説明

高分子シリコーン配合微細乳化組成物の製造方法

【課題】高分子量シリコーン誘導体を含む水中油型マイクロエマルション組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーと、(B)油分と、(C)水と、(D)HLB9以上の非イオン界面活性剤と、(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンランダム共重合体ジアルキルエーテル誘導体及び/又は多価アルコール・ポリオキシアルキレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体アルキルエーテル誘導体を含有し、水中油型マイクロエマルション組成物を調整する工程と、該水中油型マイクロエマルション組成物を水性処方に添加する工程と、を備えることを特徴とする水中油型超微細エマルション外用剤の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子量のシリコーン誘導体の水中油型マイクロエマルション組成物及びその水中油型超微細乳化物の製造方法、特に製造方法の簡易化、製剤の使用性、安定性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
分子量の大きなポリエーテル変性シリコーン、ポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマー、ポリメチルシロキサンの微細水中油型(O/W型)組成物は、基礎化粧料、メークアップ化粧料、整髪化粧料、毛髪洗浄料などの分野で用いられている。このような微細水中油型(O/W型)組成物を製造する場合、モノマーの段階で界面活性剤により、水中油型(O/W型)のマイクロエマルションを調製し、反応開始剤によってポリマーのマイクロエマルションを調製する方法が採られてきた。しかし、当該方法では、組成物の中にモノマーや触媒が残留するだけでなく、配合できる高分子の種類、例えば2種類の高分子量シリコーン誘導体を含有するマイクロエマルションなどは得ることができなかった。
【0003】
上記欠点を避けるため、シリコーン油と界面活性剤と一価の水溶性アルコール、多価アルコール及び水溶性の糖類の1種または2種以上を配合することにより、水中油型(O/W型)マイクロエマルションを得る方法が考案されている(特許文献1)。しかし、本方法では、分子量10000以上の高分子量のシリコーンを充分微細にマイクロエマルションにすることができず、その希釈によって調製されるO/W型の超微細エマルションの粒子径は大きくなり、安定性も良くないという問題点があった。また、機械的せん断力で微細化する方法もあるが、高分子量の物質については一般的に混合系の粘度が高く、分子の切断による低分子化や熱の発生による中味の変質などの問題点があった。
【0004】
高分子化合物分子はエントロピー的に広がろうとするため、マイクロエマルション中で重合する方法以外で実際に、水中油(O/W)分散型マイクロエマルションに高分子化合物を封入した例(非特許文献1)は存在しない。
【0005】
したがって、特別な装置を用いることなく、容易に製造することができ、使用性、経時安定性の高い分子量の大きなポリエーテル変性シリコーン、ポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーを含んだ水中油(O/W)分散型マイクロエマルションやそれが水性処方に分散した超微細エマルションを含有する皮膚外用剤が望まれていた。
【特許文献1】特許第2684188号公報
【非特許文献1】好村滋行「マイクロエマルションの現象論」オレオサイエンスVol.3 p.523 (2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、その解決すべき課題は、高分子量のシリコーン誘導体の水中油型マイクロエマルション組成物及びその水中油型超微細エマルション組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために本発明者等鋭意検討を行った結果、特定のポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体アルキルエーテル誘導体を用いることで、高分子シリコーン誘導体を含んだ水中油型(O/W)分散型マイクロエマルションを得られ、それを水性処方に分散することにより、粒子径50〜1000nmの超微細エマルションを含有する使用性の良い皮膚外用剤を簡単に得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明の第一の主題は、(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーと、
(B)油分と、
(C)水と、
(D)HLB9以上の非イオン界面活性剤と、
(E)下記一般式(1)〜(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンランダム共重合体ジアルキルエーテル誘導体及び/又は多価アルコール・ポリオキシアルキレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体アルキルエーテル誘導体
を含有し、水分含有量が70質量%以下であることを特徴とする水中油型マイクロエマルション組成物。
【化1】


(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、mおよびnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は50〜100質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加されている。R,Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【化2】


(式中、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基、kは前記多価アルコールの水酸基数、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基で、1≦a≦70、1≦b≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は50〜100質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加している。Rは、同一もしくは異なってもよく炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【0009】
前記水中油型マイクロエマルション組成物において、前記(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーの濃度が(B)油分1重量部に対し3重量部以下であることが好適である。また、前記水中油型マイクロエマルション組成物において、(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマー、及び(B)油分の濃度が、全量に対して20〜80質量%であることが好適である。
【0010】
