駆動力伝達装置
【課題】外部への動力伝達のためブラケットに固定した遮蔽カバーを貫通して被駆動ギヤの回転部を外部に出しているため該貫通部に軸受を必要としこの軸受の長さが装置小型化の障害となる。そこで、ブラケットと被駆動ギヤ間の軸受を不要とする遮蔽カバー構造によりスペース効率化を図る。
【解決手段】被駆動ギヤ4をブラケット7と支持部材10間で固定されたシャフト8で軸支し、この被駆動ギヤ4に筒状の遮蔽カバー3を固定したので、被駆動ギヤ4が遮蔽カバー3を貫通する部位での軸受の装着は不要となった。
【解決手段】被駆動ギヤ4をブラケット7と支持部材10間で固定されたシャフト8で軸支し、この被駆動ギヤ4に筒状の遮蔽カバー3を固定したので、被駆動ギヤ4が遮蔽カバー3を貫通する部位での軸受の装着は不要となった。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ギヤによる駆動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ギヤによる駆動力伝達装置では駆動源の回転動力をギヤ同士の噛合いを利用して伝達するため、噛み合い時の衝撃により噛合騒音が発生する。この噛合騒音を抑えるために、ギヤの外側を遮蔽カバーで覆う方法がある。遮蔽カバーをブラケットに取り付けてギヤを覆った一例を図9に示す。
この例では、被駆動ギヤ400はブラケット700及び保持部材1000間に固定したシャフト800によって保持され、第1ギヤ500と第2ギヤ600からなる2段ギヤとなっている。ブラケット700との間に隙間ができないようにして固定されたモータ等からなる駆動源100には駆動ギヤ200が連結されていて、該駆動ギヤ200は第1ギヤ500と噛み合っている。
【0003】
遮蔽カバー300は片側が閉じた底付きの筒形をしていてこの閉じた側の反対側に位置する開放端部がブラケット700に固定されており、該遮蔽カバー300とブラケット700とによって駆動ギヤ200と第1ギヤ500とが覆われている。これにより、駆動ギヤ200と第1ギヤ500との噛み合いによる騒音は遮蔽カバー300に繰り返し衝突して騒音エネルギーが弱まる。被駆動ギヤ400が遮蔽カバー300に接触せずに回転するようにするため、被駆動ギヤ400と遮蔽カバー300との間には隙間を設けている。第2ギヤ600は遮蔽カバー300を貫通して外部に出ており、駆動源100から駆動ギヤ200を経て第1ギヤ500にもたらされた動力は、第1ギヤ500と一体の第2ギヤ600によって当該動力伝達装置の外部に配置される図示省略の従動ギヤに伝達される。
【0004】
このように第2ギヤ600が遮蔽カバー300を貫通する構造では、該貫通部で遮蔽カバー300に開けられた貫通穴内径部と第2ギヤ600の回転部の外径との間に隙間Δtができる。このため遮蔽カバー300の内側でのギヤ同士による噛合騒音が、この隙間Δtを通り遮蔽カバー300の外部へ漏れて騒音を発生する。
【0005】
この隙間Δtを閉じる手段として被駆動ギヤ400をブラケット等に軸受で支持させ、この軸受で前記隙間を閉じる方法がある。図10に示した例において、駆動ギヤ200の駆動源100はブラケット700に隙間ができないように固定されている。遮蔽カバー300はその開放端部(図中の右端部)がブラケット7に固定されており、該遮蔽カバー300とブラケット700とによって駆動ギヤ200と第1ギヤ500とが覆われている。被駆動ギヤ400は第1ギヤ500と第2ギヤ600の2段ギヤとなっていて、第1ギヤ500の一端側はブラケット700、他側は遮蔽カバー300にそれぞれ開けられた貫通穴を貫通しているが、転がり軸受110介しているので、隙間は解消されている。軸受110の外輪をブラケット700と遮蔽カバー300にそれぞれ固定し、軸受の内輪を第1ギヤ500軸部に固定している。
【0006】
駆動ギヤ200と第1ギヤ500とは噛み合っており、第2ギヤ600は遮蔽カバー300の外部に出ている。駆動源100から駆動ギヤ200を経て第1ギヤ500にもたらされた動力は、第2ギヤ600を介して当該動力伝達装置の外部に伝達される。遮蔽カバー300とブラケット700と軸受110によって、駆動ギヤ200と被駆動ギヤ400の歯部は覆われているため、噛合騒音が漏れにくい構造となっている。
【0007】
このように、軸受110により回転部の隙間が塞がれる利点があるものの、軸受110は軸長手方向に所要のスペースを有することから、その分だけ駆動力伝達装置について軸長手方向での所要床面積が大きくなってしまうという問題がある。この点は、軸受の種類を図10の例のように転がり軸受110とする場合に限らず、図11のようにすべり軸受120とした場合でも同じである。
【0008】
なお、公知技術として出力軸回転部の密閉性を強化するため、ギヤードモータの軸受をベアリングで支承してオイルシールを嵌着し、粉塵、鉄粉を遮蔽するフィルターを介在させ該フィルターは、オイルシールの側面を当接面にして、オイルシールのリップ面の内周面を伸縮自在の網目をもつ遮蔽面とし、該遮蔽面の内径を前記出力軸の径より小さくする技術がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、この技術を駆動力伝達装置に適用しても、転がり軸受を使用する構成を前提としているので、駆動力伝達装置について軸長手方向での所要床面積が大きくなってしまうという問題の解決にはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、噛み合い騒音を低減し、駆動力伝達装置のスラスト方向の小型化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1):駆動ギヤを有する駆動源と、駆動源を固定したブラケットと、前記ブラケットの同一面側で前記駆動ギヤと平行にその軸線を揃えてその一端側を前記ブラケットに固定されたシャフトと、前記ブラケットと対向して前記シャフトの他端側を保持する保持部材と、
