説明

駆動装置及び画像形成装置

【課題】大口径ギヤを取り外すことなくその内側にある部材へのアクセスを可能とし、作業性に優れるとともに大口径ギヤの精度を保つことが可能な駆動装置を提供する。
【解決手段】大口径ギヤ101のウェブ(端面)には図示しない貫通穴が設けられている。その穴の位置(軸114からの距離)は、軸114から、子ブラケット102を内側ブラケット106に取り付けるネジ104及び105までの距離とほぼ等しくなっている。また、外側ブラケット108には、ネジ104及び105に対応する位置に作業穴117,118が設けられている。よって、大口径ギヤ101を取り外すことなくネジ104及び105にアクセスすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体の駆動に好適に用いられる駆動装置と、その駆動装置を備える画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
【特許文献1】特開2001−147569号公報
【特許文献2】特許第3754923号公報
【特許文献3】特開2003−345179号公報
【0003】
複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置においては、感光体への駆動伝達に複数のギヤあるいはベルトを用いているため、ギヤの一歯ピッチや一回転ピッチの影響が発生し易く、伝達ロスも大きくなるため、ドラム駆動や作像系の駆動においては充分な高精度を得ることが難しい。
【0004】
特許文献1には、駆動伝達機構をブラケットで挟み込んで一体化してモータユニットを構成し、コスト低減及び省スペース化を図るとともに、感光体への振動伝播を極力抑えて画像上にピッチムラを発生させないようにした画像形成装置が記載されている。
【0005】
特許文献2には感光体ドラム等の位置精度を高め、画像形成精度及び転写材搬送精度の悪化等を防止するようにした画像形成装置が記載されている。
駆動系の伝達ロスを最低限に抑え、かつ、ギヤの一歯ピッチを細かくしてその影響を低減させるために、減速比の大きな1段変速ギヤ(以下、大口径ギヤと称する)をドラム駆動に用いるものがある。
【0006】
例えば特許文献3には、大口径ギヤのウェッブに設けられたギヤ比と同数の穴により、ギヤによる駆動伝達で発生する像担持体の速度ムラを抑えて良好な画像品質を得るようにした画像形成装置が記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、像担持体としてのドラム周りに配置されるユニットである現像装置や転写装置は、おのずとドラム近傍に配置されるが、近年、装置小型化の要求により感光体ドラムは小径化される傾向にあり、上記のユニット等は更にドラム近傍に集中して配置されるようになっている。
【0008】
したがって、ドラム近傍に機器・部材が集中することでドラム周辺のレイアウトが複雑になり、また、ドラム駆動に大口径ギヤを用いるため、ドラム周りの機器・部材の組付けやメンテナンスあるいは修理等において、作業性に優れないという問題が生じる。
【0009】
さらに、上記の各機器・部材へのアクセスのために大口径ギヤを取り外した場合には、高精度に組み付けられている大口径ギヤの精度を保つことが難しく、駆動系の精度低下を原因とするバンディング等による画像への悪影響を発生させたり、用紙搬送精度を低下させる恐れがあるという問題もある。
【0010】
本発明は、従来の駆動装置における上述の問題を解決し、大口径ギヤを取り外すことなくその内側にある部材へのアクセスを可能とし、作業性に優れるとともに大口径ギヤの精度を保つことが可能な駆動装置を提供することを課題とする。
【0011】
また、上記駆動装置を備えて、バンディングや色ズレ等のない高品質な画像を得ることのできる画像形成装置を提供することも本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題は、本発明により、被駆動体を駆動する大口径ギヤを備える駆動装置において、前記大口径ギヤよりも軸方向の内側にあり、かつ、前記大口径ギヤの軸方向投影面内に位置して設けられた被作業部材を有し、前記大口径ギヤの端面に貫通穴が設けられ、ギヤ中心から前記貫通穴までの距離が、ギヤ回転軸から前記被作業部材までの距離とほぼ等しくなるように設けられていることにより解決される。
【0013】
また、前記被作業部材が複数設けられていると好ましい。
また、前記被作業部材が締結手段であると好ましい。
また、前記締結手段により、当該駆動装置を構成する部材が当該駆動装置の筐体に取り付けられると好ましい。
【0014】
また、前記締結手段により、当該駆動装置が、当該駆動装置が装着される本体装置に取り付けられると好ましい。
また、前記大口径ギヤの回転軸を中心とする一つの円周上に前記貫通穴が複数個設けられ、かつ、該複数個の貫通穴が互いに等間隔に設けられていると好ましい。
