骨形成を増進するための作用剤および方法
【課題】 造骨細胞の細胞分化を誘導する作用剤および方法、並びに、患者を処置する、骨の質量を維持する、及び/又は、骨の形成及び/又は骨の修復を増進するための作用剤および方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、造骨細胞の細胞分化を誘導する作用剤および方法、並びに、患者を処置する、骨の質量を維持する、骨の形成及び/又は骨の修復を増進するための、作用剤および方法の使用を開示する。好適な作用剤としては、オキシステロール、単独あるいは特定のオキシステロール、または骨の形成を助長する既知の他の作用剤との組み合わせが挙げられる。本発明は、さらに、骨の障害の治療のためのオキシステロール含有薬剤、オキシステロールまたは細胞の局所的な注入、及び、骨の修復を促進するための作用剤または細胞を有するインプラントを含む。
【解決手段】 本発明は、造骨細胞の細胞分化を誘導する作用剤および方法、並びに、患者を処置する、骨の質量を維持する、骨の形成及び/又は骨の修復を増進するための、作用剤および方法の使用を開示する。好適な作用剤としては、オキシステロール、単独あるいは特定のオキシステロール、または骨の形成を助長する既知の他の作用剤との組み合わせが挙げられる。本発明は、さらに、骨の障害の治療のためのオキシステロール含有薬剤、オキシステロールまたは細胞の局所的な注入、及び、骨の修復を促進するための作用剤または細胞を有するインプラントを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を増進する、及び/又は、骨の修復を増進する作用剤と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な骨再構築は、骨格の完全性を維持するため成人の生涯を通して起こるものであり、破骨細胞による骨の再吸収および造骨細胞による骨の形成を含んでいる。したがって、骨の形成と骨の再吸収との間のバランスに対するいかなる干渉も、骨の恒常性、骨の形成および修復に影響し得る。
【0003】
造骨細胞は、骨髄ストローマ細胞(骨髄幹細胞;MSC)のプールから生じる。これら細胞は、各種の組織内に存在し、骨の骨髄ストローマ内で支配的である。MSCは、多能的であり、造骨細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、および脂肪細胞に分化し得る。
【0004】
骨粗鬆症は、初老者における羅病率および死亡率の主要な要因であり、米国健康ケアシステムの年間コストは、少なくとも100億ドルである。男性も女性も、加齢に伴う骨粗鬆症による骨の減損に苦しんでいる。これら有害な変化は性ホルモンの減少により引き起こされると考えられている。例えば、骨粗鬆症は、閉経後の女性で増加する。
【0005】
蓄積されている証拠によれば、造骨細胞の数および活性度は、加齢につれて減少するが、この変化の理由は明らかではない。加えて、骨粗鬆症の骨の骨髄では、造骨細胞の形成を犠牲にすると思われる脂肪細胞の形成が増大する。さらに、骨内の脂肪性組織の体積は、普通の被検者では年齢と共に増大し、これは実質的に加齢に伴う骨粗鬆症であって、これは柵状織の骨の減損の程度に平行する、骨の柵状織に隣接した脂肪細胞の数と共に増大する。この観察、そして、同様の観察に基づいて、加齢に伴う骨粗鬆症における骨の減損の原因は、少なくとも部分的には、造骨細胞分化が脂肪細胞経路へ変移するためであることが示唆された。
【0006】
老人においては骨折の治癒は阻害されており、MSC(一般に骨折部位に遊走して新しい骨の形成が生じることを可能にすると考えられる)の数および活性度の減少が実証されている。
【0007】
現在のところ、骨粗鬆症に対する唯一の処置は、造骨細胞による骨の再吸収を目的にした処置である。このFDA(食品医薬品庁)認可の治療法には、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータなどのホルモン置換療法、カルシトニン、およびビタミンD/カルシウムの補充が含まれる。しかしながら、これらの処置は、骨の質量のごく小さな増加をもたらすだけであり、骨粗鬆症の総合的な防止または治療には十分ではない。
【0008】
現在、骨粗鬆症の治療に対するFDA認可の唯一のタンパク質同化作用剤は、副甲状腺ホルモン(PTH)である。PTHは現在、造骨細胞のアポトーシスを阻害することによって骨の形成を増大すると考えられている。PTHは、断続的な注入で骨の質量を増大させ、骨粗鬆症患者の骨折発生率を低減することが判明している。しかしながら、PTHによる連続的な治療及び/又はその蓄積は、患者に対して全身的な悪影響を及ぼす場合があるため、投与量を厳密に制御しなければならない。加えて、PTH治療は、極めて費用が嵩む。したがって、PTH治療は、最も重篤な骨粗鬆症患者のためのみに用意されている。
【0009】
造骨細胞による骨の形成を増進するための他の有力な治療法としては、弗化ナトリウム、および骨にプラスの影響を及ぼす成長因子(例えば、インスリン様成長因子IおよびIIおよびトランスフォーミング成長因子ベータ)が挙げられる。しかしながら、これら因子は、これまでは、望ましくない副作用を有していた。
【0010】
ヒトの骨関連の障害の治療に幹細胞を使用することも検討されてきた。例えば、骨形成不全は、患者の造骨細胞が、コラーゲンIを適切な形で作らず、結果として、骨の脆化を招く骨格病である。健康な個体からの造骨前駆体幹細胞を罹病した個体に注入することによって、これら患者の骨密度が向上することが示されている。さらに、幹細胞は、個体から単離して、インビトロで膨張させ、刺激して軟骨を形成する軟骨細胞にし、関節炎の関節に再注入して軟骨を再生させることができる。
【0011】
したがって、骨の恒常性、骨の形成および骨の修復を制御するための作用剤および方法が所望される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進するための作用剤と方法に関する。
【0013】
より詳細には、本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進する、全身的、及び/又は局所的アプリケーション作用剤を含んでよい。
【0014】
より詳細には、本発明は、造骨細胞の骨形成を刺激する作用剤の使用を含みうる。本発明は、MSCの造骨細胞への分化に影響する作用剤の使用を含みうる。本発明で造骨細胞への分化をもたらすのに有効でありうる作用剤としては、22(R)−、22(S)−、20(S)−、および25−ヒドロキシコレステロールなどの個々のオキシステロール、プレグネノロンのうちの単独またはこれらの組合せが挙げられるが、ただしそれらに限定されない。本発明において有用であり得るオキシステロールの組合せの具体的な例としては、22R−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールの組合せ、並びに22S−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールの組合せが挙げられる。本発明は、さらに、造骨細胞分化または骨形成に影響する点で活性を有することが分かっているオキシステロール分子のいかなる部分も含んでよい。本発明は、さらに、造骨細胞分化または骨形成に影響する点で、オキシステロールが、それにおいて活性を有する分子の活性化を含んでよい。本発明はまた、同様の動作機序を介して、親分子と同様に作用するであろう上記のオキシステロールの活性部分、および骨の恒常性にプラスの影響を及ぼすであろう同様の受容体を模倣するよう設計されている他の脂質分子または類縁体(アナログ)を含んでよい。
【0015】
本発明は、破骨細胞の骨の再吸収を阻害する作用剤の使用を含んでよい。本発明において、破骨細胞の骨の再吸収に影響を与えるのに有用と思われる作用剤としては、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、およびビタミンD/カルシウムのサプリメンテーションが挙げられるが、これらに限定されない。本発明はまた、造骨細胞の骨形成を誘導する作用剤の使用を含んでよい。本発明において、有用と思われる作用剤としては、PTH、弗化ナトリウム、およびインスリン様成長因子IおよびIIおよびトランスフォーミング成長因子ベータなどの成長因子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進するための作用剤を全身的に送達する方法または該作用剤による局所的な処置の方法を含んでよい。本発明は、骨骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進するための、分化した造骨細胞を全身的に運搬する方法または該造骨細胞による局所的な処置の方法を含んでよい。
【0017】
本発明の一実施態様では、該方法は、歯根膜炎、歯周再生、歯のインプラント再構築のための歯槽隆線の増大、非癒着骨折の治療においてなど、骨の局所的修復を誘導するのに適用されてよい。本発明の一実施態様では、該方法は、骨粗鬆症などの骨関連の障害を治療するのに応用されてよい。
【0018】
本発明はまた、骨の形成を誘導しあるいは骨の修復を増進するための物質のコーティングを有する、あるいは該目的のための分化した細胞を播種されている、インプラントを含んでもよい。本発明はまた、骨の形成または骨の修復が所望される部位における該物質または分化した細胞の適用を含んでもよい。例えば、インプラントとしては、骨の形成または骨の修復を刺激することによって、骨折を不動化し、骨の形成を増進し、あるいは、補綴インプラントを安定化するのに使用されるピン、ネジ、および板が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
政府後援
この研究は、米国立衛生研究所/米国立衛生研究所により後援されており、米国立衛生研究所/米国立衛生研究所により グラント番号P60 AG 10415-11 が授与されている。アメリカ合衆国政府は本発明に関して一定の権利を有する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を増進し、かつ(または)、骨の修復を増進するための作用剤および方法に関する。
【0021】
より詳細には、本発明は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を増進し、かつ(または)、骨の修復を増進するための作用剤の全身的な、かつ(または)、局所的な適用を含んでよい。方法または化合物の、骨の恒常性を維持する能力の、臨床的インデクスは、DEXAスキャニングによって評価される身体全体の異なる部位における骨の密度の改善によって立証される。治癒破折における増強された骨の形成は、選択された時間間隔における骨折部位の通常のX線検査によってルーティンで評価される。定量的なCTスキャニングなどの、上記インデクスを判定するためのより進歩した方法が用いられてよい。
【0022】
より詳細には、本発明は、造骨細胞の骨形成を刺激する作用剤の使用を含んでよい。本発明は、MSCの造骨細胞への分化に影響する作用剤の使用を含んでよい。
【0023】
本発明において有用であると思われる造骨細胞分化に影響する作用剤としては、個々のオキシステロールまたはそれらの組合せが挙げられるが、しかしそれらに限定されない。
【0024】
オキシステロール。オキシステロールの、造骨性分化および石灰化を誘導し、かつ、脂肪生成性分化を阻害する能力は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を誘導し、または骨の修復を誘導する利益をもたらし得る。
【0025】
オキシステロールは、循環血液内および組織内に存在するコレステロールの酸化誘導体の大きなファミリーを形成する。オキシステロールは、内因性のコレステロール酸化誘導体であり、コレステロールの生合成を制御する点で重要である。オキシステロールは、自動酸化によって脂質の過酸化の二次副産物として、あるいは、その大部分がチトクロ−ムP450酵素ファミリーのメンバーである特異的なモノオキシゲナーゼの作用によって形成される。オキシステロールは、食事での摂取物から誘導され得る。オキシステロールは、コレステロールの新陳代謝、ステロイドの産生、アポトーシス、アテローム硬化、ネクローシス、炎症、および免疫抑制を含む他の生理学的、及び/又は、病理学的プロセスの制御に関与してきた。
【0026】
コレステロールの生合成は、最近、HMG−CoA還元酵素阻害剤の阻害性効果(これはメバロン酸塩によって逆転可能であるが)によって示されたように、骨髄幹細胞(MSC)の分化に関与していることが示された。さらに、オキシステロールは、それらの造骨細胞分化を誘導する能力、および、追加的には、MSCのインビトロでの石灰化によって立証されたように、造骨性のポテンシャルを有していることが実証された。最後に、オキシステロールは、抗脂肪生成性効果を有し、MSCの脂肪細胞分化を阻害することが実証された。
【0027】
オキシステロールの造骨性および抗脂肪生成性効果を示すのに用いられるインビトロモデルは、有効であり、骨形態発生蛋白質(BMP)を含む他の化合物の同様の挙動を実証するのに従来用いられてきた。このレポートで使用される骨髄幹細胞(M2細胞)を含む骨前駆体細胞は、動物およびヒトにインビボで存在するそれらと同様に作用することが示されてきた。これらのインビトロモデルはまた、今まで、BMPおよびインシュリン様成長因子(IGF)などの化合物のインビボ造骨性効果を成功裡に予測することもできた。また、骨器官培養モデルにおけるオキシステロールの造骨性効果が、マウスの新生仔の頭蓋冠を用いて実証された。この器官培養モデルはまた、今まで、BMPを含む異なる化合物の造骨性効果をインビボに予測するのに成功裡に用いられてきた。したがって、これらの同様な発見に基づいて、オキシステロールは、動物およびヒトにおいて、インビボで造骨性効果を有するであろうことが予測される。これらのインビトロおよび器官培養モデルにおける化合物の造骨性効果の実証が、動物およびヒトにおけるそれらのインビボにおける効果を実証するであろう治験に先立って必要である。
【0028】
本発明において造骨細胞分化をもたらすのに有用であると考えられる作用剤としては、22(R)−ヒドロキシコレステロール、22(S)−ヒドロキシコレステロール、20(S)−ヒドロキシコレステロール、および25−ヒドロキシコレステロールなどの個々のオキシステロール、プレグネノロンのそれぞれまたは互いに他との組合せが挙げられるが、しかしそれらに限定されない。本発明において有用であると思われるオキシステロールの組合せの具体的な例としては、22R−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールの組合せ、並びに22S−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールの組合せが挙げられる。本発明は、さらに、造骨細胞分化または骨形成に影響する点で活性を有することが判明しているオキシステロール分子のいかなる部分でも含んでよい。本発明は、さらに、前記オキシステロール群の、造骨細胞分化または骨形成に影響する活性を有する分子を活性化することを含んでよい。本発明はまた、親分子と同様の動作機序を介して該親分子と同様に作用するであろう上記のオキシステロールの活性部位、および骨の恒常性にプラスの影響を及ぼすであろう同様の受容体を模倣するよう設計されている他の脂質分子または類縁体(アナログ)を含んでよい。
【0029】
作用の機序。オキシステロールが生理学的に活性を示すためのメカニズムを調べて、オキシステロールが、各種の細胞内経路によって活性を有しかつ影響を受けることが判明した。先ず、オキシステロールの造骨細胞分化に対する影響は、チトクロームP450阻害剤によって増強されることが実証された。オキシステロールの造骨細胞分化に対する影響はまた、アラキドン酸代謝経路、すなわち、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびホスホリパーゼA2、およびERKにおける酵素によっても仲介される。第二に、例えば、細胞内ホスホリパーゼの活性から解放されたアラキドン酸は、造骨細胞分化に対するオキシステロール効果をポジティブにもたらす。第三に、COX酵素によって代謝される、プロスタグランジンE2および造骨性プロスタノイドを含むプロスタグランジンは、造骨細胞分化に対するオキシステロール効果をポジティブにもたらす。第四に、細胞外信号制御キナーゼ(ERK)の活性度が、オキシステロールによって、増強され、造骨細胞分化および石灰化に相関付けられる。したがって、これらの作用剤またはオキシステロールの作用の機序を刺激する作用剤も、本発明において有用であろう。
【0030】
さらに、オキシステロールは、肝臓X受容体(LXR)と呼ばれる核ホルモン受容体に結合されてそれを活性化し、該核ホルモン受容体は、次いで、LXRによって制御される遺伝子のプロモータ上のコンセンサス結合部位に結合する。追加のオーファン核ホルモン受容体が、オキシステロールの制御効果のいくつかを仲介することができるであろうオキシステロール結合部位用として役立ち得る。本発明は、破骨細胞の骨の再吸収を阻害する作用剤の使用を含んでよい。
【0031】
本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進する作用剤の全身的な運搬、及び、該作用剤による局所化された処置の方法を含み得る。
【0032】
本発明は、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、またはプレグネノロンを含む群から選択された少なくとも一つのオキシステロール、または20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、またはプレグネノロンのうちのいずれか一つの活性部分の治療的に有効な投与量を含有する、骨の障害の処置に使用するための薬物を含む。
【0033】
治療的に有効な投与量。本発明において有用な作用剤の治療的に有効な投与量は、上記の骨の恒常性、骨の形成、または骨の修復を改善する作用剤の能力によって測定される、患者にプラスの臨床的効果を及ぼす投与量である。各作用剤の治療的に有効な投与量は、マイナスの副作用を最小限度に抑えつつ、所望の臨床的効果が得られるよう調整されてよい。作用剤の投与量は、特定の患者に適した個々の措置および投与量のレベルを決定する際、投与の経路、疾病の重症度、患者の年齢および体重、患者が摂取している他の投薬、および付添い医師によって普通に考えられる他の要因によって、個々の患者について選択されてよい。