前記ブラケットと前記保持部材間で前記シャフトに軸支されたギヤであって前記駆動ギヤに噛み合う第1ギヤと該第1ギヤと一体形成され外部従動系に動力伝達するための第2ギヤとからなる被駆動ギヤと、前記被駆動ギヤと同心の底付円筒形状をなしその開口端縁部を前記ブラケットの前記シャフト取付面に対向させた態様(椀を伏せた如き態様)で前記駆動ギヤ及び前記第1ギヤを覆い、前記被駆動ギヤと一体的に回転する遮蔽カバーとを有し、前記第1ギヤは前記遮蔽カバーの内側に配置され、前記第2ギヤは前記遮蔽カバーを貫通して該遮蔽カバーと前記保持部材との間に配置されている動力伝達装置とした。ここで、ブラケットと保持部材は板状の不動部材で構成することができる。遮蔽カバーの開口端縁部を前記シャフト取付面に対向させた態様には、該開口端縁部が前記ブラケットの前記シャフト取付面に近接して対向している状態、接している態様が含まれる。
(2):(1)記載の動力伝達装置において、前記遮蔽カバーの前記開口端縁部が前記ブラケットの前記シャフト取付面に摺動状態で対向していることとした。
(3):(1)又は(2)記載の動力伝達装置において、回転部である前記遮蔽カバーの前記開口端縁部と、静止部である前記ブラケットの前記シャフト取付面との対向部とをラビリンス構造で構成した。
(4):(1)乃至(3)の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記遮蔽カバーに放熱用のフィンを設けた。
(5):(1)乃至(4)の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記駆動ギヤと前記第1ギヤの組、又は前記第2ギヤの何れか又は全部をはす歯ギヤで構成した。
(6):(5)に記載の動力伝達装置において、前記はす歯ギヤのねじれ方向は、遮蔽カバーを前記ブラケット側に寄せるように働く方向に設定した。
(7):(1)乃至(6)の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記被駆動ギヤと前記遮蔽カバーを一体形成した。
(8):(1)乃至(7)の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記被駆動ギヤを樹脂で形成した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遮蔽カバーの密閉性を高めてギヤの噛み合い騒音を低減し、ギヤと遮蔽カバー間に軸受を介在させずに遮蔽するので、ギヤの軸方向でのスペースを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】動力伝達装置概略断面図である。
【図2】動力伝達装置概略断面図である。
【図3】動力伝達装置概略断面図である。
【図4】動力伝達装置概略断面図である。
【図5】動力伝達装置概略断面図である。
【図6】動力伝達装置概略断面図である。
【図7】動力伝達装置概略断面図である。
【図8】動力伝達装置概略断面図である。
【図9】従来の動力伝達装置概略断面図である。
【図10】従来の動力伝達装置概略断面図である。
【図11】従来の動力伝達装置概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
[ケース1]
図1により説明する。駆動源1には駆動ギヤ2が連結されて一体化されている。当該駆動力伝達装置の本体の一部からなるブラケット7には駆動ギヤ2を貫通する開口部7aが形成されている。ブラケット7の片面側からこの開口部7aに駆動ギヤ2が貫通して、駆動源1の小フランジ部1aが嵌合し、さらに大フランジ部1bで開口部7bを覆うようにして駆動源1がブラケット7に固定されている。
【0015】
ブラケット7の左面には駆動ギヤ2が直立した状態で保持されている。ブラケット7の左面側、駆動ギヤ2と同一面側には駆動ギヤ2と平行にその軸線を揃えてシャフト8がその一端側をブラケット7に固定されている。ブラケット7と対向して間隔をあけて当該駆動力伝達装置の本体の一部からなる保持部材10が配置されていて、シャフト8の他端側はこの保持部材10に固定されている。
【0016】
ブラケット7と保持部材10間で、シャフト8には被駆動ギヤ4が回転可能に保持されている。ここで、シャフト8と被駆動ギヤ4間に軸受を設けることができ、この軸受は当該シャフトの長さ範囲内の配置とすれば、当該駆動力伝達装置のギヤ軸方向でのスペースには影響しない。駆動ギヤ4は、駆動ギヤ2に噛み合う第1ギヤ5と、該第1ギヤ5と一体形成され外部従動系に動力伝達するための第2ギヤ6とからなる2段ギヤである。
【0017】
第1ギヤ5と第2ギヤ6とは径差があり、この径差により形成されるギヤ端面を利用して遮蔽カバー3が固定されている。本例では第1ギヤ5の径が大きくなっており、該第1ギヤの左端面部に形成したフランジ部5aに遮蔽カバー3を嵌合させて固定し噛み合い騒音が漏れないようにしている。
