説明

高剛性および低温耐衝撃性ポリアミド樹脂組成物

【課題】 従来のポリアミド樹脂の不十分な点を改良し、その成形体が優れた剛性、低温耐衝撃性および耐熱性を有するポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 (A)ポリアミド樹脂、(B)前記(A)成分に均一に分散された層状珪酸塩、および(C)MFR(2.16kg/230℃)が1〜2.5g/10minである耐衝撃性改良材からなるポリアミド樹脂組成物であって、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)層状珪酸塩0.05〜30重量部、および(C)耐衝撃性改良材5〜70重量部を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、その成形体の剛性、耐衝撃性および耐熱性が優れているポリアミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド樹脂は、その成形体が優れた機械的性質を有することから、特に自動車や電気製品などの部品用の材料として幅広く利用されている。しかし、過度の圧力や熱が加えられるような条件で使用される部品等の材料として適用した場合には、剛性、耐衝撃性および耐熱性の点において必ずしも満足できるものではないのが現状である。
【0003】
従来から、この問題を解決するために、ポリアミド樹脂に充填材を添加する試みがなされているが、剛性と耐熱性が向上するのに対し、衝撃強度が不十分であった。
一方、衝撃強度を高める目的で耐衝撃性改良材を配合した場合には、耐熱性や剛性が損なわれてしまうため、衝撃強度と剛性および耐熱性を同時に改良することは困難であった。
【0004】
これらを改良すべく種々の検討が行われてきた。例えば、層状珪酸塩が均一に分散されたポリアミド樹脂と耐衝撃性改良剤からなる高剛性および耐衝撃性ポリアミド樹脂組成物(特許文献1参照)や、特定の有機化層状珪酸塩、ポリアミド樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂とからなるポリアミド系樹脂組成物(特許文献2参照)が提案されているが、いずれも衝撃強度と剛性および耐熱性のバランスは不十分であった。
特に、自動車用途では通常、寒冷地での使用が前提としてあり、低温での耐衝撃性が必要であるが、最近では−40℃の低温でも優れた耐衝撃性を有することが要求されており、剛性および耐熱性に優れ、かつ−40℃の低温でも優れた耐衝撃性を有するものは得られていない。
【0005】
【特許文献1】特開平2−29457号公報
【特許文献2】特開平8−12881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のポリアミド樹脂の不十分な点を改良し、その成形体が優れた剛性、低温耐衝撃性および耐熱性を有するポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記問題点を解決するために、鋭意検討した結果、(A)ポリアミド樹脂、(B)前記(A)成分に均一に分散された層状珪酸塩、および(C)MFRが特定範囲にある耐衝撃性改良材からなるポリアミド樹脂組成物が、優れた剛性、低温耐衝撃性および耐熱性を有することを見出した。
すなわち、本発明は、(A)ポリアミド樹脂、(B)前記(A)成分に均一に分散された層状珪酸塩、および(C)MFR(2.16kg/230℃)が1〜2.5g/10minである耐衝撃性改良材からなるポリアミド樹脂組成物であって、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)層状珪酸塩0.05〜30重量部、および(C)耐衝撃性改良材5〜70重量部を含有することを特徴とする高剛性および低温耐衝撃性ポリアミド樹脂組成物に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、優れた耐衝撃性(23℃と−40℃において高い衝撃特性が期待できる破壊形態(部分破壊)を保持する)を有し、かつバランスの良い剛性および耐熱性を有することから、自動車部品、電気電子部品、機械部品等の用途に好適に利用できる。特に−40℃の低温でも優れた耐衝撃性を有することから、自動車燃料配管用チューブ又はホースとして有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂、(B)前記(A)成分に均一に分散された層状珪酸塩および(C)MFR(2.16kg/230℃)が1〜2.5g/10minである耐衝撃性改良材からなる。
【0010】
本発明において使用される(A)成分のポリアミド樹脂としては、ジアミンと二塩基酸とからなるか、またはラクタムもしくはアミノカルボン酸からなるか、またはこれらの2種以上の共重合体からなるものが挙げられる。
【0011】
ジアミンとしては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンや、メタキシリレンジアミン等の芳香族・環状構造を有するジアミンが挙げられる。
ジカルボン酸としては、アジピン酸、ヘプタンジカルボン酸、オクタンジカルボン酸、ノナンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジアミンやテレフタル酸、イソフタル酸等の芳香族・環状構造を有するジカルボン酸が挙げられる。
【0012】
ラクタムとしては、炭素数6〜12のラクタム類であり、α−ピロリドン、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、ε−エナントラクタム等が挙げられる。また、アミノカルボン酸としては炭素数6〜12のアミノカルボン酸であり、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。
【0013】
具体的には、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド610、ポリアミド612などのホモポリマーや、ポリアミド6/66、ポリアミド6/12、ポリアミド11/12などのコポリマーが挙げられる。
特に、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド6、ポリアミド66が好ましく、ポリアミド11、ポリアミド12がより好ましい。
【0014】
前記ポリアミド樹脂は、(末端アミノ基濃度)/(末端カルボキシル基濃度)>1であることが好ましく、(末端アミノ基濃度)/(末端カルボキシル基濃度)>1.5あることがより好ましく、(末端アミノ基濃度)/(末端カルボキシル基濃度)>2.0であることがさらに好ましい。
