説明

食品の液体分離装置

【課題】回転槽等を汚さず食品に付着等されている液体を遠心分離するための食品の液体分離装置を提供することにある。
【解決手段】
食品に付着等されている液体を分離する食品の液体分離装置であって、液体分離装置の本体10と、本体に設けられ回転軸を回転するための回転駆動手段と本体に着脱可能に設けられ上部に開口部が形成され分離された液体を受けるための受け槽20と、上部が開口している円筒状の槽であって受け槽に着脱可能に回転軸に係脱可能に設けられ受け槽内に装着されたとき、回転駆動手段に駆動されて本体に対して回転する回転槽30と、受け槽に対して開閉可能に本体に設けられ閉状態のとき開口部を塞ぐための蓋体40と、回転槽内に着脱可能に設けられ回転槽に装着されたとき回転駆動手段の回転を受けて回転するとともに、食品より分離された液体を吸いとる吸収槽50と、回転駆動手段を制御するための制御部とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品に対して使用される食品の液体分離装置に関する。さらに詳しくは、食品に対して遠心力をかけることにより食品に付着した又は含有されている液体(例えば、油又は水)を分離して使い捨て吸収槽に吸収させる食品の液体分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サラダ等に用いられる野菜は、その表面に余計な水分がついているとサラダドレッシング等の調味料が薄まってしまい味がおちてしまう。このため、野菜は、水洗いをした後、ザル等にあげて水分を十分に切ってから盛りつけられていた。しかし、ザル等にあげて野菜についた水分落ちるのを待っているのは、時間がかかる。また、最近では、野菜等の表面についた水分を、手早く切るために食品の液体分離装置が用いられてきている。これら多くの食品の液体分離装置は、家庭での使用を目的としたものであり、簡易な構造からなる手動形式のものが多い。
【0003】
特許文献を基に、従来の技術を説明する。手動の食品の液体分離装置としては、水分を切った後の野菜を汚すことなく、野菜を入れたバスケットを取り外せるように形成されたサラダスピナー等が知られている(例えば、「特許文献1」参照)。また、電動の食品の液体分離装置としては、下部ケーシングと上部ケーシングとが分離自在に形成されていることにより、脱水作業後に上部ケーシングを取り外し容易に清掃できる食品の液体分離装置が知られている(例えば、「特許文献2」参照)。
【0004】
また、従来、天ぷら、フライ又は唐揚げ等の揚げもの(以下、単に「揚げもの」という。)の油切りは、油で揚げた後、網を敷いたいわゆる天台に揚げものをのせて行われていた。つまり、油切りは、天台にのせた揚げものを、しばらく放置することで油分が自然落下するのを待って行われていた。しかし、自然落下による油切りは、時間がかかる上に油分を十分に切ることができなかった。このため、油分が十分に切れるのを待っていると時間がかかり、揚げものは、冷めてしまう。また、油分が十分に切れていないと、揚げものは、油っこく食感を損ねていた。
【0005】
特に弁当等に盛り込む揚げものは、油分が十分に切れていないと、冷めた揚げものから油がしみ出し食感を損なってしまう。そして、揚げものからしみ出した油分が、弁当内の他の食材にも混ざってしまい、弁当全体を油っこくしてしまう。また、揚げものは、油分を含んでいるとカロリーが高く、多く食べると太りやすいと考えられている。このため、揚げものは、近年のダイエットブームや健康管理の観点から避けられる傾向にある。しかし、揚げものは、惣菜(おかず)等として依然として人気のある料理であるため、美味しさを落とすことなく油分を落とすことが模索されていた。
【0006】
特許文献を基に、従来の技術を説明する。一般家庭で揚げものの油切り作業が行えると共に損傷もなく良好な揚げものを簡単にできる家庭用油振り機が知られている(例えば、「特許文献3」参照)。また、食卓上で簡便に使用できる卓上型の脱水又は脱油が行える遠心分離脱水脱油機が知られている(例えば、「特許文献4」参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−107047号公報
【特許文献2】特開平04−44183号公報
【特許文献3】特開昭52−48465号公報