【0015】
また、前記大口径ギヤの回転軸を中心とし互いに半径が異なる複数の円周上にそれぞれ前記貫通穴が複数個設けられ、かつ、それぞれの円周上に設けられた前記複数個の貫通穴が互いに等間隔に設けられていると好ましい。
【0016】
また、前記複数個の貫通穴の数が3つ以上であると好ましい。
また、前記貫通穴が長穴又は扇形形状であり、該長穴の長手方向又は該扇形の弧辺を前記大口径ギヤの円周方向に向けて配置していると好ましい。
【0017】
また、前記貫通穴が長穴形状であり、該長穴の長手方向を前記大口径ギヤの半径方向に向けて配置していると好ましい。
また、前記大口径ギヤの端面にリブが設けられ、前記貫通穴が前記リブ以外の場所に設けられるとともに、前記リブは前記貫通穴よりもギヤ半径方向の外側に配置されると好ましい。
【0018】
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜11のいずれか1項に記載の駆動装置を備える画像形成装置により解決される。
また、前記駆動装置により像担持体を駆動すると好ましい。
【0019】
また、前記駆動装置の大口径ギヤは、0.6mmピッチ以下のギヤ比であると好ましい。
また、当該画像形成装置がフルカラー画像の形成が可能な装置であり、前記駆動装置の大口径ギヤは、0.4mmピッチ以下のギヤ比であると好ましい。
【0020】
また、前記駆動装置の大口径ギヤを駆動する駆動手段は、前記大口径ギヤを介して像担持体のみを駆動すると好ましい。
また、前記大口径ギヤは、減速比が1/18以下の一段変速ギヤであると好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の駆動装置によれば、大口径ギヤを取り外すことなくその内側にある部材へのアクセスが可能であるため、作業性に優れるとともに、高精度に組み付けられている大口径ギヤの精度が維持され、高品質な駆動性能を発揮することができる。
【0022】
請求項2の構成により、大口径ギヤの内側にある複数の部材に対し、大口径ギヤを取り外すことなくアクセスすることができる。
請求項3の構成により、大口径ギヤの内側にある締結手段を、大口径ギヤを取り外すことなく締結させたり締結解除させたりすることができる。
【0023】
請求項4の構成により、大口径ギヤを取り外すことなく、駆動装置を構成する部材を取り付けたり取り外したりすることができる。
請求項5の構成により、大口径ギヤを取り外すことなく、駆動装置を本体装置に取り付けたり取り外したりすることができる。
【0024】
請求項6の構成により、貫通穴が複数個設けられていることにより、穴の位置を移動させる手間を少なくして作業性を向上させることができる。また、複数個の貫通穴が互いに等間隔に設けられていることにより、バランスを良くして回転ムラを防止することができる。
【0025】
請求項7の構成により、回転軸からの距離が異なる作業部材に対して作業を行なうことが可能となる。
請求項8の構成により、重さの偏りを少なくして回転ムラを防止することができる。
【0026】
請求項9の構成により、大口径ギヤの停止位置が多少ずれている場合でも作業が可能となり、作業性が向上する。穴が扇形の場合には、回転軸からの距離が異なる位置にある部材に対して同一の穴で作業することが可能となる。
【0027】
請求項10の構成により、回転軸からの距離が異なる位置にある部材に対して同一の穴で作業することが可能となる。
請求項11の構成により、リブによって強度低下を抑えられるとともに、貫通穴の外側にリブが設けられることで、大口径ギヤがモールド品である場合のひけ等を小さくすることができ、ギヤ歯部分の精度を向上させることができる。
【0028】
請求項12の画像形成装置によれば、高精度な駆動品質によりバンディングや色ズレなどが発生しない高品質な画像を得ることが可能となる。また、用紙搬送精度の低下なども防止することができる。
【0029】
請求項13の構成により、像担持体周りに配置される機器・部材の組付けやメンテナンスあるいは修理等の作業が容易になるとともに、それらの作業のために大口径ギヤを取り外す必要がないので、大口径ギヤの精度が低下することがなく、そのため、バンディングや色ズレなどが発生しない高品質な画像を得ることが可能となる。
【0030】
請求項14の構成により、1歯ピッチの回転ムラが画像の濃度ムラに現れたとしても、単色出力画像において目視で確認した時に目立ちにくくすることができる。
請求項15の構成により、1歯ピッチの回転ムラが画像の濃度ムラに現れたとしても、カラー出力画像においても目視で確認した時に目立ちにくくすることができる。
【0031】
請求項16の構成により、他の被駆動体や他のユニットを駆動することによる、ギヤ1歯やギヤ1回転のピッチの影響をなくし、バンディングや位置ズレを防止して高品質な画像を得ることができる。
【0032】
