高い疲労抵抗を有する移植片、移植片送達システム、および使用法
本発明の一局面に従って、疲労抵抗ステントは、内径と、外径と、内径と外径との間の側壁と、側壁を通って延びるアパーチャとを有する可撓性の管状構造を備えている。アパーチャは、頂点において接合されるストラットを分離し、頂点は、引張歪のレベル示す構造を有する。本発明の他の局面に従って、疲労抵抗ステントを作る工程が開示される。本発明のさらなる局面に従って、疲労抵抗ステントのための送達システムおよび使用法が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、体腔内の部位において機械的に循環させられる場合、高い耐破損性を有する移植片に関する。より詳細には、本発明は、自己拡張ステントなどの耐疲労破損脈管移植片に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ステントは、患者の体内の開放内腔を維持するために広く用いられる。例えば、ステントは、冠状動脈、頸動脈、大脳動脈、膝窩動脈、腸管動脈、大腿動脈、脛骨動脈、腎動脈、静脈を含む他の血管、もしくは、尿管、尿道、気管支、食道、涙管、ファオピウス管、鼻腔などの他の体腔、または他の導管の開存性を維持するために用いられ得る。
【0003】
ステントは、一般的に、ステンレス鋼、ニチノール、Elgiloy、コバルトクロム合金、タンタル、および他の金属から作られる金属の管状構造であるが、但しポリマーステントは公知である。ステントは、永続的耐久性のある移植片であり得るか、または少なくとも部分的に生体吸収性であり得る。生体吸収性ステントは、ポリマー、バイオポリマー、セラミック、バイオセラミック、または金属であり得、時間の経過によって薬剤などの物質を溶離し得る。非生体吸収性ステントもまた時間の経過によって薬剤を放出する。特定の設計において、ステントは、連続気泡(open−celled)または独立気泡(closed−celled)の円筒形構造である。ステントは、折りたたまれた状態で体腔を通過させられる。障害物の箇所または他の配備部位において、ステントは、拡張直径に拡張されて、管腔壁を支持し、配備部位において開放内腔を維持する。
【0004】
ステントの一タイプは、しばしば「バルーン拡張性」ステントと呼ばれる。バルーン拡張性ステントのためのステント送達システムは、典型的には多腔管(multi lumen tube)に取り付けられる膨張可能バルーンから成る。ステントがそこにクリンプされるステント送達システムは、しばしばガイドワイヤによって治療部位に前進させられ得、バルーンは膨張させられて、ステントを拡張させ、配備する。
【0005】
形状記憶ステントの場合、ステントは、一温度において減少した直径または形状およびより高い温度で拡張した直径または形状を実行するようにプリプログラムされる。ステントは、冷たい温度でステント送達システムの遠位端に圧縮され、ステントがそこにクリンプされるステント送達システムは、ステントの相変化温度より低く維持されながら、しばしばガイドワイヤによって治療部位に前進させられ得る。配備部位において、ステントは、形状記憶材料の相変化が結果として折りたたまれた状態から拡張した状態にステントを拡張させる、より高い温度に温められるかまたは温めることを可能にされる。
【0006】
他のステントは、いわゆる「自己拡張」ステントであり、ステントを拡張させるためにバルーンを用いない。自己拡張ステントの一例は、弾力的に変形可能な材料(例えば、ニチノールなどの超弾性材料)から作られる管(例えば、コイル管、メッシュ管、または溶接されたワイヤ接合部を有するかまたは有しない形成ワイヤから成る管)である。連続気泡または独立気泡のステントは、一般的に、管をレーザ切断するか、またはパターンをシートに切断し、その後もしくはその前に、管形状にシートを溶接することによって、および他の方法によって作られる。非常に評判のよいタイプの自己拡張ステントは、超弾性ニチノールから作られ、例えば、Plymouth,MNのev3,Inc.によって作られるEverFlexステントなどである。
【0007】
自己拡張ステントは、一般的に、折りたたまれた状態で放射状の圧縮または軸方向の張力によってステント送達システムに固定される。そのようなシステムは、アウターチューブ部材と、インナーチューブ部材とから成り得る。インナーチューブ部材およびアウターチューブ部材は、互いに対して軸方向にスライド可能である。ステントは(折りたたまれた状態で)、インナーチューブ部材の遠位端を囲んで、ステント送達システムに取り付けられる。アウターチューブ部材(アウターシースとも呼ばれる)は、遠位端においてステントを囲む。
【0008】
体腔を通ってステント送達システムを前進させる前に、最初にガイドワイヤが配備部位に体腔を通過させられる。送達システムのインナーチューブは、インナーチューブがガイドワイヤの上を配備部位に前進させられ得るように、インナーチューブの長さの少なくとも一部分の全体にわたり中空である。組み合わせ構造(すなわち、ステントがステント送達システムに取り付けられている)は、送達システムの遠位端が体腔内の配備部位に到達するまで患者の内腔を通過させられる。配備システムおよび/またはステントは、放射線不透過性マーカを含み得、配備の前に透視によってステントの位置決めを医者が視覚化することを可能にし得る。配備部位において、アウターシースは、引っ込められて、ステントを露出させる。露出したステントは、体腔内において自由に自己拡張する。ステントの拡張に続いて、インナーチューブは、配備部位の適切な位置にステントを残して送達システムが体腔を通って除去され得るように、自由にステントを通過する。
【0009】
ステント送達システムは、ワイヤ上(over the wire)(OTW)送達カテーテル、急速交換(rapid exchange)(RX)送達カテーテル、または固定ワイヤ(fixed wire)(FW)送達カテーテルから成り得る。OTW送達カテーテルは、送達カテーテルの全長にわたり延びる内腔をガイドワイヤが通過することを可能にする。RX送達カテーテルは、送達カテーテルの部分的長さ(通常、10〜30cm)にわたり延びる内腔をガイドワイヤが通過することを可能にする。OTW送達カテーテルは、RX送達システムより良い支持を提供するが、扱うことが面倒であり得るより長いガイドワイヤを用いることを必要とする。FW送達システムは、ガイドワイヤ内腔を有しないということにおいて非常に単純である。FWシステムは、事前配置されたガイドワイヤ上を追従するという助けなしで治療部位に前進させられる。ステントが意図された治療部位に送達され得ることを確実にするために、ステントがそれに取り付けられるステント送達カテーテルは、少なくとも適切な追従性、可撓性、およびキンク抵抗を有しなければならず、ステントは、一旦移植されると、少なくとも適切な半径方向力、キンク抵抗、および疲労寿命を有しなければならない。
【0010】
ある場所に移植されたステントは、他の場所に移植されたステントとは異なる物理的特性を必要とし得る。冠状動脈または腎動脈に用いられるステントは、かなり短いことがあり得る。なぜなら、脈管の狭窄した領域は、概してかなり短く、一方、脚に用いられるステントは、しばしば脚脈管に特有の疾患が短いステントを重ね合わせることなく治療され得るように非常に長くなければならないからである。
【0011】
他の実施例において、動脈に移植されたステントは、心拍ごとに生じる動脈直径の変化によって引き起こされる小さい直径変化に耐える高い脈動性疲労寿命を有しなければならならず、一方、非脈管の導管に移植されたステントはこの特性を必要としない。さらなる実施例において、浅大腿動脈(SFA)などの四肢脈管に移植されたステントは、脚が曲げられるかまたはまっすぐにされたときに生じる脈管の長さおよび配向に耐える高い疲労寿命を有しなければならず、一方、冠状脈管に移植されたステントは、この要求を満たす必要はない。長いステントはまた、ステント移植中の医者の技術およびステント送達システムの実際上の制限の結果、設計の長さとは全く異なる(通常、より長い)移植された長さを有することを許容しなければならない。
【0012】
都合の悪いことに、SFAなどのいくつかの脈管に配備されたステントに共通の問題は、ステントが脈管の動的な負荷環境による時間の経過に伴い破損することである。ステント破損の派生的な問題は、内膜肥厚、痛み、出血、脈管閉塞、脈管穿孔、高いステント内再狭窄率、非一様な薬剤送達プロフィール、非一様な脈管達成範囲および他の問題を含み得、それらの問題を解決するために再介入が必要になり得る。SFAにおけるステント破損率は、様々な臨床治験(Durability I、Resilient、SciroccoおよびAbsolute)ならびに研究論文(例えば、非特許文献1および非特許文献2)において報告されるように、移植後1〜3年間で2%〜28%に及ぶ。
【0013】
ステントは、一般的に高い脈動性疲労寿命を達成するが、しばしば、いくらかの移植部位に特有である長手方向の延び、ねじれ、および屈曲など、脈動性以外の患者内の負荷条件下において不十分な破損抵抗を有する。膝窩動脈、腸管動脈、大腿動脈、脛骨動脈、頸動脈、大腿部−膝窩部位および他の部位に移植されたステントは、大量の軸方向、屈曲性、またはねじれの繰り返しの負荷を受け得る。最近のデータは、SFAに移植されたステントなどいくらかのステントが、移植された場合、最大35%の軸方向の延長/圧縮に耐えなければならないことを示した。移植可能ステントの疲労抵抗を改善する試みがなされてきたが、これらの厳しい解剖学的場所に対する適切な特性(特に、高い疲労寿命)を有する移植片は、依然として開発されなければならない。
【0014】
必要なものは、容易に製造され得、かつ拍動する心臓によって生成される機械力に加え患者の活動によって生成される高い機械力を経験する場所に移植された場合、破損することなく依然として用いられるステントである。また、必要なものは、移植後、高い疲労寿命を有するステントであり、移植中、延長にもかかわらず破損することなく依然として用いられるステントである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Prevalence and clinical impact of stent fractures after femoropoliteal stenting; J.Am.Coll.Cardiol.2005 Jan 18;45(2):312)
【非特許文献2】Long−Segment SFA stenting−The Dark Sides:In−Stent Restenosis,Clinical Deterioration,and Stent Fractures;J Endovasc Ther 2005;12:676−684
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の概要)
本発明の一局面に従って、疲労抵抗ステントは、内径と、外径と、内径と外径との間にある側壁とを有し、側壁を通って延びるアパーチャを有する可撓性管状構造を備えている。本発明の他の局面に従って、疲労抵抗ステントを作る工程が開示される。本発明のさらなる局面に従って、疲労抵抗ステントのための送達システムおよび使用法が提供される。
【0017】
本発明の上記の利点およびさらなる利点は、添付の図面に関連して以下の説明を参照することによってより良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、先行技術のステントの一実施形態の概略等角図を例示する。
【図1A】図1Aは、ステントが軸方向に引き伸ばされた、図1のステントを概略的に例示する。
【図2】図2および図2Aは、図1のステントの一部分の拡大図を例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図2A】図2および図2Aは、図1のステントの一部分の拡大図を例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図3】図3は、ステントが軸方向に引き伸ばされた、図2のステントを例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図3A】図3Aは、ステント内における計算された歪分布の印を有する、図3のステントの一部分の等角図を例示する。
【図4】図4は、本開示の原理に従う疲労抵抗ステントの一部分を例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図4A】図4Aは、ステント内における計算された歪分布の印を有する、図4のステントの一部分の等角図を例示する。
【図5】図5は、ステントが軸方向に引き伸ばされた、図4のステントを例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図6】図6および図7は、代表例のステントセルの外形および寸法の拡大図を例示する。ステントセルは、直径に圧縮されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図7】図6および図7は、代表例のステントセルの外形および寸法の拡大図を例示する。ステントセルは、直径に圧縮されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図8A】図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表例の送達システムの平面図を例示する。
【図8B】図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表例の送達システムの平面図を例示する。
【図8C】図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表例の送達システムの平面図を例示する。