【特許文献4】特開2008−093369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述した特許文献1に記載された発明は、食品より脱水又は脱液された液体が、ベース12及びバスケット14に付着する。使用したサラダスピナーは、毎回洗浄しなければならないため手間が掛かる。一の食品に対して使用した後に異なる食品に対して使用する場合には、特に洗浄が必要となる。つまり、揚げもの脱油に使用した後にサラダの脱水に使用する場合等は、ベース12及びバスケット14に付着した油を十分に洗い流した後に、よく水分を取らなければならず、手間が掛かる。
【0009】
特許文献2〜4に記載された発明も同様に、液体を遠心分離する回転槽と分離された液体を受ける受け槽を洗浄しなければならない。特に特許文献3に記載された発明は、モータ室と外枠が一体に形成されている。このため、外枠は、取り外して洗うことができない。特に外枠内の隅や油抜きコックの箇所などは、冷めた油分がこびりつき易く衛生状態が悪いという問題点があった。
【0010】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたもので、次の目的を達成する。
本発明の目的は、回転槽や受け槽を汚すことなく、食品に付着又は含有されている液体を遠心分離するための食品の液体分離装置を提供することにある。本発明の他の目的は、遠心分離された液体を吸収する吸収槽の交換が簡単に行える食品の液体分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記目的を達成するために次の手段をとる。
本発明1の食品の液体分離装置は、食品に付着又は含有されている液体を遠心力によって分離する食品の液体分離装置であって、前記液体分離装置の本体と、前記本体に設けられ、回転軸を回転するための回転駆動手段と、前記本体に着脱可能に設けられ、上部に開口部が形成された受け槽と、上部が開口している槽であって、前記受け槽に着脱可能に、前記回転軸に係脱可能に設けられ、前記受け槽内に装着されたとき、前記回転駆動手段に駆動されて前記本体に対して回転する回転槽と、前記受け槽に対して開閉可能に設けられ、閉状態のとき前記開口部を塞ぐための蓋体と、前記回転槽内に着脱可能に設けられ、前記回転槽に装着されたとき前記回転駆動手段の回転を受けて回転するとともに、前記食品より分離された液体を吸いとる吸収槽と、前記回転駆動手段を制御するための制御部とを備えていることを特徴とする食品の液体分離装置。
【0012】
本発明2の食品の液体分離装置は、本発明1において、前記吸収槽は、紙、布及びプラスチックより選択される1以上の材質の部材で形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明3の食品の液体分離装置は、本発明1又は2において、前記吸収槽の外側は、前記食品より分離された液体を通さないように樹脂で覆われていることを特徴とする。
【0014】
本発明4の食品の液体分離装置は、本発明1又は2において、前記吸収槽は、前記食品より分離された液体を吸い取る内側槽と、前記食品より分離された液体を通さない樹脂で覆われている外側槽とからなることを特徴とする。
【0015】
本発明5の食品の液体分離装置は、本発明4において、前記内側槽は、前記外側槽側より径内方向側に向かって突出するような凸部が円周方向に所定の間隔で形成されていることを特徴とする。
【0016】
本発明6の食品の液体分離装置は、本発明3〜5において、前記樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、ナイロン及びエポキシから選択される1種である
ことを特徴とする
【0017】
本発明7の食品の液体分離装置は、本発明1〜7いずれか1において、前記吸収槽は、前記吸収槽の内部を所定の間隔に仕切る仕切り板を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。本発明の食品の液体分離装置は、回転槽や受け槽を汚すことなく、食品に付着又は含有されている液体を遠心分離することが可能になった。本発明の食品の液体分離装置は、遠心分離された液体を吸収する吸収槽の交換が簡単に行えることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の食品の液体分離装置を示す斜視図である。