前記水中油型マイクロエマルション組成物において、その粒子径が5〜30nmであることが好適である。
前記水中油型マイクロエマルション組成物において、前記一般式(2)中、Yがペンタエリスリトールの残基であり、オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合が50〜100質量%であることが好適である。
前記水中油型マイクロエマルション組成物において、分子量10000以上のポリメチルシロキサンを含有することが好適である。また、前記水中油型マイクロエマルション組成物において、イオン性界面活性剤を混合することにより、更に好適に乳化粒子径を微細にすることができる。
【0011】
本発明の第二の主題は、(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーと、
(B)油分と、
(C)水と、
(D)HLB9以上の非イオン界面活性剤と、
(E)下記一般式(1)〜(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンランダム共重合体ジアルキルエーテル誘導体及び/又は多価アルコール・ポリオキシアルキレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体アルキルエーテル誘導体
を含有し、水分含有量が70質量%以下である水中油型マイクロエマルション組成物を調整する水中油型マイクロエマルション調整工程と、
該水中油型マイクロエマルション組成物を
(F)水性処方
に添加し、乳化粒子径が50〜1000nmである水中油型超微細エマルションを調整する水中油型超微細エマルション調整工程と、を備えることを特徴とする水中油型超微細エマルション外用剤の製造方法。
【化1】


(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、mおよびnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は50〜100質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加されている。R,Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【化2】


(式中、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基、kは前記多価アルコールの水酸基数、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基で、1≦a≦70、1≦b≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は50〜100質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加している。Rは、同一もしくは異なってもよく炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる高分子シリコーン誘導体を含有する水中油型超微細エマルションの製造方法によれば、(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーと、(B)油分と、(C)水と、(D)HLB9以上の非イオン界面活性剤と、(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンランダム共重合体アルキルエーテル誘導体と、を適切な比率に混合して水中油型マイクロエマルション組成物を調整し、さらに該水中油型マイクロエマルション組成物を(F)水性処方
に添加することで、水中油型超微細エマルションを製造しているため、容易に製造可能であり、有害な重合開始剤やモノマーが混入する心配のない、シリコーン誘導体の水中油(O/W)分散型マイクロエマルション組成物を得ることができる。また、マントンガウリンやマイクロフルイダイザーのような特別な装置を用いることなく、安定性に優れ、使用感触が良く、さらに粒子径が50〜1000nmと非常に小さな水中油型超微細エマルション組成物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明にかかる水中油型超微細エマルション組成物の製造方法は、(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーと、(B)油分と、(C)水と、(D)HLB9以上の非イオン界面活性剤と、(E)前記一般式(1)〜(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンランダム共重合体ジアルキルエーテル誘導体及び/又は多価アルコール・ポリオキシアルキレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体アルキルエーテル誘導体を含有し、高分子シリコーン誘導体が水相に分散した水中油型マイクロエマルション組成物を調整する水中油型マイクロエマルション組成物調整工程と、該水中油型マイクロエマルション組成物を水性処方に添加する工程と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明に用いられる(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーンは、特に限定されるものではないが、例えば、分子量60000のポリ(オキシエチレン19モル・オキシプロピレン19モル)メチルポリシロキサン共重合体(商品名:東レダウコーニング(株)製、TSポリマー)、分子量13000のメチルポリシロキサン・セチルメチルポリシロキサン・ポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)メチルポリシロキサン共重合体(商品名:Degussa社製、ABIL
EM−90)、分子量12000のラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン(商品名:信越化学(株)製、シリコーンSC0928)などが挙げられる。また、分子量10000以上のポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーは、特に限定されるものではないが、分子量30000〜300000の(ビスイソブチルPEG−14/アモジメチコン)コポリマー(商品名:東レダウコーニング(株)製、トーレシルスタイル104)、重合度約10000のアミノプロピルメチルシリコーン・ジメチルシリコーン共重合体(商品名:信越化学(株)製:X−22−9440)などが挙げられる。
【0015】
(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーの濃度は、特に限定されるものではないが、(B)油分1重量部に対して3重量部以下とすることが好適である。3重量部を超えると、水中油型マイクロエマルション組成物が得られない場合がある。
【0016】
