説明

香料組成物

【課題】各種製品類に刺激感、特異臭、苦味などを与えることなく、清涼感、冷涼感を付与することができると共に、香質改善効果も図られた香料組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)で表される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは刺激感、特異臭、苦味などがなく、清涼感や冷涼感の持続性に優れるとともに、香料組成物の香り立ち、残香性を高めることができる。この化合物を含有する香料組成物を飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品に添加含有させることにより、これら各種製品類に清涼感、冷涼感を付与することができる。なお、上記化合物を温感剤組成物に添加することにより、温感剤組成物の温感効果を増強することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを含有する香料組成物、好ましくは冷感効果を有する香料組成物に関する。さらに、本発明は、この香料組成物が配合された、飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒトの皮膚や口腔、鼻、喉に対して清涼感(冷感)を与える物質、いわゆる冷感剤は、歯磨剤、菓子(例えば、チューインガム、キャンディー等)、たばこ、パップ剤、入浴剤、化粧料などの各種製品に使用されている。代表的な冷感剤として知られるl−メントールは、清涼感や冷感を与える香料化合物として広く使用されているが、その冷感効果は持続性に欠け、また、使用量を多くすると冷感効果が増強される反面、苦味を伴うことがあるという欠点がある。
【0003】
l−メントール以外の冷感効果を有する化合物に関する提案も従来から数多くなされており、これら化合物としては、例えば、3−置換−p−メンタン(特許文献1)、N−置換−p−メンタン−3−カルボキサミド(特許文献2)、l−メンチルグルコシド(特許文献3)、3−(l−メントキシ)プロパン−1,2−ジオール(特許文献4)、l−メンチル−3−ヒドロキシブチレート(特許文献5)、l−アルコキシ−3−(l−メントキシ)プロパン−2−オール(特許文献6)、3−ヒドロキシメチル−p−メンタンのエステル類(特許文献7)、N−アセチルグリシンメンタンメチルエステル(特許文献8)、(−)−イソプレゴール(特許文献9)、(2S)−3−{(1R,2S,5R)−[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]オキシ}−1,2−プロパンジオール(特許文献10)、2−ヒドロキシメチルメントール(特許文献11)などが挙げられる。
【0004】
【特許文献1】特開昭47−16647号公報
【特許文献2】特開昭47−16648号公報
【特許文献3】特開昭48−33069号公報
【特許文献4】特開昭58−88334号公報
【特許文献5】特開昭61−194049号公報
【特許文献6】特開平2−290827号公報
【特許文献7】特開平5−255186号公報
【特許文献8】特開平5−255217号公報
【特許文献9】特開平6−65023号公報
【特許文献10】特開平7−82200号公報
【特許文献11】特開平7−118119号公報
【0005】
一方、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは、いくつかの方法によって合成され、医薬中間体や香料の合成中間体として重要であることが既に報告されている(例えば、特許文献12)。しかし、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンに関し香調確認等がなされたことの報告はなく、従って1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンの香料としての用途は知られていない。さらに、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンについて、冷感効果などの感覚刺激効果等の検証に関する報告もない。
【特許文献12】米国特許公開2003−149299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、冷感効果を有する化合物は種々提案されているが、これらの化合物はそれなりの冷感効果を有するものの、冷感強度、冷感効果の持続性、特異臭、苦味などの少なくともいずれかの点で十分満足できるものではなく、これら冷感効果を有する化合物を含む香料組成物においても同様の問題があった。また、従来冷感剤を温感剤組成物に添加することにより温感効果が増強された温感剤組成物を得ることもなされているが、この場合にも冷感剤に基づく特異臭、苦味がなく、温感効果に優れた温感剤組成物を含有する香料組成物も求められている。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記問題点を有さない、すなわち添加、含有された冷感剤に基づく刺激感、特異臭、苦味などがなく、冷感効果を得ることを目的とする場合、冷感効果が強く、また清涼感や冷涼感の持続性に優れる香料組成物、さらには冷感効果が強く、また清涼感や冷涼感の持続性に優れるとともに、香料組成物の香り立ち、残香性も高められた香料組成物により製品類に高い香質改善効果が付与される香料組成物を提供することである。
また、本発明の目的は、これら香料組成物を配合した清涼感や冷涼感効果およびその持続性にすぐれた、さらには香質改善効果が付与された飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品およびその製造方法を提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、冷感剤の添加により温感効果が高められた香料組成物、さらには温感効果の向上と共に、香料組成物の香り立ち、残香性が高められた香料組成物を提供することである。
また本発明の目的は、温感効果の向上された、さらには該香料組成物により製品類に高い香質改善効果が付与される香料組成物を提供することである。
さらに、本発明の目的は、温感効果の向上された、さらには製品類に高い香質改善効果が付与される香料組成物を配合した飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品およびその製造方法を提供することである。
