説明

飲食物メニュー表

【課題】飲食物メニュー商品の電子的なデータを取り扱うシステムにおいて、非接触型ICモジュールを表出させることなく飲食物メニュー表に埋め込み、顧客が操作する読み取り機器で商品情報を読み取ることができるようにし、飲食物メニュー表の紙面上の美観を損なうことなくデザインやレイアウトを整えて目視での商品選択が容易に行なえるようにする。
【解決手段】表面に飲食物商品の品名、画像、価格などの情報が記載されている表示部3を複数有したシートからなるメニュー表であり、シート2の内部に、アンテナとこのアンテナに接続されたICチップとからなり非接触状態でデータの送受信が可能に設けられている非接触型ICモジュール5が表示部3それぞれに対応する位置にして埋設され、表示部3に表示された商品の情報からなるデータを、表示部3下の非接触型ICモジュール5に記録した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレストランや回転寿司店舗などにおいて顧客テーブル側から顧客自身が端末を操作して各種の飲食物の注文を行なえるようにした注文方法に利用できる飲食物メニュー表に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、製品に製品情報などのデータを表すバーコードを付与し、このバーコードを専用のバーコードリーダで読み取るようにすることにより製品情報の入力作業を省力化し、その製品の在庫管理や配送管理などを確実なものとする方法が提案され、実施されてきている。
また、一方、飲食店などにおいても顧客から受ける注文を電子的なデータとするため、商品とその商品に係る情報を示すバーコードとを並べて掲載した飲食物メニュー表があり、店員ばかりでなく顧客自体がその飲食物メニュー表のバーコードを専用のバーコードリーダに読み取らせ、読み取ったデータを所定部門に送信するなどの方法が各種提案されている(特許文献1、2参照)。
【特許文献1】特開平06−225006号公報
【特許文献2】特開2003−178124号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、一般的に、飲食物メニュー表にあっては顧客が商品情報を目視にて理解し易いように表現されている場合が多く、特にファミリーレストランなどの家族向け飲食店で用いるメニューでは、一商品情報を商品名と価格と商品画像などで構成しながらも、紙面上での商品情報の位置を工夫して見易くし、かつ、注文意欲をそそるように、美観に優れたデザインやレイアウトとしている。
しかしながら、上述したバーコードを利用する飲食物メニュー表では、印刷からなる黒の縞模様状のバーコードが商品情報の一部分に含まれ、紙面上の複数個所にこの黒の縞模様部分が配置されることになり、このバーコードを設けないものと比べると紙面のデザインが変わって美観が大きく損なわれてしまうという問題がある。すなわち、本来、光学的機械読み取り用に開発されたバーコードや二次元コードでは、人間の視覚には何ら意味の無い模様であり、デザイン的にはメニュー表の意匠性を損なうばかりでなく、レイアウト的にはメニューに関連する商品情報のスペースを制限してしまう。
そこで本発明は上記事情に鑑み、アンテナとICチップとからなり非接触状態でデータの送受信が可能な非接触型ICモジュールを表出させることなく飲食物メニュー表の基材部分などに埋め込み、顧客が操作する読み取り機器でその非接触型ICモジュールから商品情報を読み取ることができるようにすることを課題とし、飲食物メニュー商品の電子的なデータを取り扱うシステムにおいて、飲食物メニュー表の紙面上の美観を損なうことなくデザインやレイアウトを整えて目視での商品選択が容易に行なえるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を考慮してなされたもので、表面に飲食物商品の品名、画像、価格などの情報が記載されている表示部を複数有したシートからなるメニュー表であって、前記シートの内部に、アンテナとこのアンテナに接続されたICチップとからなり非接触状態でデータの送受信が可能に設けられている非接触型ICモジュールが表示部それぞれに対応する位置にして埋設され、表示部に表示された商品の情報からなるデータが、該表示部下の前記非接触型ICモジュールに記録されていることを特徴とする飲食物メニュー表を提供して、上記課題を解消するものである。