本発明に用いられる(B)油分の種類は特に限定されないが、本発明の製造方法によれば高温で乳化しても十分微細な乳化粒子径を得ることができるため、常温で固形もしくは半固形の油分に対して特に好適に適用される。具体的にはモクロウ、蜜ロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ等のロウ類;セタノール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類;コレステロール、フィトステロール、フィトステロールアルキルエーテル、セラミド等の脂質類およびそれらの誘導体;固形パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;ラウロイルグルタミン酸(フィトステリル/オクチルドデシル)、ラウロイルグルタミン酸(フィトステリル/オクチルドデシル/ベヘニル)、硬化ヒマシ油、ステアリン酸硬化ヒマシ油、テトラ(エチルヘキサン酸/安息香酸)ペンタエリスリチル、テトラ(エチルヘキサン酸/安息香酸/ベヘニン酸)ペンタエリスリチル等のエステル油分などが挙げられる。
特に、(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーンやポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーと相溶できる油分が好ましく、例えば、ポリメチルシロキサン、シクロメチコンなどのシリコーン油、イソパラフィン、スクワラン、流動パラフィンなどの炭化水素油、エステル油等を適宜用いることができ、また、これらの2種以上を混合しても用いても良い。
【0017】
本発明に用いられる(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマー、及び(B)油分の濃度は、特に限定されるものではないが、水中油分散型マイクロエマルション生成の際に、全量に対して20〜80質量%とすることが好ましい。80質量%を超えると安定性の高い水中油分散型マイクロエマルションが得られにくい。
本発明に用いられる(C)水の配合量は、特に限定されるものではないが、水中油分散型マイクロエマルションを生成する際に、用いられる(A)〜(C)の種類や配合量に応じて、水中油分散型マイクロエマルションが形成される領域内となるように、配合量を適宜調整する必要があり、70質量%以下が適切である。
【0018】
本発明に用いられる(D)HLB9以上の非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体、脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。また、非イオン性界面活性剤を2種以上混合してHLBを9以上に調製しても良い。ここで、2種以上の界面活性剤を混合した場合の全体のHLBは、各界面活性剤単独のHLBをその質量%を重みとして平均することで得られる。
【0019】
(D)非イオン界面活性剤の濃度は、特に限定されるものではないが、(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーンやポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマー1重量部に対して0.1〜5重量部とすることが好ましい。0.1部未満の場合には、界面活性剤量が少ないため、水中油型マイクロエマルション組成物が得られない場合があり、5部を超える場合には、界面活性剤量が多すぎるため、安全性上好ましくない。
【0020】
本発明に用いられる特徴的な(E)一般式(1)〜(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体アルキルエーテル誘導体において、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。
なお、EOはオキシエチレン基であり、[(EO)/(AO)]はランダム状結合を表す。
mは炭素数3〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1≦m≦70、好ましくは2≦m≦40である。nはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦n≦70、好ましくは2≦n≦50である。mまたはnが0であるとしっとり感が低下し、70を越えるとべたつき感がでてくる傾向がある。なお、(m+n)として、好ましくは8〜100である。(m+n)が大きすぎるとべたつくことがある。
【0021】
一方、aは炭素数3〜4のオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦a≦70、好ましくは2≦a≦20である。bはオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1≦b≦70、好ましくは2≦b≦20である。また、aおよびbの値は同一もしくは異なっていてもよい。炭素数3〜4のオキシアルキレン基またはオキシエチレン基が0であるとしっとり感が落ち、70を越えるとべたつき感がでてきて、すべすべ感が十分に得られない。
また、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は、50〜100質量%であることが好ましい。オキシエチレン基の割合が50質量%未満であるとしっとり感に劣る傾向にある。
エチレンオキシドおよび炭素数3〜4のアルキレンオキシドの付加する順序は、特に指定されない。また、オキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基はランダム状に付加されているものが好ましい。
【0022】
また、一般式(2)中、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基であり、kは前記多価アルコールの水酸基数であり3〜6である。3〜6個の水酸基を有する化合物としては、k=3であるグリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキシレングリコール、k=4であるエリスリトール、ペンタエリスリトール、k=5であるキシリトール、k=6であるソルビトール、イノシトールが挙げられる。本発明にかかる糖アルコール・ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体アルキルエーテル誘導体は、前記の3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの1種または2種以上の混合物の水酸基を除いた残基を基本骨格とする。
本発明において、Yが3〜4個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基であることがより好ましく、すなわち、3≦k≦4を満たすことが好適である。kが2以下であると、皮膚外用剤に配合した場合になめらか感が劣る傾向にあり、kが7以上であるとべたつき感を生じる傾向にある。さらに好ましくは、Yがペンタエリスリトールであり、k=4である。
【0023】
式(1)中のR及びR、式(2)中のRは炭素数1〜4の炭化水素基もしくは水素原子で、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基である。炭素数5以上の炭化水素基では親水性が低下し、使用感が低下する。
