説明

高分子化合物の製造方法

【課題】ポリ(アリーレンビニレン)系高分子化合物等の新規製造方法を提供する。
【解決手段】式:X1−C(A1)=C(A2)−X2
〔A1、A2は、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又は1価の芳香族アミン基を表す。X1、X2は、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。〕
で表される化合物と、式:Y1−Ar1−Y2
〔Ar1は、アリーレン基、2価の複素環基又は2価の芳香族アミン基を表す。Y1、Y2は、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表す。〕
で表される化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下で反応させる工程を有する、式:−C(A1)=C(A2)−Ar1−で表される繰り返し単位及び/又は式:−C(A2)=C(A1)−Ar1−で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高分子量の発光材料は、発光素子の発光層に用いる材料等として有用であることから、種々検討されている。その中でも、ポリ(フェニレンビニレン)に代表されるポリ(アリーレンビニレン)系高分子化合物は、有機エレクトロルミネッセンス用材料、導電性材料、トランジスタ材料、太陽電池材料等として、早くから開発が進められている。
【0003】
ポリ(アリーレンビニレン)系高分子化合物の製造方法としては、例えば、〔1〕アルデヒド基を有する化合物とホスホニウム塩に由来する基を有する化合物とのWittig反応による重合(非特許文献1)、〔2〕ビニル基を有する化合物とハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応による重合(非特許文献2)、〔3〕エチレンとハロゲン原子を有する化合物とのHeck反応による重合(非特許文献3)、〔4〕ハロゲン化メチル基を有する化合物の脱ハロゲン化水素法による重縮合(非特許文献4)、〔5〕アルデヒド基を有する化合物のMcMurry反応による重合(非特許文献5)等の方法が提案されている。
【0004】
【非特許文献1】J.Am.Chem.Soc., Vol.82, 4669-4671 (1960)
【非特許文献2】Makromol.Chem. 189, 119-127 (1988)
【非特許文献3】Makromol.Chem. 192, 967-979 (1991)
【非特許文献4】J.Poly.Sci.A-1, Vol.4, 1337-1349 (1966)
【非特許文献5】Makromol.Chem. Rapid Commun. 11, 375-379 (1990)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ポリ(アリーレンビニレン)系高分子化合物等の新規製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、本発明を成すに至った。即ち、本発明は、
下記式(1):
1−C(A1)=C(A2)−X2 (1)
〔式中、A1及びA2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又は1価の芳香族アミン基を表す。X1及びX2は、それぞれ独立に、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、下記式(2):
1−Ar1−Y2 (2)
〔式中、Ar1は、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい2価の複素環基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族アミン基を表す。Y1及びY2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下で反応させる工程を有する、下記式(3a):
−C(A1)=C(A2)−Ar1− (3a)
〔式中、Ar1、A1及びA2は、それぞれ独立に、前記と同じ意味を有する。〕
で表される繰り返し単位及び/又は下記式(3b):
−C(A2)=C(A1)−Ar1− (3b)
〔式中、Ar1、A1及びA2は、それぞれ独立に、前記と同じ意味を有する。〕
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法、を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の製造方法により、ポリ(アリーレンビニレン)系高分子化合物、ビニレン基に置換基を有する高分子化合物等の高分子化合物を容易に製造することができる。こうして得られる高分子化合物は、電子材料、特に、高分子発光素子、セグメント表示装置、ドットマトリックス表示装置、液晶表示装置のバックライト、有機トランジスタ、太陽電池等に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の製造方法を詳細に説明する。なお、本明細書において、構造中にビニレン部位が存在する場合、該部位は、シス、トランスのいずれの構造であってもよい。
【0009】
本発明の製造方法は、前記式(1)で表される1種類以上の化合物と、前記式(2)で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下、溶媒中で反応(即ち、重合反応)させる工程を有する、前記式(3a)で表される繰り返し単位及び/又は前記式(3b)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法である。前記式(1)で表される化合物及び前記式(2)で表される化合物は、それぞれ、1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0010】
本発明の製造方法において、前記式(1)で表される1種類以上の化合物の合計1モルに対する、前記式(2)で表される1種類以上の化合物の合計は、通常、0.7〜1.3モルであるが、好ましくは0.9〜1.1モルであり、より好ましくは、0.95〜1.05モルである。
【0011】
・式(1)で表される化合物
前記式(1)において、A1、A2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又は1価の芳香族アミン基を表すが、単量体の合成の容易さの観点から、水素原子、アルキル基、アリール基が好ましく、アルキル基、アリール基がより好ましい。
【0012】
前記A1及びA2は、少なくとも一方がアルキル基又はアリール基であることが好ましく、前記A1及びA2の一方がアルキル基又はアリール基であり、他方が水素原子であることがより好ましい。前記A1及びA2の少なくとも一方がアルキル基である場合には、得られる高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性が優れ、またアリール基である場合には、得られる高分子化合物の溶解性や耐熱性が優れたものとなる。
【0013】
前記アルキル基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基等が挙げられ、高分子化合物の溶解性の観点から、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。
【0014】
前記アリール基は、炭素数は通常6〜60程度である。アリール基の具体例としては、フェニル基、置換基を有するフェニル基、1−ナフチル基、置換基を有する1−ナフチル基、2−ナフチル基、置換基を有する2−ナフチル基等が挙げられ、フェニル基、置換基を有するフェニル基が好ましい。前記置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基、シアノ基等が挙げられるが、単量体の合成の容易さの観点から、フェニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基(「C1〜C12アルコキシ」は、アルコキシ部分の炭素数が1〜12であることを示し、以下同様である。)、C1〜C12アルキルフェニル基(「C1〜C12アルキル」は、アルキル部分の炭素数が1〜12であることを示し、以下同様である。)、置換カルボキシル基が好ましい。前記置換基が複数存在する場合は、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0015】
1〜C12アルキルフェニル基は、フェニル環上に置換基として炭素数1〜12のアルキル基が導入されたフェニル基である。フェニル環上の置換基の数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、特に好ましくは1である。
1〜C12アルキルフェニル基におけるC1〜C12アルキル部分(基)は、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、更に、置換基を有していてもよい。該C1〜C12アルキル部分(基)としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロヘキシル基、パーフルオロオクチル基等が挙げられるが、高分子化合物の溶媒への溶解性の観点からは、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましく、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基がより好ましい。
【0016】
1〜C12アルコキシフェニル基は、フェニル環上に置換基として炭素数1〜12のアルコキシ基が導入されたフェニル基である。フェニル環上の置換基の数は、好ましくは1〜5、より好ましくは1〜3、特に好ましくは1である。
該C1〜C12アルコキシ部分(基)としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられ、該アルコキシ基は更に置換基を有していてもよく、置換基を有するアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ペンタフルオロエトキシ基、パーフルオロブトキシ基、パーフルオロヘキシルオキシ基、パーフルオロオクチルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、2−メトキシエチルオキシ基等が挙げられる。該C1〜C12アルコキシ部分(基)は、高分子化合物の溶媒への溶解性の観点からは、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基が好ましい。
【0017】
前記置換基であるアシル基としては、炭素数が、通常、2〜30程度、好ましくは炭素数2〜15程度のものであり、具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、トリフルオロアセチル基等が挙げられる。
【0018】
前記置換基であるアシルオキシ基としては、炭素数が、通常、2〜30程度、好ましくは炭素数2〜15程度のものであり、具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基等が挙げられる。
【0019】
前記置換基である置換カルボキシル基としては、炭素数が、通常、2〜30程度、好ましくは炭素数2〜15程度のものであり、具体例としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシル基が挙げられ、合成の容易さからは、アルキル基で置換されたカルボキシル基が好ましく、より具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等が挙げられる。
【0020】
前記1価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。1価の複素環基の炭素数は、通常4〜60程度である。なお、炭素数には置換基の炭素数は含まない。複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する原子が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。1価の複素環基としては、1価の芳香族複素環基(即ち、芳香族性を有する1価の複素環基)が好ましい。1価の複素環基の具体例としては、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基等が挙げられ、チエニル基、C1〜C12アルキルチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキルピリジル基が好ましい。
【0021】
1価の複素環基には、三重項発光錯体から誘導される基等の1価の錯体残基も含まれる。1価の錯体残基とは、金属錯体から水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。1価の錯体残基の具体例としては、以下に示される1価の金属錯体残基等が挙げられる。



