説明

食品密封収容袋包装箱、食品密封収容袋包装体及び箱原板

【課題】食品密封収容袋を収容したまま開封しないで電子レンジ内に配置して加熱開始でき、それでいて袋の圧抜き部からの蒸気以外の袋内容物の流出を実用上差し支えない程度に抑制でき、或いは防止できる、便利な食品密封収容袋包装箱及びこれを採用した便利な食品密封収容袋包装体並びに該箱形成のための箱原板を提供する。
【解決手段】上壁11に破断用ラインC11、C12、C13を形成するとともに左右の側壁12,13に側壁破断用ラインを形成し、それら破断用ラインと、前壁11と下壁14の境界ラインで囲まれた開封用部Dを提供している食品密封収容袋包装箱1。開封用部Dは、電子レンジ加熱で膨張する袋2により上下壁11、14間に加わる突っ張り力で破断用ラインが破断されて開封され、箱1を傾斜姿勢におき、袋2の圧抜き部25を高位置におく。箱1に食品密封収容袋2を収容した包装体100と箱1を形成するための箱原板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子レンジ加熱可能な食品、例えば調理された、或いは半調理された食品を密封収容した食品密封収容袋を包装する包装箱及び前記食品密封収容袋を前記包装箱に収容した食品密封収容袋包装体に関する。本発明はさらに該包装箱を提供するための箱原板にも関係している。
【背景技術】
【0002】
今日、マイクロ波透過可能な袋(通常、プラスチック袋)に密封収容された種々の電子レンジ加熱可能な食品、例えば既に調理された、或いは半調理された食品が市場に流通している。そのような食品密封収容袋は、電子レンジ内に配置して加熱すると、袋内食品が加熱され、蒸気が発生するので、袋破裂を防止するため、袋内圧が上昇してくると内圧により開封される圧抜き部が形成されている。
【0003】
このような電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋は、保管、運搬、展示、記載による種々の情報表示等のために包装箱で収容、包装されるのが一般的である。
【0004】
また、今日では、包装箱に容れられた食品密封収容袋は包装箱ごと電子レンジ内に配置し、加熱することができるようになっているものもある。
そのような袋及び箱として次のようなものが見受けられる。
【0005】
前記食品密封収容袋については、前記圧抜き部が袋のいずれかの端部に近い部位に設けられ、電子レンジ加熱にあたっては圧抜き部のある袋端部が反対側端部より高所に位置するように袋を傾けて電子レンジ内に配置すれば、加熱により圧抜き部が開封された場合でも開封された圧抜き部から袋内容物が流出して電子レンジ内を汚すなどの恐れはないとされているものである。
【0006】
一方、包装箱については、その一部を開けることで前記食品密封収容袋の前記圧抜き部を露出させることができるとともに、開けた箱の一部を折り曲げて支持部とするなどして電子レンジ内に傾斜姿勢で配置でき、それにより袋を圧抜き部のある端部が他端部より高所に位置する傾斜状態で箱ごと電子レンジ内に配置することができるようにしたものである。
【0007】
このような食品密封収容袋及び包装箱は通常その包装箱に食品密封収容袋を収容した食品密封収容袋包装体の態様で保管、運搬、展示、販売等されている。
【0008】
このような包装体は例えば特開2003−170930号公報、特許第4522782号公報に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−170930号公報
【特許文献2】特許第4522782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の食品密封収容袋包装体は、食品密封収容袋の内容物を電子レンジ加熱するために該袋を包装箱ごと電子レンジ内に配置する際には、単に包装箱を開封して電子レンジ内に配置すればよいのではなく、包装箱を指定された包装箱部位で、指定された手順に従って開封し、開けた箱の一部を折り曲げて支持部として、食品密封収容袋の圧抜き部のある端部が他端部より高所に位置する傾斜状態で電子レンジ内に配置しなければならず、その作業に慣れない消費者は戸惑うことがあり、消費者によっては煩わしく感じることもあったと思われる。
【0011】
また、使用する包装箱によっては、開けられた包装箱の一部がその開けられた状態から復元方向に動き、その結果、食品密封包装袋の圧抜き部が袋の他の部分に対して、袋内容物の吹き出しを十分抑制できるほどに高所に配置されなくなる恐れがある。
【0012】
