説明

駐車スペース監視システム

【課題】車両の周縁を確実に監視が可能な駐車スペース監視システムを提供する。
【解決手段】駐車スペース2を監視する駐車スペース監視システム1において、駐車スペース2内の駐車領域9に車両が在車していることを検知し、在車信号を出力する在車検知手段3と、駐車領域9に車両が駐車したときに少なくとも車両のドアと対応した位置に設けた人検知領域12に設置され、人検知領域12に人がいることを検知して、人検知信号を出力する人検知手段4と、在車検知手段3により在車信号が出力されていることを条件に、人検知手段4により人検知信号が出力されたときに、異常が発生したことを通知する異常通知手段5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車スペースを監視する駐車スペース監視システムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
時間貸しや月極めの駐車場及び集合住宅に隣接する駐車場内等の駐車スペースにおいて、車両の盗難や車上荒らしが発生している。このような犯罪の発生を抑制するため、駐車スペースをカメラ等の撮像手段によって撮像した映像を用いて監視する駐車スペース監視システムが普及している。
【0003】
この種の駐車スペース監視システムとしては、例えば、特許文献1等に記載されたものがある。特許文献1に記載された駐車スペース監視システムは、駐車場内に設定された駐車スペース内への侵入監視を撮像手段によって撮像した映像を用いて行う構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−241966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この種の駐車スペース監視システムは、撮像手段によって駐車スペースを撮像し、その映像情報のみに頼った監視システムであるため、駐車スペースに駐車中の車両と撮像手段との位置関係によっては、車両の周縁において撮像手段によって撮像できない撮像死角が存在してしまう場合があり、このような撮像死角におけるセキュリティが弱くなるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は上記の問題点に着目し、車両の周縁、特に侵入口に成る可能性が高い車両のドア付近を確実に監視が可能な駐車スペース監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明による駐車スペース監視システムは、駐車スペースを監視する駐車スペース監視システムにおいて、前記駐車スペース内の駐車領域に車両が在車していることを検知し、在車信号を出力する在車検知手段と、前記駐車領域に前記車両が駐車したときに少なくとも前記車両のドアと対応した位置に設けた人検知領域に設置され、前記人検知領域に人がいることを検知して、人検知信号を出力する人検知手段と、前記在車検知手段により前記在車信号が出力されていることを条件に、前記人検知手段により前記人検知信号が出力されたときに、異常が発生したことを通知する異常通知手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明による駐車スペース監視システムによれば、在車信号が出力されたことを条件に、駐車スペース内の駐車領域に車両が駐車したときに少なくとも車両のドアと対応した位置に設けた人検知領域に設置した人検知手段により人検知信号が出力されているときに、異常が発生したことを通知することで、駐車スペースの監視をすることができるので、従来の撮像手段を用いた駐車スペース監視システムのような死角が車両のドア付近にないため、車両の周縁、特に侵入口に成る可能性が高い車両のドア付近の監視を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による駐車スペース監視システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
【図2】上記実施形態における人検知手段の構成を示すブロック図である。
【図3】上記実施形態の駐車スペース監視システムの動作を示すフロー図で、特に、監視開始までのフローを示す。
【図4】上記実施形態の駐車スペース監視システムの動作を示すフロー図で、図3の動作に続く、監視中のフローを示す。
【図5】上記実施形態の人検知手段の人検知動作を示すフロー図である。
【図6】上記実施形態の駐車スペース監視システムの動作を示すフロー図で、図4の動作に続く、監視終了のフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による駐車スペース監視システムの一実施形態の概略構成を示すブロック図である。