【図9】図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表例の送達システムの平面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
ここで様々な図面を参照して、本発明の原理に従って発明の局面が実施され得る方法の実施例である実施形態の説明が提供される。前述の全般的説明および以下の詳細な説明の両方とも例示であり説明のためだけであり、本明細書において開示される広い発明の局面を制限するものではないことは理解されるべきである。本明細書において開示される発明の概念が、本明細書において開示される特定のステント構成に限定されるのではなく、それよりも任意の数の異なるステント構成に適用可能であることもまた理解される。
【0020】
図1および図2は、長さLと、外周Cと、長手方向軸A−Aとを有する先行技術のステント10を例示する。図2は、十分に直径に拡張され、軸A−Aに平行に長手方向に切断され、平らに置かれた先行技術のステント10の一部分を示す。ステント10は、外径12と、内径14と、厚さを有する壁16とを有する管から成る。開口部は、壁16の中に切り込まれ、セル15(図2において陰影付けられている)およびストラット17を形成する。各個々のストラットは、頂点19と厚さ13との間で長さ11を有する。隣接するストラットは、頂点19、19Aにおいて接合され、交角18、18Aを有する。隣接するセルは、コネクタ21によって接合される。セル15の反対側のコネクタ21は、外周上で互いにずれている。外周上でずれたコネクタは、軸A−Aに沿ってまっすぐに向かい合うコネクタ21を有する他のステント設計と比較した場合、軸方向の曲がりおよびねじれの可撓性の増加およびキンク抵抗の改善をステント10に提供する。セル長さ22は、セルの両端おけるコネクタ21間の軸A−Aの方向の長さとして規定され得る。
【0021】
ステント10は、ステンレス鋼、ニチノール、エルジロイ、コバルトクロム合金、タンタル、および他の金属、またはポリマーから作られ得、永続的耐久性のある移植片であり得、少なくとも部分的に生体吸収性であり得、時間の経過によって薬剤などの物質を溶離し得る。ステント10のセル15は、レーザ切断などの手段によって、その後、スラグを除去するためのマイクログリット噴射加工(microgrit blasting)、熱影響部および他の欠陥を有するステント材料を除去するための電解研磨、ならびにより高い腐食抵抗をステントの表面に与えるための表面不動態化などの処理によって、形成され得る。
【0022】
ステント10の直径12が減少させられた場合、ステント周囲Cの関連する減少は、ストラット17において特に頂点19の近くにおいて曲げ歪における関連する増加と共にストラット間の角度18の減少によって適応される。頂点近くに集中する歪の量は、有限要素分析法(以下に考察されるFEA)を用いてまたは他の方法によって計算され得る。
【0023】
頂点近くにおける単一のストラットにおける歪はまた、以下の式の助けによって近似され得る(図2および図2Aを参照して)。図2Aにおいて、ステント10は、図2におけるステント10と比較して、長さ22の変化なく周囲が減少させられる。この変化による頂点19A近くのストラットにおいて引き起こされる歪は、以下のように計算される。
【0024】
【数1】
【0025】
ここで、
LS=ストラット11の長さ
SW=ストラット幅13
θ2=最終角18c
θ1=初期角18A
ステントが十分に拡張された場合(通常、自己拡張ステントの場合のように)、頂点近くのストラットに歪を有しないステントの場合、頂点近くのストラットにおける初期歪は、0であり、それで、変形させられた場合ステントの頂点近くのストラットにおける歪は、上記の式を用いて計算される歪と等しい。重要なことであるが、式から分かることは、ストラット歪における計算された変化が、角度18における変化がより低い場合より低く、ストラット幅SWがより少ない場合より低く、ストラット長LSが増加する場合より低いということである。
【0026】
変形されたステントにおける最大歪は、ピーク歪と呼ばれる。ピーク歪は、典型的には頂点近くの単一のストラットにおいて生じるが、但し、ピーク歪は、ステント設計の詳細に従ってステントにおける他の場所において生じ得る。ステントにおける主たる歪は、引張(通常、正で規定される)であり得るか、または圧縮(通常、負で規定される)であり得る。例えばSFAまたは膝窩動脈などのいくつかの移植場所におけるステントは、上記に言及された引張歪および圧縮歪に加えて、曲げ歪およびねじれ歪を受け得る。いくつかのステントの実施形態において、ステント上のそのようなねじれ歪および曲げ歪は、主としてステントの頂点近くの引張歪および圧縮歪に変形する。高い引張歪は、割れ目を生じさせ、ステントを通って伝達させ得、疲労寿命の減少およびステントの破損を引き起こし得る。歪の大きさが異常でない限り、圧縮歪は、割れ目を開きがちではなく、それで概してステント寿命を減少させることはない。変形されたステントのいくつかの部分は、使用中、非常に引っ張られ、一方、他の部分は全く引っ張られない場合があり、その後者部分は0歪を有し得る。変形ステントは、小さい容積領域の堆積として考えられ得、各領域は、歪レベルを有し得、集合的に領域の歪レベルは、最大の負値〜最大の正値の範囲である。体内において稼動中のステントに対して、ステント歪がステント材料の耐久限度より下に維持される場合、ステント材料が適切な材料処理、表面仕上げを受け、適切な生体適合特性を有する場合、高い疲労寿命が期待され得る。しかしながら、体内において稼動中のステントがステント材料の耐久限度を超えるステント歪を被る場合、ステント材料が適切な材料処理、表面仕上げおよび適切な生体適合特性にもかかわらず、高い疲労寿命は期待され得ない。
【0027】
ステント10などの一般的な先行技術ステントは、ステントにおける歪が脈動負荷条件の下、すなわち振動する周囲の圧縮歪の下で、低レベルのままであるように設計される。ステント10はまた、脈動疲労寿命を妥協することなく、限定した量の軸方向の伸長(多くて約10〜15%)に適応することが知られている。この限定した量の軸方向の伸長は、いくつかのステント移植場所に適している。しかしながら、例えばSFAまたは膝窩動脈などの他の場所に移植された複数のステントが一つのステントを非常に大きく伸ばし得ることが決定された。例えば、脚は、通常の脚動作により±5%の伸長を与え得、医者は、ステント移植中、30%もの伸長およびおそらくそれを超える伸長をステントに与え得る。さらに、ステントは、通常の脚動作によりねじりおよび曲げもまた負荷され得る。
【0028】
ステント伸び率は、軸A−Aに沿ってステントセルの長さの変化として規定され得る。図1は、前に規定されたように、静止状態で長さLを有するステント10を示す。図1Aは、50%引き伸ばされ、長さL’を有するステント10を示す。ステント伸長は、引き伸ばされない長さLで割った長さの増加(伸ばされた長さL’−伸ばされない長さL)として規定される。ステントがその全長にわたり一様に伸ばされた場合、各ステントセルは、ステント全体の量と同じ量だけ引き伸ばされる。図2は、以前に規定されたようにセル長22を有する引き伸ばされないステント10を示す。図3は、50%引き伸ばされ、セル長22’を有するステント10を示す。セル長は、伸ばされないセル長22で割ったセル長の増加(セル長22’−セル長22)として規定される。実際上、いくつかのセルが他のセルより伸ばされ、ステント伸長が概してステントの長さにわたり一様でないことが見出される。いくつかのセルが、短くされる、すなわち、いくつかのセルが負の計算された伸長を有することもまた時々見られる。ステントの全長が短くされ得ることもまた可能である。ステント伸長は、より複雑な負荷条件下においてステントの疲労寿命の予測のための有用な代用モデルである。ステント伸長は、ステント頂点近くに高い引張歪を引き起こし得、この高い引張歪は、ステントが伸長、ねじれ、および曲げの組み合わせを受ける場合などより複雑な負荷条件によって与えられる歪を表し得る。
【0029】
図3は、引き伸ばされた条件におけるステント10’として示される軸方向に50%長くされたステント10を例示する。ステント10’は、直径に拡張され、軸A−Aに長手方向に平行に切断され、平らに置かれて示される。ステント10’セル形状は、ステント10の形状から実質的にゆがめられる(図2)。ゆがみは、引き伸ばされたステント10’における角度18を伸びていないステント10の角度と比較することによって視覚化され得る。角度18K、18N、18Pおよび18rが角度18K’、18N’、18P’および18r’のそれぞれに減少し、一方、角度18M、18Q、18Sおよび18Tが18M’、18Q’、18S’および18T’のそれぞれに増加したことが見られ得る。図3に見られるゆがめられたセル形状は、いくつかのステントストラットにおける引張歪を高いレベルに増加させることによって伸びたステント10’の減少した疲労寿命を引き起こす。
【0030】
具体的には、図3に例示されるように、頂点19X近くのストラットにおける引張歪は、いくつかのストラット間における増加した角度18M’、18Q’、18S’および18T’のために増加し、それによって、頂点19X近くのストラットを露出させ、より短い疲労寿命にする。ステントセル15の他の領域において、頂点19Y近くのストラットは、ストラット間における減少した角度18K、18N、18Pおよび18rにより圧縮して負荷され、それによって、頂点19Y近くのストラットがより高い疲労寿命を維持する。別の方法で述べると、ステント10の伸長は、結果として、頂点19X近くのステント容積における圧縮歪の集中および頂点19Y近くのステント容積における圧縮歪の集中をもたらす。
【0031】
図4は、引き伸ばされた場合、高い引張領域をほとんど有しないかまたは全く有しない発明のステントの一実施形態を例示する。ステント40は、長さと、外周と、長手方向軸A−Aとを有する。図4において、ステント40の一部分は、十分直径に拡張され、軸A−Aに長手方向に平行に切断され、平らに置かれて示される。ステント40は、外径と、内径と、厚さを有する壁46とを有する管から成る。開口部は、壁46の中に切られ、セル45(図4に陰影付けられる)を形成し、ストラット47およびセル45は、ストラット47によって境界を定められる開口部の長さから成る周囲を有する。各個々のストラットは、頂点49と厚さ43との間の長さ41を有する。隣接するストラットは、頂点49において接合され、交差角48を有する。隣接するセルは、コネクタ51によって接合される。いくつかの実施形態において、セル45の向かい合う側のコネクタ51は、軸A−Aに沿って整列させられる。これらの実施形態において、セル周囲の一部分の上の比較的細くされたストラット(以下に考察される)から成るセル45周囲の非対称性は、軸A−Aに沿ってまっすぐに向かい合うコネクタ51を有する他のステント設計と比較した場合、軸方向、曲げおよびねじれの可撓性の増加およびキンク抵抗の改善をステント40に提供する。他の実施形態において、セル45の向かい合う側のコネクタ51は、周囲において互いにずれている。周囲において互いにずれたコネクタはまた、軸A−Aに沿ってまっすぐに向かい合うコネクタ51を有するいくつかのステント設計と比較した場合、軸方向、曲げおよびねじれの可撓性の増加およびキンク抵抗の改善をステント40に提供し得る。セル長52は、セルのいずれかの側におけるコネクタ51の間で軸A−Aの方向の長さとして規定され得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、ステント40は、ステンレス鋼、ニチノール、エルジロイ、コバルトクロム合金、タンタル、および他の金属、またはポリマーから成り得、永続的耐久性のある移植片であり得、少なくとも部分的に生体吸収性であり得、時間の経過によって薬剤などの物質を溶離し得る。いくつかの実施形態において、ステント40のステントセル45は、レーザ切断などの手段によって、その後、スラグを除去するためのマイクログリット噴射加工、熱影響部および他の欠陥を有するステント材料を除去するための電解研磨、ならびにより高い腐食抵抗をステントの表面に与えるための表面不動態化などの処理によって、形成され得る。ステント40は、自己拡張特性、形状記憶特性、またはバルーン拡張特性から成り得る。様々な実施形態において、ステント40は、レーザ切断、化学エッチング、パンチング、グラインディング、ドリル加工、EDMなどの処理、または他の処理を用いて管から作成され得る。他の実施形態において、ステント40は、またはパターンをシートに切断し、その後もしくはその前に、管形状にシートを溶接することによって、適切なパターンもしくはモールドにステントを電鋳することによってまたは他の方法によって作成され得る。さらなる実施形態において、ステント40は、絡み合わせ(intertwining)、接合(joining)、オーバーレイング、ウィービング、ブレーディング(braiding)、ニッティング、円形ニッティング、圧縮、またはさもなければフィラメントもしくはワイヤのアセンブリングによって作成される。フィラメントまたはワイヤは、フィラメントワイヤが焼結(sintering)、ボンディング、はんだ、溶解(fusing)、溶接、または他の手段によって重なり合う1つ以上の領域において接合され得る。そのように形成される構造において、ステント40のストラット47は接合領域間のフィラメントまたはワイヤの長さから成り、ステント40の頂点49は接合領域から成る。
【0033】
