説明

骨吸収抑制剤並びに骨吸収抑制用飲食品及び医薬部外品

【課題】 骨粗鬆症や歯周病等の骨疾患に対して、安全で優れた効果を有する骨吸収抑制剤を提供する。また、同様に、骨吸収抑制用飲食品、骨吸収抑制用医薬品部外品、及び骨疾患予防又は治療剤を提供する。
【解決手段】 式Iで示されるアルデヒドを有効成分として含むことを特徴とする。
【化1】


{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨吸収抑制剤に関する。また、本発明は、骨吸収抑制用飲食品又は骨吸収抑制用医薬部外品に関する。
【背景技術】
【0002】
骨の恒常性は、骨リモデリングと呼ばれる骨吸収と骨形成のバランスにより維持されている(非特許文献1)。これら骨吸収と骨形成は、破骨細胞及び骨芽細胞の働きにより制御されており、破骨細胞は骨吸収に、そして骨芽細胞は骨再生において、それぞれ役割を担っている。破骨細胞は、造血細胞に由来した酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(Tartrate-Resistant Acid Phosphatase、以下TRAPと略す)陽性の巨多核細胞であり、破骨細胞形成には、分化、融合、そして活性化(成熟化)のような複合段階を経て進行することが知られている。この破骨細胞による骨吸収の割合が過剰に増加すると、骨の崩壊や深刻な骨疾患である骨粗鬆症、骨転移、リウマチ、又は歯周病等に関わる骨疾患を引き起こす(非特許文献2)。こうした疾患に対し、食事や薬事療法などによる改善が必要とされてきた。従って、破骨細胞による過剰な骨吸収を抑え、骨リモデリングのバランスを調整することは骨疾患を改善することとして理解されている。
【0003】
現在、これらの骨疾患の治療には、活性型ビタミンD3製剤、エストロゲン製剤、ビスホスホネート製剤、カルシウム製剤などが用いられる。これらの薬を服用することにより改善を試みる場合、薬の副作用があることや他の薬の併用などの面で注意が必要であり、より安全な治療薬が必要とされている。近年、破骨細胞形成に対する抑制効果を有する天然由来の有効成分を見出す研究がなされてきており、様々な天然物などを用いたスクリーニングが行われている。その結果、骨粗鬆症等に対する有効成分を含む特定の天然物が見出されてきている(特許文献1及び2)。例として、植物由来の成分であるダイゼインやゲニステインといったエストロゲン様物質にも骨吸収を抑制する作用があることが見出されている(非特許文献3及び4)。また、ヨモギにも骨芽細胞の分化を促進させることにより骨形成を促すことが知られており(特許文献3)、さらに柑橘類も破骨細胞分化抑制の効果を有することが知られている(特許文献4)。また、特許文献5には、破骨細胞の分化抑制作用を有する因子(Osteoprotegerin;OPG又はRANKL)の産生を促す物質として、植物由来のケルセチンを同定したことが開示されており、レモン等の抽出物にケルセチンが含まれることが開示されている。
【0004】
しかしながら、破骨細胞形成は先に記したように複合段階を経て進行する複雑な経路であり、また、従来のスクリーニング方法では分化段階における作用機序についての理解が十分に得られるものが少なかった。従って、破骨細胞における分化抑制の作用機序が明らかな骨吸収抑制効果を有する天然物を同定することは、副作用の非常に少ない破骨細胞の分化抑制物として望まれており、さらに、これまで見出されてきた作用機序の異なる天然物などとの組み合わせによる相乗的な効果も期待することができる。
【0005】
【非特許文献1】Manolagas, S. C. et al., Endocr.Rev.,21,115(2000)
【非特許文献2】Rodan, G. A. et al.,Science,289,1508(2000)
【非特許文献3】Fonseca, D. et al.,Bone,35,489(2004)
【非特許文献4】Khalil, D. A. et al.,Calcif Tissue Int.,76,56(2005)
【特許文献1】特許第3479224号公報
【特許文献2】特表2001−524119号公報
【特許文献3】国際公開第2004/030683号パンフレット
【特許文献4】特開2006−83151号公報
【特許文献5】特開2007−137775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、骨粗鬆症や歯周病等の骨疾患に対して、安全で優れた効果を有する骨吸収抑制剤を提供することである。また、同様に、骨吸収抑制用飲食品、及び骨吸収抑制用医薬部外品、及び骨疾患予防又は治療剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、式Iで示されるアルデヒドを有効成分として含む骨吸収抑制剤を提供する。
【化1】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【0008】
また、本発明は、別の態様として、式Iで示されるアルデヒドを含有する骨吸収抑制用医薬部外品を提供する。また、本発明は、別の態様として、式Iで示されるアルデヒドを含有する骨吸収抑制用飲食品を提供する。また、本発明は、別の態様として、式Iで示されるアルデヒドを含有する骨疾患予防又は治療剤を提供する。さらに、本発明は、式Iで示されるアルデヒドが、シンナムアルデヒド、メチルシンナムアルデヒド、ヒドロキシシンナムアルデヒド、またはメトキシシンナムアルデヒドである骨吸収抑制剤、骨吸収抑制用医薬部外品、骨吸収抑制用飲食品、又は骨疾患予防若しくは治療剤を提供する。また、本発明は、式Iで示されるアルデヒドが、天然物由来のシンナムアルデヒドである骨吸収抑制剤、骨吸収抑制用医薬部外品、骨吸収抑制用飲食品、又は骨疾患予防若しくは治療剤を提供する。