【0015】
また、末端アミノ基濃度は、好ましくはポリアミド系樹脂1kgあたり、30ミリ当量以上、さらに好ましくは40ミリ当量以上、80ミリ当量以下であることが、当該ポリアミド樹脂の溶融安定性、ゲル状物発生抑制の点から好ましい。
【0016】
本発明において使用されるポリアミド樹脂は、上記したモノマーから溶融重合、溶液重合及び固相重合など公知の重合方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。重合に使用できる装置は、例えば、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続重合装置、管状連続重合装置、混練反応押出機等が好ましく挙げられる。
【0017】
また、アミノ末端基濃度がカルボキシル末端基濃度よりも大きいポリアミド樹脂の製造方法は、特に限定されるものではないが、重合時もしくは重合終了後に当該組成物を押出混練する際に、ジアミン化合物を含有させることで得ることができる。溶融重合時に製造するならば、原料仕込み時にジアミンモノマーを過剰に添加して重合する方法、原料仕込み時に原料モノマーと原料モノマー以外のジアミン化合物を添加して重合する方法、所定の分子量のポリアミドを重合した後、重合槽からポリマーを抜き出す直前に目的の末端基濃度バランスとなるようジアミン化合物を添加する方法が用いられる。重合後に製造するならば、目的の末端基濃度バランスとなるよう重合後のポリアミド樹脂とジアミン化合物を溶融混練する方法等が用いられる。
【0018】
このジアミン化合物の具体例としては、前述したポリアミド樹脂のモノマーとして用いられるものの他に、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン等の脂肪族ジアミンやナフタレンジアミン、メタキシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが用いられ、好ましくはヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、メタキシリレンジアミンが用いられる。
【0019】
ポリアミド樹脂の重合度には特に制限はないが、ポリマー1gを96%濃硫酸100mlに溶解し、25℃で測定した相対粘度が1.5〜5.0であることが好ましく、より好ましくは1.8〜3.5である。相対粘度が上記数値の上限より高い場合、加工性を著しく損ない、上記下限より低い場合、機械的強度が低下するため好ましくない。
【0020】
また、上記ポリアミド樹脂は、他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。混合物中のポリアミド樹脂の含有率は、50重量%以上が好ましい。
他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル(EEA)等のポリオレフィン系樹脂及び、カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された上記ポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル(LCP)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のポリサルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等のポリビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0021】
本発明における(B)成分は、層状珪酸塩である。この(B)成分はポリアミド樹脂組成物に剛性と耐熱性を付与することに資する成分である。
(B)成分の層状珪酸塩は、一辺の長さが0.002〜1μmで厚さが6〜20Åの平板状をなすものが用いられる。また、層状珪酸塩は、(A)成分中に分散した際、各平板状粒子が平均20Å以上の層間距離を保ち、均一に分散するものであることが好ましい。ここで、「層間距離」とは、平板状をなす層状珪酸塩粒子の重心間の距離をいい、「均一に分散する」とは、平板状粒子の一枚一枚又は層数が平均的に5層以下の多層物が平行及び/又はランダムな状態で存在し、層状珪酸塩粒子の50重量%以上、好ましくは70重量%以上が局所的な塊を形成することなく分散する状態をいうものとする。
【0022】
このような層状珪酸塩の原料としては、珪酸マグネシウムまたは珪酸アルミニウムの層から構成される層状フィロ珪酸鉱物を例示することができる。具体的には、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイトなどのスメクタイト系粘土鉱物やバーミキュライト、ハロイサイトなどを例示することができ、これらは天然のものであっても、合成されたものであってもよい。
【0023】
(B)成分の層状珪酸塩の割合は、前記(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対して、0.05〜30重量部、好ましくは0.5〜10重量部、より好ましくは0.5〜6重量部である。
。層状珪酸塩の割合が1重量部未満のときには、剛性と耐熱性の向上が小さいので好ましくなく、10重量部を超えるとポリマーの物性、特に流動性や衝撃強度の低下を招くため好ましくない。
【0024】
前記(B)成分の層状珪酸塩をポリアミド樹脂中に均一に分散させる方法については特に制限はないが、本発明の層状珪酸塩の原料が多層状粘土鉱物である場合には、膨潤化剤と接触させて、予め層間を拡げて層間にモノマーを取り込みやすくした後、ポリアミドモノマーと混合し、重合する方法(特開昭62−74957号公報参照)によってもよい。また、膨潤化剤に高分子化合物を用い、予め層間を100Å以上に拡げて、これをポリアミド樹脂と溶融混練して均一に分散させる方法によってもよい。
【0025】
本発明の組成物を構成する(C)成分は、耐衝撃性改良材である。
(C)耐衝撃性改良材は、MFR(2.16kg/230℃)が1〜2.5g/10minである。MFRが前記範囲を外れると低温耐衝撃性の低下を招くため好ましくない。
【0026】
(C)耐衝撃性改良材としては、(エチレン及び/又はプロピレン)・α−オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)・(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、アイオノマー重合体、芳香族ビニル化合物・共役ジエン化合物系ブロック共重合体、ポリアミドエラストマー等を挙げることができ、これらを単独または混合して使用できる。
