説明

食品を識別及び分類するための自動化方法及び自動化システム

本発明は、食品の識別及び分類の自動化システム及び方法に関し、該自動化システム及び方法は、運搬システム上で互いに触れることなく無作為に移動する食品を検出し、分類することができる位置確認システムが補佐する高速の操作ロボットを含む。該ロボットはセンサーを内蔵した操作グリッパーを具備し、これによって食品を識別及び分類することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を識別及び分類するための自動化方法及び自動化システムに関する。
【0002】
本発明は、互いに接触せずにベルトコンベアによって無作為な形で移動する食品を検出することができ、その食品をそれぞれの特徴に従って分類することができる位置確認システムが補佐する高速の操作ロボットに基づいている。ロボットには操作用のロボットグリッパーが組み込まれ、このロボットグリッパーは、食品を分類することができる少なくとも1つのセンサーを内蔵している。
【背景技術】
【0003】
食品の分類の自動化方法には、米国特許第4884696号に記載されるような方法がある。この明細書には、さまざまな形状の物体を分類する自動化方法が記載されている。
【0004】
この発明には、物体を分類する工程に沿ってさまざまなセンサーがある。グリッパーの付いたホイールは、どの面も見えるように製品を回転している。
【0005】
本発明では、さまざまな食品を分類するための自動化方法及び自動化システムであって、運搬システムによって食品を投入し、その食品を動かすことも回転させることもなしにその存在を位置確認システムによって検出し、一旦このシステムによってベルトコンベア上の食品とその位置を認識すると、少なくとも1つのセンサーを内蔵するロボットグリッパーが食品を分類する自動化方法及び自動化システムを記載している。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、自動化によって食品を識別及び分類する際の問題を解決しようとするものである。
【0007】
解決策は、各食品のそれぞれの特徴を識別し、その特徴によって食品を分類することができる自動化システムを開発することである。
【0008】
本発明の第一の特徴は、食品を識別及び分類するための自動化方法であって、少なくとも、
食品を移動させる運搬システムで分類する食品を供給する工程と、
位置確認システムによって食品の位置、向き、幾何学的構造及び寸法を識別する工程と、
位置確認システムで得た情報によって、食品の上でロボットグリッパーを位置決めする工程と、
ロボットグリッパーに内蔵のセンサーによってデータを取得し、このセンサーによって得たデータに従って食品を分類する工程と、
分類した食品を分離する工程、
と、を含む自動化方法に関する。
【0009】
本発明の第二の特徴は、食品を識別及び分類するための自動化システムであって、少なくとも、
食品を移動させる運搬システムと、
食品の位置、向き、幾何学的構造及び寸法を識別する位置確認システムと、
位置確認システムで得た情報によって、食品の上で位置決めするロボットグリッパーと、
食品を分類するロボットグリッパーに内蔵している少なくとも1つのセンサー、
と、を含む自動化システムに関する。
【0010】
本発明でいう運搬システムとは、手動でも自動でもよく、たとえばベルトコンベアなどのことである。
【0011】
本明細書でいう位置確認システムとは、人工視覚システム、又はマイクロ波、超音波、赤外線、紫外線、X線、又はたとえばバケットなどの機械システムを介して機能するシステムのことである。
【0012】
ロボットに具備されている食品の操作グリッパーは、真空、空気圧アクチュエータ、油圧、電気機械又はパッシブ法のなかでも特に、正確な操作のために製品の幾何学的構造及び物理的特徴に適応すると同時に内蔵型知覚システムである内蔵センサーに適応するような方法を介して作動することができる。
【0013】
センサーは、食品の外部から、又は内部に挿入して情報を取得する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例では、分類の対象となるのは魚であり、具体的にはサバである。