及びR、Rはそれぞれ一種のみを用いても、異種の炭素数1〜4の炭化水素基が混在してもよい。
【0024】
本発明に用いられる(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体アルキルエーテル誘導体の例としては、特に限定されるものではないが、ポリオキシエチレン(9モル)ポリオキシプロピレン(2モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(14モル)ポリオキシプロピレン(7モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(17モル)ポリオキシプロピレン(4モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(34モル)ポリオキシプロピレン(9モル)ジメチルエーテル、ポリオキシエチレン(9モル)ポリオキシプロピレン(2モル)ジエチルエーテルなどのポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体ジアルキルエーテル、ペンタエリトリット・ポリオキシプロピレングリコール(10モル)・ポリエチレングリコール(38モル)共重合体テトラメチルエーテル、ペンタエリトリット・ポリオキシプロピレングリコール(25モル)・ポリエチレングリコール(15モル)共重合体テトラエチルエーテルなどのペンタエリトリット・ポリオキシアルキレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体テトラアルキルエーテル誘導体、グリセロール・ポリオキシプロピレングリコール(20モル)・ポリエチレングリコール(10モル)共重合体トリメチルエーテル、ソルビトール・ポリオキシブチレングリコール(4モル)・ポリエチレングリコール(50モル)共重合体ヘキサエチルエーテルなどの糖アルコール・ポリオキシアルキレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体アルキルエーテル誘導体が挙げられる。この際、オキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は50〜100質量%が好適である。オキシエチレン基の割合が50質量%未満であると水中油型マイクロエマルション組成物は得られない。
【0025】
また、本発明に用いられる(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体アルキルエーテル誘導体の配合量は、特に限定されるものではないが、水中油型マイクロエマルション組成物全量に対し、5質量%以上配合することが好ましい。5質量%未満であると、安定な水中油分散型マイクロエマルション相の領域が非常に狭くなり、調製が難しくなる。
本発明に用いられる(F)水性処方とは、水あるいは水性溶媒を主な媒体としてなる処方であれば、特に限定されるものではなく、水あるいは水性溶媒の他、通常、化粧品、医薬品等に用いられる成分を安定性に影響が出ない範囲の配合量で配合していても構わない。
【0026】
水中油型マイクロエマルション組成物に配合するイオン性界面活性剤は特に限定しないが、アシルメチルタウリン塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩などのアニオン界面活性剤、トリメチルアルキル塩酸塩などのカチオン界面活性剤、ベタイン、イミダゾリウムベタイン、オバゾリンなどの両性界面活性剤などが挙げられる。イオン性界面活性剤を配合することにより、水中油型マイクロエマルション組成物の粒子径は更に微細になる。上記イオン性界面活性剤の配合量としては水中油型マイクロエマルション組成物の全重量に対し5質量%以下が好適である。5質量%を超えて配合すると、水中油型マイクロエマルション組成物は不安定になる場合がある。
【0027】
水中油型マイクロエマルション組成物を調製する工程において、各組成物の含有量の割合は、その種類にもよるが、(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーの配合量を1〜30質量%、(B)油分の配合量を20〜50質量%、(C)水の配合量を10〜40質量%、(D)HLB9以上の非イオン界面活性剤の配合量を20〜50質量%、(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体アルキルエーテル誘導体の配合量を20〜50質量%であれば、好適に水中油分散型マイクロエマルションを形成することができる。
【0028】
なお、本発明の水中油型超微細エマルション組成物における最終的な水の配合量は、水中油分散型マイクロエマルション生成に用いられる(C)水の配合量と、(F)水性処方中に含有される水の配合量との和になる。本発明に用いられる水の総配合量は、特に限定されるものではないが、一般的には、水中油型マイクロエマルション組成物全量に対して70〜99.5質量%であることが好ましい。
また、製造に関わる温度は10〜70℃であることが好適であるが、各成分の配合量を適切に選択することにより、室温付近で製造することができる。
【0029】
水性溶媒中油型乳化組成物調製工程では、(A)ポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーと、(B)油分と、(C)水と、(D)非イオン界面活性剤と、(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体アルキルエーテル誘導体とが添加され、水性溶媒中油型エマルションが形成される。このとき、(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体分子は(D)非イオン界面活性剤の親水基(ポリオキシエチレン鎖)近傍に多く分配されていると考えられる。そのため、各非イオン界面活性剤の親水基間の距離が広がり、エマルションに対して油分に向う曲率を大きくする方向に力が働く。その結果、小さな乳化粒子径のエマルションが得られると考えられる。そして、水性溶媒中油乳化組成物を水相に添加すると、親水基近傍に分配されていたポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体アルキルエーテル分子の多くは水中へ拡散していき、微細な乳化粒子径の水中油型エマルションを得ることができる。
【0030】
以下、本発明にかかるO/W超微細エマルション外用剤の製造方法の例、および比較例を幾つか挙げて、本発明の原理について簡単に説明する。
まず、初めに表1に示す組成(質量%)で水中油型乳化組成物を調製し、乳化粒子径、乳化組成物の安定性について調べた。
【表1】


*1 TSポリマー、東レダウコーニング社製
*2 トーレシルスタイル104、東レダウコーニング社製
*3 X−22−9440、信越化学社製
*4 GWIS−120、日本エマルジョン社製
*5 GWIS−108、日本エマルジョン社製
【0031】
製造方法