図1において、本実施形態の駐車スペース監視システム1は、駐車スペース2を監視するシステムであり、在車検知手段3と、人検知手段4と、送信制御手段6と、異常通知手段5と、撮像手段7と、情報入力手段8とを備えて構成されている。なお、本実施形態においては、駐車スペース2が複数設けられた駐車場であって、駐車スペース2内に設けられた駐車領域9に入庫した車両の退出を阻止する車両退出阻止装置10と、駐車料金の精算完了を条件に車両退出阻止装置10による車両の退出阻止を解除する駐車料金精算機11とを備え、駐車スペース2毎に車両を個別管理する、いわゆる、個別管理タイプの時間貸し駐車場に、本発明に係る駐車スペース監視システムを適用した場合について説明する。
【0011】
上記在車検知手段3は、駐車スペース2内に設けられた駐車領域9に車両が在車していることを検知し、車両の在車を示す在車信号を出力する一般的なものであり、例えば、駐車領域9に車両を検知する検知コイルを埋設等して構成されたものである。在車検知手段3は、車両の在車を検知すると車両の在車を示す在車信号を、駐車料金精算機11に出力するように構成されている。
【0012】
本実施形態において、在車検知手段3は、図1に示すように、複数設けられた各駐車スペース2にそれぞれ設けられ、在車信号を駐車スペース2の位置を特定する位置情報、例えば、予め設定した各駐車スペース2の番号(以下において、「車室番号」と言う)と関連付けて出力するように構成されている。これにより、どこの駐車領域9に車両が駐車されたかが分かる。
【0013】
上記人検知手段4は、図1に示すように、駐車領域9を囲うように設けた人検知領域12(斜線で示した領域)に設置され、人検知領域12に人がいることを検知して、人検知信号を出力するものである。人検知手段4は、人がいることを検知すると人検知信号を、送信制御手段6に出力するように構成されている。本実施形態においては、人検知手段4は、踏圧の作用により変形して人検知信号を出力する圧電素子をマット状に形成したものである。このように構成することにより、既設の駐車スペース2に容易に設置することができる。また、人検知手段4は、図2に示すように、無線により人検知信号を送信する無線送信部4aと、踏圧の作用により出力を発生する圧電素子から成りその出力を無線送信部4aの電源としても供給可能な発電部4bと備えて構成する。これにより、人検知手段4から送信制御手段6等への信号送信用の配線が不要となり施工がさらに容易になり、また、人検知手段4は、自ら発電して通信可能であるため、受電用の配線が不要となり、施工がより容易になる。この場合、例えば、無線送信部4aは、発電部4bの出力値が予め設定する所定の閾値を越えているか否かを判定し、出力値が閾値を越えていると判定したときに、人検知信号を出力するように構成する。踏圧の作用により出力する人検知手段4は、作用する踏圧の大きさによって出力値が異なるため、例えば、犬や猫のような軽い動物が発電部4bを踏んだときの出力値を予め測定しておき、この測定値を参考にして上記閾値を適切に設定することにより、犬や猫等の軽い動物等が人検知領域12に侵入しても人検知信号を出力しないようにすることができる。これにより、異常通知手段5は、犬や猫等の軽い動物等が人検知領域12に侵入しても、人検知信号を受信しないため、異常の発生の誤通知を低減することができる。
【0014】
また、本実施形態において、人検知手段4は、複数設けられた各駐車スペース2にそれぞれ設けられ、人検知信号を駐車スペース2の位置を特定する位置情報(車室番号)と関連付けて出力するように構成されている。これにより、どこの駐車領域9で人が検知されたのかが分かる。
【0015】
上記異常通知手段5は、在車検知手段3により在車信号が出力されていることを条件に、人検知手段4により人検知信号が出力されたときに、異常が発生したことを通知するものであり、例えば、監視員が常駐する監視室等に設置されている。本実施形態においては、異常通知手段5は、後述するように、在車検知手段3により在車信号が出力されていることを条件に、人検知手段4により人検知信号が出力されたときに、人検知信号を送信する送信制御手段6からの人検知信号を受信したとき、異常の発生を通知するように構成されている。異常通知手段5は、具体的には、例えば、図1に示すように、通信部5aと、記憶部5bと、表示部5cと、通知部5dとを備えて構成されている。
【0016】
上記通信部5aは、人検知手段4からの人検知信号、位置情報及び情報入力手段8に入力された後述する各種情報等の信号を、送信制御手段6を介して受信すると共に、撮像手段7から映像情報の信号を受信するものである。上記記憶部5bは、これらの情報を記憶するものである。上記表示部5cは、撮像手段7からの映像情報の信号に基づき、駐車領域9の映像等を表示したり、通知部5dからの異常の発生の情報を表示したりするものである。また、通知部5dは、通信部5aを介して人検知信号を受信すると、表示部5cに異常が発生していること表示させたり、図示省略する警告音発生手段に対して警告音を発生させたりするような制御等して、駐車スペース2の異常を監視員等に通知するものである。本実施形態のように、撮像手段7を備える構成の場合、例えば、この通知部5dは、通信部5aが人検知信号を受信するとその受信時刻を記録し、この時刻における映像情報を記憶部5bから取得し、映像情報付きで異常の発生を通知するように構成されている。