【0009】
また、本発明は、別の態様として、式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルを有効成分として含む骨吸収抑制剤を提供する。
【化2】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表し、RはCOOH、CHOH、CHOCOR、又はCOORを表す。但し、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、Rは炭素数1〜5の低級アルキル基を示す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【0010】
また、本発明は、別の態様として、式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルを含有する骨吸収抑制用医薬部外品を提供する。また、本発明は、別の態様として、式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルを含有する骨吸収抑制用飲食品を提供する。また、本発明は、別の態様として、式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルを含有する骨疾患予防又は治療剤を提供する。さらに、本発明は、式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルがシナモン酸である骨吸収抑制剤、骨吸収抑制用医薬部外品、骨吸収抑制用飲食品、又は骨疾患予防若しくは治療剤を提供する。
【0011】
また、本発明で提供される骨吸収抑制剤、骨吸収抑制用飲食品、骨吸収抑制用医薬部外品、及び骨疾患予防又は治療剤には、式Iで示されるアルデヒド及び式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルが同時に含まれていても良い。さらに、本発明で提供される骨吸収抑制剤、骨吸収抑制用飲食品、骨吸収抑制用医薬部外品及び骨疾患予防又は治療剤には、カリン、シナモン、ヨモギ、サフラン及びアカメガシワより選ばれる植物の抽出物の1種又は複数をさらに含有することができる。
【0012】
また、本発明で提供される骨吸収抑制剤及び骨疾患予防又は治療剤には、活性型ビタミンD3製剤、エストロゲン製剤若しくはエストロゲン様物質、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、ビスホスホネート製剤、ビタミンK2製剤、カルシウム製剤又はそれらの組み合わせより選択される骨疾患治療剤をさらに含有することができる。
【発明の効果】
【0013】
このように、本発明によれば、特定のアルデヒド又はカルボン酸を含むことにより、人体への影響が極めて低い、骨粗鬆症や歯周病等の骨疾患に安全で優れた効果を有する骨吸収抑制剤、骨吸収抑制用飲食品、医薬部外品、及び骨疾患予防又は治療剤を提供することが可能である。
【0014】
本発明者らは、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)活性の測定により、破骨細胞の活性に抑制効能を持つものとしてシナモンを含む植物抽出物を同定した。さらに、TRAP活性により同定されたシナモンを含む植物抽出物について、ウェスタンブロッティング法を用いてNFATc1発現への影響を測定したところ、破骨細胞の分化段階を抑制する作用機序も有する天然物として、本発明者らにより見出されたものである。
【0015】
NFATc1は、破骨細胞の分化と活性化に関与するタンパク質の一つであるRANKL(William C. Dougall, et al., Genes & Dev. 13: 2412-2424)のシグナル伝達経路において、RANKLにより強く誘導されるタンパク質である。そして、NFATc1を過剰発現させたES細胞は破骨細胞へと分化し、NFATc1を欠損したES細胞では、RANKLによる刺激に関わらず、破骨細胞に分化できないことが示されている(Takayanagi H, et al., Dev. Cell 2002, 3, 889-901)。従って、破骨細胞形成において、NAFTc1の発現は不可欠であると考えられている。すなわち、NFATc1の発現を抑制する効果を持つ植物抽出物は、破骨細胞への分化抑制効果を有するものであり、骨疾患への治療介入の有望な標的になると考えられる。
【0016】
このように、本発明者らは、植物由来成分について、骨吸収活性の抑制効果だけでなく、このような作用機序も考慮したスクリーニングを鋭意行った結果、特開2003−171303号明細書に記載されているように単独では骨粗鬆症に効果がないとされていたシナモン由来の成分が破骨細胞形成を抑制する効能を持ち、さらに分化段階を抑制する作用機序を有することを見出した。
【0017】
さらに、本発明者らは、シナモンの抽出物に含まれる化合物について、さらにTRAP活性及びNFATc1の発現抑制効果について検討した結果、シナモン由来のシンナムアルデヒド、メトキシシンナムアルデヒド、及びヒドロキシシンナムアルデヒドに高い破骨細胞の活性抑制効果及び分化抑制効果があることを見出した。特開2004−18470及び特開2007−99782には、シンナムアルデヒドは、抗菌活性や揮発性硫化物の生産を効果的に抑制する効果を有する物質として、口臭抑制作用又は抗菌作用を有する歯磨き粉や食品等として使用できることが開示されている。しかしながら、シナモン由来のアルデヒドが破骨細胞の活性抑制効果及び分化抑制効果を有することは知られておらず、本発明者らは、シンナムアルデヒドが骨粗鬆症等の骨疾患に有用であることを見出した。