【0018】
遮蔽カバー3は被駆動ギヤ4と同心の底付円筒形状をなし、その右方の開口端縁部を前記ブラケットの前記支軸取付面に対向近接或いは摺動する態様で駆動ギヤ2及び第1ギヤ5を覆い、被駆動ギヤ4と一体的に回転する。遮蔽カバー3はあたかも椀を伏せた如き態様で被駆動ギヤ4と一体化されている。なお、筒形をなす遮蔽カバー3の底部が回転時に駆動ギヤ2の端部とが干渉しないように両者の寸法が調整されているものとする。上記摺動する構成とした場合には、ブラケット7と遮蔽カバー3との隙間がないので遮蔽性能が高くなる。近接させた場合には摺動させる場合と比べ、摺動発熱や、摺動騒音等を配慮する必要がない。
【0019】
第1ギヤ5は遮蔽カバー3の内側に位置し、第2ギヤ6は遮蔽カバー3を貫通して該遮蔽カバー3と保持部材10との間に位置し、第2ギヤ6の有効噛合部9において、駆動源1からもたらされた動力を駆動力伝達装置外部の従動系に伝達する。
【0020】
本例では、非回転のシャフト8に被駆動ギヤ4を軸支し、この被駆動ギヤに遮蔽カバー3を固定して一体回転させる構成であり、前記従来例で説明した構成のように、軸長手方向に専用スペースを必要とする軸受を必要としない構成であるので、遮蔽カバーの密閉性を高めてギヤの噛み合い騒音を低減し、かつ、第2ギヤ6の有効噛合部9の横長手寸法量を変化させずにギヤの軸方向でのスペースを小型化できる。
【0021】
[比較例]
図2(a)に示したように被駆動ギヤ400をブラケット700等に軸受110で支持した構成に係る駆動力伝達装置(図10で示した従来例)よりも、図2(b)に示したように被駆動ギヤ4をブラケット7に固定したシャフトに軸支した構成に係る動力伝達装置(本発明の一例である図1の例)の方が、ギヤの軸方向での占有スペースが小さくなることを模視的で説明する。図10(a)、(b)で大きさを比較するため、共通部材である駆動ギヤ及び被駆動ギヤの軸方向での各有効噛合部の長さや駆動源の該軸方向での長さを等しくしてある。また、各駆動源1、100の端部を線分O−Oに合わせてある。図10において、(a)の例に対して、(b)の例では、ブラケット700や遮蔽カバー300に、図10(a)における軸受110を設けていない分、寸法tだけ、ギヤの軸方向でのスペースを小型化できることがわかる。
【0022】
[ケース2]
図3に示した駆動力伝他装置はその基本構造が図1に示したものと共通するので、該共通部には同じ符号を付し説明は略す。異なるのは、回転部である遮蔽カバー3の開口端縁部(図中、右端部)と、これに対向した静止部であってブラケット7の前記シャフト取付面との対向部とを、ラビリンス構造にしたことである。本例では、遮蔽カバー3の開口端縁部の外側近傍を同心円からなるつば状突起13で囲んだ構成としている。さらに複数の凹凸形状を噛み合わせで構成することもできる。ラビリンス構造を採用した場合には、遮蔽カバー3の開口端縁部を摺動させることなしに、遮蔽性能を向上させることができる。
【0023】
[ケース3]
図4に示したように、本例の基本構造は図1に示したものと共通するので、該共通部には同じ符号を付し説明は略す。異なるのは、回転部である遮蔽カバー3に放熱用のフィンを形成したことである。図のように、遮蔽カバー3の外周部に回転方向と交差する方向にリブ状の放熱フィン14を等間隔に設ける。遮蔽カバー3の内部では、第1ギヤ5と駆動ギヤ2との噛み合いや、被駆動ギヤ4とシャフト8との回転摩擦熱がこもるが、該放熱フィン14により放熱性を向上させることができる。本例はケース2と併用することができる。
【0024】
[ケース4]
本例は、駆動ギヤ2と第1ギヤ5の組合せ、又は第2ギヤ6の何れか又は全部をはす歯ギヤで構成する。はす歯ギヤで構成することで、噛み合い画連続的になることから平ギヤの場合に比べて騒音を低減することができる。さらに、はす歯のねじれ方向について以下に各例を示す。
【0025】
[例1]
はす歯ギヤの歯すじの傾きを図5に例示する。図5に示す動力伝達装置において構成部材のうち、これまでの例と共通する部材には同じ符号を付し説明は略す。駆動ギヤ2と第1ギヤ5の組、および、第2ギヤ6の全部をはす歯ギヤで構成している。さらに、はす歯ギヤのねじれ方向は、遮蔽カバーと一体のギヤについて、相手歯車の回転により受けるスラスト力がブラケット7の方向に働く構成となっている。
図5中、第1ギヤ5および第2ギヤ6を構成するはす歯ギヤのねじれ方向を右下がりの2点鎖線Sで示し、駆動ギヤ2を構成するはす歯ギヤのねじれ方向を右上がりの2点鎖線Sで示している。これにより、駆動ギヤ2が右方からみて反時計回りの向きに回転するとき、はす歯ギヤのねじれ方向により、被駆動ギヤ4は駆動ギヤ2によりブラケット7側に力を受けて遮蔽カバー3とブラケット7との隙間が低減される向きに寄せられるので、遮蔽性を向上させることが可能となる。
【0026】
[例2]
図6に例示する。動力伝達装置の構成部材のうち、これまでの例と共通する部材には同じ符号を付し説明は略す。本例では、駆動ギヤ2と第1ギヤ5の組だけをはす歯ギヤで構成している。第2ギヤ6は平ギヤで構成している。ここでも、図5におけると同様、はす歯ギヤのねじれ方向は、被駆動ギヤ4が受けるスラスト力がブラケット7の方向に働く構成となっている。
【0027】