【図2】図2は、本発明の食品の液体分離装置より蓋を取り外し、受け槽の一部を断面にした状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態2の食品の液体分離装置の吸収槽を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態3の食品の液体分離装置の吸収槽を示す斜視図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態4の食品の液体分離装置の吸収槽を示す斜視図である。
【図6】図6は、図5におけるA−A矢視断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態5の食品の液体分離装置の吸収槽を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の食品の液体分離装置の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は、本発明の食品の液体分離装置を示す斜視図である。図2は、本発明の食品の液体分離装置より蓋を取り外し、受け槽の一部を断面にした状態を示す斜視図である。なお、この実施の形態では、本体10の制御部10aから載置部10b側の方向を前方向(矢印A方向)とし、その逆方向を後方向(矢印B方向)として説明を行う(図1参照)。また、水平面内で前後方向と直交する一の方向を左方向(矢印L方向、図1参照)とし、直交する他の方向を右方向(矢印R方向、図1参照)として説明を行う。さらに、図1において前後方向及び左右方向と直交する上側の方向を上方向(矢印U方向)とし、下側の方向を下方向(矢印D方向)として説明を行う。さらに、受け槽20、回転槽30及び吸収槽50の内部側の方向を内側といい、外部側の方向を外側という。
【0021】
図1又は2に示すように、食品の液体分離装置1は、床面上に設置される本体10と、受け槽20、回転槽30、蓋体40及び吸収槽50とから構成されている。受け槽20、回転槽30、蓋体40及び吸収槽50は、本体10に対して取り外し自在に設けられている。本体10は、制御部10a及び載置部10bから構成されている。載置部10b上の一端には、制御部10aが設けられ、他端には、受け槽20が載置できる空間が形成されている。制御部10aには、主電源(図示せず)、開始ボタン11及び回転速度調整つまみ12が設けられている。
【0022】
開始ボタン11は、回転開始指令を入力するための押しボタンスイッチである。回転速度調整つまみ12は、回転速度を入力するためのつまみである。制御部内には、図示していないが回転軸14を回転させるためのモータが設けられている。制御部内には、開始ボタン11又は回転速度調整つまみからの指令に従って、モータの回転、停止等を制御するための制御プログラム等が内蔵されている。モータは、その駆動軸に駆動プーリが取り付けられている。本体の内部には、駆動プーリと従動プーリに巻かれ、モータの回転動力を駆動プーリから従動プーリに伝達するベルトが設けられている。
【0023】
載置部10bは、平板状に形成されている。図2に示すように、載置部10bには、回転槽30に回転動力を伝える回転軸14を備えた台座13が設けられている。台座13は、載置部10bの上方向側の面の略中央に略円柱形状に形成されて設けられている。台座13の円柱形状の外周は、受け槽20の筒状部21の内周と略同一に形成されている。台座13は、筒状部21に嵌め込むことができ、載置部10b上で受け槽20の位置決めができるように形成されている。
【0024】
図2に示すように、回転軸14は、略円柱形状に形成され、台座の中央に上方向に突出するように設けられている。回転軸14は、下方向側に従動プーリが取り付けられている(図示せず)。回転軸14は、制御部10a内に備えられたモータからの回転動力が、その駆動軸、駆動プーリ、ベルト及び従動プーリを通じて伝達されて回転する。回転軸14の周壁には、一又は複数のフィン14aが形成されている。回転軸14の外周形状と被回転軸32の内周形状とは、一致するように形成されている。このため、回転軸14は、被回転軸32に嵌め込める。
【0025】