【化3】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【0018】
このように、本発明者により見出されたシナモン由来のアルデヒドについて、破骨細胞の活性化及びNFATc1の発現を抑制する効果を有しているとの知見は現在までに全くなかった。すなわち、本発明者らは、シンナムアルデヒド、メトキシシンナムアルデヒド、及びヒドロキシシンナムアルデヒドが破骨細胞の活性抑制効果及びNFATc1の発現抑制効果を有し、骨粗鬆症や歯周病等の骨疾患の予防及び治療に有効な骨吸収抑制効果を有していることを初めて見出した。よって、式Iで示されるアルデヒドは、人体への影響が極めて低い、骨粗鬆症や歯周病等の骨疾患に安全で優れた効果を有する骨吸収抑制剤等として使用することができる。
【0019】
また、ヒトの体内において、シンナムアルコールがアルコールデヒドロゲナーゼによりシンナムアルデヒドへと代謝されることが知られている。同様に、シナモン酸等のカルボン酸又はエステルも、体内においてシンナムアルデヒド等のアルデヒドに代謝される。すなわち、式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルは、体内において式Iで示されるアルデヒドに代謝され、高い破骨細胞の活性抑制効果及び分化抑制効果を有する。よって、式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルも同様に骨吸収抑制剤等として使用することができる。また、シンナムアルコールはアルデヒド型よりも刺激性が低く、さらに、シンナムアルコールや桂皮酸(カルボン酸型)は、安全性に関する動物レベルの毒性検査において、シンナムアルデヒドの5倍の許容量が報告されている。このように、シンナムアルコールや桂皮酸(カルボン酸型)は、より安全面を重視した代用品として使用することができる。
【化4】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表し、RはCOOH、CHOH、CHOCOR、又はCOORを表す。但し、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、Rは炭素数1〜5の低級アルキル基を示す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【0020】
このように、骨吸収の制御に関わる2つの因子「破骨細胞の分化及び活性化」を共通に抑える効果を有する特定のアルデヒドを含有することにより、また体内で前記アルデヒドに代謝されるアルコール、カルボン酸、及びエステルを含有することにより、人体への影響が極めて低い、骨粗鬆症や歯周病等の骨疾患に安全で優れた効果を有する骨吸収抑制剤を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明で使用する式Iで示されるアルデヒドは、天然のシナモンから抽出したものを用いても良く、また合成により得られたものを用いて良い。
【0022】
また、本発明で使用される桂皮酸は、ニッケイ属のシナモンやカシア油、エゴノキ属エゴノキのバルサム等に多く含まれ、その他、アカシア属ソウシジュ(Acacia confusa)の樹皮、ダイオウ(Rheum officinale Baill)、ラディオラ・プリパレーション(Rhaodiola preparations)、イトヒメハギ(Polygala tenuifolia)、ゴマノハグサ(Scrophularia buergeriana)、カバ(Piper methysticum forest)の根、Ipomoea intrapilosa、トウゴマ(Euphorbiaceae Ricinus)の種、Polyalthia crassaの葉及び枝、アエグル・マルメロス(Aegle marmelos Corr)、Culcitium reflexumの葉、ケーパー(Capparis spinosa L)の芽に含まれおり、これらの他にコナシダ(cheilanthes farinosa)、Lagotis yunnanensis、シロイナズナ(Arabidopsis thaliana)、イポメア・レプトフィラ(Ipomoea leptophylla)、Harpagophytum procumbens、Leucophyllum ambiguum、microalga Chlorela vulgaris、Cassia laevigata、Nephelium lappaceum L.、スポテッドガム(Eucalyptus maculata)、シミシフーガ(Cimicifuga racemosa(L.))、インドマツリ(Plumbago zeylanica Linn)、ゲンジン(Radix Scrophulariae)等の植物からも抽出できる。また、本発明で使用する式IIで示される化合物中のエステルとして、桂皮酸メチル(methyl cinnamate)及び桂皮酸エチル(ethyl cinnamate)は、バジル(Ocimum basilicum)近縁種であるブッシュバル(Ocimum mininum)及びワイドバジル(Calaminthe clinopodium)に多く含まれている。このように、本発明で使用する式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルは、天然のシナモン又は上記の植物等から抽出されても良く、または合成により得られたものを用いても良い。
【0023】