本発明は、電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した、前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部を有する食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であって、該食品密封収容袋を収容したまま電子レンジ内に配置して該袋内食品を電子レンジ加熱することができ、その際、電子レンジ内への配置に先だって、換言すれば電子レンジ加熱に先だって開封しておく必要がなく、開封しないで電子レンジ内に配置して加熱開始でき、それでいて前記袋の圧抜き部からの蒸気以外の袋内容物の流出を実用上差し支えない程度に抑制でき、或いは防止できる、消費者にとって便利な食品密封収容袋包装箱を提供することを第1の課題とする。
【0013】
また、本発明は、電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した、前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部を有する食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であって、前記包装箱を開封することなく、そのまま電子レンジ内に配置して前記食品密封収容袋内の食品を電子レンジ加熱開始でき、それでいて、前記袋の圧抜き部からの蒸気以外の袋内容物の流出を実用上差し支えない程度に抑制でき、或いは防止できる、消費者にとって便利な食品密封収容袋包装体を提供することを第2の課題とする。
【0014】
また、本発明は、本発明に係る食品密封収容袋包装箱を形成できる箱原板を提供することを第3の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は前記第1の課題を解決するため、
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した、前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部を有する食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であり、
上壁と、前記上壁の左側端に上端が続く左側壁と、前記上壁の右側端に上端が続く右側壁と、前記左右側壁の下端に続き、前記上壁に対向する下壁と、前記上壁及び下壁の前端に続く前壁及び後端に続く後壁を含んでいて前記左右側壁間距離及び前記前後壁間距離より前記上下壁間距離が短い扁平形状を呈しており、
前記上壁は、該上壁の前後端間の中間の部位、且つ、左右側端間の中間の部位に形成された、上壁後端側へ突出する山形状の中央破断用ライン、前記中央破断用ラインの左端から前記上壁の左側端の前記前壁寄りの部位へ傾斜して延びる左破断用ライン及び前記中央破断用ラインの右端から前記上壁の右側端の前記前壁寄りの部位へ傾斜して延びる右破断用ラインを有しており、
前記左側壁は、前記上壁の左破断用ラインの左端に続いて前記左側壁の前記前壁側且つ前記下壁側の角部へ延びる左側壁破断用ラインを有しており、
前記右側壁は、前記上壁の右破断用ラインの右端に続いて前記右側壁の前記前壁側且つ前記下壁側の角部へ延びる右側壁破断用ラインを有しており、
前記上壁の破断用ラインと、前記左右側壁の破断用ラインと、前記前壁と前記下壁の境界ラインで囲まれた開封用部であって、前記上下壁間に該上下壁間を押し広げようとする突っ張り力が加わることで前記各破断用ラインが破断されて開封される開封用部が形成されている食品密封収容袋包装箱を提供する。
【0016】
本発明は前記第2の課題を解決するため、
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であり、
前記食品密封収容袋はマイクロ波透過可能なフィルムで形成され、内部に電子レンジ加熱可能な食品が収容されているとともに前辺部、該前辺部に対向する後辺部及び該前後辺部間に延びる左右側辺部を含む周辺部が密封されて扁平形状を呈しており、前記前辺部よりの部位に前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部が形成されており、
前記食品密封収容袋包装箱は本発明に係る包装箱であり、
前記食品密封収容袋は前記前辺部が前記包装箱の前壁側に向けられて該包装箱内に収容されている食品密封収容袋包装体を提供する。
【0017】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱によると、その組立て形成とともに内部に食品密封収容袋を収容することができる。