図2に示すように、受け槽20は、ガラスや合成樹脂等の材料で円筒形状に形成されている。受け槽20は、有底の底部20bと底部20bの周縁に連続するように設けられた側面20sとから形成されている。底部20bは、受け槽20の一方側に円形形状に形成されている。受け槽20の他方側は、円形形状に開口された開口部20tとなっている。受け槽20は、開口部20tより回転槽30を収納できる。受け槽20は、回転槽30の回転状態や食品の回転状態の確認が取れるように少なくとも一部が透明であるとよい。受け槽20は、底部20bに食品より分離された液体を集めることができる。
【0026】
受け槽20は、回転槽30、吸収槽50を順に入れ子式に重ね合わせて収納できるような大きさで形成されている。図2に示すように、受け槽20は、底部20bの中央部分を貫通するように筒状の筒状部21が形成されている。筒状部21は、回転槽30より遠心分離された油分等が台座13及び回転軸14に流れないようにするために設けられている。筒状部21は、受け槽20を載置部10bに設置したとき、少なくとも台座13の高さよりも高くなるような筒状に形成されている。
【0027】
このため、油分等が受け槽20の底部20bに溜まっても、台座13及び回転軸14に流れずにせき止められる。筒状部21の内周は、台座13の外周と略同一に形成されているため、台座13を筒状部21に嵌め込むことができる。台座13に筒状部21が嵌め込まれるため、受け槽20が載置部10b上の所定の位置に位置決めされる。受け槽20は、側面20sの外側に鍔22が形成されている。鍔22は、受け槽20の開口部20t付近に2つ形成されている。鍔22は、蓋体40に形成された掛止部41が引っ掛かるように形成されている。受け槽20には、受け槽20持ち運びをするときに把持するための取っ手23が取り付けられている。
【0028】
図2に示すように、回転槽30は、合成樹脂等の材料で円筒形状に形成されている。回転槽30は、有底の底部30bと底部30bの周縁に連続するように設けられた側面30sから形成されている。底部30bは、回転槽30の一方側に円形形状に形成されている。回転槽30の他方側は、円形形状に開口された開口部30tとなっている。回転槽30は、開口部30tより食品を投入でき、底部30bに食品を載置できる。回転槽30は、吸収槽50を入れ子式に重ね合わせて収納できるような大きさで形成されている。回転槽30は、受け槽20に収納できるような大きさで形成されている。
【0029】
回転槽30は、底部20b及び側面30sに所定の大きさの丸形状の孔31hが複数形成されている。回転槽30に形成される孔31hの形状は、他の形状でも良く、例えば、角孔、長孔、亀甲孔等の形状でもよい。なお、回転槽30は、後述する吸収槽を使用しない場合にも、食品に付着又は含有されている液体を遠心力によって分離することができるように孔31hが設けられている。しかし、吸収槽を必ず使用する場合は、回転槽には、孔が形成されていなくても良い。
【0030】
図2に示すように、回転槽30は、底部30bの中央部分に被回転軸32が形成されている。被回転軸32は、底部30bの外側に突出するように形成されている。被回転軸32は、回転軸14とその周壁に形成されたフィン14aが嵌め込まれるような略円筒形状に形成されている。被回転軸32の内側の形状は、回転軸14の外側の形状と一致するように形成されている。被回転軸32は、回転軸14の回転動作を回転槽30に伝達するために、回転軸14の形状に合わせて形成されている。
【0031】
図1に示すように、受け槽20には、蓋体40が取りつけられている。蓋体40は、表面部40bと表面部40bの周縁に連続するように設けられた側面40sから形成されている。表面部40bは、蓋体40の一方側に円形形状に形成されている。蓋体の他方側は、円形形状に開口された開口部となっている。蓋体40は、受け槽20の開口部20tを塞ぐように形成されている。表面部40bは、開口部20tよりわずかに大きい円形形状に形成されており、受け槽20の側面20sを覆うように、表面部40bの周縁より連続して側面40sが形成されている。蓋体40は、側面40sの外側に掛止部41が形成されている。掛止部41は、蓋体40の開口部40t付近に2つ形成されている。掛止部41は、受け槽20に形成された鍔22に引っ掛かるように形成されている。蓋体40は、2つ掛止部41が受け槽の鍔22に引っ掛かることによりしっかり締められる。
【0032】