図6中、第1ギヤ5を構成するはす歯ギヤのねじれ方向は右下がりの2点鎖線Sで示しこれと噛み合う駆動ギヤ2を構成するはす歯ギヤのねじれ方向は右上がりの2点鎖線Sで示す。これにより、駆動ギヤ2が右方からみて反時計回りの向きに回転するとき、はす歯ギヤのねじれ方向により、被駆動ギヤ4は駆動ギヤ2によりブラケット7側に力を受けて遮蔽カバー3とブラケット7との隙間が低減される向きに寄せられるので、遮蔽性を向上させることが可能となる。動力伝達装置外部の従動ギヤが平ギヤのため、該平ギヤと噛み合う第2ギヤ6を平ギヤとしなければならない場合であっても、動力伝達が可能であり、かつ、遮蔽カバー3をブラケット7側に寄せることで遮蔽性を向上させることが可能となる。
【0028】
[例3]
図7に例示する。動力伝達装置の構成部材のうち、これまでの例と共通する部材には同じ符号を付し説明は略す。第2ギヤ6だけを、はす歯ギヤで構成している。駆動ギヤ2と第1ギヤ5の組は平ギヤで構成している。第2ギヤ6の、はす歯ギヤのねじれ方向は、右下がりの2点鎖線Sで示す。駆動ギヤ2が右方からみて反時計回りの向きに回転することにより、該被駆動ギヤ4が右方からみて時計回りの向きに回転する場合、第2ギヤ6と噛み合う従動ギヤにより第2ギヤ6は被駆動ギヤ4全体としてブラケット7の方向にスラスト力が働く構成となっている。よって、駆動ギヤ2が平ギヤであるという条件下であっても動力伝達が可能であり、かつ、遮蔽カバー3がブラケット7側に寄せられて遮蔽性を向上させることが可能となる。
【0029】
[ケース5]
図8に例示する。動力伝達装置の構成部材のうち、これまでの例と共通する部材には同じ符号を付し説明は略す。異なるのは、被駆動ギヤ4と遮蔽カバー3を一体形成したことである。遮蔽カバー3と第1ギヤ5、第2ギヤ4は一体的に回動する。これにより、部品点数を増加させずに、駆動ギヤ2と被駆動ギヤ4の第1ギヤ5を遮蔽することが可能となる。
【0030】
[ケース6]
以上の各ケースにおいて、被駆動ギヤを樹脂材で形成することができる。また、ケース5の場合にあっては、遮蔽カバー3も含めて樹脂で形成することができる。樹脂ギヤは金属ギヤに比べて噛合騒音が低いので、樹脂とすることにより、噛合騒音の発生をさらに低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1、100 駆動源
1a 小フランジ部
1b 大フランジ部
2、200 駆動ギヤ
3、300 遮蔽カバー
4、400 被駆動ギヤ
5、500 第1ギヤ
5a フランジ部
6、600 第2ギヤ
7、700 ブラケット
7a 開口部
8、800 シャフト
9 有効噛合部
10、1000 保持部材
110、120 軸受
13 つば状突起
14 放熱フィン
S はす歯ギヤのねじれ方向を示す2点鎖線
t 寸法
Δt 隙間
O−O 線分
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2009−108999号公報
【技術分野】
【0001】
この発明は、ギヤによる駆動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ギヤによる駆動力伝達装置では駆動源の回転動力をギヤ同士の噛合いを利用して伝達するため、噛み合い時の衝撃により噛合騒音が発生する。この噛合騒音を抑えるために、ギヤの外側を遮蔽カバーで覆う方法がある。遮蔽カバーをブラケットに取り付けてギヤを覆った一例を図9に示す。
この例では、被駆動ギヤ400はブラケット700及び保持部材1000間に固定したシャフト800によって保持され、第1ギヤ500と第2ギヤ600からなる2段ギヤとなっている。ブラケット700との間に隙間ができないようにして固定されたモータ等からなる駆動源100には駆動ギヤ200が連結されていて、該駆動ギヤ200は第1ギヤ500と噛み合っている。
【0003】
遮蔽カバー300は片側が閉じた底付きの筒形をしていてこの閉じた側の反対側に位置する開放端部がブラケット700に固定されており、該遮蔽カバー300とブラケット700とによって駆動ギヤ200と第1ギヤ500とが覆われている。これにより、駆動ギヤ200と第1ギヤ500との噛み合いによる騒音は遮蔽カバー300に繰り返し衝突して騒音エネルギーが弱まる。被駆動ギヤ400が遮蔽カバー300に接触せずに回転するようにするため、被駆動ギヤ400と遮蔽カバー300との間には隙間を設けている。第2ギヤ600は遮蔽カバー300を貫通して外部に出ており、駆動源100から駆動ギヤ200を経て第1ギヤ500にもたらされた動力は、第1ギヤ500と一体の第2ギヤ600によって当該動力伝達装置の外部に配置される図示省略の従動ギヤに伝達される。
【0004】
このように第2ギヤ600が遮蔽カバー300を貫通する構造では、該貫通部で遮蔽カバー300に開けられた貫通穴内径部と第2ギヤ600の回転部の外径との間に隙間Δtができる。このため遮蔽カバー300の内側でのギヤ同士による噛合騒音が、この隙間Δtを通り遮蔽カバー300の外部へ漏れて騒音を発生する。
【0005】
この隙間Δtを閉じる手段として被駆動ギヤ400をブラケット等に軸受で支持させ、この軸受で前記隙間を閉じる方法がある。図10に示した例において、駆動ギヤ200の駆動源100はブラケット700に隙間ができないように固定されている。遮蔽カバー300はその開放端部(図中の右端部)がブラケット7に固定されており、該遮蔽カバー300とブラケット700とによって駆動ギヤ200と第1ギヤ500とが覆われている。被駆動ギヤ400は第1ギヤ500と第2ギヤ600の2段ギヤとなっていて、第1ギヤ500の一端側はブラケット700、他側は遮蔽カバー300にそれぞれ開けられた貫通穴を貫通しているが、転がり軸受110介しているので、隙間は解消されている。軸受110の外輪をブラケット700と遮蔽カバー300にそれぞれ固定し、軸受の内輪を第1ギヤ500軸部に固定している。