【0034】
一例を挙げると、本発明は、内因性の循環オキシステロールレベルを患者の基底レベル以上に上げる措置を含んでよい。普通の成人では、該レベルは、質量分析法で測定した場合、年齢およびオキシステロールの種類により、およそ10〜400nm/mlである。薬理学分野において通常の技術を有する者であれば、循環オキシステロールレベルを患者の基底レベル以上に上げるための投与量および経路を決定することができよう。
【0035】
投与形態。投与形態に含まれる作用剤の治療的に有効な投与量は、選択された作用剤の種類および投与の経路を考えて選択されてよい。投与形態は、薬理学分野において通常の技術を有する者には既知の、患者に対する投与を促進するためのアドジュタントおよび薬学的に受容できるキャリヤを含む他の不活性の成分と組み合わされた作用剤を含んでよい。一実施形態においては、投与形態は、消費された時、人体において作用剤のレベルが上がる結果となる経口的な調合剤(例えば、液体、カプセル、キャプレットなど)であってよい。経口的な調合剤は、希釈剤、結合剤、タイムレリース剤(time release agent)、潤滑剤およびディスイニグラント(disinigrant)を含むキャリヤを含んでよい。
【0036】
投与形態は、経皮的適用に適した局所的な調合剤(例えば、ローション、クリーム、軟膏剤、経皮パッチなど)で提供されてよい。投与形態はまた、例えば、皮下適用(スローレリースカプセル内など)、静脈内適用、腹腔内適用、筋肉内適用、または呼吸による適用に適した調合剤で提供されてよい。
【0037】
投与形態には、作用剤の一つまたは組合せのいずれも、含まれてよい。別法として、作用剤の組合せが、別個の投与形態で、患者に投与されてよい。少なくとも二つの処置用作用剤が患者に加えられるよう、作用剤の組合せが同時的に投与されてよい。
【0038】
追加的作用剤。本発明は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を増進し、かつ(または)、骨の修復を増進するため、少なくとも一つの最初の作用剤と独立的にあるいは相乗効果的に作用する追加的作用剤による処置を含んでよい。
【0039】
追加的作用剤は、オキシステロールが造骨細胞分化を増進する機序経路を刺激する作用剤であってよい。したがって、本発明において、単独で、あるいは、オキシステロールと組み合わせて、有用と思われる類の作用剤としては、SKF525Aなど、チトクロームP450阻害剤が挙げられるが、しかしそれらに限定されない。本発明で有用な他の類の作用剤としては、ホスホリパーゼ活性化剤、あるいはアラキドン酸が挙げられる。本発明で有用な他の類の作用剤としては、COX酵素活性化剤、あるいはプロスタグランジンあるいは造骨性プロスタノイドが挙げられる。本発明で有用な他の類の作用剤としては、ERK活性化剤が挙げられる。
【0040】
本発明は、オキシステロールと骨の形成、修復または恒常性に影響する他の治療法による処置の組合せを含んでよい。例えば、オキシステロールと、ビスホスホン酸塩、エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、およびビタミンD/カルシウム補充などのホルモン治療処置、PTH(Forteoまたはテリパラチド、Eli Lily、など)、弗化ナトリウム、およびインスリン様成長因子IおよびIIおよびトランスフォーミング成長因子ベータなどの骨にプラスの影響を及ぼす成長因子との組合せが挙げられる。当業者であれば、標準の治療投与パラメータを用いて、治療のそれぞれに対する一般に認められた投与量を決定することは、可能であろう。
【0041】
本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は、骨の修復を増進する分化した造骨細胞の全身的な運搬、または、該造骨細胞による局所化された処置の方法を含んでよい。この処置は、上記のように、患者に対して、単独で、あるいは、他の作用剤(複数も可)の投与と組み合わせて行われてよい。図1は、本発明による一方法のフロー図である。この方法のこの実施形態では、患者、あるいは、細胞ドナーから、哺乳類の間葉幹細胞が収集され得る(100)。該細胞は、次いで、少なくとも一つの作用剤で処置されて、該細胞の造骨細胞分化を誘導し得る(102)。該細胞は、次いで、患者に対して、全身的に、あるいは、骨の恒常性、骨の形成、または、骨の修復が望まれる選択された部位において、投与され得る(104)。追加的に、患者は、骨の恒常性、骨の形成、または、骨の修復をもたらす少なくとも一つの第二の作用剤により、局所的に、あるいは全身的に、処置され得る(106)。
【0042】
本発明のこの態様においては、MSCは、アルカリ性ホスファターゼの活性度、カルシウムの取込み、石灰化またはオステオカルシンのmRNA発現、あるいは、造骨細胞分化の他の指標の増大のうちのいずれか一つによって測定される造骨細胞分化を刺激する作用剤(複数も可)により処置されてよい。本発明の一実施形態では、MSC細胞が、患者から収集され、少なくとも一つのオキシステロールにより処置され、そして、造骨細胞が患者に投与される。
【0043】
本発明は、造骨細胞的に分化したMSCを患者に対して全身的に投与する工程を含んでよい。
【0044】
本発明は、造骨細胞的に分化したMSCを、患者の身体の選択された場所に配置する処置を含んでよい。本発明の一実施形態では、細胞が、骨の恒常性、形成、及び/又は、修復が望まれる場所に注入されてよい。
【0045】
本発明の一実施態様では、作用剤および方法は、治療に、あるいは、骨粗鬆症などの骨関連の障害の進行を遅らせる処置に応用されてよいが、それらに限定されない。
【0046】
本発明の一実施態様では、作用剤および方法は、歯根膜炎、歯周再生、歯のインプラント再構築のための歯槽隆線の増大、非癒着骨折の治療、膝/臀部/関節部位の修理または置換外科において、細胞または作用剤の、外科的あるいは骨折部位への適用処置に応用されてよいが、それに限定されない。
【0047】
図2は、本発明の2つの実施形態を示す。図2Aでは、本発明は、人体で使用のためのインプラント(200)であって、表面(201)を有する基質を含み、該インプラントの少なくとも該表面は、少なくとも一つのオキシステロール(203)を、骨形成を誘導するのに十分な量で含み、あるいは、インプラントは、骨形成または骨修復の増強を誘導するための造骨細胞分化が可能な哺乳類の細胞、または、造骨細胞の哺乳類細胞、または、それらの組合せを含むインプラントを含んでよい。例えば、インプラントとしては、骨の除去、骨折または他の骨の損傷の部位(204)の形成または修復を刺激することによって、骨折を不動化し、骨の形成を増進し、あるいは、補綴インプラントを安定化するのに使用される、骨(202)の近傍に、あるいはそれと接触して配置され得る、ピン、ネジ、板または補綴関節が挙げられる。
【0048】
図2Bに示すように、本発明は、骨の形成、または、骨の修復が望まれる、骨の除去、骨折または他の骨の損傷の部位(204)において、骨(202)の近傍に、あるいはそれと接触して、少なくとも一つの作用剤または分化した細胞(206)を適用する処置を含んでよい。
【実施例】
【0049】
材料:Sigma (St. Louis, MO, U.S.A.) から入手したオキシステロール、ベータグリセロ燐酸塩(βGP)、硝酸銀、オイルレッドO、Irvine Scientific (Santa Ana, CA, U.S.A.) から入手したRPMI 1640、α改変基本培地(α−MEM)、およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及びHyclone (Logan, UT, U.S.A.) から入手した牛の胎児の血清。BIOMOL Research Labs (Plymouth Meeting, PA, U.S.A.) から購入したPD98059、Cayman Chemical (Ann Arbor, MI, U.S.A.) から購入したTO−901317、SC−560、NS−398、Ibuprofen、及びFlurbiprofen、Calbiochem (La Jolla, CA, U.S.A.) から購入したACA及びAACOCF3、R&D Systems (Minneapolis, MN, U.S.A.) から購入したヒトの組換え体BMP2。New England Biolabs (Beverly, MA, U.S.A.) から入手したリン酸エステル化され、かつ、未変性のERKに対する抗体、および、三共(東京、日本)から得たトログリタゾン。
【0050】
細胞:American Type Culture Collection (ATCC, Rockville, MD, U.S.A.) から入手したM2−10B4マウス骨髄ストローマ細胞ラインは、(C57BL/6J xC3H/HeJ)F1マウスの骨の骨髄ストローマ細胞に由来するものであり、ヒトおよびマウスの骨髄造血を長期培養において支持し(ATCCによる)、かつ、造骨細胞および脂肪細胞に分化する能力を有している。これら細胞は、特記なき場合、10%の加熱不活性化FBSを含有し、1mMのピルビン酸ナトリウム、100U/mlのペニシリン、及び100U/mlのストレプトマイシン(全てIrvine Scientific製)を補充したRPMI 1640中で培養した。
【0051】
ATCCからMC3T3−E1マウス前造骨細胞ラインを購入し、10%の加熱不活性化FBSおよび上記のサプリメントを含むα−MEM内で培養した。
【0052】
Kristina Bostrom博士(UCLA)の好意により提供されたC3H−10T1/2マウス多能性胎仔線維芽細胞を、10%の加熱不活性化FBSおよび上記のサプリメントを含むDMEM内で培養した。初生マウスの骨髄ストローマ細胞を、4〜6ヶ月令の雄のC57BL/6Jのマウスから分離し、前に報告したように培養して増殖させた。ここで、Parhami, F. et al., J. Bone Miner. Res. 14, 2067-2078 (1999) の全開示を引用により組み込む。
【0053】
アルカリ性ホスファターゼ活性度検定:全細胞抽出液に対して、比色定量のアルカリ性ホスファターゼ活性度(ALP)検定を上記のように行った。
【0054】
von KossaおよびオイルレッドO染色−細胞単層内の基質石灰化が、上記のように、硝酸銀染色により検出された。脂肪細胞の検出のため、オイルレッドO染色を上記のように行った。
【0055】
45Ca取込み検定−細胞単層内の基質石灰化を、上記のように、45Ca取込み検定を用いて数量化した。
【0056】
ウェスタンブロット分析−処置の後、溶解緩衝液内で細胞を溶解し、Bio−Rad蛋白質検定 (Hercules, CA, U.S.A.) を用いて、蛋白質の濃度を測定し、上記のようにSDS−PAGEを行った。未変性で、かつ、リン酸エステル化されたERKについて、上記のように調査を行った。
【0057】
RNA単離およびノーザンブロット分析−適切な実験条件下での細胞の処置の後、Stratagene (La Jolla, CA, U.S.A.) 製のRNA単離キットを用いて、全RNAを単離した。全RNA(10mg)を、1%のアガロース/ホルムアルデヒドゲルに流し、Duralon-UV メンブレン (Stratagene, CA, U.S.A.) に転写し、紫外線で架橋した。メンブレンは、それぞれ、Geneka Biotechnology (Montreal, Quebec, Canada) およびMaxim Biotech (San Francisco, CA, U.S.A.) から入手した32P標識化マウスのオステオカルシンcDNAプローブ、マウスリポタンパク質(LPL)、マウス脂肪細胞蛋白質2(aP2)PCR産生プローブ、ヒトの28Sまたは18S rRNAプローブにより、60℃、オーバーナイトでハイブリダイズした。Invitrogen (Carlsbad, CA, U.S.A.) により合成されたプライマーセットを用いて、下記の仕様により、PCR生成物を産生した。マウスのaP2遺伝子(アクセス番号M13261);センス(75−95)5’−CCAGGGAGAACCAAAGTTGA−3’、アンチセンス(362−383)5’−CAGCACTCACCCACTTCTTTC−3’、309塩基対のPCR生成物を産生。マウスのLPL(アクセス番号XM 134193);センス(1038−1058)5’−GAATGAAGAAAACCCCAGCA−3’、アンチセンス(1816−1836)5’−TGGGCCATTAGATTCCTCAC−3’
、799塩基対のPCR生成物を産生。PCR生成物は、ゲル精製し、UCLA配列決定コアで配列決定したところ、それらの各GenBankのエントリーに対する最高の類似度が示された。ハイブリッド形成後、室温で、2X SSC+0.1%SDSによりブロットを2度洗浄し、次いで、0.5X SSC+0.1%SDSにより60℃で2度洗浄し、X線フィルムに曝露した。濃度測定により、遺伝子発現誘導の程度を判定した。
【0058】
統計解析−StatView 4.5プログラムを用いて、コンピュータ補助統計解析を行った。ANOVAおよびフィッシャーの最小有意差法(PLSD)有意性試験によりp値を計算した。p<0.05の値が有意であると考えられた。
【0059】
例A:MSC(骨髄幹細胞)におけるオキシステロールの造骨効果。
【0060】
試験1:コンフルエンス状態のM2細胞を、10%の牛の胎児の血清(FBS)、50μg/mlのアスコルビン酸塩および3mMのベータグリセロ燐酸塩(βGP)を添加したRPMI 1640からなる造骨性培地中でコントロールビヒクル(C)または10μMのオキシステロールで処置した。インキュベーションの3日後、細胞ホモジェネート内のアルカリ性ホスファターゼ(ALP)の活性度を、比色定量検定により測定した。5回の実験の代表例からの結果を、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(* C対オキシステロール処置細胞ではp<0.01)。図3Aは、M2細胞内アルカリ性ホスファターゼの活性度に対する各種のオキシステロールの影響を表わす棒グラフである。
【0061】
コンフルエンス状態のM2細胞を、造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)または指示された濃度の22Rと20Sのオキシステロールの組合せで処置した。3日後、ALPの活性度を上記のように測定した。4回の実験の代表例からの結果を4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(* C対オキシステロールではp<0.01)。図3Bは、M2細胞内アルカリ性ホスファターゼの活性度に対する各種の投与量におけるオキシステロールの組合せの影響を表わす棒グラフである。
【0062】
コンフルエンス状態のM2細胞を、造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)または単独または組合せの5μMのオキシステロールで指示通りに処置した。14日後、von Kossa 染色により、石灰化(黒色に見える)を同定した。図3Cは、各種の条件に曝露されたM2細胞のvon Kossa 染色状況を表わしたものである。
【0063】
M2細胞を、コントロールビヒクル(C)または増大濃度の22Rと20Sのオキシステロールの組合せで処置した。14日後、45Ca取込み検定により、培養物における基質石灰化を数量化した。4回の実験の代表例からの結果を、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(* C対オキシステロール処置培養物ではp<0.01)。図3Dは、M2細胞内のカルシウムの取込みに対する各種の投与量におけるオキシステロールの組合せの影響を表わす棒グラフである。
【0064】
コンフルエンス状態のM2細胞を、造骨性培地内で、コントロールビヒクル(C)または22Rと20Sのオキシステロールの組合せ(各5μM)で処置した。4日および8日後、重複サンプルからの全RNAを単離し、ノーザンブロッティングにより、上記のようにオステオカルシン(Osc)および28SのrRNA発現について分析した。図3Eは、4日または8日間、コントロールまたはオキシステロールの組合せに曝露したM2細胞内のオステオカルシンmRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムである。図3Fは、4日または8日間、コントロールまたはオキシステロールの組合せに曝露したM2細胞内のオステオカルシンmRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。ノーザンブロットの濃度測定分析からのデータを、重複サンプルの平均値として、28S rRNAに対して基準化して(F)に示す。
【0065】
試験1の結果:MSCの培養では、アルカリ性ホスファターゼの活性の刺激、オステオカルシンの遺伝子発現および細胞コロニーの石灰化が、造骨細胞表現型への分化の増大の指標である。特異的なオキシステロール、すなわち、22(R)ヒドロキシコレステロール(22R)、20(S)ヒドロキシコレステロール(20S)、および22(S)ヒドロキシコレステロール(22S)が、多能性M2−10B4マウスのMSC(M2)において、アルカリ性ホスファターゼの活性、造骨性分化の初期マーカー、を誘導した。7−ケトコレステロール(7K)は、これらの細胞において、アルカリ性ホスファターゼの活性を誘導しなかった。
【0066】
アルカリ性ホスファターゼの活性の誘導は、0.5〜10μMの濃度では、投与量および時間の両方に依存しており、20S>22S>22Rの作用強度が示された。これらオキシステロールに4時間曝露し、次いで、オキシステロールのない造骨性培地と置換したところ、M2細胞内に、アルカリ性ホスファターゼの活性が十分誘導された(培養4日後の測定)。
【0067】