図2に示すように、吸収槽50は、紙、布、プラスチック等の材料で円筒形状に形成されている。本実施の形態において吸収槽50は、不織布で形成されている。吸収槽50は、有底の底部50bと底部50bの周囲の周縁に連続するように設けられた側面50sから形成されている。底部50bは、吸収槽50の一方側に円形形状に形成されている。吸収槽50の他方側は、円形形状に開口された開口部50tとなっている。吸収槽50は、開口部50tより食品を投入でき、底部50bに食品を載置できる。
【0033】
吸収槽50は、回転槽30に収納できるような大きさで形成されている。図2に示すように、吸収槽50は、回転槽30に入れ子式に重ねることができるように形成されている。吸収槽50の外径は、回転槽30の内径と寸法がほぼ同一に形成されている。このため、吸収槽50が回転槽30に嵌め込まれた状態で、回転軸14が回転すると回転槽30が回転し、その回転槽30の回転動力が吸収槽50に伝達し、吸収槽50が回転可能となる。側面50s及び底部50bは、液体の吸収性が良い紙、布、プラスチック等の材料で形成されている。本実施の形態において側面50s及び底部50bは、不織布で形成されている。吸収槽50は、使い捨てができる槽であり、回転槽30に交換可能に設けられている。吸収槽50は、回転槽30に嵌め込まれているだけなので、簡単に取り付けたり、取り出したりすることができる。
【0034】
底部50b及び側面50sの外側は、食品より分離された液体を通さないように樹脂で覆われている。底部50b及び側面50sの外側を覆う樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、ナイロン及びエポキシから選択される1種である。本実施の形態において、吸収槽50は、底部50b及び側面50sの外側に耐熱性のあるフィルムをラミネート加工することによって液体を通さないように形成されている。なお、吸収槽50を樹脂で覆う方法としては、底部50b及び側面50sの外側にポリプロピレン等を塗布して形成しても良い。塗布の方法は、一般的に用いられる種々の方法を用いることができ、スプレーによる吹き付け塗装等が例示される。
【0035】
〔実施の形態1〕
実施の形態1について図1及び2に従って説明を行う。実施の形態1の食品の液体分離装置1は、回転槽30に吸収槽50を取りつけた状態である。実施の形態1は、揚げものから油分の分離に使用することを目的とした形態である。載置部10bに受け槽20を設置する。受け槽20を載置部10bに設置するとき、台座13が、筒状部21に嵌め込まれる。載置部10bに設置された受け槽20の内部に回転槽30を収納する。受け槽20の内部に回転槽30を収納するとき、被回転軸32が、回転軸14に嵌め込まれる。
【0036】
受け槽20に設置された回転槽30に吸収槽50を収納する。回転槽30内に油分等を切ることを目的としている食品を入れる。食品を入れたことを確認し、受け槽20の開口部20tに蓋体40を被せる。蓋体40を受け槽20に被せるとき、鍔22の周方向位置と掛止部41の周方向位置をずらして被せる。蓋体40を被せた後で、蓋体40を回して鍔22の周方向位置と掛止部41の周方向位置を合わせる。これによって、掛止部41が、鍔22に引っ掛かり、蓋体40が受け槽20に固定される。
【0037】
食品の液体分離装置1は、主電源をONにすることで食品の液体分離装置1に電力が供給される。使用者は、回転速度調整つまみを調整して回転速度をセットする。使用者は、回転速度調整つまみを調整することで、モータの回転出力をセットし、回転槽30の回転速度の調整を行うことができる。これは制御装置に内蔵された制御プログラムにより実行される。つまり、遠心分離にかける食品の種類等により、回転槽30の回転速度の調整を行うことができる。モータの回転速度は、回転速度を例えば、100rpm〜1400rpmに調整できる。
【0038】
使用者は、回転槽30及び吸収槽50が回転動作を開始するため開始ボタン11を押す。開始ボタン11が押されている間は、制御部の内部に設けられたモータに電流が流れている。モータは、電流が流されることにより駆動軸が回転する。モータの駆動軸の回転出力が、駆動プーリ、ベルト及び従動プーリの順に伝達されて回転軸14が回転駆動する。回転軸14が回転すると、その回転動力を受けて回転槽30及び吸収槽50が回転動作を開始する。開始ボタン11を押すのをやめると、モータが回転を停止し、回転槽30及び吸収槽50も回転動作を停止する。
【0039】
