説明

高分子量ポリエチレンの生産方法

本発明は、(超)高分子量ポリエチレン(HMWPE)物品の生産方法に関し、この方法は、
−HMWPE樹脂にヒンダードアミン光安定剤(HALS)を混ぜるステップ、および
−この(U)HMWPE樹脂の成形の間または後に(U)HMWPEを架橋させるステップ
を含む。具体的には本発明は、
a)(U)HMWPE樹脂に、一般式
【化1】



(式中、RからRは、本明細書中では、例えば水素、エーテル、エステル、アミン、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、および/またはアリール基を含めた独立した置換基であり、これらの置換基はさらに官能基、例えばアルコール、ケトン、酸無水物、イミン、シロキサン、エーテル、カルボキシル基、アルデヒド、エステル、アミド、イミド、アミン、ニトリル、エーテル、ウレタン、およびこれらの任意の組合せを含むことができる)の一つまたはこれらの任意の組合せによるヒンダードアミン光安定剤(HALS)を混ぜるステップ、
b)このHALSを含む(U)HMWPE樹脂を成形して物品にするステップ、
c)この物品をγ線または電子ビームの放射により架橋および滅菌するステップ、および
d)任意選択で、ステップb)が在庫形状を生み出す場合、その在庫形状を切削加工して物品にするステップ
(ただし、ステップc)およびステップd)はどちらを先に行ってもよい)を含む方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、(超)高分子量ポリエチレン((U)HMWPE)の物品の生産方法に関する。本発明はさらに、前記方法によって得られる(U)HMWPEの物品、医療用途に物品を使用すること、および(U)HMWPEの安定化のために安定剤を使用することに関する。
【0002】
耐摩耗性、耐疲労性、および耐破砕性の点ですぐれた特性は、(U)HMWPEを、整形外科における、特に、高い耐摩耗性を必要とする関節形成用の関節コンポーネントの製作における最上の材料にした。股関節全置換術における寛骨臼カップまたはライナー、および膝関節全置換術における脛骨インサートが、(U)HMWPEの重要な用途である。
【0003】
HMWPEは、本明細書中では3×10g/mol以上の重量平均分子量、2〜18の間にある分子量分布(M/M)、および1.5〜8dl/gの固有粘度(IV)を有する実質的に線状のエチレンホモポリマーまたはコポリマーとして定義される。好ましくはHMWPEのIVは3〜8dl/g、より好ましくは5〜8dl/gである。IVは、ISO 1628−3に従って定義される。UHMWPEは、本明細書中では10g/mol以上の重量平均分子量、2〜18の間にある分子量分布(M/M)、および8dl/g以上のIVを有する実質的に線状のエチレンホモポリマーまたはコポリマーとして定義される。好ましくはUHMWPEのIVは、8〜60dl/gの間にある。
【0004】
(U)HMWPEは、例えば「The UHMWPE Handbook」(Elsevier Academic Press,2004,p.14〜22)中のSteven M.Kurtzの記述のような(U)HMWPEの生産のための任意の既知の方法によって得ることができる。(U)HMWPEは、一般には下記に述べるような成形および切削加工によってさらに加工することができる粉末として得られる。
【0005】
検討の結果、γ線または電子線による(U)HMWPEの架橋が摩耗にきわめて有効であることが示されており、それは平滑な対向面、例えば一般に補綴結合と関係するものに関して最もはっきり実証された。
【0006】
しかしながら、関節全置換手術における(架橋された)(U)HMWPEの使用の際立った成功にもかかわらず、J.H.Dumbletonらの論文、J.Arthroplasty 2002,17(5):649〜661およびT.W.Bauerらの論文、Skeletal Radiol 1999,28(9):483〜497に示されているように、例えば移植の数年後にコンポーネントの無菌性の弛みまたは機械的破損から起こる故障がいまだに頻繁に起こる。これら故障の大部分は(U)HMWPEコンポーネントの摩耗によって生じることが実証されている。摩耗はデブリの形成につながり、そして今度はそれが炎症反応を誘発し、インプラントの弛みを引き起こすので摩耗は主要な問題である。
【0007】
このコンポーネントの破損は、少なくとも部分的には、架橋および/または滅菌のために使用される照射の副次的作用である(U)HMWPEの酸化安定度の低下に起因することが分かっている。照射は、(U)HMWPEの機械的性質にプラスの効果を及ぼす架橋に加えて、その機械的性質にマイナスの効果を及ぼすポリエチレンの酸化崩壊を引き起こすことが分かっている。
【0008】
この問題を克服するために多くの場合、照射済み(U)HMWPEをアニールし、再溶融して遊離基の量を減らす。しかしながらこれらの処理は、降伏歪および極限強さなどの機械的性質にマイナスの効果を及ぼす。
【0009】
欧州特許第0995450B1号明細書では、γ線による滅菌の結果としてのUHMWPEの酸化を避けるために、ビタミンEをUHMWPEの粉末上にコーティングする。コーティングは、ビタミンEを含む溶液をUHMWPEの粉末に含浸させ、続いてその溶媒を蒸発させることによって達成される。その後、含浸された物品を成形し、また切削加工してインプラントにし、それにγ線を照射する。
【0010】
酸化防止剤としてビタミンEを使用する不利点は下記の点である。
(a)それが(U)HMWPEを黄変させるという望ましくない副次的作用をもたらすこと。黄変した(U)HMWPEは、市場では経年変化した物品だと思われる。
(b)それが架橋の間に消費され、架橋効率にマイナスの効果を及ぼすこと。および
(c)(U)HMWPEの架橋後に起こる(U)HMWPEの酸化崩壊に対して有効であるためには、それを比較的大量に使用しなければならないこと。
【0011】
したがって本発明の主要な目的は、少なくとも(U)HMWPE物品の生産のための代替の方法を提供することである。具体的には、あまり黄色くなく、好ましくはより少量の安定剤を含み、かつ好ましくは従来技術の(U)HMWPE物品と少なくとも同様の安定性および機械的性質を有する(U)HMWPE物品をもたらす方法を提供することが、本発明の目的である。
