説明

高い初期強度を有するポリウレタン組成物

特に接着剤として適しており、−10〜35℃の温度範囲を通じて優れた接着を示し、適用が容易なポリウレタン組成物を開示する。特に、本発明の状況において、優れた衝突性能を示す接着剤が配合できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は低温での応用に適し、高い初期強度を有するポリウレタン組成物に関する。特に、本発明は、自動車ウインドウの結合用接着剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン接着剤は自動車及び車両製造において、長い間用いられている。この種の接着剤は、とりわけ、ガラスシステムの接着に用いられ、1成分形湿気硬化性ポリウレタン接着剤に代表される。ガラスシステムは、生産ライン上での車両製造時に用いられるか、又は問題の生じたガラスシステムを修理する場合にウインドウ交換会社もしくは自動車修理工場によって用いられる。特に、人口密度の少ない地域では、車両ウインドウは路上で交換されなければならず、その結果、周囲温度は、首尾良くウインドウ修理をするためのウインドウ用接着剤の使用に影響を及ぼす重要な因子である。これらの1成分形湿気硬化性ポリウレタン接着剤は、典型的には数日に及ぶ非常に長い硬化時間をもち、さらには気象条件にも左右される。
【0003】
乗員のための保護装置としてのエアバッグの増加とともに、新しい問題が、自動車ウインドウの接着結合に関連して発生した。衝撃時に、エアバッグは高速度と強い力で膨張し、その場合に、乗員を保護するためにウインドウに対してエアバッグ自体を支えるので、接着結合は車両の安全関連部材となっており、そして修理したウインドウの結合は、その車両が再度の使用に入る場合に充分な強度を発現し、車両衝突の場合には、損傷を受けることなく、作動するエアバッグの力と車両乗員の衝撃とに耐え、それによりエアバッグの保護機能を維持していなければならない。
【0004】
そのような衝突耐久性をもつウインドウ接着を実現するためには、したがって、強度の迅速な発現がきわめて重要である。強度の迅速な発現は、化学的もしくは物理的に起こりうる。化学的に達成される迅速な強度発現は、2成分形接着剤によって達成することができ、その2成分は相互に急速に反応し、その車両はまさに短時間の後で再び運転することができる。しかし、そのような2成分形システム、例えば2K[2−成分形]PUの適用は非常に複雑であり、使用者に不便であって、混合ミスに関しては時々きわめて重大である。これらの困難さを避ける方法が、熱硬化性の1成分形接着剤によって提供されているのは事実であり、そこでは温度の効果により触媒が放出され、あるいはそこでは温度の効果によって事前には不活性であるブロック化化合物が、反応成分の架橋を可能にする物質がを放出する。しかし、このことは、接着剤が加熱されなければならないことを意味する。この種の接着剤がたとえ暖かい温度においても貯蔵可能であるためには、そのような熱硬化はかなり高い温度で起こる必要がある。しかし、この必要性は、この接着剤が冷たいか又は熱に敏感な基材には適用できないことを意味し、その結果として、接着結合の剥離の危険が大きく増大する。
【0005】
強度の物理的発現の原理は、例えば、ホットメルト接着剤で実現される。これらの接着剤は主に溶融成分から構成され、これは適用温度で溶融し、基材に適用され、冷却すると、再び固化する。この溶融−冷却操作は可逆過程である。かなり高い周囲温度で接着剤が溶融されることによって接着結合が失われることを防止するために、ホットメルト接着剤の溶融温度は通常は高いレベルで選択される。しかし、この高い溶融温度は、ここでも再び、ホットメルトは低温の基材上に用いることができないという欠点をもたらす。なぜなら、この接着剤は、接着力が増大しうるよりもさらに急速に冷えるからである。ホットメルト接着剤が、熱に敏感な基材の接着結合にあまり適していないという事実を別にすると、大きな欠点は、これらの接着剤が適切な装置を用いての加熱操作を必要とし、長期間の負荷の下でそれらの熱可塑特性によってクリープをうけるということである。
【0006】
反応性ホットメルト接着剤は、物理的及び化学的硬化を兼ね備えている。この種の反応性ホットメルト接着剤は公知であり、通常は、反応性基、例えばイソシアネート基を有する溶融成分から構成される。適用の目的には、この接着剤を溶融することが必要であり、これは通常60℃より高い温度で行われる。適用に続いて、これらの接着剤が冷え、その結果、接着剤は固化し、さらに大気中の湿気による、続いての後架橋を受ける。この種の接着剤は、例えば、欧州特許第0705290号により公知である。しかし、この種のものの欠点は、接着剤を加熱しなければならないことであり、なぜなら、この種の接着剤は液状化温度未満で適用することはできないからである。さらに、−10℃〜35℃の範囲の温度で急速に充分に強度を発現し、衝突に耐える反応性ホットメルト接着剤は知られていない。
【特許文献1】欧州特許第0705290号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
〔発明の開示〕
本発明の目的は、低温及び高温の両方で同時に強度の充分に迅速な発現を示し、他方で良好な適用特性をも有する接着結合をデザインすることを可能にするポリウレタン組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、このことは本発明の請求項1に記載のポリウレタン組成物によって可能であることを発見した。
【0009】