本発明で用いることのできるシナモンとは、クスノキ科ニッケイ(Cinnamomun)属に属する植物であり、シナモン、カシア、ジャワニッケイ、クリラワンノキ、イヌニッケイ、アンナンニッケイ、ガジスグス、タマラニッケイ、クスノキ、ホウショウ、マルバニッケイ、シバニッケイ、ケシバニッケイ、ヤブニッケイ、オガサワラニッケイ、ニッケイ、シバヤブニッケイ、セイロンニッケイ等の品種を含む。
【0024】
本発明の原料となる化合物は、上記植物体等から、有効成分を効果的に抽出し得る溶媒を用いて作成した抽出物を使用することができる。
【0025】
この抽出において使用される溶媒は、有効成分を効果的に抽出し得る溶媒であれば特に限定されるものではないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1,3ブチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、クロロホルム、DMSO、グリセリン、エチルエーテル、プロピルエーテル、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、エチルメチルケトン、生理食塩水、リン酸緩衝液及びリン酸緩衝生理食塩水から1種又は2種以上を選択して用いることが好ましい。
【0026】
抽出方法としては、生もしくは細切・乾燥・粉砕等の処理後に抽出することが好ましい。さらに抽出は抽出溶媒に浸漬して行うこともできる。抽出効率を上げるために撹拌してもよく、抽出溶媒中でホモジナイズしてもよい。更に、抽出を2〜4回繰り返して抽出効率を高めることも可能である。抽出温度としては、5℃程度から抽出溶媒沸点以下の温度とするのが適切である。抽出時間は溶媒の種類や抽出温度によっても異なるが、1時間〜14日間程度とするのが好ましい。
【0027】
なお、抽出物は、単一の植物から得られたものであっても良いが、2種以上の植物を混合した後、上記抽出方法を適用することも可能である。
【0028】
これらの植物の上記溶媒による抽出物はそのまま用いる事もできるが、濃縮・乾固を水や極性溶媒に再度溶解したり、或いは微生物性リパーゼ阻害作用を損なわない範囲で脱色、脱臭、脱塩の精製処理を行ったりすることができる。また、抽出物中の化合物を分離・濃縮するために、カラムクログラフィーによる分画抽出や分子蒸留等による単離をおこなうことによって、本発明に用いられる化合物を得ることができる。
【0029】
また、本発明の原料となる化合物は、シナモンの精油に高濃度で含まれているため、芳香成分であることを利用し、公知の方法で精油から精製することによっても得ることができる。また、シンナムアルデヒドは、精油にかなりの高濃度で含有しているため、精油自体をそのまま使用することもできる。
【0030】
また、本発明で使用される式Iで示されるアルデヒド又は式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルは、合成により得られたものを使用することができる。一般的に、置換されたベンズアルデヒド(p−メトキシベンズアルデヒド等)と対応するカルボン酸又はその誘導体(アセトアルデヒド等)との縮合によって合成することが可能である。例えば、酸の存在下、またはより好ましくはアルカリの存在下における、置換されたベンズアルデヒド(p−メトキシベンズアルデヒド等)とアセトアルデヒド等の対応するアルデヒド化合物を縮合反応させ、脱水することで製造することができる。また、シンナムアルデヒドは、塩化シンナミリデンの加水分解によって製造することもできる。
【0031】
上記のように得られた化合物を有効成分として、骨吸収抑制剤、骨吸収抑制用飲食品、骨吸収抑制用医薬部外品、骨疾患予防又は治療剤等を製造するには、上記のようにして得た化合物を有効成分とし、常法に従って公知の医薬品用、飲食品用、又は医薬部外品用担体と組み合わせて製剤化すれば良い。
【0032】
本発明の式Iで示されるアルデヒドは骨吸収の制御に関わる2つの因子『破骨細胞の分化及び活性化』を共通に抑える効果を有することから、体内で骨吸収の割合が増加することを抑えることで、骨の崩壊や深刻な骨疾患である骨粗鬆症、骨転移、リウマチ、歯周病、関節炎等に関わる骨疾患を予防又は治療することができる。この天然物由来のシンナムアルデヒド等は、人体にとって安全であることから、骨吸収抑制剤、骨吸収用食品、骨吸収用医薬部外品、及び骨疾患予防又は治療剤に含有させて使用することができ、その有益性は非常に高い。さらに、本発明の式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルは、体内で式Iのアルデヒドへと代謝されるため、同様に骨吸収抑制効果を有し、骨疾患の予防又は治療に使用することができる。
【0033】
また、本発明の骨吸収抑制剤は、種々の剤型での投与が可能であり、例えば経口投与剤としては、茶剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、細粒剤、シロップ剤、ドライシロップ剤等が挙げられる。
【0034】
本発明の骨吸収抑制剤の製造は、通常、式Iで示されるアルデヒド若しくは式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステル又はそれらの混合物を薬学的に許容できる液状または固体状の担体と配合することにより行われ、所望により溶剤、分散剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤等とすることができる。
【0035】