【0012】
意外なことに、本発明のこの目的は、
(1)(超)高分子量ポリエチレン((U)HMWPE)樹脂にヒンダードアミン光安定剤(HALS)を混ぜるステップ、および
(2)この(U)HMWPE樹脂の成形の間または後に(U)HMWPEを架橋させるステップ
を含む(U)HMWPE物品の生産方法を提供することによって達成することができることを見出した。
【0013】
本発明の第一の実施形態では、(U)HMWPE物品の生産方法は、
a)(U)HMWPE樹脂に、一般式
【化1】



(式中、RからRは、本明細書中では、例えば水素、エーテル、エステル、アミン、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、および/またはアリール基を含めた独立した置換基であり、これらの置換基はさらに官能基、例えばアルコール、ケトン、酸無水物、イミン、シロキサン、エーテル、カルボキシル基、アルデヒド、エステル、アミド、イミド、アミン、ニトリル、エーテル、ウレタン、およびこれらの任意の組合せを含むことができる)の一つまたはこれらの任意の組合せによるヒンダードアミン光安定剤(HALS)を混ぜるステップ、
b)このHALSを含む(U)HMWPE樹脂を成形または押出して物品にするステップ、
c)この物品をγ線または電子ビームの放射により架橋および滅菌するステップ、および
d)任意選択で、ステップb)が在庫形状を生み出す場合、その在庫形状を切削加工して物品にするステップ
(ただし、ステップc)およびステップd)はどちらを先に行ってもよい)
を含むことができる。
【0014】
本発明の第二の実施形態では、(U)HMWPE物品を生産する方法は、
a)(U)HMWPE樹脂に、一般式
【化2】



(式中、RからRは、本明細書中では、例えば水素、エーテル、エステル、アミン、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、および/またはアリール基を含めた独立した置換基であり、これらの置換基はさらに官能基、例えばアルコール、ケトン、酸無水物、イミン、シロキサン、エーテル、カルボキシル基、アルデヒド、エステル、アミド、イミド、アミン、ニトリル、エーテル、ウレタン、およびこれらの任意の組合せを含むことができる)の一つまたはこれらの組合せによるヒンダードアミン光安定剤(HALS)を混ぜるステップ、
b)開始剤、例えば過酸化物と、任意選択で架橋助剤とを加えるステップ、
c)このHALSおよび開始剤を含む(U)HMWPE樹脂を成形または押出し、在庫形状または物品にするステップ、
d)任意選択で、γ線または電子ビームの放射によって更に架橋または滅菌を施す場合、その在庫形状または物品を架橋および/または滅菌するステップ、および
e)任意選択で、ステップc)が在庫形状を生み出す場合、その在庫形状を切削加工して物品にするステップ
(ただし、ステップd)およびステップe)はどちらを先に行ってもよい)
を含むことができる。
【0015】
意外なことに、(U)HMWPE物品を安定化するために、ビタミンEの量と比較してずっと少量のHALSを使用することが可能である。
【0016】
HALSは、(U)HMWPEの総重量を基準にして、好ましくは0.001〜5重量%の間にある、より好ましくは0.01〜2重量%の間にある、最も好ましくは0.02〜1重量%の間にある量が使用される。
【0017】
選択されるHALSは、好ましくは置換ピペリジン化合物から誘導された化合物、具体的にはアルキル置換ピペリジル、ピペリジニル、またはピペラジノン化合物から、あるいは置換アルコキシピペリジニル化合物から誘導される任意の化合物である。
【0018】
このような化合物の例は、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリドンと、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールと、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジル)−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)ブチルマロナートと、ジ−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(Tinuvin(登録商標)770)と、N−(2−ヒドロキシエチル)−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノールおよびコハク酸のオリゴマー(Tinuvin(登録商標)622)と、ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)スクシナートと、ビス−(1−オクチルオキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート(Tinuvin(登録商標)123)と、ビス−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)セバケート(Tinuvin(登録商標)765)と、N,N’−ビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ヘキサン−1,6−ジアミン(Chimassorb(登録商標)T5)と、N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンと、2,2’−[(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)イミノ]−ビス−[エタノール]と、ポリ((6−モルホリン−S−トリアジン−2,4−ジイル)(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノヘキサメチレン−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノ)(Cyasorb(登録商標)UV 