ステント40のストラット47は、ステント10のストラット17と比較して、修正される。ストラット47Bはステントの外周方向に沿って太くされ、ストラット47Aはステントの軸方向に沿って長くされかつステントの外周方向に沿って細くされる。他のすべての寸法局面および材料処理局面において、ステント40は、ステント10と同様である。上記に説明されたストラット修正の結果、ステント40は、引き伸ばされた場合、同様に引き伸ばされたステント10(すなわち、ステント10’)の疲労寿命と比較して、改善された疲労寿命を有する。改善された疲労寿命が達成されるのは、説明されるストラット修正がステント40または1つ以上のセル45が長くされ、曲げられ、またはねじられた場合、頂点49近くの高い引張歪の進展を防ぐからである。
【0034】
図5は、引き伸ばされた状態においてステント40’として示される、軸方向に50%引き伸ばされたステント40を例示する。ステント40’は、十分に直径に拡張され、軸A−Aに長手方向に平行に切断され、平らに置かれて示される。ステント40’セル形状45’は、ステント40の形状からゆがめられる。ゆがみは、引き伸ばされたステント40’における角度48を引き伸ばされないステント40の角度と比較することによって視覚化され得る。角度48K、48N、48Pおよび48Rが角度48K’、48N’、48P’および48R’のそれぞれに減少し、一方、角度48M、48Q、48Sおよび48Tが48M’、48Q’、48S’および48T’のそれぞれに増加したことが見られ得る。ステント10’とは異なり、増加されている間、ステント40の伸長によって引き起こされ、頂点49X近くの1つ以上のセル45の引張歪は、許容可能レベルまで増加した。なぜなら、ストラット47Bの増加した厚さは、増加量を角度48M’、48Q’に制限し、より細くより長いストラット47Aは、角度48S’、48T’が増加させられた場合、頂点49Xの近くに引き起こされる引張歪を減少させる。
【0035】
別の方法で述べると、ステント40の伸長または1つ以上のセル45の伸長は、結果として、頂点49X近くのステント容積における引張歪のより少ない集中および頂点49Y近くの容積における圧縮歪のより多い集中をもたらす。図5に見られる引き伸ばされたセル形状は、セル頂点近くにおいて引張歪を許容可能レベルに制限することによって引き伸ばされたステント40’の改善された疲労寿命を可能にする。
【0036】
ステント40は、治療場所に配備された場合、ステント40の破損抵抗および疲労寿命を改善する別の特性を有する。セル45の内部において、頂点49は、軸A−Aに沿って互いにまっすぐに向かい合っていなく、そうではなく互いに周囲にずれている。従って、ステント40が軸方向の圧縮(負の計算された伸長)を受けた場合、向かい合わない頂点は、互いに衝突しないかまたは互いに対してこすり合わない。向かい合う頂点の摩滅は、ステント表面の欠陥を形成させ得、ステント表面の欠陥は、時間の経過と共に循環して伝わり得、ステント破損に導く。
【0037】
頂点近くにおける材料歪を計算する別の方法は、有限要素分析法(FEA)を用いることを含む。一方法において、市販のFEAソフトウェアパッケージ(Abaqus)が歪を計算するために利用された。キーモデル化パラメータは、次のとおりである。20ノード三次元ブリック形状二次連続要素の使用、高歪領域における高局所メッシュ密度および低歪領域におけるより低いメッシュ密度の使用、およびより高いメッシュ密度領域とより低いメッシュ密度領域と間の適切なメッシュ移行(すなわち、10以下のブリックフェースアスペクト比および45〜135度のブリックの角度を含む)。シミュレーション収束速度および計算時間をシミュレーション精度と調和させるために、試行ランが高歪領域に対して行われ、適切なメッシュ密度は、より細かいメッシュが許容差内において結果を変化させない場合の密度で選ばれた。
【0038】
ステント材料特性は、モデル化されるステントと同じ組成および類似の熱機械履歴を有するクーポンに対する引張試験によって決定された。ステントの最終形状は、前駆体チュービングおよびモデル化されたチュービングに対するステント製造工程の効果(熱膨張、アニーリング、ファイリング、ホーニング、サンドブラスティングおよび電解研磨)をモデル化することによって決定されるが、但し、最終ステント形状を決定する他の手段が用いられ得る。上記モデルリングによって決定される最終ステント形状は、引張負荷条件の下でFEAシミュレーションにおいて歪まされ、静止条件の下で最大主歪、平均歪および歪の振幅が計算された。上記のモデル化によって決定された最終ステント形状はまた、コンパクションと、延ばしと、疲労、歩行、および階段昇り負荷に対する単軸引張繰り返し負荷とを含む浅大腿動脈移植場所の負荷条件の下でFEAシミュレーションにおいて歪まされた。循環条件の下で最大主歪、平均歪、歪の振幅は、計算され、歪まされたステントの疲労寿命が予測された。
【0039】
図3Aは、ステント10’(50%引き伸ばされたステント10)における歪のFEA分析の部分的結果を例示する。最高歪を有するステント10’のほんの一部分が例示される。頂点19X近くにおいて6.3%のピーク引張歪が対頂角18S’であることが見られ得る。この頂点近くのストラットにおける高引張歪により、ストラットは、低疲労寿命を受けやすい。セル15の16個の頂点の各々の近くにおいて最高歪を平均することは、頂点近くにおける平均歪が3.0%±2.6%であることを示す。
【0040】
図4Aは、ステント40’(50%引き伸ばされたステント40)における歪のFEA分析の部分的結果を例示する。最高歪を有するセル45’のほんの一部分が例示される。頂点49X近くにおいて2.97%のピーク引張歪が対頂角48T’であることが見られ得る。先行技術と比較して減少した引張歪により、この頂点近くのストラットは、ステント10と比較して、改善された疲労寿命を維持し得る。セル45’の16個の頂点の各々の近くにおいて最高歪を平均することは、頂点近くにおける平均歪が2.6%±0.6%であることを示し、また、より低い平均歪および歪における減少した変動の両方による先行技術のステント10を越える改善を示す。歪における減少した変動は、ステントの周囲に沿って決定されるようにステントの放射状の拡張力(radial expansile force)をより一様にさせる。従って、上記の教示に従って設計されたステントは、より一様の配置特性を有し、配置されたステントの直径を減少させる傾向のある脈管力(vessel force)をより一様に抵抗する。
【0041】
ステント40におけるセル45、45’の16個の頂点近くの平均歪は、FEA分析を用いて様々な量の伸長でさらに特徴づけられた。これらの結果は、下記の表に示される。
【0042】
【表1】
【0043】
ステント40は上記に説明されたような歪特性および伸長特性を有するが、本明細書における教示に従って設計され他の歪特性および伸長特性を有するステントが企図される。いくつかの実施形態において、発明のステントは、ピーク歪が0.5%未満のままで、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%引き伸ばされ得る。他の実施形態において、発明のステントは、ピーク歪が1%未満、または2%未満、または3%未満、または4%未満、または5%未満のままで、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%引き伸ばされ得る。他の実施形態において、本明細書における教示に従って設計されるステントは、ピーク歪の標準偏差が0.3パーセント歪、0.5パーセント歪、または1.0パーセント歪のうちの1つであるこのパラグラフにおいて説明されるように任意のピーク歪と伸長との組み合わせを有し得る。
【0044】
他の実施形態において、本明細書における教示に従って設計され様々なステントセル歪特性および伸長特性を有するステントが企図される。いくつかの実施形態において、発明のステントセルは、セルの頂点近くのピーク歪が0.5%未満のままで、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%引き伸ばされ得る。他の実施形態において、発明のステントは、セルの頂点近くのピーク歪が1%未満、または2%未満、または3%未満、または4%未満、または5%未満のままで、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%引き伸ばされ得る。他の実施形態において、本明細書における教示に従って設計されるステントは、ピーク歪の標準偏差が0.3パーセント歪、0.5パーセント歪、または1.0パーセント歪のうちの1つであるこのパラグラフにおいて説明されるように任意のピーク歪と伸長との組み合わせを有し得る。
【0045】
ステントは、本発明の原理に従って製造され、下記の例に示されるように、望ましい歪み分布および特にすぐれた疲労抵抗を有することが見出された。代表的で競合力のあるステントが、以下の方法に従って疲労耐久度に関して試験された。
【0046】
単軸試験方法。Bose 3300単軸試験機を用いて、ステント寿命は、ステップ疲労試験方法から決定され得る。方法に従って、ステップ1は、ステップ1に対して表で表された平均歪までステント試料を引き伸ばし、その後、ステップ1に対して表で表された繰り返し歪まで軸A−Aの方向に沿って40Hzで500,000サイクル、試料長を振動させることから成る。ステップ1中に試料が破損しない場合、試料はさらにステップ2を受ける。ステップ2は、ステップ1において行われるように試料を伸ばし振動させるが、ステップ2に対して表で表されるように異なる所定の平均歪および繰り返しひずみで試料を伸ばし振動させることから成る。ステップ2中に試料が破損しない場合、試料は、試料が破損するまで(下記に表で表されるように)各その後のステップにおいて500,000サイクルさらに連続して伸ばされ、振動させられる。試料破損が起ったステップの平均歪は、故障に対するステント平均歪として記録される。疲労試験は、37℃の水に浸した試料で実行され、個々のステント試料の端部を掴むために特殊な固定具が用いられた。歪値は、歪まされていない試料のグリップ間の初期長さに基づいて計算される。
【0047】
【表2】
【0048】
この方法は、迅速かつ長期の耐久性検討にうまく適合している。本方法は、試験試料に加えられる平均歪および繰り返し歪を調整することを可能にする。これらのパラメータは、特定の臨床環境が移植されたステントに賦課し得る実際の平均歪および繰り返し歪をまねるために微調整され得る。
【0049】
多軸周辺ステント(MAPS)疲労試験方法。このシステムは、Bose Corporation(モデル9400多軸周辺ステント試験器具)によって開発され、例えば、歩行、着座、階段昇りのような日常の活動によって引き起こされる曲げ、ねじり、延ばし、圧縮および放射状の膨張によるステントに対し末梢動脈によって加えられる動的負荷をシミュレートする。ステントは、健康な末梢管の機械的特性に類似する機械的特性を有するラテックス管に8±2%の伸長で配備され、ステントをそこに有する管はテスタに取り付けられ、37℃に維持されたリン酸緩衝食塩水が約64ml/分およびごくわずかな圧力でステントを通って流れることが可能にされた。1サイクルにおいて、配備されたステントは、同時にステント軸A−Aに沿って3.5%伸ばされ、長さ1mm当り0.8°だけ軸A−Aの周りにねじられ、次いで配備されたステントの軸は、ステントの中点に配置された20mm半径曲線にわたり0°(曲げなし−ステント軸A−Aがまっすぐ)〜69°で曲げられ、次いで0°に曲げを戻され、次いで同時に、ねじりを戻され、初期開始構成に3.5%短くされた。この伸び、ねじり、曲げ、曲げ戻し、ねじり戻しおよび伸び戻しのサイクルは、1.5Hzの周波数で起る。破損が起る前にステントによって維持されるサイクル数は、故障に対するステントサイクルとして記録される。
【0050】
実施例1。図6に示されるような構造を有する直径6mm×長さ80mmのステントは、二元ニチノール合金チュービングからレーザ切断され、直径に拡張され、熱処理され、ファイルされ、マイクログリット噴射加工され、電解研磨され、不動態化された(以下試料6として示される)。ステント試料6の各セルの最終(呼称)寸法(例えば、長手方向寸法およびストラット幅)は、図6に示され、ステントストラット6A、頂点6B、およびコネクタ6Cの呼称壁厚は、0.0095インチである。試料は、上記に説明された方法を用いて、同じ直径の競合するステントに対して疲労寿命に関して試験された。
【0051】
実施例2.図7に示されるような構造を有する直径8mm×長さ80mmのステントは、二元ニチノール合金チュービングからレーザ切断され、直径に拡張され、熱処理され、ファイルされ、マイクログリット噴射加工され、電解研磨され、不動態化された(以下試料7として示される)。ステント試料7の各セルの最終(呼称)寸法は、図7に示され、ステントストラット7A、頂点7B、およびコネクタ7Cの呼称壁厚は、0.0095インチである。試料は、上記に説明された方法を用いて、同じ直径の競合するステントに対して疲労寿命に関して試験された。
【0052】
図6および図7を参照すると、ステントは、ステントの外周方向に波形の列パターンを形成する一連のストラット6A、7A、頂点6B、7Bおよびコネクタ6C、7Cを備えている。ステントは、ステントの長手方向に複数のそのような列パターンを連続して備えている。近位端および遠位端の列を除いて、各対の隣接する列は、コネクタ6C、7Cを介して互いに接続され、セルを形成する。例えば、図6C、7Cに示されるように、セルは、8ローブセルを備え得る。もちろん、8ローブより多いかまたは少ないローブを有するセルは、この開示によって企図される。示されるように、コネクタ6C、7Cは、各セルの頂点のすべてより少ない頂点に位置を決められ得る。いくつかの局面において、コネクタ6C、7Cは、ステントの周囲に等しく間隔を空けて置かれ得る。
【0053】
