または上下移動等の操作を行なうための顕微鏡コントロールGUI部81と、現在撮像している画像情報に基づいて、撮影の際の最適露出時間を設定する自動露出動作(以下、AEと呼ぶ)の開始またはマニュアルでの露出時間の設定と、タイムラプス撮影間隔時間または撮影枚数等の撮影条件の設定とを、撮像部6に対して実行する撮影コントロールGUI部82とで構成されている。
【0045】
また、レシピウィンドウ90は、コントロールウィンドウ80で設定した顕微鏡本体1の状態や撮影条件等の全てのパラメータを1つのデータ群(以下、リストと呼ぶ)として登録を行なうために予め登録されたリストに基づいて、各部位の状態を再現させたり登録したリストを削除したり等の操作を行なう事ができる。
【0046】
次に、上述のような状態で、撮影範囲、および撮影条件の設定を行なう。
まず、顕微鏡コントロールGUI部81内の図示しないステージ移動ボタンを操作して、電動ステージ2をX、Y、Z方向に移動させ、撮影を行なう画像にピント合わせを行なう。また、照明の状態や検鏡法に応じた光学素子の選択を、顕微鏡コントロールGUI部81内の図示しない各種操作ボタンを操作して行なう。
【0047】
次に、撮影コントロールGUI部82内の、図示しないAE開始ボタンを押すか、もしくは図示しない露出時間入力ボックスに値を書き込んで、撮影に使用する露出時間を設定する。
【0048】
撮影制御部71は設定された露出時間に基づいて撮像部6に指示を行なうため、画像表示ウィンドウ60にリアルタイム表示されている画像が、実際に撮影される画像となっている。
【0049】
さらに、撮影コントロールGUI部82内の図示しない設定ボタン、入力ボックス等を操作して、設定した撮影範囲におけるタイムラプス撮影間隔時間、および撮影枚数等の撮影条件を設定する。
【0050】
そして、現在の撮影範囲における上述した設定が完了した後に、レシピウィンドウ90内の図示しない登録ボタンを押して、設定状態の登録を行なう。この操作により、設定データがデータベース18内の撮影情報50に格納される。例えば、撮影範囲#1の記憶領域内の位置座標51に現在の電動ステージ2の座標(X1,Y1,Z1)、撮影条件52に顕微鏡の設定情報や露出時間、タイムラプス撮影条件53にタイムラプス間隔時間や撮影枚数等の情報が格納される。ところで、この時点ではタイムラプス撮影画像の保存場所54内には、画像データは入っていない。
【0051】
以上の様な操作を繰り返す事で、各所望の撮影範囲#0〜#Nの撮影情報50が撮影情報データベース18に記憶される事になる。
登録された情報は、リストとして、レシピウィンドウ90内の図示しないドロップダウンボックスに追加され、設定済みのリストを選択する事で、これに相当する撮影範囲や撮影条件の再現を行ったり、登録済みのリストを削除したりする事が可能になっている。
【0052】
次に、このような撮影準備に基づいて行われる実際の撮影について説明する。
まず、全ての設定が完了した場合、コントロールウィンドウ80内の図示しない撮影開始ボタンを押す。
【0053】
開始ボタンが押されると、画像表示ウィンドウ60、コントロールウィンドウ80およびレシピウィンドウ90が閉じられ、その後、図4に示すような進捗ウィンドウ100が新たに表示され、撮影が開始される。
【0054】
進捗ウィンドウ100は、レシピウィンドウ90において登録したリスト数分の撮影範囲の画像101(以下、進捗画像101と呼ぶ)を全て表示することが可能であり(図4においては登録リスト数=9としている)、これらの進捗画像101をマルチ画面として表示するマルチモニタ領域102と、マルチモニタ領域102内に表示される各進捗画像の拡大・縮小を行なうための画像サイズ変更ボタン103、および全ての進捗画像101がマルチモニタ領域102に収まらない大きさにした場合に現れる縦スクロールバー104および横スクロールバー105で構成されている。
【0055】
そして、各進捗画像101は、レシピウィンドウ90において登録したリストの順番に対応して図4中の[1]、[2]、[3]、…、[9]の様な配置で表示されており、撮影が一枚も行われていない画像範囲の進捗画像101は、画像表示されていない。
【0056】