使用者は、受け槽20の少なくとも一部が透明に構成されていることで、食品の液体分離装置1が作動中であることを視認できる。開始ボタン11が押され、回転槽30及び吸収槽50が回転動作を開始すると、吸収槽50内に入れられた食品が遠心力により、底部50bから側面50sに移動する。つまり、回転動作中の吸収槽50内の食品は、側面50sにへばりつくような状態で吸収槽50内で回転する。吸収槽50内の食品は、遠心力がかかると、その油分等が分離される。食品より分離された油分等は、遠心力がかかると側面50s又は底部50bに吸収される。
【0040】
吸収された油分等は、吸収槽50の外側に設けられた合成樹脂が塗布された部分に遮られるため吸収槽50の外側に排出することなく吸収槽50に溜まる。食品より分離された油分等は、吸収槽50に吸収され、回転槽30及び受け槽20に付かない。このため、回転槽30及び受け槽20を洗うことなく、使用し続けることができる。また、吸収できる所定の量の油分等が吸収槽50に溜まったら、その吸収槽50を捨てて新たな吸収槽に交換できる。吸収槽50は、回転槽30に嵌め込まれているだけなので、容易に取り付けたり、取り出したりすることができ、交換も容易にできる。
【0041】
〔実施の形態2〕
食品の液体分離装置の実施の形態2について図3に従って説明を行う。図3は、本発明の実施の形態2の食品の液体分離装置の吸収槽を示す斜視図である。実施の形態2は、食品の液体分離装置1を使用する点で実施の形態1とほぼ同様であるが、吸収槽50に変えて図3に示す異なる吸収槽60を使用したものである。つまり、図2で示す吸収槽50に変えて吸収槽60を使用する形態である。なお、この実施の形態2では、前述した実施の形態1と同一の部位には同一の符号を付与して、詳細な説明は省略する。実施の形態2は、実施の形態1と同様に揚げものから油分の分離に使用することを目的とした形態である。
【0042】
図3に示すように、吸収槽60は、紙、布、プラスチック等の材料で円筒形状に形成されている。吸収槽60の底部60b、側面60s及び開口部60tは、吸収槽50の底部60b、側面60s及び開口部60tと同様に形成されている。底部60b及び側面60sの外側は、食品より分離された液体を通さないように樹脂で覆われている点も吸収槽50と同様である。吸収槽60は、吸収槽50と同様に回転槽30に入れ子式に重ねることができ、吸収槽60の外径は、回転槽30の内径と寸法がほぼ同一に形成されている。
【0043】
側面60sの内周には、液体の吸収性が良い紙、布、プラスチック等の材料で形成されている凹凸面61が設けられている。凹凸面61は、側面60sの内周面の面積より広い一枚の上記材料を折り曲げて形成されている。凹凸面61は、複数の凹部61aと複数の凸部61bとが交互に円周方向に形成されている。各凸部61aと各凹部61bとは、上下方向にかけて延びるように形成されている。各凸部61aは、側面60s側より内側に上面視略円弧状に形成され、弾性変形可能に設けられている。各凸部61aは、弾性変形可能なためクッション作用を有する。このため、吸収槽60が回転動作中に、食品が凹凸面61にぶつかっても破損することなく油分等の分離を続けることができる。
【0044】
凹凸面61は、その凹部61bが側面60sに付けられている。凹部61bは、側面60sにポリプロピレン等の接着剤等で付けられている。側面60sと凹凸面61との間には、油が溜まる空間となる油溜め62が形成されている。食品は、吸収槽60が回転動作中に、凹部に引っ掛かる。このため、食品は、吸収槽60が回転動作中に、食品が吸収槽60内で空回りすることなく、安定して油分等が分離される。
【0045】
回転動作中の吸収槽60内の食品は、凹凸面61にへばりつくような状態で吸収槽60内で回転する。吸収槽60内の食品は、遠心力がかかると、その油分等が分離される。食品より分離された油分等は、遠心力がかかると凹凸面61、側面60s又は底部60bに吸収される。吸収された油分等は、吸収槽60の側面60sの外側に設けられた合成樹脂が塗布された部分に遮られるため吸収槽60の外側に排出することなく吸収槽60に溜まる。
【0046】
実施の形態2の場合は、食品から分離した油分等は、側面60sの内側に吸収されるにとどまらず、凹凸面61も吸収される。さらに、食品から分離した油は、油溜め62にも溜められる。このため、実施の形態2で使用する吸収槽60のほうが、実施の形態1で使用する吸収槽50に比べ多くの油を吸収することができる。
【0047】
〔実施の形態3〕