【0006】
駆動ギヤ200と第1ギヤ500とは噛み合っており、第2ギヤ600は遮蔽カバー300の外部に出ている。駆動源100から駆動ギヤ200を経て第1ギヤ500にもたらされた動力は、第2ギヤ600を介して当該動力伝達装置の外部に伝達される。遮蔽カバー300とブラケット700と軸受110によって、駆動ギヤ200と被駆動ギヤ400の歯部は覆われているため、噛合騒音が漏れにくい構造となっている。
【0007】
このように、軸受110により回転部の隙間が塞がれる利点があるものの、軸受110は軸長手方向に所要のスペースを有することから、その分だけ駆動力伝達装置について軸長手方向での所要床面積が大きくなってしまうという問題がある。この点は、軸受の種類を図10の例のように転がり軸受110とする場合に限らず、図11のようにすべり軸受120とした場合でも同じである。
【0008】
なお、公知技術として出力軸回転部の密閉性を強化するため、ギヤードモータの軸受をベアリングで支承してオイルシールを嵌着し、粉塵、鉄粉を遮蔽するフィルターを介在させ該フィルターは、オイルシールの側面を当接面にして、オイルシールのリップ面の内周面を伸縮自在の網目をもつ遮蔽面とし、該遮蔽面の内径を前記出力軸の径より小さくする技術がある(例えば、特許文献1参照)。しかし、この技術を駆動力伝達装置に適用しても、転がり軸受を使用する構成を前提としているので、駆動力伝達装置について軸長手方向での所要床面積が大きくなってしまうという問題の解決にはならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、噛み合い騒音を低減し、駆動力伝達装置のスラスト方向の小型化を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するため、以下の構成とした。
(1):駆動ギヤを有する駆動源と、駆動源を固定したブラケットと、前記ブラケットの同一面側で前記駆動ギヤと平行にその軸線を揃えてその一端側を前記ブラケットに固定されたシャフトと、前記ブラケットと対向して前記シャフトの他端側を保持する保持部材と、
前記ブラケットと前記保持部材間で前記シャフトに軸支されたギヤであって前記駆動ギヤに噛み合う第1ギヤと該第1ギヤと一体形成され外部従動系に動力伝達するための第2ギヤとからなる被駆動ギヤと、前記被駆動ギヤと同心の底付円筒形状をなしその開口端縁部を前記ブラケットの前記シャフト取付面に対向させた態様(椀を伏せた如き態様)で前記駆動ギヤ及び前記第1ギヤを覆い、前記被駆動ギヤと一体的に回転する遮蔽カバーとを有し、前記第1ギヤは前記遮蔽カバーの内側に配置され、前記第2ギヤは前記遮蔽カバーを貫通して該遮蔽カバーと前記保持部材との間に配置されている動力伝達装置とした。ここで、ブラケットと保持部材は板状の不動部材で構成することができる。遮蔽カバーの開口端縁部を前記シャフト取付面に対向させた態様には、該開口端縁部が前記ブラケットの前記シャフト取付面に近接して対向している状態、接している態様が含まれる。
(2):(1)記載の動力伝達装置において、前記遮蔽カバーの前記開口端縁部が前記ブラケットの前記シャフト取付面に摺動状態で対向していることとした。
(3):(1)又は(2)記載の動力伝達装置において、回転部である前記遮蔽カバーの前記開口端縁部と、静止部である前記ブラケットの前記シャフト取付面との対向部とをラビリンス構造で構成した。
(4):(1)乃至(3)の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記遮蔽カバーに放熱用のフィンを設けた。
(5):(1)乃至(4)の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記駆動ギヤと前記第1ギヤの組、又は前記第2ギヤの何れか又は全部をはす歯ギヤで構成した。
(6):(5)に記載の動力伝達装置において、前記はす歯ギヤのねじれ方向は、遮蔽カバーを前記ブラケット側に寄せるように働く方向に設定した。
(7):(1)乃至(6)の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記被駆動ギヤと前記遮蔽カバーを一体形成した。
(8):(1)乃至(7)の何れか1つに記載の動力伝達装置において、前記被駆動ギヤを樹脂で形成した。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遮蔽カバーの密閉性を高めてギヤの噛み合い騒音を低減し、ギヤと遮蔽カバー間に軸受を介在させずに遮蔽するので、ギヤの軸方向でのスペースを小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】動力伝達装置概略断面図である。
【図2】動力伝達装置概略断面図である。
【図3】動力伝達装置概略断面図である。
【図4】動力伝達装置概略断面図である。
【図5】動力伝達装置概略断面図である。
【図6】動力伝達装置概略断面図である。