0.5〜10μMの濃度における個々のオキシステロール(22R、20Sおよび22S)では、14日間の処置後も、石灰化またはオステオカルシンの遺伝子発現を誘導させることができなかった(データ示さず)。しかしながら、アルカリ性ホスファターゼの活性(図3B)、健全な石灰化(図3CおよびD)およびオステオカルシンの遺伝子発現(図3EおよびF)は、22R+20Sまたは22S+20Sオキシステロールの組合せによって、M2培養中で全て誘導された。
【0068】
試験2:10%の牛の胎児の血清(FBS)を含むRPMI培地中で、M2細胞を成長させた。該細胞を、コンフルエンス状態で、5%のFBS+50μg/mlのアスコルビン酸塩および3mMのベータグリセロ燐酸塩を含むRPMI内で処置して、造骨細胞分化を誘導させた。該細胞を、成長培地+10〜Mのトログリタゾン内で処置することによって、脂肪生成性分化を誘導させた。細胞に、ビヒクル(C)またはオキシステロール、すなわち、20S−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール;22S−ヒドロキシコレステロール;または7ケトコレステロールを、各種の投与量(μM)で加える処理を行った。細胞は常に90%コンフルエンス状態で処置した。4日後、全細胞溶菌液内で、アルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。別法として、MSC培養物を調製し、上記のようにオキシステロールで処置した。細胞は90%コンフルエンス状態で、22R−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールとの組合せ(各5μM)により、4〜96時間処置した。オキシステロールを除去し、オキシステロールを含まない新鮮な培地を合計96持続時間かけて添加した。全細胞抽出液内でアルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。
【0069】
試験2の結果:図4Aは、4日間曝露後の、M2細胞に対する各種のオキシステロールの、各種の投与量における影響を表わす棒グラフである。オキシステロールは、アルカリ性ホスファターゼの活性、造骨細胞分化の初期マーカー、を誘導した。
【0070】
図4Bは、24時間の処置後の、M2細胞に対する各種のオキシステロールの、各種の投与量における影響を表わす棒グラフである。細胞は、90%コンフルエンス状態で、ビヒクル(C)、あるいは、オキシステロール22R−ヒドロキシコレステロールまたは20S−ヒドロキシコレステロール(各5μM)により、単独であるいは組み合わせて処置した。24時間後、細胞をリンスし、培地をオキシステロール非含有培地に置換した。4日後、全細胞抽出液内でアルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。オキシステロールによる僅か24時間の処置後、アルカリ性ホスファターゼの活性は数倍誘導された。
【0071】
図4Cは、オキシステロールによる処置の持続時間のM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。オキシステロール(22R−ヒドロキシコレステロールおよび20S−ヒドロキシコレステロールの組合せ(各5μM)による処置で、4〜96時間の処置後、処置後4日で測定したところ、アルカリ性ホスファターゼの活性が誘導されていた。
【0072】
図4Dは、各種の投与量のオキシステロールの組合せのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。組合せオキシステロールのM2細胞に対する影響は、アルカリ性ホスファターゼの活性の誘導についてはその投与量に依存していた。
【0073】
図4Eは、各種の投与量のオキシステロールの組合せのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。22Rおよび20S−ヒドロキシコレステロールの組合せ投与量による処置。10日後、45Ca取込みを測定して、骨の鉱物形成を評価し、蛋白質に対して基準化した。組合せオキシステロールのM2細胞に対する影響は、骨の鉱物形成の誘導についても同様にその投与量に依存していた。
【0074】
実施例B:オキシステロールの影響に対するチトクロームP450の妨害。M2細胞は、90%コンフルエンス状態で、ビヒクル(C)、あるいは、オキシステロール20S−ヒドロキシコレステロールまたは22S−ヒドロキシコレステロール(5μMまたは1μM)により、チトクロームP450阻害剤(SKF525A 10μM(+))の欠如あるいは存在下で、処置した。MSC培養物も、90%コンフルエンス状態で、ビヒクル(C)、あるいは、20S−ヒドロキシコレステロール(2μM)により、チトクロームP450活性化剤(ベンジルイミダゾール50μM)またはSKF525A(10μM)の欠如あるいは存在下で、処置した。4日後、全細胞抽出液内でアルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。
【0075】
実施例Bの結果:図5Aは、オキシステロールおよびチトクロームP450阻害剤SKF525Aの骨髄ストローマ細胞に対する影響を表わす棒グラフである。4日後、全細胞抽出液内でアルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。チトクロームP450阻害剤の使用は、オキシステロールの造骨性影響を増強し、オキシステロールが、チトクロームP450酵素によって代謝され、妨害されることを示唆した。
【0076】
図5Bは、オキシステロールおよびチトクロームP450活性化剤ベンジルイミダゾールおよび阻害剤SKF525AのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。チトクロームP450酵素、ベンジルイミダゾールによる処置では、恐らくオキシステロールの分解が増進されて、オキシステロールの影響が妨害された。
【0077】
例D:オキシステロールによるMSC内における脂肪生成の妨害。MSCを含む脂肪細胞祖先の脂肪生成は、配位子結合による活性化の際、脂肪細胞の特異的な遺伝子の転写を制御する、転写因子ペルオキシソーム繁殖体で活性化された受容体γ(PPARγ)により制御される。
【0078】
試験1:90%コンフルエンス状態でのM2細胞を、ビヒクル(C)、PPARγ祖先活性化剤、10μMのトログリタゾン(Tro)単独で、あるいは、10μMのオキシステロール20S、22R、または25S−ヒドロキシコレステロールと組み合わせて処置した。8日後、脂肪細胞を、オイルレッドO染色により同定し、位相差顕微鏡下で計数し数量化した。図6Aは、MSCの脂肪生成の低減に対するオキシステロールの影響を表わす棒グラフである。造骨性オキシステロールは、MSC培養物における脂肪生成を妨害した。
【0079】
試験2:(A)コンフルエンス状態でのM2細胞を、10%FBSを含むRPMI中で、コントロールビヒクルまたは10μMのトログリタゾン(Tro)により、10μMの20Sまたは22Sオキシステロールの不在あるいは存在下で、処置した。10日後、脂肪細胞をオイルレッドO染色により描出し、光顕微鏡により、数量化した((B)参照)。4回の実験の代表例から得られた結果を、4重測定の平均値SDとして報告して示す(Tro対Tro+20SおよびTro+22Sではp<0.001)。(C)M2細胞を、コンフルエンス状態で、10μMのTroにより、単独で、あるいは、10μMの20Sオキシステロールと組み合わせて処置した。10日後、全RNAを単離し、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、脂肪細胞のP2遺伝子(aP2)または18S rRNAの発現について、ノーザンブロッティングにより、上記のように(参考)分析した。ノーザンブロットの濃度測定分析からのデータを、重複サンプルの平均値として、18S rRNAに対して基準化して(D)に示す。
【0080】
図7:A)脂肪細胞をオイルレッドO染色により描出したM2細胞培養物の写真であり;B)は、各処置グループ内のフィールド当りの脂肪細胞数を表わす棒グラフであり;C)は、コントロール試料または処置試料に曝露したM2細胞内のリポタンパク質リパーゼ、脂肪細胞のP2遺伝子または18S rRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムであり;D)は、コントロール試料または処置試料に曝露したM2細胞内のリポタンパク質リパーゼ、脂肪細胞P2遺伝子mRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。
【0081】
脂肪生成を誘導させるため、Tro(PPARγ活性化剤、トログリタゾン(Tro))により処置したM2細胞内では、20S、22S、および22Rが、単独であるいは組合せによって、脂肪生成を妨害した。これらオキシステロールの相対的な抗脂肪生成性作用強度は、M2細胞内で、アルカリ性ホスファターゼの活性を刺激する際の、20S>22S>22Rによる、それらの相対的な作用強度と同様であった。7Kは、その造骨性の影響の欠如と同様、M2細胞内で、脂肪生成を妨害することもできなかった(データ示さず)。脂肪生成の妨害は、20Sによる脂肪生成性遺伝子リポタンパク質リパーゼ(LPL)および脂肪細胞P2遺伝子(aP2)の発現の妨害によっても評価された(図7CおよびD)。これらオキシステロールの脂肪生成に対する妨害効果も、C3H10T1/2および初生マウスのMSCを用いて実証され、これらにおいては、Troあるいはデキサメタゾンおよびイソブチルメチルキサンチンからなる反応混液のいずれかによって、脂肪生成が誘導された。
【0082】
実施例E:オキシステロール効果の機序。肝臓X受容体(LXR)は、ある種の細胞応答を部分的にオキシステロールに仲介する核ホルモン受容体である。LXRαは、組織特異的な方法で発現するが、LXRβは、偏在的に発現する。ノーザンブロット分析により、我々は、M2細胞のコンフルエントな培養中で、LXRβの発現を実証したが、LXRαのそれは実証しなかった(データ示さず)。造骨性オキシステロールの効果を仲介する上でLXRが果たし得る役割を評価するために、我々は、薬理学的なLXR配位子TO−901317(TO)によるLXRβの活性化が、M2細胞内で22Rおよび20Sによって発揮されたのと同じ効果を有していたかどうかを検査した。
【0083】
試験1:1〜10μMのTOにより、M2細胞内でアルカリ性ホスファターゼの活性の投与量に依存する阻害が生じた(C:18±2;10μMで使用された配位子:22R=45±5;20S=140±12;およびTO=3±0.5活性度単位/mg蛋白質±SD;C対全配位子ではp<0.01)。さらに、TO処置では、10日後に、オステオカルシンの遺伝子発現または石灰化が、誘導されなかった。したがって、M2細胞に対するオキシステロールの造骨性効果は、これまでは、非LXRオキシステロール配位子22Sの強力な造骨性活性およびLXR配位子TOに応答する造骨性効果の欠如によって示唆されるように、LXRベータ受容体から独立しているように見られる。
【0084】
試験2:90%コンフルエンス状態でのMSC細胞を、ビヒクル(C)または2つの無関係なLXR配位子(1〜4μMのTOおよびGL)、または22R−ヒドロキシコレステロール(10μM)により処置した。4日後、アルカリ性ホスファターゼの活性度を全細胞溶菌液内で測定し、蛋白質に対して基準化した。図8は、MSCの造骨細胞分化の妨害に対するLXR活性化剤の影響を示す棒グラフである。LXRベータは、MSC内に存在するが、上記のオキシステロールの造骨性効果は、LXRの特異的な活性化剤による処置により、これら細胞の造骨細胞分化および石灰化が妨害された以上、LXRベータによるものとは見られない。
【0085】
実施例F:MSCにおけるオキシステロールの造骨性活性の機序。間葉細胞の造骨細胞への分化が、シクロオキシゲナーゼ(COX)の活性によって制御される。COX−1およびCOX−2は、共に、造骨性細胞に存在し、それぞれ、骨の恒常性および修復に主要に関与するように見られる。COXによる、プロスタグランジンE2(PGE2)を含む、アラキドン酸のプロスタグランジンへの代謝は、これら酵素の造骨性効果を仲介する。COX生成物およびBMP2は、相補的かつ相加的な造骨性効果を有する。
【0086】
(A)コンフルエンス状態でのM2細胞を、上述のように造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)または10μMのCOX−1阻害剤SC−560(SC)により4時間前処置した。次いで、22Rおよび20Sオキシステロール(各RS、2.5μM)の組合せを、SCの存在または欠如下で、指示通りに添加した。3日後、上述のようにALP活性度を測定した。3回の実験の代表例からのデータを、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(RS対RS+SCではp<0.001)。(B)M2細胞を、(A)で述べたように処置し、10日後、培養物内の基質の石灰化を、上述のように45Ca取込み検定により数量化した。3回の実験の代表例からの結果を、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す。(C)M2細胞を、上述のように20μMのSCにより4時間前処置し、その後にSCの存在または欠如下でRSを添加した。8日後、全RNAを単離し、前述のようにノーザンブロッティングによりオステオカルシン(Osc)および18S rRNAの発現について分析した。ノーザンブロットの濃度測定分析からのデータを、重複サンプルの平均値として、18S rRNAに対して基準化して(D)に示す。(E)コンフルエンス状態でのM2細胞を、造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)、またはPLA2妨害ACA(25μM)およびAACOCF3(AAC、20μM)により2時間前処置した。次いで、22Rおよび20Sオキシステロール(RS、2.5μM)の組合せを、阻害剤の存在または欠如下で指示通りに添加した。3日後、上述のようにALP活性度を測定した。3回の実験の代表例からのデータを、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(RS対RS+ACAおよびRS+AACではp<0.01)。(F)M2細胞を、(E)で述べたように処置した。10日後、培養物内の基質の石灰化を、前述のように、45Ca取込み検定により数量化した。3回の実験の代表例からの結果を、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(RS対RS+ACAおよびRS+AACではp<0.01)。
【0087】
図9:A)は、COX−1阻害剤またはオキシステロール処置の、M2細胞内のアルカリ性ホスファターゼの活性度に対する影響を表わす棒グラフであり;B)は、COX−1阻害剤またはオキシステロール処置の、M2細胞内のカルシウム取込みに対する影響を表わす棒グラフであり;C)は、COX−1阻害剤またはオキシステロール処置に曝露されたM2細胞内のオステオクラスチンまたは18S rRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムであり;D)は、COX−1阻害剤またはオキシステロール処置に曝露されたM2細胞内のオステオクラスチンmRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフであり;E)は、M2細胞内のアルカリ性ホスファターゼの活性度に対するPLA2阻害剤またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフであり;また、F)は、M2細胞内のカルシウム取込みに対するPLA2阻害剤またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフである。
【0088】
牛の胎児の血清(これは我々の実験条件に一致する)の存在下、培養物内のM2細胞は、造骨性分化の全ての段階で、COX−1およびCOX−2両方のmRNAを発現する。骨形成におけるCOXの役割と一致する我々の研究は、1〜20μMのCOX−1選択的阻害剤SC−560が、20R+20Sおよび22S+20Sオキシステロール組合せの造骨性効果を相当に阻害することを示した。SC−560は、オキシステロール誘導のアルカリ性ホスファターゼ活性(図9A)、石灰化(図9B)、およびオステオカルシンの遺伝子発現(図9Cおよび図9D)を阻害した。SC−560ほど有効ではないが、1〜10μMの無毒性の投与量での、非選択的COX阻害剤、IbuprofenおよびFluriprofinも、20R+20Sのオキシステロールの組合せの造骨性効果を相当に、25〜30%阻害した。対照的に、選択的COX−2阻害剤、NS−398は、20μMの最高の無毒性の投与量で、無視できる阻害効果しか有さなかった。さらに、オキシステロールの組合せの、アルカリ性ホスファターゼの活性(図9E)および石灰化(図9F)に対する造骨性効果も、一般のホスホリパーゼA2(PLA2)阻害剤ACAによって、また、選択的サイトゾルPLA2阻害剤、AACOCF3によって阻害された。PLA2の活性化は、細胞性リン脂質からアラキドン酸を遊離させ、COX酵素によるプロスタグランジンへの、別の代謝に利用できるようにする。さらに、レスキュー実験では、COX−1およびPLA2阻害剤の、オキシステロール誘導のアルカリ性ホスファターゼ活性に対する影響は、されぞれ1μMのPGE2および25μMのアラキドン酸の添加により逆転することが示された(データ示さず)。アラキドン酸のオキシステロール刺激代謝の以前の報告と一致して、本結果は、MSCにおけるオキシステロールの造骨性活性は、PLA2誘導のアラキドン酸遊離の活性化、およびCOX経路による造骨性プロスタノイドへのその代謝によって、部分的に仲介されることを示唆している。
【0089】
実施例G:MSCの応答をオキシステロールに仲介する際のERKの役割。細胞外信号制御キナーゼ(ERK)の経路は、骨前駆体細胞の造骨細胞分化と以前に関連した別の主要な信号伝達経路である。ERKの維持された活性化は、ヒトのMSC52の造骨性分化を仲介し、ヒトの造骨細胞におけるERKの活性化は、結果として、造骨性分化のマスターレギュレータであるCbfa1の発現およびDNA結合活性のアップレギュレーションを生じる。さらに、ERKの活性化は、ヒトの成長、分化、および造骨細胞の適切な働きにとって重要であるように思える。