(1)表1の、(A)高分子シリコーンと、(B)油分と、(C)水と、(D)非イオン界面活性剤と、(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体、及びその他の成分を混合し、室温でホモミキサーにかけながら、水中油型マイクロエマルション組成物を調製した。
(2)次に、この水中油分散型マイクロエマルションを(F)水性処方に添加し、ホモゲナイザーで攪拌したところ水中油型超微細エマルションを得た。
乳化粒子径
得られた水中油型乳化組成物の乳化粒子径の測定は光散乱法により行った。装置はF−PAR−1000(大塚電子株式会社製)を用いた。
【0032】
安定性
得られた水中油型超微細エマルション組成物の安定性は、得られた乳化組成物を室温の温度条件下に1ヶ月間保存した後、以下の評価基準により判定した。
◎:安定性非常に良好
○:安定性良好
△:室温保存のみ安定
×:不安定
【0033】
表1に示すように、本発明の特徴的な(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体を用いずに調整した製造例1−4〜1−6は、乳化粒子径の微細化が十分でなく安定性が十分でないことが分かった。
一方、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体を用いた試験例1−1〜1−3は、乳化粒子径が十分微細化されており安定性も良好な結果を示した。
また製造例1−1と1−2及び1−3を比較すると、本製法において、油分中にイソステアリルアルコールのような常温で液状の高級アルコールを加えておくと、乳化粒子がより微細になることが明らかとなった。
【0034】
次に、上記実施例1−4〜1−6と同様の方法で、(B)油分に対する(A)高分子シリコーン誘導体の割合(A/B)を変えて水中油型乳化組成物を調製した。
【表2】


*6 TSポリマー、東レダウコーニング社製
*7 GWIS−120、日本エマルジョン社製
【0035】
表2に示すように、(B)油分に対する(A)高分子シリコーン誘導体の割合(A/B)が3重量部より大きい値である製造例2−7〜2−8は、水中油分散型マイクロエマルションが生成しなかった。一方、(B)油分に対する(A)高分子シリコーン誘導体の割合が3重量部以下である製造例2−1〜2−6は好適に水中油分散型マイクロエマルションを生成することが分かった。
【0036】
原理
(1)(A)高分子シリコーンと、(B)油分と、(C)水と、(D)非イオン界面活性剤の混合物は特定の配合比でラメラ液晶を生成するが、ここに(E)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム共重合体が加わると、ラメラ液晶における界面活性剤の会合数が減少して、水中油型マイクロエマルション相が生成する。三成分系の相平衡図を図1に示した。図1に示すように、水分含有量が70質量%以下である領域、及び(A)高分子シリコーンと(B)油分含有量が20〜80質量%である領域に熱力学的に安定な水中油型マイクロエマルション相が生成することが分かった。
【0037】
(2)以上のようにして得られた水中油型マイクロエマルションを、(E)水性処方中に添加すると、該水中油型マイクロエマルションの乳化粒子は、微小な粒子径を保ったままで水性処方中に分散し、粒子径50〜1000nmの水中油型超微細エマルション外用剤が得られる。
そして、得られた水中油型超微細エマルション外用剤は、非常に小さな粒子径であるにもかかわらず、広い温度範囲で長期間安定に存在することができる。
【0038】
以下の製造例3の組成物について得られたマイクロエマルションを液体窒素で急速凍結させ、フリーズレプリカ法にて撮影した透過型電子顕微鏡写真を図2に示した。図2の電子顕微鏡写真から、水中油型マイクロエマルション組成物が生成していること、また、水中油型マイクロエマルション相の粒子径が粒子径約20nmの微粒子の中に包含されることが明らかとなった。
製造例3
(A)ポリメチルシロキサン100万CS11.8質量%とポリ(オキシエチレン19モル・オキシプロピレン19モル)メチルポリシロキサン共重合体(商品名:東レダウコーニング(株)製、TSポリマー)14.1質量%、(B)イソパラフィン14.1質量%、(C)イオン交換水21.2質量%、(D)ポリオキシエチレン(15モル)ベヘニル(例えば、9.4質量%、(E)ポリオキシアルキプロピレングリコール(14モル)・ポリエチレングリコール(7モル)共重合体ジメチルエーテル23.5質量%とイミダゾリウムベタイン5.9質量%を混合し、40℃に加温したところ、1相の水中油型マイクロエマルションを得た。
【0039】
また、以上のようにして得られる水中油型超微細エマルション外用剤は、乳化の際、高圧乳化装置のような特別な装置を用いることなく、室温で混合、攪拌するだけで容易に製造することができる。また、実質的に、人体に対する刺激性が比較的小さい非イオン性界面活性剤のみによって乳化されるものであるため、安全性に優れている。
【0040】
以上のように、本発明にかかる水中油型超微細エマルション外用剤は、予め製造した水中油型マイクロエマルションを、水性処方中に配合するだけで、良好な水中油型超微細エマルション外用剤とすることができる。また、水中油型マイクロエマルションは熱力学的に安定な相であるため、密封すれば長期間の保存が可能であり、美容液などの水中油型超微細エマルション外用剤の製造時に、室温で水または保湿剤の水溶液に添加し、攪拌するだけで製剤化でき、従来用いられてきた製造工程を大幅に簡素化できる。
【0041】
本発明にかかる高分子量のシリコーン誘導体の水中油型超微細エマルションを含有する皮膚外用剤は、例えば、皮膚、頭髪など身体に適用し得る、皮膚化粧料、頭髪洗浄料、皮膚洗浄料、整髪料等に用いることができる。
また、本発明にかかる高分子量のシリコーン誘導体の水中油型超微細エマルションを含有する皮膚外用剤には、上記必須成分の他に、通常、化粧品、医薬品等に用いられる成分を安定性に影響が出ない範囲の配合量で配合することができる。かかる成分としては、例えば次のようなものが挙げられる。
【0042】
アボガド油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、月見草油、ヒマシ油、ヒマワリ油、茶実油、コメヌカ油、ホホバ油、カカオ脂、ヤシ油、スクワレン、牛脂、モクロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナバロウ、鯨ロウ、ラノリン、流動パラフィン、ポリオキシエチレン(8モル)オレイルアルコールエーテル、モノオレイン酸グリセリルなどの油分。カプリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、コレステロール、フィトステロールなどの高級アルコール。カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸などの高級脂肪酸。
【0043】