【0009】
なお、本発明について他の観点から見る場合、本発明の目的は、上記目的の他、刺激感、特異臭、苦味などがなく、清涼感や冷涼感の強さ、持続性に優れた冷感剤組成物を提供すること、冷感剤組成物により温感効果が増強された温感剤組成物を提供すること、およびこれら冷感剤組成物あるいは温感剤組成物が配合された感覚刺激剤組成物を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記の課題を解決すべくl−メントール類から誘導される各種の化合物の冷感効果について鋭意検討したところ、下記式(1)で表される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンが、冷感効果が強く、さらにその持続性に優れ、しかも刺激感、特異臭、苦味などの問題もなく冷感剤として有用であること、また、l−メントールが冷感剤として用いられる場合、l−メントールの有する刺激臭を緩和することができること、さらに他の冷感物質との組み合わせにより冷感効果が増強されること、温感剤組成物に添加した場合温感効果の向上が見られること、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンが配合された香料組成物においては、持続性に優れた冷感効果が付与される共に、香料組成物の香り立ち、残香性が高められ、該香料組成物を賦香してなる製品類にも高い香質改善効果が付与されるという知見を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は次のとおりである。
1.式(1):
【0012】
【化3】

で表される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを含有することを特徴とする香料組成物。
【0013】
2.上記式(1)で表される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンが、下記式(1−a)で表される(1R,2R,4R)−体化合物であることを特徴とする上記1記載の香料組成物。
【0014】
【化4】

【0015】
3.香料組成物が冷感効果を有することを特徴とする上記1又は2記載の香料組成物。
【0016】
4.上記式(1)で表される化合物に含まれない冷感物質の少なくとも1種を更に含有することを特徴とする上記1乃至3のいずれかに記載の香料組成物。
【0017】
5.式(1)で表される化合物に含まれない冷感物質が、メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−l−メントキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−l−メントキシエタン−1−オール、3−l−メントキシプロパン−1−オール、4−l−メントキシブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、2−(2−l−メンチルオキシエチル)エタノール、グリオキシル酸メンチル、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、2−ピロリドン−5−カルボン酸メンチル、コハク酸モノメンチル、コハク酸モノメンチルのアルカリ金属塩およびコハク酸モノメンチルのアルカリ土類金属塩であることを特徴とする上記4に記載の香料組成物。
【0018】
6.温感物質の少なくとも1種を更に含有することを特徴とする上記1乃至5のいずれかに記載の香料組成物。
【0019】
7.温感物質が、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン、ジンゲロール、バニリルブチルエーテル、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、4−(l−メントキシメチル)−2−フェニル−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(2’−ヒドロキシ−3’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシ−メチル)−2−(4’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メトキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド、ジャンブーオレオレジン、サンショウエキス、サンショール−I、サンショール−II、サンショウアミド、黒胡椒エキス、カビシン、ピペリンおよびスピラントールであることを特徴とする上記6に記載の香料組成物。
【0020】
8.上記1乃至7のいずれかに記載の香料組成物が、0.0001〜20質量%配合されてなることを特徴とする、飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品。
【0021】
9.上記1乃至7のいずれかに記載の香料組成物を、飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品に添加することを特徴とする飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品の製造方法。
【発明の効果】
【0022】