3346)と、5−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−2−シクロ−ウンデシルオキサゾール(Hostavin(登録商標)N20)と、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザ−スピロ(4,5)デカン−2,4−ジオンと、ポリメチルプロプル−3−オキシ[4(2,2,6,6−テトラメチル)−ピペリジニル)]シロキサン(Uvasil(登録商標)299)と、α−メチルスチレン−N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)マレイミドおよびN−ステアリルマレイミドのコポリマーと、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸のβ,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールとのポリマー、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニルエステル(Mark(登録商標)LA63)と、2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン−3,9−ジエタノールの、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸とのβ,β,β’,β’−テトラメチル−ポリマー、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニルエステル(Mark(登録商標)LA68)と、D−グルシトール、1,3:2,4−ビス−O−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニリデン)−(HALS 7)と、7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]ヘンイコサン−21−オンのオリゴマー、2,2,4,4−テトラメチル−20−(オキシラニルメチル)(Hostavin(登録商標)N30)と、プロパン二酸、[(4−メトキシフェニル)メチレン]−、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル(Sanduvor(登録商標)PR31)と、ホルムアミド、N,N’−1,6−ヘキサンジイルビス[N−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル](Uvinul(登録商標)4050H)と、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N,N”’−[1,2−エタンジイルビス[[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]イミノ]−3,1−プロパンジイル]−ビス[N’,N”−ジブチル−N’,N”−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)](Chimassorb(登録商標)119)と、1,5−ジオキサスピロ(5,5)ウンデカン3,3−ジカルボン酸のビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)エステル(Cyasorb(登録商標)UV−500)と、1,5−ジオキサスピロ(5,5)ウンデカン3,3−ジカルボン酸のビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル(Cyasorb(登録商標)UV−516)と、N−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル−N−アミノ−オキサミドと、4−アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジンと、HALS PB−41(Clariant Huningue S.A.)と、1,3−ベンゼンジカルボキサミド、N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)(Nylostab(登録商標)S−EED(Clariant Huningue S.A.))と、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ピロリジン−2,5−ジオンと、1,3−プロパンジアミンの、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとのN,N−1,2−エタンジイルビス−ポリマー、N−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンとの反応生成物(Uvasorb(登録商標)HA88)と、1,1’−(1,2−エタン−ジ−イル)−ビス−(3,3’,5,5’−テトラ−メチル−ピペラジノン)(Good−rite(登録商標)3034)と、1,1’,1”−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス((シクロヘキシルイミノ)−2,1−エタンジイル)トリス(3,3,5,5−テトラメチルピペラジノン)(Good−rite(登録商標)3150)と、1,1’,1”−(1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリイルトリス((シクロヘキシルイミノ)−2,1−エタンジイル)トリス(3,3,4,5,5−テトラメチルピペラジノン)(Good−rite(登録商標)3159)と、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)エステル(ADK STAB(登録商標)LA−57)と、1,2,3,4−ブタン−テトラ−カルボン酸の、1,2,3−トリス−1,2,2,6,6−ペンタ−メチル−4−ピペリジル)−4−トリデシルエステル(ADK