開示の様々な局面に従って、コネクタ6Cから延びるストラット6Aの少なくとも1つは、コネクタ6Cから延びる他のストラット6Aより小さい幅寸法を有し得る。例えば、コネクタ6Cから延びる1つのストラットは0.0044の幅を備え得、一方、コネクタ6Cから延びるもう一方のストラットは0.0053インチの幅を備え得る。いくつかの局面において、コネクタ6Cから延びるストラット6Aは、コネクタ6Cから延びるストラット6Aからいずれかの外周方向の次に隣接するストラット6Aより大きい長手方向寸法を有し得る。
【0054】
本開示の様々な局面に従って、コネクタ7Cから延びる両ストラット7Aは、コネクタ7Cから間隔を空けて置かれた1つ以上のストラット7Aより小さい幅寸法を有し得る。例えば、コネクタ7Cから延びる両ストラット7Aは、0.0045インチの幅を備え得、一方、コネクタ7Cから間隔を空けて置かれた複数のストラット7Aは0.0051インチの幅を備え得る。いくつかの局面において、コネクタ7Cから延びるストラット7Aからいずれかの外周方向の次に隣接するストラット7Aはまた、0.0045インチの減少した幅を有し得る。いくつかの局面において、コネクタ7Cから延びるストラット7Aは、コネクタ7Cから延びるストラット7Aからいずれかの外周方向の次に隣接するストラット7Aより大きい長手方向寸法を有し得る。図6および図7に例示される実施形態において、セルは、各セルの右側および左側に対して逆鏡像を構成する蛇紋(serpentine)ストラットパターンを含む。
【0055】
下記のデータによって示されるように、試料6および7は、類似のサイズの競合するステントの疲労抵抗と比較して特に優れた疲労抵抗を実証した。
【0056】
【表3】
【0057】
図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表的送達システムの平面図を例示する。図8A、図8B、および図8Cは、遠位領域80およびステント82を有する移植片送達カテーテル66から成るRX送達システム60を例示する。移植送達カテーテル66は、カテーテルシャフト65と、ガイドワイヤ内腔65Aと、近位ガイドワイヤ出口スカイブ69と、近位ハンドル68と、シース84と、遠位マニホールド67とから成る。近位ハンドル68は、カテーテルシャフト65に密閉して取り付けられ、ポリカーボネートから成り得る。カテーテルシャフト65は、比較的可撓性であり、ナイロンまたはPEBAXなどのポリマー材料から成り得、長さが60cm〜300cmの範囲であり得る。カテーテル外径は、約2Fr〜約10Frの範囲であり得る。ガイドワイヤ内腔65Aの直径は、直径が0.009”〜0.038”の範囲であるガイドワイヤの通過を可能にするのに十分な大きさであり得る。遠位マニホールド67は、シース84に密閉して取り付けられ、ポリカーボネートから成り得る。シース84は、ブレード(braid)補強ポリエステル、ナイロンまたはポリエステルなどの非補強ポリエステル、または他の材料から成り得、キンクに抵抗し、シースの長さに沿って軸方向の力を伝えるように適合され得る。シース84は、シースの長さに沿って可撓性の様々な程度を有するように組み立てられ得る。一実施形態において(図8C)、シース84は、水抜き穴84Bから成る。水抜き穴84Bは、シース84とカテーテルシャフト65との間の環状の空間から空気を除くことを可能にする。ステント82は、ステント40または他のステントから成り得る。
【0058】
図9は、遠位領域80とステント82とを有する移植片送達カテーテル76から成るOTW送達システム70を例示する。移植送達カテーテル76は、カテーテルシャフト75と、ガイドワイヤ内腔(図示されていない)と、近位ガイドワイヤ出口ポート79と、近位ハンドル78と、シース84と、遠位マニホールド77Aとからなる。シース84はオプションで水抜き穴84Bから成り得、遠位マニホールド77Aはストップコック77Bを有する注入管から成る。カテーテルシャフト75、ガイドワイヤ内腔、近位ハンドル78および遠位マニホールドは、図7A〜図7Cに関連して上記に説明されたカテーテルシャフト65、ガイドワイヤ内腔65A、近位ハンドル68および遠位マニホールド67と実質的に同じ構成、寸法、および機能を有する。ステント82は、ステント40または他のステントから成り得る。
【0059】
構成要素の機能要求が満たされれば、概して当技術分野において周知である、送達システム60、70の構成要素のための代替の材料は、上記に掲載された任意の非限定の例の代わりに用いられ得る。
【0060】
患者の体内に疲労抵抗ステントを送達するステント送達システムを用いる代表的な方法が、ここで説明される。当技術分野において周知の技術を用いて、ガイドワイヤは患者の血管の中に経皮的に挿入され、患者の体内の対象とする領域に前進させられる。透視などの画像化技術を用いて、脈管の患部が識別され、治療部位のための正しい長さおよび直径を有するステントが選ばれる。図8および図9を参照すると、自己拡張ステント送達システム60、70はガイドワイヤの上を治療部位に前進させられ、透視などの画像化技術を用いることによって、例えばステント40などのステントは治療部位に対する所望の場所に位置を決められる。
【0061】
カテーテルシャフト65、75は静止して保持され、シース84は引っ込められてステント40を露出させる。シース84が引っ込められると、ステント40は、脈管の内腔壁と接触するように拡張する。いくつかの方法において、ステント40は、引き伸ばされることなく配備される。他の方法において、医者は、例えば、ステントが部分的に配備されている間にカテーテルシャフト65、75を引っ込めることによってか、もしくはシース84を速やかに引っ込めることによってか、または曲がりくねった治療場所におけるステント40に対するシース84の摩擦によるか、または他の理由により、配備中ステントを引き伸ばす。一方法において、ステントは15%引き伸ばされる。他の方法において、ステントは、10、20、25、30、35、40、45または50%だけ引き伸ばされ得る。さらなる方法においてステントは、例えばセル45’などのいくつかのステントセルがステント40の全体の伸長より多くかまたは少なく引き伸ばされるように非一様に引き伸ばされ得る。一方法においてステントセルは、15%引き伸ばされる。他の方法において、ステントセルは、10、20、25、30、35、40、45または50%だけ引き伸ばされ得る。
【0062】
患者内への例えばステント40などの疲労抵抗ステントの移植に続いて、患者は経過観察訪問のため移植した医者に戻り得る。経過観察中、ステントは、ステントが破損したか否かを評価するためにまたは他の理由のために、透視、超音波、または磁気共鳴画像法などの画像化技術を用いて画像化され得る。
【0063】
企図される本発明は、上記に言及されたステントに加えステントにさらに適している。例えば、疲労抵抗ステントは、先細ステント(tapered stent)と、フレアステント(flared stent)と、ブレードステント(braided stent)と、二又ステント(bifurcation stent)と、当技術分野において公知である他のステントとを含み得る。先細ステントは、概して、1つの直径の近位端と、第2の直径(典型的にはより小さい直径)とを有する。フレアステントは、概して、円筒形部分の近位端に短い先細の部分を有し、フレア部分は円筒形部分より直径が大きい。ブレードステントは、典型的には、ブレーディング方法を用いることによって製造される管から成る。ブレードステントの一例は、Natick、MAのBoston Scientificによって販売されるWallstentである。二又ステントは、脈管が分岐する患者内に置かれる。二又ステントは、概して、2つのステント部分に分岐する単一のステント部分から成り、1個の管を2個の管に接続するために用いられるYフィッティングに類似するように見える。
【0064】
本発明の様々な実施形態はステントおよびステント送達システムに関係するが、本発明の範囲はそのように限定されない。例えば、本発明の様々な局面がまた他のタイプの拡張可能移植片およびそれらの送達システムに適用可能であることが理解される。非限定の例として、本発明の適用から利益を得得る他のタイプの拡張移植片は、吻合デバイス、血液フィルタ、グラフト、ステントグラフト、心臓弁のための支持フレーム、大静脈フィルタ、経皮的に移植された弁、動脈瘤(aneurism)治療デバイスまたは他のデバイスを含む。
【0065】
開示される概念の修正および均等物は、特許請求の範囲の範囲内に含まれるように意図される。さらに、材料および構成に対する選択は特定の実施形態に関して上記に説明され得たが、当業者は説明された材料および構成が実施形態の全体に適用可能であることを理解する。
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、体腔内の部位において機械的に循環させられる場合、高い耐破損性を有する移植片に関する。より詳細には、本発明は、自己拡張ステントなどの耐疲労破損脈管移植片に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ステントは、患者の体内の開放内腔を維持するために広く用いられる。例えば、ステントは、冠状動脈、頸動脈、大脳動脈、膝窩動脈、腸管動脈、大腿動脈、脛骨動脈、腎動脈、静脈を含む他の血管、もしくは、尿管、尿道、気管支、食道、涙管、ファオピウス管、鼻腔などの他の体腔、または他の導管の開存性を維持するために用いられ得る。
【0003】
ステントは、一般的に、ステンレス鋼、ニチノール、Elgiloy、コバルトクロム合金、タンタル、および他の金属から作られる金属の管状構造であるが、但しポリマーステントは公知である。ステントは、永続的耐久性のある移植片であり得るか、または少なくとも部分的に生体吸収性であり得る。生体吸収性ステントは、ポリマー、バイオポリマー、セラミック、バイオセラミック、または金属であり得、時間の経過によって薬剤などの物質を溶離し得る。非生体吸収性ステントもまた時間の経過によって薬剤を放出する。特定の設計において、ステントは、連続気泡(open−celled)または独立気泡(closed−celled)の円筒形構造である。ステントは、折りたたまれた状態で体腔を通過させられる。障害物の箇所または他の配備部位において、ステントは、拡張直径に拡張されて、管腔壁を支持し、配備部位において開放内腔を維持する。
【0004】
ステントの一タイプは、しばしば「バルーン拡張性」ステントと呼ばれる。バルーン拡張性ステントのためのステント送達システムは、典型的には多腔管(multi lumen tube)に取り付けられる膨張可能バルーンから成る。ステントがそこにクリンプされるステント送達システムは、しばしばガイドワイヤによって治療部位に前進させられ得、バルーンは膨張させられて、ステントを拡張させ、配備する。
【0005】
形状記憶ステントの場合、ステントは、一温度において減少した直径または形状およびより高い温度で拡張した直径または形状を実行するようにプリプログラムされる。ステントは、冷たい温度でステント送達システムの遠位端に圧縮され、ステントがそこにクリンプされるステント送達システムは、ステントの相変化温度より低く維持されながら、しばしばガイドワイヤによって治療部位に前進させられ得る。配備部位において、ステントは、形状記憶材料の相変化が結果として折りたたまれた状態から拡張した状態にステントを拡張させる、より高い温度に温められるかまたは温めることを可能にされる。
【0006】
他のステントは、いわゆる「自己拡張」ステントであり、ステントを拡張させるためにバルーンを用いない。自己拡張ステントの一例は、弾力的に変形可能な材料(例えば、ニチノールなどの超弾性材料)から作られる管(例えば、コイル管、メッシュ管、または溶接されたワイヤ接合部を有するかまたは有しない形成ワイヤから成る管)である。連続気泡または独立気泡のステントは、一般的に、管をレーザ切断するか、またはパターンをシートに切断し、その後もしくはその前に、管形状にシートを溶接することによって、および他の方法によって作られる。非常に評判のよいタイプの自己拡張ステントは、超弾性ニチノールから作られ、例えば、Plymouth,MNのev3,Inc.によって作られるEverFlexステントなどである。
【0007】
自己拡張ステントは、一般的に、折りたたまれた状態で放射状の圧縮または軸方向の張力によってステント送達システムに固定される。そのようなシステムは、アウターチューブ部材と、インナーチューブ部材とから成り得る。インナーチューブ部材およびアウターチューブ部材は、互いに対して軸方向にスライド可能である。ステントは(折りたたまれた状態で)、インナーチューブ部材の遠位端を囲んで、ステント送達システムに取り付けられる。アウターチューブ部材(アウターシースとも呼ばれる)は、遠位端においてステントを囲む。
【0008】
体腔を通ってステント送達システムを前進させる前に、最初にガイドワイヤが配備部位に体腔を通過させられる。送達システムのインナーチューブは、インナーチューブがガイドワイヤの上を配備部位に前進させられ得るように、インナーチューブの長さの少なくとも一部分の全体にわたり中空である。組み合わせ構造(すなわち、ステントがステント送達システムに取り付けられている)は、送達システムの遠位端が体腔内の配備部位に到達するまで患者の内腔を通過させられる。配備システムおよび/またはステントは、放射線不透過性マーカを含み得、配備の前に透視によってステントの位置決めを医者が視覚化することを可能にし得る。配備部位において、アウターシースは、引っ込められて、ステントを露出させる。露出したステントは、体腔内において自由に自己拡張する。ステントの拡張に続いて、インナーチューブは、配備部位の適切な位置にステントを残して送達システムが体腔を通って除去され得るように、自由にステントを通過する。
【0009】