【0018】
本発明に係る食品密封収容袋包装箱によると、内部に食品密封収容袋を収容した状態で、開封することなく、前記中央及び左右の破断用ラインを有する上壁を下向きにして電子レンジ内トレイに載置し、加熱開始することができる。
【0019】
食品密封収容袋内の食品が加熱され、それにより発生する蒸気圧で該袋が膨張してくると、この袋の膨張により、互いに対向している前記上壁(電子レンジ内では下向きに配置されている上壁)及び下壁が上下方向に突っ張り力を受け、それにより該上壁及び下壁が次第に箱外側へ向け膨らむよう変形し始め、それにより前記上壁の中央及び左右の破断用ライン並びに該左右の破断用ラインに続く前記左右側壁の破断用ラインが破断され、前記開封用部、すなわち上壁の破断用ラインと、左右側壁の破断用ラインと、前壁と下壁の境界ライン(換言すれば、前壁と下壁の境界稜線)で囲まれた開封用部が開く。
【0020】
そして、前記上壁及び下壁が上下方向に突っ張り力を受けて箱外側へ向け膨らむよう変形することで、特に、破断用ラインが形成されていない下壁(電子レンジ内では上向きに配置されている下壁)が上方向に箱外側へ向け膨らむよう変形することで、前記のように開かれた開封用部は開かれた状態に維持されやすくなり、前記電子レンジ内トレイから立ち上がるかのような姿勢をとって、前記食品密封収容袋を収容している箱部分を相対的に傾斜姿勢へ持ち上げる。
【0021】
よって、本発明に係る包装箱の組立て形成とともに内部に食品密封収容袋を収容するにあたり、該袋の前記前辺部(換言すれば、圧抜き部がある前部分)が包装箱の前壁側に向けられるように収容しておけば、上記のように袋を収容している箱部分が傾斜姿勢をとることで、前記圧抜き部が高位置におかれ、該圧抜き部が袋内圧上昇により開封されても、そこから蒸気以外の袋内容物が漏出することは実用上差し支えない程度に抑制され、或いは防止される。
【0022】
このように本発明に係る包装箱によると、食品密封収容袋を収容したまま電子レンジ内に配置して該袋内食品を電子レンジ加熱することができ、その際、電子レンジ内への配置に先だって、換言すれば電子レンジ加熱に先だって開封しておく必要がなく、開封しないで電子レンジ内に配置して加熱開始でき、それでいて前記袋の圧抜き部からの蒸気以外の袋内容物の流出を実用上差し支えない程度に抑制でき、或いは防止できる。
【0023】
また本発明に係る食品密封収容袋包装体によると、食品密封収容袋包装箱として本発明に係る包装箱を採用しているので、前記中央及び左右の破断用ラインを有する上壁を下向きにして電子レンジ内トレイに載置し、加熱開始すると、食品密封収容袋内の食品が加熱され、それにより発生する蒸気圧で該袋が膨張してくることで、前記開封用部が開き、食品密封収容袋を収容している箱部分が傾斜姿勢におかれる。
【0024】
それにより、前記袋の圧抜き部が高位置におかれ、該圧抜き部が袋内圧上昇により開封されても、そこから蒸気以外の袋内容物が漏出することは実用上差し支えない程度に抑制され、或いは防止される。
【0025】
このように本発明に係る包装体によると、前記包装箱を開封することなく、そのまま電子レンジ内に配置して前記食品密封収容袋内の食品を電子レンジ加熱開始でき、それでいて、前記袋の圧抜き部からの蒸気以外の袋内容物の流出を実用上差し支えない程度に抑制でき、或いは防止できる、
【0026】
いずれにしても、本発明に係る包装箱における前記上壁の中央及び左右の破断用ライン(全体として V字状を呈している中央及び左右の破断用ライン)及び左右側壁の破断用ラインからなる、連続する破断用ラインとしては、代表例として、切断線と該切断線より短い点状破断用部を交互にライン状に配列して形成されているものを挙げることができる。ここで[切断線]とは壁構成材を表裏に貫通するように切断してなる線である。
【0027】
本発明に係る包装箱では、収容される食品密封収容袋が電子レンジ加熱により膨張して前記上壁及び下壁を上下方向に突っ張るとき、前記左右の側壁も変形可能として該上壁及び下壁が箱外側へ向け膨らみ変形し易くするために、前記左右の各側壁の側壁破断用ラインより側壁後端側の部分に該側壁と前記上壁との境界ライン(換言すれば、側壁と上壁の境界稜線)と並行な側壁折れ曲がり変形補助ラインを形成しておいてもよい。そのようなラインは、例えば、1本の切断線や、間隔をあけて直線状に配列した複数本の切断線等で構成することができる。
【0028】
本発明は前記第3の課題を解決するため、予め裁断された紙製(紙が主体)の平坦な箱原板を提供する。
この箱原板は平坦な状態において
前記中央及び左右の破断用ラインを含む前記上壁、