STAB(登録商標)LA−62)と、2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピピリジノールおよび数種類の脂肪酸のエステルの混合物(CYASORB(登録商標)UV3853)と、プロパン二酸、[(4−メトキシフェニル)メチレン]−、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)エステル(HOSTAVIN(登録商標)PR−31)と、3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ピロリジン−2,5−ジオン(CYASORB(登録商標)UV3581)と、3−ドデシル−1−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−ピロリジン−2,5−ジオン(CYASORB(登録商標)UV3641)と、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸の、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)エステル(ADK STAB(登録商標)LA−52)と、1,2,3,4−ブタン−テトラ−カルボン酸の、1,2,3−トリス−(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジル)−4−トリデシルエステル(ADK STAB(登録商標)LA−67)と、2,2,4,4テトラメチル−21−オキソ−7−オキサ−3.20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘンイコサン−20−プロピオン酸ドデシルエステルおよび2,2,4,4テトラメチル−21−オキソ−7−オキサ−3.20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]−ヘンイコサン−20−プロピオン酸テトラデシルエステルの混合物(Hostavin(登録商標)N24)と、ポリ[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−イミノ]ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]}(Chimassorb(登録商標)944)と、1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N,N”’−[1,2−エタンジイルビス[[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]イミノ]−3,1−プロパンジイル]]−ビス[N’,N”−ジブチル−N’,N”−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)](Chimassorb(登録商標)119)と、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[1,2,2,6,6−ペンタ−メチル−4−ピペリジル)イミノ]]−ヘキサメチレン[(1,2,2,6,6ペンタ−メチル−4−ピペリジル)イミノ]1,6−ヘキサンジアミンの、モルホリン−2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとのN,N’−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)−ポリマー(CYASORB(登録商標)UV3529)と、ポリ−メトキシプロピル−3−オキシ[4(1,2,2,6,6−ペンタメチル)−ピペリジニル]−シロキサン(Uvasil(登録商標)816)と、1,6−ヘキサンジアミンの、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとのN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4ピペリジニル)−ポリマー、N−ブチル−1−ブタンアミンおよびN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンの反応生成物(Chimassorb(登録商標)2020)と、N,N’−エタン−1,2−ジイルビス(1,3−プロパンジアミン)およびシクロヘキサンおよび過酸化4−ブチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンおよび2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンの反応生成物(Flamestab NOR(登録商標)116)と、1,6−ヘキサンジアミンの、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとのN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジニル)−ポリマー、3−ブロモ−1−プロパンおよびn−ブチル−1−ブタンアミンおよびN−ブチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジンアミンとの酸化、水素化反応生成物(Tinuvin NOR(登録商標)371)である。
【0019】
好ましくはHALSは、1000g/mol以上、より好ましくは1500g/mol以上の分子質量を有するか、またはそれを介して(U)HMWPEにグラフトすることができる基を含有する。これら両方の基準は、使用中に製品から安定剤が浸出するのを避けるのに役立つ。
【0020】