【0017】
本実施形態においては、異常通知手段5は、人検知信号を受信したとき、位置情報(車室番号)に基づいて駐車スペース2の位置を特定して異常の発生を通知可能に構成されている。これにより、監視員等は、どこの駐車領域9に人が侵入したのかを知ることができる。
【0018】
また、本実施形態においては、異常通知手段5は、後述するように、駐車料金精算機11に在車信号が入力されてから予め設定する所定時間経過後に、送信制御手段6から監視開始が通知され、駐車料金精算機11から駐車料金の精算完了信号を受信してから予め設定する所定時間経過後に、送信制御手段6から監視終了が通知されるように構成されている。これにより、異常通知手段5は、監視開始の通知から監視終了の通知までの期間を、異常の発生の通知期間とすることができる。異常通知手段5は、これに限らず、駐車料金精算機11から車両を駐車した駐車領域9が見渡せるため駐車料金の精算後に監視する必要がないような場合には、駐車料金精算機11から駐車料金の精算完了信号を受信したら直ちに送信制御手段6から監視終了の通知を受信するように構成してもよい。
【0019】
上記送信制御手段6は、在車検知手段3により在車信号が駐車料金精算機11に出力されていることを条件に、人検知手段4により人検知信号が出力されたときに、異常通知手段5へ人検知信号を送信するものであり、例えば、駐車料金精算機11に設けられている。送信制御手段6は、例えば、無線受信部6aと送信制御部6bとを備えて構成されている。この無線受信部6aは、人検知手段4の無線送信部4aから無線によって送信された人検知信号を受信し、送信制御部6bは、受信した人検知信号の異常通知手段5への送信を制御するように構成されている。また、送信制御手段6を上記のように駐車料金精算機11内に設けると、電源等を駐車料金精算機11と共有できるため、配線施工等が容易となる。なお、送信制御手段6は、上記のように駐車料金精算機11内に設ける構成に限らず、例えば、駐車スペースの任意の場所に設ける構成にしてもよい。この場合、例えば、在車検知手段3から在車信号が、送信制御手段6に直接入力されるように構成する。
【0020】
また、本実施形態において、送信制御手段6は、駐車料金精算機11に在車信号が入力されてから予め設定する所定時間経過後に、異常通知手段5に監視開始を通知し、駐車料金精算機11から駐車料金の精算完了信号を受信してから予め設定する所定時間経過後に、異常通知手段5に監視終了を通知するように構成されている。これにより、異常通知手段5の異常の発生の通知期間を定めることができる。ここで、監視終了を通知するための所定時間は、例えば、利用者が、駐車料金の精算を完了させてから、車両を駐車した駐車スペース2へ到達するまでに必要な時間を目安に設定し、また、監視開始を通知するための所定時間は、例えば、在車検知後、利用者が、車両から降りて駐車料金精算機11(情報入力手段8)へ到達するまでに必要な時間を目安に設定する。なお、情報入力手段8を設けない場合は、監視開始を通知するための所定時間は、在車検知後、利用者が車両から降りて駐車スペース2外に出るまでに必要な時間を目安に設定するとよい。また、本実施形態においては、送信制御手段6は、在車検知手段3から出力された検知位置情報(車室番号)に対応する人検知領域12の監視開始を通知し、駐車料金精算機11で駐車料金の精算が完了した車室番号に対応する人検知領域12の監視終了を通知する。
【0021】
また、本実施形態においては、送信制御部6bは、情報入力手段8に入力された後述する会員情報及び位置情報を受信して異常通知手段5に送信可能に構成されており、車両の在車が検知されてから予め設定した所定時間(例えば、在車検知後、利用者が車両から降りて駐車料金精算機11へ到達するまでに必要な時間)内に情報入力手段8に会員情報及び位置情報の入力があるか否かを判定するように構成する。送信制御部6bは、在車検知後、所定時間内に会員情報及び位置情報の入力がある場合は、入力された位置情報(車室番号)に対応する人検知領域12の監視開始を異常通知手段5に通知すると共に入力された会員情報も通知し、所定時間内に会員情報及び位置情報の入力がない場合は、単に、在車検知手段3から出力された位置情報(車室番号)に対応する人検知領域12の監視開始を異常通知手段5に通知するように構成する。このように構成することにより、利用者の会員情報及び位置情報を、異常通知手段5へ送信して、後述するように予め記憶部5bにその情報を記憶させることができる。
【0022】