請求項17の構成により、像担持体を駆動源から1個の減速ギヤで駆動することが可能となり、複数のギヤ列を用いた場合のギヤピッチの影響などを排することができ、バンディングや画像の位置ズレ・色ズレを効果的に防止することができる。また、感光体駆動のための部品点数が少なくて済むことによるコストダウン及び信頼性向上の効果もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る駆動装置を備える画像形成装置の一例であるプリンタの概略を示す断面構成図である。この図に示すプリンタは、装置下部に2段の給紙カセット11,12を備える給紙部を配し、その給紙部の上に感光体ドラム1を中心とする作像部を配して、給紙部から給送した用紙に作像部で画像を記録し、装置上面の排紙トレイ13に排出する、縦搬送型のモノクロプリンタである。
【0034】
作像部には、像担持体としての感光体ドラム1の周囲に帯電装置2,現像装置3,転写装置としての転写搬送ベルト4等が配置されている。現像装置3の図において左側方には、光書込み装置であるレーザ書込みユニット5が配設されている。また、感光体ドラム1の上方には定着装置6が設けられている。さらに、これら各機器の図において右側に位置して、両面ユニット10が配設されている。
【0035】
上記のように構成された本例のプリンタにおける画像形成動作について簡単に説明する。
感光体ドラム1が図示しない駆動手段によって図中反時計方向に回転駆動され、その感光体ドラム1の表面が帯電装置2によって所定の極性に一様に帯電される。帯電された感光体表面には、レーザ書込みユニット5からのレーザ光が照射され、これによって感光体ドラム1表面に静電潜像が形成される。形成された静電潜像に現像装置3からトナーが付与され、トナー像として可視化される。
【0036】
一方、給紙カセット11又は12から給紙手段7によって用紙が給送され、レジストローラ8によって、感光体ドラム1上に形成されたトナー像とのタイミングを取って転写位置に向けて送出される。トナー像が転写された用紙は、転写搬送ベルト4によって上方に送られ、定着装置6を通過するとき、熱と圧力によってトナー像が用紙に熔融定着される。定着された用紙は、排紙ローラ9により装置本体の上面に構成された排紙トレイ13に排出される。
【0037】
用紙両面にプリントを行う場合は、用紙片面にトナー像を定着した用紙を、両面ユニット10に送り込み、用紙の表裏を反転させてレジストローラ8へと再給紙する。再給紙された用紙裏面にトナー像を転写し、その裏面画像を定着装置6で定着することにより、表裏両面に画像を担持する用紙を、排紙トレイ13に排出することで、両面プリントが完成する。
【0038】
図2は、感光体ドラム1を駆動する駆動装置の一実施例を示す透視斜視図である。
図2に示す駆動装置100は、駆動装置を構成する機器・部材が内側ブラケット106及び外側ブラケット108の2枚のブラケットに装着されてユニット化されており、そのユニット化された駆動装置100が上記プリンタ本体の筐体(図示せず)に装着される。
【0039】
大口径ギヤ101は、駆動軸114,外側ベアリング112,内側ベアリング113,位置決め部品115を介して、外側ブラケット108と内側ブラケット106の2枚のブラケット間に精度良く取り付けられている。この大口径ギヤ101には、外側ブラケット108の外面に取り付けられた第1モータ109のモータ軸に設けられた図示しないギヤが噛み合わされ、第1モータ109によって回転駆動される。駆動軸114の、大口径ギヤ101と反対側の軸先端部は、内側ブラケット106に開けられた穴から突出されており、図示しないジョイント部材を介して駆動軸114に上記プリンタの感光体ドラム1が装着される。大口径ギヤ101は、本例では例えば減速比1/18以下の一段減速ギヤを用いている。
【0040】
また、第1モータ109と並ぶように第2モータ110が配置されている。第1モータ109及び第2モータ110は、それぞれ4個所のネジ止めにより外側ブラケット108に固定されており、外側ベアリング112は止め輪111により駆動軸114から外れないようになっている。第2モータ110は、例えば現像装置の現像スリーブなどを駆動するものである。
【0041】
内側ブラケット106には、二段ギヤ103及びギヤプーリ120が取り付けられた子ブラケット102が、締結手段である取り付けネジ104,105及び116により取り付けられている。その取り付けネジ104,105は、大口径ギヤ101の軸方向投影面内に位置している。一方、取り付けネジ116は、大口径ギヤ101の軸方向投影面内には位置していない。
【0042】
