説明

風車

【課題】特願2002−071270の装置では多数のブレードの両端をチェーン等の駆動索で結ぶが、ブレードの並進速度が大きくなったり、あるいは装置が大きくなりブレードの翼幅が長くなるほどブレードに大きな負荷がかかる、あるいは大型化により剛性が下がる等によりブレードの変形が大きくなる。特に並進速度が大きくなった場合、回転半径如何では並進部での負荷よりも回転軸周りでの遠心力が優勢となる。また、並進部を極力広げ吸収エネルギーを大きくするためには回転半径を小さくしたい要求もあり、一層遠心力が大きくなることから遠心力によるブレードの変形(特に撓み)対策が必要となる。
【解決手段】遠心力対策として、ブレードを分割し、分割したブレードを複数枚結合して一枚のブレードとし、当結合部位置で前後ブレード間を索で結び、当該索に遠心力を受け持たせることによりブレード自体が遠心力を負担することを避ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流れの持つエネルギーを吸収する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特願2002−071270に示されている風・水力エネルギー吸収装置(以下、原装置と呼ぶ)はブレードの並進速度を高めるほど性能は向上する。しかしながら、並進速度を高めることにより、軸周りにブレードが回転する時のブレードに加わる遠心力が大きくなり、ブレードを大きく変形させる。特にブレードの両端部を駆動索で支えている原装置の場合、ブレード中央部での撓みによる変位量が大きくなり原装置の連続運転でブレードは大きな繰り返し変位(荷重)を受けブレードの疲労等により耐久性を低下する。従い、遠心力による変異を極力小さくする方策が必要である。以下では請求項1の装置を本装置と呼ぶ。
【特許文献1】特願2002−071270
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
原装置では多数のブレード2の両端をチェーン等の駆動索4で結ぶが、ブレードの並進速度が大きくなったり、あるいは装置が大きくなりブレードの翼幅が長くなるほどブレードに大きな負荷がかかる、あるいは大型化により剛性が下がる等によりブレードの変形が大きくなる。特に並進速度が大きくなった場合、回転半径如何では並進部での負荷よりも回転軸周りでの遠心力が優勢となる。また、並進部を極力広げ吸収エネルギーを大きくするためには回転半径を小さくしたい要求もあり、一層遠心力が大きくなることから遠心力によるブレードの変形(特に撓み)対策が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
遠心力対策として、ブレードを分割し、分割したブレードを複数枚結合して一枚のブレードとし、当結合部位置で前後ブレード間を索で結び、当該索に遠心力を受け持たせることによりブレード自体が遠心力を負担することを避ける。
【実施例1】
【0005】
図2は、原装置に本発明を適用した実施例1である。ブレード軸周りにリング状の閉じたワイアーをかけることにより、ブレードの発生する遠心力が当ワイアーを押し広げるように働くので結果として当ワイアーに張力が発生しブレードの撓みを抑制する。
【実施例2】
【0006】
図3は実施例2である。原装置で並進運動する間もブレードの撓みが発生する。上流側並進部ブレードの撓み方向は実施例1のワイアーから離れる方向であり、実施例1ではワイアー張力がブレードの撓み抑制には寄与しない。一方、下流側並進部ではワイアーを押す方向であり撓みを抑制する。並進部での全ブレードの撓みを抑制するには、ワイアーを各ブレード軸に巻きつけるあるいはワイアーを固定結合することにより、全ブレードの撓みをワイアーの張力により抑制できる。
【0007】
ブレード間隔が広い場合は、ブレードの遠心力は並進部での上流側、下流側ワイアー間隔を狭める方向に働くため、ワイアー間隔を保つために、ブレード両端と同様にスプロケットやアイドラー等でワイアーを保持することによりワイアー間隔を保つことができる。
【0008】
原装置では、遠心力の効果を優勢にしないように回転数を抑制せざるを得ないが、本装置においては、むしろ回転数を高め遠心力を大きくすることによりワイアーの張力が増し、並進運動部分のブレード変形も抑制できるので原装置の性能向上に大きく寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0009】
特願2002−071270により原装置は実用に供することはできるが、本発明によりさらなる性能向上が可能となる。特に、風車においてはエネルギー密度の低さから並進速度を可能な限り高める必要があり、本発明でそれが可能となる。現状、国内の多くの風車は輸入されているが必ずしも我が国の自然環境(台風等)に適合していないとも言われる。本発明は、国情に合った風車の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】原装置図
【図2】本装置のブレード構成図
【図3】ブレード/ワイアー取り合い部の拡大図
【図4】ブレード結合部拡大およびワイアーをブレード全体に掛け回しただけの場合のブレード/ワイアーの配置図
【図5】ワイアーをブレード軸に巻きつけることにより全ブレードにワイアー張力が働くようにした場合のブレード/ワイアーの配置図
【符号の説明】
【0011】
1 原装置
2 ブレード
3 分割ブレード
4 ブレード駆動索
5 主スプロケット
6 張力ワイアー
7 端板
8 ブレード結合具
9 ベアリング
10 ブレード軸
13 主スプロケット軸
21 ブレード方向転換回転部
22 ブレード並進部
24 装置の筐体
33 発電機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の平行軸に平行に配置された複数枚の直線矩形翼(ブレード)が平行軸間を並進運動し、軸周りに回転運動して方向転換し、ブレードが水流や風のような媒体の流れ方向と角度を持つことによりブレードが発生する力で全平行軸周りにブレードが無限軌道運動を行う装置、あるいは平行軸のいずれかに動力を負荷しブレードを媒体内で動かすことにより媒体に流れを発生させる装置において、ブレードが軸周りに回転する際の遠心力によるブレードの撓みを、各ブレード間に張った索の張力により抑制することを特徴とした装置

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−138867(P2010−138867A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317986(P2008−317986)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(305013976)有限会社シーエスシーラボ (3)
【Fターム(参考)】