上記撮像手段7は、駐車スペース2内を撮像して異常通知手段5へ映像情報を出力する一般的なものであり、駐車スペース2を撮像する撮像部7aと撮像部7aが撮像した画像の映像情報を異常通知手段5へ送信する映像送信部7bとを備えて構成されている。撮像手段7は、後述する通信ネットワーク14に接続されており、この通信ネットワーク14を介して映像情報を異常通知手段5へ送信するように構成されている。なお、撮像手段7は、通信ネットワークを介さず、直接異常通知手段5に接続して映像情報を送信するように構成してもよい。撮像手段7は、例えば、駐車スペース2毎の画像の映像情報を出力するものであってもよいし、駐車スペース全体や駐車場全体の画像の映像情報を出力するものであってもよい。このように、撮像手段7を備えて構成することにより、撮像手段7の撮像可能な領域においては、駐車領域9の周囲の状況を視覚的に把握することができる。なお、本実施形態においては、撮像手段7を備える場合で説明するが、これに限らず、撮像手段7を備えなくてもよい。
【0023】
また、本実施形態において、異常通知手段5と、送信制御手段6と、撮像手段7とを、外部の携帯通信端末機と通信可能な通信ネットワーク14で接続するように構成されている。この場合、監視員が備える例えば携帯電話等である携帯通信端末機13aの通信先の情報(例えば、メールアドレス等)を予め記憶部5bに記憶させ、通知部5dは、送信制御手段6から送信された人検知信号を受信したとき、記憶部5bに予め記憶された監視員の通信先に通信ネットワーク14を介して、外部のメール送信手段14a等によって、異常の発生を通知するように構成する。このように構成することにより、監視員に異常の発生を直ちに通知することができる。
【0024】
さらに、上記のように、異常通知手段5等を通信ネットワーク14で接続して、監視員が備える携帯通信端末機13aの通信先に異常の発生を通知する場合、駐車スペース2に車両を駐車した利用者の携帯通信端末機13bの通信先の情報を記憶部5bに記憶させ、通知部5dは、送信制御手段6から送信された人検知信号を受信したとき、記憶部5dに記憶された該当する利用者(すなわち、人検知信号が出力されている人検知領域12に対応する駐車スペース2に車両を駐車した利用者)の携帯通信端末機13bの通信先にも異常の発生を通知可能に構成する。本実施形態においては、利用者の携帯通信端末機13bの通信先の情報と利用者が車両を駐車した駐車スペース2の位置情報は、情報入力手段8によって取得し、この通信先の情報と位置情報とを関連付けて記憶部5bに記憶させるように構成し、通知部5dは、人検知手段4からの位置情報(例えば車室番号)と一致する位置情報(例えば車室番号)が記憶部5bに記憶されている場合は、この一致した位置情報と関連付けて記憶された利用者の携帯通信端末機13bの通信先に異常の発生を通知するように構成する。このように構成することにより、監視員に加えて、該当する利用者へも異常の発生を通知することができる。また、本実施形態のように、撮像手段7を設ける構成の場合、利用者へ自分の車両の周縁の画像付きで異常の発生を通知することができる。
【0025】
上記情報入力手段8は、利用者が備える携帯通信端末機13bの通信先の情報(例えば、メールアドレス)と、車両を駐車した駐車スペース2の位置を特定する位置情報(例えば車室番号)を利用者等が入力可能なものであり、例えば、図1に示すように駐車料金精算機11に設けられている。具体的には、情報入力手段8は、入力キーボードと、時間貸し駐車場において予め発行されている会員カードから情報を読取り可能なカードリーダとを備えて構成されている。この会員カードは、各種サービス(駐車料金の割引等)を行うために予め発行されているものであり、通信先の情報等を含む会員情報が予め記憶されている。このように構成することにより、利用者は、入力キーボードに位置情報を入力し、会員カードをカードリーダに例えば挿入等して通信先の情報を読取らせることができる。なお、情報入力手段8は、利用者の通信先の情報を会員カードから読取る構成としたが、これに限らず、入力キーボードで位置情報と合わせて通信先の情報を入力可能にしてもよい。
【0026】
上記情報入力手段8は、少なくとも、利用者が備える携帯通信端末機13bの通信先の情報(例えば、メールアドレス)と、を利用者等が入力可能なものであり、例えば、図1に示すように駐車料金精算機11に設けられている。情報入力手段8は、例えば、入力キーボード等を備えて構成されている。本実施形態においては、情報入力手段8は、車両を駐車した駐車スペース2の位置を特定する位置情報(例えば車室番号)をも利用者等が入力可能に構成されている。利用者は、例えば、駐車後に情報入力手段8に通信先の情報等を入力して駐車スペース2から離れる。なお、例えば、通信先の情報等を含む会員情報が記憶された会員カード等を予め発行して各種サービス(駐車料金の割引等)を行っている時間貸しの駐車場においては、情報入力手段8は、カードリーダも備えて構成し、通信先情報をこの会員カードから読取可能に構成するとよい。これにより、利用者は、会員カード等をカードリーダに例えば挿入等するだけで、通信先情報を読取らせることができる。