本発明のポリウレタン組成物は接着剤として際立って好適である。そのような接着剤は、低温及び高温の両方における急速な強度発現と良好な適用特性との結合について特に注目に値する。この効果は、−10〜35℃の間、特に5〜35℃の間の温度範囲で特に重要である。これは、この温度範囲内で、比較的低い粘度上昇によって特徴づけられ、且つ低温での高い反応性と高温での速すぎない反応性とを有する接着剤によって達成される。本発明のポリウレタン組成物は、強度の急速発現を達成するために、第二の成分を混合することを必要としない。
【0010】
本発明の有利な態様は以下の利点を有する。すなわち本ポリウレタン組成物は予備加熱なしに適用でき、気候条件と独立した走車可能時間が−10℃〜35℃の気候範囲で実現される。これは、本組成物が修理に用いられる場合に特に好ましい。
【0011】
本発明のさらなる有利な態様は、従属請求項から明らかである。
【0012】
[本発明を実施する方法]
本発明は、少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーA、少なくとも1種の触媒B1、及び少なくとも1種の触媒B2、カーボンブラック、式(I)の少なくとも1種の化合物C、任意選択によりポリウレタンプレポリマーD、任意選択によりポリウレタンプレポリマーE、任意選択によりポリウレタンプレポリマーF、任意選択により脂肪族ポリイソシアネートG、並びに任意選択により熱分解法シリカ(pyrogenic silica)、を含むポリウレタン組成物に関する。
【0013】
「ポリオール」及び「ポリイソシアネート」中の接頭語「ポリ」は、本明細書を通じて、それぞれの場合に、分子中に存在するそれぞれの官能基が2つ以上存在することを意味する。
【0014】
本ポリウレタン組成物は、さらに、少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーAを含む。ポリウレタンプレポリマーAはイソシアネート末端基を有し、少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオールA1とから調製される。
【0015】
本ポリウレタン組成物はさらに、少なくとも1種の触媒B1と1種の触媒B2を含む。触媒B1は少なくとも1つの三級アミノ基を有する。特に、触媒B1は、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)及びジモルホリノエーテルである。特に好ましいのは、ジモルホリノエーテル類であり、特に、EP0812866A1の第3頁第1〜18行の式で表されるジモルホリノエーテル類と、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)である。特に好ましいのは2,2’−ジモルホリノジエチルエーテルである。
【0016】
さらに、本ポリウレタン組成物は、少なくとも1種の触媒B2を含有する。触媒B2はスズ触媒である。言い換えれば、この触媒はスズを含有する。特に、本スズ触媒B2は、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジカルボキシレート、ジブチルスズジクロライド、又はこれらの混合物の群から選択される。好ましくは、スズ触媒B2は、ジブチルスズジアセテートもしくはジブチルスズジラウレート(DBTL)である。
【0017】
B1/B2の重量比は、典型的には、30/70〜99/1、特に50/50〜99/1、好ましくは55/45〜98/2、特に55/45〜90/10である。
【0018】
本発明の本質として、この触媒の組み合わせB1/B2が重要である。なぜなら、そのような組み合わせによって、本システムが高温で急速に硬化して、本システムが約5分の通常の適用範囲内でもはや適用できなくなり、2つのパーツを結合することができなくなるということなく、所望する低温反応性が達成されることが示されているからである。
【0019】
本ポリウレタン組成物は、本ポリウレタン組成物の重量を基準にして5重量%〜40重量%、特に5重量%〜30重量%のカーボンブラックをさらに含有する。ポリウレタン化学においては、カーボンブラックはきわめてよく知られている接着剤成分である。カーボンブラックの粒子径は可能なかぎり小さいことが好ましい。
【0020】
本ポリウレタン組成物は、下記式(I)の化合物Cを少なくとも1種さらに含む。
【化1】

式中、RはC〜Cアルキレン基である。特に好ましくは、Rはプロピレン、ブチレン、へプチレン、又はオクチレン基である。
【0021】
はC〜C13アルキル基である。これらのアルキル基は分岐状又は非分岐状であることができるが、好ましくは非分岐状である。好ましくは、このアルキル基はC、C、又はCアルキル基、特にCアルキル基である。
【0022】
式中の2つのR基は、好ましくは同じものである。好ましくは、化合物Cはジアルキルアジペート、特にジオクチルアジペート(DOA)である。
【0023】
1つの好ましい態様においては、本ポリウレタン組成物は、下記式(I’)の化合物C’の少なくとも1種をさらに含む。
【化2】

式中、R1’は任意選択で置換されていてもよいフェニレン基である。
【0024】
2’はC〜C13アルキル基である。これらのアルキル基は分岐状又は非分岐状であることができるが、好ましくは分岐状である。好ましくは、このアルキル基はC又はC10アルキル基、特にイソノニルもしくはイソデシル基である。
【0025】
式中の2つのR2’基は、好ましくは同じものである。好ましくは、化合物C’はジアルキルフタレート、特にジイソデシルフタレート(DIDP)である。
【0026】
特に好ましくは、本ポリウレタン組成物は、化合物Cとしてジオクチルアジペートと、化合物C’としてジイソデシルフタレートとを含有する。
【0027】
本ポリウレタン組成物は、さらに、任意選択でポリウレタンプレポリマーDを含有してもよい。ポリウレタンプレポリマーDはイソシアネート末端基を有し、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリエステルポリオールとから調製される。ポリウレタンプレポリマーDの量は、ポリウレタン組成物の重量を基準にして0重量%〜4重量%、特に1重量%〜4重量%である。