アボベンゾン、パラメトキシけい皮酸オクチル、エチルヘキシルトリアゾン、2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキサロキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル−6−(4−メトキシフェニル)−(1,3,5)−トリアジン、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、シノキサート、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、テトラヒドロキシベンゾフェノン、トリメトキシけい皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル2−エチルヘキシル、パラメトキシけい皮酸イソプロピル・ジイソプロピルけい皮酸エステル混合物、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン、トリメトキシケイヒ酸メチルビス(トリメチルシロキシ)などの紫外線吸収剤。
【0044】
ポリエチレングリコール及びそのアルキルエーテル、グリセリン、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、ムコ多糖、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、キトサンなどの保湿剤。メチルセルロース、エチルセルロース、アラビアガム、ポリビニルアルコールなどの増粘剤。エタノール、1,3−ブチレングリコールなどの有機溶剤。ブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、フィチン酸などの酸化防止剤。安息香酸、サリチル酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸エステル(エチルパラベン、ブチルパラベンなど)、ヘキサクロロフェンなどの抗菌防腐剤。グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン、タウリン、アルギニン、ヒスチジンなどのアミノ酸と塩酸塩。アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などの有機酸。
【0045】
ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2及びその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15及びその誘導体などのビタミンB類、アスコルビン酸、アスコルビン酸リン酸エステル(塩)、アスコルビン酸ジパルミテートなどのビタミンC類、α―トコフェロール、β―トコフェロール、γ―トコフェロール、ビタミンEアセテート、ビタミンEニコチネートなどのビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチンなどのビタミン類。ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ―オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ムシジン、ビサボロール、ユーカリプトール、チモール、イノシトール、サポニン類(サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニンなど)、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、セファランチン、プラセンタエキスなどの各種薬剤。
【0046】
ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、タイム、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センキュウ、センブリ、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラなどの有機溶剤、アルコール、多価アルコール、水、水性アルコールなどで抽出した天然エキス。ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイドなどのカチオン界面活性剤。エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤。
また、その他、香料、スクラブ剤なども、安定性を損なわない範囲で適宜配合することができる。
【実施例】
【0047】
以下に、本発明にかかる皮膚外用剤の実施例について更に説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1 収斂化粧水
配合量(質量%)
(1)エタノール 20.0
(2)ジプロピレングリコール 1.0
(3)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン
デシルテトラデシルエーテル 2.0
(4)無水ケイ酸 1.0
(5)ポリメチルシロキサン1000CS 1.0
(6)イソパラフィン 2.0
(7)ポリ(オキシエチレン19モル・オキシプロピレン19モル)
メチルポリシロキサン共重合体 2.0
(8)クエン酸ナトリウム 0.2
(9)パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.2
(10)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
(11)ポリオキシエチレン(6モル)・ポリオキシプロピレン(9モル)
ジメチルエーテル 5.0
(12)L−メントール 0.05
(13)EDTA3ナトリウム 0.05
(14)セルロース粉末 1.0
(15)ベントナイト 0.8
(16)精製水 残余
本発明の製造方法によって上記組成物による収斂化粧水を製造した。このようにして得られた収斂化粧水は、非常に小さな粒子径であるにもかかわらず、広い温度範囲で長期間安定であった。また、使用に伴って、さっぱり感、浸透感を有していた。
【0048】
実施例2 プロテクター乳液
配合量(質量%)
(1)エタノール 10.0
(2)ポリオキシエチレン(14モル)ポリオキシプロピレン(7モル)
ジメチルエーテル 1.98
(3)1,3−ブチレングリコール 5.0
(4)ダイナマイトグリセリン 2.0
(5)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1.39
(6)イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)グリセリル 0.59
(7)ポリメチルシロキサン10000CS 2.64
(8)メチルフェニルポリシロキサン 9.5
(9)イソノナン酸イソノニル 1.0
(10)パラメトキシけい皮酸オクチル 7.5
(11)オクトクリレン 2.0
(12)2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキサロキシ)−2−ヒドロキシ]−フェニル
−6−(4−メロキシフェニル)−1,3,5)トリアジン}
1.0
(13)ステアリン酸アルミナ処理酸化チタン 5.0
(14)クエン酸 0.01
(15)クエン酸ナトリウム 0.09
(16)EDTA3ナトリウム・2水和物 0.01
(17)キサンタンガム 0.3
(18)精製水 残余
本発明の製造方法によって上記組成物によるプロテクター乳液を製造した。このようにして得られたプロテクター乳液は、非常に小さな粒子径であるにもかかわらず、広い温度範囲で長期間安定であった。また、使用に伴って、耐水性を有していた。