ところで、各進捗画面101は、それぞれ図5に示す様になっており、経時変化を示す細胞106等の撮影対象が、後述する撮影シーケンスによって撮影された最新の状態として観察できる様になっている。
【0057】
また、撮影データ表示領域107には、図6に示すように、リスト番号:a、対物レンズ倍率:b、ズーム倍率:c、光学素子情報:d、露出時間:e、タイムラプス間隔時間:f、撮影済み枚数/総撮影枚数:g等の、撮影時に使用した様々な情報が表示される。なお、この撮影データ表示領域107を表示する位置は、例えば観察者によるマウスのドラッグ操作により、各進捗画像101内の任意の位置に移動可能とする。
【0058】
また、ステータスマーク109は、図5に示すように、静止画像であればカメラのマーク等、後述するリアルタイム画像であればビデオカメラのマーク(図9参照)等という様に、画像の種類や状態が一目で分かる様になっている。また、各進捗画像101の外周には外枠108が付いているものとする。
【0059】
次に、実際の多点タイムラプス撮影シーケンスについて説明する。
図7は、多点タイムラプス撮影シーケンスの流れを示すフローチャートである。
まず、ステップS1において、撮影が開始されると、ステップS2において、撮影制御部71は、撮影情報データベース18に記憶されている#1〜#Nの、各々の撮影情報50中のタイムラプス撮影条件53から、タイムラプス間隔時間:T1〜TNを全て読み出し、ステップS3において、それぞれの時間でループ動作を継続するN個分の独立したタイマー:Timer#1〜Timer#Nを起動する。これらのタイマー:Timer#1〜Timer#Nは、設定された時間:T1〜TNが経過すると、撮影タイミングである事を表すフラグ:Flag#1〜Flag#Nを発生させる。
【0060】
そして、ステップS4において、撮影制御部71は、Flag#1〜Flag#Nのいずれかが発生しているかを判断し、フラグが1つでも発生した事を検出すると(ステップS4:Yes)、ステップS5において、該当する撮影範囲:#K(Kは撮影範囲50内の、発生したフラグに対応する撮影範囲の番号、すなわち#1〜#N中の任意の数とする)の位置座標51(XK,YK,ZK)、撮影条件52、タイムラプス撮影条件53を読み出すと同時に、発生した該当フラグ:Flag#Kを解除する。その後、ステップS6において、該当座標へ電動ステージ2を移動し、ステップS7において、照明光や光学素子等の顕微鏡の状態を撮影条件52内の各データに基づいて設定し、ステップS8において、撮像部6へ露出時間の指示を行なう。
【0061】
これらの設定が完了すると、ステップS9において、撮影制御部71は、撮像部6を制御して撮影を行い、ステップS10において、撮影した画像を進捗ウィンドウ100内の該当する進捗画面に表示させると同時に、ファイルとして該当する撮影画像の保存場所54に格納する。この時のファイル名は、撮影範囲を表す文字列と、時系列的に連続性を持つ数字等の組み合わせで自動的に設定されるものとする。
【0062】
その後、ステップS11において、ステップS5で読み出したタイムラプス撮影条件53中の撮影完了枚数:nKを1だけインクリメントし、ステップS12において、撮影完了枚数nKと同じく読み出したタイムラプス撮影枚数:ΣKとの比較を行なう。
【0063】
K>ΣKでなければ(ステップS12:No)、ステップS13において、インクリメントしたnKをタイムラプス撮影条件53内に書き込み、再びステップS4に戻る。そして、新たなフラグを検出するまでステップS4でのループを継続する。
【0064】
一方、nK>ΣKであれば(ステップS12:Yes)、予め登録したタイムラプス撮影枚数に達したと判断し、ステップS14において、処理を行った撮影範囲:#Kのタイマー:Timer#Kを停止し、Flag#Kを解除する。これにより、今後撮影範囲:#Kの撮影イベントは発生しない事になり、#Kにおけるタイムラプス撮影は完了した事になる。
【0065】
次に、ステップS15において、撮影制御部71は、全ての撮影範囲が各々設定したタイムラプス撮影枚数に達しているか判断する。すなわち、n1>Σ1、n2>Σ2、・・・nN>ΣNの全てが成り立つ場合(ステップS15:Yes)、全ての撮影範囲に対してタイムラプス撮影が完了したと判断し、ステップS16において、撮影動作を終了する。それ以外の場合(ステップS15:No)、完了していない撮影範囲があると判断し、再びステップS4に戻る事になる。