【0028】
本ポリウレタン組成物は、任意選択でポリウレタンプレポリマーEをさらに含有してもよい。ポリウレタンプレポリマーEは、イソシアネート末端基を有し、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリカーボネートポリオールとから調製される。ポリウレタンプレポリマーEの量は、ポリウレタン組成物の重量を基準にして、0重量%〜20重量%、特に1重量%〜15重量%である。
【0029】
本ポリウレタン組成物は、任意選択でポリウレタンプレポリマーFをさらに含有してもよい。ポリウレタンプレポリマーFは、イソシアネート末端を有し、少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオールF1とから調製される。ポリウレタンプレポリマーFの量は、ポリウレタン組成物の重量を基準にして、0重量%〜15重量%、特に1重量%〜10重量%である。
【0030】
本ポリウレタン組成物は、任意選択で脂肪族ポリイソシアネートGをさらに含有してもよい。脂肪族ポリイソシアネートGは、NCO基を有する脂肪族イソシアヌレート及び/又はNCO基を有する脂肪族ビウレットである。好ましくは、ポリイソシアネートGは、イソホロンジイソシアネート(IPDI)イソシアヌレート及び/又はヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)ビウレットである。本ポリウレタン組成物に特に好ましいのは、IPDIイソシアヌレートとHDIビウレットとの混合物である。ポリイソシアヌレートGの量は、本ポリウレタン組成物の重量を基準にして、0重量%〜4重量%、特に0.2重量%〜2.5重量%である。
【0031】
ポリウレタンプレポリマーA、D、E、及びFの調製の過程では、ポリオールとポリイソシアネートとを、通常用いられる方法を使用して、例えば50℃〜100℃の温度で、妥当な場合は適切な触媒の使用を伴って、反応させる。ポリイソシアネートは、イソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的に過剰に存在するように計量する。ポリイソシアネートの過剰度は、得られるポリウレタンプレポリマーにおいて、ポリオールの全てのヒドロキシル基の反応後に、残存するフリーイソシアネート基の量が全体のポリウレタンプレポリマーを基準にして0.1重量%〜15重量%、好ましくは0.5重量%〜5重量%となるように選択する。任意選択で、ポリウレタンプレポリマーは溶媒もしくは可塑剤を用いて調製することもでき、用いる溶媒もしくは可塑剤はイソシアネート反応性基を有しないものである。
【0032】
ポリウレタンプレポリマーAを調製するためのポリイソシアネートは、芳香族ポリイソシアネートである。ポリウレタンプレポリマーD(これが存在する場合)及びポリウレタンプレポリマーE(これが存在する場合)を調製するためのポリイソシアネートは、同様に芳香族ポリイソシアネートであってよい。
【0033】
ポリウレタンプレポリマーAの調製において芳香族ポリイソシアネートを用いることは、高い反応性を確実なものにするために非常に重要である。
【0034】
それぞれの場合に、存在するその他のポリウレタンプレポリマーに使用するためのポリイソシアネートに応じて、芳香族ポリイソシアネートは、トリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)、及びこれらの異性体の任意の所望する混合物、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート(MDI)、及びそれらの混合物、並びにそれらの異性体及びオリゴマーの全てを含む群から選択されることが好ましい。
【0035】
ポリウレタンプレポリマーFを調製するためのポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートである。ポリウレタンプレポリマーD(これが存在する場合)及びポリウレタンプレポリマーE(これが存在する場合)を調製するためのポリイソシアネートは、同様に脂肪族ポリイソシアネートであることができる。
【0036】
それぞれの場合に、存在するその他のポリウレタンプレポリマーの使用のためのポリイソシアネートに応じて、脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(TMDI)、ドデカメチレン1,12−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−及び1,4−ジイソシアネート、及びこれらの異性体の任意の所望する混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジイソシアネートもしくはIPDI)、パーヒドロジフェニルメタン2,4’−及び4,4’−ジイソシアネート(HMDI)、1,4−ジイソシアナト−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、及び前記イソシアネートのオリゴマー及びポリマー、並びに前述したイソシアネートの任意の所望する混合物を含む群から選択されることが好ましい。
【0037】
ポリウレタンプレポリマーA、D、E、及びFは、ポリオールを用いて調製する。特に、ジオール及びトリオールを用いる。
【0038】