【0090】
(A)コンフルエンス状態でのM2細胞を、1%のFBSを含むRPMIにより、4時間前処置した後、コントロールビヒクルまたは5μMの20Sオキシステロールにより、1、4、または8時間処置した。次に、全細胞抽出液を調製し、前述のように、特異的な抗体を用いて、未変性またはリン酸エステル化したERK(pERK)のレベルについて分析した。4回の実験の代表例からのデータを示し、各処置を重複サンプルで示す。(B)コンフルエンス状態でのM2細胞を、上記のように、造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)または20μMのPD98059(PD)により2時間前処置した。次いで、22Rおよび20Sオキシステロール(各RS、5μM)の組合せを、適切なウェルに指示通りに添加した。インキュベーションの10日後、基質の石灰化を、前述のように45Ca取込み検定により数量化した。3回の実験の代表例からのデータを、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(RS対RS+PDではp<0.01)。(C)コンフルエンス状態でのM2細胞を、5%のFBSを含むRPMI中で、20μMのPD98059(PD)により2時間前処置した。次いで該細胞をコントロールビヒクル(C)、10μMのトログリタゾン(Tro)、または10μMの20Sまたは22Sオキシステロールにより、単独であるいは組合せて、指示通りに処置した。10日後、脂肪細胞をオイルレッドO染色により描出し、光顕微鏡により前述のように数量化した。3回の実験の代表例からのデータを、4重測定の平均値±SDとして報告する。
【0091】
図10:A)は、コントロールまたはオキシステロール処置に曝露したM2細胞内に発現したpERKまたはERKに対するウェスタンブロットであり;B)は、M2細胞内のカルシウム取込みに対するPD98059またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフであり;C)は、各処置グループにおけるフィールド当りの脂肪細胞数を表わす棒グラフである。
【0092】
興味深いことに、単独であるいは22Rオキシステロールと組み合わせて使用した20Sオキシステロールは、M2細胞内で、ERK1およびERK2の維持された活性化を生じた(図10A)。阻害剤PD98059によるERK経路の阻害は、オキシステロール誘導の石灰化を阻害した(図10B)が、M2細胞培養物内で、アルカリ性ホスファターゼの活性あるいはオステオカルシンのmRNA発現を阻害しなかった(データ示さず)。これらの結果は、維持されたERK活性化が、オキシステロールのある特異的な、しかし全てではない、造骨性効果を制御する上で重要であることを示唆している。
【0093】
実施例H:20Sと22Rまたは22Sのいずれかとの組合せも、マウス多能性胎仔線維芽C3H−10T1/2細胞内で、マウスの頭蓋冠の前造骨MC3T3−E1細胞内で、また、初生マウスのMSC内で、アルカリ性ホスファターゼの活性および石灰化の刺激により評価された造骨性効果を生じた。
【0094】
骨髄ストローマ細胞の造骨性活性度に対する刺激性効果を有したオキシステロールの他の組合せは、22R+プレグネノロン、20S+プレグネノロン、(共に5μM)、であった。プレグネノロンは、PXRと呼ばれる別の核ホルモン受容体の活性化剤である。しかしながら、アルカリ性ホスファターゼの活性および鉱物形成の両方を含む骨髄ストローマ細胞の健全な造骨性活性度を一貫して誘導した最も効果的な組合せのオキシステロールは、20S−ヒドロキシコレステロールと組み合わせた22Rまたは22Sであった。
【0095】
実施例1:7日齢のCD1の仔からの頭蓋冠を外科的に抽出し(処置当り6個)、22R+20S(各5μM)の存在または欠如下で、2%の牛の胎児の血清を含むBGJ培地中で培養した。次いで、該頭蓋冠を調製し、薄片化した。骨領域(BAr)と組織領域(TAr)を、頭蓋冠切片のH&E染色頭頂骨のディジタル画像により判定した。頭蓋冠当り、8〜10画像を捕獲し、各画像を、切片全体が映像されるまで、頭蓋冠の長さに沿って一視野進めた。分析の領域は、側筋付着部から伸びて、矢状縫合領域(除外した)以外の頭蓋冠切片全体を含んだ。頭頂骨の横断面を冠状および人字縫合から略等距離で、また、各個体ごとに同じ一般的領域で撮影した。この領域の切片を分析したが、その理由は、それらが冠状および人字領域からの縫合組織をほとんどあるいは全く含んでいなかったからである。BArは、細胞過形成ではなく、基本的な層状のコラーゲンパターンを示す桃色染色組織と定義された。TArは、背側ライニング細胞層と腹側ライニング細胞層との間の組織の領域と定義され、BAr並びに未分化の細胞組織および基質を含んでいた。空隙領域については、別個の判定を行ったが、この領域は、BAr内の骨髄腔と定義され、BAr測定値から引いてから、BAr%TArの計算を行った。個体間のTArの差を考慮して、BArは、測定した全TArのパーセントとして報告する。組織形態計測的なデータ(連続量)を、一方向ANOVAを用い、次いで、コントロール対StudentのtテストおよびDunnettテストを行って評価した。0.05のp値を用いてグループ間の有意差を表現した。結果は平均値±SDで表される。
【0096】
結果。図11は、22R+20Sオキシステロール組合せの、マウス頭蓋冠骨形成に対する影響を表わす表である。組合せオキシステロールで処置した頭蓋冠内の骨形成では、コントロールビヒクルで処置したものと比べて、20%の増進が観察され、組合せオキシステロールの造骨性活性をさらにex vivoで支持した。図12は、ビヒクル(A)または22R+20Sオキシステロールで処置した頭蓋冠の代表的な切片である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明による一方法のフローチャートを表わす。
【図2】本発明の二つの実施形態を表わす。
【図3A】M2細胞内アルカリ性ホスファターゼの活性度に対する各種のオキシステロールの影響を表わす棒グラフである。
【図3B】M2細胞内アルカリ性ホスファターゼの活性度に対する各種の投与量におけるオキシステロールの組合せの影響を表わす棒グラフである。
【図3C】各種の条件に曝露されたM2細胞のvon Kossa 染色状況を表わしたものである。
【図3D】M2細胞内のカルシウムの取込みに対する各種の投与量におけるオキシステロールの組合せの影響を表わす棒グラフである。
【図3E】4日または8日間、コントロールまたはオキシステロールの組合せに曝露したM2細胞内のオステオカルシンmRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムである。
【図3F】4日または8日間、コントロールまたはオキシステロールの組合せに曝露したM2細胞内のオステオカルシンmRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。
【図4A】M2細胞に対する各種のオキシステロールの、各種の投与量における影響を表わす棒グラフである。
【図4B】M2細胞に対する各種のオキシステロールの、各種の投与量における影響を表わす棒グラフである。
【図4C】オキシステロールによる処置の持続時間のM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図4D】各種の投与量のオキシステロールの組合せのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図4E】各種の投与量のオキシステロールの組合せのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図5A】オキシステロールおよびチトクロームP450阻害剤SKF525AのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図5B】オキシステロールおよびチトクロームP450活性化剤ベンジルイミダゾールおよび阻害剤SKF525AのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図6】M2細胞の脂肪生成の低減に対するオキシステロールの影響を表わす棒グラフである。
【図7A】脂肪細胞をオイルレッドO染色により描出したM2細胞培養物の写真である。
【図7B】各処置グループ内のフィールド当りの脂肪細胞数を表わす棒グラフである。
【図7C】コントロール試料または処置試料に曝露したM2細胞内のリポタンパク質リパーゼ、脂肪細胞のP2遺伝子または18S rRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムである。
【図7D】コントロール試料または処置試料に曝露したM2細胞内のリポタンパク質リパーゼ、脂肪細胞P2遺伝子mRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。
【図8】M2細胞に対する合成LXR活性化剤の影響を示す棒グラフである。
【図9A】COX−1阻害剤またはオキシステロール処置の、M2細胞内のアルカリ性ホスファターゼの活性度に対する影響を表わす棒グラフである。
【図9B】COX−1阻害剤またはオキシステロール処置の、M2細胞内のカルシウム取込みに対する影響を表わす棒グラフである。
【図9C】COX−1阻害剤またはオキシステロール処置に曝露されたM2細胞内のオステオクラスチンまたは18S rRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムである。
【図9D】COX−1阻害剤またはオキシステロール処置に曝露されたM2細胞内のオステオクラスチンmRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。
【図9E】M2細胞内のアルカリ性ホスファターゼの活性度に対するPLA2阻害剤またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフである。
【図9F】M2細胞内のカルシウム取込みに対するPLA2阻害剤またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフである。
【図10A】コントロールまたはオキシステロール処置に曝露したM2細胞内に発現したpERKまたはERKに対するウェスタンブロットである。
【図10B】M2細胞内のカルシウム取込みに対するPD98059またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフである。
【図10C】各処置グループにおけるフィールド当りの脂肪細胞数を表わす棒グラフである。
【図11】22R+20Sオキシステロール組合せの、マウス頭蓋冠骨形成に対する影響を表わす表である。
【図12】ビヒクル(A)または22R+20Sオキシステロール(B)で処置した頭蓋冠の代表的な切片である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を増進する、及び/又は、骨の修復を増進する作用剤と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
正常な骨再構築は、骨格の完全性を維持するため成人の生涯を通して起こるものであり、破骨細胞による骨の再吸収および造骨細胞による骨の形成を含んでいる。したがって、骨の形成と骨の再吸収との間のバランスに対するいかなる干渉も、骨の恒常性、骨の形成および修復に影響し得る。
【0003】
造骨細胞は、骨髄ストローマ細胞(骨髄幹細胞;MSC)のプールから生じる。これら細胞は、各種の組織内に存在し、骨の骨髄ストローマ内で支配的である。MSCは、多能的であり、造骨細胞、軟骨細胞、線維芽細胞、および脂肪細胞に分化し得る。
【0004】
骨粗鬆症は、初老者における羅病率および死亡率の主要な要因であり、米国健康ケアシステムの年間コストは、少なくとも100億ドルである。男性も女性も、加齢に伴う骨粗鬆症による骨の減損に苦しんでいる。これら有害な変化は性ホルモンの減少により引き起こされると考えられている。例えば、骨粗鬆症は、閉経後の女性で増加する。
【0005】
蓄積されている証拠によれば、造骨細胞の数および活性度は、加齢につれて減少するが、この変化の理由は明らかではない。加えて、骨粗鬆症の骨の骨髄では、造骨細胞の形成を犠牲にすると思われる脂肪細胞の形成が増大する。さらに、骨内の脂肪性組織の体積は、普通の被検者では年齢と共に増大し、これは実質的に加齢に伴う骨粗鬆症であって、これは柵状織の骨の減損の程度に平行する、骨の柵状織に隣接した脂肪細胞の数と共に増大する。この観察、そして、同様の観察に基づいて、加齢に伴う骨粗鬆症における骨の減損の原因は、少なくとも部分的には、造骨細胞分化が脂肪細胞経路へ変移するためであることが示唆された。
【0006】
老人においては骨折の治癒は阻害されており、MSC(一般に骨折部位に遊走して新しい骨の形成が生じることを可能にすると考えられる)の数および活性度の減少が実証されている。
【0007】
現在のところ、骨粗鬆症に対する唯一の処置は、造骨細胞による骨の再吸収を目的にした処置である。このFDA(食品医薬品庁)認可の治療法には、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータなどのホルモン置換療法、カルシトニン、およびビタミンD/カルシウムの補充が含まれる。しかしながら、これらの処置は、骨の質量のごく小さな増加をもたらすだけであり、骨粗鬆症の総合的な防止または治療には十分ではない。
【0008】
現在、骨粗鬆症の治療に対するFDA認可の唯一のタンパク質同化作用剤は、副甲状腺ホルモン(PTH)である。PTHは現在、造骨細胞のアポトーシスを阻害することによって骨の形成を増大すると考えられている。PTHは、断続的な注入で骨の質量を増大させ、骨粗鬆症患者の骨折発生率を低減することが判明している。しかしながら、PTHによる連続的な治療及び/又はその蓄積は、患者に対して全身的な悪影響を及ぼす場合があるため、投与量を厳密に制御しなければならない。加えて、PTH治療は、極めて費用が嵩む。したがって、PTH治療は、最も重篤な骨粗鬆症患者のためのみに用意されている。
【0009】
造骨細胞による骨の形成を増進するための他の有力な治療法としては、弗化ナトリウム、および骨にプラスの影響を及ぼす成長因子(例えば、インスリン様成長因子IおよびIIおよびトランスフォーミング成長因子ベータ)が挙げられる。しかしながら、これら因子は、これまでは、望ましくない副作用を有していた。
【0010】
ヒトの骨関連の障害の治療に幹細胞を使用することも検討されてきた。例えば、骨形成不全は、患者の造骨細胞が、コラーゲンIを適切な形で作らず、結果として、骨の脆化を招く骨格病である。健康な個体からの造骨前駆体幹細胞を罹病した個体に注入することによって、これら患者の骨密度が向上することが示されている。さらに、幹細胞は、個体から単離して、インビトロで膨張させ、刺激して軟骨を形成する軟骨細胞にし、関節炎の関節に再注入して軟骨を再生させることができる。
【0011】
したがって、骨の恒常性、骨の形成および骨の修復を制御するための作用剤および方法が所望される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進するための作用剤と方法に関する。
【0013】
より詳細には、本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進する、全身的、及び/又は局所的アプリケーション作用剤を含んでよい。
【0014】
より詳細には、本発明は、造骨細胞の骨形成を刺激する作用剤の使用を含みうる。本発明は、MSCの造骨細胞への分化に影響する作用剤の使用を含みうる。本発明で造骨細胞への分化をもたらすのに有効でありうる作用剤としては、22(R)−、22(S)−、20(S)−、および25−ヒドロキシコレステロールなどの個々のオキシステロール、プレグネノロンのうちの単独またはこれらの組合せが挙げられるが、ただしそれらに限定されない。本発明において有用であり得るオキシステロールの組合せの具体的な例としては、22R−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールの組合せ、並びに22S−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールの組合せが挙げられる。本発明は、さらに、造骨細胞分化または骨形成に影響する点で活性を有することが分かっているオキシステロール分子のいかなる部分も含んでよい。本発明は、さらに、造骨細胞分化または骨形成に影響する点で、オキシステロールが、それにおいて活性を有する分子の活性化を含んでよい。本発明はまた、同様の動作機序を介して、親分子と同様に作用するであろう上記のオキシステロールの活性部分、および骨の恒常性にプラスの影響を及ぼすであろう同様の受容体を模倣するよう設計されている他の脂質分子または類縁体(アナログ)を含んでよい。
【0015】
本発明は、破骨細胞の骨の再吸収を阻害する作用剤の使用を含んでよい。本発明において、破骨細胞の骨の再吸収に影響を与えるのに有用と思われる作用剤としては、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、およびビタミンD/カルシウムのサプリメンテーションが挙げられるが、これらに限定されない。本発明はまた、造骨細胞の骨形成を誘導する作用剤の使用を含んでよい。本発明において、有用と思われる作用剤としては、PTH、弗化ナトリウム、およびインスリン様成長因子IおよびIIおよびトランスフォーミング成長因子ベータなどの成長因子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進するための作用剤を全身的に送達する方法または該作用剤による局所的な処置の方法を含んでよい。本発明は、骨骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進するための、分化した造骨細胞を全身的に運搬する方法または該造骨細胞による局所的な処置の方法を含んでよい。
【0017】