【0022】
前記1価の芳香族アミン基とは、芳香族アミンから水素原子1個を除いた残りの原子団を意味する。1価の芳香族アミン基の炭素数は通常4〜60程度である。なお、炭素数には置換基の炭素数は含まない。1価の芳香族アミン基の具体例としては、下式123〜127で表される基等が挙げられる。

【0023】
これらの1価の芳香族アミン基の例示(上式123〜127)におけるRは、後述のアリーレン基の例示(下式1〜38、A〜K)において、Rとして具体的に説明し例示するものと同様である。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
上記式(1)中、X1及びX2は、それぞれ独立に、ホウ酸残基(−B(OH)2)又はホウ酸エステル残基を表す。
【0025】
ホウ酸エステル残基としては、下記式:

(式中、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。)
で表される基等が例示される。
【0026】
前記式(1)で表される化合物の具体例としては、下記式:

(式中、Raは独立に、アルキル基又はアリール基を表す。)
で表されるもの等が挙げられ、より具体的には、

で表されるもの等が挙げられる。
【0027】
前記式中、Raで表されるアルキル基、アリール基は、前記A1及びA2で表されるアルキル基、アリール基として説明し例示したものと同じである。
【0028】
・式(2)で表される化合物
前記式(2)において、Ar1は、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい2価の複素環基、又は置換基を有していてもよい2価の芳香族アミン基を表す。
【0029】
Ar1は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基、シアノ基等の置換基を有していてもよい。Ar1が複数の置換基を有する場合には、それらは同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。これらの置換基は、後述のアリーレン基の例示(下記式1〜38、A〜K)において、Rとして具体的に説明し例示するものと同様である。
【0030】
前記式(2)において、アリーレン基とは、芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。アリーレン基の炭素数は、通常、6〜60程度である。なお、炭素数には置換基の炭素数は含まない。また、芳香族炭化水素には、縮合環を有するもの、及び独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が直接又はビニレン基等の基を介して結合したものも含まれる。
【0031】
前記アリーレン基としては、フェニレン基(下式1〜3)、ナフタレンジイル基(下式4〜13)、アントラセニレン基(下式14〜19)、ビフェニレン基(下式20〜25)、トリフェニレン基(下式26〜28)、縮合環化合物基(下式29〜38)、スチルベン−ジイル基(下式A〜D)、ジスチルベン−ジイル基(下式E、F)、ベンゾフルオレン−ジイル基(下式G、H、I、K)等が例示される。これらの中でも、単量体の合成の容易さからは、フェニレン基、ナフタレンジイル基、ビフェニレン基、フルオレン−ジイル基(下式36〜38)、スチルベン−ジイル基(下式A〜D)、ジスチルベン−ジイル基(下式E、F)、ベンゾフルオレン−ジイル基(下式G、H、I、K)が好ましい。
【0032】