ステント送達システムは、ワイヤ上(over the wire)(OTW)送達カテーテル、急速交換(rapid exchange)(RX)送達カテーテル、または固定ワイヤ(fixed wire)(FW)送達カテーテルから成り得る。OTW送達カテーテルは、送達カテーテルの全長にわたり延びる内腔をガイドワイヤが通過することを可能にする。RX送達カテーテルは、送達カテーテルの部分的長さ(通常、10〜30cm)にわたり延びる内腔をガイドワイヤが通過することを可能にする。OTW送達カテーテルは、RX送達システムより良い支持を提供するが、扱うことが面倒であり得るより長いガイドワイヤを用いることを必要とする。FW送達システムは、ガイドワイヤ内腔を有しないということにおいて非常に単純である。FWシステムは、事前配置されたガイドワイヤ上を追従するという助けなしで治療部位に前進させられる。ステントが意図された治療部位に送達され得ることを確実にするために、ステントがそれに取り付けられるステント送達カテーテルは、少なくとも適切な追従性、可撓性、およびキンク抵抗を有しなければならず、ステントは、一旦移植されると、少なくとも適切な半径方向力、キンク抵抗、および疲労寿命を有しなければならない。
【0010】
ある場所に移植されたステントは、他の場所に移植されたステントとは異なる物理的特性を必要とし得る。冠状動脈または腎動脈に用いられるステントは、かなり短いことがあり得る。なぜなら、脈管の狭窄した領域は、概してかなり短く、一方、脚に用いられるステントは、しばしば脚脈管に特有の疾患が短いステントを重ね合わせることなく治療され得るように非常に長くなければならないからである。
【0011】
他の実施例において、動脈に移植されたステントは、心拍ごとに生じる動脈直径の変化によって引き起こされる小さい直径変化に耐える高い脈動性疲労寿命を有しなければならならず、一方、非脈管の導管に移植されたステントはこの特性を必要としない。さらなる実施例において、浅大腿動脈(SFA)などの四肢脈管に移植されたステントは、脚が曲げられるかまたはまっすぐにされたときに生じる脈管の長さおよび配向に耐える高い疲労寿命を有しなければならず、一方、冠状脈管に移植されたステントは、この要求を満たす必要はない。長いステントはまた、ステント移植中の医者の技術およびステント送達システムの実際上の制限の結果、設計の長さとは全く異なる(通常、より長い)移植された長さを有することを許容しなければならない。
【0012】
都合の悪いことに、SFAなどのいくつかの脈管に配備されたステントに共通の問題は、ステントが脈管の動的な負荷環境による時間の経過に伴い破損することである。ステント破損の派生的な問題は、内膜肥厚、痛み、出血、脈管閉塞、脈管穿孔、高いステント内再狭窄率、非一様な薬剤送達プロフィール、非一様な脈管達成範囲および他の問題を含み得、それらの問題を解決するために再介入が必要になり得る。SFAにおけるステント破損率は、様々な臨床治験(Durability I、Resilient、SciroccoおよびAbsolute)ならびに研究論文(例えば、非特許文献1および非特許文献2)において報告されるように、移植後1〜3年間で2%〜28%に及ぶ。
【0013】
ステントは、一般的に高い脈動性疲労寿命を達成するが、しばしば、いくらかの移植部位に特有である長手方向の延び、ねじれ、および屈曲など、脈動性以外の患者内の負荷条件下において不十分な破損抵抗を有する。膝窩動脈、腸管動脈、大腿動脈、脛骨動脈、頸動脈、大腿部−膝窩部位および他の部位に移植されたステントは、大量の軸方向、屈曲性、またはねじれの繰り返しの負荷を受け得る。最近のデータは、SFAに移植されたステントなどいくらかのステントが、移植された場合、最大35%の軸方向の延長/圧縮に耐えなければならないことを示した。移植可能ステントの疲労抵抗を改善する試みがなされてきたが、これらの厳しい解剖学的場所に対する適切な特性(特に、高い疲労寿命)を有する移植片は、依然として開発されなければならない。
【0014】
必要なものは、容易に製造され得、かつ拍動する心臓によって生成される機械力に加え患者の活動によって生成される高い機械力を経験する場所に移植された場合、破損することなく依然として用いられるステントである。また、必要なものは、移植後、高い疲労寿命を有するステントであり、移植中、延長にもかかわらず破損することなく依然として用いられるステントである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】Prevalence and clinical impact of stent fractures after femoropoliteal stenting; J.Am.Coll.Cardiol.2005 Jan 18;45(2):312)
【非特許文献2】Long−Segment SFA stenting−The Dark Sides:In−Stent Restenosis,Clinical Deterioration,and Stent Fractures;J Endovasc Ther 2005;12:676−684
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の概要)
本発明の一局面に従って、疲労抵抗ステントは、内径と、外径と、内径と外径との間にある側壁とを有し、側壁を通って延びるアパーチャを有する可撓性管状構造を備えている。本発明の他の局面に従って、疲労抵抗ステントを作る工程が開示される。本発明のさらなる局面に従って、疲労抵抗ステントのための送達システムおよび使用法が提供される。
【0017】
本発明の上記の利点およびさらなる利点は、添付の図面に関連して以下の説明を参照することによってより良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、先行技術のステントの一実施形態の概略等角図を例示する。
【図1A】図1Aは、ステントが軸方向に引き伸ばされた、図1のステントを概略的に例示する。
【図2】図2および図2Aは、図1のステントの一部分の拡大図を例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図2A】図2および図2Aは、図1のステントの一部分の拡大図を例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図3】図3は、ステントが軸方向に引き伸ばされた、図2のステントを例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図3A】図3Aは、ステント内における計算された歪分布の印を有する、図3のステントの一部分の等角図を例示する。
【図4】図4は、本開示の原理に従う疲労抵抗ステントの一部分を例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図4A】図4Aは、ステント内における計算された歪分布の印を有する、図4のステントの一部分の等角図を例示する。
【図5】図5は、ステントが軸方向に引き伸ばされた、図4のステントを例示する。ステントは、直径に拡張されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図6】図6および図7は、代表例のステントセルの外形および寸法の拡大図を例示する。ステントセルは、直径に圧縮されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図7】図6および図7は、代表例のステントセルの外形および寸法の拡大図を例示する。ステントセルは、直径に圧縮されて示され、ステント構造は、長手方向に切断され、平らに置かれて示される。
【図8A】図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表例の送達システムの平面図を例示する。
【図8B】図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表例の送達システムの平面図を例示する。
【図8C】図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表例の送達システムの平面図を例示する。
【図9】図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表例の送達システムの平面図を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
ここで様々な図面を参照して、本発明の原理に従って発明の局面が実施され得る方法の実施例である実施形態の説明が提供される。前述の全般的説明および以下の詳細な説明の両方とも例示であり説明のためだけであり、本明細書において開示される広い発明の局面を制限するものではないことは理解されるべきである。本明細書において開示される発明の概念が、本明細書において開示される特定のステント構成に限定されるのではなく、それよりも任意の数の異なるステント構成に適用可能であることもまた理解される。
【0020】
図1および図2は、長さLと、外周Cと、長手方向軸A−Aとを有する先行技術のステント10を例示する。図2は、十分に直径に拡張され、軸A−Aに平行に長手方向に切断され、平らに置かれた先行技術のステント10の一部分を示す。ステント10は、外径12と、内径14と、厚さを有する壁16とを有する管から成る。開口部は、壁16の中に切り込まれ、セル15(図2において陰影付けられている)およびストラット17を形成する。各個々のストラットは、頂点19と厚さ13との間で長さ11を有する。隣接するストラットは、頂点19、19Aにおいて接合され、交角18、18Aを有する。隣接するセルは、コネクタ21によって接合される。セル15の反対側のコネクタ21は、外周上で互いにずれている。外周上でずれたコネクタは、軸A−Aに沿ってまっすぐに向かい合うコネクタ21を有する他のステント設計と比較した場合、軸方向の曲がりおよびねじれの可撓性の増加およびキンク抵抗の改善をステント10に提供する。セル長さ22は、セルの両端おけるコネクタ21間の軸A−Aの方向の長さとして規定され得る。
【0021】
ステント10は、ステンレス鋼、ニチノール、エルジロイ、コバルトクロム合金、タンタル、および他の金属、またはポリマーから作られ得、永続的耐久性のある移植片であり得、少なくとも部分的に生体吸収性であり得、時間の経過によって薬剤などの物質を溶離し得る。ステント10のセル15は、レーザ切断などの手段によって、その後、スラグを除去するためのマイクログリット噴射加工(microgrit blasting)、熱影響部および他の欠陥を有するステント材料を除去するための電解研磨、ならびにより高い腐食抵抗をステントの表面に与えるための表面不動態化などの処理によって、形成され得る。
【0022】
ステント10の直径12が減少させられた場合、ステント周囲Cの関連する減少は、ストラット17において特に頂点19の近くにおいて曲げ歪における関連する増加と共にストラット間の角度18の減少によって適応される。頂点近くに集中する歪の量は、有限要素分析法(以下に考察されるFEA)を用いてまたは他の方法によって計算され得る。
【0023】
頂点近くにおける単一のストラットにおける歪はまた、以下の式の助けによって近似され得る(図2および図2Aを参照して)。図2Aにおいて、ステント10は、図2におけるステント10と比較して、長さ22の変化なく周囲が減少させられる。この変化による頂点19A近くのストラットにおいて引き起こされる歪は、以下のように計算される。
【0024】
【数1】
【0025】
ここで、
LS=ストラット11の長さ
SW=ストラット幅13
θ2=最終角18c
θ1=初期角18A
ステントが十分に拡張された場合(通常、自己拡張ステントの場合のように)、頂点近くのストラットに歪を有しないステントの場合、頂点近くのストラットにおける初期歪は、0であり、それで、変形させられた場合ステントの頂点近くのストラットにおける歪は、上記の式を用いて計算される歪と等しい。重要なことであるが、式から分かることは、ストラット歪における計算された変化が、角度18における変化がより低い場合より低く、ストラット幅SWがより少ない場合より低く、ストラット長LSが増加する場合より低いということである。
【0026】
変形されたステントにおける最大歪は、ピーク歪と呼ばれる。ピーク歪は、典型的には頂点近くの単一のストラットにおいて生じるが、但し、ピーク歪は、ステント設計の詳細に従ってステントにおける他の場所において生じ得る。ステントにおける主たる歪は、引張(通常、正で規定される)であり得るか、または圧縮(通常、負で規定される)であり得る。例えばSFAまたは膝窩動脈などのいくつかの移植場所におけるステントは、上記に言及された引張歪および圧縮歪に加えて、曲げ歪およびねじれ歪を受け得る。いくつかのステントの実施形態において、ステント上のそのようなねじれ歪および曲げ歪は、主としてステントの頂点近くの引張歪および圧縮歪に変形する。高い引張歪は、割れ目を生じさせ、ステントを通って伝達させ得、疲労寿命の減少およびステントの破損を引き起こし得る。歪の大きさが異常でない限り、圧縮歪は、割れ目を開きがちではなく、それで概してステント寿命を減少させることはない。変形されたステントのいくつかの部分は、使用中、非常に引っ張られ、一方、他の部分は全く引っ張られない場合があり、その後者部分は0歪を有し得る。変形ステントは、小さい容積領域の堆積として考えられ得、各領域は、歪レベルを有し得、集合的に領域の歪レベルは、最大の負値〜最大の正値の範囲である。体内において稼動中のステントに対して、ステント歪がステント材料の耐久限度より下に維持される場合、ステント材料が適切な材料処理、表面仕上げを受け、適切な生体適合特性を有する場合、高い疲労寿命が期待され得る。しかしながら、体内において稼動中のステントがステント材料の耐久限度を超えるステント歪を被る場合、ステント材料が適切な材料処理、表面仕上げおよび適切な生体適合特性にもかかわらず、高い疲労寿命は期待され得ない。
【0027】