【0027】
次に、このように構成された駐車スペース監視システム1の動作を、図3〜図6に示すフロー図を参照して説明する。
【0028】
まず、図3に基づいて、車両の在車を検知してから監視を開始するまでの動作を説明する。利用者が駐車領域9内に車両を駐車すると、在車検知手段3は、車両の在車を検知(STEP1)し、例えば在車信号と車室番号を関連付けた信号を在車情報信号として駐車料金精算機11に出力する(STEP2)。そして、送信制御手段6は、駐車料金精算機11に入力された在車情報信号を受信する。この際、車両は車両退出阻止装置10によって駐車領域9からの退出が阻止される(STEP3)。ここで、送信制御部6bは、駐車料金精算機11に在車信号が入力されてから所定時間内に情報入力手段8に会員情報(利用者の携帯通信端末機13bの通信先の情報等)及び位置情報(車室番号)の入力があるか否かを判定(STEP4)し、在車検知後、所定時間内に会員情報及び位置情報の入力がある場合(STEP4:Yes)は、入力された位置情報(車室番号)に対応する人検知領域12の監視開始を異常通知手段5に通知すると共に、入力された会員情報を異常通知手段5に送信(STEP5)し、監視を開始させ(STEP6)、図4に示すSTEP7に進む。この際、異常通知手段5の記憶部5bは、送信制御部6bから出力された会員情報と位置情報を関連付けて記憶する。一方、送信制御部6bは、在車検知後、所定時間内に会員情報及び位置情報の入力がない場合(STEP4:No)は、単に、受信した位置情報(車室番号)に対応する人検知領域12の監視開始を異常通知手段5に通知(STEP5’)し、監視を開始させ(STEP6)、次のSTEP7に進む。
【0029】
次に、図4に基づいて、監視中の動作を説明する。送信制御手段6は、人検知信号と位置情報(車室番号)を関連付けた人検知情報信号を受信したか否かを判定する(STEP7)。ここで、一旦図5に移って、人検知信号4の動作について説明する。発電部4bに踏圧が作用(STEP1c)した場合、発電部4bは、発電(STEP2c)し、無線送信部4aは、発電部4bの出力値が予め設定する所定の閾値を越えているか否かを判定(STEP3c)し、出力値が閾値を越えていない場合(STEP3c:No)は、継続して出力値が閾値を超えたか否かを判定し、出力値が閾値を越えた場合(STEP3c:Yes)は、人検知情報信号を送信制御手段6に送信する(STEP4c)。図4に戻って、STEP7において、送信制御手段6は、人検知情報信号を受信していないと判定した場合(STEP7:No)は、継続して人検知情報信号を受信したか否かを監視し、受信したと判定した場合(STEP7:Yes)は、その受信した人検知情報信号を異常通知手段5に送信する(STEP8)。そして、異常通知手段5は、人検知情報信号を受信(STEP9)する。異常通知手段5は、人検知情報信号の受信時刻を記録し、この時刻における映像情報を記憶部5bから取得(STEP10)する。そして、異常通知手段5は、受信した人検知情報信号内の位置情報(車室番号)と一致する位置情報(車室番号)が記憶部5bに記憶されているか否かを判定(STEP11)する。異常通知手段5は、一致する車室番号が記憶されていると判定した場合(STEP11:Yes)は、車室番号に基づき会員情報を記憶部5bから取得(STEP12)し、その会員情報から利用者の携帯通信端末機13bの通信先(例えば、メールアドレス等)を取得(STEP13)し、利用者の携帯通信端末機13bの通信先に、記憶部5bから取得した映像情報に基づく画像付きで異常の発生を通知(STEP14)すると共に、監視員の携帯通信端末機13aの通信先を記憶部5bから取得し、人検知信号を受信した駐車スペース2の車室番号と、利用者へ送信した画像と同じ画像を付加して異常の発生を通知(STEP15)する。一方、STEP11において、受信した人検知情報内の車室番号と一致する車室番号が記憶部5bに記憶されていない場合(STEP11:No)は、STEP15へ進み、監視員にのみ、車室番号を特定して異常の発生を画像付きで通知する。そして、図6に示すSTEP16へ進む。
【0030】
次に、図6に基づいて、監視終了の動作を説明する。利用者によって駐車料金精算機11に車室番号が入力され、その車室番号における駐車料金の精算が完了する。この際、車両退出阻止装置10による車両の退出阻止は解除される(STEP16)。そして、送信制御手段6は、異常通知手段5に駐車料金の精算が完了した車室番号に対応する人検知領域12の監視終了を通知(STEP17)し、監視を終了させる(STEP18)。その後、退出阻止が解除された車両が駐車領域9外に退出すると、在車検知手段3は、車両の出庫を検知する(STEP19)。
【0031】