食品の液体分離装置の実施の形態3について図4に従って説明を行う。図4は、本発明の実施の形態3の食品の液体分離装置の吸収槽を示す斜視図である。実施の形態3は、食品の液体分離装置1を使用する点で実施の形態1とほぼ同様であり、その構成や機能は、実施の形態2の吸収槽60とほぼ同様である。このため、実施の形態2の吸収槽60と構成の異なる凹凸面71について主に説明する。なお、凹凸面71は、実施の形態2の凹凸面61とその材料や機能は同一なので、異なる点についてのみ説明する。
【0048】
図4に示すように、凹凸面71は、側面70sの内周面の面積より広い一枚の上記材料を折り曲げて形成されている。凹凸面71は、複数の凸部71aと複数の凹部71bとが交互に円周方向に形成されている。各凸部71aと各凹部71bとは、上下方向にかけて延びるように形成されている。各凸部71aは、側面70s側より内側に突出するように上面視略三角形形状に形成されている。食品は、吸収槽70が回転動作中に、凸部71a又は凹部71bに引っ掛かる。実施の形態3の吸収槽70は、実施の形態2の吸収槽60に比べ簡単に形成できる。つまり、凹凸面71となる紙、布、プラスチック等の材料を単に折り曲げて側面70sに付ければ良い。
【0049】
〔実施の形態4〕
食品の液体分離装置の実施の形態2について図5及び図6に従って説明を行う。図5は、本発明の実施の形態4の食品の液体分離装置の吸収槽80を示す斜視図である。図6は、図5におけるA−A矢視断面図である。実施の形態4は、食品の液体分離装置1を使用する点で実施の形態1とほぼ同様であり、その構成や機能は、実施の形態2の吸収槽60とほぼ同様である。このため、実施の形態2の吸収槽60と構成の異なる蛇腹面81について主に説明する。なお、蛇腹面81は、実施の形態2の凹凸面61とその材料や機能は同一なので、異なる点についてのみ説明する。
【0050】
図5及び6に示すように、 側面80sの内周には、液体の吸収性が良い紙、布、プラスチック等の材料で形成されている蛇腹面81が設けられている。蛇腹面81は、側面80sの内周面の面積より広い一枚の上記材料を折り曲げて形成されている。蛇腹面81は、底部80bから開口部80tにかけて、複数の凸部81aと複数の凹部81bとが交互に形成されている。各凸部81aは、側面80s側より内側に突出するように略円弧状に形成されている。各凸部81aは、等間隔に形成されている。
【0051】
〔実施の形態5〕
食品の液体分離装置の実施の形態5について図7に従って説明を行う。図7は、本発明の実施の形態5の食品の液体分離装置の吸収槽90を示す斜視図である。実施の形態5は、食品の液体分離装置1を使用する点で実施の形態1とほぼ同様であり、その構成や機能は、実施の形態1の吸収槽50とほぼ同様である。このため、実施の形態2の吸収槽50と構成の異なる仕切り板90fについて主に説明する。
【0052】
吸収槽90には、その内側の空間を所定の間隔に仕切る仕切り板90fが設けられている。仕切り板90fは、吸収槽90と同様に液体の吸収性が良い紙、布、プラスチック等の材料で形成されている。仕切り板90fは、吸収槽90内の食品を固定するための板である。本実施の形態において、仕切り板90fは、吸収槽90内において底部90bの略中心から側面90sに向かうような放射状に8枚配置されている。一の仕切り板90fと他の仕切り板90fとの間に食品を載置し、回転動作を行うことができる。
【0053】
このように、仕切り板90fの間で食品を固定することができるため、安定した状態で遠心分離にかけることができる。このため、食品が、壊れやすいもの(例えば、コロッケ)であっても、破損することなく液体を分離することができる。なお、吸収槽90内を仕切る仕切り板90fの間隔や枚数は、吸収槽90内に載置する食品の大きさによって適宜変更すれば良い。また、実施の形態5の吸収槽90は、実施の形態1の吸収槽50に仕切り板を設けたものであるが、他の実施の形態の吸収槽(例えば、吸収槽60、70、80)に仕切り板を設けても良いことはいうまでもない。
【0054】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはない。本発明の目的、趣旨を変えない範囲で、前述した実施の形態以外の他の実施の形態が含まれることはいうまでもない。例えば、本発明の実施の形態では、モータの回転軸の回転出力が、駆動プーリ、ベルト及び従動プーリの順に伝達されて回転軸14が回転するように構成されている。しかし、これに限定されることなく、モータの回転軸の回転出力を直接回転軸14に伝達するように構成しても良い。