【図7】動力伝達装置概略断面図である。
【図8】動力伝達装置概略断面図である。
【図9】従来の動力伝達装置概略断面図である。
【図10】従来の動力伝達装置概略断面図である。
【図11】従来の動力伝達装置概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態を説明する。
【0014】
[ケース1]
図1により説明する。駆動源1には駆動ギヤ2が連結されて一体化されている。当該駆動力伝達装置の本体の一部からなるブラケット7には駆動ギヤ2を貫通する開口部7aが形成されている。ブラケット7の片面側からこの開口部7aに駆動ギヤ2が貫通して、駆動源1の小フランジ部1aが嵌合し、さらに大フランジ部1bで開口部7bを覆うようにして駆動源1がブラケット7に固定されている。
【0015】
ブラケット7の左面には駆動ギヤ2が直立した状態で保持されている。ブラケット7の左面側、駆動ギヤ2と同一面側には駆動ギヤ2と平行にその軸線を揃えてシャフト8がその一端側をブラケット7に固定されている。ブラケット7と対向して間隔をあけて当該駆動力伝達装置の本体の一部からなる保持部材10が配置されていて、シャフト8の他端側はこの保持部材10に固定されている。
【0016】
ブラケット7と保持部材10間で、シャフト8には被駆動ギヤ4が回転可能に保持されている。ここで、シャフト8と被駆動ギヤ4間に軸受を設けることができ、この軸受は当該シャフトの長さ範囲内の配置とすれば、当該駆動力伝達装置のギヤ軸方向でのスペースには影響しない。駆動ギヤ4は、駆動ギヤ2に噛み合う第1ギヤ5と、該第1ギヤ5と一体形成され外部従動系に動力伝達するための第2ギヤ6とからなる2段ギヤである。
【0017】
第1ギヤ5と第2ギヤ6とは径差があり、この径差により形成されるギヤ端面を利用して遮蔽カバー3が固定されている。本例では第1ギヤ5の径が大きくなっており、該第1ギヤの左端面部に形成したフランジ部5aに遮蔽カバー3を嵌合させて固定し噛み合い騒音が漏れないようにしている。
【0018】
遮蔽カバー3は被駆動ギヤ4と同心の底付円筒形状をなし、その右方の開口端縁部を前記ブラケットの前記支軸取付面に対向近接或いは摺動する態様で駆動ギヤ2及び第1ギヤ5を覆い、被駆動ギヤ4と一体的に回転する。遮蔽カバー3はあたかも椀を伏せた如き態様で被駆動ギヤ4と一体化されている。なお、筒形をなす遮蔽カバー3の底部が回転時に駆動ギヤ2の端部とが干渉しないように両者の寸法が調整されているものとする。上記摺動する構成とした場合には、ブラケット7と遮蔽カバー3との隙間がないので遮蔽性能が高くなる。近接させた場合には摺動させる場合と比べ、摺動発熱や、摺動騒音等を配慮する必要がない。
【0019】
第1ギヤ5は遮蔽カバー3の内側に位置し、第2ギヤ6は遮蔽カバー3を貫通して該遮蔽カバー3と保持部材10との間に位置し、第2ギヤ6の有効噛合部9において、駆動源1からもたらされた動力を駆動力伝達装置外部の従動系に伝達する。
【0020】
本例では、非回転のシャフト8に被駆動ギヤ4を軸支し、この被駆動ギヤに遮蔽カバー3を固定して一体回転させる構成であり、前記従来例で説明した構成のように、軸長手方向に専用スペースを必要とする軸受を必要としない構成であるので、遮蔽カバーの密閉性を高めてギヤの噛み合い騒音を低減し、かつ、第2ギヤ6の有効噛合部9の横長手寸法量を変化させずにギヤの軸方向でのスペースを小型化できる。
【0021】
[比較例]
図2(a)に示したように被駆動ギヤ400をブラケット700等に軸受110で支持した構成に係る駆動力伝達装置(図10で示した従来例)よりも、図2(b)に示したように被駆動ギヤ4をブラケット7に固定したシャフトに軸支した構成に係る動力伝達装置(本発明の一例である図1の例)の方が、ギヤの軸方向での占有スペースが小さくなることを模視的で説明する。図10(a)、(b)で大きさを比較するため、共通部材である駆動ギヤ及び被駆動ギヤの軸方向での各有効噛合部の長さや駆動源の該軸方向での長さを等しくしてある。また、各駆動源1、100の端部を線分O−Oに合わせてある。図10において、(a)の例に対して、(b)の例では、ブラケット700や遮蔽カバー300に、図10(a)における軸受110を設けていない分、寸法tだけ、ギヤの軸方向でのスペースを小型化できることがわかる。
【0022】
[ケース2]
図3に示した駆動力伝他装置はその基本構造が図1に示したものと共通するので、該共通部には同じ符号を付し説明は略す。異なるのは、回転部である遮蔽カバー3の開口端縁部(図中、右端部)と、これに対向した静止部であってブラケット7の前記シャフト取付面との対向部とを、ラビリンス構造にしたことである。本例では、遮蔽カバー3の開口端縁部の外側近傍を同心円からなるつば状突起13で囲んだ構成としている。さらに複数の凹凸形状を噛み合わせで構成することもできる。ラビリンス構造を採用した場合には、遮蔽カバー3の開口端縁部を摺動させることなしに、遮蔽性能を向上させることができる。
【0023】
[ケース3]
図4に示したように、本例の基本構造は図1に示したものと共通するので、該共通部には同じ符号を付し説明は略す。異なるのは、回転部である遮蔽カバー3に放熱用のフィンを形成したことである。図のように、遮蔽カバー3の外周部に回転方向と交差する方向にリブ状の放熱フィン14を等間隔に設ける。遮蔽カバー3の内部では、第1ギヤ5と駆動ギヤ2との噛み合いや、被駆動ギヤ4とシャフト8との回転摩擦熱がこもるが、該放熱フィン14により放熱性を向上させることができる。本例はケース2と併用することができる。