【0027】
上記の(エチレン及び/又はプロピレン)・α−オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素数3以上のα−オレフィンを共重合した重合体であり、炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1−テトラデセンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0028】
また、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,5−オクタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、4−エチリデン−8−メチル−1,7−ノナジエン、4,8−ジメチル−1,4,8−デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,5−ノルボルナジエンなどの非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。
【0029】
上記の(エチレン及び/又はプロピレン)・(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合した重合体であり、α,β−不飽和カルボン酸単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられ、α,β−不飽和カルボン酸エステル単量体としては、これら不飽和カルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル等、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0030】
上記のアイオノマ−重合体は、オレフィンとα,β−不飽和カルボン酸共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部が金属イオンの中和によりイオン化されたものである。オレフィンとしてはエチレンが好ましく用いられ、α,β−不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸が好ましく用いられるが、ここに例示したものに限定されるものではなく、不飽和カルボン酸エステル単量体が共重合されていても構わない。また、金属イオンとしてはLi、Na、K、Mg、Ca、Sr、Baなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属の他、Al、Sn、Sb、Ti、Mn、Fe、Ni、Cu、Zn、Cd等を挙げることできる。
【0031】
また、芳香族ビニル化合物・共役ジエン化合物系ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン化合物系重合体ブロックからなるブロック共重合体であり、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックを少なくとも1個と、共役ジエン化合物系重合体ブロックを少なくとも1個有するブロック共重合体が用いられる。また、上記のブロック共重合体では、共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合が水素添加されていてもよい。
【0032】
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックとは、芳香族ビニル化合物に由来する構造単位から主としてなる重合体ブロックである。その場合の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなどを挙げることができ、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、前記した単量体の1種または2種以上からなる構造単位を有していることができる。また、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、場合により少量の他の不飽和単量体からなる構造単位を有していてもよい。
【0033】
共役ジエン化合物系重合体ブロックとは、1,3−ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,6−ヘキサジエンなどの共役ジエン系化合物の1種または2種以上から形成された重合体ブロックである。水素添加した芳香族ビニル化合物/共役ジエンブロック共重合体では、その共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合部分の一部または全部が水素添加により飽和結合になっている。
【0034】
芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体およびその水素添加物の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状、またはそれら任意の組み合わせのいずれであってもよい。そのうちでも、本発明においては、芳香族ビニル化合物/共役ジエンブロック共重合体および/またはその水素添加物として、1個の芳香族ビニル化合物重合体ブロックと1個の共役ジエン化合物重合体ブロックが直鎖状に結合したジブロック共重合体;芳香族ビニル化合物重合体ブロック−共役ジエン化合物重合体ブロック−芳香族ビニル化合物重合体ブロックの順に3つの重合体ブロックが直鎖状に結合しているトリブロック共重合体;およびそれらの水素添加物の1種または2種以上が好ましく用いられ、未水素添加または水素添加スチレン/ブタジエンブロック共重合体、未水素添加または水素添加スチレン/イソプレンブロック共重合体、未水素添加または水素添加スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、未水素添加または水素添加スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、未水素添加または水素添加スチレン/(イソプレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体などが挙げられる。
【0035】
上記のポリアミドエラストマーとは、ハードセグメントであるポリアミド形成単位と、ソフトセグメントであるポリエーテル単位またはポリエーテルとジカルボン酸とを縮重合せしめたポリエーテルエステル単位を主体とするブロックとの共重合体であり、ポリエーテルエステルアミドエラストマー、ポリエーテルアミドエラストマーが挙げられる。当該ハードセグメントであるポリアミド形成単位としては、3員環以上のラクタム、アミノカルボン酸、またはジカルボン酸とジアミンとからなるナイロン塩が挙げられる。