【0033】

【0034】

【0035】

【0036】

【0037】

【0038】

【0039】
アリーレン基の例示(上式1〜38、A〜K)において、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。これらのアリーレン基の例示において、1個の構造式中に複数のRを有しているが、それらは同一であってもよいし、異なっていてもよい。次に、Rで表される基について説明する。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。また、2個のRが互いに結合して環を形成していてもよい。
【0040】
前記アルキル基、アリール基は、前記A1、A2の項で、説明し例示したものと同じである。
【0041】
前記アルコキシ基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度である。アルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基等が挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。
【0042】
前記アルキルチオ基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜20程度である。アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基等が挙げられ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基が好ましい。
【0043】
前記アルキルシリル基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、炭素数は通常1〜60程度である。アルキルシリル基の具体例としては、メチルシリル基、エチルシリル基、プロピルシリル基、i−プロピルシリル基、ブチルシリル基、i−ブチルシリル基、t−ブチルシリル基、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、シクロヘキシルシリル基、ヘプチルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、ノニルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ラウリルシリル基、トリメチルシリル基、エチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、i−プロピルジメチルシリル基、ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基等が挙げられ、ペンチルシリル基、ヘキシルシリル基、オクチルシリル基、2−エチルヘキシルシリル基、デシルシリル基、3,7−ジメチルオクチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシル−ジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチル−ジメチルシリル基が好ましい。
【0044】
前記アルキルアミノ基は、直鎖状、分岐状又は環状のいずれでもよく、モノアルキルアミノ基でもジアルキルアミノ基でもよく、炭素数は通常1〜40程度である。アルキルアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基等が挙げられ、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基が好ましい。
【0045】
前記アリールオキシ基は、炭素数は通常6〜60程度である。アリールオキシ基の具体例としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。
【0046】
前記アリールアルキル基は、炭素数は通常7〜60程度である。アリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0047】
前記アリールアルコキシ基は、炭素数は通常7〜60程度である。アリールアルコキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0048】
前記アリールアルケニル基は、炭素数は通常8〜60程度である。アリールアルケニル基の具体例としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基(「C2〜C12アルケニル」は、アルケニル部分の炭素数が2〜12であることを示し、以下同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基が好ましい。
【0049】
前記アリールアルキニル基としては、炭素数は通常8〜60程度である。アリールアルキニル基の具体例としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基(「C2〜C12アルキニル」は、アルキニル部分の炭素数が2〜12であることを示し、以下同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基等が挙げられ、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基が好ましい。
【0050】
前記アリールアミノ基は、炭素数は通常6〜60程度である。アリールアミノ基の具体例としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、C1〜C12アルコキシフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基等が挙げられ、C1〜C12アルキルフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基が好ましい。
【0051】
前記アシル基は、炭素数が、通常、2〜30程度、好ましくは炭素数2〜15程度のものであり、その具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタフルオロベンゾイル基等が挙げられる。
【0052】
前記アシルオキシ基は、炭素数が、通常、2〜30程度、好ましくは炭素数2〜15程度のものであり、その具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基等が挙げられる。
【0053】
前記置換カルボキシル基は、炭素数が、通常、2〜30程度、好ましくは炭素数2〜15程度のものであり、その具体例としては、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基又は1価の複素環基で置換されたカルボキシル基が挙げられ、より具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、i−プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、i−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシロキシカルボニル基、シクロヘキシロキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシロキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基等が挙げられる。なお、該アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基は置換基を有していてもよい。置換カルボキシル基の炭素数には該置換基の炭素数は含まれない。
【0054】
1価の複素環基は、前記A1、A2の項で、説明し例示したものと同じである。
【0055】
上記置換基がアルキル鎖を含む基の場合は、該アルキル鎖は、ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む基で中断されていてもよい。このヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が例示される。ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む基としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0056】
上記ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む基の例示において、R’は、独立に、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜60のアリール基、又は炭素数4〜60の1価の複素環基である。R’が複数存在する場合には、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0057】
R’で表されるアルキル基、アリール基、1価の複素環基は、上記アリーレン基の例示(上式1〜38、A〜K)において、Rで表される置換基として説明し例示したものと同じである。
【0058】
得られる高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性の観点からは、置換基を有していてもよいアリーレン基のうち、下記式(60):


で表されるものが特に好ましい。
【0059】
上記式(60)において、A環及びB環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。2つの結合手はそれぞれA環及び/又はB環上に存在し、Rw及びRxは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表し、RwとRxは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0060】
前記式(2)で表される化合物の合成の容易さの観点からは、2つの結合手の一方がA環上に存在し、他方がB環上に存在するものが好ましい。
【0061】
前記式(60)中、Rw、Rxで表される基は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表し、RwとRxとは互いに結合して環を形成していてもよい。
【0062】
ここで、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、置換カルボキシル基は、上記アリーレン基の例示(上式1〜38、A〜K)において、Rで表される置換基として説明し例示したものと同じである。
【0063】
単量体の合成の容易さの観点からは、前記式(60)中のRwとRxとが同じ基であることが好ましい。
【0064】
さらに、高分子化合物の耐熱性の観点からは、式中、A環及びB環の少なくとも1つが、複数個のベンゼン環が縮合した芳香族炭化水素環であるものが好ましい。
【0065】
芳香族炭化水素環としては、ベンゼン環単独又は複数個のベンゼン環が縮合したものが好ましく、その具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環が挙げられ、好ましくはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環である。
【0066】
A環とB環との組み合わせとして、好ましくはベンゼン環とベンゼン環、ベンゼン環とナフタレン環、ベンゼン環とアントラセン環、ベンゼン環とフェナントレン環、ナフタレン環とアントラセン環、ナフタレン環とフェナントレン環、アントラセン環とフェナントレン環等の組み合わせが挙げられ、前記式(2)で表される化合物の合成の容易さ、得られる高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性の観点から、ベンゼン環とベンゼン環、ベンゼン環とナフタレン環の組み合わせがより好ましい。
【0067】
前記式(60)で表される置換基を有していてもよいアリーレン基の中でも、前記式(2)で表される化合物の合成の容易さの観点から、下記式(2A)〜(2D):