【0049】
実施例3 乳液
配合量(質量%)
(1)ポリメチルシロキサン 2.0
(2)(ビスイソブチルPEG−14/アモジメチコン)コポリマー 1.0
(3)バチルアルコール 0.5
(4)グリセリン 5.0
(5)1,3−ブチレングリコール 7.0
(6)エリスリトール 2.0
(7)ポリオキシエチレン(9モル)ポリオキシプロピレン(2モル)
ジメチルエーテル 3.0
(8)硬化油 3.0
(9)スクワラン 6.0
(10)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2.0
(11)イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)グリセリル 1.0
(12)モノステアリン酸ポリオキシエチレン(10モル)グリセリン 1.0
(13)水酸化カリウム 適量
(14)ヘキサメタリン酸ナトリウム 0.05
(15)フェノキシエタノール 適量
(16)カルボキシビニルポリマー 0.1
(17)精製水 残余
本発明の製造方法によって上記組成物による乳液を製造した。このようにして得られた乳液は、非常に小さな粒子径であるにもかかわらず、広い温度範囲で長期間安定であった。また、使用に伴って、さっぱり感、浸透感を有していた。
【0050】
実施例4 クリーム
配合量(質量%)
(1)流動パラフィン 8.0
(2)ワセリン 3.0
(3)ポリメチルシロキサン10万CS 2.0
(4)ステアリルアルコール 3.0
(5)ベヘニルアルコール 2.0
(6)ペンタエリトリット・ポリオキシプロピレングリコール(4モル)・
ポリエチレングリコール(18モル)共重合体テトラメチルエーテル 5.0
(7)グリセリン 5.0
(8)ポリ(オキシエチレン19モル・オキシプロピレン19モル)
メチルポリシロキサン共重合体 2.0
(9)ステアリン酸処理酸化鉄 0.5
(10)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 4.0
(11)モノイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 2.0
(12)モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
(13)親油型モノステアリン酸グリセリン 2.0
(14)クエン酸 0.05
(15)クエン酸ナトリウム 0.05
(16)水酸化カリウム 0.02
(17)油溶性甘草エキス 0.1
(18)酢酸トコフェロール 0.1
(19)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(20)フェノキシエタノール 適量
(21)ジブチルヒドロキシトルエン 適量
(22)エデト酸3ナトリウム 0.05
(23)4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン 0.01
(24)パラメトキシ桂皮酸オクチル 0.1
(25)β−カロチン 0.01
(26)ポリビニルアルコール 0.5
(27)ヒドロキシエチルセルロース 0.5
(28)カルボキシビニルポリマー 0.05
(29)精製水 残余
(30)香料 適量
本発明の製造方法によって上記組成物によるクリームを製造した。このようにして得られたクリームは、非常に小さな粒子径であるにもかかわらず、広い温度範囲で長期間安定であった。また、使用に伴って、さっぱり感、浸透感を有していた。
【0051】
実施例5 ファンデーション
配合量(質量%)
(1)マイクロクリスタリンワックス 1.0
(2)ポリメチルシロキサン 15
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン 2.0
(4)1,3−ブチレングリコール 6.0
(5)グリセリン・ポリオキシプロピレングリコール(3モル)・
ポリエチレングリコール(7モル)共重合体トリメチルエーテル 2.0
(6)キャンデリラロウ 3.0
(7)イソステアリン酸 1.0
(8)イソステアリン酸ポリオキシエチレン(10モル)グリセリル 2.0
(9)ラノリン脂肪酸オクチルドデシル 0.5
(10)2−アルキル−N―カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチル
イミダゾリニウムベタイン 4.0
(11)ポリ(オキシエチレン19モル・オキシプロピレン19モル)
メチルポリシロキサン共重合体 2.0
(12)硫酸バリウム 5.0
(13)タルク 3.0
(16)無水ケイ酸 4.0
(17)架橋型シリコーン末(トレフィルE−506) 0.1
(18)メタリン酸ナトリウム 0.1
(19)ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン 0.1
(20)酢酸DL−α−トコフェロール 0.1
(21)ハマメリス抽出液 0.1
(22)シャクヤクエキス 0.1
(23)コンドロイチン硫酸ナトリウム 0.1
(24)ヒアルロン酸ナトリウム 0.1
(25)パラオキシ安息香酸エステル 適量
(26)ベンガラ 適量
(27)黄酸化鉄 適量
(28)黒酸化鉄 適量
(29)キサンタンガム 0.2
(30)カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.2
(31)メリロートエキス 2.0
(32)精製水 残余
本発明の製造方法によって上記組成物によるファンデーションを製造した。このようにして得られたファンデーションは、非常に小さな粒子径であるにもかかわらず、広い温度範囲で長期間安定であった。また、使用に伴って、耐水性を有していた。
【0052】
実施例6 ヘアコンディショナー
(1)ポリメチルシロキサン20CS 0.1
(2)ポリ(オキシエチレン19モル・オキシプロピレン19モル)
メチルポリシロキサン共重合体(50%イソパラフィン溶液) 0.5
(3)イソステアリン酸ポリオキシエチレン(20モル)グリセリル 0.25
(4)イソステアリルアルコール 0.1
(5)ペンタエリトリット・ポリオキシアルキプロピレングリコール 0.5
(10モル)・ポリエチレングリコール(38モル)共重合体
テトラメチルエーテル 0.5
(6)25%トリメチルアンモニウムクロライド 0.2
(7)EDTA・2H
0.01
(8)グリセリン 1.0
(9)ジプロピレングリコール 1.0
(10)カルボキシビニルポリマー 0.3
(11)アミノメチルプロパノール 0.1
(12)香料 適量
(13)イオン交換水 残余
本発明の製造方法によって上記組成物によるヘアコンディショナーを製造した。このようにして得られたヘアコンディショナーは、非常に小さな粒子径であるにもかかわらず、広い温度範囲で長期間安定であった。また、使用に伴って、しっとり感を有していた。
【0053】
以上のようにして得られた高分子量のシリコーン誘導体が配合された水中油型超微細乳化物の皮膚外用剤は、非常に小さな粒子径であるにもかかわらず、広い温度範囲で長期間安定であった。また、使用に伴って、塗布後、さっぱり感、浸透感、耐水性、しっとり感などそれぞれの高分子に由来する良い使用感触を有していた。