【0036】
3員環以上のラクタムとしては、ε−カプロラクタム、ラウロラクタム等が挙げられる。アミノカルボン酸としては、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンドデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。
【0037】
ナイロン塩を構成するジカルボン酸としては、通常炭素数2〜36のジカルボン酸が使用され、具体的には、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、キシレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。また、炭素数36のジカルボン酸としては、二量体化脂肪酸が挙げられる。二量体化脂肪酸は、脂肪酸、例えば炭素数8〜24の飽和、エチレン系不飽和、アセチレン系不飽和、天然または合成一塩基性脂肪酸を重合して得られる重合脂肪酸である。
【0038】
また、ナイロン塩を構成するジアミンとしては、通常炭素数2〜36のジアミンが使用され、具体的には、エチレンジアミン、トリエメレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;1,3/1,4−シクロヘキサンジメチルアミン、ビス(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン;キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン等が挙げられる。また、炭素数36のジアミンとしては、二量体化脂肪酸のカルボキシル基をアミノ酸に変換した二量体化アミンが挙げられる。
【0039】
また、ソフトセグメントであるポリエーテル単位としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコールテトラヒドロフラン、あるいはこれらポリエーテル形成モノマーを数種用いた共重合体等が挙げられる。
【0040】
ポリエーテルエステルアミドエラストマーとは、前記ポリエーテルと上記ジカルボン酸を導入した末端にカルボキシル基を有するポリアミド形成単位とからなるポリアミドエラストマーである。
【0041】
また、ポリエーテルアミドエラストマーとは、前記ポリエーテルの末端ヒドロキシル基をアミノ基及び/又はカルボキシル基に置換することにより得られるポリエーテル単位、および末端にカルボキシル基及び/又はアミノ基を有するポリアミド形成単位とからなるポリアミドエラストマーである。
【0042】
また、(C)耐衝撃改良材として用いられる上記(エチレン及び/又はプロピレン)・α−オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)・(α,β−不飽和カルボン酸及び/又は不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、アイオノマ−重合体、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物のブロック共重合体は、カルボン酸および/またはその誘導体で変性された重合体が好ましく使用される。このような成分により変性することにより、得られる成形体の低温衝撃性及び機械的特性のバランスのとれたものとなる。
【0043】
変性に使用されるカルボン酸及び/又はその誘導体としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、カルボン酸エステル基、カルボン酸金属塩基、カルボン酸イミド基、カルボン酸アミド基、エポキシ基などが挙げられる。これらの官能基を含む化合物の例として、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸およびこれらカルボン酸の金属塩、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸アミノエチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、マレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジルなどが挙げられる。
【0044】
(C)耐衝撃改良材の配合量は、(A)成分のポリアミド樹脂100重量部に対して5〜70重量部、好ましくは10〜30重量部である。(C)成分の配合割合が5重量部未満であると、成形体の耐衝撃性の改良が不十分となるので好ましくなく、70重量部を超えると剛性(曲げ弾性率)および耐熱性が次第に低下するので好ましくない。
【0045】
また、(C)耐衝撃性改良材は、ガラス転移温度(ここでは周波数10Hzの動的粘弾性測定から得られる損失粘弾性(E”)のピーク温度として定義する。)が−40℃以下であることが好ましく、−45℃以下であることがより好ましい。−40℃より高い場合は低温耐衝撃性が低下するので、好ましくない。
【0046】
また、本発明において使用されるポリアミド樹脂には、可塑剤を添加することができる。可塑剤としては、ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類、トルエンスルホン酸アルキルアミド類、ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類等が挙げられる。
【0047】
ベンゼンスルホン酸アルキルアミド類としては、ベンゼンスルホン酸プロピルアミド、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド等が挙げられる。
【0048】
また、トルエンスルホン酸アルキルアミド類としては、N−エチル−o−またはN−エチル−p−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−o−またはN−エチル−p−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド等が挙げられる。
【0049】
ヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類としては、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸エチルデシル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸オクチルオクチル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸デシルドデシル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸メチル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸ブチル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸ヘキシル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸デシル、o−またはp−ヒドロキシ安息香酸ドデシル等が挙げられる。
【0050】
上記のうち、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、ベンゼンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド等のベンゼンスルホン酸アルキルアミド類;N−エチル−p−トルエンスルホン酸ブチルアミド、N−エチル−p−トルエンスルホン酸2−エチルヘキシルアミド等のトルエンスルホン酸アルキルアミド類;およびp−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシル、p−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシル、p−ヒドロキシ安息香酸エチルデシル等のヒドロキシ安息香酸アルキルエステル類等が好ましく、ベンゼンスルホン酸ブチルアミド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルヘキシルおよびp−ヒドロキシ安息香酸ヘキシルデシルがより好ましい。
【0051】
可塑剤の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは1〜15重量部である。可塑剤の配合量が1重量部未満では、可塑化効果が実質的に奏されず、可塑剤の配合量が30重量部を超える場合には、低温耐衝撃性が低下するので好ましくない。
【0052】
さらに、本発明において使用されるポリアミド樹脂には、必要に応じて、フェノール系、チオエーテル系、ホスファイト系、アミン系等の酸化防止剤;サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、金属錯塩系等の紫外線吸収剤;HALS系の耐候性改良剤;アルキルアミン、アルキルアミド、アルキルエーテル、アルキルフェニルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート、第4級アンモニウム塩、アルキルベタイン等の帯電防止剤;赤リン、酸化スズ、水酸化ジルコニウム、メタホウ酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の無機難燃剤;ハロゲン系、リン酸エステル系、メラミン又はシアヌル酸系の有機難燃剤;三酸化アンチモン等の難燃助剤;その他滑剤、核剤、結晶化促進剤、油剤、顔料、染料、無機充填材等を配合することができる。
【0053】
本発明の樹脂組成物の製造方法は、各構成成分を均一に分散させることができる方法であれば特に制限されるものではない。例えば、(B)成分の珪酸塩の原料が多層状粘土鉱物である場合には、膨潤化剤と接触させて、予め層間を拡げて層間にモノマーを取り込みやすくしたのち、(A)成分を形成するモノマーに混合し、重合する方法(特開昭62−74957号公報参照)により(A)および(B)成分を混合し、さらに(C)成分の耐衝撃性改良材を配合する方法、(A)および(B)成分の溶融混練物に、(C)成分を混練・配合する方法、または(A)および(B)成分からなる粉末状またはペレット状の成形物に(C)成分を配合したのち、溶融混練する方法などを適用することができる。
【0054】
本発明のポリアミド樹脂組成物は、例えば、押出成形、ブロー成形、圧縮成形、射出成形等により成形品にすることができる。成形品としては、フィルム、ホース、チューブ、ボトル、タンク等が挙げられ、特に自動車燃料配管用チューブ又はホースに好適に用いられる。
【0055】
また、成形品の構成としては、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層を含む積層構造体であることが好ましい。
積層構造体は、本発明のポリアミド樹脂組成物からなる層と、他の熱可塑性樹脂からなる層を1層又は2層以上を有する。各層の厚さは特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層構造体における全体の層数、用途などに応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層構造体のアルコールガソリン透過防止性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。
【0056】
また、積層構造体の層数は2層以上であるが、積層構造体における全体の層数は特に制限されず、いずれでもよい。
積層構造体製造装置の機構から判断して7層以下、好ましくは2層〜5層である。
さらに、層間の接着性を向上させる目的で、接着層を設けてもよい。また、熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿状、木質等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルトなどの金属や金属化合物及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼などの合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅などの剛合金、ニッケル合金等の合金類などが挙げられる。
【0057】