【0066】
この様に、任意のタイマーによって新たなフラグが発生した事を検出した場合、該当する撮影情報に基づいて撮影を繰り返す事により、多点タイムラプス撮影が可能となる。
なお、タイムラプス撮影が完了した観察範囲に対応する進捗画像101は、ステータスマーク109が図5から図8に示すように変更され、撮影完了を観察者に知らせるものとする。
【0067】
次に、上述のフローチャート(図7)に従って多点タイムラプス撮影を行っている間に、進捗ウィンドウ100内で行なえる種々の操作について説明する。
まず、図4において、観察者は撮影を行っている間、マルチモニタ領域102内の進捗画像[5]をマウスにてダブルクリックする。この時、撮影シーケンスがフローチャート中のステップS4でのループを行っている場合、すなわち、次の撮影タイミングまでの待機状態である場合には、進捗画像[5]に相当する#5撮影情報に基づいて、顕微鏡の各駆動部および撮像部6の露出時間を制御して、図9に示す様に、リアルタイムの画像を進捗画像[5]内に表示する。また、このとき進捗画像[5]の外枠108をハイライトさせ、ステータスマーク109をビデオカメラのマークにして、タイムラプス撮影した静止画ではなく、リアルタイム画像である事を強調する。
【0068】
一方、進捗画像[5]をダブルクリックした際、待機状態で無ければ外枠108のハイライトおよびステータスマーク109の変更は行なわず、リアルタイム表示出来ない事を知らせる様にする。また、リアルタイム表示中、次の撮影フラグが発生した場合には、ハイライトさせていた外枠108を元に戻すとともにステータスマーク109をカメラのマークに戻し、リアルタイム表示が不可能になった事を知らせる様にする。
【0069】
ところで、リアルタイム表示を行っている進捗画像[5]についても、静止画像を表示中である他の進捗画像[1]〜[4]、[6]〜[9]と同様に、画像サイズ変更ボタン103、縦スクロールバー104あるいは横スクロールバー105を指示することによって表示サイズあるいは表示位置が変更可能である。
【0070】
また、図4において、観察者が撮影中にマルチモニタ領域102内の進捗画像[5]上でマウスの右ボタンをクリックすると(押すと)、図10に示すようなポップアップメニュー110が現れる。このポップアップメニュー110内の「撮影終了」を選択した場合、撮影制御部71は、該当する撮影情報:#5の撮影タイミングを制御しているタイマー:Timer#5を停止させ、Flag#5を解除する。これにより、図7のフローチャートに従って、#5のタイムラプス撮影はこれ以上行われない事になる。また、この時の進捗ウィンドウ100は、図11に示す様に、進捗画像[5]がマルチモニタ領域102から削除される。
【0071】
一方、図10のポップアップメニュー110中から「一時停止」を選択した場合、撮影制御部71は、該当する撮影情報:#5の撮影タイミングを制御しているタイマー:Timer#5を停止させ、Flag#5を解除する。これにより、図7のフローチャートに従って、#5のタイムラプス撮影は行われず、一時停止モードとなる。この時の進捗ウィンドウ100は、図12に示す様に、進捗画像[5]上のステータスマーク109が一時停止を示すマークに変わるだけで、マルチモニタ領域102から削除される事はない。
【0072】
そして、一時停止モードとなった#5は、位置座標51、撮影条件52あるいはタイムラプス撮影条件53に格納されている種々のパラメータの変更が可能となる。具体的には、図12中の進捗画像[5]上で再びマウスの右ボタンをクリックすると(押すと)、図13に示す様なポップアップメニュー111が現れる。このポップアップメニュー111内の「撮影条件変更」を選択した場合は、条件変更モードに移行する。すなわち、図3中で示したコントロールウィンドウ80が現れると同時に、図9を参照して上述した様に、進捗画像[5]はリアルタイム画像の表示となる。観察者は、観察位置や照明光量、タイムラプス間隔時間や撮影枚数等、任意の変更をした後に、コントロールウィンドウ80内の図示しない撮影開始ボタンを押すと、変更したデータが撮影情報#5の位置座標51、撮影条件52あるいはタイムラプス撮影条件53に新たに上書きされる。その後、リアルタイム画像が表示されていた進捗画像[5]は、元の図12の表示に戻り、一時停止モードとなる。
