説明

食品処理装置

【課題】より効率的に、除外物を処理対象物から分離することを目的とする。
【解決手段】所定形状の水槽13内に処理籠12を収納し、処理籠12を水槽13内で支持すると共に、水槽13外部まで持ち上げてこの処理籠12の開放面が一方向に傾斜するように回動させる駆動装置14を設けてなる食品処理装置11において、処理籠13の傾斜時に低位となる側縁にシュート21を設けると共に、高位となる側縁部に側縁開口部22を設け、処理籠12の内側であって、側縁開口部22の近傍にすだれ部23を設け、処理籠12の傾斜回動時の回転中心となる支点ピン24を設け、支点ピン24より高い位置に支持板25を突設し、駆動装置14に一端を固定した回動アーム15を処理籠12の両端面に沿って配置し、その先端近傍の支持部15aで支点ピン24を回動自在に連結し、アーム先端部15bと支持板25との間に上下方向の所要の間隔を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理対象物の洗浄や加温処理等の処理、及び搬送を行う食品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品を洗浄する装置としては、特許文献1に示すような、上面が開放された水槽内に、上面が開放された処理籠を収納し、上記処理籠を上記水槽内で支持すると共に、これを水槽外部まで持ち上げてこの処理籠の開放面が一方向に傾斜するように回動させる駆動装置を設けてなる装置があげられる。
【0003】
この装置は、水槽の底部に空気噴出装置を設け、これから空気を噴出してバブリングすることにより、処理籠内の食品が洗浄され、この食品に付着している除外物を分離させることができる。
【0004】
【特許文献1】特開平11−266800号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の空気噴出装置を用いて分離された除外物は、その大半が樋部から外部に出されるものの、一部のごみは、再び食品と接触するため、除外物と食品の付着が生じてしまい、洗浄が不十分となってしまうおそれがある。
【0006】
そこで、この発明は、より効率的に、除外物を食品から分離することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上面が開放された水槽内に、上面が開放された処理籠を収納し、上記処理籠を上記水槽内で支持すると共に、これを水槽外部まで持ち上げてこの処理籠の開放面が一方向に傾斜するように回動させる駆動装置を設けてなる食品処理装置において、上記処理籠の傾斜時に低位となる側縁部にシュートを設けると共に、上記処理籠の傾斜時に高位となる側縁部に、側縁開口部を設け、上記処理籠の内側であって、上記側縁開口部の近傍にすだれ部を設け、上記処理籠の傾斜回動時の回転中心となる支点ピンを上記処理籠両端面において重量バランスのとれる位置に設け、上記の2つの支点ピンを繋いだ支持軸線に対して直角方向の、上記処理籠及び水槽の底壁が、円弧状を形成し、上記処理籠の側縁開口部が設けられた側の上記水槽の側壁又は底壁に、上記水槽の底壁又は相対する側壁に向かう水流を生じさせる水送出装置を設け、上記処理籠の両端面の上記支点ピンより高い位置に支持板を突設し、上記シュートの外側の固定部分に上記駆動装置を設け、この駆動装置の駆動軸に一端を固定した2本の回動アームを上記処理籠の上記シュート両側縁から上記処理籠の両端面に沿ってそれぞれ配置し、その先端近傍の支持部において上記支点ピンを回動自在に支持し、上記回動アームに上記支持部を越えて延びるアーム先端部を設け、上記アーム先端部と上記支持板との間に上下方向の所要の間隔を設け、上記回動アームを回動させ、上記アーム先端部と上記支持板とが接触するまでは、上記処理籠は平行に上下動し、上記アーム先端部と上記支持板とが接触した後、上記処理籠は上記駆動軸を中心に傾斜回動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明にかかる食品処理装置は、水槽内に水を入れ、水送出装置を駆動させると、この水送出装置から、処理籠の底壁又は水送出装置に相対する側壁、水槽の水面付近、及びすだれ部を経由して、上記処理籠の側縁開口部に向かう水流が生じる。すると、除外物を分離した処理対象物及び除外物は、上記水流に乗って、すだれ部に送られる。そして、このすだれ部において、大きな処理対象物は、このすだれ部に引っかかるが、小さな除外物は、このすだれ部に引っかからずに、素通りし、処理籠の側縁開口部から、処理籠の外部に送り出される。一方、すだれ部に引っかかった大きな処理対象物は、すだれ部から下方の処理籠の底壁に送られ、再び、上記水流にしたがう。これを繰り返すことにより、除外物が除外される。