【0015】
サバはベルトコンベアで投入する。
【0016】
この魚を視覚システムで検出し、そのあとに視覚システムによってロボットグリッパーをサバの上に配置して、分類に必要な情報を取得する。
【0017】
この実施例は、サバをオスとメスに分類しようとするものである。
【0018】
この実施例では、センサーを食品内、具体的には魚の上又は生殖腺に挿入することによって測定を実施する。センサーは、ロボットグリッパーに内蔵されており、視覚システムによって得た情報により、適切な場所に挿入されて性別を正確に識別する。
【0019】
視覚システムは、ベルトコンベアで移動する魚を検出し、魚の位置と向きを正確に認識する。検出後、ロボット及びベルトコンベアに対してあらかじめ較正されている視覚システムが、センサーを挿入するべき場所の座標を、グリッパーを備えるロボットに送信するために参照システムに変換する。
【0020】
視覚システムは、主要な3部分で構成されている。それは、照明システム、レンズ及び画像を分析するソフトウェアである。
【0021】
照明システムは、さまざまな目的を想定している。困難を来たす、又は分析ソフトウェアの作業を妨げることもある変動を除去するために、常に作業エリアに照明が当たるようにすることと、物体によってできる影を除去することと、物体及びベルト上にできる光沢及び反射を除去することと、分析する物体と背景であるベルトコンベアとのコントラストを最大にすることである。
【0022】
照明の強度が一定となるように、作業エリアを外部の照明から絶縁する仕切りを設置する。
【0023】
本実施例での視覚システムは、高強度の線状蛍光灯の光源を2つ備えている。この光源は、フリッカー及び光強度の変動を回避するため、十分に高い周波数で機能するようになっている。
【0024】
光源はベルトコンベアの両側に、ベルトコンベアに対して適切な高さに配置する。2つの光源は、ベルトコンベアに光が間接的に当たるように対面させて配置し、これによって影及び光沢を回避する。
【0025】
視覚システムの適切なレンズを選択するには、基本的にカメラセンサーの寸法、作業面までの距離、及び検出しなければならない物体の寸法を考慮する必要がある。
【0026】
視覚システムによる検出システムには、最初に背景、すなわち魚も何もないベルトコンベアの統計モデリングを実施する。
【0027】
このモデルでは、各画像画素をいくつかのガウス関数の和として格納する。
【0028】
モデルを近づけるガウス分布の数は、必要とする柔軟性及び適応性に左右される。試験では3〜5が適切な数であると思われる。
【0029】
このモデルは、アルゴリズムの実行中に更新される。そのためモデルは漸進的な変化にも急激な変化にも柔軟であり、どちらの場合にも適応時間を要する。モデルをガウス分布に適応させ、得られたデータを調整するには、期待最大化(EM)アルゴリズムを用いる。画素レベルのモデリングを実施することにより、作業エリアの照明をはじめ色/材質の異なる複数のエリアが可能となり、この適応により、センサーに飽和状態が生じることなくダイナミックレンジが十分である限り、照明の恒常性に関して、また、時間の経過とともに磨耗又は汚れによって変色することもあるベルトの色に関して、柔軟であることが可能となる。
【0030】
前述の統計モデルを使用して、作業スペースに配置する物体の分割を行う。各ガウス分布の標準偏差に応じて固定境界を定め、グレースケール値がどのガウス分布で定めた鐘形曲線内にもない場合は、特定の1つの画素が1つの物体に属することを決定する。
【0031】
その後、2つのパスで領域成長の反復アルゴリズムを使用して、のちに分析するブロッブ、すなわち連結する領域を識別する。ここでも、エリア、長さ、及び長さと幅の関係に応じて単一フィルタリングを実施し、最も明確な領域を除外する。一次及び二次慣性モーメントを用いて物体の質量中心及び長半軸と短半軸とを計算することにより、魚の向きを識別することができる。
【0032】
穿刺部分を正しく規定するため、異なる2箇所の寸法を抽出する。はじめに物体を長手方向の分割を行い、分割マスクを用いて半分ずつに計算した平均強度を比較する。このようにして背と胃の位置を区別する。最後に、頭部分と尾部分を区別するために、両端から一定の距離のところで横断方向の寸法を2箇所抽出する。この分析により、まず穿刺部分を計算することができる。