【0073】
さらに、観察者が図12中の進捗画像[5]上でマウスの右ボタンをクリックし(押し)、ポップアップメニュー111内の「撮影再開」を選択した場合、撮影制御部71は、Flag#5を発生させ、停止状態にあったタイマー:Timer#5をリセット(=0)した後、再起動させる。これにより、図7のフローチャートに従って、#5のタイムラプス撮影は、変更された新しい条件に基づいて再開する事になる。
【0074】
なお、上述した条件変更モード中に、図7のフローチャート中のステップS4において他の撮影範囲における撮影タイミングが発生した場合、観察者に対して、該当する撮影範囲の撮影を待機させたまま、現在行なっている条件変更の作業を続けるか、条件変更作業を中断してタイムラプス撮影を続けるかの判断をさせるべく、図示しないメッセージボックスをモニタ8上に表示させるものとする。
【0075】
以上説明した様に、本第1の実施の形態に示した構成、および方法を取る事で、複数の撮影範囲に対してタイムラプス撮影を行なう多点タイムラプス撮影の際、各々独立したタイムラプス時間間隔や撮影枚数で撮影を行なう事が可能であるため、異なる経時変化を呈する複数の細胞等に対して同時に撮影を行なう事ができ、撮影時間の大幅な削減が可能となる。
【0076】
また、各々の撮影範囲の最新画像を、マルチ画面として表示させるため、一目で全ての観察範囲の被検物挙動をモニタする事が可能となり、各被検物状態の変化による撮影ミスを見落とし無く予測、回避する事ができる。
【0077】
また、多点タイムラプス撮影中に、継続して撮影する必要の無くなった観察範囲のみの中断が可能であるため、無駄な撮影時間の短縮、および不要な画像ファイルによる保存用メモリの消費を回避する事ができる。
【0078】
さらに、各々の撮影範囲に対して一時停止/再開の機能を付加したため、観察に必要な時間帯のみのタイムラプス撮影を離散的に行なう事が出来るため、さらなる撮影時間の短縮や保存用メモリ容量の削減が可能となる。
【0079】
また、一時停止中に種々の撮影条件を変更可能としたため、例えば被検物4の移動による撮影ミスや、被検物4の経時変化に伴う光量の変化による、撮影露出ミス等を回避し、事前に補正する事が出来る様になる。さらに途中から急激な変化を呈する様な被検物4があっても、常に適正なタイムラプス間隔時間を再設定可能であるため、撮影のタイミングを逸するといった事もなくなる。
【0080】
さらに、多点タイムラプス撮影中、任意の撮影範囲のリアルタイム画像を表示させる機能を付加したため、撮影条件の補正等を的確に行なえ、安定した撮影動作が可能となる。
さらに、これらの撮影状態の途中変更は、全ての観察範囲に対して進捗が行われているマルチ画面上での操作で行なえる様なGUIを採用したため、撮影中であっても操作性の良いメンテナンスが行なえる。
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
【0081】
本第2の実施の形態の構成は、上述の第1の実施の形態と同様であるため、図1を用いて説明する。またGUIについても第1の実施の形態と同様であるため、これを参照する。
【0082】
本第2の実施の形態の多点タイムラプス撮影シーケンスは、第1の実施の形態における多点タイムラプス撮影の一部を変更したものであるため、図7のフローチャートと異なるシーケンスに新たな番号を付け、それ以外は図7と同じ番号を付けたフローチャートを図14に示し、これに沿って説明する。
【0083】
本第2の実施の形態において上記第1の実施の形態と異なる箇所は、複数の撮影範囲において、同一の撮影タイミングとなった場合の撮影順序である。
ステップS4において、撮影制御部71は、Flag#1〜Flag#Nのいずれかが発生しているかを判断し、フラグが1つでも発生した事を検出すると(ステップS4:Yes)、まずステップS17において、発生したフラグが複数であるかを判断する。そして、発生したフラグが1つだけである場合(ステップS17:No)、第1の実施の形態と同様のシーケンスとなる。すなわち、ステップS5以降において、該当する撮影範囲:#Kの位置座標51(XK,YK,ZK)に基づいて電動ステージ2を移動させ、#Kの撮影条件52、タイムラプス撮影条件53に基づいて撮影を行なうものである。