このような構成により、本実施形態における駐車スペース監視システム1によれば、在車信号が出力されたことを条件に、駐車スペース2内の駐車領域9を囲うように設けた人検知領域12に設置した人検知手段4により人検知信号が出力されているときに、異常が発生したことを通知することで、駐車スペース2の監視をすることができるので、従来の撮像手段を用いた駐車スペース監視システムのような死角がないため、車両の周縁の監視を確実に行うことができる。
【0032】
なお、上記実施形態においては、情報入力手段8に通信先の情報と駐車位置情報が入力され、人検知手段4からの位置情報と一致する位置情報が記憶部5bに記憶されている場合に、一律に、利用者の携帯通信端末機13bに異常の発生を通知するものとしたが、これに限らず、利用者がこのような異常通知のサービスを受けるか否かを選択入力可能に構成してもよい。例えば、情報入力手段8に異常通知のサービスを受けるか否かの選択用ボタンを設けて構成する。これにより、利用者は、例えば、位置情報等を入力する際に、このサービス受けるか否かを選択可能となる。また、このサービスを有料としてもよい、この場合、例えば、駐車料金の精算時に、このサービスに対する料金を課金するように構成するとよい。
【0033】
また、上記実施形態において、異常の発生の通知可能な期間(以下において、「監視期間」と言う)を、監視開始の通知から監視終了の通知までの間としたが、監視期間中であっても、監視を解除可能に構成してもよい。例えば、情報入力手段8に監視を解除する監視解除ボタンを設けて構成する。これにより、監視期間中に、例えば利用者の都合等(忘れ物を取りに戻ってきた場合等)により利用者が車両に近づいた場合でも、不要な異常の発生の通知を防止することができる。具体的には、例えば、利用者により情報入力手段8に会員情報が監視期間中に再度入力され、監視解除ボタンが押されると、異常通知手段5は、入力された情報と一致する情報が記憶部5bに記憶されている場合は、監視を解除しようとしている人は正当な利用者であると判断し、入力された車室番号に対応する人検知領域12からの人検知信号を受信しても、異常の発生の通知をしないように構成し、再び各情報を入力された場合は、異常の発生を通知可能とするように構成するとよい。
【0034】
また、上記実施形態においては、利用者へも異常の発生を通知するサービスを行う場合で説明したが、これに限らず、このサービスは行わなくてもよい、この場合は、情報入力手段8は不要となる。
【0035】
また、上記実施形態においては、人検知手段4は、発電可能な構成としたが、これに限らず、例えば、外部から受電したり電池を内蔵したりして、電源の供給を受ける構成としてもよい。また、上記実施形態においては、人検知手段4において、出力値が所定の閾値を越えているか否かを判定することで、人検知領域12内への犬や猫等の侵入による異常の発生の誤通知を抑制していたが、これに限らず、送信制御手段6で、人検知手段4の出力値が所定の閾値を超えているか否かを判定するように構成してもよい。この場合、送信制御手段6は、所定の閾値を越えており、かつ、在車検知手段3により車両の在車が検知されている場合に、異常通知手段5へ人検知信号を送信するように構成する。これにより、人検知手段4の無線送信部4aは、発電部4bの出力値の閾値判定をする必要はなく、また、出力値の大きさに関係なく単に人検知信号を出力するように構成すればよいため、人検知手段4の構成を簡素化することができる。なお、人検知手段4は、踏圧の作用により変形して人検知信号を出力する圧電素子をマット状に形成したものとして説明したが、これに限らず、駐車領域9を囲うように設けた人検知領域12に設置され、人検知領域12に人がいることを検知して、人検知信号を出力するものであればどのような構成であってもよい。また、人検知手段4は、無線式に限らず、有線で人検知信号を送信する構成としてもよい。この場合、送信制御手段6は、言うまでもなく、有線による人検知信号を受信可能に構成する。
【0036】
また、上記実施形態において、異常通知手段5と送信制御手段6とを外部の携帯通信端末と通信可能な通信ネットワーク14で接続する場合で説明したが、これに限らず、図示省略するが、例えば、異常通知手段5のみに通信ネットワーク14に接続すると共に、送信制御手段6から異常通知手段5への信号送信用の配線を設ける構成としてもよい。また、監視員が備える携帯通信端末機13aに異常の発生を通知する構成で説明したが、これに限らず、監視員の携帯通信端末機13aに異常の発生を通知しなくてもよい。この場合であっても、例えば、前述したように、監視室等に設ける異常通知手段5の表示部5cによって異常の発生を表示し、図示省略する警告音発生手段から警告音を発生させることができるため、これらにより、監視員は駐車スペース2の監視を行うことができる。このように監視員が備える携帯通信端末機13aに異常の発生を通知しない構成の場合、通信ネットワーク14は不要となり、単に、送信制御手段6と異常通知手段5間の配線を設けるだけでよい。