〔式中、Rgは、独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。複数存在するRgは、同一であっても異なっていてもよい。2つ存在するRgは、互いに結合して環を形成していてもよい。〕
のいずれかで表されるものが特に好ましい。
【0068】
前記式(2A)〜(2D)中、Rgで表されるアルキル基、アリール基は、前記A1、A2の項で、説明し例示したものと同じである。高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性の観点からは、アルキル基等のアルキル鎖を含む基が好ましい。
【0069】
前記置換基を有していてもよいアリーレン基としては、前記式(60)、前記式(2A)〜(2D)で表されるもの等を含め、フェニレン基(上式1〜3)、ナフタレンジイル基(上式4〜13)、ビフェニレン基(上式20〜25)、フルオレン−ジイル基(上式36〜38)、スチルベン−ジイル(上式A〜D)、ジスチルベン−ジイル(上式E、F)、ベンゾフルオレン−ジイル(上式G、H、I、K)等が、前記式(2)で表される化合物の合成の容易さの観点から好ましい。
【0070】
前記式(2)において、2価の複素環基は、複素環式化合物から水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。2価の複素環基は、炭素数は通常4〜60程度である。なお、炭素数には置換基の炭素数は含まない。複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する原子が炭素原子だけでなく、酸素、硫黄、窒素、リン、ホウ素等のヘテロ原子を環内に含むものをいう。2価の複素環基としては、2価の芳香族複素環基(即ち、芳香族性を有する2価の複素環基)が好ましい。2価の複素環基としては、例えば、以下のものが挙げられる。
【0071】
a)ヘテロ原子として窒素原子を含む基
ピリジン−ジイル基(下式39〜44)、ジアザフェニレン基(下式45〜48)、キノリンジイル基(下式49〜63)、キノキサリンジイル基(下式64〜68)、アクリジンジイル基(下式69〜72)、ビピリジルジイル基(下式73〜75)、フェナントロリンジイル基(下式76〜78)等。
b)ヘテロ原子として、けい素、窒素、酸素、硫黄、セレン等の原子を含むフルオレン構造(即ち、フルオレン環中の5員環を構成する炭素原子の1個が、けい素、窒素、酸素、硫黄、セレン等の原子又はこれらの原子を含む基で置換されてなる構造)を有する基(下式79〜93)。
c)ヘテロ原子として、けい素、窒素、酸素、硫黄、セレン等の原子を含む5員環複素環基(下式94〜98)。
d)ヘテロ原子として、けい素、窒素、酸素、硫黄、セレン等の原子を含む5員環縮合複素環基(下式99〜108)。
e)ヘテロ原子として硫黄等を含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位で結合し2量体やオリゴマーになっている基(下式109〜110)。
f)ヘテロ原子として、けい素、窒素、酸素、硫黄、セレン等の原子を含む5員環複素環基でそのヘテロ原子のα位でフェニル基に結合している基(下式111〜117)。
g)ヘテロ原子として、窒素、硫黄等の原子を含む複素環基でそのベンゼン環のパラ位でチエニル基に結合している基(下式150)。
【0072】

【0073】

【0074】

【0075】

【0076】

【0077】

【0078】

【0079】

【0080】

【0081】

【0082】
2価の複素環基の例示(上式39〜117、150)において、Rはそれぞれ独立に、前記アリーレン基の項において(上式1〜38、A〜K中のRとして)説明し例示したものと同じである。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0083】
2価の複素環基としては、前記式(2)で表される化合物の合成の容易さ、得られる高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性の観点から、下記式(70):


〔式中、C環及びD環は、それぞれ独立に芳香環を表す。C環及びD環は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。さらに、置換基が複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。Eは、O又はSである。〕
で表されるものが好ましい。
【0084】
C環、D環で表される芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、フェナントレン環等の芳香族炭化水素環;ピリジン環、ビピリジン環、フェナントロリン環、キノリン環、イソキノリン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環等の複素芳香環が挙げられるが、前記式(2)で表される化合物の合成の容易さの観点からは、ベンゼン環であることが好ましい。
【0085】
前記式(70)中、C環及びD環が有していてもよい置換基は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基又はシアノ基である。
【0086】
ここで、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基は、上記アリーレン基の例示(上式1〜38、A〜K)において、Rで表される置換基として説明し例示したものと同じである。
【0087】
前記式(70)で表される置換基を有していてもよい2価の複素環基は、前記式(2)で表される化合物の合成の容易さの観点から、下記式(2E):


〔式中、Yは、O又はSを表す。Rj及びRkは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。〕
で表されるものが特に好ましい。
【0088】
前記式(2E)中、Rj及びRkは、前記式(2)で表される化合物の合成の容易さからは、同一のもの(即ち、両方とも、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基)であることが好ましく、アルコキシ基であることが好ましい。Rj及びRkで表されるアルキル基、アリール基は、前記A1、A2の項で、説明し例示したものと同じである。また、Rj及びRkで表されるアルコキシ基としては、得られる高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性の観点から、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基が好ましく、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基がさらに好ましい。
【0089】
また、前記Ar1で表される置換基を有していてもよい2価の複素環基は、得られる高分子化合物の発光波長の観点(深赤色性が良好な赤色領域の発光)から、下記式(1a):


〔式中、Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。m’及びn’は、それぞれ独立に、1又は2である〕
で表されるものであることが好ましい。
【0090】
前記式(1a)中、Ra、Rb、Rc及びRdで表されるアルキル基、アリール基は、前記A1、A2の項で、説明し例示したものと同じである。上記式(1a)中、Ra、Rb、Rc及びRdのうち1つ以上がアルキル基であることが、得られる高分子化合物の有機溶媒に対する溶解性の観点から好ましい。
【0091】
前記式(2)において、2価の芳香族アミン基は、芳香族アミンから水素原子2個を除いた残りの原子団を意味する。2価の芳香族アミン基は、炭素数は通常4〜60程度である。なお、炭素数には置換基の炭素数は含まない。2価の芳香族アミン基としては、例えば、下記式(3)で表される基が挙げられる。


〔式中、Ar6及びAr8はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基、下記式(4)で表される基又は下記式(5)で表される基を表し、Ar7は、置換基を有していてもよいアリール基、下記式(6)で表される基又は下記式(7)で表される基を表し、Ar6とAr7の間、Ar6とAr8の間、又はAr7とAr8の間に環を形成していてもよい。


(式中、Ar9及びAr10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、R9及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。)


(式中、Ar11及びAr12は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Ar13は、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar11とAr13の間、Ar11とAr12の間、又はAr12とAr13の間に環を形成していてもよい。)


(式中、Ar14は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Ar17及びAr18は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基を表し、Ar14とAr17の間、Ar14とAr18の間、又はAr17とAr18の間に環を形成していてもよい。)