ステント10などの一般的な先行技術ステントは、ステントにおける歪が脈動負荷条件の下、すなわち振動する周囲の圧縮歪の下で、低レベルのままであるように設計される。ステント10はまた、脈動疲労寿命を妥協することなく、限定した量の軸方向の伸長(多くて約10〜15%)に適応することが知られている。この限定した量の軸方向の伸長は、いくつかのステント移植場所に適している。しかしながら、例えばSFAまたは膝窩動脈などの他の場所に移植された複数のステントが一つのステントを非常に大きく伸ばし得ることが決定された。例えば、脚は、通常の脚動作により±5%の伸長を与え得、医者は、ステント移植中、30%もの伸長およびおそらくそれを超える伸長をステントに与え得る。さらに、ステントは、通常の脚動作によりねじりおよび曲げもまた負荷され得る。
【0028】
ステント伸び率は、軸A−Aに沿ってステントセルの長さの変化として規定され得る。図1は、前に規定されたように、静止状態で長さLを有するステント10を示す。図1Aは、50%引き伸ばされ、長さL’を有するステント10を示す。ステント伸長は、引き伸ばされない長さLで割った長さの増加(伸ばされた長さL’−伸ばされない長さL)として規定される。ステントがその全長にわたり一様に伸ばされた場合、各ステントセルは、ステント全体の量と同じ量だけ引き伸ばされる。図2は、以前に規定されたようにセル長22を有する引き伸ばされないステント10を示す。図3は、50%引き伸ばされ、セル長22’を有するステント10を示す。セル長は、伸ばされないセル長22で割ったセル長の増加(セル長22’−セル長22)として規定される。実際上、いくつかのセルが他のセルより伸ばされ、ステント伸長が概してステントの長さにわたり一様でないことが見出される。いくつかのセルが、短くされる、すなわち、いくつかのセルが負の計算された伸長を有することもまた時々見られる。ステントの全長が短くされ得ることもまた可能である。ステント伸長は、より複雑な負荷条件下においてステントの疲労寿命の予測のための有用な代用モデルである。ステント伸長は、ステント頂点近くに高い引張歪を引き起こし得、この高い引張歪は、ステントが伸長、ねじれ、および曲げの組み合わせを受ける場合などより複雑な負荷条件によって与えられる歪を表し得る。
【0029】
図3は、引き伸ばされた条件におけるステント10’として示される軸方向に50%長くされたステント10を例示する。ステント10’は、直径に拡張され、軸A−Aに長手方向に平行に切断され、平らに置かれて示される。ステント10’セル形状は、ステント10の形状から実質的にゆがめられる(図2)。ゆがみは、引き伸ばされたステント10’における角度18を伸びていないステント10の角度と比較することによって視覚化され得る。角度18K、18N、18Pおよび18rが角度18K’、18N’、18P’および18r’のそれぞれに減少し、一方、角度18M、18Q、18Sおよび18Tが18M’、18Q’、18S’および18T’のそれぞれに増加したことが見られ得る。図3に見られるゆがめられたセル形状は、いくつかのステントストラットにおける引張歪を高いレベルに増加させることによって伸びたステント10’の減少した疲労寿命を引き起こす。
【0030】
具体的には、図3に例示されるように、頂点19X近くのストラットにおける引張歪は、いくつかのストラット間における増加した角度18M’、18Q’、18S’および18T’のために増加し、それによって、頂点19X近くのストラットを露出させ、より短い疲労寿命にする。ステントセル15の他の領域において、頂点19Y近くのストラットは、ストラット間における減少した角度18K、18N、18Pおよび18rにより圧縮して負荷され、それによって、頂点19Y近くのストラットがより高い疲労寿命を維持する。別の方法で述べると、ステント10の伸長は、結果として、頂点19X近くのステント容積における圧縮歪の集中および頂点19Y近くのステント容積における圧縮歪の集中をもたらす。
【0031】
図4は、引き伸ばされた場合、高い引張領域をほとんど有しないかまたは全く有しない発明のステントの一実施形態を例示する。ステント40は、長さと、外周と、長手方向軸A−Aとを有する。図4において、ステント40の一部分は、十分直径に拡張され、軸A−Aに長手方向に平行に切断され、平らに置かれて示される。ステント40は、外径と、内径と、厚さを有する壁46とを有する管から成る。開口部は、壁46の中に切られ、セル45(図4に陰影付けられる)を形成し、ストラット47およびセル45は、ストラット47によって境界を定められる開口部の長さから成る周囲を有する。各個々のストラットは、頂点49と厚さ43との間の長さ41を有する。隣接するストラットは、頂点49において接合され、交差角48を有する。隣接するセルは、コネクタ51によって接合される。いくつかの実施形態において、セル45の向かい合う側のコネクタ51は、軸A−Aに沿って整列させられる。これらの実施形態において、セル周囲の一部分の上の比較的細くされたストラット(以下に考察される)から成るセル45周囲の非対称性は、軸A−Aに沿ってまっすぐに向かい合うコネクタ51を有する他のステント設計と比較した場合、軸方向、曲げおよびねじれの可撓性の増加およびキンク抵抗の改善をステント40に提供する。他の実施形態において、セル45の向かい合う側のコネクタ51は、周囲において互いにずれている。周囲において互いにずれたコネクタはまた、軸A−Aに沿ってまっすぐに向かい合うコネクタ51を有するいくつかのステント設計と比較した場合、軸方向、曲げおよびねじれの可撓性の増加およびキンク抵抗の改善をステント40に提供し得る。セル長52は、セルのいずれかの側におけるコネクタ51の間で軸A−Aの方向の長さとして規定され得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、ステント40は、ステンレス鋼、ニチノール、エルジロイ、コバルトクロム合金、タンタル、および他の金属、またはポリマーから成り得、永続的耐久性のある移植片であり得、少なくとも部分的に生体吸収性であり得、時間の経過によって薬剤などの物質を溶離し得る。いくつかの実施形態において、ステント40のステントセル45は、レーザ切断などの手段によって、その後、スラグを除去するためのマイクログリット噴射加工、熱影響部および他の欠陥を有するステント材料を除去するための電解研磨、ならびにより高い腐食抵抗をステントの表面に与えるための表面不動態化などの処理によって、形成され得る。ステント40は、自己拡張特性、形状記憶特性、またはバルーン拡張特性から成り得る。様々な実施形態において、ステント40は、レーザ切断、化学エッチング、パンチング、グラインディング、ドリル加工、EDMなどの処理、または他の処理を用いて管から作成され得る。他の実施形態において、ステント40は、またはパターンをシートに切断し、その後もしくはその前に、管形状にシートを溶接することによって、適切なパターンもしくはモールドにステントを電鋳することによってまたは他の方法によって作成され得る。さらなる実施形態において、ステント40は、絡み合わせ(intertwining)、接合(joining)、オーバーレイング、ウィービング、ブレーディング(braiding)、ニッティング、円形ニッティング、圧縮、またはさもなければフィラメントもしくはワイヤのアセンブリングによって作成される。フィラメントまたはワイヤは、フィラメントワイヤが焼結(sintering)、ボンディング、はんだ、溶解(fusing)、溶接、または他の手段によって重なり合う1つ以上の領域において接合され得る。そのように形成される構造において、ステント40のストラット47は接合領域間のフィラメントまたはワイヤの長さから成り、ステント40の頂点49は接合領域から成る。
【0033】
ステント40のストラット47は、ステント10のストラット17と比較して、修正される。ストラット47Bはステントの外周方向に沿って太くされ、ストラット47Aはステントの軸方向に沿って長くされかつステントの外周方向に沿って細くされる。他のすべての寸法局面および材料処理局面において、ステント40は、ステント10と同様である。上記に説明されたストラット修正の結果、ステント40は、引き伸ばされた場合、同様に引き伸ばされたステント10(すなわち、ステント10’)の疲労寿命と比較して、改善された疲労寿命を有する。改善された疲労寿命が達成されるのは、説明されるストラット修正がステント40または1つ以上のセル45が長くされ、曲げられ、またはねじられた場合、頂点49近くの高い引張歪の進展を防ぐからである。
【0034】
図5は、引き伸ばされた状態においてステント40’として示される、軸方向に50%引き伸ばされたステント40を例示する。ステント40’は、十分に直径に拡張され、軸A−Aに長手方向に平行に切断され、平らに置かれて示される。ステント40’セル形状45’は、ステント40の形状からゆがめられる。ゆがみは、引き伸ばされたステント40’における角度48を引き伸ばされないステント40の角度と比較することによって視覚化され得る。角度48K、48N、48Pおよび48Rが角度48K’、48N’、48P’および48R’のそれぞれに減少し、一方、角度48M、48Q、48Sおよび48Tが48M’、48Q’、48S’および48T’のそれぞれに増加したことが見られ得る。ステント10’とは異なり、増加されている間、ステント40の伸長によって引き起こされ、頂点49X近くの1つ以上のセル45の引張歪は、許容可能レベルまで増加した。なぜなら、ストラット47Bの増加した厚さは、増加量を角度48M’、48Q’に制限し、より細くより長いストラット47Aは、角度48S’、48T’が増加させられた場合、頂点49Xの近くに引き起こされる引張歪を減少させる。
【0035】
別の方法で述べると、ステント40の伸長または1つ以上のセル45の伸長は、結果として、頂点49X近くのステント容積における引張歪のより少ない集中および頂点49Y近くの容積における圧縮歪のより多い集中をもたらす。図5に見られる引き伸ばされたセル形状は、セル頂点近くにおいて引張歪を許容可能レベルに制限することによって引き伸ばされたステント40’の改善された疲労寿命を可能にする。
【0036】
ステント40は、治療場所に配備された場合、ステント40の破損抵抗および疲労寿命を改善する別の特性を有する。セル45の内部において、頂点49は、軸A−Aに沿って互いにまっすぐに向かい合っていなく、そうではなく互いに周囲にずれている。従って、ステント40が軸方向の圧縮(負の計算された伸長)を受けた場合、向かい合わない頂点は、互いに衝突しないかまたは互いに対してこすり合わない。向かい合う頂点の摩滅は、ステント表面の欠陥を形成させ得、ステント表面の欠陥は、時間の経過と共に循環して伝わり得、ステント破損に導く。
【0037】
頂点近くにおける材料歪を計算する別の方法は、有限要素分析法(FEA)を用いることを含む。一方法において、市販のFEAソフトウェアパッケージ(Abaqus)が歪を計算するために利用された。キーモデル化パラメータは、次のとおりである。20ノード三次元ブリック形状二次連続要素の使用、高歪領域における高局所メッシュ密度および低歪領域におけるより低いメッシュ密度の使用、およびより高いメッシュ密度領域とより低いメッシュ密度領域と間の適切なメッシュ移行(すなわち、10以下のブリックフェースアスペクト比および45〜135度のブリックの角度を含む)。シミュレーション収束速度および計算時間をシミュレーション精度と調和させるために、試行ランが高歪領域に対して行われ、適切なメッシュ密度は、より細かいメッシュが許容差内において結果を変化させない場合の密度で選ばれた。
【0038】
ステント材料特性は、モデル化されるステントと同じ組成および類似の熱機械履歴を有するクーポンに対する引張試験によって決定された。ステントの最終形状は、前駆体チュービングおよびモデル化されたチュービングに対するステント製造工程の効果(熱膨張、アニーリング、ファイリング、ホーニング、サンドブラスティングおよび電解研磨)をモデル化することによって決定されるが、但し、最終ステント形状を決定する他の手段が用いられ得る。上記モデルリングによって決定される最終ステント形状は、引張負荷条件の下でFEAシミュレーションにおいて歪まされ、静止条件の下で最大主歪、平均歪および歪の振幅が計算された。上記のモデル化によって決定された最終ステント形状はまた、コンパクションと、延ばしと、疲労、歩行、および階段昇り負荷に対する単軸引張繰り返し負荷とを含む浅大腿動脈移植場所の負荷条件の下でFEAシミュレーションにおいて歪まされた。循環条件の下で最大主歪、平均歪、歪の振幅は、計算され、歪まされたステントの疲労寿命が予測された。
【0039】
図3Aは、ステント10’(50%引き伸ばされたステント10)における歪のFEA分析の部分的結果を例示する。最高歪を有するステント10’のほんの一部分が例示される。頂点19X近くにおいて6.3%のピーク引張歪が対頂角18S’であることが見られ得る。この頂点近くのストラットにおける高引張歪により、ストラットは、低疲労寿命を受けやすい。セル15の16個の頂点の各々の近くにおいて最高歪を平均することは、頂点近くにおける平均歪が3.0%±2.6%であることを示す。
【0040】
図4Aは、ステント40’(50%引き伸ばされたステント40)における歪のFEA分析の部分的結果を例示する。最高歪を有するセル45’のほんの一部分が例示される。頂点49X近くにおいて2.97%のピーク引張歪が対頂角48T’であることが見られ得る。先行技術と比較して減少した引張歪により、この頂点近くのストラットは、ステント10と比較して、改善された疲労寿命を維持し得る。セル45’の16個の頂点の各々の近くにおいて最高歪を平均することは、頂点近くにおける平均歪が2.6%±0.6%であることを示し、また、より低い平均歪および歪における減少した変動の両方による先行技術のステント10を越える改善を示す。歪における減少した変動は、ステントの周囲に沿って決定されるようにステントの放射状の拡張力(radial expansile force)をより一様にさせる。従って、上記の教示に従って設計されたステントは、より一様の配置特性を有し、配置されたステントの直径を減少させる傾向のある脈管力(vessel force)をより一様に抵抗する。