HALSは、任意の既知の方法によって(U)HMWPE中に取り込むことができる。HALSは、液体または粉体のいずれかとして(U)HMWPE樹脂と、または溶融した(U)HMWPEと混ぜ合わせることができる。別法ではHALSの溶液を(U)HMWPE樹脂に含浸させることもでき、またHALSの溶液を(U)HMWPE樹脂上に吹付けることもできる。また(U)HMWPE粒子を超臨界CO中でHALSと混合することもできる。HALSの種類に応じて適切な溶媒の例には、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、エチルグリコール、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルイソブチルケトン、クロロホルム、塩化メチレン、ヘキサン、トルエン、およびキシレンが挙げられる。さらに、HALS安定剤を重合の間に(U)HMWPE中に取り込むこともできる。これは、(U)HMWPE中のHALSのきわめて均一な分配を得ることができるという利点を有する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば(U)HMWPEは、上記で参照した「The UHMWPE Handbook」(p.37〜47)中に記載されているように照射によって、例えばγ線照射または電子ビーム照射を施すことによって架橋される。高度に架橋された(U)HMWPE物品を得るために使用される照射線量は、30〜250kGray(kGy)の間で、好ましくは30〜170kGyの間で、より好ましくは40〜130kGyの間で選択される。より低架橋の(U)HMWPE物品を得るためには、または開始剤の使用による化学的架橋と組み合わせて照射を使用する場合には、例えば25から50kGyまでのより低い照射線量を使用することができる。
【0022】
本発明による(U)HMWPE物品の滅菌の場合、10〜40kGyの間の、好ましくは20〜35kGyの間の照射線量を使用することができる。
【0023】
本発明の第二の実施形態によれば(U)HMWPEは、その(U)HMWPEに開始剤、例えば過酸化物と、任意選択で架橋助剤とを加えることによって架橋される。
【0024】
好適な過酸化物の例には、tert−ブチルクミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾアート、ジ−tert−ブチルペルオキシド、3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジクミルペルオキシド、3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセパン、1−(2−tert−ブチルペルオキシイソプロピル)−3−イソプロペニルベンゼン、2,4−ジアリルオキシ−6−tert−ブチルペルオキシ−1,3,5−トリアジン、ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、およびtert−ブチルヒドロペルオキシドが挙げられる。
【0025】
任意選択で、過酸化物の架橋効率を高めるために架橋助剤、すなわち2個以上の不飽和部分を有する化合物が用いられる。好適な架橋助剤の例には、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリメリト酸トリアリル、メタ−フェニレンビスマレイミド、エチレングリコールジメタクリラート、エチレングリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、トリメチロールプロパン、トリメタクリラート、ペンタエリトリトールテトラメタクリラート、ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、およびポリブタジエンが挙げられる。
【0026】
開始剤は(U)HMWPEの総重量を基準にして0.001〜2.5重量%の間、好ましくは0.01〜1重量%の間にある量が、また架橋助剤は0.001〜2.5重量%の間、好ましくは0.01〜1重量%の間にある量が一般には用いられる。
【0027】
HALSと、任意選択の開始剤、例えば過酸化物と、任意選択の架橋助剤とは、ステップa)において、また任意選択でb)において(U)HMWPE中に取り込み、次いでそれを圧縮成形または熱間等方圧加圧によって固めることができる。これらのHALSと、任意選択の開始剤と、任意選択の架橋助剤は、任意の既知の方法によって(U)HMWPE中に取り込むことができる。これらのHALSと、任意選択の開始剤と、任意選択の架橋助剤は、液体または粉体のいずれかとして(U)HMWPE樹脂または溶融物と混ぜ合わせることができる。別法では溶媒に溶かしたHALSおよび任意選択の開始剤の溶液を(U)HMWPE樹脂上に吹付けて、また超臨界CO中で(U)HMWPE粒子をそのHALSおよび任意選択の開始剤と混合して、そのHALSおよび任意選択の開始剤の溶液を(U)HMWPE樹脂に含浸させることもできる。すべての方法においてHALSおよび任意選択の開始剤の含浸は、同時に起こってもよく、また別々に、すなわち相次いで起こってもよい。
【0028】
架橋は、成形の間にその溶融物中で起こるか、かつ/または放射により起こる。例えば参照により本明細書に援用される「The UHMWPE Handbook」(Elsevier Academic Press,2004,p.22〜31)(以後「The UHMWPE Handbook」)中のSteven M.Kurtzの記述のような幾種類かの加工方法を、(U)HMWPE樹脂を単品に成形するために、また必要ならば切削加工(任意選択のステップ)するために使用することができる。主な方法の簡単な説明を下記で行う。
【0029】
第一の方法は圧縮成形であり、(U)HMWPE樹脂を満たした金型を一定の時間のあいだ高温と高圧の併用の下におく。続いてこの系を、製品の収縮および変形をできるだけ少なくするようにゆっくりと一定の速度で冷却する。次いで製品は、より小型のブロックまたは円筒棒に切削加工され、それから最終のコンポーネント、例えば関節コンポーネントに切削加工することができる。
【0030】
第二の方法のラム押出は、直径が25mmから150mmの範囲にある円筒棒在庫形状を生産する。この方法では、(U)HMWPE樹脂装入材料をチャネル中に供給し、次いで熱を加える。次に、ラムがその可塑化した粉末装入材料を圧縮し、加熱された円筒バレル中へ押出し、そこで材料が固まり円筒棒材になる。ラムが後退し、前進する時に、チャンバに粉末素材が補充される。最終のコンポーネント、例えば関節コンポーネントは、この棒材から切削加工することができる。