(式中、Ar15は、置換基を有していてもよいアリーレン基を表し、Ar16は、置換基を有していてもよいアリール基を表し、R11及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又はシアノ基を表す。)
【0092】
上記式(3)〜(7)において、Ar6、Ar8〜Ar12、Ar14及びAr15で表される置換基を有していてもよいアリーレン基は、前記式(2)の項において、Ar1として説明し例示したものの中のアリーレン基と同じである。前記式(2)の合成の容易さからは、フェニレン基であることが好ましい。
【0093】
上記式(3)〜(7)において、Ar7、Ar13及びAr16〜Ar18で表される置換基を有していてもよいアリール基は、前記アリーレン基の項において(上記式1〜38、A〜Kの)Rとして説明し例示したものの中のアリール基と同じである。
【0094】
上記式(3)〜(7)において、R9〜R12で表されるアルキル基、アリール基、1価の複素環基は、前記アリーレン基の項において(上記式1〜38、A〜Kの)Rとして説明し例示したものの中のアルキル基、アリール基、1価の複素環基と同じである。
【0095】
上記式(3)〜(7)において、Ar6〜Ar18は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基、シアノ基等の置換基を有していてもよい。これらの基は、前記アリーレン基の項において(上記式1〜38、A〜Kの)Rとして説明し例示したものと同じである。
【0096】
2価の芳香族アミン基の具体例としては、以下の基が挙げられる。



【0097】
2価の芳香族アミン基の例示(上式118〜122)において、Rは、前記アリーレン基の項において(上式1〜38、A〜KのRとして)説明し例示したものと同じである。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0098】
前記式(2)において、Y1及びY2はそれぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表すが、前記式(2)の合成の容易さの観点からは、ハロゲン原子が好ましい。
【0099】
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。高分子化合物の合成の容易さからは、臭素原子、ヨウ素原子であることが好ましく、臭素原子であることがさらに好ましい。
【0100】
アルキルスルホネート基としては、メタンスルホネート基、エタンスルホネート基、トリフルオロメタンスルホネート基等が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンゼンスルホネート基、p−トルエンスルホネート基等が例示される。アリールスルホネート基としては、ベンジルスルホネート基等が例示される。
【0101】
前記式(2)で表される化合物の具体例としては、下記式:




(式中、Rbはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表す。2個のRbは、互いに結合して環を形成していてもよい。)
で表されるもの等が挙げられる。
【0102】
前記式中、Rbで表される、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基は、上記アリーレン基の例示(上式1〜38、A〜K)において、Rで表される置換基として説明し例示したものと同じである。複数存在するRbは、同一であっても異なっていてもよい。
【0103】
・パラジウム触媒
本発明の製造方法で用いるパラジウム触媒としては、例えば、Pd(0)触媒、Pd(II)触媒等を含めて、パラジウム[テトラキス(トリフェニルホスフィン)]、パラジウムアセテート類、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等が挙げられるが、反応(重合)操作の容易さ、反応(重合)速度の観点からは、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)が好ましい。
【0104】
パラジウム触媒の添加量は、特に限定されず、触媒としての有効量であればよいが、前記式(1)で表される化合物1モルに対して、通常、0.0001モル〜0.5モル、好ましくは0.0003モル〜0.1モルである。
【0105】
・塩基
本発明の製造方法で用いる塩基は、無機塩基、有機塩基、無機塩等である。無機塩基としては、例えば、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化バリウム等が挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられる。無機塩としては、例えば、フッ化セシウム等が挙げられる。
【0106】
塩基の添加量は、前記式(1)で表される化合物1モルに対して、通常、0.5モル〜100モル、好ましくは0.9モル〜20モル、より好ましくは0.9モル〜10モル、さらに好ましくは1モル〜10モル、特に好ましくは1モル〜5モルである。
【0107】
・その他の成分
前記パラジウム触媒としてパラジウムアセテート類を用いる場合は、例えば、トリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン、トリ(o−メトキシフェニル)ホスフィン等のリン化合物を配位子として添加することができる。この場合、配位子の添加量は、パラジウム触媒1モルに対して、通常、0.5モル〜100モルであり、好ましくは0.9モル〜20モル、さらに好ましくは1モル〜10モルである。
【0108】
本発明の製造方法において、前記反応は、通常、溶媒中で行われる。溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン等が例示される。ポリ(アリーレンビニレン)系高分子化合物の溶解性の観点からは、トルエン、テトラヒドロフランが好ましい。また、塩基は、水溶液として加え、2相系で反応させてもよい。塩基として無機塩を用いる場合は、無機塩の溶解性の観点から、通常、水溶液として加え、2相系で反応させる。なお、塩基を水溶液として加え、2相系で反応させる場合は、必要に応じて、第4級アンモニウム塩等の相間移動触媒を加えてもよい。
【0109】
・反応条件
前記反応を行う温度は、前記溶媒にもよるが、通常、50〜160℃程度であり、高分子化合物の高分子量化の観点から、60〜120℃が好ましい。また、溶媒の沸点近くまで昇温し、還流させてもよい。
【0110】
前記反応を行う時間(反応時間)は、目的の重合度に達したときを終点としてもよいが、通常、0.1時間〜200時間程度であり、0.5時間〜30時間程度が効率的で好ましく、1時間〜30時間程度がより好ましい。
【0111】
前記反応は、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性雰囲気下、Pd(0)触媒が失活しない反応系で行う。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等で、十分脱気された系で行う。具体的には、重合容器(反応系)内を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、この重合容器に、前記式(1)で表される化合物、前記式(2)で表される化合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)等のパラジウム触媒(なお、後で塩基を水溶液として加え、2相系で反応させる場合は、必要に応じて、この段階で第4級アンモニウム塩等の相間移動触媒を加えてもよい。)を仕込み、さらに、重合容器を窒素ガスで十分置換し、脱気した後、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより脱気した溶媒、例えば、トルエンを加えた後、この溶液に、あらかじめ窒素ガスでバブリングすることにより脱気した塩基、例えば、炭酸ナトリウム水溶液を滴下した後、加熱、昇温し、例えば、還流温度で8時間、不活性雰囲気を保持しながら重合する。
【0112】
本発明の製造方法の具体例としては、前記式(1)で表される化合物として、下記式:


で表される1種類以上の化合物を選択し、前記式(2)で表される化合物として、下記式:





で表される1種類以上の化合物を選択し、これらを、パラジウム触媒、例えば、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)触媒の存在下、炭酸ナトリウム等の塩基を10〜20重量%水溶液として、前記式(1)で表される化合物1モルに対して1〜20モル(典型的には、1〜10モル)加えたトルエン/水の2相系(必要に応じて相間移動触媒を加える)で、還流温度で、1〜30時間、不活性雰囲気下で反応させる方法が挙げられる。
【0113】
・式(3a)、式(3b)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物
本発明の製造方法により得られる、前記式(3a)で表される繰り返し単位及び/又は前記式(3b)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物としては、下記式:





で表される繰り返し単位を少なくとも1種類含む高分子化合物が挙げられる。
【0114】
ここで、Rは、前記アリーレン基の項において(上式1〜38、A〜KのRとして)説明し例示したものと同じである。また、A1、A2は、前記式(1)のA1、A2として説明し例示したものと同じである。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0115】
本発明の製造方法により得られる高分子化合物のより具体的な例としては、下記式:













で表される繰り返し単位を有する高分子化合物が挙げられる。
【0116】
上記例示において、Rは、前記アリーレン基の項において(上記式1〜38、A〜KのRとして)説明し例示したものと同じである。複数存在するRは、同一であっても異なっていてもよい。
【0117】
・高分子化合物の特徴
本発明の製造方法より得られる高分子化合物は、ポリスチレン換算の数平均分子量が、典型的には1×103〜1×108であり、より典型的には2×103〜1×107である。
【0118】
本発明の製造方法より得られる高分子化合物は、分子鎖末端に位置する基(即ち、末端基)に重合に関与する基(通常、重合活性基と呼ばれる)が残っていると、該高分子化合物を発光素子に用いたときの発光特性、寿命が低下する可能性があるので、重合に関与しない安定な基で保護されていてもよい。この末端基としては、分子鎖主鎖の実質的な共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましい。また、例えば、ビニレン基を介してアリール基又は複素環基と結合している構造であってもよい。具体的には、特開平9-45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
【0119】
本発明の製造方法より得られる高分子化合物は、通常、分子鎖主鎖が実質的に共役系である。本明細書において、「実質的に共役系である」とは、分子鎖主鎖を構成する全繰り返し単位に対して、通常、50〜100モル%、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%の繰り返し単位が、分子鎖主鎖の共役系を構成することを意味する。
【0120】
また、繰り返し単位が、非共役部分で連結されていてもよいし、繰り返し単位に非共役部分が含まれていてもよい。前記非共役部分を含む結合構造としては、以下に示すもの、以下に示すもののうち2個以上を組み合わせたもの等が例示される。

【0121】
これらの非共役部分を含む結合構造の例示において、R*は、前記R’と同様の基を表す。また、Arは炭素数6〜60個の炭化水素基を表す。Arで表される炭化水素基は、具体的には、ベンゼン、ビフェニル、ターフェニル、ナフタレン、アントラセン等の水素原子が結合手になった基である。
【0122】
本発明の製造方法より得られる高分子化合物は、交互共重合体、ランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体のいずれであってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えば、ブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。蛍光強度の高い高分子化合物を得る観点からは、完全なランダム共重合体より、ブロック性を帯びたランダム共重合体、ブロック共重合体又はグラフト共重合体が好ましい。本発明の高分子化合物は、主鎖に枝分かれがあり、末端部が3個以上ある場合、デンドリマー等も含む。
【0123】
本発明の製造方法より得られる高分子化合物は、必要に応じて、溶媒に一部若しくは全部を溶解、又は分散させることができる。高分子化合物に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼン等が例示される。高分子化合物の構造及び分子量にもよるが、通常、これらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0124】
・高分子化合物の用途
本発明の製造方法により得られる高分子化合物は、例えば、有機エレクトロルミネッセンスの発光材料、光学材料、薄膜、有機半導体(有機トランジスタ等)、太陽電池等の材料として有用である。
【実施例】
【0125】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例で求めた化合物の分子量は、テトラヒドロフランを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算の数平均分子量及び重量平均分子量である。
【0126】
<実施例1>(高分子化合物1の合成)
下記式:


で表される単量体(1)0.553gと、下記式:


で表される単量体(100){[1-cis-1,2-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)heptene]和光純薬工業(株)製}0.342gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)0.37gと、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 2mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで十分置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスをバブリングして脱気したトルエン 20mlを加えた。次に、この溶液に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 10mlを数分間で滴下した後、昇温し、10時間還流した。なお、反応はアルゴンガス雰囲気下で行った。
【0127】
反応終了後、反応溶液を室温付近まで冷却した後、この反応溶液にトルエン30gを加えた。この反応溶液を静置した後、分液したトルエン溶液を回収した。次いで、得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、該トルエン溶液を、アルミナカラムに通し、精製した。次に、得られたトルエン溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体(以下、この重合体を「高分子化合物1」という)0.17gを得た。高分子化合物1のポリスチレン換算の重量平均分子量は7.0×103であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.2×103であった。
【0128】
仕込みから推定される高分子化合物1に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりである。

【0129】
<実施例2>(高分子化合物2の合成)
下記式:


で表される単量体(2)0.676gと、前記単量体(100)0.356gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)0.16gと、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 1.1mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで十分置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスをバブリングして脱気したトルエン 15mlを加えた。次に、この溶液に、予めアルゴンガスをバブリングして脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 5mlを数分間で滴下した後、昇温し、11時間還流した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0130】
反応終了後、この反応溶液を室温付近まで冷却した後、この反応溶液にトルエン40gを加えた。得られた反応溶液を静置し、分液したトルエン溶液を回収した。次いで、得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、該トルエン溶液を、アルミナカラムに通して精製した。次に、得られたトルエン溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体(以下、この重合体を「高分子化合物2」という)0.3gを得た。高分子化合物2のポリスチレン換算の重量平均分子量は8.0×103であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.9×103であった。
【0131】
仕込みから推定される高分子化合物2に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりである。