次いで、駆動装置によって、処理籠を持ち上げることにより、処理籠内の除外物の除去された処理対象物が、次工程に送られる。
【0009】
この機作により、処理対象物から除外物を除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
この発明にかかる食品処理装置11は、図1〜図3に示すように、上面が開放された水槽13内に、上面が開放された処理籠12を収納し、処理籠12を水槽13内で支持すると共に、これを水槽13の外部まで持ち上げてこの処理籠12の開放面が一方向に傾斜するように回動、すなわち、傾斜回動させる駆動装置14を設けたものである。
【0011】
上記処理籠12は、各種の食品や食品加工品等からなる処理対象物16(図4(b)参照)を入れて洗浄又は加温処理する籠であり、網目又は多数の穴を有しており、水槽13中の水の出入りが自在である。
【0012】
上記の処理籠12には、その傾斜時に低位となる側縁にシュート21が設けられる。このシュート21は、図2及び図3に示すように、その先端が絞られており、隣接する次の食品処理装置11等の次工程に、処理籠12内の処理対象物16を移すのが容易となる。シュート21の処理籠12側の幅は、処理籠12を傾斜させて処理籠12内の処理対象物16を移すときに、処理対象物16が外部にこぼれない幅を有すればよく、図2及び図3に示すように、側縁の長さをシュート21の幅とするのが好ましい。また、シュート21の処理籠12とのつけ根の部分(処理籠12側の側縁)から先端までの長さは、隣接する食品処理装置11等の次工程に送ることのできる長さを有すればよい。
【0013】
上記処理籠の傾斜時に高位となる側縁部に、側縁開口部22が設けられる。この側縁開口部22は、図4(a)(b)に示すように、処理対象物16から分離されたごみや食品くず(以下、「除外物」と称する。)17を、後述する水槽13の樋部32に送り出すための開口部である。
【0014】
また、この処理籠12の内側であって、側縁開口部22の近傍にすだれ部23が設けられる。このすだれ部23は、処理籠12に回転自在に取り付けたすだれ支持部23aと、このすだれ支持部23aに一定間隔を開けて取り付けた多数のくし部23bからなる。このすだれ部23は、図4(b)に示すように、処理対象物16が側縁開口部22から水槽13の樋部32に出るのを防止するために設けられるものであり、上記くし部23bは、側縁開口部22がすだれ部23より遠方となる位置で見たとき、側縁開口部22を、一定間隔を開けて覆うように設けられる。また、くし部23b間の距離は、上記除外物17の大きさにあわせて設定すればよい。
【0015】
上記処理籠12には、傾斜回動時の回転中心となる支点ピン24が、処理籠12両端面において重量バランスのとれる位置に設けられる。したがって、2本の支点ピン24を支持することにより、処理籠12は、その開放面を上方に向けた状態を維持することができる。また、処理籠12の両端面の支点ピン24より高い位置に支持板25が突設される。この支持板25は、後述するように、処理籠12を傾斜させるのに使用される。この支持板25は、処理籠12の両端面の支点ピン24のある付近にのみ設ければ十分であるが、処理籠12の側縁や側縁に鍔状に設けてもよい。
【0016】
ところで、上記処理籠12は、上記の2つの支点ピンを繋いだ支持軸線に対して直角方向の底壁が円弧状を形成する。また、後述するように、上記水槽13も同様の形状を有する。これにより、後述するように、水槽13内の水流を起こし易くすることができる。
【0017】
上記水槽13は、水を溜めることのでき、架台35に取り付けられる。また、この水槽13は、上記処理籠12の2つの支点ピン24を繋いだ支持軸線に対して直角方向の円弧状を形成する。
【0018】