接着層としては、カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基を含有するオレフィン系重合体が好ましく用いられる。オレフィン系重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、ポリブテン、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリイソプレン、ブテン−イソプレン共重合体などが挙げられる。また、オレフィン系重合体中にカルボン酸エステルを共重合されたものであってもよく、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチルなどが共重合された重合体などが挙げられ、より具体的にはエチレン−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸プロピル共重合体、エチレン−アクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−メタクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸プロピル共重合体、エチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン−メタクリル酸イソブチル共重合体などのオレフィン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸メチル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸プロピル−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸プロピル−アクリロニトリル共重合体、アクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体、メタアクリル酸ブチル−アクリロニトリル共重合体などの、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体が挙げられる。
【0058】
カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基はポリオレフィン分子中の主鎖に導入された共重合体、あるいは側鎖に導入されたグラフト重合体のどちらでもよい。
カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、エンドシス−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボン酸及びこれらカルボン酸の金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水フマル酸、エンドビシクロ−[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸無水物、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等が挙げられる。
接着層としては、前記記載のカルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された、上記例示のオレフィン系重合体を使用することができる。
【0059】
他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体鹸化物(EVOH)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル(EEA)等のポリオレフィン系樹脂及び、カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された上記ポリオレフィン系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、PET/PEI共重合体、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリエステル(LCP)等のポリエステル系樹脂、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド(PPO)等のポリエーテル系樹脂、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等のポリサルホン系樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)等のポリケトン系樹脂、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、メタクリロニトリル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリニトリル系樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/メチルアクリレート共重合体等のポリビニル系樹脂、酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリクロルトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(TFE/HFP,FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(TFE/HFP/VDF,THV)、テトラフルオロエチレン/フルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂、ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリエチレンアジパミド(ナイロン26)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンアゼラアミド(ナイロン69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンウンデカミド(ナイロン611)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリノナメチレンドデカミド(ナイロン912)、ポリデカメチレンドデカミド(ナイロン1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ナイロン1212)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(TMHT)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ナイロン9T)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ナイロン10T)、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ナイロン11T)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ナイロン12T)やこれらを形成するポリアミド原料モノマ−を数種用いた共重合体などのポリアミド系樹脂を挙げることができる。これらの中でも、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリチオエーテル系樹脂、フッ素系樹脂が好ましく使用される。