【0132】
<実施例3>(高分子化合物3の合成)
下記式:


で表される単量体(200){[cis-1,2-Bis(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)styrene] Aldrich製}0.356gと、前記単量体(2)0.676gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)0.13gと、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 1.3mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで十分置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスをバブリングして脱気したトルエン 15mlを加えた。次に、この溶液に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 5mlを数分間で滴下した後、昇温し、11時間還流した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0133】
反応終了後、反応溶液を室温付近まで冷却した後、この反応溶液にトルエン40gを加えた。得られた反応溶液を静置し、分液したトルエン溶液を回収した。次いで、得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、該トルエン溶液を、アルミナカラムに通して精製した。次に、得られたトルエン溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体(以下、この重合体を「高分子化合物3」という)0.34gを得た。高分子化合物3のポリスチレン換算の重量平均分子量は7.5×103であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.6×103であった。
【0134】
仕込みから推定される高分子化合物3に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりである。

【0135】
<実施例4>(高分子化合物4の合成)
下記式:


で表される単量体(3)0.127gと、前記単量体(1)0.441gと、前記単量体(100)0.352gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)0.13gと、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 1.6mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで十分置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気したトルエン 15mlを加えた。次に、この溶液に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 5mlを数分間で滴下した後、昇温し、11時間還流した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0136】
反応終了後、反応溶液を室温付近まで冷却した後、この反応溶液にトルエン40gを加えた。この反応溶液を静置し、分液したトルエン溶液を回収した。次いで、得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、該トルエン溶液を、アルミナカラムに通して精製した。次に、このトルエン溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。この沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体(この重合体を「高分子化合物4」という)0.3gを得た。高分子化合物4のポリスチレン換算の重量平均分子量は1.1×104であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は6.0×103であった。
【0137】
仕込みから推定される高分子化合物4に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりであり、仕込みから推定されるモル比は、(繰り返し単位A+繰り返し単位A’):(繰り返し単位B+繰り返し単位B’)=4:1である。
・繰り返し単位A ・繰り返し単位A’


・繰り返し単位B ・繰り返し単位B’

【0138】
<実施例5>(高分子化合物5の合成)
前記単量体(1)0.440gと、前記単量体(3)0.126gと、前記単量体(200)0.357gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)0.13gとジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 1.6mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで十分置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気したトルエン 15mlを加えた。次に、この溶液に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 5mlを数分間で滴下した後、昇温し、11時間還流した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0139】
反応終了後、反応溶液を室温付近まで冷却した後、この反応溶液にトルエン40gを加えた。次に、この反応溶液を静置し、分液したトルエン溶液を回収した。次いで、得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、該トルエン溶液を、アルミナカラムに通して精製した。次に、得られたトルエン溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。得られた沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体(以下、この重合体を「高分子化合物5」という)0.3gを得た。高分子化合物5のポリスチレン換算の重量平均分子量は8.7×103であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.8×103であった。
【0140】
仕込みから推定される高分子化合物5に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりであり、仕込みから推定されるモル比は、(繰り返し単位C+繰り返し単位C’):(繰り返し単位D+繰り返し単位D’)=4:1である。
・繰り返し単位C ・繰り返し単位C’


・繰り返し単位D ・繰り返し単位D’

【0141】
<実施例6>(高分子化合物6の合成)
前記単量体(1)0.439gと、下記式:


で表される単量体(5)0.144gと、前記単量体(200)0.356gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)0.19gとジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 2.0mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで十分置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気したトルエン 15mlを加えた。次に、この溶液に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 5mlを数分間で滴下した後、昇温し、12時間還流した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0142】
反応終了後、反応溶液を室温付近まで冷却した後、この反応溶液にトルエン15mlを加えた。次に、この反応溶液を静置し、分液したトルエン溶液を回収した。次いで、得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、該トルエン溶液を、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。得られた沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。次に、得られたトルエン溶液をアルミナカラムに通して精製した。次に、得られたトルエン溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。得られた沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体(以下、この重合体を「高分子化合物6」という)0.32gを得た。高分子化合物6のポリスチレン換算の重量平均分子量は5.5×103であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は3.8×103であった。
【0143】
仕込みから推定される高分子化合物6に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりであり、仕込みから推定されるモル比は、(繰り返し単位E+繰り返し単位E’):(繰り返し単位F+繰り返し単位F’)=4:1である。
・繰り返し単位E ・繰り返し単位E’


・繰り返し単位F ・繰り返し単位F’

【0144】
<実施例7>(高分子化合物7の合成)
下記式:

で表される単量体(6)0.826gと、前記単量体(100)0.355gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)0.16gとジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 1.6mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで十分置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気したトルエン 15mlを加えた。次に、この溶液に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 5mlを数分間で滴下した後、昇温し、12時間還流した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0145】
反応終了後、反応溶液を室温付近まで冷却した後、この反応溶液にトルエン30を加えた。次に、この反応溶液を静置し、分液したトルエン溶液を回収した。次いで、得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、該トルエン溶液を、アルミナカラムに通して精製した。次に、得られたトルエン溶液を、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。得られた沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。得られたトルエン溶液を、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。得られた沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体(以下、この重合体を「高分子化合物7」という)0.21gを得た。高分子化合物7のポリスチレン換算の重量平均分子量は7.3×103であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は6.0×103であった。
【0146】
仕込みから推定される高分子化合物7に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりである。

【0147】
<実施例8>(高分子化合物8の合成)
下記式:

で表される単量体(7)0.514gと、下記式:

で表される単量体(8)0.118gと前記単量体(200)0.445gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)0.23gとジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 2.7mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで十分置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気したトルエン 20mlを加えた。次に、この溶液に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 8mlを滴下した後、昇温し、12時間還流した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0148】
反応終了後、反応溶液を室温付近まで冷却した後、この反応溶液にトルエン15mlを加えた。次に、この反応溶液を静置し、分液したトルエン溶液を回収した。次いで、得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、該トルエン溶液を、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。得られた沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。次に、得られたトルエン溶液をアルミナカラムに通して精製した。次に、得られたトルエン溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。得られた沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体(以下、この重合体を「高分子化合物8」という)0.14gを得た。高分子化合物8のポリスチレン換算の重量平均分子量は6.1×103であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.0×103であった。
【0149】
仕込みから推定される高分子化合物8に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりであり、仕込みから推定されるモル比は、(繰り返し単位G+繰り返し単位G’):(繰り返し単位H+繰り返し単位H’)=4:1である。
・繰り返し単位G ・繰り返し単位G’


・繰り返し単位H ・繰り返し単位H’

【0150】
<実施例9>(高分子化合物9の合成)
下記式:

で表される単量体(9)0.295gと、前記単量体(2)0.950gと前記単量体(3)0.125gと前記単量体(200)0.712gと、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(商品名:aliquat336、Aldrich製、CH3N[(CH2)7CH3]3Cl、density 0.884g/ml,25℃、trademark of Henkel Corporation)0.30gとジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II) 3.6mgとを反応容器に仕込み、反応容器内をアルゴンガスで十分置換した。この反応容器に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気したトルエン 30mlを加えた。次に、この溶液に、予めアルゴンガスでバブリングして脱気した16.7重量%炭酸ナトリウム水溶液 10mlを滴下した後、昇温し、10時間還流した。なお、反応は、アルゴンガス雰囲気下で行った。
【0151】
反応終了後、反応溶液を室温付近まで冷却した後、この反応溶液にトルエン30mlを加えた。次に、この反応溶液を静置し、分液したトルエン溶液を回収した。次いで、得られたトルエン溶液を濾過し、不溶物を除去した後、該トルエン溶液を、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。得られた沈殿を減圧乾燥した後、トルエンに溶解した。次に、得られたトルエン溶液をアルミナカラムに通して精製した。次に、得られたトルエン溶液を減圧濃縮した後、メタノール中に注ぎ込み、再沈し、生成した沈殿を回収した。得られた沈殿をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体(以下、この重合体を「高分子化合物9」という)0.57gを得た。高分子化合物9のポリスチレン換算の重量平均分子量は7.5×103であり、ポリスチレン換算の数平均分子量は4.6×103であった。
【0152】
仕込みから推定される高分子化合物9に含まれる繰り返し単位の構造は、下記のとおりであり、仕込みから推定されるモル比は、(繰り返し単位I+繰り返し単位I’):(繰り返し単位J+繰り返し単位J’):(繰り返し単位K+繰り返し単位K’)=7:2:1である。
・繰り返し単位I ・繰り返し単位I’


・繰り返し単位J ・繰り返し単位J’


・繰り返し単位K ・繰り返し単位K’


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1):
1−C(A1)=C(A2)−X2 (1)
〔式中、A1及びA2は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、1価の複素環基又は1価の芳香族アミン基を表す。X1及びX2は、それぞれ独立に、ホウ酸残基又はホウ酸エステル残基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物と、下記式(2):
1−Ar1−Y2 (2)
〔式中、Ar1は、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよい2価の複素環基又は置換基を有していてもよい2価の芳香族アミン基を表す。Y1及びY2は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキルスルホネート基、アリールスルホネート基又はアリールアルキルスルホネート基を表す。〕
で表される1種類以上の化合物とを、パラジウム触媒及び塩基の存在下で反応させる工程を有する、下記式(3a):
−C(A1)=C(A2)−Ar1− (3a)
〔式中、Ar1、A1及びA2は、それぞれ独立に、前記と同じ意味を有する。〕
で表される繰り返し単位及び/又は下記式(3b):
−C(A2)=C(A1)−Ar1− (3b)
〔式中、Ar1、A1及びA2は、それぞれ独立に、前記と同じ意味を有する。〕
で表される繰り返し単位を有する高分子化合物の製造方法。
【請求項2】
前記Y1及びY2がハロゲン原子である請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記Ar1で表される置換基を有していてもよいアリーレン基が、下記式(60):


〔式中、A環及びB環は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環を表す。2つの結合手は、それぞれA環又はB環上に存在し、Rw及びRxは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、置換カルボキシル基又はシアノ基を表し、RwとRxは互いに結合して環を形成していてもよい。〕
で表されるものである請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記式(60)で表される置換基を有していてもよいアリーレン基が、下記式(2A)〜(2D):


〔式中、Rgは、独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。複数存在するRgは、同一であっても異なっていてもよい。2つ存在するRgは、互いに結合して環を形成していてもよい。〕
のいずれかで表されるものである請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
前記Ar1で表される置換基を有していてもよい2価の複素環基が、下記式(70):


〔式中、C環及びD環は、それぞれ独立に芳香環を表す。C環及びD環は、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、アリールアミノ基、1価の複素環基、アシル基、アシルオキシ基、置換カルボキシル基及びシアノ基からなる群から選ばれる置換基を有していてもよい。さらに、置換基が複数ある場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。Eは、O又はSである。〕
で表されるものである請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記式(70)で表される置換基を有していてもよい2価の複素環基が、下記式(2E):


〔式中、Yは、O又はSを表す。Rj及びRkは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルコキシ基又はアリール基を表す。〕
で表されるものである請求項5に記載の製造方法。
【請求項7】
前記Ar1で表される置換基を有していてもよい2価の複素環基が、下記式(1a):


〔式中、Ra、Rb、Rc及びRdは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。m’及びn’は、それぞれ独立に、1又は2である〕
で表されるものである請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項8】
前記A1及びA2の少なくとも一方がアルキル基又はアリール基である請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
前記A1及びA2の一方がアルキル基又はアリール基であり、他方が水素原子である請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記パラジウム触媒が、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)である請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−56911(P2008−56911A)
【公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−195738(P2007−195738)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】