医薬用担体は、骨吸収抑制剤の投与形態および剤型に応じて選択することができる。固体組成物からなる経口剤とする場合は、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤等とすることができ、たとえば、デンプン、乳糖、白糖、マンニット、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩などが利用される。また経口剤の調製に当っては、更に結合剤、崩壊剤、界面活性剤、潤沢剤、流動性促進剤、矯味剤、着色剤、香料などを配合することもできる。たとえば、錠剤または丸剤とする場合は、所望によりショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロースなどの糖衣または胃溶性もしくは腸溶性物質のフィルムで被覆してもよい。液体組成物からなる経口剤とする場合は、薬理学的に許容される乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤などとすることができ、例えば、精製水、エタノールなどが担体として利用される。また、さらに所望により湿潤剤、懸濁剤のような補助剤、甘味剤、風味剤、防腐剤などを添加してもよい。
【0036】
一方、非経口剤とする場合は、常法に従い本発明の前記有効成分を希釈剤としての注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、注射用植物油、ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどに溶解ないし懸濁させ、必要に応じ、殺菌剤、安定剤、等張化剤、無痛化剤などを加えることにより調製することができる。また、固体組成物を製造し、使用前に無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して使用することもできる。
【0037】
さらに上記各製剤には、所望により、着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などの薬学的に許容される添加物や他の医薬品を含有させることができる。
【0038】
製剤化に際しては、安定化剤を配合することが好ましい。安定化剤としては、例えば、アルブミン、グロブリン、ゼラチン、マンニトール、グルコース、デキストラン、エチレングリコールなどが挙げられる。
【0039】
本発明の骨吸収抑制剤の有効成分となる式Iで示されるアルデヒドは、通常成人1日当たり0.001mg/kg(体重)以上、好ましくは0.01mg/kg(体重)以上を摂取するのが好ましい。投与量の上限は、1日当たり、2.5mg/kg(体重)以下が好ましく、5.0mg/kg(体重)以下がより好ましい。また、本発明の骨吸収抑制剤の有効成分となる式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルは、通常成人1日当たり0.01mg/kg(体重)以上、好ましくは0.1mg/kg(体重)以上を摂取するのが好ましい。また、投与量の上限は、1日当たり、5.0mg/kg(体重)以下が好ましく、10.0mg/kg(体重)以下がより好ましい。
【0040】
一般には、製剤中に含有される前記有効成分の投与量で、もちろん投与量は、種々の条件、例えば抽出溶媒の種類、使用した溶媒の使用量等によっても変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、あるいは範囲を超えて必要な場合もある。投与は、所望の投与量範囲内において、1日内において単回で、または数回に分けて行ってもよく、所定期間に渡って行ってもよい。
【0041】
本発明の骨吸収抑制剤としては、本発明に係る前記有効成分を公知の医薬と組み合わせて製剤化したものが挙げられる。本発明の有効成分は、例えば、活性型ビタミンD3製剤、エストロゲン製剤若しくはエストロゲン様物質、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、ビスホスホネート製剤、ビタミンK2製剤、カルシウム製剤又はそれらの組み合わせ等と共に使用することができる。これにより、骨吸収抑制に関して相乗効果を期待することができる。
【0042】
上記のように、本発明の骨吸収抑制用飲食品は、飲食品で通常用いられている任意成分と共に配合することができる。このようなヒトまたは動物用の飲食品としては、例えば、パン類、菓子類、麺類、肉製品・水産加工品、穀類の加工品、加工野菜・加工果実、加工卵、乳製品、粉類、即席菓子の素、食用油脂、スープの素、粉末飲料、調味料、飲料類、飼料等が挙げられる。
【0043】
また、本発明の骨吸収抑制用飲食品には、例えば、ビタミン剤などの栄養補助食品、栄養補助飲料、動物用健康食品、特定保健用食品、栄養機能食品、保健機能食品等が含まれ、通常用いられている各種形態、例えば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、フィルム等として製剤化される。製剤化に際しては、骨吸収抑制効果を有する式Iで示されるアルデヒド若しくは式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステル又はそれらの混合物とともに、賦形剤、結合剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、吸着剤、滑沢剤、着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤等が配合される。
【0044】
これらの栄養補助食品、栄養補助飲料などは、この分野で通常知られた慣用的な方法により製造される。
【0045】