【0084】
一方、発生したフラグが複数であると判断された場合(ステップS17:Yes)、撮影制御部71は、ステップS18において、発生しているフラグの各々に対応する位置座標51を全て読み出し、ステップS19において、それぞれの位置座標51と現在のステージ位置との距離を計算し、最も距離の少ない位置座標51、すなわち電動ステージ2の移動距離が最も短くて良い次の撮影範囲を判断する。
【0085】
そして、最短距離で移動可能な撮影範囲:#Kを算出した後はステップS5以降のシーケンスに沿い、撮影を繰り返す。
これにより、撮影タイミングとなった複数の撮影範囲を撮影する際に、撮影までに要する時間を極力少なくする事が可能となるので、予め設定したタイムラプス間隔時間に対して精度の高い多点タイムラプス撮影を行なうことができる。
【0086】
なお、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態において、被検物4と対物レンズ3との間の距離の調節は、ステージ2の上下移動によって説明したが、例えば対物レンズ3を装着するレボルバ31を上下駆動する方式等に変更しても、全く同様の効果が得られる。
【0087】
また、撮影したタイムラプス画像を保存する際、画像データの他に、例えば撮影時刻や細胞の培養環境(雰囲気温度、湿度、二酸化炭素濃度等)のデータを、画像ファイルと同一のファイル名のテキストファイル(.txtなどの拡張子を付けたファイル)として保存場所54に格納すれば、効率の良いデータ整理が行なえる。
【0088】
また、電動ステージ2上に積載された被検物4は1種類とし、該被検物4内の複数の被検物位置に対する撮影として説明を行ったが、電動ステージ2の位置座標(X,Y,Z)を管理している限り、被検物4はいくつであっても問題なく、例えば複数の被検物4を搭載、固定できる機構を持ったステージを使用すれば全く同様の効果が得られる。
【0089】
以上、本発明の各実施の形態を、図面を参照しながら説明してきたが、本発明が適用される顕微鏡写真装置は、その機能が実行されるのであれば、上述の各実施の形態等に限定されることなく、単体の装置であっても、複数の装置からなるシステムあるいは統合装置であってもよいことは言うまでもない。
【0090】
すなわち、本発明は、以上に述べた各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または形状を取ることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 顕微鏡本体
2 電動ステージ
3 対物レンズ
4 被検物
5 接眼レンズ
6 撮像部
7 制御部
8 モニタ
9 入力装置
10 ステージ駆動部
11 レボルバ駆動部
12 照明制御部
13 光学素子制御部
14 落射照明用光源
15 透過照明用光源
16 各種フィルタや偏光素子等
17 変倍レンズ等
18 撮影情報データベース
31 レボルバ
50 撮影情報
51 位置座標
52 撮影条件
53 タイムラプス撮影条件
54 保存場所
60 画像表示ウィンドウ
71 撮像制御部
72 顕微鏡制御部
73 撮影情報管理部
80 コントロールウィンドウ
81 顕微鏡コントロールGUI部
82 撮影コントロールGUI部
90 レシピウィンドウ
100 進捗ウィンドウ
101 進捗画像
102 マルチモニタ領域
103 画像サイズ変更ボタン
104 縦スクロールバー
105 横スクロールバー
106 細胞
107 撮影データ表示領域
108 外枠
109 ステータスマーク
110 ポップアップメニュー
111 ポップアップメニュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検物を保持するためのステージと前記被検物に集光するための対物レンズとが相対的に3次元方向に移動可能な顕微鏡本体と、
前記被検物を撮影して被検物画像を取得する撮影手段と、
前記ステージまたは前記対物レンズが相対的に移動することにより前記顕微鏡本体の視野範囲を設定し、前記視野範囲に対応する前記ステージの位置情報を記憶する位置記憶手段と、