ポリウレタンプレポリマーDについては、ポリエステルポリオールを用いる。適したポリエステルポリオールは、例えば、2価〜3価のアルコール類(例えば、1,2−エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1−トリメチロールプロパン、もしくは前記アルコール類の混合物)と、有機ジカルボン酸もしくはそれらの無水物もしくはエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びヘキサヒドロフタル酸など、もしくは前記酸類の混合物)とから調製され、さらにまたラクトン類、例えばε−カプロラクトンなどから形成されるポリエステルポリオール類である。
【0039】
特に好適であることが発見されているポリエステルポリオールは、ジオール、特にアルキレンジオール、好ましくはヘキサンジオールと、ジカルボン酸、特にアジピン酸とから調製されるポリエステルポリオール類、及びまたラクトン類、特にカプロラクトン類、好ましくはε−カプロラクトンから調製されるポリエステルポリオール類、ならびにそれらの混合物である。
【0040】
ポリウレタンプレポリマーEのためには、ポリカーボネートポリオールを用いる。そのようなポリカーボネートポリオールは、通常、上述したアルコール類(上記ポリエステルポリオールを合成するために用いられるもの)と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、又はホスゲンとから調製される。特に適していることが発見されているポリカーボネートポリオールは、ジアルキルカーボネート、特にジメチルカーボネートとアルキレンジオール、特に1,6−ヘキサンジオールとから調製可能なポリカーボネートポリオールである。
【0041】
ポリウレタンプレポリマーA及びFは、ポリオキシアルキレンポリオールA1及びF1を用いて調製される。
【0042】
ポリオキシアルキレンポリオールはまた、当業者にはポリエーテルポリオールともよばれており、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、1,2−もしくは2,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、又はこれらの混合物の重合生成物であり、2つ以上の活性水素原子を有する開始剤分子(例えば、水、アンモニア)もしくは2つ以上のOHもしくはNH基を有する化合物(たとえば、1,2−エタンジオール、1,2−及び1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール類及びトリプロピレングリコール類の異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオールの異性体類、ヘキサンジオールの異性体類、ヘプタンジオールの異性体類、オクタンジオールの異性体類、ノナンジオールの異性体類、デカンジオールの異性体類、ウンデカンジオールの異性体類、1,3−及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1−トリメチロールエタン、1,1,1−トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、及び前記化合物の混合物など)の助けを結局のところ借りて重合される。たとえば、ダブルメタルシアニド錯体触媒(DMC触媒)とよばれるものを用いて調製される低不飽和度(ASTM D−2849−69に準拠して測定され、ポリオール1グラム当たりのミリ当量不飽和度で表す(meq/g))をもつポリオキシアルキレンポリオール類ばかりでなく、アニオン性触媒、たとえば、NaOH、KOH、もしくはアルカリ金属アルコキシドの助けを借りて調製された高不飽和度をもつポリオキシアルキレンポリオールもまた、用いることができる。
【0043】
特に適しているものは、ポリオキシアルキレンジオール又はポリオキシアルキレントリオールである。
【0044】
特に適しているものは、0.02meq/g未満の不飽和度を有し、且つ1000〜30000g/molの範囲の分子量をもつポリオキシアルキレンジオールもしくはポリオキシアルキレントリオール、及びまた、400〜8000g/molの分子量を有するポリオキシプロピレンジオール及びトリオールである。「分子量」又は「モル質量」は、本明細書において、常に平均分子量Mを意味する。
【0045】
同様に、特に適しているものは、EO末端キャップされた(エチレンオキシド末端キャップされた)ポリオキシプロピレンジオールもしくはトリオールとよばれるものである。後者は、たとえば、ポリプロポキシル化の後、エチレンオキシドで、ストレートのポリオキシプロピレンポリオールをアルコキシル化することにより得ることができ、これは結果として一級ヒドロキシル基を含んでいる。
【0046】
ポリオキシアルキレンポリオールA1及びF1は互いに類似もしくは相違することができる。好ましくは、ポリオキシアルキレンポリオールA1及びF1は互いに相違するものである。
【0047】
好ましくは、ポリオキシアルキレンポリオールA1、及び適切な場合はポリオキシアルキレンポリオールF1は、ポリオキシエチレンポリオールもしくはポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリオール、特に、ポリエチレングリコールである。ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリオールの場合は、EO/PO比、言い換えれば、エチレンオキシド(EO)単位とプロピレンオキシド(PO)単位の割合は、特に10mol/90molより大きく、好ましくは10mol/90mol〜35mol/65molである。
【0048】
1つの好ましい態様においては、A1はポリオキシアルキレントリオール、特にEO/POトリオールである。
【0049】
1つの好ましい態様においては、F1はポリオキシプロピレンポリオール、特にポリオキシプロピレンジオールである。