本発明の一実施態様では、該方法は、歯根膜炎、歯周再生、歯のインプラント再構築のための歯槽隆線の増大、非癒着骨折の治療においてなど、骨の局所的修復を誘導するのに適用されてよい。本発明の一実施態様では、該方法は、骨粗鬆症などの骨関連の障害を治療するのに応用されてよい。
【0018】
本発明はまた、骨の形成を誘導しあるいは骨の修復を増進するための物質のコーティングを有する、あるいは該目的のための分化した細胞を播種されている、インプラントを含んでもよい。本発明はまた、骨の形成または骨の修復が所望される部位における該物質または分化した細胞の適用を含んでもよい。例えば、インプラントとしては、骨の形成または骨の修復を刺激することによって、骨折を不動化し、骨の形成を増進し、あるいは、補綴インプラントを安定化するのに使用されるピン、ネジ、および板が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
政府後援
この研究は、米国立衛生研究所/米国立衛生研究所により後援されており、米国立衛生研究所/米国立衛生研究所により グラント番号P60 AG 10415-11 が授与されている。アメリカ合衆国政府は本発明に関して一定の権利を有する。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を増進し、かつ(または)、骨の修復を増進するための作用剤および方法に関する。
【0021】
より詳細には、本発明は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を増進し、かつ(または)、骨の修復を増進するための作用剤の全身的な、かつ(または)、局所的な適用を含んでよい。方法または化合物の、骨の恒常性を維持する能力の、臨床的インデクスは、DEXAスキャニングによって評価される身体全体の異なる部位における骨の密度の改善によって立証される。治癒破折における増強された骨の形成は、選択された時間間隔における骨折部位の通常のX線検査によってルーティンで評価される。定量的なCTスキャニングなどの、上記インデクスを判定するためのより進歩した方法が用いられてよい。
【0022】
より詳細には、本発明は、造骨細胞の骨形成を刺激する作用剤の使用を含んでよい。本発明は、MSCの造骨細胞への分化に影響する作用剤の使用を含んでよい。
【0023】
本発明において有用であると思われる造骨細胞分化に影響する作用剤としては、個々のオキシステロールまたはそれらの組合せが挙げられるが、しかしそれらに限定されない。
【0024】
オキシステロール。オキシステロールの、造骨性分化および石灰化を誘導し、かつ、脂肪生成性分化を阻害する能力は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を誘導し、または骨の修復を誘導する利益をもたらし得る。
【0025】
オキシステロールは、循環血液内および組織内に存在するコレステロールの酸化誘導体の大きなファミリーを形成する。オキシステロールは、内因性のコレステロール酸化誘導体であり、コレステロールの生合成を制御する点で重要である。オキシステロールは、自動酸化によって脂質の過酸化の二次副産物として、あるいは、その大部分がチトクロ−ムP450酵素ファミリーのメンバーである特異的なモノオキシゲナーゼの作用によって形成される。オキシステロールは、食事での摂取物から誘導され得る。オキシステロールは、コレステロールの新陳代謝、ステロイドの産生、アポトーシス、アテローム硬化、ネクローシス、炎症、および免疫抑制を含む他の生理学的、及び/又は、病理学的プロセスの制御に関与してきた。
【0026】
コレステロールの生合成は、最近、HMG−CoA還元酵素阻害剤の阻害性効果(これはメバロン酸塩によって逆転可能であるが)によって示されたように、骨髄幹細胞(MSC)の分化に関与していることが示された。さらに、オキシステロールは、それらの造骨細胞分化を誘導する能力、および、追加的には、MSCのインビトロでの石灰化によって立証されたように、造骨性のポテンシャルを有していることが実証された。最後に、オキシステロールは、抗脂肪生成性効果を有し、MSCの脂肪細胞分化を阻害することが実証された。
【0027】
オキシステロールの造骨性および抗脂肪生成性効果を示すのに用いられるインビトロモデルは、有効であり、骨形態発生蛋白質(BMP)を含む他の化合物の同様の挙動を実証するのに従来用いられてきた。このレポートで使用される骨髄幹細胞(M2細胞)を含む骨前駆体細胞は、動物およびヒトにインビボで存在するそれらと同様に作用することが示されてきた。これらのインビトロモデルはまた、今まで、BMPおよびインシュリン様成長因子(IGF)などの化合物のインビボ造骨性効果を成功裡に予測することもできた。また、骨器官培養モデルにおけるオキシステロールの造骨性効果が、マウスの新生仔の頭蓋冠を用いて実証された。この器官培養モデルはまた、今まで、BMPを含む異なる化合物の造骨性効果をインビボに予測するのに成功裡に用いられてきた。したがって、これらの同様な発見に基づいて、オキシステロールは、動物およびヒトにおいて、インビボで造骨性効果を有するであろうことが予測される。これらのインビトロおよび器官培養モデルにおける化合物の造骨性効果の実証が、動物およびヒトにおけるそれらのインビボにおける効果を実証するであろう治験に先立って必要である。
【0028】
本発明において造骨細胞分化をもたらすのに有用であると考えられる作用剤としては、22(R)−ヒドロキシコレステロール、22(S)−ヒドロキシコレステロール、20(S)−ヒドロキシコレステロール、および25−ヒドロキシコレステロールなどの個々のオキシステロール、プレグネノロンのそれぞれまたは互いに他との組合せが挙げられるが、しかしそれらに限定されない。本発明において有用であると思われるオキシステロールの組合せの具体的な例としては、22R−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールの組合せ、並びに22S−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールの組合せが挙げられる。本発明は、さらに、造骨細胞分化または骨形成に影響する点で活性を有することが判明しているオキシステロール分子のいかなる部分でも含んでよい。本発明は、さらに、前記オキシステロール群の、造骨細胞分化または骨形成に影響する活性を有する分子を活性化することを含んでよい。本発明はまた、親分子と同様の動作機序を介して該親分子と同様に作用するであろう上記のオキシステロールの活性部位、および骨の恒常性にプラスの影響を及ぼすであろう同様の受容体を模倣するよう設計されている他の脂質分子または類縁体(アナログ)を含んでよい。
【0029】
作用の機序。オキシステロールが生理学的に活性を示すためのメカニズムを調べて、オキシステロールが、各種の細胞内経路によって活性を有しかつ影響を受けることが判明した。先ず、オキシステロールの造骨細胞分化に対する影響は、チトクロームP450阻害剤によって増強されることが実証された。オキシステロールの造骨細胞分化に対する影響はまた、アラキドン酸代謝経路、すなわち、シクロオキシゲナーゼ(COX)およびホスホリパーゼA2、およびERKにおける酵素によっても仲介される。第二に、例えば、細胞内ホスホリパーゼの活性から解放されたアラキドン酸は、造骨細胞分化に対するオキシステロール効果をポジティブにもたらす。第三に、COX酵素によって代謝される、プロスタグランジンE2および造骨性プロスタノイドを含むプロスタグランジンは、造骨細胞分化に対するオキシステロール効果をポジティブにもたらす。第四に、細胞外信号制御キナーゼ(ERK)の活性度が、オキシステロールによって、増強され、造骨細胞分化および石灰化に相関付けられる。したがって、これらの作用剤またはオキシステロールの作用の機序を刺激する作用剤も、本発明において有用であろう。
【0030】
さらに、オキシステロールは、肝臓X受容体(LXR)と呼ばれる核ホルモン受容体に結合されてそれを活性化し、該核ホルモン受容体は、次いで、LXRによって制御される遺伝子のプロモータ上のコンセンサス結合部位に結合する。追加のオーファン核ホルモン受容体が、オキシステロールの制御効果のいくつかを仲介することができるであろうオキシステロール結合部位用として役立ち得る。本発明は、破骨細胞の骨の再吸収を阻害する作用剤の使用を含んでよい。
【0031】
本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は骨の修復を増進する作用剤の全身的な運搬、及び、該作用剤による局所化された処置の方法を含み得る。
【0032】
本発明は、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、またはプレグネノロンを含む群から選択された少なくとも一つのオキシステロール、または20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、またはプレグネノロンのうちのいずれか一つの活性部分の治療的に有効な投与量を含有する、骨の障害の処置に使用するための薬物を含む。
【0033】
治療的に有効な投与量。本発明において有用な作用剤の治療的に有効な投与量は、上記の骨の恒常性、骨の形成、または骨の修復を改善する作用剤の能力によって測定される、患者にプラスの臨床的効果を及ぼす投与量である。各作用剤の治療的に有効な投与量は、マイナスの副作用を最小限度に抑えつつ、所望の臨床的効果が得られるよう調整されてよい。作用剤の投与量は、特定の患者に適した個々の措置および投与量のレベルを決定する際、投与の経路、疾病の重症度、患者の年齢および体重、患者が摂取している他の投薬、および付添い医師によって普通に考えられる他の要因によって、個々の患者について選択されてよい。
【0034】
一例を挙げると、本発明は、内因性の循環オキシステロールレベルを患者の基底レベル以上に上げる措置を含んでよい。普通の成人では、該レベルは、質量分析法で測定した場合、年齢およびオキシステロールの種類により、およそ10〜400nm/mlである。薬理学分野において通常の技術を有する者であれば、循環オキシステロールレベルを患者の基底レベル以上に上げるための投与量および経路を決定することができよう。
【0035】
投与形態。投与形態に含まれる作用剤の治療的に有効な投与量は、選択された作用剤の種類および投与の経路を考えて選択されてよい。投与形態は、薬理学分野において通常の技術を有する者には既知の、患者に対する投与を促進するためのアドジュタントおよび薬学的に受容できるキャリヤを含む他の不活性の成分と組み合わされた作用剤を含んでよい。一実施形態においては、投与形態は、消費された時、人体において作用剤のレベルが上がる結果となる経口的な調合剤(例えば、液体、カプセル、キャプレットなど)であってよい。経口的な調合剤は、希釈剤、結合剤、タイムレリース剤(time release agent)、潤滑剤およびディスイニグラント(disinigrant)を含むキャリヤを含んでよい。
【0036】
投与形態は、経皮的適用に適した局所的な調合剤(例えば、ローション、クリーム、軟膏剤、経皮パッチなど)で提供されてよい。投与形態はまた、例えば、皮下適用(スローレリースカプセル内など)、静脈内適用、腹腔内適用、筋肉内適用、または呼吸による適用に適した調合剤で提供されてよい。
【0037】
投与形態には、作用剤の一つまたは組合せのいずれも、含まれてよい。別法として、作用剤の組合せが、別個の投与形態で、患者に投与されてよい。少なくとも二つの処置用作用剤が患者に加えられるよう、作用剤の組合せが同時的に投与されてよい。
【0038】
追加的作用剤。本発明は、骨の恒常性を維持し、骨の形成を増進し、かつ(または)、骨の修復を増進するため、少なくとも一つの最初の作用剤と独立的にあるいは相乗効果的に作用する追加的作用剤による処置を含んでよい。
【0039】
追加的作用剤は、オキシステロールが造骨細胞分化を増進する機序経路を刺激する作用剤であってよい。したがって、本発明において、単独で、あるいは、オキシステロールと組み合わせて、有用と思われる類の作用剤としては、SKF525Aなど、チトクロームP450阻害剤が挙げられるが、しかしそれらに限定されない。本発明で有用な他の類の作用剤としては、ホスホリパーゼ活性化剤、あるいはアラキドン酸が挙げられる。本発明で有用な他の類の作用剤としては、COX酵素活性化剤、あるいはプロスタグランジンあるいは造骨性プロスタノイドが挙げられる。本発明で有用な他の類の作用剤としては、ERK活性化剤が挙げられる。
【0040】
本発明は、オキシステロールと骨の形成、修復または恒常性に影響する他の治療法による処置の組合せを含んでよい。例えば、オキシステロールと、ビスホスホン酸塩、エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、およびビタミンD/カルシウム補充などのホルモン治療処置、PTH(Forteoまたはテリパラチド、Eli Lily、など)、弗化ナトリウム、およびインスリン様成長因子IおよびIIおよびトランスフォーミング成長因子ベータなどの骨にプラスの影響を及ぼす成長因子との組合せが挙げられる。当業者であれば、標準の治療投与パラメータを用いて、治療のそれぞれに対する一般に認められた投与量を決定することは、可能であろう。
【0041】
本発明は、骨の恒常性を維持する、骨の形成を増進する、及び/又は、骨の修復を増進する分化した造骨細胞の全身的な運搬、または、該造骨細胞による局所化された処置の方法を含んでよい。この処置は、上記のように、患者に対して、単独で、あるいは、他の作用剤(複数も可)の投与と組み合わせて行われてよい。図1は、本発明による一方法のフロー図である。この方法のこの実施形態では、患者、あるいは、細胞ドナーから、哺乳類の間葉幹細胞が収集され得る(100)。該細胞は、次いで、少なくとも一つの作用剤で処置されて、該細胞の造骨細胞分化を誘導し得る(102)。該細胞は、次いで、患者に対して、全身的に、あるいは、骨の恒常性、骨の形成、または、骨の修復が望まれる選択された部位において、投与され得る(104)。追加的に、患者は、骨の恒常性、骨の形成、または、骨の修復をもたらす少なくとも一つの第二の作用剤により、局所的に、あるいは全身的に、処置され得る(106)。
【0042】
本発明のこの態様においては、MSCは、アルカリ性ホスファターゼの活性度、カルシウムの取込み、石灰化またはオステオカルシンのmRNA発現、あるいは、造骨細胞分化の他の指標の増大のうちのいずれか一つによって測定される造骨細胞分化を刺激する作用剤(複数も可)により処置されてよい。本発明の一実施形態では、MSC細胞が、患者から収集され、少なくとも一つのオキシステロールにより処置され、そして、造骨細胞が患者に投与される。
【0043】
本発明は、造骨細胞的に分化したMSCを患者に対して全身的に投与する工程を含んでよい。
【0044】
本発明は、造骨細胞的に分化したMSCを、患者の身体の選択された場所に配置する処置を含んでよい。本発明の一実施形態では、細胞が、骨の恒常性、形成、及び/又は、修復が望まれる場所に注入されてよい。
【0045】
本発明の一実施態様では、作用剤および方法は、治療に、あるいは、骨粗鬆症などの骨関連の障害の進行を遅らせる処置に応用されてよいが、それらに限定されない。
【0046】
本発明の一実施態様では、作用剤および方法は、歯根膜炎、歯周再生、歯のインプラント再構築のための歯槽隆線の増大、非癒着骨折の治療、膝/臀部/関節部位の修理または置換外科において、細胞または作用剤の、外科的あるいは骨折部位への適用処置に応用されてよいが、それに限定されない。
【0047】
図2は、本発明の2つの実施形態を示す。図2Aでは、本発明は、人体で使用のためのインプラント(200)であって、表面(201)を有する基質を含み、該インプラントの少なくとも該表面は、少なくとも一つのオキシステロール(203)を、骨形成を誘導するのに十分な量で含み、あるいは、インプラントは、骨形成または骨修復の増強を誘導するための造骨細胞分化が可能な哺乳類の細胞、または、造骨細胞の哺乳類細胞、または、それらの組合せを含むインプラントを含んでよい。例えば、インプラントとしては、骨の除去、骨折または他の骨の損傷の部位(204)の形成または修復を刺激することによって、骨折を不動化し、骨の形成を増進し、あるいは、補綴インプラントを安定化するのに使用される、骨(202)の近傍に、あるいはそれと接触して配置され得る、ピン、ネジ、板または補綴関節が挙げられる。
【0048】
図2Bに示すように、本発明は、骨の形成、または、骨の修復が望まれる、骨の除去、骨折または他の骨の損傷の部位(204)において、骨(202)の近傍に、あるいはそれと接触して、少なくとも一つの作用剤または分化した細胞(206)を適用する処置を含んでよい。
【実施例】
【0049】
材料:Sigma (St. Louis, MO, U.S.A.) から入手したオキシステロール、ベータグリセロ燐酸塩(βGP)、硝酸銀、オイルレッドO、Irvine Scientific (Santa Ana, CA, U.S.A.) から入手したRPMI 1640、α改変基本培地(α−MEM)、およびダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、及びHyclone (Logan, UT, U.S.A.) から入手した牛の胎児の血清。BIOMOL Research Labs (Plymouth Meeting, PA, U.S.A.) から購入したPD98059、Cayman Chemical (Ann Arbor, MI, U.S.A.) から購入したTO−901317、SC−560、NS−398、Ibuprofen、及びFlurbiprofen、Calbiochem (La Jolla, CA, U.S.A.) から購入したACA及びAACOCF3、R&D Systems (Minneapolis, MN, U.S.A.) から購入したヒトの組換え体BMP2。New England Biolabs (Beverly, MA, U.S.A.) から入手したリン酸エステル化され、かつ、未変性のERKに対する抗体、および、三共(東京、日本)から得たトログリタゾン。
【0050】