【0031】
第三の方法の直接圧縮成形では、予め形状を与えた金型を用いて(U)HMWPE樹脂装入材料を固めて最終または半最終単品にする。この方法を適用する場合、必ずしも常に切削加工が必要なわけではない。この方法はスピードが遅くかつ費用がかかるが、この方法を用いて作られる整形外科用の関節コンポーネントは、きわめて平滑な表面の仕上がりを有し、寸法のばらつきやむらがきわめて少ない。
【0032】
HMWPE樹脂はまた、射出成形または押出により溶融加工してシートまたは棒にすることもできる。この方法では最終製品を直接得ることができるが、その製品を切削加工して最終製品を得ることもまた可能である。
【0033】
上記方法に加えて、The UHMWPE Handbook(p.27)に記載されているように熱間等方圧加圧法(HIPing)を利用することもできる。
【0034】
(U)HMWPEの切削加工は、最初の粗仕上げおよび仕上げの両ステップのフライス削りおよび外丸削り操作からなる。切削加工に関するより詳細については、上記で参照した「The UHMWPE Handbook」(p.31〜32)中で得られる。
【0035】
(U)HMWPEを放射により架橋するために使用される方法、および本発明に従ってHALSで安定化され、かつ/または任意選択で化学的に架橋された(U)HMWPEに適用することもまた可能な方法は、Biomaterials 2001,22:371〜401中でG.Lewisが記述しているようにγ線照射および電子ビーム照射である。γ線照射に関しては使用される線量は、20から1000kGyの範囲である。在庫形状または物品のいずれか、あるいはその両方に、電子ビームまたはγ線を利用して照射架橋を施すことができる。
【0036】
任意選択で在庫形状または物品は、架橋後に、(U)HMWPEの溶融温度未満の、例えば60〜140℃の間にある温度でアニールされる。
【0037】
エチレンに加えて、(U)HMWPEは、加工特性の改良を実現するために、またはポリマーの物理的および機械的性質を変えるために、1種類または複数種類のコモノマー、例えばプロピレン、ブタン、ペンテン、ヘキサン、4−メチルペンテン、オクタン、オクタジエン、およびビニルノルボルネンなどを含むことができる。さらにこのポリマーは、非高分子物質、例えば補強剤と、充填剤と、難燃剤と、顔料と、可塑剤や、離型剤などの加工助剤や、酸化防止剤およびUV安定剤などの安定剤や、結晶化促進剤または核形成剤や、耐衝撃改良剤や、相溶化剤のような他の補助添加剤とを含有することができる。具体的にはステアリン酸カルシウムまたはステアリン酸亜鉛などの無機ステアリン酸塩を、(U)HMWPE−P樹脂にフロー剤として、または二次加工設備を腐食させる可能性を有する触媒残渣の影響をできるだけ少なくするために加えることができる。さらに、ステアリン酸カルシウムは、ポリマー粉末のラム押出を使用して部品を製作する場合に潤滑剤の役割を果たすことができ、また製品がその白色を維持するのに役立つこともある。
【0038】
HALSを含むこの(U)HMWPE物品は、0.09mol/dm以上の架橋密度を有する。
【0039】
本発明による(U)HMWPE物品は、医療用途に、好ましくは少なくとも厚さ2mm、より好ましくは少なくとも4mmを有するインプラントに利用することができる。例えばこのインプラントは、人工関節における軸受材料として整形外科で使用することができる。(U)HMWPEは、例えば人工股関節形成術、人工膝関節置換術、人工肩関節置換術、および脊髄用途、例えば人工椎間板全置換術において使用することができる。これらの用途は、上記で参照した「The UHMWPE Handbook」中で4〜6章(股部)、7〜8章(膝部)、9章(肩部)、および10章(脊髄用途)に詳細に記載されている。
【0040】
次に、本発明の範囲を決して限定することのない下記の実施例に関して本発明を詳細に述べることにする。
【0041】
[実施例]
[材料]
[UHMWPE]
使用したUHMWPEの、ISO 1628−3に準拠して測定された固有粘度は27dl/gであり、これはMargoliesの式、Mw=53700×[I.V]1.49を用いて計算される分子量730万g/molと一致する。
【0042】
使用したUHMWPE樹脂のISO 13320による平均粒度は、157ミクロンであった。
【0043】
[安定剤]
1)ビタミンE(DSM Nutrional Productsから入手したαトコフェロール)、
2)ポリ{[[6−[(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ]−s−トリアジン−2,4−ジイル][(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]−ヘキサメチレン[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミノ]]}(Ciba Specialty Chemicalsから入手したChimassorb(登録商標)944)、
3)1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン、N,N”’−[1,2−エタンジイルビス[[[4,6−ビス[ブチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−2−イル]イミノ]−3,1−プロパンジイル]]−ビス[N’,N”−ジブチル−N’,N”−ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)](Ciba Specialty Chemicalsから入手したChimassorb(登録商標)119)、
4)1,6−ヘキサンジアミンの、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジンとのN,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)−ポリマー、3−ブロモ−1−プロパンおよびn−ブチル−1−ブタンアミンおよびN−ブチル−2,2,6,6−テトラ−メチル−4−ピペリジンアミンとの酸化、水素化反応生成物(Ciba Specialty Chemicalsから入手したTinuvin(登録商標)NOR 371)。