このような飲食品における骨吸収抑制効果を有する式Iで示されるアルデヒドの添加量は、飲食品の形態ごとに応じた範囲で前述した摂取量となるように添加されれば良く、飲食品には、0.005〜0.125重量%の範囲内で添加することが好ましく、0.005〜0.048重量%の範囲内で添加することがより好ましい。飲食品として、例えば、液状の飲食品、固体状の飲食品、錠剤状の飲食品等があるが、いずれの形態においても、上記の数値範囲で添加することができる。飲食品としてさらに具体的には、コーヒー牛乳、コーヒー豆乳、豆乳、ミルクティー、プリン、キャンディー、ヨーグルト、保健用飲料、ヨーグルト風味酸性乳飲料、機能性烏龍茶、ハードカプセル、ソフトカプセル等が挙げられるが、いずれの形態においても、上記の数値範囲とすることができる。また、ヒドロキシシンナムアルデヒド及びメトキシシンナムアルデヒドは、シンナムアルデヒドの骨吸収抑制効果に比べ、それぞれ2倍及び5倍の効果を有することが発明者の試験において見出されている。よって、式Iで示されるアルデヒドのうち、ヒドロキシシンナムアルデヒドを飲食品に添加する場合は、好ましくは0.0025〜0.063重量%、より好ましくは0.0025〜0.024重量%の範囲内で添加することができる。さらに、式Iで示されるアルデヒドのうち、メトキシシンナムアルデヒドを飲食品に添加する場合は、好ましくは0.001〜0.025重量%、より好ましくは0.001〜0.0096重量%の範囲内で添加することができる。また、飲食品における骨吸収抑制効果を有する式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルの添加量も同様に、飲食品の形態ごとに応じた範囲で前述した摂取量となるように添加されれば良く、飲食品には、0.005〜4.0重量%の範囲内で添加することが好ましく、0.005〜2.0重量%の範囲内で添加することがより好ましい。例えば、液状の飲食品、固体状の飲食品、錠剤状の飲食品等があるが、いずれの形態においても、上記の数値範囲で添加することができる。さらに具体的には、コーヒー牛乳、コーヒー豆乳、豆乳、ミルクティー、プリン、キャンディー、ヨーグルト、保健用飲料、ヨーグルト風味酸性乳飲料、機能性烏龍茶、ハードカプセル、ソフトカプセル等が挙げられるが、いずれの形態においても、上記の数値範囲とすることができる。
【0046】
また、本発明の骨吸収抑制用医薬部外品としては飴類、ガム類、口腔ケア製品等が含まれる。口腔ケア製品としては、歯磨き粉類、液体歯磨き剤類、ジェル状歯磨き剤類等が含まれる。また、骨吸収用医薬部外品は、医薬部外品で通常用いられている任意成分と共に配合することができる。
【0047】
これらの骨吸収抑制用医薬部外品は、この分野で通常知られた慣用的な方法により製造される。
【0048】
ここで、骨吸収抑制用医薬部外品に添加される化合物のうち、シンナムアルデヒドについて、いくつかの刺激性試験に関する報告がある。ウサギ粘膜刺激性試験においては、0.125重量%濃度のシンナムアルデヒドに刺激性が認められなかったという報告がある。また、ヒト皮膚刺激性試験においては、シンナムアルデヒドが0.125〜1.25重量%濃度においては、171名に刺激性の症状は診られなかったが、3重量%の濃度試験において63名中10名に刺激性の症状が診られ、さらに8重量%濃度では、5名中5名に刺激性の症状が診られたという報告がある。また、ヒト皮膚感作性試験において、2極化試験及び9繰り返し侵襲パッチ試験の異なる12テストパネルを用いて、451名の男性に対する0.125〜3重量%濃度のシンナムアルデヒド皮膚感作性試験が行われた際の報告がある。その試験では、0.125〜0.5重量%の濃度においては感作性が診られなかったが、また1重量%濃度以上の濃度においては29名に感作性が診られたという結果を示している。このように、全ての試験に共通して安全性が確保できるシンナムアルデヒドの上限濃度は0.125%であると考えられる。また、以下の実施例で示すように、本願のアルデヒドは、低濃度においても破骨活性を抑えることができる。
【0049】
よって、骨吸収抑制用医薬部外品における式Iで示されるアルデヒドの添加量は、医薬部外品の形態ごとに応じた範囲で前述した摂取量となるように添加されれば良く、医薬部外品には、0.0001〜0.125重量%の範囲内で添加することが好ましく、0.0001〜0.0048重量%の範囲内で添加することがより好ましく、0.0001〜0.0036重量%の範囲の間で添加することがさらに好ましい。医薬部外品としては、例えば、固体状の医薬部外品、液体状の医薬部外品、ジェル又はペースト状の医薬部外品等があるが、いずれの形態においても、上記範囲内で添加することができる。また、医薬部外品としてさらに具体的には、飲料、飴、歯磨き粉、液体歯磨き剤類、ジェル状歯磨き剤類、ガム類が挙げられるが、いずれの形態においても、上記の数値範囲で添加することができる。また、式Iで示されるアルデヒドのうち、ヒドロキシシンナムアルデヒドを医薬部外品に添加する場合は、好ましくは0.00005〜0.063重量%、より好ましくは0.00005〜0.0024重量%の範囲内で添加することができる。さらに、式Iで示されるアルデヒドのうち、メトキシシンナムアルデヒドを飲食品に添加する場合は、好ましくは0.00002〜0.025重量%、より好ましくは0.00002〜0.00096重量%の範囲内で添加することができる。また、骨吸収抑制用医薬部外品における式IIで示されるアルコール、カルボン酸、エステルの添加量は、同様に、医薬部外品の形態ごとに応じた範囲で前述した摂取量となるように添加されれば良く、医薬部外品には、0.0001〜4.0重量%の範囲内で添加することが好ましく、0.0001〜2.0重量%の範囲内で添加することがより好ましく、0.0001〜1.0重量%の範囲の間で添加することがさらに好ましい。医薬部外品としては、例えば、固体状の医薬部外品、液体状の医薬部外品、ジェル又はペースト状の医薬部外品等があるが、いずれの形態においても、上記範囲で添加することができる。また、医薬部外品としてさらに具体的には、飲料、飴、歯磨き粉、液体歯磨き剤類、ジェル状歯磨き剤類、ガム類が挙げられるが、いずれの形態においても、上記の数値範囲で添加することができる。