細胞:American Type Culture Collection (ATCC, Rockville, MD, U.S.A.) から入手したM2−10B4マウス骨髄ストローマ細胞ラインは、(C57BL/6J xC3H/HeJ)F1マウスの骨の骨髄ストローマ細胞に由来するものであり、ヒトおよびマウスの骨髄造血を長期培養において支持し(ATCCによる)、かつ、造骨細胞および脂肪細胞に分化する能力を有している。これら細胞は、特記なき場合、10%の加熱不活性化FBSを含有し、1mMのピルビン酸ナトリウム、100U/mlのペニシリン、及び100U/mlのストレプトマイシン(全てIrvine Scientific製)を補充したRPMI 1640中で培養した。
【0051】
ATCCからMC3T3−E1マウス前造骨細胞ラインを購入し、10%の加熱不活性化FBSおよび上記のサプリメントを含むα−MEM内で培養した。
【0052】
Kristina Bostrom博士(UCLA)の好意により提供されたC3H−10T1/2マウス多能性胎仔線維芽細胞を、10%の加熱不活性化FBSおよび上記のサプリメントを含むDMEM内で培養した。初生マウスの骨髄ストローマ細胞を、4〜6ヶ月令の雄のC57BL/6Jのマウスから分離し、前に報告したように培養して増殖させた。ここで、Parhami, F. et al., J. Bone Miner. Res. 14, 2067-2078 (1999) の全開示を引用により組み込む。
【0053】
アルカリ性ホスファターゼ活性度検定:全細胞抽出液に対して、比色定量のアルカリ性ホスファターゼ活性度(ALP)検定を上記のように行った。
【0054】
von KossaおよびオイルレッドO染色−細胞単層内の基質石灰化が、上記のように、硝酸銀染色により検出された。脂肪細胞の検出のため、オイルレッドO染色を上記のように行った。
【0055】
45Ca取込み検定−細胞単層内の基質石灰化を、上記のように、45Ca取込み検定を用いて数量化した。
【0056】
ウェスタンブロット分析−処置の後、溶解緩衝液内で細胞を溶解し、Bio−Rad蛋白質検定 (Hercules, CA, U.S.A.) を用いて、蛋白質の濃度を測定し、上記のようにSDS−PAGEを行った。未変性で、かつ、リン酸エステル化されたERKについて、上記のように調査を行った。
【0057】
RNA単離およびノーザンブロット分析−適切な実験条件下での細胞の処置の後、Stratagene (La Jolla, CA, U.S.A.) 製のRNA単離キットを用いて、全RNAを単離した。全RNA(10mg)を、1%のアガロース/ホルムアルデヒドゲルに流し、Duralon-UV メンブレン (Stratagene, CA, U.S.A.) に転写し、紫外線で架橋した。メンブレンは、それぞれ、Geneka Biotechnology (Montreal, Quebec, Canada) およびMaxim Biotech (San Francisco, CA, U.S.A.) から入手した32P標識化マウスのオステオカルシンcDNAプローブ、マウスリポタンパク質(LPL)、マウス脂肪細胞蛋白質2(aP2)PCR産生プローブ、ヒトの28Sまたは18S rRNAプローブにより、60℃、オーバーナイトでハイブリダイズした。Invitrogen (Carlsbad, CA, U.S.A.) により合成されたプライマーセットを用いて、下記の仕様により、PCR生成物を産生した。マウスのaP2遺伝子(アクセス番号M13261);センス(75−95)5’−CCAGGGAGAACCAAAGTTGA−3’、アンチセンス(362−383)5’−CAGCACTCACCCACTTCTTTC−3’、309塩基対のPCR生成物を産生。マウスのLPL(アクセス番号XM 134193);センス(1038−1058)5’−GAATGAAGAAAACCCCAGCA−3’、アンチセンス(1816−1836)5’−TGGGCCATTAGATTCCTCAC−3’
、799塩基対のPCR生成物を産生。PCR生成物は、ゲル精製し、UCLA配列決定コアで配列決定したところ、それらの各GenBankのエントリーに対する最高の類似度が示された。ハイブリッド形成後、室温で、2X SSC+0.1%SDSによりブロットを2度洗浄し、次いで、0.5X SSC+0.1%SDSにより60℃で2度洗浄し、X線フィルムに曝露した。濃度測定により、遺伝子発現誘導の程度を判定した。
【0058】
統計解析−StatView 4.5プログラムを用いて、コンピュータ補助統計解析を行った。ANOVAおよびフィッシャーの最小有意差法(PLSD)有意性試験によりp値を計算した。p<0.05の値が有意であると考えられた。
【0059】
例A:MSC(骨髄幹細胞)におけるオキシステロールの造骨効果。
【0060】
試験1:コンフルエンス状態のM2細胞を、10%の牛の胎児の血清(FBS)、50μg/mlのアスコルビン酸塩および3mMのベータグリセロ燐酸塩(βGP)を添加したRPMI 1640からなる造骨性培地中でコントロールビヒクル(C)または10μMのオキシステロールで処置した。インキュベーションの3日後、細胞ホモジェネート内のアルカリ性ホスファターゼ(ALP)の活性度を、比色定量検定により測定した。5回の実験の代表例からの結果を、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(* C対オキシステロール処置細胞ではp<0.01)。図3Aは、M2細胞内アルカリ性ホスファターゼの活性度に対する各種のオキシステロールの影響を表わす棒グラフである。
【0061】
コンフルエンス状態のM2細胞を、造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)または指示された濃度の22Rと20Sのオキシステロールの組合せで処置した。3日後、ALPの活性度を上記のように測定した。4回の実験の代表例からの結果を4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(* C対オキシステロールではp<0.01)。図3Bは、M2細胞内アルカリ性ホスファターゼの活性度に対する各種の投与量におけるオキシステロールの組合せの影響を表わす棒グラフである。
【0062】
コンフルエンス状態のM2細胞を、造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)または単独または組合せの5μMのオキシステロールで指示通りに処置した。14日後、von Kossa 染色により、石灰化(黒色に見える)を同定した。図3Cは、各種の条件に曝露されたM2細胞のvon Kossa 染色状況を表わしたものである。
【0063】
M2細胞を、コントロールビヒクル(C)または増大濃度の22Rと20Sのオキシステロールの組合せで処置した。14日後、45Ca取込み検定により、培養物における基質石灰化を数量化した。4回の実験の代表例からの結果を、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(* C対オキシステロール処置培養物ではp<0.01)。図3Dは、M2細胞内のカルシウムの取込みに対する各種の投与量におけるオキシステロールの組合せの影響を表わす棒グラフである。
【0064】
コンフルエンス状態のM2細胞を、造骨性培地内で、コントロールビヒクル(C)または22Rと20Sのオキシステロールの組合せ(各5μM)で処置した。4日および8日後、重複サンプルからの全RNAを単離し、ノーザンブロッティングにより、上記のようにオステオカルシン(Osc)および28SのrRNA発現について分析した。図3Eは、4日または8日間、コントロールまたはオキシステロールの組合せに曝露したM2細胞内のオステオカルシンmRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムである。図3Fは、4日または8日間、コントロールまたはオキシステロールの組合せに曝露したM2細胞内のオステオカルシンmRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。ノーザンブロットの濃度測定分析からのデータを、重複サンプルの平均値として、28S rRNAに対して基準化して(F)に示す。
【0065】
試験1の結果:MSCの培養では、アルカリ性ホスファターゼの活性の刺激、オステオカルシンの遺伝子発現および細胞コロニーの石灰化が、造骨細胞表現型への分化の増大の指標である。特異的なオキシステロール、すなわち、22(R)ヒドロキシコレステロール(22R)、20(S)ヒドロキシコレステロール(20S)、および22(S)ヒドロキシコレステロール(22S)が、多能性M2−10B4マウスのMSC(M2)において、アルカリ性ホスファターゼの活性、造骨性分化の初期マーカー、を誘導した。7−ケトコレステロール(7K)は、これらの細胞において、アルカリ性ホスファターゼの活性を誘導しなかった。
【0066】
アルカリ性ホスファターゼの活性の誘導は、0.5〜10μMの濃度では、投与量および時間の両方に依存しており、20S>22S>22Rの作用強度が示された。これらオキシステロールに4時間曝露し、次いで、オキシステロールのない造骨性培地と置換したところ、M2細胞内に、アルカリ性ホスファターゼの活性が十分誘導された(培養4日後の測定)。
【0067】
0.5〜10μMの濃度における個々のオキシステロール(22R、20Sおよび22S)では、14日間の処置後も、石灰化またはオステオカルシンの遺伝子発現を誘導させることができなかった(データ示さず)。しかしながら、アルカリ性ホスファターゼの活性(図3B)、健全な石灰化(図3CおよびD)およびオステオカルシンの遺伝子発現(図3EおよびF)は、22R+20Sまたは22S+20Sオキシステロールの組合せによって、M2培養中で全て誘導された。
【0068】
試験2:10%の牛の胎児の血清(FBS)を含むRPMI培地中で、M2細胞を成長させた。該細胞を、コンフルエンス状態で、5%のFBS+50μg/mlのアスコルビン酸塩および3mMのベータグリセロ燐酸塩を含むRPMI内で処置して、造骨細胞分化を誘導させた。該細胞を、成長培地+10〜Mのトログリタゾン内で処置することによって、脂肪生成性分化を誘導させた。細胞に、ビヒクル(C)またはオキシステロール、すなわち、20S−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール;22S−ヒドロキシコレステロール;または7ケトコレステロールを、各種の投与量(μM)で加える処理を行った。細胞は常に90%コンフルエンス状態で処置した。4日後、全細胞溶菌液内で、アルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。別法として、MSC培養物を調製し、上記のようにオキシステロールで処置した。細胞は90%コンフルエンス状態で、22R−ヒドロキシコレステロールと20S−ヒドロキシコレステロールとの組合せ(各5μM)により、4〜96時間処置した。オキシステロールを除去し、オキシステロールを含まない新鮮な培地を合計96持続時間かけて添加した。全細胞抽出液内でアルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。
【0069】
試験2の結果:図4Aは、4日間曝露後の、M2細胞に対する各種のオキシステロールの、各種の投与量における影響を表わす棒グラフである。オキシステロールは、アルカリ性ホスファターゼの活性、造骨細胞分化の初期マーカー、を誘導した。
【0070】
図4Bは、24時間の処置後の、M2細胞に対する各種のオキシステロールの、各種の投与量における影響を表わす棒グラフである。細胞は、90%コンフルエンス状態で、ビヒクル(C)、あるいは、オキシステロール22R−ヒドロキシコレステロールまたは20S−ヒドロキシコレステロール(各5μM)により、単独であるいは組み合わせて処置した。24時間後、細胞をリンスし、培地をオキシステロール非含有培地に置換した。4日後、全細胞抽出液内でアルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。オキシステロールによる僅か24時間の処置後、アルカリ性ホスファターゼの活性は数倍誘導された。
【0071】
図4Cは、オキシステロールによる処置の持続時間のM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。オキシステロール(22R−ヒドロキシコレステロールおよび20S−ヒドロキシコレステロールの組合せ(各5μM)による処置で、4〜96時間の処置後、処置後4日で測定したところ、アルカリ性ホスファターゼの活性が誘導されていた。
【0072】
図4Dは、各種の投与量のオキシステロールの組合せのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。組合せオキシステロールのM2細胞に対する影響は、アルカリ性ホスファターゼの活性の誘導についてはその投与量に依存していた。
【0073】
図4Eは、各種の投与量のオキシステロールの組合せのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。22Rおよび20S−ヒドロキシコレステロールの組合せ投与量による処置。10日後、45Ca取込みを測定して、骨の鉱物形成を評価し、蛋白質に対して基準化した。組合せオキシステロールのM2細胞に対する影響は、骨の鉱物形成の誘導についても同様にその投与量に依存していた。
【0074】
実施例B:オキシステロールの影響に対するチトクロームP450の妨害。M2細胞は、90%コンフルエンス状態で、ビヒクル(C)、あるいは、オキシステロール20S−ヒドロキシコレステロールまたは22S−ヒドロキシコレステロール(5μMまたは1μM)により、チトクロームP450阻害剤(SKF525A 10μM(+))の欠如あるいは存在下で、処置した。MSC培養物も、90%コンフルエンス状態で、ビヒクル(C)、あるいは、20S−ヒドロキシコレステロール(2μM)により、チトクロームP450活性化剤(ベンジルイミダゾール50μM)またはSKF525A(10μM)の欠如あるいは存在下で、処置した。4日後、全細胞抽出液内でアルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。
【0075】
実施例Bの結果:図5Aは、オキシステロールおよびチトクロームP450阻害剤SKF525Aの骨髄ストローマ細胞に対する影響を表わす棒グラフである。4日後、全細胞抽出液内でアルカリ性ホスファターゼの活性度を測定し、蛋白質に対して基準化した。チトクロームP450阻害剤の使用は、オキシステロールの造骨性影響を増強し、オキシステロールが、チトクロームP450酵素によって代謝され、妨害されることを示唆した。
【0076】
図5Bは、オキシステロールおよびチトクロームP450活性化剤ベンジルイミダゾールおよび阻害剤SKF525AのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。チトクロームP450酵素、ベンジルイミダゾールによる処置では、恐らくオキシステロールの分解が増進されて、オキシステロールの影響が妨害された。
【0077】
例D:オキシステロールによるMSC内における脂肪生成の妨害。MSCを含む脂肪細胞祖先の脂肪生成は、配位子結合による活性化の際、脂肪細胞の特異的な遺伝子の転写を制御する、転写因子ペルオキシソーム繁殖体で活性化された受容体γ(PPARγ)により制御される。
【0078】
試験1:90%コンフルエンス状態でのM2細胞を、ビヒクル(C)、PPARγ祖先活性化剤、10μMのトログリタゾン(Tro)単独で、あるいは、10μMのオキシステロール20S、22R、または25S−ヒドロキシコレステロールと組み合わせて処置した。8日後、脂肪細胞を、オイルレッドO染色により同定し、位相差顕微鏡下で計数し数量化した。図6Aは、MSCの脂肪生成の低減に対するオキシステロールの影響を表わす棒グラフである。造骨性オキシステロールは、MSC培養物における脂肪生成を妨害した。
【0079】
試験2:(A)コンフルエンス状態でのM2細胞を、10%FBSを含むRPMI中で、コントロールビヒクルまたは10μMのトログリタゾン(Tro)により、10μMの20Sまたは22Sオキシステロールの不在あるいは存在下で、処置した。10日後、脂肪細胞をオイルレッドO染色により描出し、光顕微鏡により、数量化した((B)参照)。4回の実験の代表例から得られた結果を、4重測定の平均値SDとして報告して示す(Tro対Tro+20SおよびTro+22Sではp<0.001)。(C)M2細胞を、コンフルエンス状態で、10μMのTroにより、単独で、あるいは、10μMの20Sオキシステロールと組み合わせて処置した。10日後、全RNAを単離し、リポタンパク質リパーゼ(LPL)、脂肪細胞のP2遺伝子(aP2)または18S rRNAの発現について、ノーザンブロッティングにより、上記のように(参考)分析した。ノーザンブロットの濃度測定分析からのデータを、重複サンプルの平均値として、18S rRNAに対して基準化して(D)に示す。
【0080】
図7:A)脂肪細胞をオイルレッドO染色により描出したM2細胞培養物の写真であり;B)は、各処置グループ内のフィールド当りの脂肪細胞数を表わす棒グラフであり;C)は、コントロール試料または処置試料に曝露したM2細胞内のリポタンパク質リパーゼ、脂肪細胞のP2遺伝子または18S rRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムであり;D)は、コントロール試料または処置試料に曝露したM2細胞内のリポタンパク質リパーゼ、脂肪細胞P2遺伝子mRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。
【0081】
脂肪生成を誘導させるため、Tro(PPARγ活性化剤、トログリタゾン(Tro))により処置したM2細胞内では、20S、22S、および22Rが、単独であるいは組合せによって、脂肪生成を妨害した。これらオキシステロールの相対的な抗脂肪生成性作用強度は、M2細胞内で、アルカリ性ホスファターゼの活性を刺激する際の、20S>22S>22Rによる、それらの相対的な作用強度と同様であった。7Kは、その造骨性の影響の欠如と同様、M2細胞内で、脂肪生成を妨害することもできなかった(データ示さず)。脂肪生成の妨害は、20Sによる脂肪生成性遺伝子リポタンパク質リパーゼ(LPL)および脂肪細胞P2遺伝子(aP2)の発現の妨害によっても評価された(図7CおよびD)。これらオキシステロールの脂肪生成に対する妨害効果も、C3H10T1/2および初生マウスのMSCを用いて実証され、これらにおいては、Troあるいはデキサメタゾンおよびイソブチルメチルキサンチンからなる反応混液のいずれかによって、脂肪生成が誘導された。