また、以上のようにして得られる高分子量のシリコーン誘導体が配合された水中油型超微細乳化物の皮膚外用剤は、乳化の際、特別な装置を用いることなく、一定温度で混合、攪拌するだけで容易に製造することができた。また、実質的に、人体に対する刺激性が比較的小さい非イオン性界面活性剤のみによって乳化されるものであるため、安全性に優れていた。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に用いる水中油型マイクロエマルションの生成を示した三成分系の相平衡図である。
【図2】水中油(O/W)分散型マイクロエマルションのフリーズレプリカTEM像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーと、
(B)油分と、
(C)水と、
(D)HLB9以上の非イオン界面活性剤と、
(E)下記一般式(1)〜(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンランダム共重合体ジアルキルエーテル誘導体及び/又は多価アルコール・ポリオキシアルキレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体アルキルエーテル誘導体
を含有し、水分含有量が70質量%以下であることを特徴とする水中油型マイクロエマルション組成物。
【化1】


(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、mおよびnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は50〜100質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加されている。R,Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【化2】


(式中、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基、kは前記多価アルコールの水酸基数、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基で、1≦a≦70、1≦b≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は50〜100質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加している。Rは、同一もしくは異なってもよく炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【請求項2】
請求項1に記載の水中油型マイクロエマルション組成物において、前記(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーの濃度が、(B)油分1重量部に対し3重量部以下であることを特徴とする水中油型マイクロエマルション組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の水中油型マイクロエマルション組成物において、前記水中油型マイクロエマルション調製工程の際の(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマー、及び(B)油分の濃度が、全量に対して20〜80質量%であることを特徴とする水中油型超微細エマルション外用剤の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3に記載の水中油型マイクロエマルション組成物において、その粒子径が5〜30nmであることを特徴とする水中油型マイクロエマルション組成物。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の水中油型マイクロエマルション組成物において、前記一般式(2)中、Yがペンタエリスリトールの残基であり、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合が50〜100質量%であることを特徴とする水中油型マイクロエマルション組成物。
【請求項6】
請求項1〜5に記載の水中油型マイクロエマルション組成物において、分子量10000以上のポリメチルシロキサンを含有することを特徴とする水中油型マイクロエマルション組成物。
【請求項7】
請求項1〜6に記載の水中油型マイクロエマルション組成物において、イオン性界面活性剤を含有することを特徴とする水中油型マイクロエマルション組成物。
【請求項8】
(A)分子量10000以上のポリエーテル変性シリコーン及び/又はポリオキシエチレンアモジメチコンコーポリマーと、
(B)油分と、
(C)水と、
(D)HLB9以上の非イオン界面活性剤と、
(E)下記一般式(1)〜(2)で示されるポリオキシエチレン・ポリオキシアルキレンランダム共重合体ジアルキルエーテル誘導体及び/又は多価アルコール・ポリオキシアルキレングリコール・ポリエチレングリコール共重合体アルキルエーテル誘導体
を含有し、水分含有量が70質量%以下である水中油型マイクロエマルション組成物を調整する水中油型マイクロエマルション調整工程と、
該水中油型マイクロエマルション組成物を
(F)水性処方
に添加し、乳化粒子径が50〜1000nmである水中油型超微細エマルションを調整する水中油型超微細エマルション調整工程と、を備えることを特徴とする水中油型超微細エマルション外用剤の製造方法。
【化1】


(式中、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、mおよびnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は50〜100質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加されている。R,Rは、同一もしくは異なってもよい炭素数1〜4の炭化水素基である。)
【化2】


(式中、Yは3〜6個の水酸基を有する多価アルコールの水酸基を除いた残基、kは前記多価アルコールの水酸基数、EOはオキシエチレン基、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基で、1≦a≦70、1≦b≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は50〜100質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はランダム状に付加している。Rは、同一もしくは異なってもよく炭素数1〜4の炭化水素基である。)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−126806(P2009−126806A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−301793(P2007−301793)
【出願日】平成19年11月21日(2007.11.21)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】