処理籠12の側縁開口部22が設けられた側の水槽13の側壁又は底壁に、水槽13の底壁又は相対する側壁に向かう水流を生じさせる水送出装置31が設けられる。この水送出装置31は、撹拌羽根36を有し、この撹拌羽根36を回転させて、水送出装置31に供給される水を水槽13内に送り出す装置である。この水送出装置31としては、スクリュー装置、ポンプ等があげられる。
【0019】
このため、上記の水送出装置31を駆動させると、この水送出装置31から、上記水槽13の底壁又は上記水送出装置31に相対する側壁、上記水槽13の水面付近、及び上記すだれ部23の順に向かう水流が生じる。そして、上記すだれ部23を経由して、上記処理籠12の側縁開口部22に向かい、側縁開口部22から水槽13の樋部32に流れる水流と、上記すだれ部23を経由して、上記すだれ部23及び水槽13の端壁から水槽13の底部に向かう水流に分かれるが、後者の水流は、上記水送出装置31によって送り出される水流と合流するので、水槽13内は、上記水送出装置31により、一方向に循環する水流を生じさせることとなる。
【0020】
図2に示すように、上記処理籠12の側縁開口部22が設けられた端部側の上記水槽13の側縁に、上記樋部32が設けられる。この樋部32は、水槽13から水をオーバーフローさせたとき、溢れた水を回収することができる。また、処理籠12を水槽13内に収納したとき、処理籠12の側縁開口部22の下側縁が、上記水槽の側縁の位置付近となるように配するのが好ましい。これにより、側縁開口部22より排出された除外物17をそのまま樋部32に送ることができる。
【0021】
上記樋部32の一端には、排水回収部33が設けられ、ここに回収される。この排水回収部33には、細かい穴のあいた分離板33aが設けられており、除外物17が取り除かれ、水のみが回収される。回収された水は、上記水送出装置31に送られ、水送出装置31から送り出される水の一部(又は全部)として使用されることにより、水槽13内に戻される。
【0022】
なお、上記分離板33aに設けられた細かい穴の大きさは、除去対象の除外物17の大きさに合わせて、適宜選択される。この分離板33aとしては、金属板等の板にパンチングして多数の穴をあけたものや、所定のメッシュや網目の大きさを有する織布や不織布等があげられる。
【0023】
水槽13内に温水又はスチームを供給して水槽13内の水の温度を上昇させると、水槽13内の処理籠12に供給される処理対象物の加温処理をすることができる。この加温処理とは、処理対象物に水を介して熱を加える処理をいい、例えば、処理対象物を炊いたり、煮たり、茹でたりする処理があげられる。
【0024】
上記水槽13内の温度を上昇させるために、温水を供給する手段としては、水槽13に設けられた給水口(図示せず)から直接、温水を供給する方法や、水送出装置31に送られ、噴射される水の一部(又は全部)として、温水又はスチームを供給する方法があげられる。
【0025】
上記シュート21の外側の固定部分に、上記駆動装置14が設けられる。この駆動装置14は、処理籠12を回動させるための装置であれば任意の装置を用いることができ、例えば、図1〜図3に示すように、駆動軸14a、軸受14b、スプロケット14c等があげられる。これは、別の位置に設けたモータ14dとチェーン14eで連結される。この駆動装置14、特に駆動軸14aが設けられるシュート21の外側の固定部分とは、処理籠12の開放面の外側であり、かつ、シュート21が設けられる処理籠12の側縁の外側であって、水槽13やこの水槽13を支持する架台35等の固定された部分をいう。具体的には、図1〜図3に示すように、シュート21が設けられる側の水槽13の側縁より外側に、処理籠12の側縁と平行な駆動軸14aが配置され、その両端部が架台35上で軸受14bを介して支持される。また、図示しないが、シュート21が設けられる側の水槽13の側縁より外側に、処理籠12の側縁と平行な駆動軸14aが配置され、その両端部が、水槽13の開放面の両端縁に設けられる鍔部上で軸受14bを介して支持されてもよい。
【0026】
なお、駆動主体としては、モータ14dに限られず、エアシリンダ等任意のものを用いることができる。また、駆動主体の位置は、駆動軸14aの設置場所と異なった位置に限られるものではなく、同じ位置であってもよい。
【0027】