【0082】
実施例E:オキシステロール効果の機序。肝臓X受容体(LXR)は、ある種の細胞応答を部分的にオキシステロールに仲介する核ホルモン受容体である。LXRαは、組織特異的な方法で発現するが、LXRβは、偏在的に発現する。ノーザンブロット分析により、我々は、M2細胞のコンフルエントな培養中で、LXRβの発現を実証したが、LXRαのそれは実証しなかった(データ示さず)。造骨性オキシステロールの効果を仲介する上でLXRが果たし得る役割を評価するために、我々は、薬理学的なLXR配位子TO−901317(TO)によるLXRβの活性化が、M2細胞内で22Rおよび20Sによって発揮されたのと同じ効果を有していたかどうかを検査した。
【0083】
試験1:1〜10μMのTOにより、M2細胞内でアルカリ性ホスファターゼの活性の投与量に依存する阻害が生じた(C:18±2;10μMで使用された配位子:22R=45±5;20S=140±12;およびTO=3±0.5活性度単位/mg蛋白質±SD;C対全配位子ではp<0.01)。さらに、TO処置では、10日後に、オステオカルシンの遺伝子発現または石灰化が、誘導されなかった。したがって、M2細胞に対するオキシステロールの造骨性効果は、これまでは、非LXRオキシステロール配位子22Sの強力な造骨性活性およびLXR配位子TOに応答する造骨性効果の欠如によって示唆されるように、LXRベータ受容体から独立しているように見られる。
【0084】
試験2:90%コンフルエンス状態でのMSC細胞を、ビヒクル(C)または2つの無関係なLXR配位子(1〜4μMのTOおよびGL)、または22R−ヒドロキシコレステロール(10μM)により処置した。4日後、アルカリ性ホスファターゼの活性度を全細胞溶菌液内で測定し、蛋白質に対して基準化した。図8は、MSCの造骨細胞分化の妨害に対するLXR活性化剤の影響を示す棒グラフである。LXRベータは、MSC内に存在するが、上記のオキシステロールの造骨性効果は、LXRの特異的な活性化剤による処置により、これら細胞の造骨細胞分化および石灰化が妨害された以上、LXRベータによるものとは見られない。
【0085】
実施例F:MSCにおけるオキシステロールの造骨性活性の機序。間葉細胞の造骨細胞への分化が、シクロオキシゲナーゼ(COX)の活性によって制御される。COX−1およびCOX−2は、共に、造骨性細胞に存在し、それぞれ、骨の恒常性および修復に主要に関与するように見られる。COXによる、プロスタグランジンE2(PGE2)を含む、アラキドン酸のプロスタグランジンへの代謝は、これら酵素の造骨性効果を仲介する。COX生成物およびBMP2は、相補的かつ相加的な造骨性効果を有する。
【0086】
(A)コンフルエンス状態でのM2細胞を、上述のように造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)または10μMのCOX−1阻害剤SC−560(SC)により4時間前処置した。次いで、22Rおよび20Sオキシステロール(各RS、2.5μM)の組合せを、SCの存在または欠如下で、指示通りに添加した。3日後、上述のようにALP活性度を測定した。3回の実験の代表例からのデータを、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(RS対RS+SCではp<0.001)。(B)M2細胞を、(A)で述べたように処置し、10日後、培養物内の基質の石灰化を、上述のように45Ca取込み検定により数量化した。3回の実験の代表例からの結果を、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す。(C)M2細胞を、上述のように20μMのSCにより4時間前処置し、その後にSCの存在または欠如下でRSを添加した。8日後、全RNAを単離し、前述のようにノーザンブロッティングによりオステオカルシン(Osc)および18S rRNAの発現について分析した。ノーザンブロットの濃度測定分析からのデータを、重複サンプルの平均値として、18S rRNAに対して基準化して(D)に示す。(E)コンフルエンス状態でのM2細胞を、造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)、またはPLA2妨害ACA(25μM)およびAACOCF3(AAC、20μM)により2時間前処置した。次いで、22Rおよび20Sオキシステロール(RS、2.5μM)の組合せを、阻害剤の存在または欠如下で指示通りに添加した。3日後、上述のようにALP活性度を測定した。3回の実験の代表例からのデータを、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(RS対RS+ACAおよびRS+AACではp<0.01)。(F)M2細胞を、(E)で述べたように処置した。10日後、培養物内の基質の石灰化を、前述のように、45Ca取込み検定により数量化した。3回の実験の代表例からの結果を、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(RS対RS+ACAおよびRS+AACではp<0.01)。
【0087】
図9:A)は、COX−1阻害剤またはオキシステロール処置の、M2細胞内のアルカリ性ホスファターゼの活性度に対する影響を表わす棒グラフであり;B)は、COX−1阻害剤またはオキシステロール処置の、M2細胞内のカルシウム取込みに対する影響を表わす棒グラフであり;C)は、COX−1阻害剤またはオキシステロール処置に曝露されたM2細胞内のオステオクラスチンまたは18S rRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムであり;D)は、COX−1阻害剤またはオキシステロール処置に曝露されたM2細胞内のオステオクラスチンmRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフであり;E)は、M2細胞内のアルカリ性ホスファターゼの活性度に対するPLA2阻害剤またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフであり;また、F)は、M2細胞内のカルシウム取込みに対するPLA2阻害剤またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフである。
【0088】
牛の胎児の血清(これは我々の実験条件に一致する)の存在下、培養物内のM2細胞は、造骨性分化の全ての段階で、COX−1およびCOX−2両方のmRNAを発現する。骨形成におけるCOXの役割と一致する我々の研究は、1〜20μMのCOX−1選択的阻害剤SC−560が、20R+20Sおよび22S+20Sオキシステロール組合せの造骨性効果を相当に阻害することを示した。SC−560は、オキシステロール誘導のアルカリ性ホスファターゼ活性(図9A)、石灰化(図9B)、およびオステオカルシンの遺伝子発現(図9Cおよび図9D)を阻害した。SC−560ほど有効ではないが、1〜10μMの無毒性の投与量での、非選択的COX阻害剤、IbuprofenおよびFluriprofinも、20R+20Sのオキシステロールの組合せの造骨性効果を相当に、25〜30%阻害した。対照的に、選択的COX−2阻害剤、NS−398は、20μMの最高の無毒性の投与量で、無視できる阻害効果しか有さなかった。さらに、オキシステロールの組合せの、アルカリ性ホスファターゼの活性(図9E)および石灰化(図9F)に対する造骨性効果も、一般のホスホリパーゼA2(PLA2)阻害剤ACAによって、また、選択的サイトゾルPLA2阻害剤、AACOCF3によって阻害された。PLA2の活性化は、細胞性リン脂質からアラキドン酸を遊離させ、COX酵素によるプロスタグランジンへの、別の代謝に利用できるようにする。さらに、レスキュー実験では、COX−1およびPLA2阻害剤の、オキシステロール誘導のアルカリ性ホスファターゼ活性に対する影響は、されぞれ1μMのPGE2および25μMのアラキドン酸の添加により逆転することが示された(データ示さず)。アラキドン酸のオキシステロール刺激代謝の以前の報告と一致して、本結果は、MSCにおけるオキシステロールの造骨性活性は、PLA2誘導のアラキドン酸遊離の活性化、およびCOX経路による造骨性プロスタノイドへのその代謝によって、部分的に仲介されることを示唆している。
【0089】
実施例G:MSCの応答をオキシステロールに仲介する際のERKの役割。細胞外信号制御キナーゼ(ERK)の経路は、骨前駆体細胞の造骨細胞分化と以前に関連した別の主要な信号伝達経路である。ERKの維持された活性化は、ヒトのMSC52の造骨性分化を仲介し、ヒトの造骨細胞におけるERKの活性化は、結果として、造骨性分化のマスターレギュレータであるCbfa1の発現およびDNA結合活性のアップレギュレーションを生じる。さらに、ERKの活性化は、ヒトの成長、分化、および造骨細胞の適切な働きにとって重要であるように思える。
【0090】
(A)コンフルエンス状態でのM2細胞を、1%のFBSを含むRPMIにより、4時間前処置した後、コントロールビヒクルまたは5μMの20Sオキシステロールにより、1、4、または8時間処置した。次に、全細胞抽出液を調製し、前述のように、特異的な抗体を用いて、未変性またはリン酸エステル化したERK(pERK)のレベルについて分析した。4回の実験の代表例からのデータを示し、各処置を重複サンプルで示す。(B)コンフルエンス状態でのM2細胞を、上記のように、造骨性培地中で、コントロールビヒクル(C)または20μMのPD98059(PD)により2時間前処置した。次いで、22Rおよび20Sオキシステロール(各RS、5μM)の組合せを、適切なウェルに指示通りに添加した。インキュベーションの10日後、基質の石灰化を、前述のように45Ca取込み検定により数量化した。3回の実験の代表例からのデータを、4重測定の平均値±SDとして報告し、蛋白質濃度に対して基準化して示す(RS対RS+PDではp<0.01)。(C)コンフルエンス状態でのM2細胞を、5%のFBSを含むRPMI中で、20μMのPD98059(PD)により2時間前処置した。次いで該細胞をコントロールビヒクル(C)、10μMのトログリタゾン(Tro)、または10μMの20Sまたは22Sオキシステロールにより、単独であるいは組合せて、指示通りに処置した。10日後、脂肪細胞をオイルレッドO染色により描出し、光顕微鏡により前述のように数量化した。3回の実験の代表例からのデータを、4重測定の平均値±SDとして報告する。
【0091】
図10:A)は、コントロールまたはオキシステロール処置に曝露したM2細胞内に発現したpERKまたはERKに対するウェスタンブロットであり;B)は、M2細胞内のカルシウム取込みに対するPD98059またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフであり;C)は、各処置グループにおけるフィールド当りの脂肪細胞数を表わす棒グラフである。
【0092】
興味深いことに、単独であるいは22Rオキシステロールと組み合わせて使用した20Sオキシステロールは、M2細胞内で、ERK1およびERK2の維持された活性化を生じた(図10A)。阻害剤PD98059によるERK経路の阻害は、オキシステロール誘導の石灰化を阻害した(図10B)が、M2細胞培養物内で、アルカリ性ホスファターゼの活性あるいはオステオカルシンのmRNA発現を阻害しなかった(データ示さず)。これらの結果は、維持されたERK活性化が、オキシステロールのある特異的な、しかし全てではない、造骨性効果を制御する上で重要であることを示唆している。
【0093】
実施例H:20Sと22Rまたは22Sのいずれかとの組合せも、マウス多能性胎仔線維芽C3H−10T1/2細胞内で、マウスの頭蓋冠の前造骨MC3T3−E1細胞内で、また、初生マウスのMSC内で、アルカリ性ホスファターゼの活性および石灰化の刺激により評価された造骨性効果を生じた。
【0094】
骨髄ストローマ細胞の造骨性活性度に対する刺激性効果を有したオキシステロールの他の組合せは、22R+プレグネノロン、20S+プレグネノロン、(共に5μM)、であった。プレグネノロンは、PXRと呼ばれる別の核ホルモン受容体の活性化剤である。しかしながら、アルカリ性ホスファターゼの活性および鉱物形成の両方を含む骨髄ストローマ細胞の健全な造骨性活性度を一貫して誘導した最も効果的な組合せのオキシステロールは、20S−ヒドロキシコレステロールと組み合わせた22Rまたは22Sであった。
【0095】
実施例1:7日齢のCD1の仔からの頭蓋冠を外科的に抽出し(処置当り6個)、22R+20S(各5μM)の存在または欠如下で、2%の牛の胎児の血清を含むBGJ培地中で培養した。次いで、該頭蓋冠を調製し、薄片化した。骨領域(BAr)と組織領域(TAr)を、頭蓋冠切片のH&E染色頭頂骨のディジタル画像により判定した。頭蓋冠当り、8〜10画像を捕獲し、各画像を、切片全体が映像されるまで、頭蓋冠の長さに沿って一視野進めた。分析の領域は、側筋付着部から伸びて、矢状縫合領域(除外した)以外の頭蓋冠切片全体を含んだ。頭頂骨の横断面を冠状および人字縫合から略等距離で、また、各個体ごとに同じ一般的領域で撮影した。この領域の切片を分析したが、その理由は、それらが冠状および人字領域からの縫合組織をほとんどあるいは全く含んでいなかったからである。BArは、細胞過形成ではなく、基本的な層状のコラーゲンパターンを示す桃色染色組織と定義された。TArは、背側ライニング細胞層と腹側ライニング細胞層との間の組織の領域と定義され、BAr並びに未分化の細胞組織および基質を含んでいた。空隙領域については、別個の判定を行ったが、この領域は、BAr内の骨髄腔と定義され、BAr測定値から引いてから、BAr%TArの計算を行った。個体間のTArの差を考慮して、BArは、測定した全TArのパーセントとして報告する。組織形態計測的なデータ(連続量)を、一方向ANOVAを用い、次いで、コントロール対StudentのtテストおよびDunnettテストを行って評価した。0.05のp値を用いてグループ間の有意差を表現した。結果は平均値±SDで表される。
【0096】
結果。図11は、22R+20Sオキシステロール組合せの、マウス頭蓋冠骨形成に対する影響を表わす表である。組合せオキシステロールで処置した頭蓋冠内の骨形成では、コントロールビヒクルで処置したものと比べて、20%の増進が観察され、組合せオキシステロールの造骨性活性をさらにex vivoで支持した。図12は、ビヒクル(A)または22R+20Sオキシステロールで処置した頭蓋冠の代表的な切片である。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明による一方法のフローチャートを表わす。
【図2】本発明の二つの実施形態を表わす。
【図3A】M2細胞内アルカリ性ホスファターゼの活性度に対する各種のオキシステロールの影響を表わす棒グラフである。
【図3B】M2細胞内アルカリ性ホスファターゼの活性度に対する各種の投与量におけるオキシステロールの組合せの影響を表わす棒グラフである。
【図3C】各種の条件に曝露されたM2細胞のvon Kossa 染色状況を表わしたものである。
【図3D】M2細胞内のカルシウムの取込みに対する各種の投与量におけるオキシステロールの組合せの影響を表わす棒グラフである。
【図3E】4日または8日間、コントロールまたはオキシステロールの組合せに曝露したM2細胞内のオステオカルシンmRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムである。
【図3F】4日または8日間、コントロールまたはオキシステロールの組合せに曝露したM2細胞内のオステオカルシンmRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。
【図4A】M2細胞に対する各種のオキシステロールの、各種の投与量における影響を表わす棒グラフである。
【図4B】M2細胞に対する各種のオキシステロールの、各種の投与量における影響を表わす棒グラフである。
【図4C】オキシステロールによる処置の持続時間のM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図4D】各種の投与量のオキシステロールの組合せのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図4E】各種の投与量のオキシステロールの組合せのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図5A】オキシステロールおよびチトクロームP450阻害剤SKF525AのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図5B】オキシステロールおよびチトクロームP450活性化剤ベンジルイミダゾールおよび阻害剤SKF525AのM2細胞に対する影響を表わす棒グラフである。
【図6】M2細胞の脂肪生成の低減に対するオキシステロールの影響を表わす棒グラフである。
【図7A】脂肪細胞をオイルレッドO染色により描出したM2細胞培養物の写真である。
【図7B】各処置グループ内のフィールド当りの脂肪細胞数を表わす棒グラフである。
【図7C】コントロール試料または処置試料に曝露したM2細胞内のリポタンパク質リパーゼ、脂肪細胞のP2遺伝子または18S rRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムである。
【図7D】コントロール試料または処置試料に曝露したM2細胞内のリポタンパク質リパーゼ、脂肪細胞P2遺伝子mRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。
【図8】M2細胞に対する合成LXR活性化剤の影響を示す棒グラフである。
【図9A】COX−1阻害剤またはオキシステロール処置の、M2細胞内のアルカリ性ホスファターゼの活性度に対する影響を表わす棒グラフである。
【図9B】COX−1阻害剤またはオキシステロール処置の、M2細胞内のカルシウム取込みに対する影響を表わす棒グラフである。
【図9C】COX−1阻害剤またはオキシステロール処置に曝露されたM2細胞内のオステオクラスチンまたは18S rRNAについてのノーザンブロッティングのラジオグラムである。