【0037】
なお、上記実施形態において、送信制御手段6を設ける場合で説明したが、これに限らず、送信制御手段6を設けなくてもよい。この場合、例えば、異常通知手段5の通信部5aが、各種情報の信号を直接受信し、異常通知手段5の通知部5dが、受信した情報に基づいて、異常の発生を通知するように構成するとよい。
【0038】
また、上記実施形態においては、いわゆる個別管理タイプの時間貸し駐車場に駐車スペース監視システム1を適用した場合で説明したが、これに限らず、図示省略するが、駐車場の出入口に遮断バーが設けられた、いわゆる、一般的なゲート式の時間貸し駐車場に駐車スペース監視システム1を適用することもできる。ゲート式の時間貸し駐車場の場合は、一般的に、駐車領域9から車両退出後に、出口付近等に設けられた駐車料金精算機11で駐車料金の精算をしてから、駐車場からの車両の出庫が許可される。したがって、ゲート式の時間貸し駐車場の場合、利用者は精算前に人検知領域12内に入るため、精算前に人検知領域12の監視を終了させる構成にする。具体的には、例えば、精算前に情報入力手段8に利用者が会員情報と位置情報(車室番号)とを再度入力し、入力された情報と一致する情報が記憶部5bに記憶されている場合は、監視を終了しようとしている人は正当な利用者であると判断し、入力された車室番号に対応する人検知領域12の監視を終了するように構成するとよい。これにより、利用者は、駐車料金の精算前に、監視を終了させることができるため、異常の発生の通知をさせることなく車両を駐車スペース2から退出させて、駐車料金精算機11に向かうことができる。
【0039】
また、上記実施形態において、利用者が不特定多数となる時間貸しの駐車場に駐車スペース監視システム1を適用した場合で説明したが、これに限らず、利用者が予め特定された駐車場、例えば、集合住宅(マンション等)に隣接する駐車場や月極めの駐車場等に駐車スペース監視システム1を適用することもできる。この場合、異常通知手段5は、例えば、集合住宅の管理人室等に設置し、予め特定された利用者が備える携帯通信端末13bの通信先の情報を記憶部5bに予め記憶させ、通知部5dは、人検知信号を受信したとき、予め特定された利用者の通信先にも異常の発生を、通信ネットワークを介して通知可能に構成するとよい。利用者が予め特定された駐車場の場合、利用者が駐車スペース2内のどの位置に車両を駐車するのかについても、予め特定されているため、例えば、記憶部5dに各利用者が車両を駐車する駐車スペース2の位置情報も通信先と関連付けて予め記憶させておけば、各利用者の駐車領域9に対応する人検知領域12で人が検知された場合、各利用者へ異常の発生を通知することができるため、例えば、各利用者が都度情報を入力する情報入力手段8は不要となる。なお、この場合であっても、監視中に利用者が監視を解除可能に構成する場合は、監視を解除する解除手段を駐車場の任意の場所等に設けて構成する。
【0040】
また、上記全ての説明において、駐車スペース2を複数設けた、時間貸し駐車場、集合住宅及び月極めの駐車場等に駐車スペース監視システム1を適用した場合で説明したが、これに限らず、駐車スペース2が1区画である例えば戸建て住宅等の車庫等に駐車スペース監視システム1を適用することもできる。この場合、記憶部5dに利用者の通信先の情報を予め記憶させるだけで、異常通知のサービスを提供することができるため、情報入力手段8を設ける必要はない。この場合であっても、監視中に利用者が監視を解除可能に構成する場合は、監視を解除する解除手段を車庫の任意の場所等に設けて構成する。
【0041】
また、上記全ての説明において、人検知領域12は、図1に示すように、駐車領域9を囲うように、枠状に設けた場合で説明したが、これに限らず、車両内への侵入口に成る可能性が高いのは車両のドアであるため、人検知領域12は、駐車領域9に駐車した車両の少なくともドアと対応した位置に設けさえすればどのように設けてもよく、例えば、各ドアと対応した位置に個別に設けたり、車両の前部を除く部分にコの字状に設けたりしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 駐車スペース監視システム
2 駐車スペース
3 在車検知手段
4 人検知手段
5 異常通知手段
5b 記憶部
5d 通知部
6 送信制御手段
7 撮像手段
9 駐車領域
10 車両退出阻止装置
11 駐車料金精算機
12 人検知領域
13a、13b 携帯通信端末機
14 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駐車スペースを監視する駐車スペース監視システムにおいて、
前記駐車スペース内の駐車領域に車両が在車していることを検知し、在車信号を出力する在車検知手段と、
前記駐車領域に前記車両が駐車したときに少なくとも前記車両のドアと対応した位置に設けた人検知領域に設置され、前記人検知領域に人がいることを検知して、人検知信号を出力する人検知手段と、