前記上壁の左側端に続き、前記左側壁破断用ラインを含む前記左側壁、
前記上壁の右側端に続き、前記右側壁破断用ラインを含む前記右側壁、
前記左側壁の左側端又は前記右側壁の右側端に続く前記下壁、
前記上壁の前端に続く第1の前壁用片、
前記下壁の前端に続く第2の前壁用片、
前記左右の各側壁の前端に続く前フラップ、
前記上壁の後端に続く第1の後壁用片、
前記下壁の後端に続く第2の後壁用片
前記左右の各側壁の後端に続く後ろフラップ及び
前記左右側壁のいずれか又は前記下壁に続く糊代片を含んでいる。
【0029】
この箱原板によると、前記右側壁、前記上壁、前記左側壁、前記下壁及び前記糊代片を隣り合うものの境目で順次折り曲げるとともに前記糊代片を介して前記左右側壁のいずれかと前記下壁を接続し、前記前フラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該前フラップ上に前記第1及び第2の前壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の前壁用片を接着し、前記後ろフラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該後ろフラップ上に前記第1及び第2の後壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の後壁用片を接着して前記食品密封収容袋包装箱を形成することができる。
【0030】
この箱原板においても、前記上壁の破断用ライン及び左右側壁の破断用ラインからなる、連続する破断用ラインは、切断線と該切断線より短い点状破断用部を交互にライン状に配列して形成されていてもよい。
【0031】
前記左右の各側壁の側壁破断用ラインより側壁後端側の部分に、該側壁と前記上壁との境界ラインと並行な側壁折れ曲がり変形補助ラインが形成されていてもよい。
また、前記前フラップに曲げ重ねられる前記第1及び第2の前壁用片のうち少なくとも一方を該前フラップに接着してもよい。
【発明の効果】
【0032】
以上説明したように本発明によると、
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した、前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部を有する食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であって、該食品密封収容袋を収容したまま電子レンジ内に配置して該袋内食品を電子レンジ加熱することができ、その際、電子レンジ内への配置に先だって、換言すれば電子レンジ加熱に先だって開封しておく必要がなく、開封しないで電子レンジ内に配置して加熱開始でき、それでいて前記袋の圧抜き部からの蒸気以外の袋内容物の流出を実用上差し支えない程度に抑制でき、或いは防止できる、消費者にとって便利な食品密封収容袋包装箱を提供することができる。
【0033】
また、本発明によると、電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した、前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部を有する食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であって、前記包装箱を開封することなく、そのまま電子レンジ内に配置して前記食品密封収容袋内の食品を電子レンジ加熱開始でき、それでいて、前記袋の圧抜き部からの蒸気以外の袋内容物の流出を実用上差し支えない程度に抑制でき、或いは防止できる、消費者にとって便利な食品密封収容袋包装体を提供することができる。
【0034】
また、本発明によると、本発明に係る食品密封収容袋包装箱を形成できる箱原板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る食品密封収容袋包装体の1例の上面図である。
【図2】図1の食品密封収容袋包装体の下面図である。
【図3】図1の包装体の左側面図である。
【図4】図1の包装体の右側面図である。
【図5】図1の包装体の前面図である。
【図6】図1の包装体の後面図である。
【図7】食品密封収容袋の1例の上面図である。
【図8】食品密封収容袋包装箱の組み立て前の箱原板例を示す図である。
【図9】図1の食品密封収容袋包装体を電子レンジ加熱するときの姿勢例を示す図である。