【0024】
[ケース4]
本例は、駆動ギヤ2と第1ギヤ5の組合せ、又は第2ギヤ6の何れか又は全部をはす歯ギヤで構成する。はす歯ギヤで構成することで、噛み合い画連続的になることから平ギヤの場合に比べて騒音を低減することができる。さらに、はす歯のねじれ方向について以下に各例を示す。
【0025】
[例1]
はす歯ギヤの歯すじの傾きを図5に例示する。図5に示す動力伝達装置において構成部材のうち、これまでの例と共通する部材には同じ符号を付し説明は略す。駆動ギヤ2と第1ギヤ5の組、および、第2ギヤ6の全部をはす歯ギヤで構成している。さらに、はす歯ギヤのねじれ方向は、遮蔽カバーと一体のギヤについて、相手歯車の回転により受けるスラスト力がブラケット7の方向に働く構成となっている。
図5中、第1ギヤ5および第2ギヤ6を構成するはす歯ギヤのねじれ方向を右下がりの2点鎖線Sで示し、駆動ギヤ2を構成するはす歯ギヤのねじれ方向を右上がりの2点鎖線Sで示している。これにより、駆動ギヤ2が右方からみて反時計回りの向きに回転するとき、はす歯ギヤのねじれ方向により、被駆動ギヤ4は駆動ギヤ2によりブラケット7側に力を受けて遮蔽カバー3とブラケット7との隙間が低減される向きに寄せられるので、遮蔽性を向上させることが可能となる。
【0026】
[例2]
図6に例示する。動力伝達装置の構成部材のうち、これまでの例と共通する部材には同じ符号を付し説明は略す。本例では、駆動ギヤ2と第1ギヤ5の組だけをはす歯ギヤで構成している。第2ギヤ6は平ギヤで構成している。ここでも、図5におけると同様、はす歯ギヤのねじれ方向は、被駆動ギヤ4が受けるスラスト力がブラケット7の方向に働く構成となっている。
【0027】
図6中、第1ギヤ5を構成するはす歯ギヤのねじれ方向は右下がりの2点鎖線Sで示しこれと噛み合う駆動ギヤ2を構成するはす歯ギヤのねじれ方向は右上がりの2点鎖線Sで示す。これにより、駆動ギヤ2が右方からみて反時計回りの向きに回転するとき、はす歯ギヤのねじれ方向により、被駆動ギヤ4は駆動ギヤ2によりブラケット7側に力を受けて遮蔽カバー3とブラケット7との隙間が低減される向きに寄せられるので、遮蔽性を向上させることが可能となる。動力伝達装置外部の従動ギヤが平ギヤのため、該平ギヤと噛み合う第2ギヤ6を平ギヤとしなければならない場合であっても、動力伝達が可能であり、かつ、遮蔽カバー3をブラケット7側に寄せることで遮蔽性を向上させることが可能となる。
【0028】
[例3]
図7に例示する。動力伝達装置の構成部材のうち、これまでの例と共通する部材には同じ符号を付し説明は略す。第2ギヤ6だけを、はす歯ギヤで構成している。駆動ギヤ2と第1ギヤ5の組は平ギヤで構成している。第2ギヤ6の、はす歯ギヤのねじれ方向は、右下がりの2点鎖線Sで示す。駆動ギヤ2が右方からみて反時計回りの向きに回転することにより、該被駆動ギヤ4が右方からみて時計回りの向きに回転する場合、第2ギヤ6と噛み合う従動ギヤにより第2ギヤ6は被駆動ギヤ4全体としてブラケット7の方向にスラスト力が働く構成となっている。よって、駆動ギヤ2が平ギヤであるという条件下であっても動力伝達が可能であり、かつ、遮蔽カバー3がブラケット7側に寄せられて遮蔽性を向上させることが可能となる。
【0029】
[ケース5]
図8に例示する。動力伝達装置の構成部材のうち、これまでの例と共通する部材には同じ符号を付し説明は略す。異なるのは、被駆動ギヤ4と遮蔽カバー3を一体形成したことである。遮蔽カバー3と第1ギヤ5、第2ギヤ4は一体的に回動する。これにより、部品点数を増加させずに、駆動ギヤ2と被駆動ギヤ4の第1ギヤ5を遮蔽することが可能となる。
【0030】
[ケース6]
以上の各ケースにおいて、被駆動ギヤを樹脂材で形成することができる。また、ケース5の場合にあっては、遮蔽カバー3も含めて樹脂で形成することができる。樹脂ギヤは金属ギヤに比べて噛合騒音が低いので、樹脂とすることにより、噛合騒音の発生をさらに低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
1、100 駆動源
1a 小フランジ部
1b 大フランジ部
2、200 駆動ギヤ
3、300 遮蔽カバー
4、400 被駆動ギヤ
5、500 第1ギヤ
5a フランジ部
6、600 第2ギヤ
7、700 ブラケット
7a 開口部
8、800 シャフト
9 有効噛合部
10、1000 保持部材
110、120 軸受
13 つば状突起
14 放熱フィン
S はす歯ギヤのねじれ方向を示す2点鎖線
t 寸法
Δt 隙間
O−O 線分
【先行技術文献】
【特許文献】
【0032】
【特許文献1】特開2009−108999号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ギヤを有する駆動源と、
駆動源を固定したブラケットと、
前記ブラケットの同一面側で前記駆動ギヤと平行にその軸線を揃えてその一端側を前記ブラケットに固定されたシャフトと、
前記ブラケットと対向して前記シャフトの他端側を保持する保持部材と、
前記ブラケットと前記保持部材間で前記シャフトに軸支されたギヤであって前記駆動ギヤに噛み合う第1ギヤと該第1ギヤと一体形成され外部従動系に動力伝達するための第2ギヤとからなる被駆動ギヤと、