本発明の香料組成物において用いられる1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは、刺激感、特異臭、苦味などがなく、各種の飲食品、化粧品、トイレタリー製品、入浴剤、医薬品などに配合することにより、これらの製品に清涼感や冷涼感を付与することができ、かつその持続性に優れた製品を提供できる。また、本発明の香料組成物に用いられる、あるいは飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物、医薬品などに配合される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは、人体に対して好ましくない皮膚刺激感をほとんど生じないという優れた特性を発揮し、保存中にも着色せず安定性に優れている。さらに、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンが配合された香料組成物は、清涼感や冷涼感の持続性に優れるとともに、香料組成物の香り立ち、残香性が高められ、該香料組成物を賦香してなる製品類にも高い香質改善効果が付与される。例えば、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノン、特に(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは、甘さを伴うアセトフェノン的な香気を有するものである。製品類に対する香質改善効果の一例としては、例えば、(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンをピーチフレーバーに加えることにより、ソフトな甘さを付与することができ、ピーチのマイルド感が再現でき、また緑茶フレーバーに加えることにより、柔らかな熟成感を付与することができ、より緑茶の馥郁感を再現でき、紅茶フレーバーに加えることにより、ソフトな甘さを付与することができより紅茶のマイルド感を再現できるものである。さらに、たばこに附香することにより、煙に軽さがでるとともに、たばこ用の香味が付与、強調される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明について、更に詳細に説明する。
本発明の香料組成物において用いられる前記式(1)で示される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは、ラセミ体であってもよいし、光学活性体であってもよい。好ましい光学活性体としては、(1R,2R,4R)−体、すなわち上記式(1−a)で示される化合物が挙げられる。
【0024】
本発明の式(1)の1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは、既に述べたように公知の化合物であり、例えば、市販品のイソプレゴールを、オゾン酸化することにより製造することができる。なお、この方法によれば、式(1−a)で示される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンの(1R,2R,4R)−体が得られる。
【0025】
このようにして得ることができる本発明の式(1)の1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンあるいは式(1−a)の(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは、強く、持続性のある冷感効果を有する化合物であり、そのまま単独で冷感剤組成物として利用することができる。
【0026】
本発明により得られる1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは、製品の種類、使用目的などにより、その適用範囲や適用方法を適宜変える必要があるが、香料組成物に対しては、通常全組成の0.0001〜90質量%配合されることが好ましく、また飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物、医薬品などの製品に対しては、全組成の約1×10-7質量%以上、通常、0.0001乃至20質量%、特に0.001乃至5質量%配合されることが好ましい。
【0027】
また、本発明においては、式(1)の1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンに含まれない冷感物質から選ばれる1種以上の成分を、式(1)の1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンと併用することにより、冷感強度を高めた冷感剤組成物を調製することが出来る。
【0028】
式(1)の1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンに含まれない冷感物質としては、従来公知あるいは周知の冷感物質を含め冷感効果を有する物質であればよく特に限定されるものではないが、例えば、メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−l−メントキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−l−メントキシエタン−1−オール、3−l−メントキシプロパン−1−オール、4−l−メントキシブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、2−(2−l−メンチルオキシエチル)エタノール、グリオキシル酸メンチル、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、2−ピロリドン−5−カルボン酸メンチル、コハク酸モノメンチル、コハク酸モノメンチルのアルカリ金属塩およびコハク酸モノメンチルのアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。これらは一種または二種以上を適宜配合して用いることができる。これら他の冷感物質としてl−メントールが用いられる場合、上記のとおり冷感効果が増強されることに加え、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンの使用により、l−メントールの有する刺激臭を緩和することができるため、この使用態様は好ましい態様の一つある。
【0029】
本発明においては、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンとこれに含まれない冷感物質とは、本発明の効果を損なわない範囲において任意の割合で用いることができるが、通常、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンとこれに含まれない冷感物質とが質量比で1:99〜70:30の範囲であることが好ましい。
【0030】
また、本発明においては、上述した冷感剤組成物は、強い、持続性のある冷感効果を有していることから、この冷感剤組成物を含有させることにより、冷感効果を有する感覚刺激剤組成物を調製することが出来る。
【0031】