【図10】図9の包装体を包装箱の開いた開封部側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は本発明に係る食品密封収容袋包装体の1例100を示す図であり、図1〜図6は同包装体の上面図、下面図、左側面図、右側面図、前面図、後面図である。図7は食品密封収容袋の1例の上面図である。
【0037】
図示の包装体100は電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋2を食品密封収容袋包装箱1に収容したものである。
【0038】
食品密封収容袋2は図7に示すように、マイクロ波透過可能なフィルムfで形成され、内部に電子レンジ加熱可能な食品Fが収容されているとともに前辺部21、前辺部21に対向する後辺部22及び前後辺部21、22間に延びる左右側辺部23を含む周辺部20が密封されて扁平矩形状を呈している。
【0039】
前辺部21と左側辺部23で提供される前側コーナ部位24に食品Fの加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部25が形成されている。圧抜き部25は本例では図7に示すように、袋本体を構成している重ねられたフィルムfの一部をヒートシール251し、該ヒートシール部分251の中央部に透孔252を形成したものである。
【0040】
ヒートシール部分251は電子レンジ加熱時の袋本体内気圧上昇で、袋が破裂しない安全圧力範囲内でフィルムf間を剥がして袋内を孔252へ連通させることができる部分であり、周辺部20より弱い弱シール部である。
【0041】
食品密封収容袋包装箱1は、図1〜図6に示すように、上壁11と、上壁11の左側端113に上端が連続する左側壁12と、上壁11の右側端114に上端が連続する右側壁13と、左右側壁12、13の下端に連続し、上壁11に対向する下壁14と、前記各壁の前端に続く前壁15及び後端に続く後壁16を含んでいる。包装箱1は左右側壁12、13間距離及び前後壁15、16間距離より上下壁11、14間距離が短い扁平直方体形状を呈している。
【0042】
図1に示されるように、上壁11には、中央破断用ラインC11と、ラインC11の左端に続く左破断用ラインC12と、ラインC11の右端に続く右破断用ラインC13が形成されている。
【0043】
中央破断用ラインC11は上壁11の前後端111、112間の中間の部位(本例では丁度中間より若干前端111よりの部位)、且つ、上壁11の左右側端113、114間の丁度中間部位に形成されており、上壁後端112側へ突出する山形状(本例では円弧状の山形状)の破断用ラインである。
【0044】
左破断用ラインC12は中央破断用ラインC11の左端から上壁11の左側端113の前壁15寄りの部位へ傾斜して延びている。
右破断用ラインC13は中央破断用ラインC11の右端から上壁11の右側端114の前壁15寄りの部位へ傾斜して延びている。
【0045】
左側壁12は、図3に示されるように、上壁11の左破断用ラインC12の左端に続いて左側壁12の前壁15側、且つ、下壁14側の角部K2へ向け、その僅かに手前まで延びる左側壁破断用ラインC2を有している。左側壁12はさらに側壁折れ曲がり変形補助ラインC20を有している。ラインC20は左側壁破断用ラインC2より側壁後端側(換言すれば後壁16側)の部分に側壁12と上壁11との境界ライン(換言すれば上壁11の左側端113)と並行に形成されている。
【0046】
前記右側壁13は、図4に示されるように、上壁11の右破断用ラインC13の右端に続いて右側壁13の前壁15側、且つ、下壁14側の角部K3へ向け、その僅かに手前まで延びる右側壁破断用ラインC3を有している。右側壁13はさらに側壁折れ曲がり変形補助ラインC30を有している。ラインC30は右側壁破断用ラインC3より側壁後端側(換言すれば後壁16側)の部分に側壁13と上壁11との境界ライン(換言すれば上壁11の右側端114)と並行に形成されている。
【0047】
包装箱1における上壁11の破断用ラインC11、C12、C13及び左右側壁12、13の破断用ラインC2、C3からなる、連続する破断用ラインは、切断線a1、a2、a3、a4、a5、a6と該切断線より短い点状破断用部b、b1、b2、b3を交互にライン状に配列して形成されている。ここで[切断線]とは壁構成材を表裏に貫通するように切断してなる線である。上壁11から側壁12(13)に続く切断線a4、a5はそれらの間に点状破断用部があってもよいが、本例では連続させてあり、それにより、全体として連続する破断用ラインC11、C12、C13、C2、C3が後述する袋加熱膨張でより確実に破断されるようにしてある。
側壁12,13の折れ曲がり変形補助ラインC20、C30は本例では2本の真っすぐな切断線を間隔をあけて配列したものである。