【0050】
本ポリウレタン組成物は任意選択で熱分解法シリカをさらに含んでもよい。熱分解法シリカの量は、本ポリウレタン組成物の重量を基準にして0重量%〜4重量%、特に0.5重量%〜3重量%である。様々な好適な市販されている熱分解法シリカがあり、例えば、Degussa社のAEROSIL(登録商標)又はWacker Chemie GmbHのWACKER HDK(登録商標)がある。
【0051】
最後に、本ポリウレタン組成物はさらにその他の成分、例えば、溶媒;有機及び無機フィラー、例えば、粉砕もしくは沈降炭酸カルシウム(これらはステアレート類でコーティングされていてもよい)、あるいはカオリン、酸化アルミニウム、及びPVCパウダー;ファイバー(例えば、ポリエチレンファイバー);顔料;レオロジー調節剤、例えば増粘剤(例としては尿素化合物)、ポリアミドワックス、もしくはベントナイト;接着促進剤、特にシラン類(例えば、エポキシシラン、ビニルシラン、イソシネートシラン、及びアルデヒドと反応させてアルドイミノシランを形成しているアミノシラン;乾燥剤(例えば、p−トシルイソシアネート及びその他の反応性イソシアネート、オルトギ酸エステル、酸化カルシウム、もしくはモレキュラーシーブス);熱、光、及びUV照射に対する安定剤;難燃剤;界面活性剤(例えば、湿潤剤、流動性調節剤、液化剤、揮発性低下剤、又は消泡剤);殺菌剤もしくは菌の増殖を抑制する物質;並びに、ポリウレタン工業で通常用いられているさらなる物質、をさらに含んでもよい。
【0052】
本ポリウレタン組成物は水、特に大気中の湿気の形態の水で硬化する。従って、本ポリウレタン組成物は、湿気硬化性1成分形組成物として好適に使用される。しかし、本組成物を、イソシアネートと反応する化合物、特にポリアミンもしくはポリオールを含有する硬化剤を用いて、2成分形組成物にすることも全くありうることである。2成分形組成物としての配合は、硬化がより迅速に起こるという利点を有する。
【0053】
本ポリウレタン組成物は、特に、接着剤もしくはシーラント、特にウインドウ接着剤として用いられる。
【0054】
この関連では、本ポリウレタン組成物を第一の基材の表面に適用し、その後、本ポリウレタン組成物を第二の基材の表面に密着させ、次にポリウレタン組成物を硬化させる。
【0055】
第一及び/又は第二の基材は、ガラス、ガラスセラミック、塗料、スチール、アルミニウム、ポリカーボネート、ABS、GRP、及びポリプロピレンを含む群から選択される材料から作られていることが好ましい。特に好ましくは、基材は車両ウインドウ、特に自動車ウインドウである。他方の基材は、塗料、特に塗装金属パネル、好ましくは塗装されたフランジである。本ポリウレタン組成物は、典型的にはビードの形態で自動車ウインドウに適用され、その後、その自動車ウインドウは適用されたポリウレタン組成物とともに、車両車体のフランジ上に押しつけられ、硬化される。
【0056】
第一及び/又は第二の基材は、本接着剤の適用の前に前処理を行ってもよい。そのような前処理は、化学的、物理的、もしくは物理化学的なものであってよい。特に適した前処理としては、物理的な前処理の形態には、表面の目荒し(ラフニング)もしくは研磨、ブラシがけ、もしくは拭き取りがある。化学的な前処理には、例えば、溶剤による洗浄、エッチング、接着促進剤溶液、プライマー組成物、もしくは洗浄用製品での処理が含まれる。物理化学的前処理の例には、プラズマ処理、コロナ処理、及びプラズマガン処理が含まれる。
【0057】
特に好ましくは、第一及び/第二の基材を、少なくともその結合(接着)部位において、本ポリウレタン接着剤の適用の前に、少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又は少なくとも1種のアルコキシチタネート、好ましくはアルコキシシランとアルコキシチタネートとの混合物で、結合(接着)前に処理する。
【0058】
本ポリウレタン組成物は特に、湿分不存在下で製造し且つ貯蔵する。本ポリウレタン組成物は貯蔵時に安定である:すなわち、適切な包装もしくは適切な仕組の中で、例えば、ドラム、パウチ、もしくはカートリッジなどの中で、その有用性を失うことなく、その使用前に典型的には数ヶ月から1年以上までの間、安定である。
【0059】
本発明のポリウレタン組成物は、特に、強度の急速な発現と良好な適用性能の組み合わせについて際だっている。本発明との関連では、冷たいばかりでなく、暖かいもしくは熱い適用に対しても適した接着剤を実現することができる。本発明の好ましい態様では、本接着剤は、強度の急速な発現と、高温及び低温の両方での良好な適用性の組み合わせによって特徴づけることができる。
【0060】
この効果は、−10〜+35℃、特に5℃〜35℃の温度範囲において特に重要である。これは、この温度範囲内で比較的低い粘度上昇が顕著であり、低温においてさえ充分に高い反応性を示す接着剤によって達成される。
【0061】
接着剤は(例えば、反応性ホットメルトの場合のように)、適用前に最初に加熱されることを必要としないか、あるいは(たとえば、2成分形ポリウレタン接着剤のように)複雑な操作で、適用前に第二の成分と混合されることを必要としない。これらの利点は、接着剤が補修に用いられる場合に特に好ましい。したがって、例えば、補修者が故障車両を、必要な修理器具がある修理工場に持ち込む必要についてはいうまでもなく、補修者が作業車内にオーブンをもつ必要もなく、路上で自動車ウインドウの修理をすることが可能である。顧客にとっては、このことは一方では修理コストがより少なくなり、他方では顧客が修理の結果としてより少ない時間しか無駄にしないということをもたらす。なぜなら、ウインドウの修理はその場、すなわち路上で行われうるからである。この利点は、修理工場の密度が低い国で特に重要である。第二の成分に混合する必要を取り除くことは、物流及び工程の信頼性の全てについての観点からの利点をもたらす。なぜなら、一方ではいちいち第二の成分が在庫されているかどうか調べる必要がなく、他方では、苦労して、定められた混合比が守られていることを確実に行う必要がないからである。実際、2成分形ポリウレタンでは、混合割合からちょうど2〜3%のずれが、生成物の特性の大きな変化を伴うことが知られている。