【実施例】
【0050】
以下に試験例及び処方例を挙げ、本発明について更に説明する。なお、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0051】
(実施例1)
シンナムアルデヒド、ヒドロキシシンナムアルデヒド及びメトキシシンナムアルデヒドはSigma-Aldrich社(St. Louis, MO)のものを購入したものを用いた。シンナムアルデヒド、ヒドロキシシンナムアルデヒド、メトキシシンナムアルデヒドはDMSOに100mMとなるよう溶解したものをそれぞれ試料とした。これらを試料として以下の方法により破骨細胞の分化及び活性化に対する阻害能を測定した。破骨細胞の活性化に対する阻害能に関する結果を表1に示し、破骨細胞の分化に対する阻害能に関する結果を図1〜3に示した。
【0052】
(試験方法及び評価方法)
(酒石酸アルカリホスファターゼ活性の測定)
TRAPの活性を破骨細胞の活性化として測定し、各種アルデヒドの阻害率(%)を算出することにより阻害作用を評価した。TRAP活性を測定するに当たり、Wooらの手法にやや改良を加えて行った。すなわち、RAW264.7細胞をFBS入りのMEM-α培地に浮遊させ、48ウェルプレートに5万細胞/ウェルとなるよう播種し、そのまま24時間インキュベートをした。次に、それらは各種アルデヒドを最終濃度が5μMとなるように添加した。2時間インキュベートをした後で、最終濃度50ng/mlとなるようにRANKL(Receptor Activator for Nuclear Factor k B Ligand)を添加することで細胞を刺激し、2日間インキュベートした。培養が終了した際に、培地を取り除き、細胞単層をリン酸緩衝液で2回やさしく洗浄した。その後、細胞は0.2%Triton−X100で溶解させた。細胞溶解液の水槽に10mMの酒石酸及び5mMp−ニトロフェニルフォスフェートを含むクエン酸緩衝液(50mM、pH4.6)を添加し、37度で30分インキュベートした。反応停止は0.1規定水酸化ナトリウムを加えることで行い、1420ARVOシリーズ・マルチレーベルカウンターで405nmにおける吸光度を測定した。
【0053】
(ウェスタンブロッティングによるNFATc1の発現測定)
免疫細胞であるマクロファージが破骨細胞に分化する際に、NFATc1タンパクの発現が上昇することが知られている。すなわち、NFATc1の発現を指標としてウェスタンブロッティング法にて測定し、各植物抽出物の阻害作用を評価した。
【0054】
RAW細胞は細胞溶解用の緩衝液(10nM HEPES、pH7.8、 150mMNaCl、2mM EDTA、1.5mM MgCl、0.5mM dithiothreitol、そしてプロテアーゼ阻害剤)により溶解した。各細胞の溶出液をポリアクリルアミドーSDSゲルで分画を行い、BIO CRAFT社のセミドライブロッターを用いてニトロセルロース膜にそのタンパク質を転写した。その後、ブロッキング溶液(5% ノンファット・ドライミルクを0.1% Tween-20を含むリン酸緩衝液も溶かしたもの)中で1時間インキュベートした。膜は、1次抗体と共に4度で一晩インキュベートさせた。膜を洗浄し、ホースラディッシュ結合2次抗体に1時間曝露し、最後にGE Healthcare Bio-sciences社のECL Plus Western Blotting Detection Systemで検出を行った。
【0055】
(試験結果)
表1の通り、本発明の各種アルデヒドには、若干程度の差はあるが、破骨細胞の分化及び活性化を抑制する作用を有することが確認され、骨疾患、及び歯周病改善剤として使用できる。
【表1】

【0056】
(骨吸収窩アッセイ)
骨吸収窩アッセイはBD Bioscience社製(San Jose, CA)のBioCoat-TMOsteologicTMBone Cell Cultureシステムを用いて行い、製造元の説明書に従って進めた。すなわち、メトキシシンナムアルデヒドの骨吸収抑制効果を判定する為に、RAW細胞をカルシウムリン酸アパタイト・コーティングが施されたマイクロプレートに播種し、その際にメトキシシンナムアルデヒドを前処理として添加し、1時間後にRANKL(50ng/ml)を加えた。8日間の培養を行った後、マイクロプレートに5%の次亜塩素酸ナトリウムを加え5分間放置した。水で洗浄した後、マイクロプレートを風乾し、プレートの撮影を行った。プレートの写真を図4に示す。また、添加したメトキシシンナムアルデヒドの濃度と、プレート上の骨吸収窩面積との関係を図5に示す。メトキシシンナムアルデヒドを1.5×10−5重量%の濃度で添加した区では、添加していない区と比較して、有意に骨吸収窩面積が減少していた。このように本発明のアルデヒドは、低濃度においてもハイドロキシ・アパタイト(疑似骨)に対する破骨活性を抑えることができ、よって、本発明のアルデヒドは、低濃度においても、実際に歯骨の溶解防止に使用可能である。
【0057】
(処方例)
本発明の式Iで示されるアルデヒド又は式IIで示されるアルコール、カルボン酸、又はエステルを含有する骨吸収抑制剤、骨吸収抑制用医薬部外品、骨吸収抑制用飲食品、及び骨疾患予防又は治療剤の製造を、上記評価結果に従い、以下にその処方例を示すが、各処方例は各製品の製造における常法により製造したもので良く、配合量のみを示した。また、本発明はこれらに限定されるわけではない。
【0058】
上記のようにして得た化合物を医薬部外品に添加することも可能である。このようにして得られた骨吸収抑制用医薬部外品は、骨疾患の予防又は改善効果が期待でき、医薬部外品として有用である。