【0055】
各吸収槽は、回転槽30の回転動力が伝達し易いようにその外径が、回転槽30の内径と寸法がほぼ同一に形成された円筒形状のもので説明をした。しかし、この形状に限定されることはなく、吸収槽は、回転槽30に嵌め込めるような形状であれば良い。吸収槽は、回転槽30の回転動力が伝達するような形状であればどのような形状でも良い。例えば、吸収槽の形状を多角形の角柱形状等として、頂点が回転槽30の内周面に接するようにしても良い。また、回転槽30の回転動作中にぶれが生じないように回転槽30内の中心に軸を設けても良いことはいうまでもない。
【符号の説明】
【0056】
1 食品の液体分離装置
10 本体
20 受け槽
30 回転槽
40 蓋体
50、60、70、80、90 吸収槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品に付着又は含有されている液体を遠心力によって分離する食品の液体分離装置であって、
前記液体分離装置の本体(10)と、
前記本体(10)に設けられ、回転軸を回転するための回転駆動手段と、
前記本体に着脱可能に設けられ、上部に開口部が形成された受け槽(20)と、
上部が開口している槽であって、前記受け槽(20)に着脱可能に、前記回転軸に係脱可能に設けられ、前記受け槽(20)内に装着されたとき、前記回転駆動手段に駆動されて前記本体に対して回転する回転槽(30)と、
前記受け槽(20)に対して開閉可能に設けられ、閉状態のとき前記開口部を塞ぐための蓋体(40)と、
前記回転槽(30)内に着脱可能に設けられ、前記回転槽に装着されたとき前記回転駆動手段の回転を受けて回転するとともに、前記食品より分離された液体を吸いとる吸収槽(50、60、70、80、90)と、
前記回転駆動手段を制御するための制御部とを備えている
ことを特徴とする食品の液体分離装置。
【請求項2】
請求項1に記載された食品の液体分離装置において、
前記吸収槽は、紙、布及びプラスチックより選択される1以上の材質の部材で形成されている
ことを特徴とする食品の液体分離装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された食品の液体分離装置において、
前記吸収槽(50)の外側は、前記食品より分離された液体を通さないように樹脂で覆われている
ことを特徴とする食品の液体分離装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された食品の液体分離装置において、
前記吸収槽(60、70、80)は、
前記食品より分離された液体を吸い取る内側槽(61、71、81)と、
前記食品より分離された液体を通さないように樹脂で覆われている外側槽(60s、70s、80s)とからなる
ことを特徴とする食品の液体分離装置。
【請求項5】
請求項4に記載された食品の液体分離装置において、
前記内側槽(61、71、81)は、前記外側槽側(60s、70s、80s)より径内方向側に向かって突出するような凸部(61a、71a、81a)が円周方向に所定の間隔で形成されている
ことを特徴とする食品の液体分離装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載された食品の液体分離装置において、
前記樹脂は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、ナイロン及びエポキシから選択される1種である
ことを特徴とする食品の液体分離装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載された食品の液体分離装置において、
前記吸収槽(90)は、前記吸収槽の内部を所定の間隔に仕切る仕切り板(90f)を有する
ことを特徴とする食品の液体分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−100946(P2012−100946A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−253228(P2010−253228)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(510120252)オーシーエム株式会社 (1)
【Fターム(参考)】