図3は大口径ギヤ101を示す斜視図であり、図4は大口径ギヤ101の正面図である。これらの図に示すように、大口径ギヤ101のウェブには、複数の穴(貫通穴)が開けられている。すなわち、外周側の4個所の穴121〜124と内周側の4個所の穴125〜128である。外周側の穴121〜124は、同一円周上で等間隔に設けられている。また、内周側の穴125〜128も、同一円周上で等間隔に設けられている。穴121〜124の外側には、リブ129が設けられており、穴121〜124によるひけを抑えることができ、ギヤ歯部分の精度向上がなされている。
【0043】
さて、上記のように大口径ギヤ101には穴121〜124が設けられているが、ギヤの中心である駆動軸114から穴121〜124までの距離は、駆動軸114から上記取り付けネジ104又は105のどちらか一方のネジまでの距離とほぼ等しくなっている。また、外側ブラケット108にも、駆動軸114からの距離がそれらの距離(大口径ギヤ101の中心から各穴121〜124までの距離)にほぼ等しく、かつ、取り付けネジ104及び105に対応する位置に、作業穴117,118が設けられている。
【0044】
このような構成により、外側ブラケット108の作業穴117又は118と大口径ギヤ101の穴121〜124を通して、図示しない工具(例えばドライバ)で取り付けネジ104又は105にアクセスすることが可能となる。したがって、外側ブラケット108と内側ブラケット106の2枚のブラケット間に精度良く取り付けられている大口径ギヤ101を取り外すことなく、また、第1モータ109及び第2モータ110や、外側ブラケット108、止め輪111、外側ベアリング112等の多くの部品を取り外すことなく、子ブラケット102を容易に着脱することが可能となる。
【0045】
子ブラケット102が内側ブラケット106との間に支持しているギヤプーリ120及び二段ギヤ103には、第2モータ110からギヤ及びタイミングベルトを介して駆動力が伝達され、さらに上記プリンタの転写搬送ベルト4(の駆動ローラ)に駆動力が伝達される。
【0046】
なお、上記大口径ギヤ101に設けられた内周側の穴125〜128に対応する位置に、ネジなどの被作業部材を備える構成であっても良い。被作業部材は複数であっても良い。そのような場合には、その被作業部材に応じた位置で、外側ブラケット108に作業穴を設けてやれば良い。これにより、駆動軸114により近い位置に設けられた被作業部材にも容易にアクセスすることが可能となる。もちろんその際には、大口径ギヤ101を取り外す必要がない。
【0047】
大口径ギヤ101のウェブに設ける穴の数は、一つの円周上に3つ以上配置するのが望ましい。その理由は、穴の数を1つ又は2つとした場合よりも、3つ以上配置した方が、端面における重さの偏りを少なくし、バランスを良くして回転ムラを減少させることができるからである。図3,4に示す例では、一つの円周上に4つの穴を、互いの穴が等間隔となるように配置している。穴の数が4つ以外の場合も、互いの穴が同一円周上で等間隔となるように配置するのが望ましい。
【0048】
また、穴の形状は図示例では円穴であるが、周方向に延びる長穴(穴の長手方向を円周方向に配置したもの)でも良い。また、扇形の穴でも良い。扇形の場合、扇の合わせ目(2辺の交点)を駆動軸114に向け、扇の弧の部分を円周方向に配置するのが好ましい。このような構成により、大口径ギヤ101の停止位置がネジの位置と多少ずれている場合でも作業が可能となり、作業性が向上する。扇形の穴の場合には、駆動軸114からの距離が異なる位置にあるネジに対して同一の穴で対応することが可能である。さらに、穴を半径方向に延びる長穴も可能である。この場合も、駆動軸114からの距離が異なる位置にあるネジに対して同一の穴で対応することが可能である。
【0049】
次に、駆動装置の第2実施例を図5を参照して説明する。
図5に示す第2実施例の駆動装置100Bは、基本的な構成は上記第1実施例の駆動装置100と同様であるので、重複する説明は省略し、異なる部分のみ説明する。
【0050】
本第2実施例の駆動装置100Bでは、駆動軸114から上記取り付けネジ104及び105までの距離が、両方とも、駆動軸114から穴121〜124までの距離とほぼ等しくなっている。
【0051】
このような構成により、外側ブラケット108の作業穴117,118と大口径ギヤ101の穴121〜124を通して、図示しない工具(例えばドライバ)で取り付けネジ104及び105にアクセスすることが可能となる。したがって、精度良く取り付けられている大口径ギヤ101を取り外すことなく、また、第1モータ109及び第2モータ110や、外側ブラケット108、止め輪111、外側ベアリング112等の多くの部品を取り外すことなく、子ブラケット102をさらに容易に着脱することが可能となる。
【0052】
また、本第2実施例では、駆動装置100Bを画像形成装置の筐体に取り付けるための取り付けネジ107も、大口径ギヤ101の軸方向投影面内に位置している。そして、この取り付けネジ107に対応する作業穴穴119が外側ブラケット108に設けられている。これにより、外側ブラケット108の作業穴119と大口径ギヤ101の穴121〜124を通して、取り付けネジ107に容易にアクセスすることができる。したがって、大口径ギヤ101の軸方向投影面内に駆動装置を本体装置に装着するためのネジ止め箇所を配置した構成であっても、駆動装置を分解することなく着脱することが可能となる。