【0044】
[溶媒ブレンドコンパウンドの調製]
安定剤を溶媒ブレンドによってUHMWPEに加えた。安定剤をまずクロロホルムに溶かした溶液(約100ml/ポリマー100g)としてポリマーに加え、第二ステップにおいてそのクロロホルムを蒸発させた。
【0045】
[試料の照射]
内側にアルミニウム被膜を有する紙袋中に真空密閉された棒材試料上へ窒素下でγ線照射(線量25、75、および150kGray(kGy))によって照射を行った。膨潤試験用の試験試料を準備するために、照射済みの、後で切削加工してより小さい試験試料にされる棒材試料を調製した。
【0046】
[試料の調製]
粉末を圧縮成形してISO 11542−2に準拠した試料にした。
【0047】
分析に必要な試料の寸法は、成形された棒材試料から切削加工した。
【0048】
[老化]
引張試験用および色度測定用の試料を、通気オーブン(Binder FDL115)中で110℃において2週間老化した。
【0049】
[架橋密度の測定]
架橋密度は、照射済み棒材試料から切削加工した寸法5mm×5mm×5mmの試料を用いてASTM F2214−02に準拠して測定した。これらの試料をo−キシレン中での膨潤を受けさせた。
【0050】
[色度測定]
色度測定は、ISO 7724−1−2−3(CIELAB、D65、10、d8)に準拠して行った。この測定は、Minolta分光光度計で黒色バックグラウンドを用いて反射によって行った。照射および老化後の棒材試料から切削加工した厚さ1mmのプラークを試料として用いた。
【0051】
[引張試験]
引張試験(破断点伸びおよび極限引張強さ)は、ISO 527に準拠して行った。
【0052】
引張試験片(タイプISO 527−5B)を、照射および老化後の棒材試料から切削加工した厚さ1mmの試料から打ち抜いた。
【0053】
[酸化指数の測定]
酸化指数は、5mm×5mm×5mmの立方体から切り取った約100μmのクープ(coupes)上での透過において測定される赤外スペクトルから求めた。スペクトルは、20回のスキャンおよび4cm−1の分解能を使用してPerkin Elmer Auto Image上に記録した。このスペクトルを、ASTM F2102−06と同様に1370cm−1(1330〜1370、基準1400cm−1)に正規化した。酸化指数は、1680〜1765cm−1から推論されるベースラインを用いた1717cm−1におけるピーク高さとして定義した。
【0054】
[結果]
【0055】
【表1】



【0056】
これらの結果からビタミンE含有試料がHALS含有試料よりも黄色いことは明らかである。
【0057】
【表2】



【0058】
表2中の結果からHALSで安定化した試料の場合、ビタミンE含有試料と同等の架橋密度を得るためには、より低い放射線量が必要であることは明らかである。
【0059】
【表3】



【0060】
これらの結果から老化の後、0.05重量%のHALSを含む試料は、0.15重量%のビタミンEを含む試料の引張強さと同等の引張強さを有することは明らかである。
【0061】
【表4】



【0062】
これらの結果から0.05重量%のHALSが、酸化指数の増加を防止することができることは明らかである。HALSが必要とされる量は、同じ結果を得るために必要な0.15重量%のビタミンEよりも少なかった。
【0063】
【表5】



【0064】
これらの結果からビタミンEと同様にHALSも老化による架橋密度の減少を防止するのに有効であることは明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(超)高分子量ポリエチレン((U)HMWPE)物品の生産方法であって、
−前記(U)HMWPE樹脂にヒンダードアミン光安定剤(HALS)を混ぜるステップ、および
−前記(U)HMWPE樹脂の成形の間または後に前記(U)HMWPEを架橋させるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
a)(U)HMWPE樹脂に、一般式
【化1】



(式中、RからRは、本明細書中では、例えば水素、エーテル、エステル、アミン、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、および/またはアリール基を含めた独立した置換基であり、前記置換基はさらに官能基、例えばアルコール、ケトン、酸無水物、イミン、シロキサン、エーテル、カルボキシル基、アルデヒド、エステル、アミド、イミド、アミン、ニトリル、エーテル、ウレタン、およびこれらの任意の組合せを含むことができる)の一つまたはこれらの任意の組合せによるヒンダードアミン光安定剤(HALS)を混ぜるステップ、
b)前記HALSを含む前記(U)HMWPE樹脂を成形または押出して物品にするステップ、
c)前記物品をγ線または電子ビームの放射により架橋および滅菌するステップ、および
d)任意選択で、ステップb)が在庫形状を生み出す場合、前記在庫形状を切削加工して物品にするステップ
(ただし、ステップc)およびステップd)はどちらを先に行ってもよい)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a)(U)HMWPE樹脂に、一般式
【化2】



(式中、RからRは、本明細書中では、例えば水素、エーテル、エステル、アミン、アミド、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、シクロアルキル、および/またはアリール基を含めた独立した置換基であり、これらの置換基はさらに官能基、例えばアルコール、ケトン、酸無水物、イミン、シロキサン、エーテル、カルボキシル基、アルデヒド、エステル、アミド、イミド、アミン、ニトリル、エーテル、ウレタン、およびこれらの任意の組合せを含むことができる)の一つまたはこれらの組合せによるヒンダードアミン光安定剤(HALS)を混ぜるステップ、
