説明

食品包装体

【課題】開封すると内容物が大きく露出し、おにぎりやどら焼き、コロッケ等の食品の包装に適した食品包装体を提供すること。
【解決手段】この発明の食品包装体は、フィルム1の下部を折り重ねて接合し、収容した内容物2が一部露出する深さの下部収容部3を形成するとともに、フィルム1の上部4を前記下部収容部3に部分的に重ねて取り外し可能に接合することにより内容物2を包装するようにしたものである。フィルム1の上部4は、下部収容部3との接合部分より下方に延びる自由端13を有しているものとすることができる。また、フィルム1の上部4の自由端13が、略中央部分が突出した形状であるものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、おにぎり、どら焼き、コロッケ等の食品を包装する食品包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のような、プラスチックフィルムによりその同一面側を互いに当接させて、所定幅のヒートシールにより合掌状に接合する合掌接合部を設け、底部に自立手段を形成させて、その内部に内容物を包装する食品包装体が存在する。
【0003】
この従来の食品包装体は、前記合掌接合部が、加熱による包装体の内部圧力が上昇したとき、その逃圧を行なう易開封性シールとなっており、包装体を電子レンジで加熱調理できるようになっている。
【0004】
しかし、前記合掌接合部は食品包装体の上端付近に位置しており、前記合掌接合部を剥離しただけでは、内容物はほとんど露出しないため、中から内容物を出すために、前記剥離して開いた部分を下にして内容物を落下させ、皿等に移しかえる必要がある。
【0005】
そのため、この従来の食品包装体は、内容物として流動性のある食品を包装するにはよいが、流動性のない、おにぎりやどら焼き、コロッケ等の食品の包装には適さないものであった。
【特許文献1】特許第3605306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、開封すると内容物が大きく露出し、おにぎりやどら焼き、コロッケ等の食品の包装に適した食品包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、この発明は次のような技術的手段を講じている。
【0008】
この発明の食品包装体は、フィルム1の下部を折り重ねて接合し、収容した内容物2が一部露出する深さの下部収容部3を形成するとともに、フィルム1の上部4を前記下部収容部3に部分的に重ねて取り外し可能に接合することにより内容物2を包装するようにしたものである。
【0009】
フィルム1の上部4は、下部収容部3との接合部分より下方に延びる自由端13を有しているものとすることができる。
【0010】
また、フィルム1の上部4の自由端13が、略中央部分が突出した形状であるものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明の食品包装体は、上述のような構成を有しており、フィルム1の上部4と下部収容部3との接合部分を取り外し、上部4を開くと内容物2が一部露出することになり、この露出した部分を指でつまんで内容物2を取り出したり、あるいはそのまま食べたりすることが可能で、おにぎりやどら焼き、コロッケ等の食品の包装に適したものとなっている。
【0012】
また、フィルム1の上部4が、下部収容部3との接合部分より下方に延びる自由端13を有しているものとすれば、この自由端13を指で引っ張ることにより容易に開封できるようになり、さらに、自由端13が、略中央部分が突出した形状であれば、より開封が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、この発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、この発明の実施形態の食品包装体の斜視図、図2は食品包装体を開封した状態の斜視図、図3は食品包装体を一部開封した状態の斜視図、図4はこの食品包装体を製造するための装置の説明図である。
【0015】
この発明の食品包装体は、フィルム1の下部を折り重ねて接合し、収容した内容物2を収容したときに内容物2が一部露出する深さの下部収容部3を形成するとともに、フィルム1の上部4を前記下部収容部3に部分的に重ねて取り外し可能に接合することにより内容物2を包装するようにしたものとしている。
【0016】
この食品包装体は、1枚のフィルム1を折り曲げたりヒートシールしたりすることにより製造することができる。フィルム1は、両面のヒートシールが可能なポリプロピレンを原料としたOPフィルムや、表面側に和紙を積層し、さらに和紙に接着剤層を設けてヒートシール可能にしたもの等とすることができる。フィルム1は、透明でも不透明でも良く、また、適宜印刷を施したものとすることができる。
【0017】
フィルム1は、全体をヒートシール可能としなくとも、後述のヒートシールを行う部分だけをヒートシール可能とすればよく、例えば、当該部分に熱接着しやすい樹脂をコーティングしたフィルム1を使用することができる。
【0018】
この実施形態では、フィルム1は展開した状態では略長方形であり、フィルム1の下部を横方向の折り目5,6で内側に折り曲げ、フィルム1に重ねてその左右両縁部付近7,8をヒートシールして接合することにより下部収容部3を形成している。また、フィルム1の上部4を横方向の折り目9で内側に折り曲げ、フィルム1に重ねてその左右両縁部付近10,11をヒートシールして接合するとともに、その先端部分付近12を横方向に左右両端間にわたって下部収容部3にヒートシールして接合している。