この駆動装置14の駆動軸14aには、この駆動軸14aに一端を固定した回動アーム15が取り付けられる。この回動アーム15は、2本を有し、駆動軸14aを起点とし、途中の角部で折れ曲がり、処理籠12のシュート21の両側縁から処理籠12の両端面に沿って、それぞれ支持板25の下方に配置される。
【0028】
この回動アーム15の先端部近傍に凹状の支持部15aが設けられ、その支持部15aに支点ピン24が回動自在に支持される。回動アーム15は、支持部15aを越えて延びるアーム先端部15bを有する。
【0029】
上記回動アーム15の形状は、途中で折れ曲がっているので、図1に示すように、回動アーム15の回転中心、すなわち、駆動軸14aの位置を処理籠12の支点ピン24より上方に設定することができる。これにより、処理籠12を回動させたとき、図5に示すように、シュート21を上方に移動させることができ、水槽13や架台35に衝突するのを防止できる。なお、上記回動アーム15の形状は、処理籠12の上下運動及び回動運動が可能となれば、途中で折れ曲がった形状に限られず、直線状等、任意の形状ものを採用することができる。
【0030】
上記のアーム先端部15bと上記の支持板25との間には、上下方向の所要の間隔が設けられる。このため、図5に示すように、回動アーム15を回動させ、回動アーム15のアーム先端部15bと支持板25とが接触するまで(図5の位置(II)の位置まで)は、処理籠12は、支点ピン24を支点としてそのバランスを保つことができ、処理籠12は平行に上下動する。また、回動アーム15のアーム先端部15bと支持板25とが接触した後(図5の位置(II)から位置(III)までの間)は、処理籠12は、回動アーム15と、支点ピン24及び支持板25の2か所で接触する。このため、処理籠12は回動アーム15に対して一定の角度で支持されることとなる。したがって、回動アーム15の上方への回動に伴い、処理籠12は駆動軸14aを中心に傾斜回動する。
【0031】
上記の回動アーム15のアーム先端部15bのうち、支持板25と接触する部分は、特別な形状を有することはないが、図5に示すように、回動アーム15のアーム先端部15bと支持板25とが接触するとき、面接触をするように回動アーム15のアーム先端部15bの接触部に傾斜部15cを設けると、処理籠12をより安定して傾斜させることができる。
【0032】
図1や図5に示すように、支持部15aは外部に連通した凹入された長穴となっているが、これは、回動アーム15が支点ピン24を挿入し易くするためのものである。したがって、回動アーム15が支点ピン24に対して回転自在であれば、支点ピン24のみを収納できる穴のみを設けてもよい。また、図示しないが、凹入された長穴を設ける場合、その凹入部に長穴の途中の径より大きい径を有する円形状の丸みを設けることができる。そうすれば、処理籠12を傾斜させた際に支点ピン24が回動アーム15から外れることを防止できる。
【0033】
次に、この発明にかかる食品処理装置11の機作について説明する。まず、洗浄又は加温等の処理の対象となる処理対象物16を水槽13に収納した処理籠12内に入れる。次いで、回動アーム15を所定の範囲内で上向きの運動と下向きの運動を繰り返し、処理籠12の上下運動を行う。回動アーム15を上向きに回動させると、回動アーム15と回転自在に連結された支点ピン24を有する処理籠12が同様に回動運動を生じる。このとき、回動アーム15の先端部が支持板25と接触するまで、処理籠12はその開放面が一方向に傾斜するような回動運動をせず、バランスを保ったまま平行移動する。すなわち図5に示すように、回動アーム15と支持板25が実線で示すように互いに離れた状態(位置(I))から、一点鎖線で示す支持板25と回動アーム15とが接触する位置(位置(II))にくるまでは、処理籠12は、平行移動する。
【0034】
このため、処理籠12が水槽13内に収納された位置から、回動アーム15の先端部が支持板25と接触する位置までの範囲において、回動アーム15を上向き及び下向きの回動を繰り返すと、処理籠12はバランスを保ちながら、その開放面を上方に向けた状態で上下運動を行う。この上下運動によって処理籠12内の処理対象物16を上下に揺らすことができ、処理対象物16に付随していた除外物17を処理対象物16から分離することができる。
【0035】
さらに、上記水送出装置31の撹拌速度や供給される水の供給速度を調節することにより、上記の一方向に循環する水流に上記処理対象物16をのせながら撹拌することにより、処理対象物16に付随していた除外物17を処理対象物16から分離することができる。