冷感効果を有する感覚刺激剤組成物を調整する場合において、冷感剤組成物の配合量は、製品の種類、使用目的などにより、その適用範囲や適用方法を適宜変える必要があるが、通常、感覚刺激組成物の全組成に対して0.0001乃至20質量%、特に0.001乃至5質量%の濃度で用いるのが好ましい。
【0032】
本発明における1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンからなるあるいは1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンが配合された冷感剤組成物は、温感物質を併用することにより、冷感効果の増強された冷感剤組成物または感覚刺激剤組成物あるいは温感効果の増強された温感剤組成物または感覚刺激剤組成物を調整することができる。
【0033】
温感物質としては、従来公知あるいは周知の温感物質を含め冷感効果を有する物質であればよく特に限定されるものではないが、例えば、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン、ジンゲロール、バニリルブチルエーテル、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、4−(l−メントキシメチル)−2−フェニル−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(2’−ヒドロキシ−3’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシ−メチル)−2−(4’メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メトキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド、ジャンブーオレオレジン、サンショウエキス、サンショール−I、サンショール−II、サンショウアミド、黒胡椒エキス、カビシン、ピペリンおよびスピラントール等を挙げることができる。これらは一種または二種以上を適宜配合して用いることができる。
【0034】
温感物質と冷感物質と配合比は、冷感効果を目的とする場合においては、温感物質は温感物質の配合により温感効果が付与されない範囲であればよく、通常、本発明における冷感剤組成物の総量に対して、0.001〜0.95倍量、好ましくは0.01〜0.5倍量の配合量とされる。この場合、冷感剤組成物に上記割合で温感物質が添加されることにより、冷感効果の更なる向上が見られ、冷感効果が増大する。
【0035】
また、温感効果を目的とする場合においては、本発明における冷感剤組成物の使用割合は、冷感剤組成物の配合により冷感効果が付与されない範囲であればよく、通常、温感物質の総量に対して、0.001〜0.95倍量、好ましくは0.01〜0.5倍量の配合量とされる。
【0036】
本発明の香料組成物は、上記式(1)で表される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを含有することを特徴とするものであり、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを含む限り、どのような組成であっても、あるいはどのような配合方法によって製造されたものでもよい。例えば、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンは、香料組成物を構成する他の成分との直接の混合、調整によってもよいし、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを構成成分として含む冷感剤組成物とし、その後香料組成物を構成する他の成分と混合、調整されてもよい。さらに、温感剤組成物あるいは感覚刺激剤組成物とされた後、香料組成物を構成する他の成分と混合、調整されてもよい。また、これら1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンからなる冷感剤組成物、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを含む冷感剤組成物、温感剤組成物、感覚刺激剤組成物は、香料成分を予め混合してベース香料組成物を形成した後、この形成されたベース香料組成物に配合されてもよい。
【0037】
本発明の香料組成物において、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンからなる冷感剤組成物、1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを含む冷感剤組成物、温感剤組成物、あるいは感覚刺激剤組成物と共に含有される他の香料成分としては、各種の合成香料、天然精油、合成精油、柑橘油、動物性香料などが挙げられ、例えば非特許文献1に記載されているような広範な種類の香料成分のなかから目的の香料組成物を構成するに適した香料成分を適宜選択すればよい。これら香料成分の代表的なものとしては、例えば、α−ピネン、リモネン、cis−3−ヘキセノール、フェニルエチルアルコール、スチラリルアセテート、オイゲノール、ジヒドロジャスモン酸メチル、ローズオキサイド、リナロール、ベンズアルデヒド、ムスコン、ムスクT(高砂香料工業株式会社)、テサロン(高砂香料工業株式会社)、オレンジオイル、カプシカムオレオレジン、バニラエキストラクト、酢酸イソアミル、酪酸エチル、2−メチル酪酸エチル、カプロン酸エチル、カプロン酸アリル、γ−デカラクトン、バニリンなどが挙げられる。
【非特許文献1】周知・慣用技術集(香料)第I部、平成11年1月29日、特許庁発行
【0038】
本発明の香料組成物における1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを含む冷感剤組成物、温感剤組成物、感覚刺激剤組成物の含有量は、一緒に調合する香料やその他の成分の種類、冷感効果を製品に与えるか、温感効果を製品に与えるかなどその使用態様や使用目的など種々の条件により異なるものであるが、目的とする効果が達成できる範囲内であればどのような量でもよく、例えば、香粧品用の香料組成物では、一般に、香料組成物の全質量中の含有量が0.001〜50質量%、特に0.01〜20質量%であることが好ましい。また、飲食品用の香料組成物では、一般に、香料組成物の全質量中の含有量が0.0001〜50質量%であることが好ましく、0.001〜30質量%であることがより好ましい。