【0062】
適用特性については、特に重要な因子には、ポリウレタン組成物の粘度とその温度依存性とが含まれる。適用温度、特に20℃において、本ポリウレタン組成物は、3500〜15000Pas、特に3500〜10000Pas、好ましくは3500〜6500Pasの動的粘度を有することが好ましい。
【0063】
1つの特に好ましい態様においては、本ポリウレタン組成物は、5℃と35℃でのポリウレタン組成物の動粘度比(η5°/η35°)が1.5〜4.5、特に2.0〜3.5であり、5℃及び80%相対湿度(r.h.)において1時間後の初期強度(グリーン強度)(200mm/minの測定速度で測定した)が10N/cmより大きく、特に15N/cmより大きく、好ましくは20N/cmより大きく、より好ましくは40N/cmより大きい。
【0064】
初期強度(グリーン強度)については、高速での強度(ハイスピード強度)が特に重要である。この初期強度(これは衝突状況における特性に関連する)は、例えば、衝撃振り子試験を用いて測定できる。これとの関連では、本発明のポリウレタン組成物は、典型的には、振り子部分の試験速度1m/sについて、関連する範囲の条件からのいずれの条件においても、特に、5℃/80% r.h.、23℃/50% r.h.、及び35℃/20% r.h.からなる群から選択される条件のいずれにおいても、0.6MPaより大きく、特に1MPaより大きな非常に良好な強度値を示す。この0.6MPaは、ここでは、衝突状況における耐久性についての限界値として理解できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0065】
〔実施例〕
[ポリウレタン組成物の製造]
イソシアネート末端プレポリマーを、4,4’−MDIと表1に示したポリオールとから、湿分不存在下で、当業者に公知の方法を用いて調製した。
【0066】
示した組成物を製造するために、触媒を別にして、全ての液体成分を最初に導入し、任意選択で、溶融したポリエステルプレポリマーを撹拌しながら湿分不存在下で添加し、表1にしたがってさらなる成分を添加した。冷却後、均一に混合された組成物をアルミニウムカートリッジ中に分配した。
【0067】
【表1】

【0068】
比較接着剤Ref.1は、触媒混合物B1/B2も、配合成分Cの化合物も含有しない。比較接着剤Ref.2は、Ref.1とは対照的に配合成分Cを含むが、同様に触媒混合物B1/B2を含まない。比較接着剤Ref.3は、市販のポリウレタン接着剤SikaTack(登録商標)Ultrafast(Sika Schweiz AGより市販されている)であり、これは本発明の組成物ではなく、市場にある最も速硬化の1成分形ポリウレタンシステムの1つを代表している。
【0069】
[測定方法]
− 粘度:
本ポリウレタン組成物の粘度は、Paar Physica社のPhysica MCR 300 rheomatを使用し、プレート/プレートモードで、湿分の不存在下(窒素雰囲気)で、5℃、23℃、及び35℃において1sec−1の剪断速度で測定した。
【0070】
− 初期強度(グリーン強度)(FOG)200mm/min:
グリーン強度(FOG)は、5℃/80%相対湿度、23℃/50%相対湿度、及び35℃/20%相対湿度でそれぞれ1時間の硬化時間後、Zwick test instrumentを使用して、端面引っ張りにより、200mm/minの試験速度で測定した。ガラスの試験片(Rocholl Deutschland)は接着前にSika(登録商標)activator(Sika Schweiz AGから市販)で前処理した。
【0071】
− 初期強度(グリーン強度)(GS)1m/s:
グリーン強度(GS)は、5℃/80%相対湿度、23℃/50%相対湿度、及び35℃/20%相対湿度でそれぞれ1時間の硬化時間後、衝撃振り子(振り子の長さ75cm、衝撃ハンマーの質量24kg)を使用して測定した。振れは、振り子が、接着された試験体の2つの被着体のうちの1つの上に1m/sで衝突するように選択した。ISO14343に準拠して、他方の被着体上に生じる力を、力変換器を用いて測定し且つ記録した。報告したグリーン強度は最大力から決定した。
【0072】
[結果]
表2及び図1及び2は、本発明の接着剤1及び2の特性を、比較接着剤Ref.1、Ref.2、及びRef.3と対照して示している。接着剤Ref.1及びRef.2は、冷たい時の適用に対して許容可能な粘度特性を有するが、強度の発現が一般に低すぎる。比較接着剤Ref.1及びRef.2との比較は、化合物Cの有利な効果を示している。配合成分Cの使用は、比η5°/η35°を非常に急激に低下させる。3つの比較接着剤Ref.1、Ref.2、及びRef.3と対照的に、表2及び図2によれば、衝突の場合をシミュレートしている速い試験速度において、本発明の接着剤1及び2は、全ての温度/気象条件範囲にわたって0.6MPaを超える値を常に与えている。
【0073】
【表2】

【0074】
接着剤1は、全ての温度範囲にわたって優れた粘度を有する、寒冷時適用(コールドアプリケーション)のために適した接着剤である。さらに、接着剤1は、強度の非常に速い発現と、増大された耐衝突性とを有している。
【0075】
接着剤2は、接着剤1と比較して、温暖時に適用される接着剤の例を代表しており、強度の優れた発現と、優れた衝突特性とを示している。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