【0036】
また、加温処理する場合は、水槽13内の水をかきまわすことができ、水の対流を助長し、温度むらをなくし、処理対象物を均一に加温処理することができる。
【0037】
上記水送出装置31を駆動させると、この水送出装置31から、水槽13の底壁又は水送出装置31に相対する水槽13の側壁、水槽13の水面付近、及びすだれ部23を経由して、処理籠12の側縁開口部22及び、水槽13の底部に向かう水流が生じる。
【0038】
上記のすだれ部23で、処理対象物16は、進路を妨害されるので、水槽13の底部に向かう水流にのる。そして、再び水送出装置31から発する水流に合流し、上記の処理対象物16は、この一方向に循環する水流にのる。
【0039】
一方、上記除外物17は、上記のすだれ部23を通過し、処理籠12の側縁開口部22に向かう。そして、この除外物17は、水と共に側縁開口部22から処理籠12を出、水槽13端部の樋部32に送られる。樋部32に送られた水は、排水回収部33に送られ、除外物17が、分離された後、水送出装置31を介して、水槽13内に戻される。
【0040】
そして、回動アーム15を上向きに回動させる。図5に示すように、位置(II)までは、処理籠12は平行移動するが、アーム先端部15bの傾斜部15cが支持板25と接触した後は、回動アーム15と支持板25の接触状態が維持されるので、位置(III)で示すように、処理籠12は、位置(II)以降、駆動軸14aを中心に傾斜回動する。このため、処理籠12の開放面が一方向に傾斜する。この動きにあわせて、シュート21も同様に傾いていくので、処理籠内の処理対象物を外部に搬出することができる。
【0041】
その後、処理籠12を元の位置に戻して、次の処理対象物の洗浄や加温処理等の処理を行う。このとき、水槽13の水が多い場合は、水槽13の底から、排水口34を経由して、水を排出すればよい。また、水槽中の水の量が少ないときは、水槽13や水送出装置31に設けられた給水口(図示せず)から水を供給すればよい。
【0042】
この食品処理装置11は、単独で使用されることもあるが、複数の食品処理装置11を並べて使用する場合が多い。このとき、架台35を立方体や直方体等の所定の形状とし、その架台35の内部に、水槽13、軸受14b、モータ14d等のほとんどの部品を収納し、架台35から外部に設けられる装置を極力小さくすることにより、食品処理装置11の架台の周囲に食品処理装置11を設置することができる。すなわち、図6に示すように、架台35を立方体又は直方体としたとき、1つの食品処理装置11aを基準とした場合、洗浄された処理対象物が搬出される方向の端面に次の食品処理装置11bを設置すると共に、残りの端面及び両側面の3方にこの食品処理装置11aに処理対象物を搬送する食品処理装置11cを設置することができる。したがって、複数の食品処理装置11を並べて使用する場合、一直線方向に並べるだけでなく、設置場所の状況に応じて、T字状、十字状等の任意の並べ方をすることができる。
【0043】
この発明にかかる食品処理装置11の処理籠12の動きは、最初は平行移動し、その後傾斜回動する。このため、傾斜回動を開始するとき、処理籠12は水槽13から所定距離だけ上がっており、初めから回動させる場合に比べてより大きい処理籠を使用することができる。
【0044】
なお、洗浄時、又は加温処理時に、処理対象物添加物等を添加すれば、味付けや処理対象物加工も洗浄、又は加温処理と同時に行うことができる。
【0045】
さらに、水槽内の水温を沸点近くの水で加温処理をする場合等の必要に応じて、水槽13の開放面の上部又は上方にカバーを取り付けることもできる。
【0046】
この発明にかかる食品処理装置で処理できる処理対象物16は特に限定されず、野菜類、穀物類、果物類、豆類等の農産物、魚、貝、甲殻類等の水産物、農産物や水産物のカット、調理等された中間加工品や食品加工品等の任意の処理対象物があげられる。
【0047】
上記除外物としては、髪の毛、加温処理で生じたあく、規格より小さい処理対象物らその片等の食品くず、小石、紙くず、虫、わら等があげられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明にかかる食品処理装置の例を示す正面断面図