そして、本発明において、上記表示部の上面に透明で導電性のある保護層が設けられているものとすることが良好である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の請求項1記載の飲食物メニュー表によれば、非接触状態でデータの送受信が可能である非接触型ICモジュールがシートに埋設され、その非接触型ICモジュールが表示部の商品の情報からなるデータを有しているので、読み出し機器をその表示部に近接させたり当てたりすることでその商品のデータが読み出すことができる。そして、シート上の各表示部には商品の品名、画像、価格などの人が目視にて理解できる情報のみであればよく、各商品の情報が見易くなり、美観を損なうこともなく、実用性に優れた効果を奏するものである。
ただし、利用者がメニュー表から商品を選択する際、近接させて読み取らせる方式でも構わないが、好ましくは、所望の商品の表示部に当接させるのが良い。これは、利用者が非接触型リーダのセンサ部を他の表示部に誤って近接させ、別の商品を誤読させてしまう可能性があるからである。したがって、明確に表示部に当接させた場合にのみ読み取り可能にする構成が好ましい。
そこで、本発明の請求項2記載の飲食物メニュー表によれば、上記表示部の上面に透明で導電性のある保護層を設けたことにより、その保護層が導電性を有するものであるため、非接触型リーダは、当接時のみ、その保護層を介した導通状態の確保でデータの読み取り動作を行なわせるシステムとすることができ、飲食物メニュー表を取り扱う利用者が商品を選択するときに、その利用者に非接触型リーダを当接させる操作を意識させて、データの読み取り操作をより確実に行なわせることができる。また、保護層が透明であるが故に、その表示部の目視できる情報が損なわれないなどと言った効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
つぎに本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図中1は飲食物メニュー表で、該飲食物メニュー表1は図1に示すようにシート2の片面の複数の表示部3が印刷にて形成されていて、表示部3それぞれは商品の品名と商品の形態を表す写真や絵などの画像と商品の価格とからなる情報4を有してなるものであり、この情報4は人が目視して表示内容を理解できる形態に構成されている。また、前記シート3の内部に、非接触型ICモジュール5が表示部3それぞれに対応する位置にして埋設されている。例えば、図2に示されているようにシート2は、上紙6と下紙7とを、前記表示部3に対応する部分で空所8となるようにして接着剤9を介して接着してなるものであり、前記空所8に非接触型ICモジュール5を位置させ、非接触型ICモジュール5自体が外部に表出しないように埋設した状態としている。
このように飲食物メニュー表1では非接触型モジュール5を内部に有しているものであるため、RFID(Radio Frequency IDentification) と称される無線通信での電子データの交信を行なって個別識別を実施できる機能を有しているものとなっている。なお、図1では前記空所8の位置のみを破線で示しており、説明を容易にするためにこの図1では前記非接触型ICモジュール5を示していない。
【0007】
非接触型ICモジュール5は、上記空所8における上紙6の裏面に形成されたアンテナ10に、このアンテナ10の端部の間に跨るようにしてバンプ11を介してICチップ12を実装し、上述したように非接触状態でデータ(電子データ)の送受信が可能に設けられているものである。このアンテナ10は、通常、カーボンや黒鉛、銀粉やアルミ粉、あるいはこれらの混合体をインキビヒクルに分散してなる導電性インキを使用するため、メニュー表の表示部印刷などと同様に、オフセット印刷やグラビア印刷などにて形成でき、また、近接時あるいは当接時のアンテナ部とセンサ部との読み取り距離や読み取り領域を鑑みながら、その形状(直線状、渦巻き状、羽状などのアンテナパターン)やサイズ(長さ、面積など)が調整されている。前記ICチップ12はデータの読み書き(データ呼び出し・登録・削除・更新など)が可能とされ、この非接触型ICモジュール5から後述の非接触型リーダ(データ読み取り端末)によりデータを読み出すことができるように設けられている。前記ICチップ12自体も接着剤9で上紙6に対して接着固定されている。なお、このICチップ12の接着固定に用いられる接着剤9は上下紙を貼り合わせる接着剤9と同じ素材である必要はない。特に、バンプ11とアンテナ10とは、異方導電性接着剤を介して接着することにより、ICチップ12へは垂直方向にのみ導通した接続が得られる。本発明においては表示部3の下に埋め込まれている非接触型ICモジュール5には、その表示部3で示している商品の情報4がデータ(電子データ)として記録されていて、前記非接触型リーダを用いることでその表示部3の商品に係るデータを読み取ることができる。