− 少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオールA1とから調製される、イソシアネート末端基を有する少なくとも1種のポリウレタンプレポリマーA;
− 少なくとも1つの第三級アミノ基を有する少なくとも1種の触媒B1;
− 少なくとも1種のスズ触媒B2;
− ポリウレタン組成物を基準にして5重量%〜40重量%のカーボンブラック;
− 下記式(I)
【化1】

(式中、Rは、C〜Cアルキレン基であり、
は、任意選択で分岐していてもよいC〜C13アルキル基である。)
で表される少なくとも1種の化合物C;
− 少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリエステルポリオールとから調製された、イソシアネート末端基を有するポリウレタンプレポリマーD(ポリウレタン組成物の重量を基準にして0重量%〜4重量%);
− 少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリカーボネートポリオールとから調製された、イソシアネート末端基を有するポリウレタンプレポリマーE(ポリウレタン組成物の重量を基準にして0重量%〜20重量%);
− 少なくとも1種の脂肪族ポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオキシアルキレンポリオールF1とから調製された、イソシアネート末端基を有するポリウレタンプレポリマーF(0重量%〜15重量%);
− ポリウレタン組成物の重量を基準にして0重量%〜4重量%の脂肪族ポリイソシアネートG;
− 0重量%〜4重量%の熱分解法シリカ、
を含有するポリウレタン組成物。
【請求項2】
前記ポリウレタン組成物が1成分形であり且つ湿気硬化性であることを特徴とする、請求項1に記載のポリウレタン組成物。
【請求項3】
前記ポリオキシアルキレンポリオールA1と、任意選択による前記ポリオキシアルキレンポリオールF1とが、ポリオキシエチレンポリオール、又はポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリオール、特にポリエチレングリコール、であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項4】
前記ポリオキシアルキレンポリオールが、EO/PO比が10モル/90モルより大きく、好ましくは10モル/90モル〜35モル/65モルのポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)ポリオールであることを特徴とする、請求項3に記載のポリウレタン組成物。
【請求項5】
前記ポリオキシアルキレンポリオールF1がポリオキシプロピレンポリオールであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のポリウレタン組成物。
【請求項6】
前記ポリウレタンプレポリマーA、及び任意選択でD、及び任意選択でE、を調製するためのポリイソシアネートが互いに独立して、トリレン2,4−及び2,6−ジイソシアネート(TDI)並びにそれらの異性体の所望する任意の混合物、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネート(MDI)、並びにそれらの混合物、並びに全てのそれらの異性体及びオリゴマー、を含む群から選択される芳香族ポリイソシアネートであることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項7】
前記触媒B1が、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)又はジモルホリノエーテル、特に2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項8】
前記スズ触媒B2が、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジカルボキシレート、ジブチルスズジクロライド、又はそれらの混合物、を含むスズ化合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項9】
前記化合物Cが、ジアルキルジアジペート、特にジオクチルアジペート、であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項10】
前記ポリウレタン組成物が、下記式(I’)
【化2】

(式中、R1’は、任意選択で置換されていてもよいフェニレン基、
2’は、任意選択で分岐していてもよいC〜C13アルキル基である。)
で表される少なくとも1種の化合物C’をさらに含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項11】
化合物C’が、ジアルキルフタレート、特にジイソデシルフタレート、であることを特徴とする、請求項10に記載のポリウレタン組成物。
【請求項12】
前記ポリウレタンプレポリマーDのポリエステルポリオールが、ジオール、特にアルキレンジオール、好ましくはヘキサンジオール、と、ジカルボン酸、特にアジピン酸、とから調製されるか、又はラクトン、特にカプロラクトン、から調製されるポリエステルポリオールであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項13】
前記ポリウレタンプレポリマーF、及び任意選択でD、及び任意選択でE、を調製するためのポリイソシアネートが、
ヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、2,2,4−及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(TMDI)、ドデカメチレン1,12−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,3−及び1,4−ジイソシアネート、及びこれらの異性体の任意の混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジイソシアネートもしくはIPDI)、パーヒドロジフェニルメタン2,4’−及び4,4’−ジイソシアネート(HMDI)、1,4−ジイソシアナト−2,2,6−トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、及び前記イソシアネート類のオリゴマー及びポリマー、並びに前記イソシアネート類の任意の所望する混合物、を含む群から選択される脂肪族ポリイソシアネートであることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項14】
前記ポリウレタンプレポリマーDの割合が、ポリウレタン組成物の重量を基準にして1重量%〜4重量%であることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項15】
前記脂肪族ポリイソシアネートGが、NCO基を有する脂肪族イソシアヌレート及び/又はNCO基を有する脂肪族ビウレット、特に、イソホロンジイソシアネート(IPDI)イソシアヌレート及び/又はヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート(HDI)ビウレット、であることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項16】
前記脂肪族ポリイソシアネートGの割合が、ポリウレタン組成物の重量を基準にして0.2重量%〜4重量%であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項17】
5℃と35℃におけるポリウレタン組成物の動的粘度の比(η5°/η35°)が1.5〜4.5、特に2.0〜3.5であり、かつ、ポリウレタン組成物の初期強度が、5℃及び80%相対湿度で1時間後に200mm/minの測定速度において10N/cmより大きく、特に15N/cmより大きく、好ましくは20N/cmより大きく、さらに好ましくは40N/cmより大きいことを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項18】
適用温度、特に20℃、におけるポリウレタン組成物の動的粘度が、3500〜15000Pas、特に3500〜10000Pas、好ましくは3500〜6000Pasであることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項19】
5℃/80%相対湿度、23℃/50%相対湿度、及び35℃/20%相対湿度を含む条件群から選択される任意の条件下で、60分後のポリウレタン組成物が、衝撃振り子を使用して1m/sの測定速度で評価して、0.6MPaより大きな、特に1MPaより大きな初期強度を有することを特徴とする、請求項1〜18のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物。
【請求項20】
接着剤もしくはシーラントとして、特に自動車ウインドウ接着剤としての、請求項1〜19のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物の使用。
【請求項21】
以下のステップ:
− 請求項1〜19のいずれか一項に記載のポリウレタン組成物を第一の基材の表面に適用するステップ、
− 前記ポリウレタン組成物を第二の基材の表面に密着させるステップ、
− 前記ポリウレタン組成物を硬化させるステップ、
を含む、車両ウインドウを接着する方法。
【請求項22】
前記第一もしくは前記第二の基材が、ガラス、ガラスセラミック、塗料、スチール、アルミニウム、ポリカーボネート、ABS、GRP、及びポリプロピレン、を含む群から選択される材料で作られていることを特徴とする、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第一及び/又は第二の基材に、接着結合に先立って、化学的、物理的、もしくは物理化学的前処理を施すことを特徴とする、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記第一の基材が車両ウインドウ、特に自動車ウインドウ、であることを特徴とする、請求項21〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記ポリウレタン組成物の適用に先立って、前記ウインドウを少なくともその接着領域において、少なくとも1種のアルコキシシラン及び/又は少なくとも1種のアルコキシチタネート、好ましくはアルコキシシランとアルコキシチタネートとの混合物、を含有する接着促進溶液で処理することを特徴とする、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2007−536422(P2007−536422A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512206(P2007−512206)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052096
【国際公開番号】WO2005/108456
【国際公開日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】