前記視野範囲における前記顕微鏡本体および前記撮影手段の設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、
前記視野範囲をタイムラプス撮影する際の撮影条件を記憶するタイムラプス情報記憶手段と、
前記位置記憶手段に記憶された前記位置情報、前記位置情報に対応する前記設定情報記憶手段に記憶された前記設定情報および前記タイムラプス情報記憶手段に記憶された前記撮影条件に基づいて、前記視野範囲ごとのタイムラプス撮影像を取得する撮影制御手段と、
前記撮影制御手段によって撮影された最新のタイムラプス撮影画像を前記視野範囲ごとに一括表示する画像表示手段と、
を備えたことを特徴とする顕微鏡写真装置。
【請求項2】
前記撮影制御手段は、タイムラプス撮影中に撮影動作の中断を前記視野範囲ごとに行なう撮影中断制御機能および中断されていた撮影を再開する撮影再開制御機能とを有し、
前記画像表示手段は、前記撮影中断制御機能により撮影を中断されたことまたは前記撮影再開制御機能により再開されたことを表示により知らせる撮影状態通知機能を有することを特徴とする請求項1に記載の顕微鏡写真装置。
【請求項3】
前記位置記憶手段、前記設定情報記憶手段および前記タイムラプス情報記憶手段は、前記撮影中断制御機能により撮影を中断された前記視野範囲に対して、記憶されていた情報を変更可能とする情報変更機能を有することを特徴とする請求項1または2に記載の顕微鏡写真装置。
【請求項4】
前記撮影制御手段は、前記タイムラプス撮影中の撮影動作を行っていない期間に、選択された視野範囲のライブ画像を撮像するリアルタイム撮像機能を有し、
前記画像表示手段は、前記撮影制御手段からの前記ライブ画像を、選択した視野範囲に対応する表示位置に表示させるリアルタイム画像表示機能を有することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の顕微鏡写真装置。
【請求項5】
前記撮影制御手段は、複数の視野範囲の撮影順序を決める際に、撮影が終了していない視野範囲の中から最も近い視野範囲を次の撮影範囲とすることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の顕微鏡写真装置。
【請求項6】
被検物を保持するためのステージと前記被検物に集光するための対物レンズとが相対的に3次元方向に移動可能な顕微鏡本体が実行する顕微鏡写真装置制御方法において、
前記被検物を撮影して被検物画像を取得し、
前記ステージまたは前記対物レンズが相対的に移動することにより前記顕微鏡本体の視野範囲を設定し、前記視野範囲に対応する前記ステージの位置情報を記憶し、
前記視野範囲における前記顕微鏡本体および前記撮影における設定情報を記憶し、
前記視野範囲をタイムラプス撮影する際の撮影条件を記憶し、
前記記憶された前記位置情報、前記位置情報に対応する前記設定情報および前記記憶された前記撮影条件に基づいて、前記視野範囲ごとのタイムラプス撮影像を取得し、
前記撮影された最新のタイムラプス撮影画像を前記視野範囲ごとに一括表示することを特徴とする顕微鏡写真装置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図7】
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【図10】
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【図13】
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【図14】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−190033(P2012−190033A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105685(P2012−105685)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【分割の表示】特願2005−34110(P2005−34110)の分割
【原出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】