なお、破断用ラインC11、C12、C13、C2、C3のそれぞれは切断線をミシン目様に間隔を開けて配列した様なものでもよい。
【0048】
上壁11の破断用ラインC11、C12、C13と、左右側壁12、13の破断用ラインC2、C3と、前壁15と下壁14の境界ライン(換言すれば下壁14の前端141、図2も参照)で囲まれた部分で開封用部D(図1参照)が提供されている。
【0049】
この包装箱1は、図8に示す予め裁断された紙製の(主として紙で形成されている)平坦な箱原板10を折り曲げ、接着して形成されている。
箱原板10は図8に示す平坦な状態において次のように構成されている。すなわち、
中央及び左右の破断用ラインC11、C12、C13を含む上壁11、
上壁11の左側端113に続き、左側壁破断用ラインC2及び側壁折れ曲がり変形補助ラインC20を含む左側壁12、
上壁11の右側端114に続き、右側壁破断用ラインC3及び側壁折れ曲がり変形補助ラインC30を含む右側壁13、
左側壁12の左側端120に続く下壁14、
右側壁13の右側端130に続く糊代片17、
上壁11の前端111に続く第1前壁用片151、
下壁14の前端141に続く第2前壁用片152、
左右の側壁12、13の前端に続く前フラップ121、131、
上壁11の後端112に続く第1後壁用片161、
下壁14の後端142に続く第2後壁用片162及び
左右の側壁12、13の後端に続く後ろフラップ122,132を含んでいる。
【0050】
そして、糊代片17、右側壁13、上壁11、左側壁12及び下壁14が隣り合うものの境目で順次折り曲げられるとともに糊代片17の上に下壁14が重ねられてホットメルトグルーのような接着剤で接着される。
【0051】
さらに、前フラップ121、131がそれぞれ内側へ折り曲げられ、それらの上に、本例では第2及び第1の前壁用片152,151がこの順序で曲げ重ねられるとともに前壁用片152、151が前記と同様の接着剤で接着される。
【0052】
さらに、後ろフラップ122,132がそれぞれ内側へ折り曲げられ、それらの上に、本例では第2及び第1の後壁用片162,161がこの順序で曲げ重ねられるとともに後壁用片162,161が前記と同様の接着剤で接着され、最終的に食品密封収容袋包装箱1が形成される。
【0053】
前記開封用部Dをより安定構造化するために、前フラップ121、131とその上に重ねられる第2前壁用片152を接着してもよい。さらに、第2前壁用片152の前フラップ121、131に重なる部分に透孔を形成しておいて、その孔を通じて前フラップ121、131と第1前壁用片151を接着してもよい。
【0054】
後ろフラップ122、132とその上に重ねられる第2後壁用片162を接着してもよい。さらに、第2後壁用片162の後ろフラップ122、132に重なる部分に透孔を形成しておいて、その孔を通じて後ろフラップ122、132と第1後壁用片161を接着してもよい。
なお、前記糊代片17は下壁14に続けて形成されてもよく、また、下壁14が側壁13に続けて形成されるとともに糊代片17が側壁12又は下壁14に続けて形成されてもよい。
【0055】
以上説明した食品密封収容袋包装箱1によると、その組立て形成とともに内部に食品密封収容袋2を収容して食品密封収容袋包装体100を提供することができる。包装体100では、食品密封収容袋2は圧抜き部25のある前側部分が包装箱1の前壁15に向けられている。
【0056】
図9は食品密封収容袋包装体100を電子レンジ加熱するときの姿勢例を示している。図10は図9の包装体100を包装箱1の開いた開封部D側から見た斜視図である。
【0057】
食品密封収容袋包装箱1によると、内部に食品密封収容袋2を収容した状態で、開封することなく、中央及び左右の破断用ラインC11、C12、C13を有する上壁11を下向きにして電子レンジ内トレイTに載置し、加熱開始することができる。食品密封収容袋2内の食品Fが加熱され、それにより発生する蒸気圧で袋2が膨張してくる。
【0058】
この袋2の膨張により、図9に示すように、互いに対向している上壁11(電子レンジ内では下向きに配置されている上壁11)及び下壁14が上下方向に突っ張り力を受け、それにより上壁11及び下壁14が次第に箱外側へ向け上下に膨らむように変形し始める。それにより上壁11の中央及び左右の破断用ラインC11、C12、C13並びに該左右の破断用ラインに続く左右側壁12、13の破断用ラインC2、C3が破断され、前記開封用部D、すなわち上壁11の破断用ラインC11、C12、C13と、左右側壁の破断用ラインC2、C3と、前壁15と下壁14の境界ライン141で囲まれた開封用部Dが開く。