なお、RFIDにおいて非接触でデータ交信をする場合、近接読み取り方式では、必ず非接触型ICモジュールとデータ読み取り端末とが所定間隔(空中誤読防止のため、好ましくは10mm以内)を保持しているが、本発明において非接触型リーダが読み取り対象物、即ち本飲食物メニュー表に当接している場合でも、シートの厚みとRFIDリーダにおけるセンサ部の取り付け位置の調整などにより、センサ部とアンテナ部とは所定間隔を保持するように構成されている。
【0008】
図3は、この本発明の飲食物メニュー表1の各表示部3からその表示部3に示されている商品の情報を読み取る非接触型リーダ13の一例を示している。図示されているようにこの非接触型リーダ13は先端に突没可能に設けられた押圧スイッチ14がオンオフ制御回路15を介してセンサ部16に接続されていて、前記押圧スイッチ14が没するように先端を飲食物メニュー表1に当接させることでその押圧スイッチ14が閉じ、この押圧スイッチ14の閉時にセンサ部16が動作するように設けられている。そのため、非接触型リーダ13の先端を表示部3に当接させることで、その表示部3で表現されている商品の情報が表示部3の下の非接触型ICモジュール5から非接触型リーダ13が読み取るように設けられている。なお、非接触型リーダ13の読み取り範囲は限定されており、一つの表示部3に当接しているときに隣接の表示部3側のデータを読み取ることがないよう、読み取り領域が設定されており、この設定は、一の表示部と隣接する他の表示部との間隔を鑑みながら、上述したアンテナの形状およびサイズの調整によって成される。さらに、表示部それぞれに対応するICモジュールは必ずしも一つに限らず、同じ情報が記録された複数のICモジュールを連設させて、所定の読み取り領域を設定してもよい。
このようにして非接触型リーダ13が読み取ったデータは、有線、または無線にて図示しない制御部に送信され、データの処理がなされる。非接触型リーダ13はデータが記録されている上記ICチップに電気的接続を行なうことなくデータの読み取りを行なっており、表示部に当接させてはいるが、上述したように非接触であることに変わりはない。
【0009】
図4は他の例を示していて、表示部3の表面に透明で導電性のある保護層17を設けており、表示部3の上面に非接触型リーダ13が当接することによるその表示部3の損傷を防止するようにしているものである。さらに、この例では保護層17を、導電性のあるものとしているため、図5に示すように非接触型リーダ13を、先端に対の導通端子18を突出させてこれらをオンオフ制御回路15に接続して導通端子18の両者を共に保護層17に当接したときにオンオフ制御回路15が閉じ、オンオフ制御回路15が閉時となっている状態でセンサ部16が動作して、非接触型ICモジュール5からデータを読み取るようにしているものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る飲食物メニュー表の一例を示す説明図である。
【図2】一例を断面で示す説明図である。
【図3】非接触型リーダの一例の構成を概略的に示す説明図である。
【図4】他の例を断面で示す説明図である。
【図5】非接触型リーダの他の例の構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
【0011】
1…飲食物メニュー表
2…シート
3…表示部
4…情報
5…非接触型ICモジュール
6…上紙
7…下紙
8…空所
9…接着剤
10…アンテナ
11…バンプ
12…ICチップ
13…非接触型リーダ
14…押圧スイッチ
15…オンオフ制御回路
16…センサ部
17…保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に飲食物商品の品名、画像、価格などの情報が記載されている表示部を複数有したシートからなるメニュー表であって、前記シートの内部に、アンテナとこのアンテナに接続されたICチップとからなり非接触状態でデータの送受信が可能に設けられている非接触型ICモジュールが表示部それぞれに対応する位置にして埋設され、表示部に表示された商品の情報からなるデータが、該表示部下の前記非接触型ICモジュールに記録されていることを特徴とする飲食物メニュー表。
【請求項2】
上記表示部の上面に透明で導電性のある保護層が設けられている請求項1に記載の飲食物メニュー表。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−21183(P2008−21183A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−193252(P2006−193252)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】