【0039】
本発明の香料組成物は、必要に応じて、香料組成物において通常使用されている他の香料保留剤の1種または2種以上を含有していてもよい。その場合の他の香料保留剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、中鎖脂肪酸ジグリセライド、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、3−l−メントキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、などを挙げることができ、これらの1種または2種以上を含有することができる。
【0040】
本発明においては、冷感剤組成物、温感剤組成物、感覚刺激剤組成物は、各組成物単独で、またはこれらいずれかを含有する香料組成物として、各種製品に対して冷感、温感、感覚刺激を付与するために用いられる。本発明の香料組成物、あるいは冷感剤組成物、温感剤組成物、感覚刺激剤組成物によって冷感、温感、あるいは冷感または温感を伴う感覚刺激を付与することのできる製品としては、例えば、飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物および医薬品を挙げることができる。
【0041】
また、本発明の香料組成物あるいは冷感剤組成物、温感剤組成物、感覚刺激剤組成物などにより冷感、温感あるいは冷感又は温感を伴う感覚刺激を付与することのできる飲食品の具体例としては、これにより何ら限定されるものではないが、例えば、果汁飲料類、果実酒類、乳飲料類、炭酸飲料、清涼飲料、ドリンク剤類の如き飲料類;アイスクリーム類、シャーベット類、アイスキャンディー類の如き冷菓類;ゼリー、プリンなどのデザート類;ケーキ、クッキー、チョコレート、チューインガムなどの洋菓子類;饅頭、羊羹、ウイロウなどの和菓子類;ジャム類;キャンディー類;パン類;緑茶、ウーロン茶、紅茶、柿の葉茶、カミツレ茶、クマザサ茶、桑茶、ドクダミ茶、プアール茶、マテ茶、ルイボス茶、ギムネマ茶、グアバ茶、コーヒー、ココアの如き茶飲料または嗜好飲料類;和風スープ、洋風スープ、中華スープの如きスープ類;風味調味料;各種インスタント飲料乃至食品類;各種スナック食品類;口腔用品などを挙げることができる。
【0042】
また、本発明の香料組成物あるいは冷感剤組成物、温感剤組成物、感覚刺激剤組成物などにより香気付けすることのできる香粧品または日用・雑貨品としては、例えば、フレグランス製品、基礎化粧品、仕上げ化粧品、頭髪化粧品、日焼け化粧品、薬用化粧品、ヘアケア製品、石鹸、身体洗浄剤、浴用剤、洗剤、柔軟仕上げ剤、洗浄剤、台所用洗剤、漂白剤、エアゾール剤、消臭・芳香剤、忌避剤、たばこ、その他の雑貨類などを挙げることができる。
【0043】
より具体的には、
・フレグランス製品としては、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロンなど;
・基礎化粧品としては、洗顔クリーム、バニシングクリーム、クレンジングクリーム、コールドクリーム、マッサージクリーム、乳液、化粧水、美容液、パック、メイク落としなど;
・仕上げ化粧品としては、ファンデーション、粉おしろい、固形おしろい、タルカムパウダー、口紅、リップクリーム、頬紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、アイパック、ネイルエナメル、エナメルリムバーなど;
・頭髪化粧品としては、ポマード、ブリランチン、セットローション、ヘアーステック、ヘアーソリッド、ヘアーオイル、ヘアートリートメント、ヘアークリーム、ヘアートニック、ヘアーリキッド、ヘアースプレー、バンドリン、養毛剤、染毛剤など;
を挙げることができる。
【0044】
・日焼け化粧品としては、サンタン製品、サンスクリーン製品など;
・薬用化粧品としては、制汗剤、アフターシェービングローション及びジェル、パーマネントウェーブ剤、薬用石鹸、薬用シャンプー、薬用皮膚化粧料など;
を挙げることができ
【0045】
・ヘアケア製品としては、シャンプー、リンス、リンスインシャンプー、コンディショナー、トリートメント、ヘアパックなど;
・石鹸としては、化粧石鹸、浴用石鹸、香水石鹸、透明石鹸、合成石鹸など;
・身体洗浄剤としては、ボディソープ、ボディシャンプー、ハンドソープなど;
・浴用剤としては、入浴剤(バスソルト、バスタブレット、バスリキッド等)、フォームバス(バブルバス等)、バスオイル(バスパフューム、バスカプセル等)、ミルクバス、バスジェリー、バスキューブなど;
・洗剤としては、衣料用重質洗剤、衣料用軽質洗剤、液体洗剤、洗濯石鹸、コンパクト洗剤、粉石鹸など;
を挙げることができる。
【0046】
・柔軟仕上げ剤としては、ソフナー、ファーニチアケアーなど;
・洗浄剤としては、クレンザー、ハウスクリーナー、トイレ洗浄剤、浴室用洗浄剤、ガラスクリーナー、カビ取り剤、排水管用洗浄剤など;
・台所用洗剤としては、台所用石鹸、台所用合成石鹸、食器用洗剤など;
・漂白剤としては、酸化型漂白剤(塩素系漂白剤、酸素系漂白剤等)、還元型漂白剤(硫黄系漂白剤等)、光学的漂白剤など;
・エアゾール剤としては、スプレータイプ、パウダースプレーなど;
・消臭・芳香剤としては、固形状タイプ、ゲル状タイプ、リキッドタイプなど;
・雑貨としては、ティッシュペーパー、トイレットペーパーなど;
を挙げることができる。
【0047】
また、口腔用組成物としては、例えば、歯磨剤、口腔洗浄料、マウスウオッシュ、トローチ、チューインガム類など、医薬品類としては、パップ剤、軟膏剤の如き皮膚外用剤、内服剤など、を挙げることができる。
【0048】
本発明において冷感剤組成物、温感剤組成物、感覚刺激剤組成物、これらを含有する香料組成物を上記したような各種の製品の冷感、温感あるいは感覚刺激の付与に用いる場合は、これら冷感、温感あるいは感覚刺激を付与する製品の種類や製品の最終形態(例えば液体状、固体状、粉末状、ゲル状、ミスト状、エアゾール状などの製品形態)に応じて、各組成物を、直接製品に添加または付与してもよいし;例えば、アルコール類、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコール類に溶解して液体状にして添加または付与してもよいし;アラビアガム、トラガントガムなどの天然ガム質類、界面活性剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤など)を用いて可溶化或いは乳化分散させた可溶化状或いは分散状にして添加または付与してもよいし;アラビアガム等の天然ガム質類、ゼラチン、デキストリンなどの賦形剤を用いて被膜形成した粉末状で添加または付与してもよいし;カプセル化剤で処理してマイクロカプセルにして添加または付与してもよい。さらに、サイクロデキストリンなどの包接剤に包接して、組成物を安定化すると共に徐放性にして用いてもよい。