【0060】
積層構造体は、通常使用される熱可塑性樹脂の成形機、例えば、押出成形機、ブロー成形機、圧縮成形機、射出成形機等を用いて、フィルム状、シート状、チューブ状、ホース状その他各種形状に製造可能であり、共押出成形法(T−ダイ押出、インフレーション押出、ブロー成形、異型押出、押出コーティング等)、積層射出成形法はじめとする任意の溶融成形法が採用される。
【0061】
積層構造体からなる積層成形品は、自動車部品、工業材料、産業資材、電気電子部品、機械部品、事務機器用部品、家庭用品、容器、シート、フイルム、繊維、その他の任意の用途及び形状の各種成形品として利用される。より具体的には、自動車燃料配管用チューブ又はホース、自動車ラジエーターホース、ブレーキホース、エアコンホース、電線被覆材、光ファイバー被覆材等のチューブ、ホース類、農業用フィルム、ライニング、建築用内装材(壁紙等)、ラミネート鋼板等のフィルム、シート類、自動車ラジエータータンク、薬液ボトル、薬液タンク、バック、薬液容器、ガソリンタンク等のタンク類等が挙げられる。中でも、自動車燃料配管用チューブ又はホースとして有用である。
【0062】
以下、自動車燃料配管用チューブ又はホースについて詳細に説明する。自動車燃料配管用チューブ又はホースの製造法としては、層の数もしくは材料の数に対応する押出機を用いて、溶融し押し出し、ダイ内あるいは外において同時に積層する方法(共押出法)、あるいは、一旦、単層チューブ又はホースあるいは、上記の方法により製造された積層チューブ又はホースを予め製造しておき、外側に順次、必要に応じては接着剤を使用し、樹脂を一体化せしめ積層する方法(コーティング法)を挙げることができる。
【0063】
また、得られる自動車燃料配管用チューブ又はホースが複雑な形状である場合や、成形後に加熱曲げ加工を施して成形品とする場合には、成形品の残留歪みを除去するために、上記の自動車燃料配管用チューブ又はホースを形成した後、前記チューブ又はホースを構成する樹脂の融点のうち最も低い融点未満の温度で、0.01〜10時間熱処理して目的の成形品を得る事も可能である。
【0064】
自動車燃料配管用チューブ又はホースにおいては、波形領域を有するものであってもよい。波形領域は、自動車燃料配管用チューブ又はホース全長にわたり有するものだけではなく、途中の適宜の領域に部分的に有するものであってよい。波形領域とは、波形形状、蛇腹形状、アコーディオン形状、又はコルゲート形状等に形成した領域である。波形領域は、まず直管状のチューブを成形した後に、引き続いてモールド成形し、所定の波形形状等とすることにより容易に形成することができる。かかる波形領域を有することにより、衝撃吸収性を有し、取り付け性が容易となる。さらに、例えば、コネクター等の必要な部品を付加したり、曲げ加工によりL字、U字の形状等にする事が可能である。
【0065】
このように成形した自動車燃料配管用チューブ又はホースの外周の全部又は一部には、石ハネ、他部品との摩耗、耐炎性を考慮してエピクロルヒドリンゴム、NBR、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、アクリルゴム(ACM)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等から構成するソリッド又はスポンジ状の保護部材(プロテクター)を配設することができる。保護部材は既知の手法によりスポンジ状の多孔体としてもよい。多孔体とすることにより、軽量で断熱性に優れた保護部を形成できる。また、材料コストも低減できる。あるいは、ガラス繊維などを添加してその強度を改善してもよい。保護部材の形状は特に限定されないが、通常は、筒状部材又は自動車燃料配管用チューブ又はホースを受け入れる凹部を有するブロック状部材である。筒状部材の場合は、予め作製した筒状部材に自動車燃料配管用チューブ又はホースを後で挿入したり、あるいは自動車燃料配管用チューブ又はホースの上に筒状部材を被覆押出しして両者を密着して作ることができる。両者を接着させるには、保護部材内面あるいは前記凹面に必要に応じ接着剤を塗布し、これに自動車燃料配管用チューブ又はホースを挿入又は嵌着し、両者を密着することにより、自動車燃料配管用チューブ又はホースと保護部材の一体化された構造体を形成する。又、金属等で補強する事を可能である。
【0066】
自動車燃料配管用チューブ又はホースの外径は、燃料(例えばガソリン)の流量を考慮し、肉厚はガソリンの透過性が増大せず、また、通常のチューブ又はホースの破壊圧力を維持できる厚さで、かつ、チューブ又はホースの組み付け作業容易性及び使用時の耐振動性が良好な程度の柔軟性を維持することができる厚さに設計されるが、限定されるものではない。好ましくは、外径は4〜30mm、内径3〜25mm、肉厚は0.1〜5mmである。
【実施例】
【0067】
以下に合成例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、何らそれらに限定されるものではない。
なお、合成例、実施例及び比較例において使用した樹脂等の物性測定方法を以下に示す。
【0068】
[末端カルボキシル基濃度]:
三つ口ナシ型フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、ベンジルアルコール40mlを加えた後、窒素気流下、180℃に設定したオイルバスに浸漬する。上部に取り付けた撹拌モーターにより撹拌溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用いてN/20の水酸化カリウム(エタノール溶液)で滴定を行い、次式で規定濃度を求める。
〔COOH〕=COOH当量/10
【0069】
[末端アミノ基濃度]:
活栓付三角フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、あらかじめ調整しておいた溶媒フェノール/メタノール(体積比9/1)の40mlを加えた後、マグネットスターラーで撹拌溶解し、指示薬にチモールブルーを用いてN/20の塩酸で滴定を行い、次式で規定濃度を求める。
〔NH〕=NH当量/10
【0070】
[相対粘度(ηr)]:
JIS K 6920に準じ、96質量%硫酸を溶媒として、ポリアミド濃度1%を完全に溶解した後、ウベローデ型粘度計を用い、25℃で測定する。
[曲げ弾性率]:
ASTM D−790に従い、常温(23℃)において絶乾状態で厚み6.4mmの短冊状試験片を用いて3点曲げ試験を行った。
[耐衝撃性]:
ASTM D−256に従い、厚み3.2mmの短冊状試験片を用いて後加工でノッチをつけて常温(23℃)と−40℃において絶乾状態でアイゾット衝撃試験装置(ハンマー質量3.82kg)にて評価した。
(衝撃値は、破壊の形態とテストピースが完全破壊した場合は数値を、部分破壊した場合はノッチの先端からテストピースの端までの距離がどの程度まで破壊したのかとその数値を示す。)
[荷重たわみ温度]:
ASTM D−648に従い、厚み3.2mm、幅12.7mm、長さ127mmの試験片を使用し、荷重たわみ温度測定装置にて荷重0.45MPaで評価した。
[ガラス転移温度]:
固体粘弾性アナライザー(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン株式会社製 RSAIII(引張モード、周波数62.8rad/s(10Hz))を用い、−150℃から測定限界まで昇温速度2℃/minで温度を変化させて測定した。
【0071】
〔合成例1〕
〔ポリアミド12の製造〕
70Lのオートクレーブに、ω−ラウロラクタム20kg、水0.5kgとイソホロンジアミン49.3g(1/350eq/molラウロラクタム)を仕込み、重合槽内を窒素置換した。次いで重合槽内温度を260℃まで昇温させ、槽内圧力を3.5MPaに調圧しながら、2時間撹拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、0.05MPaまで減圧し、減圧下において4時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た後、減圧乾燥した。
【0072】
得られたポリマーの相対粘度は、2.33、末端アミノ基濃度35μeq/g、カルボキシル基濃度21μeq/gであった。なお、(末端アミノ基濃度)/(末端カルボキシル基濃度)=1.6>1であった。
【0073】
〔合成例2〕
〔層状珪酸塩の製造〕
層状珪酸塩の一単位の厚みが平均的に9.5Åで、一辺の長さが約0.1μmのモンモリロナイト100gを10Lの水に分散させ、これに51.2gの12−アミノドデカン酸と24mlの濃塩酸を加え、5分間撹拌した後、真空乾燥し、12−アミノドデカン酸アンモニウムイオンとモンモリロナイトの複合体を調製した。
得られた複合体中の層状珪酸塩分は、80質量%であり、この複合体の珪酸塩の層間距離をX線回折により測定したところ、18Åであった。
【0074】
合成例1で得られた末端変性ポリアミド12及び上記複合体を所定割合で混合してペレットを得、これを真空乾燥した。この組成物の珪酸塩の層間距離をX線回折により測定したころ、100Å以上であった。
【0075】
実施例で使用した耐衝撃性改良材
EBR:エチレン/ブテン共重合体(三井化学社製MH7020、MFR(2.16kg/230℃)1.5g/10min、ガラス転移温度−50℃)
EPR:エチレン/プロピレン共重合体(JSR社製JSR T7712SP、MFR(2.16 kg/230℃、)5.0g/10min、ガラス転移温度−42℃)
【0076】
実施例1
合成例2で得られた末端変性ポリアミド12と層状珪酸塩の混合物のペレットと耐衝撃性改良材としてEBRとを2軸混練押出し機PCM30((株)池貝製)により、押出機の設定温度C1:260℃、C2:270℃、C3:280℃、ダイ温度:280℃、の条件で混練して本発明の組成物を得た。このようにして得られた組成物を下記の条件で射出成形した試験片を調製し、この試験片を用いて下記の各試験を行った。結果を表に示す。なお、表中の各構成成分の配合量は、実際の配合量を重量部に換算して表示した。以下において同様である。

射出成形機;FANUC(株)製 AUTOSHOT Cseries MODEL 30A
シリンダー設定温度:C1 260℃;C2 270℃;C3 280℃;C4(ノズル)280℃
射出圧力:850kg/cm
金型温度:80℃
射出時間:5秒
冷却時間:30秒
【0077】
実施例2
層状珪酸塩量を変えたほかは実施例1と同様にして各試験を行った。結果を表に示す。
【0078】
実施例3
耐衝撃性改良材量を変化させたほかは実施例2と同様にして各試験を行った。結果を表に示す。
【0079】
比較例1〜2
実施例1において、層状珪酸塩を使用せずに耐衝撃性改良材量を変えたほかは実施例1と同様にして各試験を行った。結果を表に示す。
【0080】
比較例3
実施例2において、耐衝撃性改良材をEPRに変えたほかは実施例2と同様にして各試験を行った。結果を表に示す。
【0081】
比較例4
実施例3において、耐衝撃性改良材をEPRに変えたほかは実施例3と同様にして各試験を行った。結果を表に示す。









【0082】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアミド樹脂、(B)前記(A)成分に均一に分散された層状珪酸塩、および(C)MFR(2.16kg/230℃)が1〜2.5g/10minである耐衝撃性改良材からなるポリアミド樹脂組成物であって、(A)ポリアミド樹脂100重量部に対して、(B)層状珪酸塩0.05〜30重量部、および(C)耐衝撃性改良材5〜70重量部を含有することを特徴とする高剛性および低温耐衝撃性ポリアミド樹脂組成物。
【請求項2】
(B)層状珪酸塩の含有割合が0.5〜10重量部である請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項3】
(C)耐衝撃性改良材が、エチレン/ブテン共重合体である請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項4】
(A)ポリアミド樹脂が、ポリアミド12である請求項1〜3に記載のポリアミド樹脂組成物。
【請求項5】
請求項1〜4に記載のポリアミド樹脂組成物からなる層を含むことを特徴とする積層構造体。
【請求項6】
積層構造体が、フィルム、ホース、チューブ、ボトル、タンクからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項5に記載の積層構造体。
【請求項7】
積層構造体が、自動車燃料配管用チューブ又はホースであることを特徴とする請求項5に記載の積層構造体。



【公開番号】特開2008−69190(P2008−69190A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246371(P2006−246371)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】