【0053】
図6は、大口径ギヤ101の穴(4個所の穴121〜124のいずれか1つの穴)を取り付けネジ104に合わせた状態を示す正面図である。また、図7は、大口径ギヤ101の穴(4個所の穴121〜124のいずれか1つの穴)を取り付けネジ105に合わせた状態を示す正面図である。また、図8は、大口径ギヤ101の穴(4個所の穴121〜124のいずれか1つの穴)を取り付けネジ107に合わせた状態を示す正面図である。
【0054】
そして、図9は、上記3つの取り付けネジ104,105,107の位置関係を示す模式図である。この図において、駆動軸114を中心とする円TM上に、3つの取り付けネジ104,105,107がそれぞれ位置している。したがって、駆動軸114からほぼ等しい距離に子ブラケット取り付けネジ104及び105と駆動装置取り付けネジ107が配置されていることが分かる。なお、大口径ギヤ101に設けられた4個所の穴121〜124も、上記円TMの円周上にほぼ位置している。
【0055】
上述したように、本発明による駆動装置は、大口径ギヤを取り外すことなくその内側にある部材へのアクセスが可能であるため、作業性に優れるとともに、高精度に組み付けられている大口径ギヤの精度が維持され、高品質な駆動性能を発揮することができる。
【0056】
また、本発明の駆動装置により画像形成装置の感光体を駆動する構成においては、感光体周りに配置される機器・部材の組付けやメンテナンスあるいは修理等の作業が容易になるとともに、それらの作業のために大口径ギヤを取り外す必要がないので、大口径ギヤの精度が低下することがなく、そのため、バンディングや色ズレなどが発生しない高品質な画像を得ることが可能となる。また、用紙搬送精度の低下なども防止することができる。
【0057】
第1モータ109が大口径ギヤ101を介して感光体のみを駆動する構成とした場合には、他の被駆動体や他のユニットを駆動することによる、ギヤ1歯やギヤ1回転のピッチの影響をなくし、バンディングや位置ズレを防止して高品質な画像を得ることができる。
【0058】
大口径ギヤ101は減速比が1/18以下の一段変速ギヤであるで好ましい。これにより、感光体ドラムを駆動源から1個の減速ギヤで駆動することが可能となり、複数のギヤ列を用いた場合のギヤピッチの影響などを排することができ、バンディングや画像の位置ズレ・色ズレを効果的に防止することができる。また、感光体駆動のための部品点数が少なくて済むことによるコストダウン及び信頼性向上の効果もある。
【0059】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、大口径ギヤの内側に配置される機器や部材は任意であり、大口径ギヤの貫通穴を通してアクセスされる被作業部材もネジ等の締結手段に限らず、任意の被作業部材が可能である。例えば、各種機器を直接調整する構成なども可能であり、タイミングベルトのテンションを調節する構成などが考えられる。また、大口径ギヤの直径や歯数、減速比なども任意であり、大口径ギヤに設ける穴の数や位置なども適宜設定できるものである。
【0060】
駆動装置により駆動する対象も任意であり、画像形成装置以外の装置に本発明による駆動装置を搭載することも可能である。また、画像形成装置に本発明による駆動装置を搭載する場合でも、駆動対象は感光体に限定されるものではない。
【0061】
また、プリンタ構成の装置に必要に応じてスキャナやADFを搭載することも可能であるし、もちろん、画像形成装置としてはプリンタに限らず、複写機やファクシミリ、あるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る駆動装置を備える画像形成装置の一例であるプリンタの概略を示す断面構成図である。
【図2】駆動装置の一実施例を示す透視斜視図である。
【図3】大口径ギヤを示す斜視図である。
【図4】大口径ギヤの正面図である。
【図5】駆動装置の第2実施例を示す透視斜視図である。
【図6】大口径ギヤに設けた穴を取り付けネジに合わせた状態を示す正面図である。
【図7】大口径ギヤに設けた穴を他の取り付けネジに合わせた状態を示す正面図である。
【図8】大口径ギヤに設けた穴を更に他の取り付けネジに合わせた状態を示す正面図である。
【図9】3つの取り付けネジの位置関係を示す模式図である。
【符号の説明】
【0063】
1 感光体ドラム
3 現像装置
5 レーザ書込みユニット
6 定着装置
100 駆動装置
101 大口径ギヤ
102 子ブラケット
103 二段ギヤ
104,105 取り付けネジ(子ブラケット取り付け用)
106 内側ブラケット