【0049】
冷感、温感あるいは感覚刺激付けを行う際の製品への冷感剤組成物、温感剤組成物、感覚刺激剤組成物、あるいは香料組成物の添加量又は付与量は、製品の種類や形態、製品に求められる冷感、温感、感覚刺激付け効果や作用などに応じて調整することができる。例えば、本発明の香料組成物の添加量又は付与量は、一般的には製品の質量に対して、約1×10-7〜0.1質量%程度であることが好ましく、1×10-6〜0.01質量%であることがより好ましい。また、冷感剤組成物、温感剤組成物、感覚刺激剤組成物の添加量又は付与量も、香料組成物の添加量又は付与量とほぼ同量とすればよい。
【実施例】
【0050】
以下、本発明を合成例、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらにより何ら限定されるものでなく、また、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変化させてもよい。
なお、合成例、実施例中での生成物の測定に用いた機器装置類を以下に示す。
【0051】
融点:MP−S3型(柳本商事株式会社)
核磁気共鳴スペクトル:H−NMR:AM−400(400MHz)(ブルッカー社製)
外部標準物質:テトラメチルシラン
赤外線吸収スペクトル(IR):AVATAR 360FT−IR(ニコレ−社製)
質量スペクトル(MS):GCMS−QP2010質量分析計(島津製作所(株)製)
【0052】
合成例1[(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンの合成]
イソプレゴール70.0g(453.8mmol)とメタノール140mlを500mlの反応容器に仕込み、液温を15〜23℃に保ちながら酸素気流中で無声放電により生成させたオゾンを室温下で吹き込んだ。10時間後にガスクロマトグラムにて原料であるイソプレゴールの消失が確認された。得られた反応溶液を氷冷下、過剰量の亜硫酸ナトリウム水溶液中に30℃以下で加え、その後、2時間攪拌した。この溶液をトルエンで抽出し、得られたトルエン溶液を希塩酸水、炭酸ナトリウム溶液、塩化アンモニウム溶液、食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧下で留去した。得られた混合物にヘプタン350mlを加え、晶析を行い、得られた結晶を冷ヘプタン50mlで洗浄後、減圧乾燥し、標題化合物を無色針状晶として53.08g(収率74.9%)得た。
融点:46〜46.5℃
【0053】
H−NMR(500MHz,CDCl3,δ)ppm:0.92(d,J=7.9Hz,3H),0.88〜1.04(m,2H),1.22〜1.33(m,1H),1.40〜1.54(m,1H),1,68〜1.76(m、1H),1.93〜2.03(m,2H),2.20(s,3H),2.30(dt、J=3.8Hz、J=11.2Hz,1H),2.71(d,J=3.8Hz,1H),4,77〜4.87(m,1H)
IR(KBr)cm-1:3346,3279,2996,2961,2948,2922,2867,2848,2707,1471,1420,1370,1352,1315,1305,1268,1249,1179,1132,1093,1053,1018,960,944,844
MS(m/e):156(M+),138,123,110,95,81,71,67,55,43,41,37
【0054】
実施例1(官能評価)
合成例1で得られた(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンについて、7人の専門パネラーにより水溶液での口中評価を行った。
香気:甘さを伴うアセトフェノン的な香気を有する。
水溶液での清涼感:50ppmの濃度でメントール10ppmと同等の清涼感を有する。清涼感の出現は比較的速く、異味のないクリアーな清涼性を有する。
【0055】
実施例2(メントールとの相乗効果)
l−メントールと合成例1で得られた(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンとを100:0〜0:100の割合で混合し、清涼性の相乗効果について検討した。
その結果、l−メントール:(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノン=70:30の割合で混合した場合において、メントール単独で用いた場合に比べて約40%の清涼性の向上が見られた。
【0056】
実施例1及び実施例2から明らかなように、単体での評価、メントールとの併用における評価ともに非常に良好である。
【0057】
実施例3(ボディシャンプー)
上記合成例1で得た(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノン35部とシトラスハーバル調の調合香料(高砂香料工業株式会社製)65部とから香料組成物を得、これを用いて下記処方に従い、ボディシャンプーを得た。配合量は重量部である。
20〜40歳の一般パネラー10名に、得られたボディシャンプー5gを用いて体を洗ってもらい、冷感効果および冷感の持続感を評価してもらった。その結果、10名全員が、このものは、冷感を有しかつ冷感効果を持続したと回答した。
【0058】
<ボディシャンプー処方>
(成 分) (配合量)
トリエタノールアミン 9.00
ラウリン酸 6.00
ミルスチン酸 9.00
ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル
二ナトリウム(1E.O.)(42%) 10.00
アルキル(C8〜16)グルコキシド 8.00
ラウリン酸グリセリル 1.00
ジステアリン酸2−ヒドロキシエチル 2.50
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.00
プロピレングリコール 5.00