b)開始剤、例えば過酸化物と、任意選択で架橋助剤とを加えるステップ、
c)前記HALSおよび前記開始剤を含む前記(U)HMWPE樹脂を成形または押出し、在庫形状または物品を生み出すステップ、
d)任意選択で、さらにγ線または電子ビームの放射により架橋または滅菌を施す場合、前記在庫形状または前記物品を架橋および/または滅菌するステップ、および
e)任意選択で、ステップc)が在庫形状を生み出す場合、前記在庫形状を切削加工して物品にするステップ
(ただし、ステップd)およびステップe)はどちらを先に行ってもよい)
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記(U)HMWPEが、8dl/g以上の固有粘度(IV)を有する(U)HMWPEである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記HALSが、前記(U)HMWPEの総重量を基準にして0.001〜5重量%の間にある量で存在する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記HALSが、1000g/mol以上の分子量を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記HALSが、前記HALSを前記(U)HMWPE樹脂または(U)HMWPE溶融物と混合することによって、前記(U)HMWPE樹脂に前記HALSの溶液を含浸させることによるか、または前記(U)HMWPE樹脂上に前記HALSの溶液を噴霧することによって、あるいは前記(U)HMWPE溶融物にHALSを加えることによって前記(U)HMWPE樹脂中に取り込まれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記開始剤が、tert−ブチルクミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾアート、ジ−tert−ブチルペルオキシド、3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセオパン、1,1−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ブチル4,4−ジ(tert−ブチルペルオキシ)バレラート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ(4−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ジ(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジクミルペルオキシド、3,3,5,7,7−ペンタメチル−1,2,4−トリオキセオパン、1−(2−tert−ブチルペルオキシイソプロピル)−3−イソプロペニルベンゼン、2,4−ジアリルオキシ−6−tert−ブチルペルオキシ−1,3,5−トリアジン、ジ(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ジイソプロピルベンゼンモノヒドロペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、およびtert−ブチルヒドロペルオキシドからなる群から選択される過酸化物である、請求項1または3に記載の方法。
【請求項9】
架橋助剤が、ジビニルベンゼン、フタル酸ジアリル、シアヌル酸トリアリル、イソシアヌル酸トリアリル、トリメリト酸トリアリル、メタ−フェニレンビスマレイミド、エチレングリコールジメタクリラート、エチレングリコールジアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、トリメチロールプロパン、トリメタクリラート、ペンタエリトリトールテトラメタクリラート、ジアクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸亜鉛、およびポリブタジエンからなる群から選択されて使用される、請求項1または3に記載の方法。
【請求項10】
前記(U)HMWPE樹脂が、圧縮成形、ラム押出、直接圧縮成形、または熱間等方圧加圧法によって成形される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記在庫形状または前記物品が、架橋後に、(U)HMWPEの溶融温度未満、例えば60〜140℃の間でアニールされる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法によって得られる(U)HMWPE物品。
【請求項13】
HALSを含み、0.09mol/dm以上の架橋密度を有する(U)HMWPE物品。
【請求項14】
前記物品が人工医用インプラントである、請求項12または13に記載の(U)HMWPE物品。
【請求項15】
前記人工医用インプラントが、股関節形成術用、例えば人工股関節全置換術における寛骨臼カップまたはライナーとして、膝関節置換術用、例えば人工膝関節全置換術における脛骨インサートとして、肩関節置換術用、または人工椎間板全置換術などの脊髄用途用に使用される、請求項14に記載の物品。
【請求項16】
前記人工医用インプラントが関節全置換術用に使用される、請求項14または15に記載の物品。
【請求項17】
医療用途、具体的には人工医用インプラント、より具体的には関節全置換術における請求項12〜16のいずれか一項に記載の物品の使用。

【公表番号】特表2011−503252(P2011−503252A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−531549(P2010−531549)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/EP2008/065089
【国際公開番号】WO2009/060043
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】