107 取り付けネジ(駆動装置固定用)
108 外側ブラケット
109 第1モータ(感光体駆動モータ)
110 第2モータ
114 駆動軸
121〜124 穴
117,118,119 作業穴
120 ギヤプーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体を駆動する大口径ギヤを備える駆動装置において、
前記大口径ギヤよりも軸方向の内側にあり、かつ、前記大口径ギヤの軸方向投影面内に位置して設けられた被作業部材を有し、
前記大口径ギヤの端面に貫通穴が設けられ、ギヤ中心から前記貫通穴までの距離が、ギヤ回転軸から前記被作業部材までの距離とほぼ等しくなるように設けられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記被作業部材が複数設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記被作業部材が締結手段であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記締結手段により、当該駆動装置を構成する部材が当該駆動装置の筐体に取り付けられることを特徴とする、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記締結手段により、当該駆動装置が、当該駆動装置が装着される本体装置に取り付けられることを特徴とする、請求項3に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記大口径ギヤの回転軸を中心とする一つの円周上に前記貫通穴が複数個設けられ、かつ、該複数個の貫通穴が互いに等間隔に設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記大口径ギヤの回転軸を中心とし互いに半径が異なる複数の円周上にそれぞれ前記貫通穴が複数個設けられ、かつ、それぞれの円周上に設けられた前記複数個の貫通穴が互いに等間隔に設けられていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記複数個の貫通穴の数が3つ以上であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記貫通穴が長穴又は扇形形状であり、該長穴の長手方向又は該扇形の弧辺を前記大口径ギヤの円周方向に向けて配置していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記貫通穴が長穴形状であり、該長穴の長手方向を前記大口径ギヤの半径方向に向けて配置していることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記大口径ギヤの端面にリブが設けられ、前記貫通穴が前記リブ以外の場所に設けられるとともに、前記リブは前記貫通穴よりもギヤ半径方向の外側に配置されることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の駆動装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の駆動装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
前記駆動装置により像担持体を駆動することを特徴とする、請求項12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記駆動装置の大口径ギヤは、0.6mmピッチ以下のギヤ比であることを特徴とする、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
当該画像形成装置がフルカラー画像の形成が可能な装置であり、前記駆動装置の大口径ギヤは、0.4mmピッチ以下のギヤ比であることを特徴とする、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記駆動装置の大口径ギヤを駆動する駆動手段は、前記大口径ギヤを介して像担持体のみを駆動することを特徴とする、請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項17】
前記大口径ギヤは、減速比が1/18以下の一段変速ギヤであることを特徴とする、請求項13に記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−69646(P2009−69646A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−239719(P2007−239719)
【出願日】平成19年9月14日(2007.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】