前記在車検知手段により前記在車信号が出力されていることを条件に、前記人検知手段により前記人検知信号が出力されたときに、異常が発生したことを通知する異常通知手段と、
を備えたことを特徴とする駐車スペース監視システム。
【請求項2】
前記人検知領域は、前記駐車領域を囲うように設けることを特徴とする請求項1に記載の駐車スペース監視システム。
【請求項3】
前記在車検知手段により前記在車信号が出力されていることを条件に、前記人検知手段により前記人検知信号が出力されたときに、前記異常通知手段へ前記人検知信号を送信する送信制御手段を備え、
少なくとも、前記送信制御手段と前記異常通知手段とを、外部の携帯通信端末機と通信可能な通信ネットワークで接続し、
前記異常通知手段は、少なくとも、前記駐車スペースの監視員が備える前記携帯通信端末機の通信先の情報を予め記憶する記憶部と、前記送信制御手段から送信された前記人検知信号を受信したとき、前記記憶部に記憶された前記通信先に前記通信ネットワークを介して前記異常の発生を通知する通知部とを備えて構成したことを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車スペース監視システム。
【請求項4】
前記駐車スペースに車両を駐車した利用者の前記携帯通信端末機の通信先の情報を前記記憶部に記憶させ、前記通知部は、前記送信制御手段から送信された前記人検知信号を受信したとき、前記記憶部に記憶された該当する前記利用者の前記携帯通信端末機の通信先にも前記異常の発生を通知可能に構成することを特徴とする請求項3に記載の駐車スペース監視システム。
【請求項5】
前記駐車スペースが複数である場合、
前記在車検知手段及び前記人検知手段は、各駐車スペースにそれぞれ設けて構成され、前記在車検知手段は、前記在車信号を前記駐車スペースの位置を特定する位置情報と関連付けて出力し、前記人検知手段は、前記人検知信号を前記位置情報と関連付けて出力し、前記異常通知手段は、前記人検知信号を受信したとき、前記位置情報に基づいて前記駐車スペースの位置を特定して前記異常の発生を通知可能であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の駐車スペース監視システム。
【請求項6】
前記利用者の前記携帯通信端末機の通信先にも前記異常の発生を通知する場合であって、
前記利用者の前記携帯通信端末機の通信先の情報と前記位置情報とを関連付けて、前記記憶部に記憶可能に構成することを特徴とする請求項5に記載の駐車スペース監視システム。
【請求項7】
前記駐車スペースは、前記駐車領域に入庫した車両の退出を阻止する車両退出阻止装置と、駐車料金の精算完了を条件に前記車両退出阻止装置の前記車両の退出阻止を解除する駐車料金精算機とを備えた場合であって、
前記異常通知手段は、少なくとも、前記在車検知手段により車両の在車が検知されてから予め設定する所定時間経過後から、前記駐車料金精算機から前記駐車料金の精算完了信号を受信するまでの期間を、前記異常の発生の通知期間とすること特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の駐車スペース監視システム。
【請求項8】
前記駐車スペースを撮像して前記異常通知手段へ映像情報を出力する撮像手段を備え、前記異常通知手段は、前記人検知信号を受信したとき、前記映像情報付きで前記異常の発生を通知することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の駐車スペース監視システム。
【請求項9】
前記人検知手段は、踏圧の作用により変形して前記人検知信号を出力する圧電素子をマット状に形成したものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の駐車スペース監視システム。
【請求項10】
前記人検知手段は、無線により前記人検知信号を送信可能に構成することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の駐車スペース監視システム。
【請求項11】
前記人検知手段は、前記踏圧の作用により発電可能に構成することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の駐車スペース監視システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−146075(P2012−146075A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3178(P2011−3178)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000004651)日本信号株式会社 (720)
【Fターム(参考)】