【0059】
そして、上壁11及び下壁14が上下方向に突っ張り力を受けて箱外側へ向け膨らむよう変形することで、特に、破断用ラインが形成されていない下壁14(電子レンジ内では上向きに配置されている下壁14)が上方向に箱外側へ向け膨らむよう変形することで、前記のように開かれた開封用部Dは開かれた状態に維持されやすくなり、前記電子レンジ内トレイTから立ち上がるかのような姿勢をとって、食品密封収容袋2を収容している箱部分110を相対的に傾斜姿勢へ持ち上げる。
【0060】
よって、包装箱1の組立て形成とともに内部に食品密封収容袋2を収容するにあたり、該袋2の圧抜き部25が包装箱1の前壁15側に向けられるように収容しておけば、上記のように袋2を収容している箱部分110が傾斜姿勢をとることで、圧抜き部25が高位置におかれ、圧抜き部25が袋内圧上昇により開封されても、そこから蒸気以外の袋内容物が漏出することは実用上差し支えない程度に抑制され、或いは防止される。
【0061】
このように包装箱1によると、食品密封収容袋2を収容したまま電子レンジ内に配置して該袋内食品Fを電子レンジ加熱することができ、その際、電子レンジ内への配置に先だって、換言すれば電子レンジ加熱に先だって開封しておく必要がなく、開封しないで電子レンジ内に配置して加熱開始でき、それでいて袋2の圧抜き部25からの蒸気以外の袋内容物の流出を実用上差し支えない程度に抑制でき、或いは防止できる。
【0062】
また、食品密封収容袋包装体100によると、食品密封収容袋包装箱として包装箱1を採用しているので、前記破断用ラインC11、C12、C13を有する上壁11を下向きにして電子レンジ内トレイTに載置し、加熱開始すると、食品密封収容袋2内の食品Fが加熱され、それにより発生する蒸気圧で袋2が膨張してくることで、前記開封用部Dが開き、食品密封収容袋2を収容している箱部分が傾斜姿勢におかれる。
【0063】
それにより、袋2の圧抜き部25が高位置におかれ、圧抜き部25が袋内圧上昇により開封されても、そこから蒸気以外の袋内容物が漏出することは実用上差し支えない程度に抑制され、或いは防止される。
【0064】
このように包装体100によると、包装箱1を開封することなく、そのまま電子レンジ内に配置して食品密封収容袋2内の食品Fを電子レンジ加熱開始でき、それでいて、袋2の圧抜き部25からの蒸気以外の袋内容物の流出を実用上差し支えない程度に抑制でき、或いは防止できる、
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を包装する食品密封収容袋包装箱及び前記食品密封収容袋を前記食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体並びに包装箱を形成するための箱原板を提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0066】
100 食品密封収容袋包装体
1 食品密封収容袋包装箱
10 箱原板
11 上壁
111 上壁前端
112 上壁後端
113 上壁左側端
114 上壁右側端
C11 上壁の中央破断用ライン
C12、C13 上壁の左右の破断用ライン
12 左側壁
K2 左側壁の角部
C2 左側壁の破断用ライン
C20 側壁折れ曲がり変形補助ライン
13 右側壁
K3 右側壁の角部
C3 右側壁の破断用ライン
C30 側壁折れ曲がり変形補助ライン
a1〜 a6 切断線
b、b1〜b3 点状破断用部
14 下壁
15 前壁
121、131 前フラップ
151,152 前壁用片
16 後壁
122、132 後ろフラップ
161,162 後壁用片
17 糊代片
2 食品密封収容袋
f フィルム
20 周辺部
21 前辺部
22 後辺部
23 側辺部
24 コーナ部位
25 圧抜き部
F 食品


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した、前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部を有する食品密封収容袋を包装するための食品密封収容袋包装箱であり、
上壁と、前記上壁の左側端に上端が続く左側壁と、前記上壁の右側端に上端が続く右側壁と、前記左右側壁の下端に続き、前記上壁に対向する下壁と、前記上壁及び下壁の前端に続く前壁及び後端に続く後壁を含んでいて前記左右側壁間距離及び前記前後壁間距離より前記上下壁間距離が短い扁平形状を呈しており、