【0033】
本実施例では、ロボットが具備している、魚を操作するロボットグリッパーは、
真空を利用して作動する。
【0034】
グリッパーには、真空及び一連の吸盤による吸引システムが備わり、魚を捕獲するのに少なくとも1つ必要である。この吸盤は、さまざまな魚の湾曲部に容易に適応するように、ベローズ型になっている。
【0035】
このシステムは、吸盤に及ぶ切断応力を回避することができるピンを少なくとも1本用いることにより完結するものである。魚を扱う水の多い環境は非常に滑りやすいため、横方向に移動し、高速かつ高加速で回転する魚を処理する場合、主に張力で機能する吸盤では慣性及び切断応力に対応できない。切断応力を回避するためには、魚にピンを刺す必要がある。
【0036】
魚を迅速に放す又は置くためには、システムの真空を断つという方法のほかに、吸盤を介してさらに空気を吹き込む作業をする。それによって作業が加速され、さらに吸盤内部の清掃にも役立つ。
【0037】
ピンのうち魚の腹部に刺す1本はセンサープローブを備え、これを生殖腺まで損傷しない方法で挿入する。
【0038】
センサーを魚の生殖腺上に挿入し、生殖腺に電磁放射線が発生したあとに得られるスペクトルを分析する。スペクトルは、オスとメスとで異なる。
【0039】
魚の性別を判断したあとは、ロボットグリッパーでその魚を適切なベルトコンベアに載せる。
【0040】
本発明の構成要素の材質、形状、寸法及び配置の変形例は、本発明の本質を変えるものではなく、これに限定されることなく当業者が再現するのに十分な程度に記述している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品を識別及び分類するための自動化方法であって、少なくとも、
食品を移動させる運搬システム上で分類する食品を供給する工程と、
位置確認システムによって食品の位置、向き、幾何学的構造及び寸法を識別する工程と、
ロボットグリッパーで計算するロボットにセンサーを位置決めする地点を送信するために、位置確認システムによって参照システムに変換する工程と、
位置確認システムで得た情報によって、食品の上でロボットグリッパーの位置決めする工程と、
ロボットグリッパーに内蔵されているセンサーの食品内での位置決めによってデータを取得し、このセンサーによって得たデータに従って食品を分類する工程と、
分類した食品を分離する工程と、
を含む自動化方法。
【請求項2】
ロボットによる食品の前記分離は、前記ロボットグリッパーによって行うことを特徴とする、請求項1に記載の自動化方法。
【請求項3】
センサーによる前記データの取得は、センサーを食品内部に挿入して行うことを特徴とする、請求項1に記載の自動化方法。
【請求項4】
分類する前記食品は、魚であることを特徴とする、請求項1に記載の自動化方法。
【請求項5】
前記データの取得は、前記食品の生殖腺の上で行うことを特徴とする、請求項1に記載の自動化方法。
【請求項6】
食品を識別及び分類するための自動化システムであって、少なくとも
食品を移動させる運搬システムと、
食品の位置、向き、幾何学的構造及び寸法を識別する位置確認システムと、
位置確認システムで得た情報によって、食品の上で位置決めするロボットグリッパーと、
食品を分類するロボットグリッパーに内蔵している少なくとも1つのセンサー
と、
を含む自動化方法。
【請求項7】
前記位置確認システムは視覚システムであることを特徴とする、請求項1に記載の自動化システム。

【公表番号】特表2011−509820(P2011−509820A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542651(P2010−542651)
【出願日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際出願番号】PCT/ES2008/070007
【国際公開番号】WO2009/090279
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(510196763)
【出願人】(510197184)
【Fターム(参考)】