前記被駆動ギヤと同心の底付円筒形状をなしその開口端縁部を前記ブラケットの前記シャフト取付面に対向させた態様で前記駆動ギヤ及び前記第1ギヤを覆い、前記被駆動ギヤと一体的に回転する遮蔽カバーとを有し、
前記第1ギヤは前記遮蔽カバーの内側に配置され、前記第2ギヤは前記遮蔽カバーを貫通して該遮蔽カバーと前記保持部材との間に配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1記載の動力伝達装置において、
前記遮蔽カバーの前記開口端縁部が前記ブラケットの前記シャフト取付面に摺動状態で対向していることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の動力伝達装置において、
回転部である前記遮蔽カバーの前記開口端縁部と、静止部である前記ブラケットの前記シャフト取付面との対向部とをラビリンス構造で構成したことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の動力伝達装置において、
前記遮蔽カバーに放熱用のフィンを形成したことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の動力伝達装置において、
前記駆動ギヤと前記第1ギヤの組、又は前記第2ギヤの何れか又は全部をはす歯ギヤで構成したことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項6】
請求項5に記載の動力伝達装置において、
前記はす歯ギヤのねじれ方向は、遮蔽カバーを前記ブラケット側に寄せる向きに設定されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1つに記載の動力伝達装置において、
前記被駆動ギヤと前記遮蔽カバーを一体形成したことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1つに記載の動力伝達装置において、
前記被駆動ギヤを樹脂で形成したことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項1】
駆動ギヤを有する駆動源と、
駆動源を固定したブラケットと、
前記ブラケットの同一面側で前記駆動ギヤと平行にその軸線を揃えてその一端側を前記ブラケットに固定されたシャフトと、
前記ブラケットと対向して前記シャフトの他端側を保持する保持部材と、
前記ブラケットと前記保持部材間で前記シャフトに軸支されたギヤであって前記駆動ギヤに噛み合う第1ギヤと該第1ギヤと一体形成され外部従動系に動力伝達するための第2ギヤとからなる被駆動ギヤと、
前記被駆動ギヤと同心の底付円筒形状をなしその開口端縁部を前記ブラケットの前記シャフト取付面に対向させた態様で前記駆動ギヤ及び前記第1ギヤを覆い、前記被駆動ギヤと一体的に回転する遮蔽カバーとを有し、
前記第1ギヤは前記遮蔽カバーの内側に配置され、前記第2ギヤは前記遮蔽カバーを貫通して該遮蔽カバーと前記保持部材との間に配置されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1記載の動力伝達装置において、
前記遮蔽カバーの前記開口端縁部が前記ブラケットの前記シャフト取付面に摺動状態で対向していることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の動力伝達装置において、
回転部である前記遮蔽カバーの前記開口端縁部と、静止部である前記ブラケットの前記シャフト取付面との対向部とをラビリンス構造で構成したことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1つに記載の動力伝達装置において、
前記遮蔽カバーに放熱用のフィンを形成したことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1つに記載の動力伝達装置において、
前記駆動ギヤと前記第1ギヤの組、又は前記第2ギヤの何れか又は全部をはす歯ギヤで構成したことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項6】
請求項5に記載の動力伝達装置において、
前記はす歯ギヤのねじれ方向は、遮蔽カバーを前記ブラケット側に寄せる向きに設定されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1つに記載の動力伝達装置において、
前記被駆動ギヤと前記遮蔽カバーを一体形成したことを特徴とする動力伝達装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1つに記載の動力伝達装置において、
前記被駆動ギヤを樹脂で形成したことを特徴とする動力伝達装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−31906(P2012−31906A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−170721(P2010−170721)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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