【図9D】COX−1阻害剤またはオキシステロール処置に曝露されたM2細胞内のオステオクラスチンmRNAの相対デンソメトリック単位を表わす棒グラフである。
【図9E】M2細胞内のアルカリ性ホスファターゼの活性度に対するPLA2阻害剤またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフである。
【図9F】M2細胞内のカルシウム取込みに対するPLA2阻害剤またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフである。
【図10A】コントロールまたはオキシステロール処置に曝露したM2細胞内に発現したpERKまたはERKに対するウェスタンブロットである。
【図10B】M2細胞内のカルシウム取込みに対するPD98059またはオキシステロール処置の影響を表わす棒グラフである。
【図10C】各処置グループにおけるフィールド当りの脂肪細胞数を表わす棒グラフである。
【図11】22R+20Sオキシステロール組合せの、マウス頭蓋冠骨形成に対する影響を表わす表である。
【図12】ビヒクル(A)または22R+20Sオキシステロール(B)で処置した頭蓋冠の代表的な切片である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳類の間葉幹細胞の造骨細胞分化を誘導する方法であって、少なくとも一つのオキシステロールにより哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、チトクロームP450阻害剤、ホスホリパーゼ活性化剤、アラキドン酸、COX酵素活性化剤、造骨性プロスタノイドまたはERK活性化剤を含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
哺乳類の細胞を刺激して、未処置の細胞における生物学的マーカーのレベルより高いレベルの造骨細胞分化の生物学的マーカーを発現させる方法であって、哺乳類の細胞を、選択された投与量の少なくとも一つのオキシステロールに曝露する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
さらに、チトクロームP450阻害剤、ホスホリパーゼ活性化剤、アラキドン酸、COX酵素活性化剤、造骨性プロスタノイドまたはERK活性化剤を含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
該生物学的マーカーが、アルカリ性ホスファターゼの活性度、カルシウムの取込み、石灰化またはオステオカルシンのmRNAの発現のうちの少なくとも一つの増大であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項12】
該哺乳類の細胞が、間葉幹細胞、骨前駆体細胞または頭蓋冠器官培養細胞を含む群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項13】
哺乳類の間葉幹細胞の脂肪細胞分化を阻害する方法であって、少なくとも一つのオキシステロールにより、哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者を処置して骨髄ストローマ細胞の造骨細胞への分化を増大させる方法であって、少なくとも一つのオキシステロールを、治療的に有効な投与量で、有効な投与形態で、選択された間隔で、投与して、骨組織に存在する造骨細胞の数を増大させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
患者を処置して骨の形成を誘導する方法であって、少なくとも一つのオキシステロールを、治療的に有効な投与量で、有効な投与形態で、選択された間隔で、投与して、骨の質量を増大させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、該患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
さらに、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、またはビタミンDおよびカルシウムを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
骨粗鬆症の臨床的な症候を示す患者を処置する方法であって、少なくとも一つのオキシステロールを、治療的に有効な投与量で、有効な投与形態で、選択された間隔で、投与して、骨粗鬆症の症候を寛解する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、該患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
さらに、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、またはビタミンDおよびカルシウムを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
患者を処置して、骨の形成を誘導する方法であって、
哺乳類の間葉幹細胞を収集する工程;
該哺乳類の間葉細胞を少なくとも一つの作用剤により処置する工程であって、該少なくとも一つの作用剤は、該間葉幹細胞を誘導して、少なくとも一つの造骨細胞分化の細胞マーカーを発現させることを特徴とする工程;及び
該患者に該分化した細胞を投与する工程
を含む方法。
【請求項30】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
さらに、少なくとも一つのオキシステロールを、治療的に有効な投与量で、有効な投与形態で、選択された間隔で、投与する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、該患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項34】
さらに、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、またはビタミンDおよびカルシウムを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項35】
さらに、該分化した細胞を該患者に全身的な注入によって投与する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項36】
さらに、該分化した細胞を骨の形成が望まれる選択された部位への該細胞の適用によって該患者に投与する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項37】
ヒトの身体内で使用するためのインプラントであって、表面を有する基体を含み、該インプラントの少なくとも該表面が、周辺の骨組織内に骨形成を誘導するのに十分な量の少なくとも一つのオキシステロールを含むことを特徴とするインプラント。
【請求項38】
該基体は、ピン、ネジ、板、または補綴関節の形に形成されていることを特徴とする請求項37に記載のインプラント。
【請求項39】
ヒトの身体内で使用するためのインプラントであって、表面を有する基体を含み、該インプラントの少なくとも該表面が、造骨細胞分化が可能な哺乳類細胞を含むことを特徴とするインプラント。
【請求項40】
ヒトの身体内で使用するためのインプラントであって、表面を有する基体を含み、該インプラントの少なくとも該表面は、造骨細胞の哺乳類細胞を含むことを特徴とするインプラント。
【請求項41】
骨の障害の処置に使用するための薬物であって、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択される少なくとも一つのオキシステロールを治療的に有効な投与量含有することを特徴とする薬物。
【請求項1】
哺乳類の間葉幹細胞の造骨細胞分化を誘導する方法であって、少なくとも一つのオキシステロールにより哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、チトクロームP450阻害剤、ホスホリパーゼ活性化剤、アラキドン酸、COX酵素活性化剤、造骨性プロスタノイドまたはERK活性化剤を含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
哺乳類の細胞を刺激して、未処置の細胞における生物学的マーカーのレベルより高いレベルの造骨細胞分化の生物学的マーカーを発現させる方法であって、哺乳類の細胞を、選択された投与量の少なくとも一つのオキシステロールに曝露する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項9】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
さらに、チトクロームP450阻害剤、ホスホリパーゼ活性化剤、アラキドン酸、COX酵素活性化剤、造骨性プロスタノイドまたはERK活性化剤を含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項11】
該生物学的マーカーが、アルカリ性ホスファターゼの活性度、カルシウムの取込み、石灰化またはオステオカルシンのmRNAの発現のうちの少なくとも一つの増大であることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項12】
該哺乳類の細胞が、間葉幹細胞、骨前駆体細胞または頭蓋冠器官培養細胞を含む群から選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項13】
哺乳類の間葉幹細胞の脂肪細胞分化を阻害する方法であって、少なくとも一つのオキシステロールにより、哺乳類の間葉細胞を処置する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項14】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
患者を処置して骨髄ストローマ細胞の造骨細胞への分化を増大させる方法であって、少なくとも一つのオキシステロールを、治療的に有効な投与量で、有効な投与形態で、選択された間隔で、投与して、骨組織に存在する造骨細胞の数を増大させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項16】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、該患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
患者を処置して骨の形成を誘導する方法であって、少なくとも一つのオキシステロールを、治療的に有効な投与量で、有効な投与形態で、選択された間隔で、投与して、骨の質量を増大させる工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、該患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
さらに、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、またはビタミンDおよびカルシウムを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
骨粗鬆症の臨床的な症候を示す患者を処置する方法であって、少なくとも一つのオキシステロールを、治療的に有効な投与量で、有効な投与形態で、選択された間隔で、投与して、骨粗鬆症の症候を寛解する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項25】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項27】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、該患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項28】
さらに、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、またはビタミンDおよびカルシウムを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項25に記載の方法。
【請求項29】
患者を処置して、骨の形成を誘導する方法であって、
哺乳類の間葉幹細胞を収集する工程;
該哺乳類の間葉細胞を少なくとも一つの作用剤により処置する工程であって、該少なくとも一つの作用剤は、該間葉幹細胞を誘導して、少なくとも一つの造骨細胞分化の細胞マーカーを発現させることを特徴とする工程;及び
該患者に該分化した細胞を投与する工程
を含む方法。
【請求項30】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択されることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項31】
該少なくとも一つのオキシステロールが、20S−ヒドロキシコレステロールと22R−ヒドロキシコレステロール、または20S−ヒドロキシコレステロールと22S−ヒドロキシコレステロール、を含む群から選択されるオキシステロールの組合せであることを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項32】
さらに、少なくとも一つのオキシステロールを、治療的に有効な投与量で、有効な投与形態で、選択された間隔で、投与する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項33】
さらに、副甲状腺ホルモン、弗化ナトリウム、インスリン様成長因子I、インスリン様成長因子IIまたはトランスフォーミング成長因子ベータを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、該患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項34】
さらに、ビスホスホン酸塩、選択的エストロゲン受容体モジュレータ、カルシトニン、またはビタミンDおよびカルシウムを含む群から選択される少なくとも一つの二次作用剤により、治療的に有効な投与量で、患者を処置する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項35】
さらに、該分化した細胞を該患者に全身的な注入によって投与する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項36】
さらに、該分化した細胞を骨の形成が望まれる選択された部位への該細胞の適用によって該患者に投与する工程を含むことを特徴とする請求項29に記載の方法。
【請求項37】
ヒトの身体内で使用するためのインプラントであって、表面を有する基体を含み、該インプラントの少なくとも該表面が、周辺の骨組織内に骨形成を誘導するのに十分な量の少なくとも一つのオキシステロールを含むことを特徴とするインプラント。
【請求項38】
該基体は、ピン、ネジ、板、または補綴関節の形に形成されていることを特徴とする請求項37に記載のインプラント。
【請求項39】
ヒトの身体内で使用するためのインプラントであって、表面を有する基体を含み、該インプラントの少なくとも該表面が、造骨細胞分化が可能な哺乳類細胞を含むことを特徴とするインプラント。
【請求項40】
ヒトの身体内で使用するためのインプラントであって、表面を有する基体を含み、該インプラントの少なくとも該表面は、造骨細胞の哺乳類細胞を含むことを特徴とするインプラント。
【請求項41】
骨の障害の処置に使用するための薬物であって、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、プレグネノロン、及び、20S−ヒドロキシコレステロール、22S−ヒドロキシコレステロール、22R−ヒドロキシコレステロール、25−ヒドロキシコレステロール、及びプレグネノロンのうちの任意の一つの活性部分を含む群から選択される少なくとも一つのオキシステロールを治療的に有効な投与量含有することを特徴とする薬物。
【図1】
【図3A】
【図3B】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7B】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図3A】
【図3B】
【図3D】
【図3E】
【図3F】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7B】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【公表番号】特表2006−503819(P2006−503819A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−531921(P2004−531921)
【出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/027105
【国際公開番号】WO2004/019884
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(500027932)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (39)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成15年8月28日(2003.8.28)
【国際出願番号】PCT/US2003/027105
【国際公開番号】WO2004/019884
【国際公開日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【出願人】(500027932)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア (39)
【Fターム(参考)】
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