【図2】図1の平面図
【図3】図1の側面図
【図4】(a)図1に示す食品処理装置のすだれ部及び側縁開口部の関係を示す一部拡大斜視図 (b)図1に示す食品処理装置の処理対象物と除外物を分離する状態を示す模式図
【図5】図1に示す食品処理装置の処理籠の動きを示す作用図
【図6】複数の図1に示す食品処理装置を配列した状態を示す平面図
【符号の説明】
【0049】
11、11a、11b、11c 食品処理装置
12 処理籠
13 水槽
14 駆動装置
14a 駆動軸
14b 軸受
14c スプロケット
14d モータ
14e チェーン
15 回動アーム
15a 支持部
15b アーム先端部
15c 傾斜部
16 処理対象物
17 除外物
【0050】
21 シュート
22 側縁開口部
23 すだれ部
23a すだれ支持部
23b くし部
24 支点ピン
25 支持板
31 水送出装置
32 樋部
33 排水回収部
33a 分離板
34 排水口
35 架台
36 撹拌羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放された水槽内に、上面が開放された処理籠を収納し、上記処理籠を上記水槽内で支持すると共に、これを水槽外部まで持ち上げてこの処理籠の開放面が一方向に傾斜するように回動させる駆動装置を設けてなる食品処理装置において、
上記処理籠の傾斜時に低位となる側縁部にシュートを設けると共に、上記処理籠の傾斜時に高位となる側縁部に、側縁開口部を設け、
上記処理籠の内側であって、上記側縁開口部の近傍にすだれ部を設け、
上記処理籠の傾斜回動時の回転中心となる支点ピンを上記処理籠両端面において重量バランスのとれる位置に設け、
上記の2つの支点ピンを繋いだ支持軸線に対して直角方向の、上記処理籠及び水槽の底壁が、円弧状を形成し、
上記処理籠の側縁開口部が設けられた側の上記水槽の側壁又は底壁に、上記水槽の底壁又は相対する側壁に向かう水流を生じさせる水送出装置を設け、
上記処理籠の両端面の上記支点ピンより高い位置に支持板を突設し、
上記シュートの外側の固定部分に上記駆動装置を設け、
この駆動装置の駆動軸に一端を固定した2本の回動アームを上記処理籠の上記シュート両側縁から上記処理籠の両端面に沿ってそれぞれ配置し、その先端近傍の支持部において上記支点ピンを回動自在に支持し、上記回動アームに上記支持部を越えて延びるアーム先端部を設け、
上記アーム先端部と上記支持板との間に上下方向の所要の間隔を設け、
上記回動アームを回動させ、上記アーム先端部と上記支持板とが接触するまでは、上記処理籠は平行に上下動し、上記アーム先端部と上記支持板とが接触した後、上記処理籠は上記駆動軸を中心に傾斜回動することを特徴とする食品処理装置。
【請求項2】
上記処理籠の側縁開口部が設けられた端部側の上記水槽の側縁に樋部を設け、上記処理籠を上記水槽内に収納したとき、上記処理籠の側縁開口部の下側縁が、上記水槽の側縁の位置の近傍となることを特徴とする請求項1に記載の食品処理装置。
【請求項3】
上記水槽内には、水が溜められ、上記水送出装置を駆動させることにより、この水送出装置から、上記水槽の底壁又は上記水送出装置に相対する側壁、上記水槽の水面付近、及び上記すだれ部を経由して、上記処理籠の側縁開口部に向かう水流が生じる請求項1又は2に記載の食品処理装置。
【請求項4】
上記駆動装置の駆動軸は、上記シュートが設けられる処理籠の側縁より外側に配置され、その両端部が、上記水槽が取り付けられる架台上で軸受を介して支持される請求項1乃至3のいずれかに記載の食品処理装置。
【請求項5】
上記駆動装置の駆動軸は、上記シュートが設けられる処理籠の側縁より外側に配置され、その両端部が、上記水槽の開放面の両側縁に設けられる鍔部上で軸受を介して支持される請求項1乃至3のいずれかに記載の食品処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−73102(P2008−73102A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−252993(P2006−252993)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(591043787)株式会社アルス (16)
【Fターム(参考)】