前記上壁は、該上壁の前後端間の中間の部位、且つ、左右側端間の中間の部位に形成された、上壁後端側へ突出する山形状の中央破断用ライン、前記中央破断用ラインの左端から前記上壁の左側端の前記前壁寄りの部位へ傾斜して延びる左破断用ライン及び前記中央破断用ラインの右端から前記上壁の右側端の前記前壁寄りの部位へ傾斜して延びる右破断用ラインを有しており、
前記左側壁は、前記上壁の左破断用ラインの左端に続いて前記左側壁の前記前壁側且つ前記下壁側の角部へ延びる左側壁破断用ラインを有しており、
前記右側壁は、前記上壁の右破断用ラインの右端に続いて前記右側壁の前記前壁側且つ前記下壁側の角部へ延びる右側壁破断用ラインを有しており、
前記上壁の破断用ラインと、前記左右側壁の破断用ラインと、前記前壁と前記下壁の境界ラインで囲まれた開封用部であって、前記上下壁間に該上下壁間を押し広げようとする突っ張り力が加わることで前記各破断用ラインが破断されて開封される開封用部が形成されていることを特徴とする食品密封収容袋包装箱。
【請求項2】
前記上壁の破断用ライン及び前記左右側壁の破断用ラインからなる、連続する破断用ラインは、切断線と該切断線より短い点状破断用部を交互にライン状に配列して形成されている請求項1記載の食品密封収容袋包装箱。
【請求項3】
前記左右の各側壁の側壁破断用ラインより側壁後端側の部分に、該側壁と前記上壁との境界ラインと並行な側壁折れ曲がり変形補助ラインが形成されている請求項1又は2記載の食品密封収容袋包装箱。
【請求項4】
電子レンジ加熱可能な食品を密封収容した食品密封収容袋を食品密封収容袋包装箱に収容した食品密封収容袋包装体であり、
前記食品密封収容袋はマイクロ波透過可能なフィルムで形成され、内部に電子レンジ加熱可能な食品が収容されているとともに前辺部、該前辺部に対向する後辺部及び該前後辺部間に延びる左右側辺部を含む周辺部が密封されて扁平形状を呈しており、前記前辺部寄りの部位に前記食品の加熱による内圧上昇により開封される圧抜き部が形成されており、
前記食品密封収容袋包装箱は請求項1から3のいずれかに記載の包装箱であり、
前記食品密封収容袋は前記前辺部が前記包装箱の前壁側に向けられて該包装箱内に収容されていることを特徴とする食品密封収容袋包装体。
【請求項5】
請求項1記載の食品密封収容袋包装箱を形成するための、予め裁断された紙製の平坦な箱原板であり、平坦な状態において
前記中央及び左右の破断用ラインを含む前記上壁、
前記上壁の左側端に続き、前記左側壁破断用ラインを含む前記左側壁、
前記上壁の右側端に続き、前記右側壁破断用ラインを含む前記右側壁、
前記左側壁の左側端又は前記右側壁の右側端に続く前記下壁、
前記上壁の前端に続く第1の前壁用片、
前記下壁の前端に続く第2の前壁用片、
前記左右の各側壁の前端に続く前フラップ、
前記上壁の後端に続く第1の後壁用片、
前記下壁の後端に続く第2の後壁用片
前記左右の各側壁の後端に続く後ろフラップ及び
前記左右側壁のいずれか又は前記下壁に続く糊代片を含んでおり、
前記右側壁、前記上壁、前記左側壁、前記下壁及び前記糊代片を隣り合うものの境目で順次折り曲げるとともに前記糊代片を介して前記左右側壁のいずれかと前記下壁を接続し、前記前フラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該前フラップ上に前記第1及び第2の前壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の前壁用片を接着し、前記後ろフラップをそれぞれ内側へ折り曲げ、該後ろフラップ上に前記第1及び第2の後壁用片を曲げ重ねるとともに少なくとも該第1及び第2の後壁用片を接着して前記食品密封収容袋包装箱を形成することができることを特徴とする箱原板。
【請求項6】
前記上壁の破断用ライン及び左右側壁の破断用ラインからなる、連続する破断用ラインは、切断線と該切断線より短い点状破断用部を交互にライン状に配列して形成されている請求項5記載の箱原板。
【請求項7】
前記左右の各側壁の側壁破断用ラインより側壁後端側の部分に、該側壁と前記上壁との境界ラインと並行な側壁折れ曲がり変形補助ラインが形成されている請求項5又は6記載の箱原板。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−18501(P2013−18501A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151500(P2011−151500)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000206945)大塚食品株式会社 (17)
【Fターム(参考)】