ジブチルヒドロキシトルエン 0.05
エデト酸ニナトリウム 0.10
パラオキシ安息香酸エチル 0.20
パラオキシ安息香酸メチル 0.10
香料組成物 0.95
精製水 残部
合 計 100.00
【0059】
実施例4(香料組成物)
下記処方(配合量は質量部)に従い、常法により実施例4の香料組成物を調整した。
【0060】
<香料組成物処方>
(成 分) (配合量)
アップルベース(高砂香料工業株式会社製) 8.0
ベルガモットオイル 14.0
アセト酢酸エチル 5.0
ジヒドロジャスモン酸メチル 23.0
ラウリナール 3.0
レボサンドール(高砂香料工業株式会社製) 4.0
オレンジオイル 8.0
10−オキサ−16−ヘキサデカノライド 8.0
フェノキサノール(IFF社製) 6.0
スチラリルアセテート 3.0
テサロン(高砂香料工業株式会社製) 8.0
(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−
メチルシクロヘキシル)エタノン 30.0
【0061】
実施例5(シャンプー)
下記処方に従い、上記実施例4の香料組成物を1.0%賦香した実施例5のシャンプー各100gを調製した。
20〜40歳の一般パネラー10名に、得られたシャンプー5gを用いて洗髪してもらい、冷感効果および冷感の持続感を評価してもらった。その結果、10名全員が、このものは、冷感を有しかつ冷感効果を持続したと回答した。
【0062】
<シャンプー処方>
(成 分) (配合量 g)
ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム 14.00
ラウリン酸アミドプロピルベタイン 4.00
ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 3.00
カチオン化セルロース 0.50
ジステアリン酸エチレングリコール 1.00
パラオキシ安息香酸エチル 0.25
クエン酸 適量
香料組成物 1.00
精製水 残部
合 計 100.00
【0063】
実施例6(透明シャンプー)
下記処方に従い、透明シャンプーを調製した。
20〜40歳の一般パネラー10名に、得られた透明シャンプー5gを用いて洗髪してもらい、冷感効果および冷感の持続感を評価してもらった。その結果、10名全員が、このものは、冷感を有しかつ冷感効果を持続したと回答した。
【0064】
<透明シャンプー処方>
(成 分) (配合量 g)
ポリクオタニウム−10 10.0
ラウレス硫酸Na(30%水溶液) 300.0
ラウロイルサルコシンNa(30%水溶液) 50.0
コカミドプロペンベタイン 100.0
コカミドDEA 40.0
1,3−ブチレングリコール 20.0
クエン酸 3.0
メチルパラベン 2.0
プロピルパラベン 0.5
エデト酸二ナトリウム 1.0
l−メントール 6.3
(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−
メチルシクロヘキシル)エタノン 0.6
バニリルブチルエーテル 0.1
シトラス系香料 3.0
精製水 残部
合 計 1000.0
【0065】
実施例6(歯磨剤)
下記処方に従い、歯磨剤を調製した。
20〜40歳の一般パネラー10名に、得られた歯磨剤2gを用いて歯を磨いてもらい、冷感効果および冷感の持続感を評価してもらった。その結果、10名全員が、このものは、冷感を有しかつ冷感効果を持続したと回答した。
【0066】
<歯磨剤処方>
(成 分) (配合量 g)
l−メントール 0.25
(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−
メチルシクロヘキシル)エタノン 0.25
リン酸水素カルシウム(2水和物) 50.00
グリセリン 25.00
ラウリル硫酸ナトリウム 1.40
カルボキシメチルセルロースナトリウム 1.50
サッカリンナトリウム 0.20
安息香酸ナトリウム 0.10
ストロベリータイプフレーバー(高砂香料工業株式会社製) 0.70
精製水 残部
合 計 100.00
【0067】
実施例7(ピーチフレーバー)
下記処方に従い、ピーチフレーバーを調製した。このものは、(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを加えることにより、新たにソフトな甘さを付与することができ、よりピーチのマイルド感を再現できた。
【0068】
<ピーチフレーバー処方>
(成 分) (配合量 g)
ベンズアルデヒド 0.2
(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−
メチルシクロヘキシル)エタノン 0.2
シス−3−へキセノール 0.3
酢酸エチル 2.0
酪酸エチル 0.8
エチルマルトール 0.3
γ−ウンデカラクトン 0.5
リナロール 0.5
トランス−2−へキセノール 0.6
ピーチフレーバーベース(高砂香料工業株式会社製) 5.0
エチルアルコール 残 部
合 計 100.0
【0069】
実施例8(緑茶フレーバー)
下記処方に従い、緑茶フレーバーを調製した。このものは、(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを加えることにより、新たに柔らかな熟成感を付与することができ、より緑茶の馥郁感を再現できた。
【0070】
<緑茶フレーバー処方>
(成 分) (配合量 g)
ベンジルアルコール 1.0
(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−
メチルシクロヘキシル)エタノン 0.3
シス−3−へキセノール 0.3
ジメチルスルフィド 0.1
ゲラニオール 0.6
l−メントール 0.4
リナロール 2.5
ネロリドール 0.9
ターピネオール 0.2
緑茶ベース 5.0
エチルアルコール 残 部
合 計 100.0
【0071】
実施例9(紅茶フレーバー)
下記処方に従い、紅茶フレーバーを調製した。このものは、(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを加えることにより、新たにソフトな甘さを付与することができより紅茶のマイルド感を再現できた。
【0072】
<紅茶フレーバー処方>
(成 分) (配合量 g)
α−ヨノン 0.2
β−ヨノン 0.2