【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【0059】
また、上記のようにして得た化合物を通常の飲食物中に添加することも可能である。このようにして得られた骨吸収抑制用飲食物は、日常的に摂取することが可能であり、骨疾患の予防又は改善効果が期待でき、骨疾患の予防又は改善用飲食品として有用である。
【表8】

【表9】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【0060】
また、上記のようにして得た化合物を骨疾患予防又は治療剤に添加することも可能である。このようにして得られた骨疾患予防又は治療剤は、骨疾患の予防又は改善効果が期待でき、医薬組成物として有用である。
下記の成分をゼラチンの皮膜でコーティングした。
【表18】

【0061】
下記の成分をゼラチン及びグリセリンの皮膜でコーティングした。
【表19】

【0062】
本発明の、骨吸収抑制剤等に含まれる式Iで示されるアルデヒドは、すでに食品等に添加物として使用されているものであり、安全性において特に問題になる点はない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】ヒドロキシシンナムアルデヒドのNFATc1発現抑制効果について、ウェスタンブロッティング法による測定結果を示した写真データである。
【図2】シンナムアルデヒドのNFATc1発現抑制効果について、ウェスタンブロッティング法による測定結果を示した写真データである。
【図3】メトキシシンナムアルデヒドのNFATc1発現抑制効果について、ウェスタンブロッティング法による測定結果を示した写真データである。
【図4】メトキシシンナムアルデヒドの骨吸収抑制効果について、骨吸収窩アッセイの結果を示す写真データである。
【図5】骨吸収窩アッセイにおけるメトキシシンナムアルデヒドの濃度と、骨吸収窩面積との関係を示すグラフでる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示されるアルデヒドを有効成分として含む骨吸収抑制剤。
【化1】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【請求項2】
式Iで示されるアルデヒドを含有する骨吸収抑制用医薬部外品。
【化2】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【請求項3】
式Iで示されるアルデヒドを含有する骨吸収抑制用飲食品。
【化3】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【請求項4】
式Iで示されるアルデヒドを含有する骨疾患予防又は治療剤。
【化4】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【請求項5】
式IIで示されるアルコール、カルボン酸又はエステルを有効成分として含む骨吸収抑制剤。
【化5】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表し、RはCOOH、CHOH、CHOCOR、又はCOORを表す。但し、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、Rは炭素数1〜5の低級アルキル基を示す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【請求項6】
式IIで示されるアルコール、カルボン酸又はエステルを含有する骨吸収抑制用医薬部外品。
【化6】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表し、RはCOOH、CHOH、CHOCOR、又はCOORを表す。但し、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、Rは炭素数1〜5の低級アルキル基を示す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【請求項7】
式IIで示されるアルコール、カルボン酸又はエステルを含有する骨吸収抑制用飲食品。
【化7】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表し、RはCOOH、CHOH、CHOCOR、又はCOORを表す。但し、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、Rは炭素数1〜5の低級アルキル基を示す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}
【請求項8】
式IIで示されるアルコール、カルボン酸又はエステルを含有する骨疾患予防又は治療剤。
【化8】

{R、R、R及びRはそれぞれH、CH、OCH又はOHを表し、RはCOOH、CHOH、CHOCOR、又はCOORを表す。但し、Rは炭素数1〜4の低級アルキル基を示し、Rは炭素数1〜5の低級アルキル基を示す。又、点線で示す結合は、単結合又は二重結合を示す。}

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−1253(P2010−1253A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−162016(P2008−162016)
【出願日】平成20年6月20日(2008.6.20)
【出願人】(599098518)株式会社ディーエイチシー (31)
【Fターム(参考)】