【0041】
ステント40におけるセル45、45’の16個の頂点近くの平均歪は、FEA分析を用いて様々な量の伸長でさらに特徴づけられた。これらの結果は、下記の表に示される。
【0042】
【表1】
【0043】
ステント40は上記に説明されたような歪特性および伸長特性を有するが、本明細書における教示に従って設計され他の歪特性および伸長特性を有するステントが企図される。いくつかの実施形態において、発明のステントは、ピーク歪が0.5%未満のままで、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%引き伸ばされ得る。他の実施形態において、発明のステントは、ピーク歪が1%未満、または2%未満、または3%未満、または4%未満、または5%未満のままで、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%引き伸ばされ得る。他の実施形態において、本明細書における教示に従って設計されるステントは、ピーク歪の標準偏差が0.3パーセント歪、0.5パーセント歪、または1.0パーセント歪のうちの1つであるこのパラグラフにおいて説明されるように任意のピーク歪と伸長との組み合わせを有し得る。
【0044】
他の実施形態において、本明細書における教示に従って設計され様々なステントセル歪特性および伸長特性を有するステントが企図される。いくつかの実施形態において、発明のステントセルは、セルの頂点近くのピーク歪が0.5%未満のままで、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%引き伸ばされ得る。他の実施形態において、発明のステントは、セルの頂点近くのピーク歪が1%未満、または2%未満、または3%未満、または4%未満、または5%未満のままで、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%または50%引き伸ばされ得る。他の実施形態において、本明細書における教示に従って設計されるステントは、ピーク歪の標準偏差が0.3パーセント歪、0.5パーセント歪、または1.0パーセント歪のうちの1つであるこのパラグラフにおいて説明されるように任意のピーク歪と伸長との組み合わせを有し得る。
【0045】
ステントは、本発明の原理に従って製造され、下記の例に示されるように、望ましい歪み分布および特にすぐれた疲労抵抗を有することが見出された。代表的で競合力のあるステントが、以下の方法に従って疲労耐久度に関して試験された。
【0046】
単軸試験方法。Bose 3300単軸試験機を用いて、ステント寿命は、ステップ疲労試験方法から決定され得る。方法に従って、ステップ1は、ステップ1に対して表で表された平均歪までステント試料を引き伸ばし、その後、ステップ1に対して表で表された繰り返し歪まで軸A−Aの方向に沿って40Hzで500,000サイクル、試料長を振動させることから成る。ステップ1中に試料が破損しない場合、試料はさらにステップ2を受ける。ステップ2は、ステップ1において行われるように試料を伸ばし振動させるが、ステップ2に対して表で表されるように異なる所定の平均歪および繰り返しひずみで試料を伸ばし振動させることから成る。ステップ2中に試料が破損しない場合、試料は、試料が破損するまで(下記に表で表されるように)各その後のステップにおいて500,000サイクルさらに連続して伸ばされ、振動させられる。試料破損が起ったステップの平均歪は、故障に対するステント平均歪として記録される。疲労試験は、37℃の水に浸した試料で実行され、個々のステント試料の端部を掴むために特殊な固定具が用いられた。歪値は、歪まされていない試料のグリップ間の初期長さに基づいて計算される。
【0047】
【表2】
【0048】
この方法は、迅速かつ長期の耐久性検討にうまく適合している。本方法は、試験試料に加えられる平均歪および繰り返し歪を調整することを可能にする。これらのパラメータは、特定の臨床環境が移植されたステントに賦課し得る実際の平均歪および繰り返し歪をまねるために微調整され得る。
【0049】
多軸周辺ステント(MAPS)疲労試験方法。このシステムは、Bose Corporation(モデル9400多軸周辺ステント試験器具)によって開発され、例えば、歩行、着座、階段昇りのような日常の活動によって引き起こされる曲げ、ねじり、延ばし、圧縮および放射状の膨張によるステントに対し末梢動脈によって加えられる動的負荷をシミュレートする。ステントは、健康な末梢管の機械的特性に類似する機械的特性を有するラテックス管に8±2%の伸長で配備され、ステントをそこに有する管はテスタに取り付けられ、37℃に維持されたリン酸緩衝食塩水が約64ml/分およびごくわずかな圧力でステントを通って流れることが可能にされた。1サイクルにおいて、配備されたステントは、同時にステント軸A−Aに沿って3.5%伸ばされ、長さ1mm当り0.8°だけ軸A−Aの周りにねじられ、次いで配備されたステントの軸は、ステントの中点に配置された20mm半径曲線にわたり0°(曲げなし−ステント軸A−Aがまっすぐ)〜69°で曲げられ、次いで0°に曲げを戻され、次いで同時に、ねじりを戻され、初期開始構成に3.5%短くされた。この伸び、ねじり、曲げ、曲げ戻し、ねじり戻しおよび伸び戻しのサイクルは、1.5Hzの周波数で起る。破損が起る前にステントによって維持されるサイクル数は、故障に対するステントサイクルとして記録される。
【0050】
実施例1。図6に示されるような構造を有する直径6mm×長さ80mmのステントは、二元ニチノール合金チュービングからレーザ切断され、直径に拡張され、熱処理され、ファイルされ、マイクログリット噴射加工され、電解研磨され、不動態化された(以下試料6として示される)。ステント試料6の各セルの最終(呼称)寸法(例えば、長手方向寸法およびストラット幅)は、図6に示され、ステントストラット6A、頂点6B、およびコネクタ6Cの呼称壁厚は、0.0095インチである。試料は、上記に説明された方法を用いて、同じ直径の競合するステントに対して疲労寿命に関して試験された。
【0051】
実施例2.図7に示されるような構造を有する直径8mm×長さ80mmのステントは、二元ニチノール合金チュービングからレーザ切断され、直径に拡張され、熱処理され、ファイルされ、マイクログリット噴射加工され、電解研磨され、不動態化された(以下試料7として示される)。ステント試料7の各セルの最終(呼称)寸法は、図7に示され、ステントストラット7A、頂点7B、およびコネクタ7Cの呼称壁厚は、0.0095インチである。試料は、上記に説明された方法を用いて、同じ直径の競合するステントに対して疲労寿命に関して試験された。
【0052】
図6および図7を参照すると、ステントは、ステントの外周方向に波形の列パターンを形成する一連のストラット6A、7A、頂点6B、7Bおよびコネクタ6C、7Cを備えている。ステントは、ステントの長手方向に複数のそのような列パターンを連続して備えている。近位端および遠位端の列を除いて、各対の隣接する列は、コネクタ6C、7Cを介して互いに接続され、セルを形成する。例えば、図6C、7Cに示されるように、セルは、8ローブセルを備え得る。もちろん、8ローブより多いかまたは少ないローブを有するセルは、この開示によって企図される。示されるように、コネクタ6C、7Cは、各セルの頂点のすべてより少ない頂点に位置を決められ得る。いくつかの局面において、コネクタ6C、7Cは、ステントの周囲に等しく間隔を空けて置かれ得る。
【0053】
開示の様々な局面に従って、コネクタ6Cから延びるストラット6Aの少なくとも1つは、コネクタ6Cから延びる他のストラット6Aより小さい幅寸法を有し得る。例えば、コネクタ6Cから延びる1つのストラットは0.0044の幅を備え得、一方、コネクタ6Cから延びるもう一方のストラットは0.0053インチの幅を備え得る。いくつかの局面において、コネクタ6Cから延びるストラット6Aは、コネクタ6Cから延びるストラット6Aからいずれかの外周方向の次に隣接するストラット6Aより大きい長手方向寸法を有し得る。
【0054】
本開示の様々な局面に従って、コネクタ7Cから延びる両ストラット7Aは、コネクタ7Cから間隔を空けて置かれた1つ以上のストラット7Aより小さい幅寸法を有し得る。例えば、コネクタ7Cから延びる両ストラット7Aは、0.0045インチの幅を備え得、一方、コネクタ7Cから間隔を空けて置かれた複数のストラット7Aは0.0051インチの幅を備え得る。いくつかの局面において、コネクタ7Cから延びるストラット7Aからいずれかの外周方向の次に隣接するストラット7Aはまた、0.0045インチの減少した幅を有し得る。いくつかの局面において、コネクタ7Cから延びるストラット7Aは、コネクタ7Cから延びるストラット7Aからいずれかの外周方向の次に隣接するストラット7Aより大きい長手方向寸法を有し得る。図6および図7に例示される実施形態において、セルは、各セルの右側および左側に対して逆鏡像を構成する蛇紋(serpentine)ストラットパターンを含む。
【0055】
下記のデータによって示されるように、試料6および7は、類似のサイズの競合するステントの疲労抵抗と比較して特に優れた疲労抵抗を実証した。
【0056】
【表3】
【0057】
図8A、図8B、図8Cおよび図9は、疲労抵抗ステントのための代表的送達システムの平面図を例示する。図8A、図8B、および図8Cは、遠位領域80およびステント82を有する移植片送達カテーテル66から成るRX送達システム60を例示する。移植送達カテーテル66は、カテーテルシャフト65と、ガイドワイヤ内腔65Aと、近位ガイドワイヤ出口スカイブ69と、近位ハンドル68と、シース84と、遠位マニホールド67とから成る。近位ハンドル68は、カテーテルシャフト65に密閉して取り付けられ、ポリカーボネートから成り得る。カテーテルシャフト65は、比較的可撓性であり、ナイロンまたはPEBAXなどのポリマー材料から成り得、長さが60cm〜300cmの範囲であり得る。カテーテル外径は、約2Fr〜約10Frの範囲であり得る。ガイドワイヤ内腔65Aの直径は、直径が0.009”〜0.038”の範囲であるガイドワイヤの通過を可能にするのに十分な大きさであり得る。遠位マニホールド67は、シース84に密閉して取り付けられ、ポリカーボネートから成り得る。シース84は、ブレード(braid)補強ポリエステル、ナイロンまたはポリエステルなどの非補強ポリエステル、または他の材料から成り得、キンクに抵抗し、シースの長さに沿って軸方向の力を伝えるように適合され得る。シース84は、シースの長さに沿って可撓性の様々な程度を有するように組み立てられ得る。一実施形態において(図8C)、シース84は、水抜き穴84Bから成る。水抜き穴84Bは、シース84とカテーテルシャフト65との間の環状の空間から空気を除くことを可能にする。ステント82は、ステント40または他のステントから成り得る。
【0058】
図9は、遠位領域80とステント82とを有する移植片送達カテーテル76から成るOTW送達システム70を例示する。移植送達カテーテル76は、カテーテルシャフト75と、ガイドワイヤ内腔(図示されていない)と、近位ガイドワイヤ出口ポート79と、近位ハンドル78と、シース84と、遠位マニホールド77Aとからなる。シース84はオプションで水抜き穴84Bから成り得、遠位マニホールド77Aはストップコック77Bを有する注入管から成る。カテーテルシャフト75、ガイドワイヤ内腔、近位ハンドル78および遠位マニホールドは、図7A〜図7Cに関連して上記に説明されたカテーテルシャフト65、ガイドワイヤ内腔65A、近位ハンドル68および遠位マニホールド67と実質的に同じ構成、寸法、および機能を有する。ステント82は、ステント40または他のステントから成り得る。
【0059】
構成要素の機能要求が満たされれば、概して当技術分野において周知である、送達システム60、70の構成要素のための代替の材料は、上記に掲載された任意の非限定の例の代わりに用いられ得る。
【0060】
患者の体内に疲労抵抗ステントを送達するステント送達システムを用いる代表的な方法が、ここで説明される。当技術分野において周知の技術を用いて、ガイドワイヤは患者の血管の中に経皮的に挿入され、患者の体内の対象とする領域に前進させられる。透視などの画像化技術を用いて、脈管の患部が識別され、治療部位のための正しい長さおよび直径を有するステントが選ばれる。図8および図9を参照すると、自己拡張ステント送達システム60、70はガイドワイヤの上を治療部位に前進させられ、透視などの画像化技術を用いることによって、例えばステント40などのステントは治療部位に対する所望の場所に位置を決められる。
【0061】
カテーテルシャフト65、75は静止して保持され、シース84は引っ込められてステント40を露出させる。シース84が引っ込められると、ステント40は、脈管の内腔壁と接触するように拡張する。いくつかの方法において、ステント40は、引き伸ばされることなく配備される。他の方法において、医者は、例えば、ステントが部分的に配備されている間にカテーテルシャフト65、75を引っ込めることによってか、もしくはシース84を速やかに引っ込めることによってか、または曲がりくねった治療場所におけるステント40に対するシース84の摩擦によるか、または他の理由により、配備中ステントを引き伸ばす。一方法において、ステントは15%引き伸ばされる。他の方法において、ステントは、10、20、25、30、35、40、45または50%だけ引き伸ばされ得る。さらなる方法においてステントは、例えばセル45’などのいくつかのステントセルがステント40の全体の伸長より多くかまたは少なく引き伸ばされるように非一様に引き伸ばされ得る。一方法においてステントセルは、15%引き伸ばされる。他の方法において、ステントセルは、10、20、25、30、35、40、45または50%だけ引き伸ばされ得る。