ベンズアルデヒド 1.0
(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−
メチルシクロヘキシル)エタノン 1.0
シス−3−へキセノール 6.0
δ−デカラクトン 2.5
δ−ドデカラクトン 2.0
ダマセノン 0.1
リナロール 3.5
ゲラニオール 6.0
シトラール 1.0
リナロールオキサイド 1.6
サリチル酸メチル 2.0
フェニルエチルアルコール 6.0
ヘキシルアルデハイド 1.0
ジプロピレングリコール 残 部
合 計 100.0
【0073】
実施例10(タバコ用香味組成物)
下記処方に従い、タバコ用香味組成物を調製した。この(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを加えたタバコ用香味組成物を市販たばこに0.1%付香したところ、煙に軽さが出るとともに、たばこ用の香味が付与、強調された。
【0074】
<タバコ用香味組成物処方>
(成 分) (配合量 g)
l−メントール 2.00
バニリン 1.40
へリオトロピン 2.00
エチルオキシハイドレート 0.80
酪酸エチル 0.25
吉草酸エチル 0.25
リナロール 0.30
ゲラニオール 0.40
アネトール 1.60
γ−バレロラクトン 0.80
セダーウッドオイル 2.30
カモミオイル 0.20
フェンネルオイル 0.20
(1R,2R,4R)−1−(2−ヒドロキシ−4−
メチルシクロヘキシル)エタノン 1.00
エチルアルコール 残 部
合 計 100.00

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1):
【化1】

で表される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンを含有することを特徴とする香料組成物。
【請求項2】
上記式(1)で表される1−(2−ヒドロキシ−4−メチルシクロヘキシル)エタノンが、下記式(1−a)で表される(1R,2R,4R)−体化合物であることを特徴とする請求項1記載の香料組成物。
【化2】

【請求項3】
香料組成物が冷感効果を有することを特徴とする請求項1または2記載の香料組成物。
【請求項4】
上記式(1)で表される化合物に含まれない冷感物質の少なくとも1種を更に含有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の香料組成物。
【請求項5】
上記式(1)で表される化合物に含まれない冷感物質が、メントール、メントン、カンファー、プレゴール、イソプレゴール、シネオール、ハッカオイル、ペパーミントオイル、スペアーミントオイル、ユーカリプタスオイル、3−l−メントキシプロパン−1,2−ジオール、N−アルキル−p−メンタン−3−カルボキサミド、3−l−メントキシ−2−メチルプロパン−1,2−ジオール、p−メンタン−3,8−ジオール、2−l−メントキシエタン−1−オール、3−l−メントキシプロパン−1−オール、4−l−メントキシブタン−1−オール、3−ヒドロキシブタン酸メンチル、乳酸メンチル、メントングリセリンケタール、2−(2−l−メンチルオキシエチル)エタノール、グリオキシル酸メンチル、N−メチル−2,2−イソプロピルメチル−3−メチルブタンアミド、2−ピロリドン−5−カルボン酸メンチル、コハク酸モノメンチル、コハク酸モノメンチルのアルカリ金属塩およびコハク酸モノメンチルのアルカリ土類金属塩であることを特徴とする請求項4に記載の香料組成物。
【請求項6】
温感物質の少なくとも1種を更に含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の香料組成物。
【請求項7】
上記温感物質が、バニリルエチルエーテル、バニリルプロピルエーテル、バニリンプロピレングリコールアセタール、エチルバニリンプロピレングリコールアセタール、カプサイシン、ジンゲロール、バニリルブチルエーテル、バニリルブチルエーテル酢酸エステル、4−(l−メントキシメチル)−2−フェニル−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’,4’−ジヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(2’−ヒドロキシ−3’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシ−メチル)−2−(4’−メトキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メントキシメチル)−2−(3’,4’−メチレンジオキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、4−(l−メトキシメチル)−2−(3’−メトキシ−4’−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジオキソラン、トウガラシ油、トウガラシオレオレジン、ジンジャーオレオレジン、ノニル酸バニリルアミド、ジャンブーオレオレジン、サンショウエキス、サンショール−I、サンショール−II、サンショウアミド、黒胡椒エキス、カビシン、ピペリンおよびスピラントールであることを特徴とする請求項6に記載の香料組成物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の香料組成物が、0.0001〜20質量%配合されてなることを特徴とする、飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品。
【請求項9】
請求項1乃至7のいずれかに記載の香料組成物を、飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品に添加することを特徴とする飲食品、香粧品、日用・雑貨品、口腔用組成物または医薬品の製造方法。

【公開番号】特開2007−2005(P2007−2005A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−180570(P2005−180570)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【出願人】(000169466)高砂香料工業株式会社 (194)
【Fターム(参考)】