【0019】
下部収容部3は、深さ(底部から上端縁までの長さ)が内容物2の高さの略半分程度ないしそれ以下で、ガゼット折りにされることにより食品包装体の底部に幅をもたせ、食品包装体が自立できるようにしている。
【0020】
フィルム1の上部4と下部収容部3との接合部分12は易開封性シールによりピールオフ可能になっている。また、フィルム1の上部4は、下部収容部3との接合部分12より下方に延びる自由端13を有している。自由端13は、下部収容部3とは接合していない部分であり、中央部分が略台形状に突出した形状としている。
【0021】
この食品包装体は、内部に内容物2としてどら焼き等の食品が収容されている。図1に示した状態では、フィルム1の左右の縁部付近7,8,10,11及び上部4と下部収容部3が重なった部分12がヒートシールにより接合されており、密閉された状態となっている。
【0022】
この食品包装体に収容された内容物2を食べる場合には、図1に示した状態からフィルム1の上部4の自由端13を指でつまんでフィルム1の上部4と下部収容部3との接合を解き、上部4を開いて内容物2を露出させる。内容物2は、図2に示したように、その上部の略半分が露出するので、この露出した部分を手でつかんで取り出したり、あるいは、下部収容部3に入ったままの状態で、露出した部分を直接口に入れて食べることもできる。
【0023】
また、内容物2を温めて食べたい場合には、フィルム1の上部4の自由端13を指でつまんでフィルム1の上部4と下部収容部3との接合を部分的に解くことにより、図3に示したように、フィルム1の上部4と下部収容部3との間に部分的に隙間14が生じた状態にし、電子レンジで加熱調理するとよい。電子レンジでの加熱により、この食品包装体内の内容物2の水分が水蒸気となって膨脹することになるが、前記隙間14から水蒸気が抜けるので、食品包装体は破裂することなく、内容物2を適度に温めて食べることができる。
【0024】
このように、この食品包装体は、流動性のない食品であっても、内容物2として収容することに適したものとなっている。
【0025】
図4は、この食品包装体を自動的に製造するための装置の説明図である。この装置は、まず、ロール状に巻かれたフィルム1を備えたフィルム供給部15からフィルム1を送り出し、フィルム1を挟むようにして上下に配された回転ドラムからなるダイカッター16でフィルム1の上部4の自由端13となる部分に略中央が突出した形状の部分を形成する。
【0026】
次に、上方の製袋器17でフィルム1の上部4と下部が折り曲げられ、上部4が下部収容部3となる部分の上に重なって、前方と後方が開放した状態の袋状にされるとともに、後方から内容物供給コンベヤー18によって内容物2が挿入される。そして、フィルム1の上部4と下部収容部3となる部分がヒートシールにより接合される
次に、フィルム1の進行方向に直交し、ボックスモーションを行う上下2本のシールバーからなるエンドシシーラー19により、下部収容部3がガゼット折りにされるとともに、各内容物2間の部分で上下に重なるフィルム1がヒートシールにより接合され、さらに左右の縁部となる部分の接合部分で切断されることにより、食品包装体が完成する。
【0027】
なお、この発明は、上述の実施形態の構成に限定されるものではなく、素材、形状、寸法等を適宜変更して実施することができる。また、どら焼きのほか、コロッケ、おにぎり、寿司、パン、ドーナツ等の食品を内容物2とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の実施形態の食品包装体の斜視図である。
【図2】この発明の実施形態の食品包装体を開封した状態の斜視図である。
【図3】この発明の実施形態の食品包装体を一部開封した状態の斜視図である。
【図4】この発明の実施形態の食品包装体を製造するための装置の説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 フィルム
2 内容物
3 下部収容部
4 上部
12 接合部分
13 自由端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム(1)の下部を折り重ねて接合し、収容した内容物(2)が一部露出する深さの下部収容部(3)を形成するとともに、フィルム(1)の上部(4)を前記下部収容部(3)に部分的に重ねて取り外し可能に接合することにより内容物(2)を包装するようにしたことを特徴とする食品包装体。
【請求項2】
フィルム(1)の上部(4)が、下部収容部(3)との接合部分(12)より下方に延びる自由端(13)を有している請求項1記載の食品包装体。
【請求項3】
フィルム(1)の上部(4)の自由端(13)が、略中央部分が突出した形状である請求項2記載の食品包装体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−99327(P2007−99327A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289763(P2005−289763)
【出願日】平成17年10月3日(2005.10.3)
【出願人】(591016080)株式会社スズパック (15)
【出願人】(000119807)茨木精機株式会社 (19)
【Fターム(参考)】