【0062】
患者内への例えばステント40などの疲労抵抗ステントの移植に続いて、患者は経過観察訪問のため移植した医者に戻り得る。経過観察中、ステントは、ステントが破損したか否かを評価するためにまたは他の理由のために、透視、超音波、または磁気共鳴画像法などの画像化技術を用いて画像化され得る。
【0063】
企図される本発明は、上記に言及されたステントに加えステントにさらに適している。例えば、疲労抵抗ステントは、先細ステント(tapered stent)と、フレアステント(flared stent)と、ブレードステント(braided stent)と、二又ステント(bifurcation stent)と、当技術分野において公知である他のステントとを含み得る。先細ステントは、概して、1つの直径の近位端と、第2の直径(典型的にはより小さい直径)とを有する。フレアステントは、概して、円筒形部分の近位端に短い先細の部分を有し、フレア部分は円筒形部分より直径が大きい。ブレードステントは、典型的には、ブレーディング方法を用いることによって製造される管から成る。ブレードステントの一例は、Natick、MAのBoston Scientificによって販売されるWallstentである。二又ステントは、脈管が分岐する患者内に置かれる。二又ステントは、概して、2つのステント部分に分岐する単一のステント部分から成り、1個の管を2個の管に接続するために用いられるYフィッティングに類似するように見える。
【0064】
本発明の様々な実施形態はステントおよびステント送達システムに関係するが、本発明の範囲はそのように限定されない。例えば、本発明の様々な局面がまた他のタイプの拡張可能移植片およびそれらの送達システムに適用可能であることが理解される。非限定の例として、本発明の適用から利益を得得る他のタイプの拡張移植片は、吻合デバイス、血液フィルタ、グラフト、ステントグラフト、心臓弁のための支持フレーム、大静脈フィルタ、経皮的に移植された弁、動脈瘤(aneurism)治療デバイスまたは他のデバイスを含む。
【0065】
開示される概念の修正および均等物は、特許請求の範囲の範囲内に含まれるように意図される。さらに、材料および構成に対する選択は特定の実施形態に関して上記に説明され得たが、当業者は説明された材料および構成が実施形態の全体に適用可能であることを理解する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物体内における移植のためのステントであって、
該ステントは、
管状構造であって、内径と、外径と、該内径と該外径との間の側壁と、長手方向を規定する中心軸と、該側壁を通って延びるアパーチャとを有する、管状構造を備え、
該アパーチャは、頂点において接合されるストラットを分離し、該頂点は引張歪のレベル示す構造を有し、
該ステントは、該中心軸に沿って長さを有し、該長手方向の該ステントの伸長は、該頂点における引張歪のレベルの変化を引き起こし、
該ステントは、少なくとも10%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪のレベルが約3%未満となるように組み立てられる、ステント。
【請求項2】
前記ステントが少なくとも10%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約2%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記ステントが少なくとも20%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約3%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記ステントが少なくとも30%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約3%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
前記ステントが少なくとも40%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約3%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
前記ステントが少なくとも50%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約3%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項7】
各頂点における引張歪の許容差レベルは約±0.5%である、請求項1に記載のステント。
【請求項8】
前記ステントが拡張されない構成である場合、前記頂点の少なくともいくつかは、互いに対して対向しており、該ステントが拡張された構成である場合、該頂点の少なくともいくつかは、外周方向に互いにずれている、請求項1に記載のステント。
【請求項9】
前記管状構造は、レーザ切断管を含む、請求項1に記載のステント。
【請求項10】
前記管状構造は、複数の領域において接合されるワイヤ形式を含むことにより、前記ストラットおよび前記頂点を形成する、請求項1に記載のステント。
【請求項11】
前記管状構造はブレードを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項12】
哺乳動物体内における移植のためのステントであって、該ステントは、長手方向を規定する中心軸と壁厚を有する周囲側壁とを有する管状構造と、該側壁を通って延びるアパーチャとを含み、該アパーチャは、異なる幅を有する長手方向ストラットを分離し、頂点において接合され、複数のストラットはセルを規定するようにグループ化され、
該ステントの外周方向において、各セルは、第1の幅を有するストラットの第1のグループと、該第1のグループとは異なる第2の幅を有するストラットの第2のグループとを含み、外周方向に隣接する頂点は長手方向に対して互いにずれている、ステント。
【請求項13】
前記第1のグループは3つのストラットを含み、前記第2のグループは5つのストラットを含む、請求項12に記載のステント。
【請求項14】
外周方向に見た場合、隣接するセルは、前記第1のグループの最初のストラットを前記第2のグループの最後のストラットに接続することによって、外周方向に一緒に接合される、請求項13に記載のステント。
【請求項15】
前記第1のグループの前記頂点は、前記第2のグループの前記頂点とは異なる幅を有する、請求項12に記載のステント。
【請求項16】
前記第2の幅は、前記第1の幅とは約20%だけ異なる、請求項12に記載のステント。
【請求項17】
前記第2の幅は、前記第1の幅とは約10%だけ異なる、請求項12に記載のステント。
【請求項18】
ストラットの前記第1のグループは、ストラットの前記第2のグループの長さとは異なる長さを有する、請求項12に記載のステント。
【請求項19】
前記第1のグループにおける前記ストラットは、前記第2のグループにおける前記ストラットより小さい幅および小さい長さを有する、請求項13に記載のステント。
【請求項20】
前記第1のグループにおける前記ストラットは、前記第2のグループにおける前記ストラットより大きい幅および大きい長さを有する、請求項13に記載のステント。
【請求項1】
哺乳動物体内における移植のためのステントであって、
該ステントは、
管状構造であって、内径と、外径と、該内径と該外径との間の側壁と、長手方向を規定する中心軸と、該側壁を通って延びるアパーチャとを有する、管状構造を備え、
該アパーチャは、頂点において接合されるストラットを分離し、該頂点は引張歪のレベル示す構造を有し、
該ステントは、該中心軸に沿って長さを有し、該長手方向の該ステントの伸長は、該頂点における引張歪のレベルの変化を引き起こし、
該ステントは、少なくとも10%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪のレベルが約3%未満となるように組み立てられる、ステント。
【請求項2】
前記ステントが少なくとも10%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約2%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記ステントが少なくとも20%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約3%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記ステントが少なくとも30%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約3%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
前記ステントが少なくとも40%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約3%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
前記ステントが少なくとも50%引き伸ばされた場合、各頂点における引張歪みのレベルは、約3%未満であり、好ましくは2%未満であり、より好ましくは1%未満であり、最も好ましくは0.5%未満である、請求項1に記載のステント。
【請求項7】
各頂点における引張歪の許容差レベルは約±0.5%である、請求項1に記載のステント。
【請求項8】
前記ステントが拡張されない構成である場合、前記頂点の少なくともいくつかは、互いに対して対向しており、該ステントが拡張された構成である場合、該頂点の少なくともいくつかは、外周方向に互いにずれている、請求項1に記載のステント。
【請求項9】
前記管状構造は、レーザ切断管を含む、請求項1に記載のステント。
【請求項10】
前記管状構造は、複数の領域において接合されるワイヤ形式を含むことにより、前記ストラットおよび前記頂点を形成する、請求項1に記載のステント。
【請求項11】
前記管状構造はブレードを含む、請求項1に記載のステント。
【請求項12】
哺乳動物体内における移植のためのステントであって、該ステントは、長手方向を規定する中心軸と壁厚を有する周囲側壁とを有する管状構造と、該側壁を通って延びるアパーチャとを含み、該アパーチャは、異なる幅を有する長手方向ストラットを分離し、頂点において接合され、複数のストラットはセルを規定するようにグループ化され、
該ステントの外周方向において、各セルは、第1の幅を有するストラットの第1のグループと、該第1のグループとは異なる第2の幅を有するストラットの第2のグループとを含み、外周方向に隣接する頂点は長手方向に対して互いにずれている、ステント。
【請求項13】
前記第1のグループは3つのストラットを含み、前記第2のグループは5つのストラットを含む、請求項12に記載のステント。
【請求項14】
外周方向に見た場合、隣接するセルは、前記第1のグループの最初のストラットを前記第2のグループの最後のストラットに接続することによって、外周方向に一緒に接合される、請求項13に記載のステント。
【請求項15】
前記第1のグループの前記頂点は、前記第2のグループの前記頂点とは異なる幅を有する、請求項12に記載のステント。
【請求項16】
前記第2の幅は、前記第1の幅とは約20%だけ異なる、請求項12に記載のステント。
【請求項17】
前記第2の幅は、前記第1の幅とは約10%だけ異なる、請求項12に記載のステント。
【請求項18】
ストラットの前記第1のグループは、ストラットの前記第2のグループの長さとは異なる長さを有する、請求項12に記載のステント。
【請求項19】
前記第1のグループにおける前記ストラットは、前記第2のグループにおける前記ストラットより小さい幅および小さい長さを有する、請求項13に記載のステント。
【請求項20】
前記第1のグループにおける前記ストラットは、前記第2のグループにおける前記ストラットより大きい幅および大きい長さを有する、請求項13に記載のステント。
【図1】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図1A】
【図2】
【図2A】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【公表番号】特表2012−523295(P2012−523295A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504927(P2012−504927)
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/030769
【国際公開番号】WO2010/118432
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(502072569)イーブイ3 エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月12日(2010.4.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/030769
【国際公開番号】WO2010/118432
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(502072569)イーブイ3 エルエルシー (3)
【Fターム(参考)】
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